(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061053
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】荷室積載率測定システム、運送車両、運送車両運行管理システム及び荷室積載率測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240425BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240425BHJP
G06V 10/40 20220101ALI20240425BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T7/00 300Z
G06V10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168727
(22)【出願日】2022-10-20
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522414763
【氏名又は名称】株式会社ナカニシ
(74)【代理人】
【識別番号】100097548
【弁理士】
【氏名又は名称】保立 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐介
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065AA59
2F065BB05
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF11
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ03
2F065MM26
2F065PP22
2F065QQ03
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065RR09
2F065UU05
5L096AA09
5L096BA04
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA70
(57)【要約】
【課題】 運送会社の経営体力向上に資するため、荷室における積載率を十分な精度で測定できる実用的な技術を提供する。
【解決手段】 前方に詰めて積み荷が積み込まれる荷室91の天井面の後部において前方を撮影するよう取り付けられたカメラ1は、対象物の表面の各点の三次元座標を点群データとして取得する。点群データが送られる画像処理部2は、荷室91が空の状態での撮影により得た点群データに従って空状態体積を算出し、積み荷Lが積まれた状態での撮影により得られた点群データに従って算出した積載状態体積を空状態体積から差し引いて積み荷の占有空間の体積を算出し、この値を最大積載時の体積と比較することで積載率を算出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に詰めて積み荷が積み込まれる荷室において荷室の積載率を測定する荷室積載率測定システムであって、
荷室の天井面又は内側面のうちの後部において前方を撮影するよう取り付けられたカメラと、
カメラが撮影して得られた荷室内の画像データを処理して積載率を算出する画像処理部と
を備えており、
カメラは、画像データから対象物の表面の各点の三次元座標を点群データとして取得することが可能なカメラであり、
点群データは、対象物の表面の各点の三次元座標であるポイントデータの集まりであって、三次元座標のうちの一つの次元の座標はカメラからの当該次元の座標軸方向の距離である深さ位置を示しており、
画像処理部は、
荷室が空の状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する空状態体積算出部と、
荷室に積み荷が積まれた状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する積載状態体積算出部と、
積載状態体積算出部が算出した積載状態の空間の体積を空状態体積算出部が算出した空状態の空間の体積から差し引いて積み荷の占有空間の体積を算出し、この値を最大積載時の体積と比較することで積載率を算出する積載率算出部と
を備えていることを特徴とする荷室積載率測定システム。
【請求項2】
前記カメラは、荷室の天井面の後部において左右方向の中央に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の荷室積載率測定システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、車載ユニットの要素として設けられており、
車載ユニットは、前記カメラに撮影を行わせる撮影モジュールを実装していて、撮影モジュールを実行するボタンを備えており、
車載ユニットは、前記荷室内に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、車載ユニットの要素として設けられており、
車載ユニットは、前記カメラに撮影を行わせる撮影モジュールを実装していて、撮影モジュールを実行するボタンを備えており、
前記荷室は運送車両が備えるものであって、車載ユニットは、当該運送車両の運転席があるキャビンに取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項5】
前記荷室は運送車両が備えるものであって、当該運送車両の運転席があるキャビンには前記画像処理部に接続されたディスプレイが設けられており、前記画像処理部は、積載率の測定結果をディスプレイに表示するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項6】
前記画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、前記点群データにおける各ポイントデータについて前記深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該ポイントデータを異常であるとして除外するデータ除外部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項7】
前記画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、
前記点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該データを異常データであるとする異常データ認定部と、
異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータにおける深さ位置の値を、隣りの点のポイントデータにおける深さ位置の値又は複数の隣りの点のポイントデータにおける平均の深さ位置の値に置き換えるデータ埋め込み部と
を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項8】
前記画像処理部は、データ粗化部を備えており、
データ粗化部は、
前記点群データにおける各ポイントデータについて互いに隣り合う複数の点についてそれら点のポイントデータにおける深さ位置の平均値を算出し、それらポイントデータにおける深さ位置の値を平均値に置き換える処理をするものであることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項9】
前記画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、
前記点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該データを異常データであるとする異常データ認定部と、
異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータの点について、深さ位置の正常な値を取得してその値で当該ポイントデータの深さ位置を置き換えるデータ埋め込み部とを
備えており、
データ埋め込み部が置き換えを行う前記深さ位置の正常な値は、異なるタイミングで前記カメラが撮影した画像データから得られた点群データにおける当該点のポイントデータから取得される値であることを特徴とする請求項1又は2記載の荷室積載率測定システム。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれかに記載の荷室積載率測定システムと、
デジタルタコグラフシステムと、
通信ユニットと
が搭載された運送車両であって、
デジタルタコグラフシステムは、当該運送車両の駆動系に設けられたセンサに接続された速度データ取得ユニットを備えており、
通信ユニットは、デジタルタコグラフシステムにおいて速度データに基づいて取得されたデジタコデータとともに、荷室積載率測定システムにおいて測定された積載率をネットワーク上のサーバコンピュータに送信することができるユニットであることを特徴とする運送車両。
【請求項11】
運行されている各運送車両の運行を管理する運送車両運行管理システムであって、
各運送車両に搭載された請求項1乃至9いずれに記載の荷室積載率測定システムと、
各運送車両に搭載されたデジタルタコグラフシステムと、
各運送車両に搭載された通信ユニットと、
各通信ユニットからのアクセスをネットワークを介して受け付ける管理サーバと、
管理用端末と
を備えており、
各デジタルタコグラフシステムは、各運送車両の駆動系に設けられたセンサに接続された速度データ取得ユニットを備えており、
各通信ユニットは、デジタルタコグラフシステムにおいて速度データ基づいて取得されたデジタコデータとともに、荷室積載率測定システムにおいて測定された積載率を管理サーバに送信することができるユニットであり、
管理サーバは、送信されたデジタコデータ及び積載率を管理用端末において閲覧可能とするサーバであることを特徴とする運送車両運行管理システム。
【請求項12】
前方に詰めて積み荷が積み込まれる荷室において荷室の積載率を測定する荷室積載率測定方法であって、
荷室の天井面又は内側面のうちの後部において前方を撮影するよう取り付けられたカメラが撮影して得られた荷室内の画像データを処理して積載率を算出する画像処理を行う方法であり、
カメラは、画像データから対象物の表面の各点の三次元座標を点群データとして取得することが可能なカメラであり、
