(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061056
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】アダプタ及びアダプタ付き容器
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
A61J1/20 316A
A61J1/20 314B
A61J1/20 314C
A61J1/20 316Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168733
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】沖原 等
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047HH01
4C047HH02
4C047HH03
4C047HH06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】針部材に対する第1容器及び第2容器の接続順序を規定可能なアダプタ及びアダプタ付き容器を提供する。
【解決手段】アダプタ付き容器10は、シリンジ12とアダプタ14とを備える。アダプタ14は、針部材48、接続部材44及び規制解除部材50を有する。針部材48は、初期状態で、ストッパ40に当接することにより接続部材44に対する針部材48の接続方向の移動を規制する移動規制部96を有する。バイアルに押された規制解除部材50の接続方向への移動に伴いストッパ40が設けられた部材又は移動規制部96が弾性変形することにより、ストッパ40が移動規制部96から離脱して移動規制部96による針部材48の移動規制が解除される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薬剤が収容された第1容器の第1栓体を貫通する第1針と第2薬剤が収容された第2容器の第2栓体を貫通する第2針とを含む両頭針を有する針部材と、
前記第1容器の先端部に連結される連結部を有する接続部材と、を備えたアダプタであって、
前記第1薬剤及び前記第2薬剤の少なくとも一方が液体であり、
前記接続部材は、前記第1針が前記第1栓体を穿刺する接続方向に前記針部材を移動可能に保持する保持部を有し、
前記針部材は、前記第1容器の前記先端部に前記連結部を連結した初期状態で、前記第1容器の前記先端部又は前記接続部材に設けられたストッパに当接することにより、前記第1針が前記第1栓体を貫通しないように前記接続部材に対する前記針部材の前記接続方向の移動を規制する移動規制部を有し、
前記アダプタは、前記移動規制部による前記針部材の移動規制を解除するための規制解除部材を備え、
前記規制解除部材は、前記第2針が前記第2栓体を貫通するように前記第2容器を前記針部材に対して前記接続方向に移動させた時に前記第2容器に押されて前記針部材及び前記接続部材に対して前記接続方向に移動し、
前記規制解除部材の移動に伴い前記ストッパが設けられた部材又は前記移動規制部が弾性変形することにより、前記ストッパが前記移動規制部から離脱して前記移動規制が解除される、アダプタ。
【請求項2】
請求項1記載のアダプタであって、
前記第1容器の前記先端部は、環状のベース部から前記接続方向とは反対の先端方向に向かって延出した弾性変形可能な先端延出部を有し、
前記ストッパは、前記先端延出部に設けられ、
前記規制解除部材は、前記先端延出部を押圧する押圧部を有し、
前記押圧部が前記先端延出部を前記接続方向に押圧して前記先端延出部が前記接続方向と直交する方向に弾性変形することにより前記ストッパが前記移動規制部から離脱して前記移動規制が解除される、アダプタ。
【請求項3】
請求項2記載のアダプタであって、
前記押圧部は、前記初期状態で前記両頭針の周方向に間隔をあけて複数配置された前記先端延出部を押圧するように環状に形成され、
前記移動規制部は、複数の前記先端延出部に設けられた前記ストッパに当接するように環状に形成されている、アダプタ。
【請求項4】
請求項3記載のアダプタであって、
前記針部材は、
前記両頭針を支持する支持壁部と、
前記支持壁部から前記接続方向に延出した筒部と、を有し、
前記第1針は、前記支持壁部から前記接続方向に延出し、
前記第2針は、前記支持壁部から前記先端方向に延出し、
前記移動規制部は、前記筒部の延出端部に設けられている、アダプタ。
【請求項5】
請求項4記載のアダプタであって、
前記支持壁部には、貫通孔が形成され、
前記押圧部は、前記支持壁部よりも前記接続方向に位置し、
前記規制解除部材は、前記押圧部から前記先端方向に突出した凸部を有し、
前記凸部は、前記初期状態で、当該凸部の突出端部が前記支持壁部よりも前記先端方向に位置するように前記貫通孔に挿通されている、アダプタ。
【請求項6】
請求項5記載のアダプタであって、
前記貫通孔及び前記凸部の各々は、前記両頭針の周方向に間隔をあけて複数配置されている、アダプタ。
【請求項7】
請求項4記載のアダプタであって、
前記押圧部は、前記筒部の内部に位置して前記先端延出部を前記接続方向に押圧することにより当該先端延出部を径方向内方に弾性変形させる、アダプタ。
【請求項8】
請求項4記載のアダプタであって、
前記押圧部は、前記筒部の径方向外方に位置して前記先端延出部を前記接続方向に押圧することにより当該先端延出部を径方向外方に弾性変形させる、アダプタ。
【請求項9】
請求項1記載のアダプタであって、
前記第1容器は、シリンジであり、
前記アダプタは、前記連結部に当接して前記連結部の前記シリンジからの離脱を阻止するロック部材を備え、
前記ロック部材は、前記シリンジのプランジャの前進に伴い、前記プランジャから延び出た解除ロッドに押されて前記接続部材の前記連結部から外れて前記接続部材の前記シリンジからの離脱を可能とする、アダプタ。
【請求項10】
請求項9記載のアダプタであって、
前記連結部は、内方に突出し、前記シリンジの連結溝に係合する連結突起を有し、
前記連結突起は、前記シリンジに対して周方向に回転することで前記シリンジと前記接続部材との連結状態を解除する、アダプタ。
【請求項11】
請求項10記載のアダプタであって、
前記ロック部材は、前記連結突起の周方向に隣接して配置され、前記接続部材の周方向の回転を妨げるロック片を有する、アダプタ。
【請求項12】
請求項11記載のアダプタであって、
前記ロック片は、前記連結部の内周面と、前記シリンジのバレルの先端部の外周面との間に挿入され、前記連結突起と周方向から当接して前記接続部材の回動を阻止する、アダプタ。
【請求項13】
請求項11記載のアダプタであって、
前記接続部材は、軸方向に延在し、前記ロック片及び前記解除ロッドが挿通する挿通溝を有する、アダプタ。
【請求項14】
請求項9記載のアダプタであって、
前記針部材は、前記ロック部材と係合する爪部を有し、前記解除ロッドにより前記ロック部材を先端側に移動させると前記針部材と前記ロック部材とが前記爪部を介して連結される、アダプタ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のアダプタと、
前記第1容器と、を備えたアダプタ付き容器。
【請求項16】
請求項9~14のいずれか1項に記載のアダプタと、
前記シリンジと、を備え、
前記シリンジは、
内部に前記第1薬剤である薬液が収容されたバレルと、
前記薬液を封止するガスケットを有する前記プランジャと、
前記プランジャの基端から先端側に向けて延在し、前記シリンジの外側に配置された前記解除ロッドと、を備え、
