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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061030
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】領域形成設備
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240425BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20240425BHJP
   A47B 81/00 20060101ALI20240425BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E04B2/74 561C
A47B91/06
A47B81/00 E
A47G5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168683
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐川 翠里
(72)【発明者】
【氏名】虎走 恵利
(72)【発明者】
【氏名】前田 怜右馬
【テーマコード(参考)】
3B069
【Fターム(参考)】
3B069CA03
(57)【要約】
【課題】整然とした領域を短期間に形成することができる上に、その領域の閉塞感を解消することができる領域形成設備を提供する。
【解決手段】床面に設けられた目印と、この目印を基準にして床面上に配される複数のベースユニット2等の可搬式什器とを具備してなり、床面上にベースユニット2等の可搬式什器により囲繞された領域を形成することができる領域形成設備において、可搬式什器であるベースユニット2が、領域の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素2aを有する構成を採用する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設けられた目印と、この目印を基準にして前記床面上に配される複数の可搬式什器とを具備してなり、前記床面上に前記可搬式什器により囲繞された領域を形成することができる領域形成設備であって、
前記可搬式什器は、前記領域の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素を有するものである領域形成設備。
【請求項2】
前記目印が、平行に配された複数の第1ラインと、平行に配され前記第1ラインに交叉する方向に延びる複数の第2ラインとを備えたものである請求項1記載の領域形成設備。
【請求項3】
前記目印が、複数のドットを縦横に整列させて間欠配置したものである請求項1記載の領域形成設備。
【請求項4】
前記可搬式什器は、キャスタを有するベースと、このベース上に立設された構造体とを備えたものであり、前記構造体が抜け感惹起要素を備えている請求項1記載の領域形成設備。
【請求項5】
前記構造体は、複数の縦フレームを平行に配してなる縦枠構造体と、複数の横フレームを平行に配してなる横枠構造体とを含むものであり、
これら縦枠構造体と横枠構造体との間に収納領域を形成している請求項4記載の領域形成設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス空間を所望の領域に区画する場合などに好適に使用される領域形成設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のオフィスでは、定まった人数のワーカーがグループを形成し、各グループが間仕切り壁等により区成された領域を比較的長期に亘って使用するという形態が採用されてきた。
【0003】
ところが、近時のオフィス環境においては、仕事の内容に応じてグループを形成し、その仕事が終了するとグループを解散して新しい形態に変化させる等、種々の働き方が模索されている。
【0004】
ワーカーの人数や組み合わせが流動的なオフィス環境においては、グループが使用する執務領域も比較的短期間で変更される傾向にあり、かかる状況に対応した領域形成手段の出現が望まれている。
【0005】
かかる要求に応えるための方策としては、可動間仕切り壁で必要な領域を区成することや、スクリーンを配置して一定の領域を確保すること等が考えられるが、可動間仕切り壁の配置換えにはCADを用いたオフィスレイアウト作業や、そのオフィスレイアウトに沿った可動間仕切り壁の設置作業が必要となる。そのため、頻繁な変更には対応が難しい。一方、可搬式のスクリーン等を自由に移動させて領域を形成する場合には、頻繁なレイアウト変更にも対応が容易であるが、スクリーンの設置が煩雑となり易く、オフィス全体が乱雑なものになり易い(例えば、非特許文献1を参照)。
【0006】
また、前述した可動間仕切り壁やスクリーンは、視界を完全に遮るものが多く、これらの遮蔽要素に囲まれた領域は閉鎖的な雰囲気になり易い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“フレクセル2”,コクヨ総合カタログ2022年版ファニチャー編,コクヨ株式会社,令和3年12月,pp.760~761
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、整然とした領域を短期間に形成することができる上に、その領域の閉塞感を解消することができる領域形成設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る領域形成設備は、床面に設けられた目印と、この目印を基準にして前記床面上に配される複数の可搬式什器とを具備してなり、前記床面上に前記可搬式什器により囲繞された領域を形成することができる領域形成設備であって、前記可搬式什器は、前記領域の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素を有するものである。
