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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061032
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】チップコンベアを備える濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168685
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】小貝 宣夫
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB34
(57)【要約】
【課題】濾過スクリーンの目詰まりが発生してもダーティ液がダーティ液槽から溢れ出ることがないチップコンベアを備える濾過装置を提供する。
【解決手段】ダーティ液槽14内においては、第1濾過スクリーン30が底面に設けられた導液ダクト42が、その開口がクリーン液排出口28に接続された状態での天板14dおよび側板14bに固定されており、導液ダクト42は、第1濾過スクリーン30の位置よりも上の位置にオーバフロー用開口46を備えている。これにより、仮に、第1濾過スクリーン30に目詰まりが発生してダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが上昇しても、ダーティ液DFはオーバフロー用開口46から導液ダクト42内に流入してダーティ液DFの液面Lの上昇が抑制されるので、ダーティ液槽14からダーティ液DFが溢れ出ることがない。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切屑の混入したダーティ液を貯留するダーティ液槽と、前記ダーティ液貯留槽の一端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクトと、複数個の掻き板が所定間隔で固定された無端環状の搬送帯を有し、前記ダーティ液貯留槽の底板上に堆積した切屑を前記切屑搬送ダクトに沿って掻き出すチップコンベアと、前記ダーティ液槽の側壁の上端部に形成され、前記ダーティ液が浄化されたクリーン液をクリーン液槽へ排出するクリーン液排出口と、前記ダーティ液槽内に設けられ、底面に第1濾過スクリーンを有し且つ一側面が開口してクリーン液排出口に接続された導液ダクトとを、含むチップコンベアを備える濾過装置であって、
前記導液ダクトの第1濾過スクリーンの位置よりも上の位置に設けられ、前記ダーティ液を前記導液ダクト内へオーバフローさせるオーバフロー用開口を、備える
ことを特徴とするチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項2】
前記クリーン液槽は、前記クリーン液排出口からのクリーン液を受ける一次クリーン液槽と、第2濾過スクリーンを通して前記一次クリーン液槽に接続された二次クリーン液槽とを有する
ことを特徴とする請求項1のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項3】
前記第2濾過スクリーンの高さは、前記クリーン液排出口よりも低い
ことを特徴とする請求項2のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項4】
前記ダーティ液貯留槽の一端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクトの下に、前記二次クリーン液槽の少なくとも一部が設けられ、前記電動ポンプは、前記二次クリーン液槽の少なくとも一部に設けられている
ことを特徴とする請求項1のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項5】
前記チップコンベアの搬送帯のうちの前記ダーティ液槽内に位置する部分は、前記ダーティ液槽の底板に沿って移動させられる切屑掻取行程部と、前記切屑掻取行程部の始点に向かって移動させられる帰還行程部とから成り、
前記チップコンベアのうちの帰還行程部では、前記チップコンベアの掻き板が前記第1濾過スクリーンの下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられる
ことを特徴とする請求項1のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項6】
前記第1濾過スクリーンは、断面が三角形のウエッジワイヤが前記三角形の一辺が一平面内に位置した状態で併設される構成を含み、且つ前記一辺が前記ダーティ液側に位置するように配設されている