前記シリンジの先端部に前記アダプタが接続された、アダプタ付き容器。
【請求項17】
請求項16記載のアダプタ付き容器であって、
前記シリンジは、前記ロック部材を当該シリンジに仮固定する凹凸構造を有する、アダプタ付き容器。
【請求項18】
請求項16記載のアダプタ付き容器であって、
前記シリンジは、前記解除ロッドを前記ロック部材に向けて案内する外筒をさらに有する、アダプタ付き容器。
【請求項19】
請求項18記載のアダプタ付き容器であって、
前記バレルは、外周部にリブ状突起を有し、前記外筒は前記リブ状突起に係合する係合溝を有する、アダプタ付き容器。
【請求項20】
請求項1~8のいずれか1項に記載のアダプタと、
前記第1容器と、を備え、
前記第1容器は、医療用バッグである、アダプタ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタ及びアダプタ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、第1薬剤及び第2薬剤(第1薬剤及び第2薬剤の少なくとも一方は液体である)を分離して保存し、使用直前に第1薬剤及び第2薬剤を混合して使用する混合薬液が使用されている。このような混合薬液は、例えば、第1薬剤が第1容器(例えば、シリンジ又は医療用バッグ)に封入され、第2薬剤が第2容器(例えば、バイアル)に封入されて提供される。
【0003】
混合薬液の調製は、例えば、第1薬剤が収容された第1容器と第2薬剤が収容された第2容器とをアダプタで接続して行われる(例えば、特許文献1)。このアダプタは、第1容器の第1栓体を貫通する第1針と第2容器の第2栓体を貫通する第2針とを含む針部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したアダプタに関し、針部材に対する第1容器及び第2容器の接続順序を規定可能なアダプタ及びアダプタ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の第1の態様は、第1薬剤が収容された第1容器の第1栓体を貫通する第1針と第2薬剤が収容された第2容器の第2栓体を貫通する第2針とを含む両頭針を有する針部材と、前記第1容器の先端部に連結される連結部を有する接続部材と、を備えたアダプタであって、前記第1薬剤及び前記第2薬剤の少なくとも一方が液体であり、前記接続部材は、前記第1針が前記第1栓体を穿刺する接続方向に前記針部材を移動可能に保持する保持部を有し、前記針部材は、前記第1容器の前記先端部に前記連結部を連結した初期状態で、前記第1容器の前記先端部又は前記接続部材に設けられたストッパに当接することにより、前記第1針が前記第1栓体を貫通しないように前記接続部材に対する前記針部材の前記接続方向の移動を規制する移動規制部を有し、前記アダプタは、前記移動規制部による前記針部材の移動規制を解除するための規制解除部材を備え、前記規制解除部材は、前記第2針が前記第2栓体を貫通するように前記第2容器を前記針部材に対して前記接続方向に移動させた時に前記第2容器に押されて前記針部材及び前記接続部材に対して前記接続方向に移動し、前記規制解除部材の移動に伴い前記ストッパが設けられた部材又は前記移動規制部が弾性変形することにより、前記ストッパが前記移動規制部から離脱して前記移動規制が解除される、アダプタである。
【0007】
このような構成によれば、第2針を第2栓体に貫通させる前の状態で、針部材の移動規制部がストッパに当接することにより針部材の接続部材に対する接続方向の移動が規制される。すなわち、使用者は、針部材に第2容器を接続する前に針部材に第1容器を接続できない。また、第2針が第2栓体を貫通した後で規制解除部材によって針部材の移動規制が解除されることにより、第1針を第1栓体に貫通させることができる。これにより、簡単な構成により、針部材に対する第1容器及び第2容器の接続順序を規制できる。
【0008】
(2)上記項目(1)記載のアダプタであって、前記第1容器の前記先端部は、環状のベース部から前記接続方向とは反対の先端方向に向かって延出した弾性変形可能な先端延出部を有し、前記ストッパは、前記先端延出部に設けられ、前記規制解除部材は、前記先端延出部を押圧する押圧部を有し、前記押圧部が前記先端延出部を前記接続方向に押圧して前記先端延出部が前記接続方向と直交する方向に弾性変形することにより前記ストッパが前記移動規制部から離脱して前記移動規制が解除されてもよい。
【0009】
このような構成によれば、規制解除部材の押圧部が先端延出部を接続方向に押圧することによりストッパを移動規制部から離脱させることができるため、簡単な構成により、移動規制部による針部材の移動規制を解除できる。
【0010】
(3)上記項目(2)記載のアダプタであって、前記押圧部は、前記初期状態で前記両頭針の周方向に間隔をあけて複数配置された前記先端延出部を押圧するように環状に形成され、前記移動規制部は、複数の前記先端延出部に設けられた前記ストッパに当接するように環状に形成されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、各先端延出部に設けられたストッパによって針部材の接続部材に対する移動を効果的に規制できる。また、環状の押圧部によって複数の先端延出部を弾性変形させることができる。
【0012】
(4)上記項目(2)又は(3)に記載のアダプタであって、前記針部材は、前記両頭針を支持する支持壁部と、前記支持壁部から前記接続方向に延出した筒部と、を有し、前記第1針は、前記支持壁部から前記接続方向に延出し、前記第2針は、前記支持壁部から前記先端方向に延出し、前記移動規制部は、前記筒部の延出端部に設けられてもよい。
【0013】
このような構成によれば、アダプタの構成をコンパクトにできる。
【0014】
(5)上記項目(4)記載のアダプタであって、前記支持壁部には、貫通孔が形成され、前記押圧部は、前記支持壁部よりも前記接続方向に位置し、前記規制解除部材は、前記押圧部から前記先端方向に突出した凸部を有し、前記凸部は、前記初期状態で、当該凸部の突出端部が前記支持壁部よりも前記先端方向に位置するように前記貫通孔に挿通されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、簡単な構成により、第2容器によって規制解除部材を接続方向に押圧できる。
【0016】
(6)上記項目(5)記載のアダプタであって、前記貫通孔及び前記凸部の各々は、前記両頭針の周方向に間隔をあけて複数配置されてもよい。
【0017】
このような構成によれば、第2容器から規制解除部材に押圧力を効率的に伝えることができる。
【0018】
(7)上記項目(4)~(6)のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記押圧部は、前記筒部の内部に位置して前記先端延出部を前記接続方向に押圧することにより当該先端延出部を径方向内方に弾性変形させてもよい。
【0019】
(8)上記項目(4)~(6)のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記押圧部は、前記筒部の径方向外方に位置して前記先端延出部を前記接続方向に押圧することにより当該先端延出部を径方向外方に弾性変形させてもよい。
【0020】
