(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061045
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】中敷き及び履物
(51)【国際特許分類】
A43B 17/00 20060101AFI20240425BHJP
A43B 7/14 20220101ALI20240425BHJP
【FI】
A43B17/00 Z
A43B7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168709
(22)【出願日】2022-10-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月10日 ウェブサイト(アドレス:https://www.ametore.jp/、https://www.ametore.jp/c/beaxis/769)にて公開 令和4年6月10日 ウェブサイト(アドレス:https://item.rakuten.co.jp/seitailab/az-769/)にて公開 令和4年6月15日 ウェブサイト(アドレス:https://www.amazon.co.jp/BEAXIS-%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%B9-%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC-%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BA-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0/dp/B0B49MY7RY)にて公開 令和4年6月15日 ウェブサイト(アドレス:https://store.shopping.yahoo.co.jp/ibiki-kenkyujyo/az769.html?__ysp=44K544Oq44Og44Kz44Ki44Ot44O844OV44Kh44O8)にて公開 令和4年7月5日 ウェブサイト(アドレス:https://www.amepla.jp/、https://www.amepla.jp/f/slim_loefers)にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】511292817
【氏名又は名称】株式会社アメイズプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】上田 由華
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA26
4F050EA05
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA85
(57)【要約】
【課題】歩行時に重心を確実に拇指球に導くことができる中敷き及び履物を提供する。
【解決手段】中敷き10は、履物の中に敷かれ、表面11で足を支持して用いられる。中敷き10は、表面11の側に突出する第1突部15及び第2突部16を備える。第1突部15は、一端部15aが足の拇指球に当接する部分とされ、一端部15aからそれよりも後方にある他端部15bへ延びている。第2突部16は、第1突部15に対して前方に離間した位置で足の各指の並ぶ方向に延び、それら各指でグリップ可能な部分とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物の中に敷かれ、表面で足を支持して用いられる中敷きであって、
前記表面の側に突出する突部として、
一端部が足の拇指球に当接する部分とされ、前記一端部からそれよりも後方にある他端部へ延びている第1突部と、
前記第1突部に対して前方に離間した位置で足の各指の並ぶ方向に延び、前記各指でグリップ可能な部分とされている第2突部と、
を備える、中敷き。
【請求項2】
前記第2突部の後方であって前記第2突部に近接した位置には、前記第2突部に沿って延び、上方に開口する凹状又は上下に貫通する孔状の空間部が設けられている、請求項1に記載の中敷き。
【請求項3】
前記第1突部は、その中間部が前記中敷きの左右方向の外側を経由するようにアーチ状に延びており、
前記第1突部のうち前記一端部側の一部は、前記第2突部の後方で前記各指の並ぶ方向に延びている、請求項1又は2に記載の中敷き。
【請求項4】
前記第2突部は、その横断面の形状が上方に凸となる略三角形状とされている、請求項1に記載の中敷き。
【請求項5】
前記空間部は、前記凹状に形成され、長さ方向の両端部が前記中敷きの周縁部からそれぞれ離間している、請求項2に記載の中敷き。
【請求項6】