【0010】
ここで「抜け感惹起要素」とは、格子の目や窓などのように完全に光を透過させて明確に領域の内外を見通せるものに限定されるものではなく、おぼろげにでも内外の様子を視覚的に認識し得るものであればどのようなものであってもよい。例えば、格子や網の目が細かいため明確に見通すことができないもの、色ガラスや摺りガラス等を配置したもの、枠に和紙などを張設したもの、木漏れ日を形成し得るような態様で植栽を配したものなども前記抜け感惹起要素に含まれる。
【0011】
また、本発明における「可搬式什器により囲繞された領域」とは、少なくとも2つの可搬式什器及び床面に設けられた目印により境界が示唆される領域であればよく、密に並べられた複数の可搬式什器により囲まれた領域に限られない。
【0012】
請求項2記載の発明に係る領域形成設備は、前記目印が、平行に配された複数の第1ラインと、平行に配され前記第1ラインに交叉する方向に延びる複数の第2ラインとを備えた請求項1記載のものである。
【0013】
請求項3記載の発明に係る領域形成設備は、前記目印が、複数のドットを縦横に整列させて間欠配置した請求項1記載のものである。
【0014】
請求項4記載の発明に係る領域形成設備は、前記可搬式什器が、キャスタを有するベースと、このベース上に立設された構造体とを備えたものであり、前記構造体が抜け感惹起要素を備えている請求項1記載のものである。
【0015】
請求項5記載の発明に係る領域形成設備は、前記構造体は、複数の縦フレームを平行に配してなる縦枠構造体と、複数の横フレームを平行に配してなる横枠構造体とを含むものであり、これら縦枠構造体と横枠構造体との間に収納領域を形成している請求項4記載のものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、整然とした領域を短期間に形成することができる上に、その領域の閉塞感を解消することができる領域形成設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るオフィス空間を示す概略図。
図2】同実施形態に係る領域形成設備を示す概略図。
図3】同実施形態に係る領域形成設備を示す概略図。
図4】同実施形態に係るベースユニット(什器)を示す全体斜視図。
図5】同実施形態に係るベースユニット(什器)を示す正面図。
図6】同実施形態に係るベースユニット(什器)を示す右側面図。
図7】同実施形態に係るベースユニット(什器)を示す平面図。
図8図5におけるA-A線に沿った断面図。
図9図5におけるB-B線に沿った断面図。
図10図5におけるC-C線に沿った断面図。
図11】同実施形態に係るベースユニット(什器)の棚板の取付態様を示す説明図。
図12】同実施形態に係るベースユニット(什器)の棚板の取付態様を示す説明図。
図13】同実施形態に係るベースユニット(什器)の棚板の取付態様を示す説明図。
図14】同実施形態に係るベースユニット(什器)の棚板の取付態様を示す説明図。
図15】同実施形態に係るベースユニット(什器)の棚板の取付態様を示す説明図。
図16】同実施形態に係るベースユニット(什器)の折り畳み状態を示す平面図。
図17】同実施形態に係る中間領域ユニット(什器)を示す全体斜視図。
図18】同実施形態に係る中間領域ユニット(什器)を示す正面図。
図19】同実施形態に係る中間領域ユニット(什器)を示す右側面図。
図20】同実施形態に係る中間領域ユニット(什器)を示す平面図。
図21】同実施形態に係る中間領域ユニット(什器)を示す底面図。
図22図19におけるD-D線に沿った断面図。
図23図19におけるE-E線に沿った断面図。
図24】同実施形態に係るパネル体装着ユニット(什器)を示す全体斜視図。
図25】同実施形態に係るパネル体装着ユニット(什器)を示す正面図。
図26】同実施形態に係るパネル体装着ユニット(什器)を示す右側面図。
図27】同実施形態に係るパネル体装着ユニット(什器)を示す平面図。
図28図26におけるF-F線に沿った断面図。
図29図26におけるG-G線に沿った断面図。
図30】同実施形態に係るWBユニット(什器)を示す全体斜視図。
図31】同実施形態に係るWBユニット(什器)を示す正面図。
図32】同実施形態に係るWBユニット(什器)を示す平面図。
図33】同実施形態に係るWBユニット(什器)を示す右側面図。
図34図33におけるH-H線に沿った断面図。
図35図33におけるJ-J線に沿った断面図。
図36】同実施形態に係る目印を示す説明図。
図37】本発明の他の実施形態に係る目印を示す説明図。
図38】本発明の他の実施形態に係る目印を示す説明図。
図39】本発明の他の実施形態に係る目印を示す説明図。
図40】本発明の他の実施形態に係る目印を示す説明図。
図41】本発明の他の実施形態に係る目印を示す説明図。
図42】本発明の他の実施形態に係る可搬式什器の配置態様を示す説明図。
図43】本発明の他の実施形態に係る可搬式什器の配置態様を示す説明図。
図44】本発明の他の実施形態に係る可搬式什器の配置態様を示す説明図。
図45】本発明の他の実施形態に係る可搬式什器の配置態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図1から図36を参照して説明する。
【0019】
この実施形態の領域形成設備RFは、図1に示されたオフィス空間OSに適用されたものである。
【0020】
<領域形成設備RFの概要>
この領域形成設備RFは、図1図3に示すように、オフィス空間OSの床面Fに設けられた目印1と、この目印1を基準にして床面F上に配される複数の可搬式什器2~5とを具備してなり、床面F上に可搬式什器2~5により囲繞された領域R01~R11を形成することができるものである。そして、可搬式什器2~5は、領域R01~R11の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素2a~5aを有するものである。