(9)上記項目(1)~(8)のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記第1容器は、シリンジであり、前記アダプタは、前記連結部に当接して前記連結部の前記シリンジからの離脱を阻止するロック部材を備え、前記ロック部材は、前記シリンジのプランジャの前進に伴い、前記プランジャから延び出た解除ロッドに押されて前記接続部材の前記連結部から外れて前記接続部材の前記シリンジからの離脱を可能としてもよい。
【0021】
このような構成によれば、プランジャを前進させて第2容器に第1薬剤を移送することでアダプタがシリンジから取り外し可能となる。従って、使用者は、第1薬剤を第2容器に移送する前にシリンジからアダプタを取り外すことができない。そのため、第1薬剤及び第2薬剤の混合忘れを防止できる。
【0022】
(10)上記項目(9)記載のアダプタであって、前記連結部は、内方に突出し、前記シリンジの連結溝に係合する連結突起を有し、前記連結突起は、前記シリンジに対して周方向に回転することで前記シリンジと前記接続部材との連結状態を解除してもよい。
【0023】
このような構成によれば、簡素な構成で、解除可能にシリンジに連結できる。
【0024】
(11)上記項目(10)記載のアダプタであって、前記ロック部材は、前記連結突起の周方向に隣接して配置され、前記接続部材の周方向の回転を妨げるロック片を有してもよい。
【0025】
このような構成によれば、ロック片により、接続部材がシリンジから離脱するのを防止できる。
【0026】
(12)上記項目(11)記載のアダプタであって、前記ロック片は、前記連結部の内周面と、前記シリンジのバレルの先端部の外周面との間に挿入され、前記連結突起と周方向から当接して前記接続部材の回動を阻止してもよい。
【0027】
このような構成によれば、簡素な構成で、接続部材の離脱を防止できる。
【0028】
(13)上記項目(11)又は(12)に記載のアダプタであって、前記接続部材は、軸方向に延在し、前記ロック片及び前記解除ロッドが挿通する挿通溝を有してもよい。
【0029】
このような構成によれば、解除ロッドで直接ロック片を押し出すことができ、構造が簡素化される。
【0030】
(14)上記項目(9)~(13)のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記針部材は、前記ロック部材と係合する爪部を有し、前記解除ロッドにより前記ロック部材を先端側に移動させると前記針部材と前記ロック部材とが前記爪部を介して連結されてもよい。
【0031】
このような構成によれば、アダプタの引き抜き動作を通じて針部材と共にロック部材の離脱を可能とすることができ、操作性に優れる。
【0032】
(15)本開示の第2の態様は、上記項目(1)~(14)のいずれか1項に記載のアダプタと、前記第1容器と、を備えたアダプタ付き容器である。
【0033】
(16)本開示の第3の態様は、上記項目(9)~(14)のいずれか1項に記載のアダプタと、前記シリンジと、を備え、前記シリンジは、内部に前記第1薬剤である薬液が収容されたバレルと、前記薬液を封止するガスケットを有する前記プランジャと、前記プランジャの基端から先端側に向けて延在し、前記シリンジの外側に配置された前記解除ロッドと、を備え、前記シリンジの先端部に前記アダプタが接続された、アダプタ付き容器である。
【0034】
(17)上記項目(16)記載のアダプタ付き容器であって、前記シリンジは、前記ロック部材を当該シリンジに仮固定する凹凸構造を有してもよい。
【0035】
このような構成によれば、ロック部材の離脱を防止することで、接続部材の離脱を防止できる。
【0036】
(18)上記項目(16)又は(17)に記載のアダプタ付き容器であって、前記シリンジは、前記解除ロッドを前記ロック部材に向けて案内する外筒をさらに有してもよい。
【0037】
このような構成によれば、解除ロッドがロック部材に当接するように案内されるため、操作性に優れる。
【0038】
(19)上記項目(18)記載のアダプタ付き容器であって、前記バレルは、外周部にリブ状突起を有し、前記外筒は前記リブ状突起に係合する係合溝を有してもよい。
【0039】
このような構成によれば、簡単な構成で外筒をバレルに固定できる。
【0040】
(20)本開示の第4の態様は、上記項目(1)~(8)のいずれか1項に記載のアダプタと、前記第1容器と、を備え、前記第1容器は、医療用バッグである、アダプタ付き容器である。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、簡単な構成により、針部材に対する第1容器及び第2容器の接続順序を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るアダプタ付き容器の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1のアダプタ付き容器の先端部の縦断面図である。
【
図9】
図9は、アダプタとシリンジとの接続構造の説明図である。
【
図17】
図17は、変形例に係る構成を備えたアダプタ付き容器の先端部の縦断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第2実施形態に係るアダプタ付き容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係るアダプタ付き容器10は、第1容器であるシリンジ12と、アダプタ14とを有する。
【0044】
シリンジ12は、第1薬剤の一例である薬液を予め収容したプレフィルドシリンジである。薬液は、第2薬剤の一例である固体薬剤(例えば、粉剤)と混合して混合薬液(混合薬剤)の調製に供される液体であり、例えば、溶解液(生理食塩水や希釈用水)等が用いられる。シリンジ12には、使用前に、アダプタ14を介して固体薬剤を収容した第2容器であるバイアル500が接続される。シリンジ12内の薬液は、バイアル500に移された後、バイアル500の内部の固体薬剤と混合される。バイアル500の内部の混合薬液は、シリンジ12の内部に移されて投与に供される。
【0045】
このようなアダプタ付き容器10において、アダプタ14は、
図8に示すように、シリンジ12のキャップ24を覆うことで、バイアル500の接続前の注射針の装着を阻止して、シリンジ12の生理食塩水等の誤投与を防止する。アダプタ14は、初期状態においてシリンジ12から取り外しができないように、ロックされている。アダプタ14は、プランジャ22を先端側(ノズル18が位置する方向)に前進させることでロックを解除し、シリンジ12から取り外し可能となる。アダプタ付き容器10は、さらに以下の構成を有する。
【0046】
図2に示すように、シリンジ12は、バレル16、ガスケット20、プランジャ22、外筒23及びキャップ24を有する。バレル16は、円筒状の胴体部17と、胴体部17の先端から先端方向に突出したノズル18と、ノズル18を囲むロック筒19とを有する。胴体部17は、内部に軸線方向(シリンジ12の中心軸線に沿う方向であり、先端側及び基端側の方向)に延在する空洞部17aを有する。ガスケット20は、空洞部17aに軸線方向に摺動可能に配置される。
【0047】
図3に示すように、バレル16は胴体部17から外方に突出したリブ状突起17bを有する。リブ状突起17bは軸線方向に延在する。リブ状突起17bは、周方向に等間隔に離間して2つ設けられる。リブ状突起17bは、外筒23の係合溝23aと係合することで、バレル16と外筒23とを連結する。
【0048】
バレル16は、基端にフランジ17cを有する。フランジ17cには、解除ロッド22aが挿通可能な切欠部17dが形成されている。切欠部17dは、リブ状突起17bと周方向に90°離れて位置する。