上面からそれぞれ突出する前記第1突部及び前記第2突部と、前記上面において開放された前記空間部とを有する中敷き本体と、
前記中敷き本体の前記上面に重ねて設けられ、前記第1突部が挿通される第1開口部と、前記第2突部が挿通される第2開口部とが形成された中敷きシートと、
を備え、
前記第1突部は、前記第1開口部を通じて前記中敷きシートの上面である前記表面の側に突出しており、
前記第2突部は、前記第2開口部を通じて前記表面の側に突出しており、
前記空間部は、前記中敷きシートにより上方から覆われている、請求項2に記載の中敷き。
【請求項7】
前記表面のうち、少なくとも前記第2突部よりも後側の部分については左右方向の外側から内側に向けて下方傾斜している、請求項3に記載の中敷き。
【請求項8】
請求項1に記載の中敷きを備える履物。
【請求項9】
中底表面で足を支持して用いられる履物であって、
前記中底表面の側に突出する突部として、
一端部が足の拇指球に当接する部分とされ、前記一端部からそれよりも後方にある他端部へ延びている第1突部と
前記第1突部に対して前方に離間した位置で足の各指の並ぶ方向に延び、前記各指でグリップ可能な部分とされている第2突部と、
を備える、履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物の中に敷かれて用いられる中敷き、及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
中敷きは、歩行を補助する等の目的で、履物の中に敷かれて用いられる。特許文献1には、中敷きとして、その表面から突出しアーチ状に延びる凸部を備えたものが開示されている。この凸部は、その一端部が足の拇指球付近に当接し、その他端部が足の外側縦アーチ部の中央部に当接するように前後に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歩行する際には、足の爪先で地面を蹴ることにより前方への推進を得ることになる。そのため、歩行時には、重心を拇指球付近に導くことが望ましい。その点、特許文献1の中敷きでは、凸部が拇指球付近まで延びているため、歩行の際、重心を凸部に沿って拇指球付近へ導くことが可能である。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の中敷きでは、歩行時に足が凸部に対して前後にずれる場合が想定され、その場合、重心を上手く拇指球まで導くことができないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、歩行時に重心を確実に拇指球に導くことができる中敷き及び履物を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の中敷きは、
履物の中に敷かれ、表面で足を支持して用いられる中敷きであって、
前記表面の側に突出する突部として、
一端部が足の拇指球に当接する部分とされ、前記一端部からそれよりも後方にある他端部へ延びている第1突部と、
前記第1突部に対して前方に離間した位置で足の各指の並ぶ方向に延び、前記各指でグリップ可能な部分とされている第2突部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、中敷きが、その表面側に突出する突部として、第1突部及び第2突部を備えている。第1突部は、一端部が足の拇指球に当接する部分となっており、その一端部からそれよりも後方にある他端部へ延びている。この場合、歩行の際に足裏に第1突部が意識されることで、重心を第1突部に沿って前方の拇指球へと導くことができる。
【0009】
第2突部は、足の各指の並ぶ方向に延びており、それら各足指でグリップ可能とされている。第2突部を足指でグリップする際には、足指を上方に凸となるよう屈曲させた状態でグリップすることになる。ここで、第2突部は、第1突部に対して前方に離間した位置に配置されている。そのため、第2突部を足指でグリップする際には、足指の付け根部分を第1突部と第2突部との間に入り込ませることができる。そのため、第2突部の後方に第1突部が存在する構成にあっても、第2突部を足指でしっかりグリップすることが可能となっている。
【0010】
このように、第2突部を足指でグリップ可能となっていることにより、歩行の際、足が中敷きに対して前後にずれるのを抑制することができ、ひいては足が第1突部に対して前後にずれるのを抑制することができる。これにより、歩行時に重心を第1突部に沿って確実に拇指球へと導くことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】(a)が第2の実施形態における中敷きの平面図であり、(b)が底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。中敷き10(インソール)は、靴の内部に敷かれた状態で用いられ、靴を履いたユーザの足を支持するものである。本実施形態では、中敷き10が、靴の前側部分に敷かれて用いられるハーフタイプの中敷きとなっている。以下、
