(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061051
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】離着支持装置、離着支持セットおよび作業方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20240425BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20240425BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240425BHJP
B64F 1/18 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B64F1/12
B64C27/04
B64C39/02
B64F1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168721
(22)【出願日】2022-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】517011065
【氏名又は名称】株式会社アイ・ロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】安藤 嘉康
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕之
(57)【要約】
【課題】無人航空機による侵入口の通過を容易にし迅速に作業を行うことができる離着支持装置、離着支持セットおよび作業方法を提供すること。
【解決手段】操作者に把持された状態で無人航空機を離着させる離着支持装置1であって、前記離着時に前記無人航空機を支持する基台部10と、前記基台部10から延ばされて前記操作者に把持される連結把持部30とを備えることを特徴とする。これにより、連結把持部30を把持して、無人航空機を支持する基台部10を侵入口に配することにより、無人航空機による侵入口の通過を容易にし迅速に作業を行うことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者に把持された状態で無人航空機を離着させる離着支持装置であって、
前記離着時に前記無人航空機を支持する基台部と、
前記基台部から延ばされて前記操作者に把持される連結把持部と
を備える離着支持装置。
【請求項2】
前記基台部に設けられ水平を検出する水平検出部と、
前記連結把持部に対する前記基台部の連結角度を調整する角度調整部と
を備える請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項3】
前記基台部に周状に配された照明部が設けられている請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項4】
前記基台部に塵埃を通過させる貫通部が設けられ、
前記貫通部を通過した塵埃を受ける補助台部が前記基台部の下方に設けられている請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項5】
飛行する前記無人航空機に対して指向性を有する光を照射する指向性光照射部が設けられている請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項6】
前記指向性光照射部は、前記基台部の載置面に対する角度によって色の異なる複数の前記光を照射するように構成されている請求項5に記載の離着支持装置。
【請求項7】
飛行する前記無人航空機に対して指示信号を送信するための可視光を照射する可視光照射部が設けられている請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項8】
前記基台部の近傍の気圧を測定する基台側気圧測定部と、
前記基台部の近傍の気圧を調整する気圧調整部と、
前記基台側気圧測定部が測定した気圧と前記無人航空機に設けられた航空機側気圧測定部が測定した気圧との差分が所定の範囲内になるように前記気圧調整部の駆動を制御する気圧制御部と
を備える請求項1に記載の離着支持装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の離着支持装置と、
前記無人航空機と
を備える離着支持セット。
【請求項10】
侵入口を介して無人航空機を侵入させて作業を行う作業方法であって、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の離着支持装置における基台部に前記無人航空機を載置した状態で前記操作者が前記連結把持部を把持して当該基台部を前記侵入口に配する準備ステップと、
前記準備ステップにおける前記基台部から前記無人航空機を離陸させる離陸ステップと、
前記離陸ステップにおいて離陸した無人航空機によって前記作業を行う作業ステップと、
前記作業ステップにおいて作業を行った無人航空機を退出口に配された前記基台部に着陸させる着陸ステップと
を含む作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離着支持装置、離着支持セットおよび作業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばビルの天井裏等の変状の有無等を確認するために種々の点検作業が行われている(例えば、特許文献1参照)。