【0049】
図4Bに示すように、外筒23は、軸線方向に垂直な断面が楕円形状の筒状部材である。外筒23は、内周部に一対の係合溝23aと、一対のスライド溝23bとを有する。係合溝23aは、短径方向の内周面に位置し、リブ状突起17bと係合する。スライド溝23bは、長径方向の内周面に位置する。スライド溝23bは、軸線方向に延在する。スライド溝23bは、プランジャ22の解除ロッド22aを軸線方向に摺動可能に収容する。
【0050】
図2に示すように、ノズル18及びロック筒19は、バレル16の先端部を構成する。ノズル18は、内部に収容室26に連通する流路18aを有する。ロック筒19は、ノズル18の外側方を囲む円筒状の部分である。ロック筒19は、注射針を保持する部材であり、内周部19bに注射針を螺合するためのネジ構造を有している。
【0051】
図4Aに示すように、ロック筒19は、外周部19aに、アダプタ14を保持するための連結溝28を有する。連結溝28は、第1連結溝28a、第2連結溝28b及び係合凹部28cを有する。
【0052】
第1連結溝28aは、ロック筒19を肉薄にした軸線方向に延在する溝である。第2連結溝28bは、ロック筒19の周方向に短く延在する溝である。第2連結溝28bの周方向の一端は、第1連結溝28aの軸線方向の途中で第1連結溝28aに接続する。係合凹部28cは、第1連結溝28aの内部に位置する。係合凹部28cは、第1連結溝28aよりも内方に凹んでいる。係合凹部28cは、ロック部材46(
図5参照)をロック筒19に仮固定する凹凸構造29の一部を構成する。特に図示しないが、連結溝28は、
図4Aのロック筒19の周方向の反対側にも形成されている。
【0053】
図2に示すように、ガスケット20は、バレル16の内部に配置され、収容室26の基端を液密及び気密に封止する。ガスケット20の基端には、プランジャ22が接続されている。プランジャ22は、使用者の操作入力部であり、ガスケット20を前進又は後退させる。
【0054】
本実施形態のプランジャ22は、解除ロッド22aと、プランジャ本体22bとを有する。プランジャ本体22bは、ガスケット20の基端側に延び、バレル16の内部に挿入される部分である。解除ロッド22aは、バレル16の外側に配置される軸線方向に延びる棒状の部材である。解除ロッド22aは、プランジャ22の基端付近において、プランジャ本体22bと繋がっている。解除ロッド22aは、軸線方向の先端側に向けて延在する。
図4Bに示すように、解除ロッド22aの外側の一部は、スライド溝23bに収容され、スライド溝23bに沿って軸線方向に移動する。
【0055】
図2に示すように、解除ロッド22aは、先端に押出部22cを有する。押出部22cは、ガスケット20よりも先端側に突出する。押出部22cは、バレル16の外周面に隣接して配置される。シリンジ12の周方向において、押出部22cは、第1連結溝28aと同じ方向に配置される。プランジャ22を先端側に変位させると押出部22cは、第1連結溝28aの外側に重なる位置に突出する(
図13参照)。
【0056】
押出部22cは、解除ロッド22aにおいて他の部分よりも径方向の内方に突出しており、押出部22cの基端に段部22dを形成する。段部22dは、後述するように、プランジャ22を基端側に引いた際に、バレル16のフランジ17cに引っ掛かることで、プランジャ22のバレル16からの引き抜けを阻止する(
図14参照)。
【0057】
図2に示すように、キャップ24は、バレル16の先端に装着され、バレル16の収容室26を封止する。キャップ24は、第1栓体30とケース32とを有する。第1栓体30は、ゴム等の弾性素材によって形成され、ノズル18の先端及び外周に当接する。第1栓体30は、先端側に開口する先端凹部30aを有する。先端凹部30aは、後述する基端針90(
図8参照)を収容する。
【0058】
図2及び
図4Aにおいて、ケース32は、第1栓体30よりも硬質な樹脂材料等によって形成されている。ケース32は、内部に第1栓体30を保持する。キャップ24は、主に摩擦力によってバレル16の先端部に保持される。
【0059】
ケース32は、ベース部34と、複数の先端延出部36とを有する。ベース部34は、ケース32の基端部を形成する環状部である。ベース部34は、アダプタ付き容器10の初期状態において、第1栓体30の基端部と共に、ノズル18とロック筒19との間の隙間に挿入されている。
【0060】
複数の先端延出部36は、ベース部34から先端方向に向かって延出すると共に周方向に間隔をあけて配置されている。すなわち、周方向に互いに隣接する先端延出部36の間には、スリット38が設けられている。先端延出部36は、ベース部34の周方向に等間隔に4つ設けられている。ただし、先端延出部36は、1つ、2つ、3つ、又は5つ以上であってもよい。
【0061】
先端延出部36は、弾性変形可能に形成されている。換言すれば、先端延出部36は、ベース部34に対して径方向に撓ませることができる。先端延出部36の外周面には、径方向外方に突出した板状のストッパ40が設けられている。ストッパ40は、先端延出部36の延出方向の中間部に位置している。ストッパ40は、先端延出部36の周方向の全幅に渡って延在している。ストッパ40のうち先端方向を向く面40aは、シリンジ12の軸線方向と直交する平坦面である。
【0062】
先端延出部36の延出端部には、径方向外方に突出した接触凸部42が設けられている。接触凸部42の先端延出部36からの突出長は、ストッパ40の先端延出部36からの突出長よりも短い。すなわち、ストッパ40の突出端は、接触凸部42の突出端よりも径方向外方に位置する。換言すれば、ストッパ40は、接触凸部42よりも径方向外方に突出している。
【0063】
接触凸部42は、シリンジ12の軸線方向と直交する方向から見た断面視で、三角形状に形成されている。接触凸部42は、先端延出部36の延出端(シリンジ12の最先端)から径方向外方に向かって基端方向に傾斜した傾斜面42aを含む。
【0064】
図5~
図7に示すように、アダプタ14は、接続部材44、ロック部材46、針部材48及び規制解除部材50を有する。接続部材44は、
図1に示す初期状態において、シリンジ12に接続されている。接続部材44は、筒状の形状を有する。接続部材44の内部には、ロック部材46、針部材48及び規制解除部材50が収容されている(
図5参照)。
【0065】
図6及び
図7において、接続部材44は、連結部52、中間部54及び保持筒56(保持部)を有する。連結部52は、接続部材44の基端側を形成し、接続部材44の中で最も小さな外径寸法を有する。連結部52の内径寸法は、ロック筒19の外径寸法よりも大きい(
図8参照)。
【0066】
図7に示すように、連結部52は、連結突起58と、挿通溝60とを有する。連結突起58は、内周面52aから内方に向けて突出した線状の突起であり、周方向に短く延びる。
図9に示すように、連結突起58は、ロック筒19の外周部19aに形成(
図4A参照)された第2連結溝28bに挿入可能な寸法を有する。初期状態において、連結突起58は、第2連結溝28bに係合して、接続部材44のシリンジ12からの離脱を阻止する。連結突起58は、連結部52の周方向に180°の角度をあけて2つ配置されている。
【0067】
図7において、挿通溝60は、連結部52から外方に向けて膨出する溝状の部分である。挿通溝60は、連結突起58と周方向にずれた位置に配置される。軸線方向に延在する挿通溝60は、解除ロッド22a(押出部22c)及びロック片68の挿通を許容する。