点群データは、対象物の表面の各点の三次元座標であるポイントデータの集まりであって、三次元座標のうちの一つの次元の座標はカメラからの当該次元の座標軸方向の距離である深さ位置を示しており、
画像処理は、
荷室が空の状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する空状態体積算出ステップと、
荷室に積み荷が積まれた状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する積載状態体積算出ステップと、
積載状態体積算出部が算出した積載状態の空間の体積を空状態体積算出部が算出した空状態の空間の体積から差し引いて積み荷の占有空間の体積を算出し、この値を最大積載時の体積と比較することで積載率を算出する積載率算出ステップと
を有していることを特徴とする荷室積載率測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願の発明は、トラック等の運送車両において荷室の積載率(容積率)を測定する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックやトレーラー等の運送車両による各種積み荷の輸送は、物流の大部分を担っており、経済活動の要となっている。その一方、業界には大手から中小の運送会社が多く参入しており、過当競争となっている。競争に打ち勝つには運送コストを下げることが必須であるが、多くの部分を含む人件費や車両費については削減に限界があり、コスト削減競争は頭打ちになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/100955号
【特許文献2】特開2021-56765号公報
【特許文献3】特開2015-207270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、運送会社におけるオペレーションに目を転じると、まだまだ改善の余地が残っている。その一つは、配車や運送計画の合理化である。社内の人的・物的資源を最適配置することで全体のオペラレーションを合理化し、それによって全体としてコストを低減していく。このような点については、まだまだ改善の余地が残っている。
【0005】
運送会社におけるオペレーションの改善の一つの観点として、積載率の向上が挙げられる。積載率とは、荷室において積み荷が占める容積の比率である。各運送車両において積載率が低ければ、多くの部分で空気を運んでいることになり、当然ながら全体として運送のコスト比率が増大する。荷主が指示する目的地に積み荷を運んだ後になるべく空でない状態、なるべく多くの積み荷を積載した状態で戻ってくることができれば、全体としてコスト比率が低減し、運送会社の経営体力が向上し、競争にも打ち勝ち易くなる。
【0006】
積載率の向上は、エコ経営(環境に配慮した経営)の点からも重要である。積載率が高くなれば、一定の積み荷を輸送する際のCO2の排出量も低くなり、地球温暖化防止にも貢献できる。エコ経営を実践しているとして、企業イメージの向上にも資する。
このようなことから、運送車両における荷室の積載率を適宜管理することが重要になってくるが、管理の前提として荷室の積載率を監視する効果的な技術が必要になる。しかしながら、そのようなことが可能になる実用的な技術は、未だ開発されていない。
【0007】
特許文献1では、荷室の天井から床面に向けて垂直に光を当てて距離を計測することで積載率を測定することが提案され、特許文献2では、ボクセルと呼ばれる立方体の領域に区画して積載率を測定することが提案されている。しかしながら、これらの技術では、積載率を十分に高い精度で積載率を測定することができない。例えば、特許文献1では、垂直に光を当てて距離を計測するために回転ミラー等の複雑な機構や光学系を採用しているが、長時間振動を伴って走行する積み荷運送車両においてこのような複雑な機構や光学系が必要な精度を保持して稼働することは難しく、現実的ではない。特許文献2は、点群データにより有効ボクセルと無効ボクセルに区分する処理を行って積載率を算出しているが、ボクセル化や有効ボクセルと無効ボクセルとの区分の際に多くの誤差が生じ、測定精度が低下し易い。
本願の発明は このような点を解決課題としたものであり、運送会社の経営体力向上に資するため、荷室における積載率を十分な精度で測定できる実用的な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この明細書において、荷室積載率測定システム、運送車両、運送車両運行管理システム及び荷室積載率測定方法の各発明が開示される。
開示された発明に係る荷室積載率測定システムは、前方に詰めて積み荷が積み込まれる荷室において荷室の積載率を測定する荷室積載率測定システムである。
このシステムは、荷室の天井面又は内側面のうちの後部において前方を撮影するよう取り付けられたカメラと、カメラが撮影して得られた荷室内の画像データを処理して積載率を算出する画像処理部とを備えている。
カメラは、画像データから対象物の表面の各点の三次元座標を点群データとして取得することが可能なカメラであり、点群データは、対象物の表面の各点の三次元座標であるポイントデータの集まりであって、三次元座標のうちの一つの次元の座標はカメラからの当該次元の座標軸方向の距離である深さ位置を示している。
画像処理部は、
荷室が空の状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する空状態体積算出部と、
荷室に積み荷が積まれた状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する積載状態体積算出部と、
積載状態体積算出部が算出した積載状態の空間の体積を空状態体積算出部が算出した空状態の空間の体積から差し引いて積み荷の占有空間の体積を算出し、この値を最大積載時の体積と比較することで積載率を算出する積載率算出部と
を備えている。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムにおいて、カメラは、荷室の天井面の後部において左右方向の中央に取り付けられ得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、車載ユニットの要素として設けられており、
車載ユニットは、前記カメラに撮影を行わせる撮影モジュールを実装していて、撮影モジュールを実行するボタンを備えており、
車載ユニットは、荷室内に取り付けられている
という構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、車載ユニットの要素として設けられており、
車載ユニットは、カメラに撮影を行わせる撮影モジュールを実装していて、撮影モジュールを実行するボタンを備えており、
荷室は運送車両が備えるものであって、車載ユニットは、当該運送車両の運転席があるキャビンに取り付けられている
という構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
荷室は運送車両が備えるものであって、当該運送車両の運転席があるキャビンには前記画像処理部に接続されたディスプレイが設けられており、画像処理部は、積載率の測定結果をディスプレイに表示するものである
という構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該ポイントデータを異常であるとして除外するデータ除外部を備えている
という構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、
前記点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該データを異常データであるとする異常データ認定部と、
異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータにおける深さ位置の値を、隣りの点のポイントデータにおける深さ位置の値又は複数の隣りの点のポイントデータにおける平均の深さ位置の値に置き換えるデータ埋め込み部と
を備えているという構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、データ粗化部を備えており、
データ粗化部は、
点群データにおける各ポイントデータについて互いに隣り合う複数の点についてそれら点のポイントデータにおける深さ位置の平均値を算出し、それらポイントデータにおける深さ位置の値を平均値に置き換える処理をするものである
という構成を持ち得る。
上記課題を解決するため、この荷室積載率測定システムは、
画像処理部は、データ補正部を備えており、
データ補正部は、
点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置の値が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該データを異常データであるとする異常データ認定部と、
異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータの点について、深さ位置の正常な値を取得してその値で当該ポイントデータの深さ位置を置き換えるデータ埋め込み部とを
備えており、
データ埋め込み部が置き換えを行う前記深さ位置の正常な値は、異なるタイミングでカメラが撮影した画像データから得られた点群データにおける当該点のポイントデータから取得される値である
という構成を持ち得る。
また、開示された発明に係る運送車両は、上記荷室積載率測定システムと、デジタルタコグラフシステムと、通信ユニットとが搭載された運送車両である。
この運送車両において、デジタルタコグラフシステムは、当該運送車両の駆動系に設けられたセンサに接続された速度データ取得ユニットを備えており、通信ユニットは、デジタルタコグラフシステムにおいて速度データに基づいて取得されたデジタコデータとともに、荷室積載率測定システムにおいて測定された積載率をネットワーク上のサーバコンピュータに送信することができるユニットである。
また、開示された発明に係る運送車両運行管理システムは、運行されている各運送車両の運行を管理するシステムである。このシステムは、上記各運送車両に搭載された上記荷室積載率測定システムと、各運送車両に搭載されたデジタルタコグラフシステムと、
各運送車両に搭載された通信ユニットと、各通信ユニットからのアクセスをネットワークを介して受け付ける管理サーバと、管理用端末とを備えている。