このような点検作業として、例えばカメラ部を設けたドローンを飛行させて点検口から侵入させていきカメラ部によって撮像される画像によって変状の有無を点検することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにドローンを飛行させて点検する場合、点検口からドローンを侵入させ、さらに点検後には再度点検口からドローンを退出させる必要がある。このように点検口からドローンを侵入退出させるとき、ドローンが点検口の縁部に接触してしまうという問題がある。
【0005】
以上に鑑みて、本発明は、無人航空機による侵入口の通過を容易にし迅速に作業を行うことができる離着支持装置、離着支持セットおよび作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、操作者に把持された状態で無人航空機を離着させる離着支持装置であって、前記離着時に前記無人航空機を支持する基台部と、前記基台部から延ばされて前記操作者に把持される連結把持部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願の一観点によれば、無人航空機による侵入口の通過を容易にし迅速に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態としての離着支持装置を示す図であって、
図2のA-A線矢視断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態としての離着支持セットおよび作業方法を示す図であって、基台部に無人航空機を載置させた様子を示す説明図である。
【
図4】
図3の基台部を侵入口に配した様子を示す説明図である。
【
図5】
図4の基台部から無人航空機を離陸させた様子を示す説明図である。
【
図6】
図5の無人航空機を飛行させて作業を行う様子を示す説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態における離着支持装置を示す断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態における離着支持装置を示す断面図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態における離着支持装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における離着支持装置、離着支持セットおよび作業方法について説明する。
本発明の実施形態における離着支持セット100(
図3に示す)は、離着支持装置1とドローン50(無人航空機)とを備えている。
図1は、離着支持装置を示す図であって、
図2のA-A線矢視断面図である。
図2は、離着支持装置1を示す平面図である。
離着支持装置1は、基台部10と、連結把持部30とを備えている。
基台部10は、透明部材からなり四角形板状に形成されている。基台部10の一方の主面は載置面11とされており、この載置面11にドローン50が離着するようになっている。載置面11の全面には、不図示の滑り防止部が設けられている。滑り防止部は、例えば樹脂部材からなるテープや、載置面11から突出する複数の突出部などからなっており、ドローン50が載置されたときに滑りを防止するようになっている。基台部10の縁部は一方の主面側に立ち上げられた周壁部12とされている。周壁部12は、載置面11の周縁部の全周にわたって上方に突出している。
【0010】
また、載置面11には、照明光を照射する照明部13が設けられている。
照明部13は、載置面11の周縁部に沿って周状に設けられている。すなわち、照明部13は、載置面11の周縁部において四角形枠状にして設けられている。そのため、照明部13は、載置面11の周縁部において四角形枠状の照明光を照射するようになっている。載置面11のうち、照明部13と周壁部12との間には水平検出部14が設けられている。
水平検出部14は、基台部10が水平に向けられているか否かを検出するものである。水平検出部14は、一片の周壁部12と隣り合う一片の照明部13との間において長手方向に延ばされて配置されている。この水平検出部14は、基台部10が透明部材であることから、操作者Sが基台部10の他方の主面15側から基台部10を透過して水平検出部14による検出結果を目視することができるようになっている。
【0011】
他方の主面15の中央部には垂直に向けられて連結された連結把持部30が設けられている。
連結把持部30は、棒状部材からなる把持部31を備えている。
把持部31は、操作者Sによって把持されるものである。把持部31の基端部には、角度調整部32が設けられている。
角度調整部32は、他方の主面15と把持部31の軸線方向との連結角度を変更することができるようになっている。そのため、操作者Sが、把持部31を把持した状態で、他方の主面15を透過して水平検出部14を目視し、基台部10が水平方向に向けられていないときは、基台部10を操作して水平検出部14が水平を示すまで、連結角度を調整することができるようになっている。
また、把持部31には、伸縮調整部33が設けられている。
伸縮調整部33は、進退移動させることにより把持部31の長手寸法を変更することができるようになっている。
【0012】