図8に示すように、初期状態において、挿通溝60は、第1連結溝28aと重なる位置に配置され、ロック部材46のロック片68を収容する。挿通溝60は、周方向に180°離れて2つ設けられる。
【0068】
図5~
図7に示すように、中間部54は、軸線方向において連結部52と保持筒56との間に位置し、段差部を介して連結部52及び保持筒56と一体的に繋がる。中間部54は、連結部52よりも大きな外径を有し、且つ保持筒56よりも小さな外径を有する筒状の形状を有する。
図8に示すように、初期状態において、中間部54は、ロック部材46の筒状の本体部72を軸線方向に摺動可能に収容する。中間部54の内周面は、ロック部材46の本体部72よりも僅かに大きな内径寸法を有する。なお、中間部54の内周面は、本体部72から離間してもよい。
【0069】
図6及び
図7に示すように、中間部54は、周方向に180°の間隔をあけて2つの膨出部62を有する。膨出部62は、中間部54から外方に膨出した部分であり、軸線方向に延在する。
図7に示すように、膨出部62は、内部に軸線方向に延びる収容凹部62aを形成する。膨出部62は、挿通溝60に対して周方向に90°ずれた部分に位置する。
図5に示すように、初期状態において、中間部54は、収容凹部62aの内部でロック部材46の嵌合部76を収容する。
【0070】
図6及び
図7に示すように、保持筒56は、接続部材44の先端側を形成する。保持筒56は、連結部52及び中間部54よりも大きな外径寸法を有する円筒形状に形成される。保持筒56は、内部に収容空間56aを有する。収容空間56aは、針部材48を軸線方向に移動可能に収容する。保持筒56は、さらに案内部64と、離脱防止爪66とを有する。保持筒56は、周方向に180°の角度間隔をあけて2つの案内部64を有する。
【0071】
案内部64は、内部に案内溝64aを形成する。各々の案内溝64aは、保持筒56の内周面56bに対して外周側に向けて凹んだ溝であり、軸線方向に延在する。案内溝64aの先端部は、保持筒56の先端において開口する。案内溝64aは、挿通溝60と周方向の同じ位置に配置されている。
図8に示すように、案内溝64aは、針部材48の第2案内凸部116を軸線方向に摺動可能に収容する。案内溝64aは、針部材48の周方向の回転を阻止する。
【0072】
図6に示すように、離脱防止爪66は、保持筒56の内周面から内方に突出する。離脱防止爪66は、保持筒56の先端の開口部56cの近傍に位置する。離脱防止爪66は、針部材48の外周爪118と当接可能な周方向の位置に配置される。特に限定されるものではないが、図示の例では、離脱防止爪66は、各々の案内溝64aに隣接して2つ、合計4個設けられている。離脱防止爪66は、針部材48の外周爪118に当接することで、針部材48の保持筒56からの離脱を阻止する。
【0073】
図5に示すように、アダプタ14のロック部材46は、接続部材44の内部に配置される。
図6及び
図7に示すように、ロック部材46は、ロック片68、仮止部70及び本体部72を有する。ロック片68は、初期状態において、バレル16の先端部の外周と、接続部材44との隙間に挿入される部分である(
図8及び
図9参照)。
【0074】
ロック片68は、本体部72の基端から軸線方向に延び出た板状の部分である。ロック片68は、周方向に180°離れて2つ配置されている。ロック片68は、ロック筒19の周方向に沿って湾曲する。ロック片68の周方向の寸法は、
図4Aに示すロック筒19の第1連結溝28aの周方向の寸法よりも僅かに小さい。
図9に示すように、初期状態において、ロック片68は、内周側の一部がロック筒19の第1連結溝28aに収容される。ロック片68は、第2連結溝28bに収容された連結突起58の周方向の変位を阻止し、連結突起58の第2連結溝28bからの離脱を阻止するロック機構を構成する。ロック片68は、外方に突出する当接リブ74を有する。
【0075】
図7に示すように、仮止部70は、ロック片68の内周面から内方に向けて突出する。仮止部70は、
図4Aに示すロック筒19の係合凹部28cに係合可能な部位に位置する。初期状態において、
図8に示すように、仮止部70は、係合凹部28cに係合する。仮止部70は、係合凹部28cと係合することで、摩擦抵抗を増加させ、ロック筒19を先端側に変位させる力に対して、適度な抵抗を発生させる。仮止部70は、解除ロッド22aにより所定以上の力で先端側に押圧されると、係合凹部28cから離脱する。仮止部70及び係合凹部28cは、ロック部材46をシリンジ12のロック筒19に仮固定する凹凸構造29を構成する。
【0076】
図6及び
図7に示すように、本体部72は、ロック片68の先端側に位置する円筒状の部分である。本体部72は、基端壁72aを介してロック片68と接続されている。本体部72は、内部に空洞部72bを有する。空洞部72bの基端は基端壁72aによって部分的に塞がれ、空洞部72bは先端側に向けて開口する。空洞部72bには、針部材48の基端筒94が挿入される。
【0077】
本体部72は、針部材48に連結される嵌合部76を有する。嵌合部76は、周方向に180°離れて2つ設けられている。嵌合部76は、ロック片68に対して周方向に90°離れて位置する。嵌合部76は、先端側が軸線方向に延びる一対の分離溝78を介して本体部72から分離されている。
【0078】
分離溝78は、本体部72の先端部から基端壁72aにまで延在する。そのため、嵌合部76は、基端壁72aを介して本体部72に繋がっている。このような分離溝78は、嵌合部76の径方向への弾性変形を容易にする。嵌合部76は、弾性変形時に接続部材44の収容凹部62aに挿入される。
【0079】
嵌合部76は、さらに、窓部80と、嵌合突起82とを有する、窓部80は、嵌合部76を厚さ方向(径方向)に貫通する矩形状の孔である。窓部80には、解除ロッド22aによりロック部材46を先端方向に押圧した際に針部材48の第1爪部材98が内方から入り込む。嵌合突起82は、窓部80の先端側に隣接して形成される。嵌合突起82は、基端部に軸線方向に対して垂直に切り立った端面82aを有する(
図5参照)。端面82aは、針部材48の第1爪部材98と引っ掛かることで、針部材48とロック部材46とを連結する。
【0080】
以上のようなロック部材46は、
図8に示すように、初期状態においてロック片68が接続部材44の内周面とロック筒19の外周面との間に挿入される。
図9に示されるように、初期状態において、ロック片68は、連結突起58の周方向から当接することで、接続部材44の回動を阻止する。
【0081】
図5に示すように、アダプタ14の針部材48は、ロック部材46の先端側に位置する。針部材48は、接続部材44に、軸線方向に移動可能に収容される。
図7において、針部材48は、キャップ接続部84、両頭針86及びバイアル接続部88を有する。キャップ接続部84は、針部材48の基端側を形成し、キャップ24に接続される部分である。バイアル接続部88は、キャップ接続部84の先端側に位置し、バイアル500が接続される部分である。両頭針86は、第1針である基端針90と、第2針である先端針92とにより構成される。
【0082】
図5及び
図7において、キャップ接続部84は、基端針90と基端筒94とを有する。基端針90は、中心軸線に沿って軸線方向に基端側に向けて突出する。基端針90の端部には、キャップ24の第1栓体30を貫通可能な鋭利な針先90aが形成される。基端針90の針先90aは、移動規制部96よりも基端方向に位置する。基端針90の内部には流路90bが形成される。
【0083】