【0021】
詳述すれば、このオフィス空間OSは、例えば、図1図3に示すように、一方の建築壁W1と、他方の建築壁W2との間に形成された平面視長方形状のもので、両側には柱W31や窓W32を有する建築側壁W3が存在する。
【0022】
この実施形態の目印1は、図36に示すように、平行に配された複数の第1ライン11と、第1ライン11に交叉する方向に延びる平行に配された複数の第2ライン12とを備えたものである。
【0023】
なお、この実施形態の目印1は、第1ライン11と第2ライン12とが、交叉点1a近傍部を残して中間部が削除された形態をなしており、各交叉点1aを含む短寸な第1ライン11と第2ライン12が十字状の単位目印部10を形成している。そして、これら十字状をなす複数の単位目印部10を、縦横に整列させて間欠配置している。この実施形態では、各単位目印部10間の縦、横各ピッチ寸法は1800mmに設定されているが、その値は適宜設定可能である。各第1ライン11及び各第2ライン12は、オフィス空間OSの床面Fに当該床面Fと異なった色彩のシール材を貼着する、あるいは色や形状が異なったカーペットを組み合わせて床面Fを構成する、等の方法で形成することができる。
【0024】
図1は、オフィス空間OSにオフィス家具等を配置していない状態を示す平面図であり、そのオフィス空間の床面に複数の単位目印部10を縦横に整列させて間欠配置してなる目印1が施されている。
【0025】
図2は、床面F上に複数の可搬式什器2~4を配置した状態を示す平面図であり、これら可搬式什器により囲繞された領域R01~R11が複数形成されている。この実施形態では、説明をわかり易くするために、3種類の可搬式什器2~4を使用し、それら可搬式什器2~4を目印1を基準にして配置した場合について図示しているが、可搬式什器2~4の種類は、3種類に限られるものではなく、後述するように種々変形が可能である。
【0026】
また、目印1に対する可搬式什器2~4の配置態様も後述するように種々のものが考えられるが、この実施形態では、これ以上少なくすると領域R01~R11が認識できない程度の最小台数に近い可搬式什器2~4を用いた場合を示している。
【0027】
図3は、床面F上に複数の可搬式什器2~4を配置して形成された複数の領域R01~R11にそれぞれ通常のオフィス家具6を配置した状態を示す平面図である。オフィス家具6は、テーブル6aや椅子6bなど通常のものであるため説明を省略するが、これらのオフィス家具6を配置する際も、目印1を利用することが可能である。
【0028】
ここで、本実施形態に用いられている可搬式什器2、3、4について説明する。
【0029】
可搬式什器2、3、4は、図4図10及び図17図35に示すように、キャスタ211、311、411を有するベース21、31、41と、このベース21、31、41上に立設された構造体22、32、42とを備えたものであり、構造体22、32、42が抜け感惹起要素2a、3a、4aを備えている。前記構造体22、32、42は、複数の縦フレーム231、331、431を平行に配してなる縦枠構造体23、33、43と、複数の横フレーム241、341、441を平行に配してなる横枠構造体24、34、44とを含むものであり、これら縦枠構造体23、33、43と横枠構造体24、34、44との間に収納領域2s、3s、4sが形成されている。
【0030】
換言すれば、前述した3種類の什器2、3、4は、一方の面に複数の縦フレーム231、331、431を平行に配してなる縦枠構造体23、33、43を設けるとともに、他方の面に複数の横フレーム241、341、441を平行に配してなる横枠構造体24、34、44を設け、これら縦枠構造体23、33、43と横枠構造体24、34、44との間に両面からアクセス可能な収納領域2s、3s、4sを形成している。以下、各什器2、3、4について説明する。
【0031】
<一種類目の什器(以下、「ベースユニット2」と称する)>(図4図16
ベースユニット2は、図4図6図9及び図10に示すように、相互に直交する第1のベース21A及び第2のベース21Bを備えたシェルフの一種であって、前記各ベース21A、21Bの一側縁部に縦枠構造体23を、他側縁部に横枠構造体24をそれぞれ立設してなる。そして、第1のベース21Aと第2のベース21Bとをヒンジ25を介して連接してなり、図16に示すように、両ベースが平行となる状態にまで折りたたむことができるように構成されている。なお、本明細書中で、「ベース21」とは、第1、第2のベース21A、21Bを包含する概念である。また、「構造体22」とは、縦枠構造体23及び横枠構造体24を包含する概念である。
【0032】
このベースユニット2は、図4及び図7に示すように、目印1を基準にして床面F上に配置される平面視L字型のものである。そして、図7に示すように、第1のベース21Aの一側縁部を目印1の特定の第1ライン11に沿わせるとともに、第2ベース21Bの一側縁部を目印1の特定の第2ライン12に沿わせるようにして床面F上に配置される。それによって、ベースユニット2の中央に位置する外角2xが、第1ライン11と第2ライン12とが交叉する特定の単位目印部10に位置決めされることになる。
【0033】
第1、第2ベース21A、21Bは、図4及び図7に示すように、それぞれ平面視長方形状のものであり、下面四隅部にキャスタ211A、211Bを備えている。その上で、第1、第2ベース21A、21Bの他側縁部同士がヒンジ25を介して水平回動可能に連結されている。そして、図4及び図7図10に示すように、第1、第2ベース21A、21Bのそれぞれに、縦枠構造体23と横枠構造体24が立設されている。