ドローン50は、
図3に示すように、機器本体部51と、カメラ部52とを備えている。
機器本体部51は、プロペラ部51Aと、不図示の送受信部と、電動モータとを備えている。
プロペラ部51Aは、機器本体部51に取り付けられており、不図示の電動モータに連結されている。
カメラ部52は、例えばWEBカメラなどからなり、画像を撮影して送受信部を介して画像データを点検装置に送信するようになっている。
このような構成のもと、ドローン50は、運転者による遠隔指示操作のもと、電動モータの駆動を制御することにより、プロペラ部51Aを回転させて空中を無人で飛行するようになっている。
【0013】
次いで、離着支持セット100の動作および作業方法について説明する。
本実施形態における作業は、
図3に示すように、天井裏などの点検空間Tにおける内壁T1(作業対象)の変状の有無を点検するものである。天井T2には、四角形状であって開閉可能な点検口T3(侵入口、退出口)が設けられており、この点検口T3を通して、地上空間Gから点検空間Tへと連通している。
まず、操作者Sが把持部31を把持した状態で、載置面11にドローン50を載置する。そして、操作者Sは、把持部31を立てた状態で他方の主面15を透過して水平検出部14の検出結果を目視する。基台部10が水平方向に向けられていないときは、操作者Sは、水平検出部14の検出結果を目視しながら、基台部10が水平方向に向けられるまで、基台部10を操作して角度調整部32を介して連結角度を調整する。基台部10が水平方向に向けられると、操作者Sは、水平検出部14の検出結果を目視しながら基台部10が水平に向けられた状態を維持しながら、把持部31を把持して連結把持部30および基台部10を上方に移動させる。
【0014】
そして、
図4に示すように、操作者Sは、把持部31を把持して基台部10を点検口T3に一致する位置に配する(準備ステップ)。これにより、載置面11に載置されたドローン50が点検口T3を介して点検空間T内に配される。
さらに、
図5に示すように、載置面11からドローン50を離陸させる(離陸ステップ)。すなわち、運転者による遠隔指示操作のもと、プロペラ部51Aを回転させてドローン50を上方に飛行させる。このとき、カメラ部52が撮影した画像データを不図示の送受信部を介して点検装置にリアルタイムに送信し、運転者は点検装置の表示部がリアルタイムに表示する画像を目視しながらドローン50の運転操作を行う。
そして、運転者による遠隔指示操作のもと、
図6に示すように、ドローン50を点検空間Tの奥に飛行させ内壁T1の点検を行う(点検ステップ)。すなわち、ドローン50を飛行させていきながら、カメラ部52により内壁T1の画像を撮影して、不図示の送受信部を介して画像データを点検装置にリアルタイムに送信する。点検者は、点検装置が表示部に表示する画像を見ながら内壁T1の変状の有無を点検する。
【0015】
ドローン50による点検が終わると、前記とは逆の動作により、ドローン50が回収される。すなわち、
図5に示すように、操作者Sが連結把持部30を把持して基台部10を点検口T3に一致する位置に配する。このとき、照明部13を駆動して、照明光を照射する。そして、運転者による遠隔指示操作のもと、ドローン50を点検口T3に向けて飛行させる。このとき、照明部13が照明光を照射しているため、点検装置の表示部が表示している画像に、四角形枠状の照明光がリアルタイムに表示される。運転者は、画像に表示される照明光を見ながらドローン50を点検口T3の上方に飛行させる。
そして、運転者による遠隔指示操作のもと、
図4に示すように、ドローン50を載置面11に着陸させる(着陸ステップ)。このとき、運転者は、画像に表示される四角形枠状の照明光の内方に配されるように、ドローン50を下方に移動させて載置面11に着陸させる(着陸ステップ)。
【0016】
さらに、
図3に示すように、操作者Sは、把持部31を把持して下方に移動させる。すなわち、操作者Sは、ドローン50が載置された基台部10を把持部31を介して下方に移動させることにより、ドローン50を点検空間Tから点検口T3を通して地上へと回収する(回収ステップ)。
【0017】
以上より、本実施形態における離着支持装置1によれば、基台部10と連結把持部30とを備えていることから、連結把持部30を把持して移動させることにより、ドローン50を支持した状態の基台部10を所定の位置まで容易に移動させることができる。そのため、無人航空機による侵入口の通過を容易にし迅速に作業を行うことができる。
また、水平検出部14と角度調整部32とを備えていることから、基台部10と連結把持部30との連結角度を調整することができ、基台部10を容易に水平に向けることができる。また、水平検出部14を見ながら基台部10を移動させることができ、基台部10の水平を維持したまま基台部10を移動させることができる。
また、照明部13が設けられていることから、運転者がドローン50を基台部10に飛行させるときに、照明光によりドローン50の着陸場所を案内することができ、ドローン50を容易に回収することができる。
【0018】
また、基台部10が透明部材からなっていることから、操作者Sが他方の主面15から水平検出部14の検出結果を目視することができるだけでなく、ドローン50の離着時において、基台部10の透明部分から、ドローン50を目視することができる。
また、載置面11に滑り防止部が設けられていることから、載置面11に載置されるドローン50の滑りを防止することができる。