この運送車両運行管理システムにおいて、各デジタルタコグラフシステムは、各運送車両の駆動系に設けられたセンサに接続された速度データ取得ユニットを備えており、各通信ユニットは、デジタルタコグラフシステムにおいて速度データに基づいて取得されたデジタコデータとともに、荷室積載率測定システムにおいて測定された積載率を管理サーバに送信することができるユニットであり、管理サーバは、送信されたデジタコデータ及び積載率を管理用端末において閲覧可能とするサーバである。
また、開示された発明に係る荷室積載率測定方法は、前方に詰めて積み荷が積み込まれる荷室において荷室の積載率を測定する方法であって、荷室の天井面又は内側面のうちの後部において前方を撮影するよう取り付けられたカメラが撮影して得られた荷室内の画像データを処理して積載率を算出する画像処理を行う方法である。
この測定方法において、カメラは、画像データから対象物の表面の各点の三次元座標を点群データとして取得することが可能なカメラであり、点群データは、対象物の表面の各点の三次元座標であるポイントデータの集まりであって、三次元座標のうちの一つの次元の座標はカメラからの当該次元の座標軸方向の距離である深さ位置を示している。
この測定方法において、画像処理は、
荷室が空の状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する空状態体積算出ステップと、
荷室に積み荷が積まれた状態でカメラが撮影することで得られた点群データに従ってカメラの視野における空間の体積を算出する積載状態体積算出ステップと、
積載状態体積算出部が算出した積載状態の空間の体積を空状態体積算出部が算出した空状態の空間の体積から差し引いて積み荷の占有空間の体積を算出し、この値を最大積載時の体積と比較することで積載率を算出する積載率算出ステップと
を有している。
【発明の効果】
【0009】
以下に説明する通り、開示された発明に係る荷室積載率測定システム又は荷室積載率測定方法によれば、対象物上の各点までの軸方向の距離(深さ位置)を測定可能なカメラを使用し、当該カメラで得られる点群データを処理して空間体積を算出するとともに、空状態の空間体積から積載状態の空間体積を減じることで積み荷の占有空間体積を算出し、それに基づいて積載率を計算するので、より精度の高い積載率の測定が可能となる。その上、引用文献1のような複雑な光学系を荷室天井に配設することは不要で、極めて簡便で実用的な測定システム及び測定方法が提供される。
また、カメラが荷室の天井面の後部において左右方向の中央に取り付けられている場合、死角になる空間領域が小さくなるので、この点で積載率の測定精度が向上する。
また、撮影モジュールを実行するボタンを備えた車載ユニットが荷室内に取り付けられている構成では、荷室内の状況を確認しながらボタンを押すことができるので、状況を誤って測定してしまうミスが少なくなる。
また、撮影モジュールを実行するボタンを備えた車載ユニットがキャビンに取り付けられている構成では、キャビンから撮影モジュールを実行することができるので、走行中であっても積載率の測定が可能となる。
また、積載率の測定結果が表示されるディスプレイがキャビンに設けられている構成では、乗務員が運送車両の運行中に積載率を確認することができるので、積載率についての無線等による問い合わせについて迅速に回答することができるようになる。
また、データ補正部が、点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該ポイントデータを異常であるとして除外するデータ除外部を備えている構成では、異常データを除外した上で空間体積の計算がされるので、空間体積測定の精度が向上し、このため積載率の測定精度も向上する。
また、データ補正部が、点群データにおける各ポイントデータについて深さ位置が上限設定値よりも大きいか又は下限設定値よりも小さい場合に当該データを異常データであるとする異常データ認定部と、異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータにおける深さ位置の値を、隣りの点のポイントデータにおける深さ位置の値又は隣り合う複数の点のポイントデータにおける平均の深さ位置の値に置き換えるデータ埋め込み部とを備えている構成では、異常データを除外しつつも有効なポイントデータを活かしつつ空間体積の算出がされる。このため、空間体積測定の精度がさらに向上し、このため積載率の測定精度もさらに向上する。
また、画像処理部が、点群データにおける各ポイントデータについて互いに隣り合う複数の点についてそれら点のポイントデータにおける深さ位置の平均値を算出し、それらポイントデータにおける深さ位置の値を平均値に置き換える処理をするデータ粗化部を備えた構成では、データ処理の負荷の低減により処理を高速化することができ、積載率の測定を短時間に終えることができる。
また、データ補正部が、異常データ認定部と、データ埋め込み部とを備えており、異常データ認定部が異常データであるとしたポイントデータの点について、異なるタイミングでカメラが撮影した画像データから得られた点群データにおける当該点のポイントデータから取得される正常な値の深さ位置で置き換えがなされる構成では、同じ点のデータで深さ位置の補正がされるので、補正をより正確に行うことができる。このため、空間体積の精度がさらに向上し、このため積載率の測定精度もさらに向上する。
また、開示された発明に係る運送車両によれば、デジタルタコグラフシステムにおけるデジタコデータと荷室積載率測定システムにおける積載率のデータとをサーバに送信する通信ユニットを備えているので、通信ユニットが一つで済み、構成が簡略化される。
また、開示された発明に係る運送車両運行管理システムによれば、各運送車両のデジタコデータと積載率のデータとが管理サーバによって収集できる上、各運送車両においてデジタルタコグラフシステムにおけるデジタコデータと荷室積載率測定システムにおける積載率のデータとを一つの通信ユニットが送信するので、データ送信が簡略化される。このため、送信された各データの処理も簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る荷室積載率測定システムの概略図である。
【
図2】
図1の荷室積載率測定システムにおける画像処理系の概略図である。
【
図3】空状態体積算出部の構成について示した概略図である。
【
図4】空状態体積算出部の構成について示した概略図である。
【
図5】積載率算出部による積載率の算出について示した概略図である。
【
図7】車載ユニットのディスプレイにおける画面表示を示した概略図である。
【
図8】補助車載ユニットのモニター画面の一例を示した概略図である。
【
図9】第二の実施形態における画像処理部の概略図である。
【
図10】データ補正部によるデータ補正について示した概略図である。
【
図11】データ補正プログラムの概略を示したフローチャートである。
【
図12】データ補正の変形例について説明した概略図である。
【
図13】データ補正とデータ処理の簡略化とを両立させるデータ処理の例を示す概略図である。
【
図14】運送車両の発明の実施形態及び運送車両運行管理システムの発明の実施形態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この出願の発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、実施形態に係る荷室積載率測定システムの概略図である。
実施形態の荷室積載率測定システムは、運送車両9においてその場でリアルタイムで荷室91の積載率を測定する技術である。「その場」とは、積み荷が積載されているその状況で測定するという意味であり、荷室91に積み荷Lが運び込まれる前にその積み荷Lの容積を測定するというような技術ではないという意味である。また、リアルタイムとは、車両が荷室91に積み荷Lを積み込んで走行している際に積載率を測定可能ということであり、運送車両9の運行中に当該運行の運送効率を測定することを可能にするという意味である。
【0012】
このような実施形態の荷室積載率測定システムは、荷室91内に取り付けられたカメラ1と、カメラ1が撮影して得られた荷室91内の画像データを処理して積載率を算出する画像処理部2とを備えている。画像処理部2には、運送車両9に搭載される車載ユニット3の要素の一つとして設けられている。
図1に示すように、カメラ1は、荷室91の後部開閉扉92に近い位置において前方を撮影するよう取り付けられている。この実施形態では、運送車両9は、最大積載量が1.5トンから10トン程度のトラックが想定されており、荷室91の後部に開閉扉92が設けられている。カメラ1は、この例では、荷室91の天井面に取り付けられており、開閉扉92に近い位置(5~30cm程度の位置)に取り付けられている。尚、この実施形態において、積み荷Lは荷室91内において前方に詰めて積み込まれることが前提となっている。
【0013】
また、この実施形態において、荷室91は、カメラ1の視野の範囲では閉鎖された空間であることが前提となっている。つまり、カメラ1の視野において、荷室91は、少なくとも前面及び両側面の壁で仕切られた空間であることが前提となっている。天井面については、カメラ1の視野に入らない場合、無くとも良い。即ち、天井面の壁部をない荷室を備える運送車両についても実施は可能である。この場合には、カメラ1は側面の後部の上側位置に取り付けられるか、両側面の後部上端部に橋渡すようにして梁部を設け、その中央に取り付ける。
【0014】
この実施形態では、カメラ1は、画像データから撮影対象の点群データを取得可能なカメラ1となっている。点群データとは、対象物の表面の各点の三次元座標のデータのことである。ポイントクラウドデータと呼ばれることもあるが、この明細書では点群データと呼ぶ。対象物の表面の各点の三次元座標データをポイントデータと呼ぶ。
【0015】
点群データを取得可能なカメラ1としては、この実施形態ではDepthカメラが使用されている。Depthカメラは、深度カメラ又は深度センサ付きカメラと呼ばれることもあり、3Dカメラと呼ばれることもあるが、この明細書では、Depthカメラで統一する。
Depthカメラにおいて、各画素から得られるデータは、その画素が捉えた点(ポイント)におけるXYZ座標である。Z座標がいわゆる深さであり、基準位置からのZ軸方向の距離である。基準位置は、Depthカメラにおいて仕様として設定されている位置であり、以下、原点と呼ぶ。XY軸は、原点においてZ軸に直交するとともに互いに直交する軸である。