図1~
図5に基づき、中敷き10について説明する。なお、
図1~
図5では、左足用の中敷き10を示している。
【0013】
図1~
図4に示すように、中敷き10は、表面11と裏面12とを有する略板状に形成されている。中敷き10は、表面11を上側に向け、裏面12を下側に向けた状態で靴の中に敷かれ、その表面11でユーザの足を支持するものとなっている。中敷き10は、熱可塑性エラストマにより一体形成され、例えば熱可塑性ポリウレタンにより形成されている。また、中敷き10の裏面12は、水平方向に拡がる平坦面とされている。
【0014】
中敷き10には、表面11から突出する突部として、第1突部15と第2突部16とが設けられている。第1突部15は、その一端部15aからそれよりも後方にある他端部15bへとアーチ状(曲線状)に延びている。第1突部15の一端部15aは、中敷き10の左右方向の内側において、中敷き10の前後方向の略中央部又はそれよりも前方に位置している。第1突部15の一端部15aは、足の拇指球が当接する部分となっており(
図5を参照)、中敷き10の左右方向の内側縁部21から離間した位置にある。また、第1突部15の他端部15bは、中敷き10の後端部付近において、中敷き10の左右方向の略中央部に位置している。
【0015】
第1突部15において、一端部15aと他端部15bとの間の中間部15cは中敷き10の左右方向の外側を経由している。この場合、第1突部15の中間部15cは、一端部15a及び他端部15bよりも左右方向の外側を経由している。これにより、第1突部15は、左右方向の外側に凸となるアーチ状をなしており、換言すると左右方向の外側に凸となる略C字状をなしている。また、第1突部15は、その横断面(第1突部15の長さ方向と直交する断面)の形状が円弧状に盛り上がった形状となっている。
【0016】
第1突部15の幅は、第1突部15の全域において概ね同じ大きさとなっている。詳しくは、第1突部15の幅は、第1突部15の他端部15bから一端部15aに向けて少しづつ大きくなっている。本実施形態では、第1突部15の最大幅が8~10mmとなっている。
【0017】
第2突部16は、第1突部15に対して前方に離間した位置で左右方向にアーチ状(曲線状)に延びている。第2突部16は、前方に凸となるようにアーチ状に延びており、中敷き10の左右方向全域に亘って連続して延びている。また、第2突部16は、足の各指の並ぶ方向に延びて、それら各指(5本の指)でグリップ可能な部分となっている(
図5を参照)。そのため、第2突部16をグリップ突部ということもできる。
【0018】
第2突部16は、その横断面(第2突部16の長さ方向と直交する断面)の形状が上方に凸となる山形形状とされ、詳しくは三角形状とされている。第2突部16は、その頂部16aを形成する2つの傾斜面16b,16cを有している。これら各傾斜面16b,16cは、水平方向に対して緩やかに傾斜する面となっており、水平方向に対する傾斜角度がいずれも45度以下、詳しくは30度以下となっている。また、各傾斜面16b,16cのうち、前側の傾斜面16bは、後側の傾斜面16cよりも水平方向に対する傾斜角度が大きくなっている。
【0019】
第2突部16の幅は、第2突部16の左右方向の内側では略一定となっている一方、第2突部16の左右方向の外側では外側の端部に向かうにつれ小さくなっている。本実施形態では、第2突部16の最大幅が15~25mmとなっている。また、第2突部16の最大幅は、第1突部15の最大幅の約2倍となっている。
【0020】
なお、中敷き10には、第1突部15及び第2突部16以外に、表面11から突出する突部が設けられていない。そのため、第1突部15及び第2突部16には、他の突部が何も接続されておらず、独立した状態で設けられている。
【0021】
第1突部15において一端部15a側の一部は、第2突部16の後方で第2突部16と同じ方向に延びる一端側部分15dとなっている。一端側部分15dは、第1突部15の一端部15aから左右方向の外側に延びている。この場合、一端側部分15dは第2突部16と同じ方向に延びており、つまりは足の各指の並ぶ方向に延びている。このため、一端側部分15dと第2突部16との間隔は、一端側部分15dの全域において略一定となっている。また、一端側部分15dにおいては、第1突部15の頂部19が左右方向の外側から内側(つまり一端部15a)に向けて下方傾斜している。
【0022】