基端筒94は、基端針90の周囲を囲むようにして基端側(基端針90が第1栓体30を穿刺する接続方向)に向けて突出した円筒状の壁よりなる。
図8に示すように、基端筒94は、先端延出部36の先端部を収容可能な内径寸法を有する。基端筒94の延出端部は、先端延出部36に設けられたストッパ40の面40aに当接して基端針90が第1栓体30を貫通しないように接続部材44に対する針部材48の基端方向(接続方向)の移動を規制する移動規制部96を有する。移動規制部96は、針部材48の軸線と直交する平坦な規制面96aを有する。
【0084】
また、
図6に示すように、基端筒94は、外周部に第1爪部材98(爪部)と、第1案内凸部100とを有する。第1爪部材98は、基端筒94の外周部から外方に突出する。第1爪部材98は、周方向に延びる。第1爪部材98は、先端に軸線方向に対して垂直に切り立った先端面を有する。
図5に示すように、第1爪部材98は、嵌合部76の窓部80に挿入されることにより、嵌合突起82と嵌合可能である。第1爪部材98は、嵌合部76と嵌合することで、ロック部材46と針部材48とを強固に接続する。
【0085】
図6において、第1案内凸部100は、基端筒94の周方向の両側に間隔をあけて2つずつ設けられている。第1案内凸部100は、基端筒94の基端部に位置する。第1案内凸部100は、基端筒94の軸線方向に沿って延在している。第1案内凸部100は、ロック部材46の分離溝78に挿入可能である(
図15参照)。
【0086】
図7に示すように、針部材48のバイアル接続部88は、先端針92と先端筒102とを有する。先端針92は、中心軸線に沿って先端側に向けて突出する。先端針92は、バイアル500の第2栓体504を貫通可能な長さを有し、先端に鋭利な針先92aを有する。先端針92の針先92aは、接続凹部106内に位置する。先端針92は、内部に軸線方向に貫通する流路92bを有する。流路92bは、基端針90の流路90bに連通する。
【0087】
先端筒102は、基端筒94よりも大きな外径の円筒形状を有する。先端筒102は、支持壁部104を介して基端筒94と接続されている。先端筒102は、内側にバイアル500の口部502(
図11参照)を収容する接続凹部106を有する。
【0088】
図7に示すように、接続凹部106は、基端方向から支持壁部104によって覆われている。接続凹部106は、先端方向に開口する。先端筒102は、バイアル500の口部502を保持する保持片108を有する。
図6及び
図7に示すように、保持片108は、バイアル500の口部502(
図1参照)に嵌合する突起110を有する。保持片108は、周方向の両側部に一対の分離溝112を有する。分離溝112は、保持片108の径方向に弾性変形しやすくすることで、針部材48への口部502の接続を容易にする。
【0089】
図7において、支持壁部104は、両頭針86を支持する。基端針90は、支持壁部104の中心部から基端方向に突出している。支持壁部104には、両頭針86の周方向に間隔をあけて4つの貫通孔114が形成されている。貫通孔114は、基端筒94の内部と接続凹部106とを互いに連通させる。貫通孔114は、支持壁部104の周方向に沿って延在した矩形の孔である。
【0090】
図6に示すように、先端筒102は、外周部に第2案内凸部116と外周爪118とを有する。第2案内凸部116は、先端筒102の外周部に2つ設けられる。第2案内凸部116は、第1爪部材98の中心に対して周方向に90°離れた位置に形成される。第2案内凸部116は、先端筒102から外周に向けて突出した板状の突起である。第2案内凸部116は、軸線方向に長く延びる。第2案内凸部116は、接続部材44の案内溝64aに挿入されて、針部材48の接続部材44に対する周方向の回転を規制する。外周爪118は、接続部材44の離脱防止爪66に係合する。外周爪118は、第2案内凸部116に隣接して2つ配置されている(
図7参照)。
【0091】
図5に示すように、針部材48には、シリンジ12及び接続部材44に対する針部材48の移動の規制を解除するための規制解除部材50が基端方向(接続方向)に移動可能に設けられている。
図5~
図7において、規制解除部材50は、環状の押圧部120と、凸部122とを有する。押圧部120は、押圧本体124と、端壁部126とを含む。押圧本体124は、円筒状に延在している。押圧本体124の基端部は、初期状態でシリンジ12の先端延出部36の傾斜面42aに当接している(
図8参照)。端壁部126は、押圧本体124の先端部に位置する。端壁部126の中央には、基端針90を挿通させるための挿通孔128が形成されている。
【0092】
凸部122は、端壁部126から先端方向に突出している。凸部122は、端壁部126の周方向に間隔をあけて4つ設けられている。凸部122は、両頭針86の周方向に沿って延在している。
図8に示すように、初期状態で、凸部122は、支持壁部104の貫通孔114に挿通されている。すなわち、初期状態で、凸部122の突出端面は、接続凹部106内に位置している。
【0093】
アダプタ14は、初期状態において、接続部材44がシリンジ12のロック筒19に接続される。ロック部材46のロック片68は、接続部材44とロック筒19の外周部との間に挿入される。
図9に示すように、ロック部材46のロック片68は、第1連結溝28aに挿入されて、接続部材44の連結突起58に、周方向に隣接する。ロック片68は、連結突起58の周方向の回動を阻止することで、連結突起58の第2連結溝28bからの離脱を阻止し、接続部材44がシリンジ12に連結された状態を保持する。
【0094】
図8に示すように、ロック部材46は、仮止部70を通じてロック筒19に仮固定される。ロック部材46は、プランジャ22の解除ロッド22aによって先端側に押し出されるまで、仮固定された状態に保たれ、接続部材44とシリンジ12との連結状態を保持する。
【0095】
初期状態において、針部材48がロック部材46の先端側に位置すると共に基端針90の針先90aが第1栓体30の先端凹部30aに配置される。また、シリンジ12の先端延出部36が基端筒94の内部に挿入された状態で接触凸部42の傾斜面42aが規制解除部材50の押圧部120に接触又は近接する。さらに、針部材48の移動規制部96の規制面96aは、シリンジ12のストッパ40の面40aに当接している。これにより、針部材48のシリンジ12及び接続部材44に対する基端方向(接続方向)への移動が規制される。
【0096】
アダプタ付き容器10は、以下のように使用される。
【0097】
アダプタ付き容器10は、初期状態において、
図8に示すように、アダプタ14がシリンジ12から離脱不能に連結されている。従って、アダプタ付き容器10は、使用者がシリンジ12内の薬液の調製を行う前に、シリンジ12からアダプタ14を取り外して注射針を付けるといった、誤使用の発生を防止する。
【0098】
図10に示すように、アダプタ付き容器10は、アダプタ14にバイアル500を挿入して使用される。バイアル500は、第2栓体504を有する口部502が針部材48の先端筒102の接続凹部106に挿入される。バイアル500の内部には、固体薬剤が封入されている。
【0099】
バイアル500がシリンジ12に向けて押し込まれると、
図11に示すように、針部材48の先端針92がバイアル500の第2栓体504を貫通する。先端針92が第2栓体504を貫通した時点で、針部材48の基端方向への移動は移動規制部96とストッパ40とによって規制されているため、基端針90が第1栓体30を貫通することはない。
【0100】