ことを特徴とする請求項1のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項7】
前記第1濾過スクリーンは、前記第1濾過スクリーンを構成する前記ウエッジワイヤの長手方向は、前記掻き板の前記第1濾過スクリーンに対する近接または摺接移動方向と平行となるように配設されている
ことを特徴とする請求項6のチップコンベアを備える濾過装置。
【請求項8】
前記ダーティ液槽内の液面を検出して、前記液面を表す信号を出力する液面センサと、前記液面センサから信号に基づいて前記ダーティ液槽内の液面が予め設定された液面に到達したことを報知する液面報知装置とを、含む
ことを特徴とする請求項1のチップコンベアを備える濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械や研削機械等から排出される、切屑の混入した汚れた加工液を貯留する貯留槽内で沈殿させた切屑をチップコンベアを用いて槽外へ搬出し、切屑が除去された清浄な加工液を再び工作機械や研削機械等へ供給するチップコンベアを備える濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品、ベアリングなどの製造に際して用いられる研削盤、切削盤等の機械加工装置において、機械加工や研削加工に用いた使用後の切屑を含むクーラントであるダーティ液(汚濁液)をダーティ液槽に貯留し、ダーティ液槽内で沈殿した切屑をチップコンベアを用いてダーティ液槽から切屑を掻きだして除去しつつ、ダーティ液槽に設けたスクリーンを通してダーティ液を浄化したクリーン液(清浄液)を得て再利用可能とするチップコンベアを備える濾過装置が、提案されている。たとえば、特許文献1のチップコンベアを用いた濾過装置がそれである。
【0003】
上記チップコンベアを備える濾過装置では、ダーティ液槽の側壁の上端部には、クリーン液を排出するクリーン液排出口が形成されており、底面に濾過スクリーンを有し且つ一側面が開口してクリーン液排出口に接続された導液ダクトが、ダーティ液槽内に設けられている。ダーティ液槽内のダーティ液は、上記濾過スクリーンを通してクリーン液へ浄化され、クリーン液はクリーン液排出口を通して研削盤、切削盤等の機械加工装置へ再供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-31645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されているような従来のチップコンベアを備える濾過装置においては、濾過スクリーンの目詰まりが発生すると、ダーティ液がダーティ液槽から溢れ出るという問題があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、濾過スクリーンの目詰まりが発生してもダーティ液がダーティ液槽から溢れ出ることがないチップコンベアを備える濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、以上の事情を背景としてチップコンベアを備える濾過装置について種々検討を重ねた結果、導液ダクトの濾過スクリーンの位置よりも上の位置に、ダーティ液を導液ダクト内にオーバフローさせるオーバフロー用開口を設けると、濾過スクリーンの目詰まりが発生してダーティ液の液面が上昇しても、ダーティ液はオーバフロー用開口から導液ダクト内へ流入する。このため、濾過スクリーンの目詰まりが発生してダーティ液槽のダーティ液の液面が上昇しても、ダーティ液はオーバフロー用開口から導液ダクト内へ流入してダーティ液の液面の上昇が抑制されるので、ダーティ液槽からダーティ液が溢れ出ることがない点を見出した。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
【0008】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)切屑の混入したダーティ液を貯留するダーティ液槽と、前記ダーティ液槽の一端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクトと、複数個の掻き板が所定間隔で固定された無端環状の搬送帯を有し、前記ダーティ液槽の底板上に堆積した切屑を前記切屑搬送ダクトに沿って掻き出すチップコンベアと、前記ダーティ液槽の側壁の上端部に形成され、前記ダーティ液が浄化されたクリーン液をクリーン液槽へ排出するクリーン液排出口と、前記ダーティ液槽内に設けられ、底面に第1濾過スクリーンを有し且つ一側面が開口してクリーン液排出口に接続された導液ダクトとを、含むチップコンベアを備える濾過装置であって、(b)導液ダクトの第1濾過スクリーンの位置よりも上の位置に設けられ、前記ダーティ液を前記導液ダクト内へオーバフローさせるオーバフロー用開口を、備えることにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチップコンベアを備える濾過装置によれば、仮に、第1濾過スクリーンの目詰まりが発生してダーティ液槽のダーティ液の液面が上昇しても、ダーティ液はオーバフロー用開口から導液ダクト内へ流入してダーティ液の液面の上昇が抑制されるので、ダーティ液槽からダーティ液が溢れ出ることがない。