中敷き10には、第1突部15の一端側部分15dと第2突部16との間に、表面11にて開放された(換言すると上方に開放された)凹部17が形成されている。凹部17は、第2突部16に沿って左右方向にアーチ状に延びている。この場合、凹部17は、第2突部16と同じ方向に延びており、また第1突部15の一端側部分15dと同じ方向に延びている。また、凹部17は、第2突部16の後方において第2突部16に近接した位置にあり、また一端側部分15dの前方において一端側部分15dに近接した位置にある。なお、凹部17が空間部に相当する。
【0023】
凹部17は、第2突部16と同様、足の各指の並ぶ方向に延びる部分となっている(
図5を参照)。足の各指で第2突部16をグリップする際には、各足指を上方に凸となるよう屈曲させた状態でグリップすることになる。この際、凹部17には、屈曲させた足指の付け根部分が入り込むようになっている。また、凹部17の幅は、凹部17の長さ方向全域において概ね同じ大きさとなっており、本実施形態では8~12mmとなっている。
【0024】
凹部17は、その長さ方向(つまり左右方向)の両端部17a,17bがいずれも中敷き10の周縁部に到達しておらず、中敷き10の周縁部から離間した位置にある。つまり、凹部17の両端部17a,17bのうち、左右方向の内側の端部17a(以下、内側端部17aという)は、中敷き10の左右方向の内側縁部21から離間した位置にあり、左右方向の外側の端部17b(以下、外側端部17bという)は、中敷き10の左右方向の外側縁部22から離間した位置にある。
【0025】
ちなみに、凹部17の内側端部17aと中敷き10の内側縁部21との間の距離(最短距離)をL1とし、凹部17の外側端部17bと中敷き10の外側縁部22との間の距離(最短距離)をL2とした場合、中敷き10の強度確保の観点からすると、L1及びL2は3mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましい。また、凹部17への足指の付け根部分の入り込み易さの観点からすると、L1及びL2は12mm以下であるのが好ましく、10mm以下であるのがより好ましい。
【0026】
凹部17は、その横断面において、底面部17cが下方に凸となる曲面状をなしている。詳しくは、底面部17cは下方に凸となる緩やかな円弧状をなしている。この場合、第2突部16の傾斜面16cを下方に延長させた仮想延長面M(
図4の二点鎖線参照)を想定した場合、凹部17の一部は仮想延長面Mよりも下方にはみ出たはみ出し部分25となっている。
【0027】
中敷き10の表面11は、第2突部16により前後方向に分断されている。そのため、表面11は、第2突部16よりも前側の表面11aと、第2突部16よりも後側の表面11bとを含んでいる。前側の表面11aは、中敷き10の裏面12と平行な水平面となっている。一方、後側の表面11bは、左右方向の外側から内側に向けて緩やかに下方傾斜する傾斜面となっている。詳しくは、後側の表面11bは、その全域が上記傾斜面となっている。
【0028】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0029】
中敷き10の第1突部15は、一端部15aが足の拇指球に当接する部分となっており、その一端部15aからそれよりも後方にある他端部15bへ延びている。この場合、歩行の際に足裏に第1突部15が意識されることで、重心を第1突部15に沿って前方の拇指球へと導くことができる。
【0030】
第2突部16は、足の各指の並ぶ方向に延びており、それら各足指でグリップ可能とされている。第2突部16を足指でグリップする際には、足指を上方に凸となるよう屈曲させた状態でグリップすることになる。ここで、第2突部16は、第1突部15に対して前方に離間した位置に配置されている。そのため、第2突部16を足指でグリップする際には、足指の付け根部分を第1突部15と第2突部16との間に入り込ませることができる。そのため、第2突部16の後方に第1突部15が存在する構成にあっても、第2突部16を足指でしっかりグリップすることが可能となっている。
【0031】
このように、第2突部16を足指でグリップ可能となっていることにより、歩行の際、足が中敷き10に対して前後にずれるのを抑制することができ、ひいては足が第1突部15に対して前後にずれるのを抑制することができる。これにより、歩行時に重心を第1突部15に沿って確実に拇指球へと導くことが可能である。
【0032】
第2突部16の後方であって第2突部16に近接した位置には、第2突部16に沿って延び、上方に開口する凹部17が形成されている。この場合、足指を屈曲させ第2突部16をグリップする際に、足指の付け根部分を凹部17に入り込ませることができる。そのため、足指を屈曲させ易く、足指のグリップ効果を高めることができる。
【0033】