ポイントデータは各画素から得られるから、点群データは、一つのフレーム(画像素子全体)で得られるポイントデータの集まりということになる。このようなカメラ1しては、例えば米国のIntel社製のIntel RealSense DepthカメラD455が使用される(INTEL REALSENSEはIntel社の登録商標)。
【0016】
画像処理部2は、必要な画像処理機能を備えた小型のコンピュータである。この実施形態では、画像処理部2は車載されるものであるため、必要な耐震性や耐久性を備えたものとされる。例えば、ラズベリーパイ(英国のラズベリーパイ・エルティーディーの登録商標)のような小型コンピュータが画像処理部2のハードウェアとして使用される。OSとしては、Linux(登録商標)のようなオープンソースのものであっても良いし、他のクローズドソースのもの(有料のもの)であっても良い。
【0017】
図2は、
図1の荷室積載率測定システムにおける画像処理部の概略図である。積載率を算出する画像処理部2は、大きく分けると、空状態体積算出部21と、積載状態体積算出部22と、積載率算出部23とから成っている。空状態体積算出部21と積載状態体積算出部22は、いずれもカメラ1から出力された画像データ(点群データ)を処理して空間体積を算出する要素である。
空状態体積算出部21と積載状態体積算出部22による空間体積算出の原理は、共通している。まず、空状態体積算出部21における体積算出について、
図3を使用して説明する。
【0018】
図3及び
図4は、空状態体積算出部の構成について示した概略図である。このうち、
図3(1)は、空状態の荷室91の通常の撮影画像を示した概略図、
図3(2)は、Depthカメラによる画像データ(点群データ)について示した概略図である。
図4は、点群データから空間体積を求める原理を示した概略図である。
図1に示すように、カメラ1は、荷室91の開閉扉92に近い位置の天井において前方の斜め下方を撮影するよう取り付けられているから、空状態の撮影画像は、
図3(1)に示すようなものとなる。
図3(1)は、カメラ1が通常のカメラ(RGB撮影のカメラ)である場合の撮影該像を概略的に示したものである。尚、Depthカメラの中には、Depth画像とRGB画像とを取得できるカメラがあり、前述したIntel RealSense DepthカメラD455もその種のカメラである。したがって、
図3(1)は、その種のカメラ1からRGB画像のデータを取得して表示したものということもできる。
【0019】
一方、
図3(2)は、Depth画像の画像データについて示している。前述したように、Depth画像では、一つ一つの画素が、原点を基準としたXYZの座標系における位置を示すものとなる。原点は、例えば、カメラ1が内蔵するレンズの光軸上の点とされる。または、撮像素子の入射面の中央が原点として設定され、入射面に対して原点から垂直に延びる軸がZ軸とされる。いずれの場合も、XY軸は画像素子の縦横方向(素子が並んでいる方向)に一致する。尚、ステレオ方式のDepthカメラの場合にはカメラ1が二個並んで設けられているが、X軸は当該二個のカメラが並んでいる方向であり、原点は二個のカメラのX軸方向における中心位置とされる。そこから光軸方向又は画像素子の入射面に垂直な方向に延びる軸としてZ軸は設定され、Y軸は原点からX軸及びZ軸に垂直な方向に延びる軸とされる。
【0020】
図3(2)には、カメラ1における各画素によって捉えられる対象物の各点が概念的に示されている。各画素が捉えているのは、厳密には対象物の表面の単位領域の像である。RGB画像の場合、単位領域の像はRGBの値であるが、Depth画像では、深さ位置即ちZ軸の座標となる。深さ位置はZ軸の座標であるから、原点からの直線距離ではない(原点から見た深さではない)。Z軸方向での見たときの深さ位置である。また、同時に各画素のXY方向での位置も取得されるから、Depth画像のデータは、画素ピッチ毎の対象物の表面上の点のXYZ座標(ポイントデータ)の集まり(点群データ)となる。
尚、XY座標の値については、撮影時の倍率により異なってくる。光軸上の点を原点とした場合、倍率を変えると光軸(Z軸)からの距離の絶対値(XY座標の絶対値)が変わる。但し、通常は、倍率を掛け算してXY座標の絶対値を算出して出力する機能をカメラ1は備えている。
【0021】
図4には、このようなDepth画像により空状態体積を算出する原理が示されている。
図4に示す例では、ドロネー三角分割を利用して体積を算出している。前述したように、Z方向の距離(深さ位置)の基準となる点として原点Oが設定される。
図4(1)において、上下左右で隣り合う四つの画素から得られるポイントデータについて原点Oを基準した略四角錐状の空間の体積を計算する。例えば、
図4(1)において、隣り合う四つの画素から得られるポイントデータの各点を、ポイントP
1、ポイントP
2、ポイントP
3、ポイントP
4とする。
この場合、略四角錐状の空間の体積は、三角形P
1P
2P
3を底面とする三角錐の体積と、三角形P
2P
3P
4を底面とする三角錐の体積とを足したものである。したがって、ポイントP
1~P
4のポイントデータを使用してP
1P
2P
3P
4を底面とする四角錐の体積はデータ処理によって容易に計算できる。
【0022】
尚、
図4(1)では、ポイントP
1~P
4が光軸(Z軸)に対して垂直な同一平面内にあるような印象を受けるが、実際には、Z軸の座標(深さ位置)はバラバラであり、各三角錘の底面はZ軸に対して垂直ではない場合が殆どである。したがって、実際には、
図4(2)に示すような各三角錘の体積を計算することになる。また、上記手法は、P
1P
2P
3P
4を底面とする略四角錐の体積を計算するのに、外接球が空である(外接球内に他の点を含まない)三角形P
1P
2P
3と三角形P
2P
3P
4とに分割して三角錘の集まりとして体積を計算しており、いわゆる三次元のドロネー三角分割を利用しているといえる。
【0023】
このようにして隣り合う四つのポイントを底面とする四角錐の体積をドロネー三角分割を利用して計算し、これを全てのポイントデータについて行うと、原点Oから見た対象物までの空間の体積が計算できる。空状態体積算出部21は、この画像処理を、空状態で撮影したDepth画像のデータ(点群データ)に対して行う。これにより、原点Oから見込む空状態の荷室91の空間の体積(空状態体積)が算出される。
【0024】
積載状態体積算出部22は、積載状態で撮影したDepth画像に基づいて行うのみで、空間体積の算出原理は空状態と同様である。上下左右の四つの画素から得られるポイントデータに基づいて略四角錐の体積を二つの三角錐に分割しながら算出し、これを全ての画素のポイントデータについて行うことで、全空間の体積(積載状態体積)が算出される。尚、空状態体積算出部21において、カメラ1による撮影対象が荷室91の壁面であり、得られるDepth画像は荷室91の壁面の点群データである。一方、積載状態体積算出部22では、積載された積み荷Lの表面(カメラ1に対して露出している積み荷Lの表面)と積み荷Lで隠れていない部分の壁面とが撮影対象であり、それらにおける各点のポイントデータから成る点群データが処理される。
【0025】
空状態体積算出部21も積載状態体積算出部22も、上記のようにドロネー三角分割を利用して体積を算出する同じプログラムモジュールを実行する。但し、空状態体積算出部21は、その実行結果を空状態の体積として変数に格納(メモリに記憶)し、積載状態体積算出部22は、積載状態の体積として変数に格納する。
このようにしてそれぞれ空き空間の体積を算出した後、それぞれの体積に基づいて、積載率算出部23が積載率を算出する。積載率算出部23について、
図5を参照して説明する。
図5は、積載率算出部による積載率の算出について示した概略図である。
【0026】
図5(1)には、空状態で体積が算出される荷室91内の空間がハッチングで示されており、
図5(2)には、ある積載状態で体積が算出される荷室91内の空間がハッチングで示されている。
図5(1)の空間の体積が空状態体積算出部21で算出され、
図5(2)の空間の体積が積載状態体積算出部22で算出される。
積載率算出部23は、それぞれの変数から空間体積の値を取得し、両者の差異を算出する。即ち、空状態体積から積載状態体積を減算する。これにより、
図5(3)に示すように、積載された積み荷Lが占めている空間の体積が算出される。その上で、積載率算出部23は、定数として与えられている最大積載時の体積との比を算出して積載率とする。即ち、積載率=積み荷L空間体積/最大積載時空間体積×100(%)を算出する。このような演算処理を行うよう積載率算出部23が実装されている。
【0027】
このような画像処理を行う画像処理部2は、車載ユニット3の一部となっている。車載ユニット3について、
図6を使用して説明する。
図6は、車載ユニットの概略図である。このうち、
図6(1)は、車載ユニットの正面概略図、
図6(2)は、車載ユニットのブロック概略図である。車載ユニット3は、ユニットボックス31と、ユニットボックス31内に収容されたパーツで構成されている。ユニットボックス31は、手のひら大程度の大きさである。
【0028】
図6(2)に示すように、ユニットボックス31内には、前述した画像処理部2に加え、カメラ1を接続するためのカメラインターフェース11や通信インターフェース32、記憶部33等が設けられている。尚、運送車両9に搭載されるものであるため、温度や振動等に配慮した構成が採用され得る。例えば、ユニットボックス31の壁面にファンを設けて強制空冷したり、ユニットボックス31の内面に防振ゴムを固定し、防振ゴムを介して画像処理部2を取り付ける場合があり得る。
【0029】
通信インターフェース32は、積載率等の情報を外部に出力するためのものである。例えば、LTEインターフェースが通信インターフェース32として使用される。
図6(1)に示すように、通信インターフェース32はアンテナ321を含んでいる。通信状況によっては、荷室91外(例えば荷室91の天板の外面)にアンテナを取り付け、車載ユニット3に接続する場合もある。
記憶部33としては、フラッシュメモリのような不揮発性メモリが採用され、例えばSDカードのような着脱可能なメモリ素子が使用される。これに代えて又はこれとともに小型のハードディスクを内蔵して記憶部33として使用することもある。
【0030】
また、
図6(1)に示すように、ユニットボックス31の前面には、ディスプレイ34が組み込まれている。ディスプレイ34は、例えば3.5インチ程度の液晶ディスプレイ34である。この実施形態では、ディスプレイ34はタッチパネルディスプレイ34となっており、入力部も兼ねている。ディスプレイ34は、ディスプレイインターフェース340を介して画像処理部2に接続されている。