続いて、バイアル500がシリンジ12に向けてさらに押し込まれると、バイアル500によって規制解除部材50の凸部122が基端方向に押し込まれる。そうすると、規制解除部材50の押圧部120が先端延出部36の接触凸部42の傾斜面42aを基端方向に押圧するため、先端延出部36は、径方向内方に弾性変形する(撓む)。これにより、ストッパ40が径方向内方に変位するため、移動規制部96がストッパ40から離脱する。すなわち、針部材48の接続部材44に対する基端方向の移動の規制が解除される。
【0101】
その後、
図12に示すように、バイアル500によって基端方向に押された針部材48は、接続部材44に対して基端方向(接続方向)に移動し、基端針90がキャップ24の第1栓体30を貫通する。これにより、シリンジ12の収容室26とバイアル500の内部とが、針部材48の流路90b、92bを介して連通する。
【0102】
図13に示すように、その後、プランジャ22を先端側に向けて押圧する操作が行われる。この操作により、ガスケット20がバレル16の内壁先端に当接するまで、プランジャ22が先端側に変位する。プランジャ22が先端側に変位すると、解除ロッド22aの押出部22cが接続部材44の挿通溝60に挿入される。押出部22cは、ロック部材46のロック片68を先端側に押し出すことで、ロック部材46とロック筒19との仮固定を解除する。
【0103】
図9及び
図15から理解されるように、ロック片68は、押出部22cによって、第1連結溝28aから押し出される。ロック部材46が押し出されることに伴って、分離溝78が第1案内凸部100に挿入される。これにより、基端筒94の周方向において、嵌合部76の窓部80と第1爪部材98とが位置決めされる。そのため、嵌合部76の窓部80に針部材48の第1爪部材98がスムーズに嵌合する。以後、ロック部材46は、針部材48と一体的に変位する。
【0104】
また、
図13において、ガスケット20が先端側に変位することにより、収容室26の薬液がバイアル500の内部に導入される。そして、バイアル500の内部で薬液と固体薬剤とが混合されて、混合薬液の調製が行われる。
【0105】
次に、
図14に示すように、プランジャ22を基端側に引き込む操作が行われる。これにより、バイアル500の混合薬液が、シリンジ12の収容室26に導入される。
図14及び
図15に示すように、プランジャ22を基端側に変位すると、押出部22cが接続部材44から抜け出る。また、段部22dがフランジ17cに突き当たる。段部22dは、フランジ17cと当接してプランジャ22の基端側への変位を阻止することで、プランジャ22のバレル16からの引き抜けを阻止する。
【0106】
次に、
図15に示すようにアダプタ14がシリンジ12のバレル16から取り外される。このとき、第1連結溝28aには、ロック片68が存在しないため、連結突起58を第1連結溝28aに移動させることができる。使用者の操作により、接続部材44がシリンジ12に対して回転されることで、連結突起58が第1連結溝28aへと移動する。これにより、接続部材44とバレル16の先端部との連結が解除可能となる。
【0107】
その後、
図16に示すように、使用者の操作により、アダプタ14が軸線方向の先端側に引き抜かれることで、アダプタ14はバレル16から外れる。この時、複数の先端延出部36が復元力(弾性力)によって押圧部120の内周面に押し付けられている。また、針部材48に接続されたロック部材46の基端壁72aがストッパ40に当たるため、キャップ24がアダプタ14と共にバレル16から外れる。これにより、第1栓体30がノズル18から開封される。なお、使用者は、バイアル500をアダプタ14から取り外した後で、アダプタ14をバレル16から取り外してもよい。その後、アダプタ14が外されたバレル16のノズル18に図示しない注射針が取り付けられて、混合薬液の投与に供される。
【0108】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0109】
本実施形態によれば、先端針92を第2栓体504に貫通させる前の状態で、針部材48の移動規制部96がストッパ40に当接することにより針部材48の接続部材44に対する基端方向(接続方向)の移動が規制される。すなわち、使用者は、針部材48にバイアル500を接続する前に針部材48にシリンジ12を接続できない。また、先端針92が第2栓体504を貫通した後で移動規制部96による針部材48の移動の規制が解除されることにより、基端針90を第1栓体30に貫通させることができる。これにより、簡単な構成により、針部材48に対するバイアル500及びシリンジ12の接続順序を規制できる。また、本実施形態では、第1薬剤が薬液であり第2薬剤が固体薬剤である例を示している。この場合、固体薬剤を収容するバイアル500が薬液を収容するシリンジ12よりも先に針部材48に接続されるため、シリンジ12に収容されている薬液の漏出を抑制できる。
【0110】
シリンジ12の先端部は、環状のベース部34から先端方向(接続方向とは反対の方向)に向かって延出した弾性変形可能な先端延出部36を有する。ストッパ40は、先端延出部36に設けられている。規制解除部材50は、先端延出部36を押圧する押圧部120を有する。押圧部120が先端延出部36を基端方向(接続方向)に押圧して先端延出部36が接続方向と直交する方向に弾性変形することによりストッパ40が移動規制部96から離脱して移動規制が解除される。
【0111】
このような構成によれば、規制解除部材50の押圧部120が先端延出部36を接続方向に押圧することによりストッパ40を移動規制部96から離脱させることができるため、簡単な構成により、移動規制部96による針部材48の移動規制を解除できる。
【0112】
押圧部120は、初期状態で両頭針86の周方向に間隔をあけて複数配置された先端延出部36を押圧するように環状に形成されている。移動規制部96は、複数の先端延出部36の各々に設けられたストッパ40に当接するように環状に形成されている。
【0113】
このような構成によれば、各先端延出部36に設けられたストッパ40によって針部材48の接続部材44に対する移動を効果的に規制できる。また、環状の押圧部120によって複数の先端延出部36を弾性変形させることができる。
【0114】
針部材48は、両頭針86を支持する支持壁部104と、支持壁部104から接続方向に延出した基端筒94とを有する。基端針90は、支持壁部104から接続方向に延出する。先端針92は、支持壁部104から先端方向に延出する。移動規制部96は、基端筒94の延出端部に設けられている。
【0115】
このような構成によれば、アダプタ14の構成をコンパクトにできる。
【0116】
支持壁部104には、貫通孔114が形成されている。押圧部120は、支持壁部104よりも接続方向に位置している。規制解除部材50は、押圧部120から先端方向に突出した凸部122を有する。凸部122は、初期状態で、凸部122の突出端部が支持壁部104よりも先端方向に位置するように貫通孔114に挿通されている。
【0117】
このような構成によれば、簡単な構成により、バイアル500によって規制解除部材50を接続方向に押圧できる。
【0118】
貫通孔114及び凸部122の各々は、両頭針86の周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0119】
このような構成によれば、バイアル500から規制解除部材50に押圧力を効率的に伝えることができる。
【0120】