また、周壁部12が設けられていることから、基台部10の振動や傾斜などにより、載置面11に載置されるドローン50が移動しても当該移動を周壁部12が規制することができ、ドローン50が載置面11から落下することを防止することができる。さらに、周壁部12により天井裏から落ちてきた塵埃が載置面11の周縁部から落下することを防止することができる。
また、伸縮調整部33が設けられていることから、状況に応じて把持部31の長手寸法を変更することができ、利便性を向上させることができる。
【0019】
また、本実施形態における離着支持セット100によれば、前述と同様の効果を奏することができるだけでなく、ドローン50および離着支持装置1により、点検対象を迅速に点検することができる。
また、本実施形態における作業方法によれば、前述と同様の効果を奏することができるだけでなく、ドローン50および離着支持装置1により、点検対象を迅速に点検することができる。
【0020】
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図7において、
図1から
図6に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0021】
離着支持装置1Aは、基台部10Aと、補助台部20とを備えている。
基台部10Aは非透明部材からなっている。この基台部10Aには、複数の貫通部16が形成されている。貫通部16は、載置面11から他方の主面15にわたって厚さ方向に貫通する貫通孔からなるものである。
補助台部20は、四角形板状に形成されており、基台部10の下方において、把持部31に連結されている。補助台部20の縁部は基台部10の側に立ち上げられた補助周壁部21とされている。補助周壁部21は、補助台部20の周縁部の全周にわたって上方に突出している。
【0022】
このような構成のもと、貫通部16を通して、他方の主面15から水平検出部14の検出結果やドローン50を目視することができる。さらに、ドローン50のプロペラ部51Aから送られる風や点検口T3の上方の空気を通すことができ、ドローン50からのダウンウォッシュを回避することができるだけでなく、点検口T3の上方の気圧を均すことができる。さらに、
図4に示すように、準備ステップ、離陸ステップ、着陸ステップおよび回収ステップにおいて、点検口T3の開閉動作やプロペラ部51Aの回転動作により、点検空間T内にある塵埃が舞い散った場合であっても、貫通部16を通って落下した塵埃を補助台部20によって受けることができ、地上空間Gの床面に塵埃が落下することを防止することができる。
【0023】
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態を示したものである。
図8において、
図1から
図7に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1および第2の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0024】
離着支持装置1Bは、補助台部20Bを備えている。
補助台部20Bは、上方が開口されたボックス形状となっている。補助台部20Bの底面部の中央には、四角形状の開口部23が形成されている。
補助台部20Bの底面部には、開口部23を覆う開閉部24が設けられている。開閉部24は、補助台部20Bの底面部に開閉可能に設けられている。補助台部20Bの上方には、案内部22が設けられている。
案内部22は、補助台部20Bと基台部10との間に設けられている。この案内部22は、円筒状に形成されており、上端の開口面積が大きく下端の開口面積が小さく設定されてすり鉢状に形成されている。
【0025】
このような構成のもと、貫通部16を通って落下した塵埃が案内部22によって案内されて案内部22の内方を通って補助台部20Bに落下する。そして、補助台部20Bの内方に溜まった塵埃は、例えば作業終了後などに、開閉部24を介して補助台部20Bから排出される。そのため、貫通部16を通って落下してきた塵埃が補助台部20Bの側方から飛び散ることを防止して、補助台部20Bの内方に容易に溜めることができる。
【0026】
(実施形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図9は、本発明の第4の実施形態を示したものである。
図9において、
図1から
図8に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1から第3の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは主として異なる点について説明する。
【0027】
離着支持装置1Cは、指向性光照射部41と、可視光照射部42と、可視光制御部42Aと、基台側気圧測定部43と、気圧調整部44と、気圧制御部45とを備えている。
指向性光照射部41は、基台部10の載置面11に設けられており、指向性を有する複数の案内光を照射するようになっている。すなわち、指向性光照射部41は、低案内光L1、中案内光L2および高案内光L3を照射するようになっている。低案内光L1は側面視して載置面11に対する角度L11が最も低く、高案内光L3は載置面11に対する角度L31が最も高く、中案内光L2は載置面11に対する角度L21が中間に設定されている。これら低案内光L1、中案内光L2および高案内光L3は、それぞれ光の色(波長)が異なっている。