【0034】
第1ベース21Aに支持されて外面側に配される縦枠構造体23は、図4図5及び図10に示すように、複数本の縦フレーム231を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの縦フレーム231は、門型枠材232に保持されている。門型枠材232は、ベース21Aから立設した2本の支柱フレーム233と、これら支柱フレーム233の上端間を連結する横架フレーム234とを備えたものである。
【0035】
第1ベース21Aに支持されて内面側に配される横枠構造体24は、図4図5及び図10に示すように、複数本の横フレーム241を一定のピッチで平行に配設したもので、これらの横フレーム241は、門型枠材242に保持されている。門型枠材242は、ベース21Aから立設した2本の支柱フレーム243と、これら支柱フレーム243の上端間を連結する横架フレーム244とを備えたものである。なお、縦枠構造体23の上端部と横枠構造体24の上端部とは、奥行方向連結材26によって連結されている。
【0036】
第2ベース21Bに支持されて外面側に配される縦枠構造体23は、図4図6及び図10に示すように、複数本の縦フレーム231を一定のピッチで平行に配設したもので、これらの縦フレーム231は、門型枠材232に保持されている。この門型枠材232は、ベース21Bから立設した2本の支柱フレーム233と、これら支柱フレーム233の上端間を連結する横架フレーム234とを備えたものである。
【0037】
第2ベース21Bに支持されて内面側に配される横枠構造体24は、図4図6及び図10に示すように、複数本の横フレーム241を一定のピッチで平行に配設したもので、これらの横フレーム241は、門型枠材242に保持されている。この門型枠材242は、ベース21Bから立設した3本の支柱フレーム243と、これら支柱フレーム243の上端間を連結する横架フレーム244とを備えたものである。前述した複数本の横フレーム241は、右端の支柱フレーム243と中間の支柱フレーム243との間に架設されている。
【0038】
そして、図4図10に示すように、横枠構造体24の上端部と、縦枠構造体23の上端部とは、奥行方向連結材26により連結されている。29は、奥行方向連結材26の中間部同士を連結する中間連結材である。
【0039】
前述した縦フレーム231、横フレーム241、支柱フレーム233、243、横架フレーム234、244等は、例えば、断面正方形をなす角パイプにより構成されている。
【0040】
図4図10に示すように、各ベース21A、21B上の縦枠構造体23と横枠構造体24とは一定の間隔をあけて立設されており、それら縦枠構造体23と横枠構造体24との間に収納領域2sが形成されている。
【0041】
27は、このベースユニット2に着脱可能に装着可能な棚板である。この棚板27は、図11図14に示すように,収納領域2sの奥行寸法に対応した寸法の棚板本体271と、この棚板本体271を横枠構造体24の所望個所に支持させるための取付部272とを備えたものである。棚板27の好ましい実施形態としては、先端縁に落下防止用の鍔273を有し基端部を除く両側縁に補強リブ274を垂下させた棚板本体271と、前記取付部272とを共通の板金素材により一体に形成したものを挙げることができる。取付部272は、棚板本体271の基端縁から直角に垂下させて上垂下板275と、この上垂下板275の下縁から棚板本体271と平行をなすように延出させた水平板276と、この水平板276の延出端から下方に垂下する下垂下板277とを備えてなる。なお、棚板本体271には、適宜開口を設けてもよい。
【0042】
この棚板は、図11図12に示すように棚板本体271が収納領域2sに収まる姿勢で横フレーム241に取り付ける態様と、図13図14に示すように棚板本体271が外に突出する姿勢で横フレーム241に取り付ける態様とを選択的にとり得るように寸法設定がなされている。すなわち、棚板本体271の下面と水平板276の下面との離間寸法は、隣接する2本の横フレーム241のピッチ寸法に合致させてある。そして、上垂下板275の内面と下垂下板277の内面との離間寸法は、正方形をなす横フレーム241の横断一辺寸法に合致させてある。
【0043】
横フレーム241には、図15に示すような棚板28を着脱可能に装着することもできる。すなわち、この棚板28は、平面視四角形をなし基端部を除く両側縁に補強リブ284を備えた棚板本体281と、この棚板本体281の基端部に設けられ所望の横フレーム241に上から嵌合可能な取付部282と、棚板本体281の先端部を上の横フレーム241に支持させるスチール製の支持バンド283とを備えたものである。
【0044】
このような構成によれば、図5及び図6に示すように、一面側の縦フレーム231と他面側の横フレーム241とが視覚的に重なって格子状に見える。そのため、一面と他面間では、視覚的に抜け感があるにも拘わらず一定の遮蔽効果が得られるものとなる。すなわち、この格子状に見える縦フレーム231間の隙間と横フレーム241間の隙間との重なり部分が隣接する領域R01~R11間の相互視認性を確保することができる透光空間となっており、この透光空間が抜け感惹起要素2aを構成している。しかも、何れの面側からもフレーム231、241間の空間を通して収納領域2sにアクセスすることが可能であるため、その収納領域2sを有効に利用することもできる。
【0045】
そして、このベースユニットは、横フレーム241に基端部を支持させた棚板27を装着することができるようになっているため、シェルフとして機能させることができる。しかも、この棚板27は、上下2本の横フレーム241を利用して取り付けることができるので、所望の高さ位置に装着することができる上に、横フレーム241に沿って取付け位置を左右に調節することもできる。そして、この棚板27は、棚板本体271が収納領域2s内に収まる取付け姿勢と、棚板本体271が内面側に突出する取付け姿勢を選択的にとることができため、シェルフとして多様な使い方ができる。