【0031】
尚、車載ユニット3やカメラ1の電源は、運送車両9のバッテリーから供給してもらう構成とされる。トラックのバッテリーは24Vの場合が多く、必要に応じて車載ユニット3は変圧器を含む電源回路(不図示)を備える構成とされる。カメラ1は、例えばUSB接続の場合にはカメラインターフェース11はUSBインターフェースを含み、USBケーブルで必要な電源電圧が供給される。他の場合には、カメラ1に必要な電圧に変換するカメラ用電源回路が車載ユニット3に設けられる。運送車両9のバッテリーに直接接続する場合には、カメラ1用の変圧器を介して接続する。
【0032】
画像処理部1には、前述した画像処理のためのプログラムとして、メインプログラム51、撮影モジュール52、体積算出モジュール53、空状態測定プログラム54、積載率測定プログラム55、外部出力プログラム56,57等が実装されている。画像処理部1は、CPU35や記憶部33(メモリ等)を備えており、各プログラム51~56が記憶部33に記憶されてCPU35により実行可能となっている。尚、撮影モジュール52及び空状態測定プログラム54は空状態体積算出部21を構成し、撮影モジュール52及び積載率測定プログラム55は積載状態体積算出部22を構成している。また、積載率測定プログラム55は積載率算出部23を構成している。
【0033】
メインプログラム51は、ディスプレイ34にスタンバイ画面を表示するモジュール等を備えたプログラムである。
図7は、車載ユニットのディスプレイにおける画面表示を示した概略図であり、
図7(1)にスタンバイ画面の一例が示しされている。
図7(1)に示すように、スタンバイ画面には、設定ボタン341、積載率測定ボタン342が設けられている。設定ボタン341には、車載ユニット3について各種設定を行うための画面(設定画面)がリンクしている。設定画面には、初期設定メニューとして空状態での空間体積を測定するための空状態測定ボタンが設けられている。
【0034】
空状態測定ボタンには、「空状態の空間容積を測定します。積み荷は積載していない状態として下さい。宜しいですか?」というようなメッセージを表示する場面がリンクしており、この画面にはOKボタンが設けられている。OKボタンは、空状態測定プログラム54の実行ボタンとなっている。
【0035】
空状態測定プログラム54は、まず、撮影モジュール52を呼び出して実行する。撮影モジュール52は、カメラ1の電源をONにし、カメラ1から撮影可能の信号が戻された場合、カメラ1に対して撮影指令の信号を送信する。カメラ1は、撮影した画像のデータ(Depth画像データ)を送信元の画像処理部2に戻すよう予め設定がされており、画像データはカメラインターフェース11を介して画像処理部2に入力される。撮影モジュール52は、入力された画像データを取得し、空状態測定プログラム54に戻り値として戻す。
【0036】
空状態測定プログラム54は、戻り値としてのDepth画像データを引数にして体積算出モジュール53を実行する。体積算出モジュール53は、前述したようにドロネー三角分割を利用して空間体積を算出するモジュールである。空状態測定プログラム54は、体積算出モジュール53から戻された戻り値を空状態体積として変数に格納する。この値は、記憶部33に記憶され、メインプログラム51の終了時(車載ユニット3の電源オフ時)にも保持される。尚、過去に空状態測定プログラム54が実行されている場合、空状態体積は上書きされて保持される。
【0037】
図7(1)に示す積載率測定ボタン342には、「積載状態の空間容積を測定して積載率を算出します。積み荷の積み込みが完了した状態で撮影します。宜しいですか?」というようなメッセージを表示する画面がリンクしており、この画面にはOKボタンが設けられている。このOKボタンは、積載率測定プログラム55の実行ボタンとなっている。
【0038】
積載率測定プログラム55は、撮影モジュール52を呼び出して実行し、戻り値を変数に格納する。次に、積載率測定プログラム55は、戻り値(Depth画像データ)を引数にして体積算出モジュール53を実行する。体積算出モジュール53は、前述したようにドロネー三角分割を利用して空間体積を算出し、積載率測定プログラム55に戻す。積載率測定プログラム55は戻り値(積載状態体積)を変数に格納した後、空状態体積を変数から呼び出して取得する。そして、空状態体積から積載状態体積を減算して積み荷の体積を減算し、定数として与えられている最大積載量の体積との比率を算出して積載率とする。積載率測定プログラム55は、積載率を変数に格納して保持した後、ディスプレイ34に表示する。
図7(2)には、積載率測定プログラムにより測定された積載率の表示例が示されている。
【0039】
尚、測定されて変数に格納された積載率の値は、一時的に保持されるが、積載率測定プログラム55が再度実行された場合、測定された積載率の値で上書きされる。但し、測定日時(プログラムの実行日時)とともにデータベース化して過去の測定値を保存する場合もあり得る。
【0040】
次に、外部出力プログラムについて説明する。外部出力プログラムは、積載率測定プログラム55の実行結果を外部に出力するプログラムである。この実施形態では、外部出力プログラムとして二つのものが設けられており、一つは、運転席に設けられた補助車載ユニット6に出力するプログラム(以下、モニター出力プログラム)56であり、もう一つは、運行管理システムが備える管理サーバ7に出力するプログラム(以下、サーバ出力プログラム)57である。これらについて、
図1を参照して説明する。
【0041】
図1に示すように、この実施形態では、補助車載ユニット6が設けられている。補助車載ユニット6は、運送車両9の運転席があるキャビン93に別途搭載される車載ユニットであり、同様にディスプレイを備えている。ディスプレイは同様にタッチパネルであり、入力部に兼用される。補助車載ユニット6の取り付け位置は、運転席からディスプレイが見える位置であり、またディスプレイを操作できる位置とされ、例えばダッシュボード上である。補助車載ユニット6は、車載ユニット3に接続されており、車載ユニット3の周辺装置として設けられている。メインプログラム51は、補助車載ユニット6が接続されている場合、モニター画面を補助車載ユニット6のディスプレイに表示するようプログラミングされている。
【0042】
図8は、補助車載ユニットのモニター画面の一例を示した概略図である。
図8に示すように、補助車載ユニット6のモニター画面には、「積載率を見る」と表記された積載率モニターボタン61と、「積載率を再測定する」と表記された再測定ボタン62とが設けられている。積載率モニターボタン61は、車載ユニット3上のモニター出力プログラム56の起動ボタンとなっている。モニター出力プログラム56は、変数に格納されている積載率を取得し、補助車載ユニット6に表示するようプログラミングされている。
【0043】
再測定ボタン62は、車載ユニット3のディスプレイ34に表示される積載率測定ボタン342と同様のボタンである。但し、モニター画面上の再測定ボタン62は、特にメッセージを表示せずに積載率測定プログラム55を実行するようコードが埋め込まれている。再測定ボタン62が押されると、同様に撮影モジュール52が実行されてDepth画像データ取得され、体積計算モジュール53が実行されてその戻り値に従って積載率が算出される。そして、算出された積載率で変数が上書きされるとともに、積載率がモニター画面でも更新される。
【0044】
一方、サーバ出力プログラム57は、通信インターフェース32を介して管理サーバ7に積載率を出力するプログラムである。管理サーバ7は、ネットワークとしてのインターネット7000上に設けられている。管理サーバ7は、この実施形態では、各運送車両9の運行を管理する運送車両運行管理システム70に備えられたものとなっている。運行管理システム70は、各運送車両9のGPSデータやデジタコ(デジタルタコグラフ)データなどを収集し、各運送車両9の運行状況をモニターして管理するシステムとなっている。
【0045】
管理サーバ7は、各運送車両9を保有する運送会社の社内に設置されている場合もあるし、サーバ管理を委託しているホスティング会社等に設置されている場合もある。管理サーバ7に対しては、管理用端末71が接続されている。管理用端末71は、運送会社の管理部門に設置され、運行管理を担当する担当者が操作する。
【0046】
積載率測定システムにおけるサーバ出力プログラム57の態様としては、大きく分けて二つある。第一の態様は、車載ユニット3が定期的に管理サーバ7にアクセスして積載率を出力する態様である。第二の態様は、管理サーバ7からの要求に応じて積載率を出力する態様である。
【0047】
運送会社は、運行させている複数の運送車両9に荷室積載率測定システムを搭載している。各荷室積載率測定システムには、IDが付与されている。以下、このIDを測定システムIDと呼ぶ。セキュリティのため、測定システムIDにはパスワードが紐付けられている。
測定システムIDとパスワードは、車載ユニット3における記憶部33に予め記憶されている。また、管理サーバ7上の記憶部(ハードディスク等)72には、各運送車両9の情報を記録したデータベースファイルである車両情報ファイル73が記憶されている。車両情報ファイル73には、各運送車両9について測定システムIDとパスワードが記録されている。各運送車両9を特定する車両IDが車両情報ファイル73に記録されているが、測定システムIDとして車両IDが兼用される場合もある。
【0048】
また、管理サーバ7の記憶部72には、各運送車両9の運行状況を記録した運行状況ファイル74が記憶されている。運行状況ファイル74は、各運送車両9について運行日やルート(出発地と到着地)、乗務員ID等を記録したデータベースファイルであり、一日の運行ごとに一つのレコードが記録される。この運行状況ファイル74に、「積載率」のフィールドが設けられており、各運行車両上の積載率測定システムが測定した積載率が記録されるようになっている。
そして、管理サーバ7には、積載率記録プログラム75が実装されている。積載率記録プログラム75は、運行状況ファイル74に積載率を記録するプログラムである。
【0049】
サーバ出力プログラム57の第一の態様について説明すると、サーバ出力プログラム57は、例えば積載率測定プログラム55のサブルーチンとして実装される。積載率測定プログラム55は、積載率を算出した後、サーバ出力プログラム57を実行するようプログラミングされる。