【0028】
このような構成のもと、着陸ステップにおいて、指向性光照射部41が低案内光L1、中案内光L2および高案内光L3を照射する。このとき、運転者は、画像を通して低案内光L1を見ている場合は、ドローン50の高度が低いと判断し高度を上げ、また、中案内光L2を見ている場合は、ドローン50の高度が良好と判断し、さらに、高案内光L3を見ている場合は、ドローン50の高度が高いと判断し高度を下げるように操作する。そのため、可視光の色によりドローン50の高度を運転者に知らせることができ、ドローン50を容易に載置面11に着陸させることができる。
【0029】
可視光照射部42は、低案内光L1、中案内光L2および高案内光L3とは異なる色の可視光を照射するものである。この可視光には、ドローン50に対する指示信号が乗せられるようになっている。可視光照射部42は、可視光制御部42Aに接続されている。
可視光制御部42Aは、ドローン50に対する操作指示を光信号として生成し、可視光照射部42を介して可視光を照射する。
このような構成のもと、離陸ステップ、点検ステップまたは着陸ステップなどにおいて、可視光制御部42Aによる制御のもと、各種操作指示を有する可視光を可視光照射部42から照射させる。そのため、各ステップにおいて、外乱などの影響を受けて、遠隔操作の指示信号がドローン50に適切に到達しない場合に、ドローン50の飛行を誘導する操作指示を乗せて可視光照射部42が可視光を照射することができ、運転者は、画像を通してその可視光が到達するようにドローン50を操作することにより、ドローン50を可視光通信によって載置面11まで案内することができる。
【0030】
基台側気圧測定部43は、基台部10に設けられており、周囲の気圧を測定し測定結果を気圧制御部45に送信する。
気圧調整部44は、例えばモータおよび回転体などからなり、モータを駆動することにより回転体を回転させて周囲の気圧を調整する。例えば、回転体を正回転させることにより、基台部10の上方の気圧を上げ、回転体を逆回転させることにより、基台部10の上方の気圧を下げるようになっている。
気圧制御部45は、基台側気圧測定部43および気圧調整部44に接続されており、基台側気圧測定部43の測定結果と、ドローン50の航空機側気圧測定部の測定結果との差分に基づいて、気圧調整部44のモータの駆動を制御する。
また、ドローン50は、不図示の航空機側気圧測定部を備えている。航空機側気圧測定部は、周囲の気圧を測定し測定結果を気圧制御部45に送信する。
【0031】
このような構成のもと、各ステップにおいて、基台側気圧測定部43および航空機側気圧測定部は、周囲の気圧を測定し測定結果を気圧制御部45に送信する。気圧制御部45は、両者の測定結果の差分が所定の第1の閾値を超えているか否かを判定する。そして、気圧制御部45は、差分が第1の閾値を越えていないと判定すると、そのまま待機し、第1の閾値を超えていると判定すると、第2の閾値を超えているか否かを判定する。気圧制御部45は、差分が第2の閾値を越えていないと判定すると、気圧調整部44に駆動信号を出力して回転体を回転させる。このとき、航空機側気圧測定部の気圧が高い場合、回転体を正回転させて、基台部10の上方の気圧を上げていく。一方、基台側気圧測定部43の気圧が高い場合、回転体を逆回転させて、基台部10の上方の気圧を下げていく。そして、差分が第1の閾値を超えなくなると、気圧制御部45の制御のもと、気圧調整部44の駆動が停止する。また、気圧制御部45は、差分が第2の閾値を超えていると判定すると、そのまま待機する。
【0032】
これにより、基台部10の上方の気圧と、ドローン50の周囲の気圧との差分が第1の閾値以下の所定の範囲内になるように制御されるだけでなく、当該差分が第2の閾値を超えてあまりにも大きい場合は、気圧調整部44を駆動しないようにすることができる。そのため、各ステップにおいて、基台部10に対するドローン50の離着陸を容易に行うことができる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、連結把持部30が設けられるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、連結把持部30が基台部10から上方または側方に延ばされて連結されていてもよいし、基台部10から傾斜して延ばされて連結されていてもよい。また、連結把持部30が設けられていなくてもよい。
また、基台部10が四角形板状に形成されているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、円形や多角形などの他、その他の形状であってもよい。また、基台部10は板状でなくてもボックス形状や種々の形状に変更可能である。
また、水平検出部14が設けられているとしてるが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、水平検出部14が周壁部12の上壁部、内壁部または外壁部に設けられていてもよいし、他方の主面15に設けられていてもよい。また水平検出部14は設けられていなくてもよい。
また、角度調整部32が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、角度調整部32が設けられていなくてもよい。
【0034】