【0046】
また、このベースユニット2は、ベース21A、21Bにキャスタ211A、211Bが設けられているため、床面F上を自由に移動して目印1を基準にした所望位置に配置することができる上に、平面視L字形をなしているため、領域R01~R11のコーナーを明確にし易い。そのため、少ない台数で可搬式什器2~4により囲繞された領域を形成することができる。しかも、このベースユニット2は、第1のベース21Aと第2のベース21Bとが平行となる姿勢に折りたたむことができるため、搬出入や保管の際にコンパクト化が可能になる。
【0047】
<二種類目の什器(以下、「中間領域ユニット3」と称する>(図17図23
中間領域ユニット3は、隣接する領域R01~R11の境界に配置されるもので、両領域R01~R11から使用することができるように構成されている。
【0048】
この中間領域ユニット3は、図17図23に示すように、キャスタ311A、311Bを有する第1のベース31Aと第2のベース31Bを一直線状に連続させてなる什器であって、一方のベース31Aの一側縁部に縦枠構造体33を、他側縁部に横枠構造体34をそれぞれ立設するとともに、他方のベース31Bの一側縁部に横枠構造体34を、他側縁部に縦枠構造体33をそれぞれ立設してなる。そして、各ベース31A、31Bに対応する部位であって、縦枠構造体33に直面する側に天板35をそれぞれ設けている。なお、本明細書中で、「ベース31」とは、第1、第2のベース31A、31Bをまとめて示す概念である。また、「構造体32」とは、縦枠構造体33及び横枠構造体34を包含する概念である。
【0049】
この中間領域ユニット3は、図17図18及び図21図23に示すように、一体的に連続させた同一寸法をなす平面視長方形状の第1のベース31A及び第2のベース31Bを備えている。そして、第1のベース31Aには、内面側に縦枠構造体33を設けるとともに外面側に横枠構造体34を設け、縦枠構造体33に直面する内面側に天板35を配している。また、第2のベース31Bには、外面側に縦枠構造体33を設けるとともに内面側に横枠構造体34を設け、縦枠構造体33に直面する外面側に天板35を配している。なお、横枠構造体34と縦枠構造体33との間には、一般的なボックスファイルの奥行寸法に相当する寸法の収納領域3sが形成されている。そして、図17図20図22及び図23に示すように、この収納領域3sの途中には、上面が天板35の天板面と面一となる中段底板37が配されている。縦フレーム331間の開口寸法は、一般的なボックスファイルの厚み寸法に対応させてあり、天板35上に載置したボックスファイルを滑動させながら収納領域3s内に出し入れすることができるようにしてある。38は、天板35を下方から支持する天板支持構造体である。381は、天板支持構造体の下端に設けたキャスタである。
【0050】
第1ベース31Aに支持されて内面側に配される縦枠構造体33は、図22に示すように、複数本の縦フレーム331を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの縦フレーム331は、門型枠材332に保持されている。門型枠材332は、ベース31Aから立設した2本の支柱フレーム333と、これら支柱フレーム333の上端間を連結する横架フレーム334とを備えたものである。
【0051】
第1ベース31Aに支持されて外面側に配される横枠構造体34は、図23に示すように、複数本の横フレーム341を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの横フレーム341は、門型枠材342に保持されている。門型枠材342は、ベース31Aから立設した2本の支柱フレーム343と、これら支柱フレーム343の上端間を連結する横架フレーム344とを備えたものである。
【0052】
第2ベース31Bに支持されて外面側に配される縦枠構造体33は、図23に示すように、複数本の縦フレーム331を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの縦フレーム331は、門型枠材332に保持されている。門型枠材332は、ベース31Bから立設した2本の支柱フレーム333と、これら支柱フレーム333の上端間を連結する横架フレーム334とを備えたものである。
【0053】
第2ベース31Bに支持されて内面側に配される横枠構造体34は、図22に示すように、複数本の横フレーム341を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの横フレーム341は、門型枠材342に保持されている。門型枠材342は、第2ベース31Bから立設した2本の支柱フレーム343と、これら支柱フレーム343の上端間を連結する横架フレーム344とを備えたものである。
【0054】
なお、この実施形態においては、図17図22及び図23に示すように、第1ベース31Aの内面側に立設された門型枠材332と、第2ベース31Bの内面側に立設された門型枠材342とは、左右方向中央に位置する支柱フレーム333、343を兼用した状態で一体化されている。また、第1ベース31Aの外面側に立設された門型枠材342と、第2ベース31Bの外面側に立設された門型枠材332とは、左右方向中央に位置する支柱フレーム333、343を兼用した状態で一体化されている。
【0055】
36は、この中間領域ユニット3の幅方向両端に配された支柱フレーム333、343の上端部同士を連結する奥行方向連結材である。39は、奥行方向連結材36の中間部同士を連結する中間連結材である。
【0056】