第1突部15は、その中間部が中敷き10の左右方向の外側を経由するようにアーチ状に延びているため、歩行の際に重心を足の外側を経由してから内側にある拇指球へ導くことができる。この場合、重心が左右方向に移動することになるため、左右方向のバランスをとりながら歩行する必要が生じる。そのため、歩行に際し、内転筋や大腿直筋、大臀筋、中臀筋といった、臀部から大腿部にかけての筋肉を使用した歩行が可能となる。
【0034】
また、第1突部15のうち一端部側の一部(一端側部分15d)については、第2突部16の後方で足の各指の並ぶ方向に延びている。この場合、第1突部15の一端側部分15dと第2突部16とが同じ方向に延びているため、それら両者15d,16の間の間隔を均一にすることができる。そのため、各足指を凹部17に同じように入り込ませることができ、足指のグリップ効果を好適に高めることができる。
【0035】
第2突部16の横断面の形状が略三角形状とされているため、足指を屈曲させて第2突部16をグリップする際、足指を第2突部16に沿わせ易い。そのため、足指を第2突部16に密着させて、好適にグリップ効果を得ることができる。
【0036】
足指が入り込む空間部が凹部17とされているため、上記空間部が上下に貫通する孔部となっている場合と比べ、中敷き10の強度を確保し易い。また、凹部17の両端部が中敷き10の周縁部からそれぞれ離間しているため、歩行時に中敷き10が凹部17に沿って曲げられた際等に、中敷き10が周縁部から凹部17に沿って破断する事態が生じにくい。
【0037】
凹部17は、第2突部16の頂部16aを形成する二つの傾斜面16b,16cのうち後側の傾斜面16cを下方に延長させた仮想延長面Mよりも下方にはみ出るように形成されている。この場合、凹部17を広く確保することができるため、凹部17に足指を入り込ませ易くすることができ、足指のグリップ効果をより高めることができる。
【0038】
中敷き10の表面11のうち、第2突部16よりも後側の表面11b(後側の部分に相当)については左右方向の外側から内側に向けて下方傾斜している。この場合、下方傾斜する表面11bは第1突部15の周囲にある。そのため、歩行時に重心を第1突部15に沿って中間部からそれよりも内側の拇指球へ導く際、スムーズに導くことが可能となる。
【0039】
ここで、表面11bが上記のように傾斜する構成では、表面11bからの第2突部16の突出高さが左右方向の外側で低くなることが想定される。そのため、第2突部16を足指でグリップする際、グリップしづらくなるおそれがある。その点、上記の実施形態では、第2突部16の後方に凹部17を形成しているため、こうした構成であっても、凹部17に足指の付け根部分を入り込ませ、第2突部16を好適にグリップすることが可能となる。
【0040】
中敷き10の表面11のうち、第2突部16よりも前側の表面11a(前側の部分に相当)は水平方向に拡がる水平面とされ、その高さ位置が後側の表面11bにおける左右方向の中央部の高さ位置よりも低い位置にある。かかる構成では、表面11aからの第2突部16の突出高さを第2突部16全域において同じように確保することができる。そのため、後側の表面11bが傾斜することで表面11bからの第2突部16の突出高さが一部で低くなっている構成にあっても、第2突部16を足指で好適にグリップすることが可能となる。
【0041】
第2突部16を足指でグリップすることにより、歩行の際、地面をつかむ感覚を好適に得ることができる。また、歩行時に爪先で地面を蹴る際には、凹部17に沿って中敷き10を屈曲させ易くなっているため、かかる際にも足指が第2突部16から離れにくく足指のグリップ状態を好適に保持することができる。
【0042】
〔第2の実施形態〕
上記第1の実施形態では、中敷き10が靴の前側に挿入されるハーフタイプとされていたが、本実施形態では、中敷き30が靴の全体に挿入されて用いられる全体タイプとなっている。以下、かかる本実施形態の中敷き30について、
図6及び
図7に基づき説明する。なお、
図6では、左足用の中敷き30を示している。
【0043】
図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態の中敷き30は、上記第1の実施形態のハーフタイプの中敷き10を用いて形成されている。中敷き30は、ハーフタイプの中敷き10と、中敷き10の表面11に重ねて設けられた中敷きシート31とを有しており、その中敷きシート31の表面31aでユーザの足を支持するものとなっている。なお、以下の説明では、中敷き10を中敷き本体10と呼ぶ。また、中敷き本体10の表面11は、「中敷き本体の上面」に相当する。また、中敷きシート31の表面31aが特許請求の範囲に記載の「表面」に相当する。
【0044】
中敷きシート31は、中敷き本体10よりも厚みの小さいシート状に形成され、可撓性を有している。また、中敷きシート31は、ポリエステル等の合成繊維により形成されている。そのため、中敷きシート31は、中敷き本体10よりも滑り易い材料により形成されている。換言すると、中敷き本体10は、中敷きシート31よりも滑りにくい材料により形成されている。また、中敷きシート31は、同シート31が挿入される靴の内部に対応した大きさ及び形状を有している。