【0050】
サーバ出力プログラム57は、測定システムID及びパスワードを管理サーバ7に送信してログインし、管理サーバ7上の積載率記録プログラム75を実行する。この際、測定された積載率が引数として渡される。積載率記録プログラム75は、測定システムIDで車両情報ファイル73を検索して車両IDを取得し、運行状況ファイル74のうち当該車両IDについての当日(プログラム実行日)のレコードの「積載率」のフィールドに引数の値を記録する。
【0051】
第二の態様のサーバ出力プログラム57は、管理サーバ7からの要求によって積載率を管理サーバ7に出力するプログラムである。この場合、車載ユニット3は、外部からのアクセスを受け付けるよう構成される。管理サーバ7には、積載率送信要求プログラム(不図示)と積載率記録プログラム75とが実装される。
【0052】
積載率送信要求プログラムは、積載率の送信を要求する車載ユニット3に係る測定システムID及びパスワードを当該車載ユニット3に送信してアクセスする。アクセスが認証されたら、車載ユニット3上のサーバ出力プログラム57を実行させる。サーバ出力プログラム57は、記憶部33から積載率を取得して管理サーバ7に送信する。積載率が送信されると、管理サーバ7上の積載率送信要求プログラムは、積載率記録プログラム75をサブルーチンとして実行する。これにより、運行状況ファイル74に当該運送車両9の積載率が記録される。
【0053】
第二の態様のサーバ出力プログラム57は、管理用端末71からの要求により実行される構成とされ得る。即ち、車両IDを送信して積載率要求プログラムの実行を管理用端末71が要求する構成が採用され得る。
また、第二の態様のサーバ出力プログラム57は、実行時に積載率を測定(又は再測定)してから送信する構成とされ得る。即ち、サーバ出力プログラム57は、起動すると積載率測定プログラム55を実行してその時点での積載率を取得し、車載ユニット3上の記憶部33に上書きして保持するとともに、管理サーバ7に送信して運行状況ファイル74に記録させる構成とし得る。
【0054】
このような実施形態の荷室積載率測定システムの使用方法や動作について説明する。以下の説明は、荷室積載率測定方法の発明の実施形態の説明を含む。
運送会社は、自社で運行させている各運送車両9に荷室積載率測定システムを搭載する。即ち、荷室91の天井の後部(開閉扉92付近)中央にカメラ1を固定する。そして、荷室91の側面の後部(開閉扉92付近)に車載ユニット3を固定する。カメラ1と車載ユニット3のカメラインターフェース11のポートとがカメラケーブルで接続される。また、当該運送車両9のバッテリーに対して車載ユニット3が電源ケーブルで接続される。さらに、運転席に補助車載ユニット6が固定され、車載ユニット3のポートに対して接続される。尚、前述した説明から解るように、空状態体積測定時と積載状態体積測定時でカメラ1の向きが変わると測定精度が低下してしまい易い。したがって、カメラ1は向きが変わらないように十分に固定される。
【0055】
その上で、車載ユニット3の電源をONにし、スタンバイ画面をディスプレイ34に表示し、必要な初期設定をする。即ち、測定システムID及びパスワードを入力して記憶部33に記憶する。測定システムID及びパスワードは、管理サーバ7の記憶部72上の車両情報ファイル73に記録されているものと同一である。
さらに、空状態測定ボタンを押し、空状態測定プログラム54を実行する。空状態測定プログラム54は、撮影モジュール52を実行してDepth画像データを取得し、体積算出モジュール53を実行して空状態空間体積を取得する。取得された空状態空間体積は、変数に格納されて記憶部33で記憶される。また、定数としての最大積載体積を、ディスプレイ34に表示されるテンキーで入力する。入力された最大積載体積は、変数に格納されて記憶部33に記憶される。
【0056】
これで初期設定は終了であり、その後、当該運送車両9は運送業務に利用される。即ち、荷室91に積み荷Lが積み込まれ、目的地に向けて運行される。この際、積み込みが完了した後、乗務員は、車載ユニット3のディスプレイ34上の積載率測定ボタン342を押し、積載率測定プログラム55を実行させる。これにより、撮影モジュール52が実行されて積載状態空間体積が取得され、空状態空間体積から減算されて積み荷L体積が算出される。そして、最大積載体積を記憶部33から読み込み、それとの比率により積載率を算出する。算出された積載率は、変数に格納され(既に値がある場合には上書きされ)、記憶部33に記憶される。
【0057】
乗務員が運転席に乗り込み、補助車載ユニット6の電源をオンにすると、モニター画面が表示される。そして、積載率モニターボタンを押すと、測定した積載率が表示される。
このようにして各運送車両9で積み荷Lが積み込まれ、積載率測定ボタン342が押されて積載率が測定されて車載ユニット3の記憶部33に記憶され、また補助車載ユニット6に表示される。そして、各運送車両9の車載ユニット3上のサーバ出力プログラム57が実行され、各積載率が管理サーバ7に送信され、積載率記録プログラム55により運行状況ファイル74に記録される。そして、運送会社の担当者は、管理用端末71を操作して管理サーバ7にアクセスし、任意の運送車両9の積載率を確認する。
【0058】
このような実施形態の荷室積載率測定システム及び荷室積載率測定方法によれば、各画素で捉えられた対象物上の各点までのZ軸方向の距離(深さ位置)を測定可能なカメラ1を使用し、当該カメラ1で得られる点群データを処理して空間体積を算出するとともに、空状態の空間体積から積載状態の空間体積を減じることで積み荷の占有空間体積を算出し、それに基づいて積載率を計算するので、より精度の高い積載率の測定が可能となる。その上、引用文献1のような複雑な光学系を荷室天井に配設することは不要で、極めて簡便で実用的な測定システム及び測定方法が提供される。
【0059】
また、上記実施形態では、モニター出力プログラム56により補助車載ユニット6において乗務員が積載率を確認できるようになっているので、運送車両9の運行中に乗務員は当該運送車両9の積載率を確認することができ、運送業務の効率化・合理化に貢献することができる。例えば、運送車両9の運転中に無線等で積載率の問い合わせが会社の管理部門からあった場合、補助車載ユニット6で確認して即座に回答することができる。このため、途中の営業所でどの程度の追加の積載を行えるかが判断でき、より効率の良い積み荷配分を行うのに貢献できる。
【0060】
さらに、上記実施形態では、サーバ出力プログラム57により管理サーバ7に積載率が送信され、管理サーバ7にアクセスすることで管理用端末71上でリモートで積載率を確認することができる。このため、同時に運行している複数の運送車両9においてどの車両にどの程度積載の余地があるか(どの程度追加積載できるか)をリモートで判断することができる。この点も、より効率の良い積み荷の配分に資することになり、運送会社における全体の業務効率化に大きく貢献する。
尚、上記実施形態では、車載ユニット3に加えて補助車載ユニット6が設けられたが、車載ユニット3だけでも良く、補助車載ユニット6だけでも良い。補助車載ユニット6だけの場合には、当該補助車載ユニット6がメインの車載ユニットということになり、小型コンピュータが使用されてそこに画像処理部2等が実装される。
【0061】
次に、第二の実施形態の荷室積載率測定システム及び荷室積載率測定方法について説明する。第二の実施形態の荷室積載率測定システム及び荷室積載率測定方法は、画像処理部2の構成が第一の実施形態と異なっている。
図9は、第二の実施形態における画像処理部の概略図である。
図9に示すように、第二の実施形態でも、画像処理部2は、空状態体積算出部21と積載状態体積算出部22と、積載率算出部23とから成っている。そして、空状態体積算出部21は、画像データ補正部24を含んでおり、積載状態体積算出部22もデータ補正部24を含んでいる。
第二の実施形態におけるデータ補正部24は、カメラ1から出力されるDepth画像データについて、不適切な値を除外したり、平均値等で置き換えたりすることで、より精度の高い空間体積の値が得られるようにする要素である。以下、この点について説明する。
【0062】
発明者が、市販のDepthカメラを幾つか入手して上記のような荷室積載率測定システムに使用して実際に積載率を測定してみたところ、Depth画像データ(点群データ)には、実際にはあり得ない異常データが存在していることが判明した。ある異常データは、Depth画像における特定の端部エリアに集中して発生しているため、Depthカメラの特性によるものであると判断された。しかしながら、他の異常データとして、特定の端部デリアではない中央よりの位置にランダムに発生する異常データがあることが確認された。
【0063】
特定の端部エリアに集中して発生する異常データのようにカメラ1の特性により固定的に発生する異常データは、それらの画素からのデータを定常的に除外することで対処可能である。一方、ランダムに発生するデータは、定常的な除外ができない。
これら異常データは、深さ位置として異常な値となってしまうデータである。例えば、運送車両9の荷室91にDepthカメラを設置して撮影した際、荷室91の壁面までの距離はどの位置でも5メートル未満であるにもかかわらず、5メートル以上という深さ位置の値が測定されてしまう。
【0064】
このような異常データの原因については、はっきりとした原因は不明であるが、Depthカメラの測定原理に起因するものと推測される。Depthカメラにはステレオ方式、TOF(Time of Flight)方式、プロジェクター方式などが知られているが、いずれも対象物に光を照射してその反射を捉えて深さ位置を測定している。この場合、荷室91に置かれた積み荷Lの角(縁)のような鋭角的な部分では光が散乱されたり、正しく反射しなかったりする関係で、異常データが発生してしまうものと推測される。
尚、異常データとしては、深さ位置が限度以上に小さいもの(0を含む)も観察された。即ち、深さ位置としてあり得ない小さい値となってしまうポイントデータも確認された。
【0065】
第二の実施形態の積載率測定システムは、このような問題を考慮し、Depth画像データ(点群データ)に含まれる異常データを補正するデータ補正部24を備えている。
図9に示すように、データ補正部24は、異常データを除外するデータ除外部241と、除外したデータの代わりに補正データを埋め込むデータ埋め込み部242とを備えている。
データ除外部241は、フィルタリングにより異常データを除外する要素である。データ除去部241は、データ除去プログラムとデータ除去プログラムを実行するCPU35によって構成されている。