また、各横枠構造体34の横フレーム341の断面形状および配設ピッチは、前述したベースユニット2の横枠構造体24における断面形状および配設ピッチと等しく設定してある。そのため、この中間領域ユニット3の横枠構造体34にも、前述した棚板27、28を種々の態様で取り付けることができる。しかして、この中間領域ユニット3の場合、天板35の前に着座した者は縦枠構造体33に直接対面することになり、横枠構造体34は側方に偏移した位置に存在することになる。そのため、横枠構造体34に種々の態様で棚板27、28を装着しても、着座者の邪魔になることがない。
【0057】
このような構成によれば、図18に示すように、一面側の縦フレーム331と他面側の横フレーム341とが視覚的に重なって格子状に見える。そのため、一面と他面間では、視覚的に抜け感があるにも拘わらず一定の遮蔽効果が得られるものとなる。すなわち、この格子状に見える縦フレーム331間の空間と横フレーム341間の空間との重なり部分が隣接する領域R01~R11間の相互視認性を確保することができる透光空間となっており、この透光空間が抜け感惹起要素3aを構成している。しかも、何れの面側からもフレーム331、341間の空間を通して収納領域3sにアクセスすることが可能であるため、その収納領域2sを有効に利用することもできる。
【0058】
この中間領域ユニット3は、隣接する領域R01~R11の境界に配置されるものであるため、前述したベース31A、31Bの奥行方向中央を目印に合わせて床面F上に配置するのが基本となる。
【0059】
<三種類目の什器(以下、「パネル体装着ユニット4」と称する>(図24図29
パネル体装着ユニット4は、図24図29に示すように、一方の面に複数の縦フレーム431を平行に配してなる縦枠構造体43を設けるとともに、他方の面に複数の横フレーム441を平行に配してなる横枠構造体44を設け、その横枠構造体44に板状オプションであるディスプレー45等を装着した什器である。縦枠構造体43と横枠構造体44とは、キャスタ441を有した共通のベース41上に立設されている。ベース41は、平面視長方形状のベース本体412の両端に脚羽根413を設けたもので、これら脚羽根413の先端部にキャスタ411が設けられている。そして、ベース本体412の両側縁部に前述した縦枠構造体43と横枠構造体44がそれぞれ設けられている。なお、「構造体42」とは、縦枠構造体43及び横枠構造体44を包含する概念である。
【0060】
ベース41に支持されて外面側に配される縦枠構造体43は、図24図25及び図29に示すように、複数本の縦フレーム431を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの縦フレーム431は、門型ハウジング46に保持されている。門型ハウジング46は、ベース41から立設した支柱部分461と、この支柱部分461の上端間を連結する横架部分462とを備えたものである。
【0061】
ベース41に支持されて内面側に配される横枠構造体44は、図24図25及び図28に示すように、複数本の横フレーム441を一定のピッチで平行に配設したもので、これらの横フレーム441は、前述した共通の門型ハウジング46に保持されている。
【0062】
このような構成によれば、図25に示すように、縦フレーム431と横フレーム441とが視覚的に重なって格子状に見える。そのため、一面と他面間では、視覚的に抜け感があるにも拘わらず一定の遮蔽効果が得られるものとなる。すなわち、この格子状に見える縦フレーム431間の空間と横フレーム441間の空間との重なり部分が隣接する領域R01~R11間の相互視認性を確保することができる透光空間となっており、この透光空間が抜け感惹起要素4aを構成している。
【0063】
なお、パネル体装着ユニット4は、門型ハウジング46内にハブ機能を発揮させるための機器類等が内蔵されているため、縦枠構造体43と横枠構造体44との間に形成された収納領域4sには大きな物品を収納することは難しいが、ホワイトボードやディスプレー45を装着することができる。収納領域をより有効に利用することができる什器として、4種類目の什器5を挙げることができる。
【0064】
<4種類目の什器(以下、「WBユニット5」と称する。)>(図30図35
WBユニット5は、図30図35に示すように、キャスタ511を有した平面視四角形状のベース51上に、縦枠構造体53と横枠構造体54を立設したもので、それら縦枠構造体53と横枠構造体54との間に、両側方にも開放された収納領域5sが形成されている。WBユニット5は、縦枠構造体53の前面にホワイトボードやディスプレー等の板状オプションを装着することができるようになっており、取り外した板状オプションは収納領域5sに差し込んで収納しておくことができるようになっている。また、「構造体52」とは、縦枠構造体53及び横枠構造体54を包含する概念である。
【0065】
ベースに支持されて内面側に配される縦枠構造体53は、図30図31及び図35に示すように、複数本の縦フレーム531を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの縦フレーム531は、門型枠材532に保持されている。門型枠材532は、ベース51から立設した2本の支柱フレーム533と、これら支柱フレーム533の上端間を連結する横架フレーム534とを備えたものである。
【0066】
ベース51に支持されて外面側に配される横枠構造体54は、図30図31及び図34に示すように、複数本の横フレーム541を一定のピッチで平行に配設したものであり、これらの横フレーム541は、門型枠材542に保持されている。門型枠材542は、ベース51から立設した2本の支柱フレーム543と、これら支柱フレーム543の上端間を連結する横架フレーム544とを備えたものである。門型枠材532、542同士は、上端部において奥行フレーム56により連結されている。
【0067】