【0045】
中敷きシート31は、その前側部分が中敷き本体10の表面11に重ねられている。そして、中敷きシート31は、その重ね状態で中敷き本体10の表面11に接着剤を用いて接着固定されている。但し、中敷きシート31は、必ずしも中敷き10の表面11に接着固定する必要はなく、例えば熱溶着により固定する等、他の固定方法により固定してもよい。
【0046】
図7に示すように、中敷きシート31には、中敷き本体10の第1突部15が挿通される第1開口部35と、第2突部16が挿通される第2開口部36とが形成されている。第1開口部35は、第1突部15の形状に合わせたアーチ状に形成され、第2開口部36は、第2突部16の形状に合わせたアーチ状に形成されている。中敷きシート31が中敷き本体10の表面11に重ねられた状態では、中敷き本体10の第1突部15が第1開口部35に挿通され、第2突部16が第2開口部36に挿通されている。この場合、第1突部15及び第2突部16は、中敷きシート31の表面31aよりも上方に突出した状態とされている。
【0047】
中敷きシート31は、中敷き本体10の凹部17を上方から覆った状態で設けられている。この場合、中敷きシート31において凹部17を上方から覆っている部分については、凹部17内に凹み変形可能となっている。
【0048】
中敷きシート31の裏面31bにおいて中敷き本体10よりも後方の部分、つまり踵側の部分にはヒールクッション39が取り付けられている。ヒールクッション39は平面視コ字状に形成され、そのコ字状溝を前方に向けた状態で中敷きシート31に接着材を用いて取り付けられている。また、ヒールクッション39の厚みは中敷き本体10の厚みと略同じとされている。本実施形態の中敷き30は、中敷き本体10とヒールクッション39とを靴内に載置した状態で設けられるものとなっている。
【0049】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0050】
本実施形態の中敷き30は、上記第1の実施形態の中敷き10と同様、表面31aの側に突出する第1突部15及び第2突部16を備えている。このため、これら各突部15,16により奏する上記第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0051】
中敷き30は、第1突部15及び第2突部16を有する中敷き本体10と、中敷き本体10の表面11に重ねられ、各突部15,16が挿通される2つの開口部35,36を有する中敷きシート31とを備えて構成されている。この場合、中敷きシート31の大きさを変えることにより、様々な大きさの中敷き30を形成することができる。つまり、中敷き本体10については共通使用として、中敷きシート31の大きさを変えるだけで、様々な大きさの中敷き30を容易に形成することが可能となる。
【0052】
中敷きシート31には、第1突部15及び第2突部16が挿通される2つの開口部35,36が形成されている一方、各突部15,16の間の凹部17については中敷きシート31により上方から覆われている。この場合、中敷きシート31はシート状をなして比較的容易に変形可能となっているため、足指で第2突部16をグリップする際に、屈曲した足指の付け根部分で中敷きシート31を凹部17に押し込み、当該付け根部分を凹部17に入り込ませることができる。そのため、足指を屈曲させ易く、足指のグリップ効果を高めることができる。
【0053】
ところで、中敷きシート31において凹部17の上方に開口部を形成すれば、凹部17に足指の付け根部分を開口部を通じて直接入り込ませることができるため、かかる構成としても上記同様の効果を得ることが可能である。ただし、この場合には、中敷きシート31に第1開口部35及び第2開口部36に加え、それら両開口部の間にさらに開口部を設けることになる。そのため、中敷きシート31の強度が低下して、中敷きシート31の破断が生じ易くなるおそれがある。その点、凹部17を中敷きシート31により上方から覆うようにした上記の構成では、中敷きシート31の強度を好適に確保しながら、足指のグリップ効果を高めることが可能となる。
【0054】
中敷き本体10は、中敷きシート31よりも滑りにくい材料により形成されている。ここで、中敷き本体10の第1突部15及び第2突部16は中敷きシート31の各開口部35,36より上方に突出しているため、ユーザの足は中敷き本体10の各突部15,16に直接、当接することになる。そのため、中敷き本体10と中敷きシート31とを有してなる上記の中敷き30において、ユーザの足が各突部15,16に対して滑るのを好適に抑制することができる。これにより、各突部15,16により奏する上述の効果を確実に得ることが可能となる。