データ埋め込み部242は、データ除去部241により除去された異常データの代わりに、隣りの画素からのポイントデータに従って深さ位置の補正値を埋め込む要素である。データ埋め込み部242は、データ埋め込みプログラムとデータ除去プログラムを実行するCPU35によって構成されている。
【0066】
図10は、データ補正部によるデータ補正について示した概略図である。
図10には、各画素から得られる各ポイントデータが概念的に示されている。
図10(1)において、ある画素から得られるポイントデータP
5が異常データであるとする。異常データであると判断されたポイントデータが得られた画素が、
図10(1)においてハッチングで示されている。異常データであるかどうかは、Z軸座標の値(深さ位置)が限度以上に大きいかどうかで判断する。例えば前述した例では、5メートル以上であるかどうかで判断する。
【0067】
この場合、異常データとされたポイントデータの画素を除外して空間体積を算出しようとすると、
図10(2)に示すように、より大きな三角形(三カ所のポイントデータ)P
1P
3P
7及びP
3P
7P
9を採用してドロネー三角分割を適用せざるを得ない。その場合、異常データでない画素からのポイントデータP
2,P
4,P
6,P
8も不使用となってしまい、データの細密性が低下し、空間体積算出の正確性も低下してしまう。
【0068】
図10(2)のように異常データを除外するだけでも、異常データを残したまま空間体積を算出するよりは精度は向上するが、より精度の高い空間体積の算出を行うには、ポイントデータの穴埋め(代わりのデータの埋め込み)を行うことが好ましい。これが、
図10(3)に示されている。
例えば、異常データとなった画素の周囲の八つの画素から得られた深さ位置の平均値を異常データの画素のポイントデータにおける深さ位置とする。
図10(3)に、補正用に使用するポイントデータの画素がハッチングで示されている。P
5の深さ位置の値を、P
1,P
2,P
3,P
4,P
6,P
7,P
8,P
9における深さ位置の平均値に置き換える。このようにすると、ドロネー三角分割に際して正常データを捨象することがなくなり、データの細密性は低下しない。
【0069】
周囲の画素からのポイントデータの平均を取る以外に、いずれかの側で隣りの画素からのポイントデータにおける深さ位置と同じ値を採用しても良い。例えば、異常データの画素が並んでいる場合、隣りの異常データの画素とは反対側の画素(正常データの画素)からのポイントデータにおける深さ位置と同じ値を埋め込むことがあり得る。
【0070】
このようなデータ補正を行うデータ除去プログラムとデータ埋め込みプログラムは、実際には、データ補正プログラム58の要素となっている。
図11は、データ補正プログラムの概略を示したフローチャートである。
図11に示すように、データ補正プログラム58は、1フレームの各画素からのポイントデータについて、異常データであるかどうかを判断する。異常データであるかどうかは、前述したように、深さ位置の値が限度以上に大きいか限度以上に小さいか(0を含む)である。
異常データであると判断した場合、隣接する周囲の画素からのポイントデータを取得し、それらにおける深さ位置の平均値を算出してその値で更新する。このような処理を全ての画素からのポイントデータに対して行う。
【0071】
発明者が実際に実験を確認したところでは、このようなデータ補正を行うと、空間体積の算出精度は飛躍的に向上した。例えば、前述したRealSense D455を使用して暗室状態で測定を行ったところ、空間体積の算出誤差は1%程度に抑えられた。また、繰り返し測定を行った際の値の変動率も0.3%程度の小さい値であった。
【0072】
このように、第二の実施形態ではデータ補正部24が異常データであるポイントデータを補正してから空間体積を算出するので、空間体積の算出精度が向上し、このため積載率の測定精度も向上する。このため、運行されている各運送車両9の積載率をより正確に把握することができ、運送会社における運行管理をより合理的に行うのに貢献できる。
尚、異常データであると判断する基準値は、荷室91のサイズやカメラ1の特性によって変わってくるので、適宜変更される。基準値は、車載ユニット3において入力されて記憶部33に記憶され、データ除外プログラムに対して渡されるが、車載ユニット3には、この値を変更する異常データ基準値設定プログラムが実装される。異常データ基準値設定プログラムは、入力された値で基準値を更新するようプログラミングされる。
【0073】
第二の実施形態におけるデータ補正の手法については、幾つか異なる手法があり得る。以下、この点について
図12を参照して説明する。
図12は、データ補正の変形例について説明した概略図である。
図12の各図において、×で示した方形が異常データとされた画素を示す。また、ハッチングで示された方形は、データ補正をする際に利用するポイントデータの画素を示す。
【0074】
上記データ補正部24は、異常データであるとしたポイントデータを除外した後、周囲の八つの画素からのポイントデータにおける深さ位置の平均の値を埋め込み用の補正値としたが、周囲の八つの画素の平均でなくとも良い。例えば、
図12(1)に示すように、左側の画素のポイントデータにおける深さ位置の値をそのまま利用して(コピーして)も良い。この例では左側であるが右側であっても良い。また、画像素子において各画素が並んでいる面の中心に近い側であっても良い。さらに、左右両隣りの画素のポイントデータを利用したり、上下両隣の画素のポイントデータを利用する場合もある。
【0075】
また、
図12(2)に示すように上下と一方の側の五つの画素からのポイントデータにおける深さ位置の平均を埋め込みデータの深さ位置としても良い。また、平均ではなく、五つの画素からのポイントデータにおいて深さ位置が最も大きい値(最も距離が遠い位置)を補正値としても良い。発明者の実験によると、
図12(2)の例の場合、平均を取るよりも最大値を補正値とした方がより正確な空間体積の算出が行えることが確認されている。前述した周囲八つの画素からのポイントデータを利用する場合も、平均ではなく最大値を深さ位置の補正値とする場合もあり得る。
【0076】
さらに、データ補正部24は、データ補正とデータ処理の簡略化とを両立させるデータ粗化部を備え得る。
図13は、データ補正とデータ処理の簡略化とを両立させるデータ粗化部の例を示す概略図である。データ粗化部は、異常データであるなしにかかわらず、縦横所定の個数を画素からのポイントデータにおける深さ位置の平均を算出し、それらポイントデータにおける深さ位置を平均値に置き換える(更新する)データ処理を行う要素である。
図13(1)では、2×2個の画素ごとに(4個の画素ごとに)深さ位置を平均化して置き換え処理をする。
図13(2)では3×3個ごと、
図13(3)では6×6個ごとに平均化して置き換え処理をする。各図において、ポイントデータにおける深さ位置を平均化する画素のグループがハッチングで示されている。
【0077】
このようなデータ粗化部は、Depthカメラが非常に高解像度のもので、そこまで高解像度でなくとも十分に精度の高い積載率の測定が行える場合で、データ処理を高速化させたい場合に必要に応じて採用され得る。データ処理において意図的にデータを粗くすることでデータ処理のボリュームを低減させてデータ処理を高速化し、短時間に積載率の測定結果が得られるようにする技術構成である。Depthカメラの解像度によっては上記以上の単位で置き換えを行う場合もあり、2×2個~8×8個程度、さらにそれ以上の個数単位で置き換えを行う場合もある。
【0078】
このような平均値での置き換え処理を行う場合、異常データであるとされた画素については平均値の算出の際に除外される。例えば2×2個の単位で置き換え処理をする場合、いずれか1個の画素からのポイントデータが異常データであるとされた場合、その画素を除外した3個の画素からのポイントデータの深さ位置を平均して置き換え処理をする。このため、データ処理のボリューム低減に加えて異常データの補正が同時に行われ、この点で好適な構成となる。
【0079】
さらに、データ補正部24におけるデータ埋め込み部242の構成として、異なるフレームから得られたポイントデータにおける深さ位置で置き換えをする構成もあり得る。異なるフレームとは、カメラ1が異なるタイミングで撮影した画像のDepth画像データということである。例えば上記の例でいうと、点P5のポイントデータを出力した画素について異なるフレームにおける同一画素のポイントデータを取得し、そのポイントデータが異常データでないかどうか(深さ位置の値が異常でないかどうか)判断し、異常データでなければその深さ位置を取得して置き換え処理を行う。「異なるフレーム」とは、一つ後の(又は一つ前の)フレームであっても良いし、数個後(又は前)のフレームであったり、1~数秒後に再撮影した際のフレームであったりしても良い。これらの構成において、撮影モジュール52は複数のフレームを出力するようカメラ1を動作させるので、厳密には動画撮影を行わせることになる。また、最後の例の場合、異常データであると判断した場合、撮影モジュール52が再度実行されることになる。
【0080】
上述した各実施形態の構成において、測定環境における明るさに関するDepthカメラの特性を考慮した構成が採用されるとより好ましい。以下、この点について説明する。
発明者が幾つかの市販のDepthカメラを入手して積載率の測定実験を行ったところ、晴れた昼間の屋外(太陽光照射の環境)よりは屋内の通常の照明の状態の方がより測定精度が高く、屋内で照明を消した状態の方がそれよりさらに測定精度が高くなった。
Depthカメラは、いずれの方式にせよ、何らかの光を対象物に照射してその反射光を捉えて深さ位置を取得するものであるため、程度の差こそあれ、同じような傾向であると考えられる。
【0081】
これらの点を考慮すると、荷室91内の明るさ(照度)が一定以下であることを確認してから撮影モジュール52が実行される構成が採用されると好ましい。例えば、荷室91内に明るさセンサ又は照度計を配置し、それらから出力される信号(明るさを反映した信号)が一定以下の場合に限り撮影モジュール52が実行される構成が採用され得る。明るさが一定以上の場合には、エラーメッセージをディスプレイ34に表示して撮影を中止する。
【0082】