【0010】
ここで、好適には、前記クリーン液槽は、前記クリーン液排出口からのクリーン液を受ける一次クリーン液槽と、第2濾過スクリーンを通して前記一次クリーン液槽に接続された二次クリーン液槽とを有する。これにより、仮に、第1濾過スクリーンの目詰まりが発生してダーティ液槽のダーティ液の液面が上昇し、ダーティ液がオーバフロー用開口から導液ダクト内へ流入しても、クリーン液排出口からのオーバフローを含むクリーン液を受ける一次クリーン液槽から二次クリーン液槽へ流れる過程で、第2濾過スクリーンにより切屑が除去される。このため、二次クリーン液槽内のクリーン液を圧送する電動ポンプに切屑が吸い込まれることが抑制される。
【0011】
前記第2濾過スクリーンの高さは、前記クリーン液排出口よりも低く設定されている。これにより、第2濾過スクリーンの目詰まりが発生しても、一次クリーン液槽内のクリーン液を二次クリーン液槽へ流すことができる。
【0012】
また、好適には、前記ダーティ液槽の一端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクトの下に、前記二次クリーン液槽の少なくとも一部が設けられ、前記電動ポンプは、前記二次クリーン液槽の少なくとも一部に設けられている。これにより、電動ポンプの配置スペースが減少し、チップコンベアを備える濾過装置が小型となる利点がある。
【0013】
また、好適には、前記チップコンベアの搬送帯うちの前記ダーティ液槽内に位置する部分は、前記ダーティ液槽の底板に沿って移動させられる切屑掻取行程部と、前記切屑掻取行程部の始点に向かって移動させられる帰還行程部とから成り、前記チップコンベアのうちの帰還行程部では、前記チップコンベアの掻き板が前記第1濾過スクリーンの下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられる。これにより、前記第1濾過スクリーンの目詰まりが抑制される。
【0014】
また、好適には、前記第1濾過スクリーンは、断面が三角形のウエッジワイヤが前記三角形の一辺が一平面内に位置した状態で併設されることにより構成され、且つ前記一辺が前記ダーティ液側に位置するように配設されている。これにより、前記チップコンベアの前記掻き板が前記第1濾過スクリーンの下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられることで、第1濾過スクリーンの目詰まりが抑制される。
【0015】
また、好適には、前記第1濾過スクリーンは、前記第1濾過スクリーンを構成する前記ウエッジワイヤの長手方向は、前記掻き板の近接方向または摺接方向と平行となるように配設されている。これにより、前記チップコンベアの前記掻き板が前記第1濾過スクリーンの下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられることで、第1濾過スクリーンの目詰まりが一層抑制される。
【0016】
また、好適には、前記ダーティ液槽内の液面を検出して、前記液面を表す信号を出力する液面センサと、前記液面センサから信号に基づいて前記ダーティ液槽内の液面が予め設定された液面に到達したことを報知する液面報知装置とを、含む。これにより、第1濾過スクリーンの目詰まりにより前記ダーティ液槽内の液面が上昇したことが報知されるので、第1濾過スクリーンの目詰まりを解消するための処理を開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例のチップコンベアを備える濾過装置の構成をその縦断面を用いて説明する模式図である。
図2図1のチップコンベアを備える濾過装置の構成をその平面を用いて説明する模式図である。
図3図1のチップコンベアを備える濾過装置の横断面であって、図1のIII-III視断面を示す断面図である。
図4図1のチップコンベアを備える濾過装置の導液ダクトの取り付け状態を、その濾過装置の一部を切り欠いて示す要部斜視図である。
図5図1のチップコンベアを備える濾過装置の第1濾過スクリーンの構成の一例を説明する要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化して描いた模式図であり、各部の形状、寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0019】