【0055】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0056】
・上記第1の実施形態において、中敷き10に凹部17を形成することに代えて、上下方向に貫通する孔部を形成してもよい。この場合にも、孔部を第2突部16の後方にて第2突部16に沿って延びるように形成することで、第2突部16を足指でグリップする際、足指の付け根部分を孔部に入り込ませることができる。なお、この場合、孔部が「孔状の空間部」に相当する。
【0057】
また、中敷き10に凹部17や孔部(つまり空間部)を形成しないようにしてもよい。
【0058】
・中敷き10において、第1突部15の形状は必ずしも上記第1の実施形態のようなアーチ形状である必要はない。例えば、第1突部15の形状を、前後方向に延びる直線形状とする等、アーチ形状以外の形状としてもよい。
【0059】
・第2突部16の横断面形状は必ずしも三角形状である必要はなく、台形形状や半円形状等、三角形状以外の形状であってもよい。
【0060】
・上記第1の実施形態では、中敷き10の表面11のうち、後側の表面11bのみ傾斜面としたが、前側の表面11aについても傾斜面としてよい。また、後側の表面11bを傾斜面に代え、水平面(非傾斜面)としてもよい。
【0061】
・上記第2の実施形態では、全体タイプの中敷き30を複数の部材(中敷き本体10及び中敷きシート31)を組み合わせることにより形成したが、全体タイプの中敷きを樹脂材料により一体形成してもよい。
【0062】
・中敷き10は熱可塑性エラストマに限らず、他の樹脂材料により形成してもよい。また、中敷き10をゴム材料等、樹脂材料以外の材料により形成してもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、靴等の履物の内部に挿入して用いられる中敷き10,30に第1突部15及び第2突部16を設けたが、履物の中底表面に第1突部及び第2突部を設けてもよい。この場合、履物は靴に限られず、サンダルやスリッパ等であってもよい。
【0064】
(本明細書の開示範囲から抽出される他の発明について)
以下に、本明細書の開示範囲内において課題を解決するための手段欄に記載した発明以外に抽出可能な発明について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0065】
(A-1)履物の中に敷かれ、表面で足を支持して用いられる中敷きであって、
前記表面の側に突出するとともに、足の各指の並ぶ方向に延び、前記各指でグリップ可能な部分とされているグリップ突部と、
前記グリップ突部の後方における前記グリップ突部に近接した位置で前記グリップ突部に沿って延び、上方に開口する凹状又は上下に貫通する孔状の空間部と、
を備える、中敷き。
【0066】
上記の構成によれば、足の各指でグリップ突部をグリップすることができる。また、グリップの際に屈曲させる足指の付け根部分を空間部に入り込ませることができる。そのため、グリップの際に足指を屈曲させ易く、足指のグリップ効果を高めることができる。これにより、足が中敷きに対して前後方向にずれるのを好適に抑制することができる。
【0067】
(A-2)前記グリップ突部は、その横断面の形状が上方に凸となる略三角形状とされている、(A-1)に記載の中敷き。
【0068】
上記の構成によれば、グリップ突部の横断面の形状が略三角形状とされているため、足指を屈曲させてグリップ突部をグリップする際、足指をグリップ突部に沿わせ易い。そのため、足指をグリップ突部に密着させて、グリップ効果を好適に得ることができる。
【0069】
(A-3)前記空間部は、前記凹状に形成され、長さ方向の両端部が前記中敷きの周縁部からそれぞれ離間している、(A-1)又は(A-2)に記載の中敷き。
【0070】
上記の構成によれば、空間部が凹状とされているため、空間部が孔状とされている場合と比べ、中敷きの強度を確保し易い。また、空間部の両端部が中敷きの周縁部からそれぞれ離間しているため、歩行時に中敷きが空間部に沿って曲げられた際等に、中敷きが周縁部から空間部に沿って破断する事態が生じにくい。
【0071】
(A-4)前記空間部は、前記グリップ突部の頂部を形成する二つの傾斜面のうち後側の傾斜面を下方に延長させた仮想延長面よりも下方にはみ出るように形成されている、(A-1)乃至(A-3)のいずれか一に記載の中敷き。
【0072】
上記の構成によれば、空間部を広く確保することができるため、空間部に足指を入り込ませ易くすることができ、足指のグリップ効果をより高めることができる。
【符号の説明】
【0073】
10…中敷き、11…表面、12…裏面、15…第1突部、16…第2突部、17…空間部としての凹部、30…中敷き、31…中敷きシート、31a…表面。