このような構成によれば、図31に示すように、縦フレーム531と横フレーム541とが視覚的に重なって格子状に見える。そのため、一面と他面間では、視覚的に抜け感があるにも拘わらず一定の遮蔽効果が得られるものとなる。すなわち、この格子状に見える縦フレーム531間の空間と横フレーム541間の空間との重なり部分が隣接する領域R01~R11間の相互視認性を確保することができる透光空間となっており、この透光空間が抜け感惹起要素5aを構成している。
【0068】
縦枠構造体53と前記横枠構造体54との間に形成された収納領域5sには、吸音材を装脱可能に収容してもよい。このようにすれば、WBユニット5に、吸音壁としての役割を担わせることができる。
【0069】
また、WBユニット5の横枠構造体54等には、前述した棚板27、28等を装着することもできる。
【0070】
ここで、図1は本実施形態のオフィス空間OSを示す概略図である。図2は本実施形態の領域形成設備RFによる領域R01~R11の形成の態様を示す概略図である。図3は同領域形成設備RFにより形成された領域内への家具6の配置の例を示す概略図である。図4は本実施形態のベースユニット2を示す全体斜視図である。図5は同ベースユニット2を示す正面図、図6は同右側面図、図7は同平面図である。図8図5におけるA-A線に沿った断面図、図9は同図におけるB-B線に沿った断面図、図10は同図におけるC-C線に沿った断面図である。図11は同ベースユニット2への棚板27の取付態様を示す要部断面図、図12は同分解斜視図である。図9では中間連結材29を一部破断して示している。図11及び図12では、棚板27の大部分を収納領域2s内に配する態様を示している。図13は同ベースユニット2への棚板27の他の取付態様を示す要部断面図、図14は同分解斜視図である。図13及び図14では、棚板27の大部分を収納領域2sから外方に飛び出した状態に配する態様を示している。図15は同ベースユニット2への棚板28の取付態様を示す説明図である。同図の(a)は要部断面図であり、同図の(b)は取付状態の斜視図である。図16は同ベースユニット2の折り畳み状態を示す平面図である。なお、縦枠構造体23及び横枠構造体24は前述したように角パイプにより構成されているが、断面図においてはわかりやすくするために中実な部材として示している。図17は本実施形態の中間領域ユニット3を示す全体斜視図である。図18は同中間領域ユニット3を示す正面図、図19は同右側面図、図20は同平面図、図21は同底面図である。図22図19におけるD-D線に沿った断面図、図23は同図におけるE-E線に沿った断面図である。図22及び図23では中間連結材39を一部破断して示している。なお、縦枠構造体33及び横枠構造体34は角パイプにより構成されているが、断面図においてはわかりやすくするために中実な部材として示している。図24は本実施形態のパネル体装着ユニット4を示す全体斜視図である。図25は同パネル体装着ユニット4を示す正面図、図26は同右側面図、図27は同平面図である。図28図26におけるF-F線に沿った断面図、図29は同図におけるG-G線に沿った断面図である。なお、縦枠構造体43、横枠構造体44及び門形ハウジング46は角パイプにより構成されているが、断面図においてはわかりやすくするために中実な部材として示している。図30は本実施形態のWBユニット5を示す全体斜視図である。図31は同WBユニット5を示す正面図、図32は同平面図、図33は同右側面図である。図34図33におけるH-H線に沿った断面図、図35は同図におけるJ-J線に沿った断面図である。なお、縦枠構造体53及び横枠構造体54は角パイプにより構成されているが、断面図においてはわかりやすくするために中実な部材として示している。図36は本実施形態の目印1を示す説明図である。
【0071】
<領域形成設備の作用効果>
以上説明したように、この領域形成設備RFは、床面Fに設けられた目印1と、この目印1を基準にして床面F上に配される複数の可搬式什器2~5とを具備してなり、床面F上に可搬式什器2~5により囲繞された領域R01~R11を形成することができるようにしたものである。そして、可搬式什器2~5は、領域R01~R11の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素2a~5aを有するものである。
【0072】
そのため、可搬式什器2~5を適宜移動させて目印1を基準に配置するだけで、所望の領域R01~R11を整然と形成することができる。よって、ワーカーの人数や組み合わせが流動的なオフィス環境においても、各グループが最適な執務領域を都度形成して使用することが可能となる。
【0073】
しかも、可搬式什器2~5は、領域R01~R11の内側から外側の様子を視覚的に認識できるようにするための抜け感惹起要素2a~5aを有しているため、当該領域R01~R11に隣接する他の執務領域や共用領域等の様子が当該領域R01~R11内からそれとなく感じ得るものとなる。そのため、本領域形成設備RFにより形成された領域R01~R11内は、閉塞感が払拭され、居心地の良い空間となる。
【0074】
また、可動式什器2~5が抜け感惹起要素2a~5aを備えておれば、移動させる際にも先行空間の様子を伺い知ることができ、移動の安全性を高めることができるとともに、目印1を視認し易くなるという効果も得られる。
【0075】
目印1が、平行に配された複数の第1ライン11と、平行に配され第1ライン11に交叉する方向に延びる複数の第2ライン12とを備えたものであるため、視認し易く、可搬式什器2~5を並べ易い。
【0076】
<領域形成設備の他の実施形態>
本発明は、以上説明したものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0077】
(イ)目印について
以上説明した実施形態では、図36に示すように、目印1が第1ライン11と第2ライン12とを交差点近傍のみを残して配置したもの、換言すれば、十字をなす単位目印部10を縦横に一定のピッチで配列させたものについて説明したが、このような実施形態に限られるものではなく、例えば、図37図41に示すようなものであってもよい。