図1は、本発明の一実施例のチップコンベアを備える濾過装置(以下、濾過装置という)10の正面図であって、濾過装置10の幅方向の中央を通る垂直面で切断した断面で示す模式図である。図2は、図1の濾過装置10の平面図であり、図3図1および図2のIII-III視断面を示す図である。
【0020】
図1において、濾過装置10は、切屑22の混入したダーティ液DFが投入されるダーティ液投入口12が上面の一端部に設けられた長手状のダーティ液槽14と、ダーティ液槽14の他端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクト16と、複数個の掻き板18が所定間隔で固定された無端環状の搬送帯20を有し、ダーティ液槽14の底板14a上に堆積した切屑22を切屑搬送ダクト16の底板16aに沿って掻き出すチップコンベア24と、ダーティ液槽14の相対向する一対の側板14b、14bのうちの一方の側板14bの上端部に形成され、ダーティ液DFが浄化されたクリーン液CFをクリーン液槽44へ排出するクリーン液排出口28と、ダーティ液槽14内に設けられ、底板42aに第1濾過スクリーン30を有し且つ側壁42bの一つが除去されて一端が開口した部分がクリーン液排出口28に接続された導液ダクト42とを、有している。
【0021】
ダーティ液槽14は、長手状の平坦な底板14aと、底板14aの両側縁からそれぞれ立設された相対向する一対の側板14b、14bと、底板14aの長手方向の両端に位置する端縁からそれぞれ立設された一対の端板14cと、一対の側板14b、14bの上辺と一対の端板14cとを塞ぐとともに、ダーティ液投入口12が一端部に形成された天板14dとを、有し、ダーティ液投入口12から投入されたダーティ液DFを貯留する。相対向する一対の側板14b、14bのうちの一方(本実施例では、図1の裏面側)の側板14bの上端部には、ダーティ液DFが浄化されたクリーン液CFをクリーン液槽44へ排出するクリーン液排出口28が形成されている。
【0022】
切屑搬送ダクト16は、底板16aと、底板16aの両側縁から立設された相対向する長手状の一対の側板16b、16bと、一対の側板16b、16bの上辺を塞ぐ天板16dとを、有している。切屑搬送ダクト16の一端は、ダーティ液槽14の他端に連結されている。また、切屑搬送ダクト16のダーティ液槽14とは反対側の他端には、下方に伸びる切屑排出ダクト34が接続されている。切屑排出ダクト34から排出される切屑22は、切屑排出ダクト34の直下に配設された切屑容器36に受けられる。
【0023】
チップコンベア24の無端環状の搬送帯20は、たとえばチェーン、メッシュベルト等から構成されており、切屑搬送ダクト16内に設けられた駆動側回転体38およびダーティ液槽14内に設けられた従動側回転体40に巻き掛けられている。駆動側回転体38および従動側回転体40は、搬送帯20がチェーンから構成される場合はスプロケットが用いられ、搬送帯20がメッシュベルトである場合はローラが用いられる。駆動側回転体38は、図示しない電動機により、連続的或いは周期的に回転駆動される。
【0024】
搬送帯20に固定されている掻き板18は、搬送帯20の幅方向に長手状の部材であって、金属、樹脂、或いはゴム等の材料から構成されている。チップコンベア24の搬送帯20のうちの従動側回転体40から駆動側回転体38に至る間は、掻き板18がダーティ液槽14の底板14aおよび切屑搬送ダクト16の底板16aに近接しつつ又は摺接しつつ、それら底板14aおよび底板16aに沿って移動させられる。また、チップコンベア24の搬送帯20のうちの駆動側回転体38から従動側回転体40に至る間は、切屑搬送ダクト16の天板16dおよびダーティ液槽14の天板14dに沿って移動させられる。
【0025】
搬送帯20のダーティ液槽14内に位置する部分のうちのダーティ液槽14の底板14aに沿って直線的に移動させられる部分は、切屑掻取行程部20aとして機能し、その切屑掻取行程部の始点に向かって直線的に移動させられる部分は、帰還行程部20bとして機構する。搬送帯20のうちの帰還行程部として機能する部分は、チップコンベア24の掻き板18が後述の第1濾過スクリーン30の下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられる。
【0026】
図3にも示すように、ダーティ液槽14内においては、第1濾過スクリーン30が底面に設けられ、且つ一端に開口を有する箱状の導液ダクト42が、その開口がクリーン液排出口28に接続された状態での天板14dおよび側板14bに固定されている。ダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが上昇して第1濾過スクリーン30を通過すると、第1濾過スクリーン30により浄化されたクリーン液CFが、導液ダクト42およびクリーン液排出口28を通してダーティ液槽14に隣接して設けられたクリーン液槽44へ送られる。