もしくは、運送車両9は、荷室91の開閉扉92が閉まった場合にはほぼ暗室状態になる場合が多いから、開閉扉92が閉まっていることを確認してから撮影モジュール52が実行される構成であっても良い。この構成の場合、開閉扉92にセンサを設けて閉状態を検出できるようにし、そのセンサを車載ユニット3に接続する。もしくは、多くの運送車両9は、荷室91落下等の防止のため、荷室91の開閉扉92にセンサ(ドアセンサ)が既に設けられている。これを利用しても良い。即ち、ドアセンサの信号は、CAN信号として運転席のモニターに送られるようになっているが、そこから分岐させて車載ユニット3に接続するようにする。荷室によっては開閉扉が側面に設けられている場合もあり、その場合にもその側面の開閉扉に設けられたセンサからの信号線を分岐させて接続する。さらには、荷室91の側面全体の壁部がウイング状に開閉する構造もあり、その場合も同様である。
【0083】
別の構成として、車載ユニット3上の空状態測定ボタンや積算状態測定ボタンを押した際、すぐに撮影モジュール52は実行されず、所定のタイムラグ(例えば5~10秒程度)が経ってから実行されるよう構成しても良い。この場合には、「5秒後に撮影が行われますので、それまでに荷室91の開閉扉92を閉めて下さい。」というようなメッセージをディスプレイ34に表示すると好適である。
【0084】
尚、上述した各実施形態において、Depthカメラを使用することは必須ではなく、対象物の表面の各点の深さ位置を測定できるよう構成することができれば、他の種類のカメラを使用することもあり得る。例えば、Depthカメラとして市販されているものでなくとも、二台の通常のデジタルカメラを使用してステレオカメラとして構成して使用することも可能である。
【0085】
また、車載ユニット3は荷室91の壁面に取り付けられたが、キャビン93に取り付けられても良い。例えば、ダッシュボードに取り付けられても良い。この場合には、補助車載ユニット6は不要になる。但し、空状態の測定の場合にはそれを確認して空状態測定ボタンを押すことが望ましいし、積載状態の測定の場合にもそれを確認してから積載率測定ボタン342を押すことが望ましい。これを考慮すると、それらボタンを有する車載ユニット3は荷室91の壁面であってカメラ1の視野を外れた位置(例えば後部開閉扉92付近)に取り付けられることが好ましい。
【0086】
但し、荷室91内に荷崩れ等を監視するためのカメラが設けられていてその画像を表示するモニターがキャビン93に設けられている場合がある。この場合は、それを利用して空状態か積載状態かを確認し、キャビン93において空状態測定ボタンを押したり積載率測定ボタン342を押したりしても良い。尚、荷室91内が空状態か積載状態かを確認するのに、積載率測定用のカメラ1が兼用される場合もあり得る。市販されているDepthカメラの中には、通常の撮影(RGB撮影)も行えるようになっているものがあり、最初にRGBモードでの撮影を行って空状態か積載状態かを確認し、その後にDepthカメラでの撮影モードに切り換えて空状態撮影をしたり積載状態撮影をしたりするよう構成することができる。この場合には、カメラ1は外部入力で通常撮影モードとDepth撮影モードとを切り換えることができるものが使用され、キャビン93に取り付けられた車載ユニット3は、カメラ1の撮影モードを遠隔で切り換えることができるものとされる(例えば切り換えプログラムが実装される)。
【0087】
次に、運送車両の発明の実施形態及び運送車両運行管理システムの発明の実施形態について、補足して説明する。
図14は、運送車両の発明の実施形態及び運送車両運行管理システムの発明の実施形態を示した概略図である。
図14に示された運送車両運行管理システムは、多数の運送車両9を運行させて業務を行っている運送会社において各運送車両9の運行管理を行う際に好適に使用されるシステムである。この管理システムにおいて、各運送車両9には、荷室積載率測定システム81とデジタルタコグラフシステム82とが搭載されていることが前提となっている。
【0088】
荷室積載率測定システム81は、上述したいずれかの実施形態のものである。デジタルタコグラフシステム82は、運送車両9の運行におけるデジタコデータを記録して管理するデジタルシステムであり、駆動系に設けられたセンサに接続された速度データ取得ユニット821を備えている。デジタコデータとは、運行の各時点における速度、走行距離及び走行時間を含むデータであり、速度データ取得ユニット821を取得する速度データに基づいて取得される。速度データ取得ユニット821は、運送車両9に搭載されたデジタコ車載器822に対して速度データを出力するユニットであるが、特許文献3のように汎用端末をデジタコ車載器822として用いるためにそれに対して速度データを出力するユニットである場合もある。
【0089】
また、各運送車両9には通信ユニット83が搭載されている。通信ユニット83は、デジタルタコグラフシステム82で得られたデジタコデータに加え、荷室積載率測定システム81で得られた積載率のデータを送信するものとなっている。この実施形態において、ネットワークとしてのインターネット700上には管理サーバ7が設けられており、運送会社の担当部署に設けられた管理用端末71がアクセスすることが可能となっている。通信ユニット83は、管理サーバ7に対してデジタコデータと積載率のデータとを送信するユニットとなっている。同様に、例えばLTE通信により各データを送信するためのインターフェースを含むユニットが通信ユニット83として使用できる。
特許文献3に開示されているように、デジタルタコグラフシステム82は、所定の周期(時間間隔)でデジタコデータを通信ユニット83経由で管理サーバ7に送信する。この際、通信ユニット83は、デジタコデータに加えて積載率のデータも管理サーバ7に送信するようになっている。
【0090】
具体的には、デジタルタコグラフシステム82において、デジタコデータはデジタコ車載器822内の記憶部(メモリ等)に記憶される。この実施形態では、
図14に示すように、荷室積載率測定システム81における車載ユニット3がデジタコ車載器822に接続されており、測定された積載率のデータがデジタコ車載器822に出力されてデジタコ車載器822上の記憶部にいったん記憶されるようになっている。即ち、荷室積載率測定システムにおける外部出力プログラムは、積載率をデジタコ車載器822に出力するプログラムとなっている。デジタコ車載器822に実装された送信プログラムは、送信周期のたびにデジタコデータを管理サーバ7に送信するが、この際、併せて積載率も記憶部から読み出して送信するよう実装されている。
【0091】
管理サーバ7の記憶部72には、同様に運行状況ファイル74が記憶されており、管理サーバ7には状況記録プログラム76が実装されている。状況記録プログラム76は、送信されたデジタコデータ及び積載率のデータを運行状況ファイル74に記録するようプログラミングされる。管理用端末71は、同様に運行状況ファイル74の内容を閲覧できるが、この実施形態では、デジタコデータと積載率のデータとを一度に閲覧することができるようになる。
【0092】
このような運送車両9、運送車両運行管理システムによれば、運送車両9のデジタコデータと積載率のデータとが管理サーバ7によって収集できる上、運送車両9においてデジタルタコグラフシステム82におけるデジタコデータと荷室積載率測定システム81における積載率のデータとを一つの通信ユニット83が送信するので、データ送信が簡略化される。
【0093】
具体的には、デジタルタコグラフシステム82と荷室積載率測定システム81の双方が通信ユニット83を備えて通信を行う構成であると、通信ユニットが二つ必要になるためにコスト高となる。これに加え、管理サーバ7におけるデータ処理も煩雑となる。即ち、デジタコデータを受信した際には当該受信に係る車両IDを取得して運行状況ファイル74に記録し、積載率のデータを受信した際には車両IDを別途取得して運行状況ファイル74に記録することになり、二度手間となる。実施形態の構成によれば、一つの通信ユニット83が行う1回の送信によりデジタコデータと積載率のデータとが送信されるので、車両IDの取得も1回で済み、管理サーバ7におけるデータ処理が簡略化される。データ送信を別々に(異なるタイミングで)行う場合であっても、1個の通信ユニット83で済む構成はコストダウンの効果をもたらす。
【0094】
上記運送車両9の実施形態、運送車両運行管理システムの実施形態において、通信ユニット83はデジタコ車載器822の一要素であっても良い。また、通信ユニット83は荷室積載率測定システム81の車載ユニット3の一要素であっても良い。この場合は、デジタコ車載器822は車載ユニット3に接続され、デジタコデータは車載ユニット3内の記憶部33に記憶され、そこから管理サーバ7に送信されることになる。尚、デジタルタコグラフシステム81の構成については、特許文献3の各記載が参照され得る。
【0095】
上述した各実施形態において、荷室91は運送車両9が備えるものとして説明されたが、荷室91は、コンテナのように運送車両9から切り離されて移動するものであっても良い。この場合には、荷室積載率測定システムは、荷室91とともに一緒に移動し、積載率を随時測定可能であり、また外部に随時出力可能な構成となる。尚、このような場合には、車載ユニット3は自前の電源を備えることが望ましく、充電式のバッテリー等を備える構成が採用されることがある。
また、荷室91は、運送車両によって移動されないものであっても良い。即ち、船舶によって移動するコンテナ及び又は鉄道車両によって移動するコンテナであって運送車両には連結されないものであっても良い。
【0096】
尚、各実施形態において、最大積載量は入力部から入力されて記憶部33に記憶される定数であったが、空状態空間体積を最大積載体積として使用する場合もあり得る。この場合には、積載率算出23は、空状態空間体積から積載状態体積を減じて算出した積み荷の占有体積を空状態空間体積と比較して積載率を算出する。
【符号の説明】
【0097】
1 カメラ
11 カメラインターフェース
2 画像処理部
21 空状態体積算出部
22 積載状態体積算出部
23 積載率算出部
24 データ補正部
3 車載ユニット
33 記憶部
35 CPU
51 メインプログラム
52 撮影モジュール
53 体積算出モジュール
54 空状態測定プログラム
55 積載率測定プログラム
56 モニター出力プログラム
57 サーバ出力プログラム
58 データ補正プログラム
6 補助車載ユニット
7 管理サーバ
700 インターネット
71 管理用端末
72 記憶部
73 車両情報ファイル
74 運行状況ファイル
81 荷室積載率測定システム
82 デジタルタコグラフシステム
83 通信ユニット