また、照明部13が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、照明部13が、周壁部12の上壁部、内壁部または外壁部に設けられていてもよいし、他方の主面15に設けられていてもよい。また、照明部13が、四角形枠状でなく、円環状に設けられていてもよいし、1点または複数点に設けられていてもよい。また照明部13は設けられていなくてもよい。
また、周壁部12が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、周壁部12が全周にわたって設けられておらず、基台部10の周縁部の少なくとも1点に設けられていてもよい。また周壁部12が設けられていなくてもよい。
また、滑り防止部が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、滑り防止部が設けられていなくてもよい。
伸縮調整部33が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、把持部31が複数の連結部材に分割可能になっていてこれら複数の連結部材が把持部31を介して着脱可能に連結されるようになっていてもよいし、また伸縮調整部33が設けられていなくてもよい。
【0035】
また、天井T2に設けられた上方の点検口T3を侵入口としているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、侵入口が下方に設けられていて、準備ステップにおいて、ドローン50が載置された基台部10を下方の侵入口へと下降するように移動させ、回収ステップにおいて、ドローン50が載置された基台部10を上方の退出口を通して上昇するように移動させてもよい。この場合、連結把持部30が基台部10から上方に延ばされて連結されていてもよい。さらに、侵入口または退出口が側方に設けられていて、準備ステップまたは回収ステップにおいて、ドローン50が載置された基台部10を側方に移動させてもよい。この場合、連結把持部30が基台部10から側方に延ばされて連結されていてもよい。
また、点検口T3からドローン50を侵入させて、作業が終了してから、再度同じ点検口T3から退出させているが、これに限ることはなく、別の点検口を退出口としてドローン50を退出させてもよい。
【0036】
また、第2の実施形態において、補助台部20が設けられているとしてるが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、補助台部20が四角形板状に形成されているとしているが、これに限ることはなく、例えば、円形や多角形などの他、その他の形状であってもよい。また、基台部10は板状でなくてもボックス形状や種々の形状に変更可能である。また、補助台部20のサイズは、基台部10と同じであってもよいし、小さくまたは大きく設定されていてもよい。例えば、補助台部20の面積が基台部10より大きく設定されることにより塵埃を多く受けることができるようにしてもよい。また、補助台部20が設けられていなくてもよい。
また、補助周壁部21が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、補助周壁部21が全周にわたって設けられておらず、補助台部20の周縁部の少なくとも1点に設けられていてもよい。また補助周壁部21が設けられていなくてもよい。
また、第3の実施形態において、案内部22が設けられているとしてるが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、案内部22が、筒状であったり、逆すり鉢状であったりしてもよい。また案内部22が筒状でなく、補助台部20Bの周方向の少なくとも一部に設けられていてもよい。また案内部22が設けられていなくてもよい。
【0037】
また、第4の実施形態において、指向性光照射部41が設けられているとしてるが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、指向性光照射部41が周壁部12の上壁部、内壁部または外壁部に設けられていてもよいし、他方の主面15に設けられていてもよい。また、指向性光照射部41が照射する光の数や色は適宜変更可能である。また、指向性光照射部41が設けられていなくてもよい。
また、可視光照射部42が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、可視光照射部42が周壁部12の上壁部、内壁部または外壁部に設けられていてもよいし、他方の主面15に設けられていてもよい。また、可視光照射部42が設けられていなくてもよい。
また、可視光制御部42Aを備えるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、可視光制御部42Aは、ドローン50に設けられていてもよいし、その他の機器に設けられていてもよい。この場合、可視光制御部42Aは、ネットワークを介して可視光照射部42と接続されるようになっていればよい。また、可視光制御部42Aが設けられていなくてもよい。
【0038】