【0027】
図4の斜視図にも示すように、導液ダクト42は、第1濾過スクリーン30の位置よりも上の位置、本実施例では天版14dとの間の位置の側板42bに切欠により設けられたオーバフロー用開口46を備えている。オーバフロー用開口46は、第1濾過スクリーン30の濾過機能が低下して、ダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面が上昇すると、ダーティ液DFを導液ダクト42内にオーバフローさせて、ダーティ液DFがダーティ液槽14から溢れ出ることを抑制する。
【0028】
クリーン液槽44は、平面視でL字状の底板44aと、底板44aの側縁からダーティ液槽14の側板14bよりも低くそれぞれ立設された一対の側板44b、44bと、底板44aの端縁からそれぞれ立設された一対の端板44c、44cとから、平面視でL字状に構成されている。これにより、クリーン液槽44は、ダーティ液槽14のクリーン液排出口28が形成された側板14bに隣接する上流側の一次クリーン液槽48と、傾斜した切屑搬送ダクト16の下に少なくとも一部が位置する下流側の二次クリーン液槽50と、一次クリーン液槽48と二次クリーン液槽50との間に介挿された第2濾過スクリーン52とを、有する。第2濾過スクリーン52は、図3に示すように、クリーン液排出口28の高さよりも低く、且つクリーン液槽44の側板44bの高さより低い。二次クリーン液槽50内のクリーン液CFは、二次クリーン液槽50上且つ傾斜した切屑搬送ダクト16の下に位置する電動ポンプ54から、図示しない工作機械や研削機械等へ圧送される。好適には、電動ポンプ54は、一次クリーン液槽48内のクリーン液CFの液面がダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面よりも十分に低くなるように、下流側クリーン液槽50内のクリーン液CFを例えば空気と共に吸い込む吸引容量を有する。
【0029】
第1濾過スクリーン30および第2濾過スクリーン52は、たとえば1mmφ程度の複数の細孔が形成されたパンチングメタルや、たとえば図5に示すような僅かな間隔で併設された複数本のウエッジワイヤ等から、構成される。図5において、断面が三角形のウエッジワイヤ56が三角形の一辺が一平面内に位置した状態で、複数の細孔58を有するパンチングメタル60の一面に溶接により併設されている。ウエッジワイヤ56の上記一辺が上流側たとえばダーティ液DF側に位置するように配設される。第1濾過スクリーン30では、好適には、パンチングメタル60の長手方向がチップコンベア24の掻き板18の移動方向と平行となるように設定される。
【0030】
濾過装置10には、ダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lを検出する液面計62と、液面計62からの信号に基づいてダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが高い状態を判定して、光学的或いは音響的に報知する報知装置64とが、設けられている。上記ダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが高い状態とは、たとえば、ダーティ液槽14内のダーティ液DFが導液ダクト42のオーバフロー用開口46を通して導液ダクト42内に流入するダーティ液DFの液面Lの高さである。
【0031】
上述のように、本実施例の濾過装置10によれば、ダーティ液槽14内においては、第1濾過スクリーン30が底面に設けられ、且つ一端に開口を有する導液ダクト42が、その開口がクリーン液排出口28に接続された状態での天板14dおよび側板14bに固定されており、導液ダクト42は、第1濾過スクリーン30の位置よりも上の位置、本実施例では天版14dとの間の位置の側板に切り欠かれた設けられたオーバフロー用開口46を備えている。これにより、仮に、第1濾過スクリーン30に目詰まりが発生してダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが上昇しても、ダーティ液DFはオーバフロー用開口46から導液ダクト42内に流入してダーティ液DFの液面Lの上昇が抑制されるので、ダーティ液槽14からダーティ液DFが溢れ出ることがない。
【0032】