【0078】
図37に示す目印B1は、仮想の第1ラインB11と仮想の第2ラインB12との交点にドットB10を配置したもの、換言すれば、複数のドットB10を縦横に整列させて間欠配置したものである。図37では第1ラインB11と第2ラインB12とを想像線で示しているが、床面Fにはかかる想像線は視認可能に施す必要はない。
【0079】
図38に示す目印C1は、平行に配された複数の第1ラインC11と、平行に配された複数の第2ラインC12とを設けたものであり、各第1、第2ラインC11、C12は、破線にしてある。
【0080】
図39に示す目印D1は、第1ラインD11と第2ラインD12とを交差点近傍のみを残して配置したもの、換言すれば、L字をなす単位目印部D10を縦横に一定のピッチで配列させたものである。この場合も、第1、第2ラインD11、D12の想像線で示されている部分は、床面Fに視認可能に施さなくてもよい。
【0081】
図40に示す目印E1は、第1ラインE11と第2ラインE12とを交差点近傍を消去して形成したものである。この場合も、第1、第2ラインE11、E12の想像線で示されている部分は、床面Fに視認可能に施さなくてもよい。
【0082】
図41に示す目印G1は、第1ラインG11と第2ラインG12に囲まれた部位全体に黒または他の色彩を一面に施し、第1ラインG11と第2ラインG12に沿う一定幅部分G10を白抜きにしたものである。この場合も、想像線で示されている第1、第2ラインG11、G12は、床面に視認可能に施さなくてもよい。
【0083】
(ロ)可搬式什器の配置態様について
可搬式什器の配置態様も前述した実施形態に限定されるものではなく、主なレイアウト態様としては、例えば、図42から図45に示すようなものを挙げることができる。
【0084】
図42に示すレイアウトは、最小の可搬式什器を用いて領域R21を形成するもので、例えば、目印1における第1ライン11と第2ライン12との特定の交差点に平面視L型の什器(例えば、ベースユニット2)を配置するとともに、一つの第1ライン11又は第2ライン12上に壁状をなす什器(例えば、パネル体装着ユニット4やWBユニット5等)を配置したものである。なお、Tはテーブルである。
【0085】
図43に示すレイアウトは、気密性を高めた領域R22を形成するためのものであり、例えば、対角位置に平面視L型の什器(例えば、ベースユニット2)を配置するとともに、他のライン上に壁状をなす什器(例えば、パネル体装着ユニット4やWBユニット5等)を配置したものである。なお、Tはテーブルである。
【0086】
図44に示すレイアウトは、他部署との交流を重視したもので、2つの隣接する領域R23、R24を形成した例を示している。この例では、各領域R23、R24を平面視L型の什器2と壁状の什器4とによってそれぞれ形成するとともに、両領域R23、R24の境界にそれぞれの領域R23、R24から使用可能な什器(例えば、中間領域ユニット3)を配置したものである。なお、Tはテーブルである。
【0087】
図45に示すレイアウトは、他人数が使用可能な領域R25内での交流を重視したもので、例えば、比較的広い領域R25の対角位置に平面視L型の什器(例えば、ベースユニット2)を配置するとともに、他のライン上に壁状をなす什器(例えば、パネル体装着ユニット4やWBユニット5等)を配置したものである。なお、Tはテーブルである。
【0088】
(ハ)可搬式什器について
以上説明した実施形態では、可搬式什器が、縦枠構造体と横枠構造体を備えたものについて説明したが、本発明は必ずしもこのようなものに限定されるものではなく、可搬式であり、且つ抜け感惹起要素を備えたものであればどのようなものであってもよい。
【0089】
(ニ)抜け感惹起要素について
抜け感惹起要素も、縦枠構造体と横枠構造体とを重合配置することによって抜け感を惹起させるようにしたものに限られないのは勿論であり、前述したように、形成した領域の内外の様子を視覚的に認識し得るようなものであればどのようなものであってもよい。例えば、視界を遮る壁体を有さず柱と棚板のみで構成されたものや、視界を遮る壁体に窓やパンチング孔を形成したものなども本発明の抜け感惹起要素に含まれる。あるいは、領域間を連通させる空間部分に多数本のワイヤを張り巡らせて網目状の壁を形成したものや、同壁面部分に植栽などを配置して僅かな視界を確保し得るようにしたもの等も、本発明の抜け感惹起要素に含まれる。
【0090】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0091】
RF…領域形成設備
F…床面
1…目印
11…第1ライン
12…第2ライン
2…可搬式什器(ベースユニット)
2a…抜け感惹起要素
21A…(第1の)ベース
21B…(第2の)ベース
211A、211B…キャスタ
22…構造体
23…縦枠構造体
24…横枠構造体
3…可搬式什器(中間領域ユニット)
3a…抜け感惹起要素
31A…(第1の)ベース
31B…(第2の)ベース
311A、311B…キャスタ
32…構造体
33…縦枠構造体
34…横枠構造体
4…可搬式什器(パネル体装着ユニット)
4a…抜け感惹起要素
41…ベース
411…キャスタ
42…構造体
43…縦枠構造体
44…横枠構造体
5…可搬式什器(WBユニット)
5a…抜け感惹起要素
51…ベース
511…キャスタ
52…構造体
53…縦枠構造体
54…横枠構造体
B1、C1、D1、E1、G1…目印
B11、C11、D11、E11、G11…第1ライン
B12、C12、D12、E12、G12…第2ライン
R01~R11、R21~R25…領域
図1
図2
図3
図4
図5
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