また、基台側気圧測定部43、気圧調整部44および気圧制御部45が設けられているとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、気圧制御部45は、差分が第2の閾値を超えるか否かを判定しなくてもよいし、回転体を一方向のみに回転するようにしてもよい。また、気圧制御部45は、離着支持装置1C以外のその他の機器に設けられていてもよい。この場合、気圧制御部45は、ネットワークを介して航空機側気圧測定部、基台側気圧測定部43および気圧調整部44と接続されるようになっていればよい。また、基台側気圧測定部43または気圧調整部44は、点検口T3の近傍に設けられていてもよい。また、これら航空機側気圧測定部、基台側気圧測定部43、気圧調整部44および気圧制御部45は設けられていなくてもよい。
【0039】
また、無人航空機がドローン50であるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、RC(Radio Control)機や他の無人航空機などであってもよい。
また、本実施形態においては、空中での作業を例示しているが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、離着支持セット100は、空中や水中などの流体中での点検を行うことができる。具体的には、空中の他にも、海や川の中などでも点検を行うことができる。
また、点検対象物が天井裏の内壁T1であるとしているが、これに限ることはなく、その構成は適宜変更可能である。例えば、ビル、施設、家屋、橋、ダム、アトラクションなどの人工構造物や、土砂、山、氷、植物などの自然物などの点検であってもよい。
また、前記実施形態における作業が点検作業であるとしているが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、作業とは、点検作業の他、補修作業、解体作業、新築作業または情報提示作業などを含むものである。これらのうち、点検作業、補修作業、解体作業または新築作業をさらに具体的に示すと、作業対象のヒビやサビなどの検査作業、作業対象の厚さなどの測定作業、洗浄作業、塗装作業、切断作業、掘削作業または破壊作業などを含む。洗浄作業であれば、吐出物としては洗浄剤とすることができる。また、検査作業や測定作業などであれば、作業部として、測定対象を認識するためのカメラ部を設けることができる。また、切断作業、掘削作業または破壊作業などであれば、作業部として、ドリル、チェーンソーまたはワイヤーソーなどを設けることができる。また、情報提示作業とは、作業対象に対して、文字、図形、記号または絵柄などを描いたり映したりすることを含む。
【0040】
既述の実施形態に関し、さらに以下の付記を示す。
(付記1)
操作者に把持された状態で無人航空機を離着させる離着支持装置であって、
前記離着時に前記無人航空機を支持する基台部と、
前記基台部から延ばされて前記操作者に把持される連結把持部と
を備える離着支持装置。
【0041】
(付記2)
前記基台部に設けられ水平を検出する水平検出部と、
前記連結把持部に対する前記基台部の連結角度を調整する角度調整部と
を備える付記1に記載の離着支持装置。
【0042】
(付記3)
前記基台部に周状に配された照明部が設けられている付記1または付記2に記載の離着支持装置。
【0043】
(付記4)
前記基台部に塵埃を通過させる貫通部が設けられ、
前記貫通部を通過した塵埃を受ける補助台部が前記基台部の下方に設けられている付記1から付記3のいずれか一項に記載の離着支持装置。
【0044】
(付記5)
飛行する前記無人航空機に対して指向性を有する光を照射する指向性光照射部が設けられている付記1から付記4のいずれか一項に記載の離着支持装置。
【0045】
(付記6)
前記指向性光照射部は、前記基台部の載置面に対する角度によって色の異なる複数の前記光を照射するように構成されている付記5に記載の離着支持装置。
【0046】
(付記7)
飛行する前記無人航空機に対して指示信号を送信するための可視光を照射する可視光照射部が設けられている付記1から付記6のいずれか一項に記載の離着支持装置。
【0047】
(付記8)
前記基台部の近傍の気圧を測定する基台側気圧測定部と、
前記基台部の近傍の気圧を調整する気圧調整部と、
前記基台側気圧測定部が測定した気圧と前記無人航空機に設けられた航空機側気圧測定部が測定した気圧との差分が所定の範囲内になるように前記気圧調整部の駆動を制御する気圧制御部と
を備える付記1から付記7のいずれか一項に記載の離着支持装置。
【0048】
(付記9)
付記1から付記8のいずれか一項に記載の離着支持装置と、
前記無人航空機と
を備える離着支持セット。
【0049】
(付記10)
侵入口を介して無人航空機を侵入させて作業を行う作業方法であって、
付記1から付記8のいずれか一項に記載の離着支持装置における基台部に前記無人航空機を載置した状態で前記操作者が前記連結把持部を把持して当該基台部を前記侵入口に配する準備ステップと、
前記準備ステップにおける前記基台部から前記無人航空機を離陸させる離陸ステップと、
前記離陸ステップにおいて離陸した無人航空機によって前記作業を行う作業ステップと、
前記作業ステップにおいて作業を行った無人航空機を退出口に配された前記基台部に着陸させる着陸ステップと
を含む作業方法。
【符号の説明】
【0050】
1 離着支持装置
10,10A 基台部
11 載置面
13 照明部
14 水平検出部
16 貫通部
20,20B 補助台部
30 連結把持部
32 角度調整部
41 指向性光照射部
42 可視光照射部
43 基台側気圧測定部
44 気圧調整部
45 気圧制御部
50 ドローン(無人航空機)
S 操作者
T3 点検口(侵入口)