また、本実施例の濾過装置10によれば、クリーン液槽44は、クリーン液排出口28からのクリーン液CFを受ける一次クリーン液槽48と、第2濾過スクリーン52を通して一次クリーン液槽48に接続された二次クリーン液槽50とを有する。これにより、仮に、第1濾過スクリーン30に目詰まりが発生してダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが上昇して、ダーティ液DFがオーバフロー用開口46から導液ダクト42内に流入しても、クリーン液排出口28からのオーバフローを含むクリーン液CFを受ける一次クリーン液槽48から二次クリーン液槽50へ流れる過程で、第2濾過スクリーン52により切屑22が除去される。このため、二次クリーン液槽50内のクリーン液CFを圧送する電動ポンプ54に切屑が吸い込まれることが抑制される。
ことができる。
【0033】
また、本実施例の濾過装置10によれば、第2濾過スクリーン52の高さは、クリーン液排出口28よりも低く設定されている。これにより、第2濾過スクリーン52の目詰まりが発生しても、一次クリーン液槽48内のクリーン液CFを二次クリーン液槽50へ流すことができる。
【0034】
また、本実施例の濾過装置10によれば、ダーティ液槽14の一端から斜め上方へ向かって形成された切屑搬送ダクト16の下に、二次クリーン液槽50の少なくとも一部が設けられ、電動ポンプ54は、二次クリーン液槽54の少なくとも一部上に設けられている。これにより、電動ポンプ54の配置スペースが減少し、チップコンベア24を備える濾過装置10が小型となる利点がある。
【0035】
また、本実施例の濾過装置10によれば、チップコンベア24の搬送帯20うちのダーティ液槽14内に位置する部分は、ダーティ液槽14の底板14aに沿って移動させられる切屑掻取行程部と、前記切屑掻取行程部の始点に向かって移動させられる帰還行程部とから成り、チップコンベア24のうちの帰還行程部では、チップコンベア24の掻き板18が第1濾過スクリーン30の下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられる。これにより、第1濾過スクリーン30の目詰まりが一層抑制される。
【0036】
また、本実施例の濾過装置10によれば、第1濾過スクリーン30は、断面が三角形のウエッジワイヤ56がその三角形の一辺が一平面内に位置した状態で併設されることにより構成され、且つ前記一辺がダーティ液DF側に位置するように配設されている。これにより、チップコンベア24の掻き板18が第1濾過スクリーン30の下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられることで、第1濾過スクリーン30の目詰まりが一層抑制される。
【0037】
また、本実施例の濾過装置10によれば、第1濾過スクリーン30は、第1濾過スクリーン30を構成するウエッジワイヤ56の長手方向は、掻き板18の近接方向又は摺接方向と平行となるように配設されている。これにより、チップコンベア24の掻き板18が第1濾過スクリーン30の下面に近接しつつ又は摺接しつつ移動させられることで、第1濾過スクリーン30の目詰まりが一層抑制される。
ができる。
【0038】
また、本実施例の濾過装置10によれば、ダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lを検出して、液面Lを表す信号を出力する液面センサ62と、液面センサ62から信号に基づいてダーティ液槽14内のダーティ液DFの液面Lが予め設定された液面に到達したことを報知する液面報知装置64とを、含む。これにより、第1濾過スクリーン30の目詰まりによりダーティ液槽14内の液面Lが上昇したことが報知されるので、第1濾過スクリーン30の目詰まりを解消するための処理を適切に開始することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0040】
たとえば、前述の実施例において、クリーン液槽44は、ダーティ液槽14のクリーン液排出口28が形成された側板14bに隣接する上流側の一次クリーン液槽48と、傾斜した切屑搬送ダクト16の下に少なくとも一部が位置する下流側の二次クリーン液槽50と、平面視でL字状に構成されている。しかし、クリーン液槽44は、一次クリーン液槽48と二次クリーン液槽50とが直列に配置されたものでも差し支えない。
【0041】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
10:濾過装置(チップコンベアを備える濾過装置)
14:ダーティ液槽
16:切屑搬送ダクト
18:掻き板
20:搬送帯
20a:切屑掻取行程部
20b:帰還行程部
24:チップコンベア
22:切屑
42:導液ダクト
44: クリーン液槽
46:オーバフロー用開口
48:一次クリーン液槽
50:二次クリーン液槽
52:第2濾過スクリーン
54:電動ポンプ
56:ウエッジワイヤ
58:細孔
60: パンチングメタル
62:液面計
64:報知装置
図1
図2
図3
図4
図5