アダプタ14は、連結部52に当接して連結部52のシリンジ12からの離脱を阻止するロック部材46を備える。ロック部材46は、シリンジ12のプランジャ22の前進に伴い、プランジャ22から延び出た解除ロッド22aに押されて接続部材44の連結部52から外れて接続部材44のシリンジ12からの離脱を可能とする。
【0121】
このような構成によれば、プランジャ22を前進させてバイアル500に薬液を移送することでアダプタ14がシリンジ12から取り外し可能となる。従って、使用者は、薬液をバイアル500に移送する前にシリンジ12からアダプタ14を取り外すことができない。そのため、薬液及び固体薬剤の混合忘れを防止できる。
【0122】
連結部52は、内方に突出し、シリンジ12の連結溝28に係合する連結突起58を有する。連結突起58は、シリンジ12に対して周方向に回転することでシリンジ12と接続部材44との連結状態を解除する。
【0123】
このような構成によれば、簡素な構成で、解除可能にシリンジ12に連結できる。
【0124】
ロック部材46は、連結突起58の周方向に隣接して配置され、接続部材44の周方向の回転を妨げるロック片68を有する。
【0125】
このような構成によれば、ロック片68により、接続部材44がシリンジ12から離脱するのを防止できる。
【0126】
ロック片68は、連結部52の内周面と、シリンジ12のバレル16の先端部の外周面との間に挿入され、連結突起58と周方向から当接して接続部材44の回動を阻止する。
【0127】
このような構成によれば、簡素な構成で、接続部材44の離脱を防止できる。
【0128】
接続部材44は、軸方向に延在し、ロック片68及び解除ロッド22aが挿通する挿通溝60を有する。
【0129】
このような構成によれば、解除ロッド22aで直接ロック片68を押し出すことができ、構造が簡素化される。
【0130】
針部材48は、ロック部材46と係合する第1爪部材98を有する。解除ロッド22aによりロック部材46を先端側に移動させると針部材48とロック部材46とが第1爪部材98を介して連結される。
【0131】
このような構成によれば、アダプタ14の引き抜き動作を通じて針部材48と共にロック部材46の離脱を可能とすることができ、操作性に優れる。
【0132】
シリンジ12は、ロック部材46を当該シリンジ12に仮固定する凹凸構造29を有する。
【0133】
このような構成によれば、ロック部材46の離脱を防止することで、接続部材44の離脱を防止できる。
【0134】
シリンジ12は、解除ロッド22aをロック部材46に向けて案内する外筒23をさらに有する。
【0135】
このような構成によれば、解除ロッド22aがロック部材46に当接するように案内されるため、操作性に優れる。
【0136】
バレル16は、外周部にリブ状突起17bを有し、外筒23はリブ状突起17bに係合する係合溝23aを有する。
【0137】
このような構成によれば、簡単な構成で外筒23をバレル16に固定できる。
【0138】
(変形例)
本実施形態では、
図17に示すように、シリンジ12が変形例に係るキャップ140を有すると共に、アダプタ14が変形例に係る規制解除部材142及び針部材144を有してもよい。変形例に係るキャップ140、規制解除部材142及び針部材144において、上述した構成と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0139】
キャップ140のケース146は、ベース部34と、複数の先端延出部148とを有する。複数の先端延出部148は、ベース部34から先端方向に向かって延出すると共に周方向に間隔をあけて配置されている。
【0140】
先端延出部148は、弾性変形可能に形成されている。換言すれば、先端延出部148は、ベース部34に対して径方向に撓ませることができる。先端延出部148は、第1延出部150、屈曲部152及び第2延出部154を有する。第1延出部150は、ベース部34から先端方向に向かって延出している。屈曲部152は、第1延出部150の延出端部から径方向外方に延びている。第2延出部154は、屈曲部152の延出端部から先端方向に延出している。
【0141】
第1延出部150の内面には、径方向内方に突出したストッパ155が設けられている。ストッパ155は、第1延出部150の先端部に位置している。第2延出部154の延出端部には、接触凸部156が設けられている。接触凸部156は、先端延出部148の延出端(シリンジ12の最先端)から径方向内方に向かって基端方向に傾斜した傾斜面156aを含む。
【0142】
針部材144は、キャップ接続部158、両頭針86及びバイアル接続部88を有する。キャップ接続部158は、基端針90と、基端筒94と、を有する。基端筒94の外周面には、上述した第1爪部材98及び第1案内凸部100が設けられていない。支持壁部104の4つの貫通孔114は、基端筒94よりも径方向外方に位置する。
【0143】
規制解除部材142は、環状の押圧部120と凸部122とを有する。押圧部120は、円筒状の押圧本体124と端壁部126とを含む。押圧本体124の基端部は、初期状態でシリンジ12の先端延出部148の傾斜面156aに当接している。端壁部126に形成された貫通孔114には、基端筒94が挿通される。つまり、押圧部120の押圧本体124の内部には、基端筒94が挿入されている。
【0144】
このような構成によれば、バイアル500がシリンジ12に向けて押し込まれると、針部材144の先端針92がバイアル500の第2栓体504を貫通する。先端針92が第2栓体504を貫通した時点で、針部材144の基端方向への移動は移動規制部96とストッパ155とによって規制されているため、基端針90が第1栓体30を貫通することはない。
【0145】
続いて、バイアル500がシリンジ12に向けてさらに押し込まれると、バイアル500によって規制解除部材142の凸部122が基端方向に押し込まれる。そうすると、規制解除部材142の押圧部120が先端延出部148の接触凸部156の傾斜面156aを基端方向に押圧するため、先端延出部148は、径方向外方に弾性変形する(撓む)。これにより、ストッパ155が径方向外方に変位するため、移動規制部96がストッパ155から離脱する。すなわち、針部材144の接続部材44に対する基端方向の移動の規制が解除される。このように、変形例によれば、上述したアダプタ付き容器10と同様の作用効果を奏する。
【0146】
上述した第1実施形態では、バイアル500には、第2薬剤として薬液(例えば、溶解液等)が収容されてもよい。この場合、シリンジ12には、第1薬剤として薬液及び固体薬剤(例えば、粉体)のいずれが収容されてもよい。すなわち、シリンジ12(第1容器)に収容される第1薬剤とバイアル500(第2容器)に収容される第2薬剤とは、少なくとも一方が液体(薬液)であればよい。
【0147】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るアダプタ付き容器200について説明する。本実施形態において、上述したアダプタ付き容器10と同様の構成については同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、本実施形態において、上述したアダプタ付き容器200と同様の構成については同様の効果を奏する。
【0148】
図18に示すようにアダプタ付き容器200は、第1容器の一例である医療用バッグ202とアダプタ204とを備える。医療用バッグ202は、例えば、輸液バッグである。
図19及び
図20に示すように、医療用バッグ202は、バッグ本体206、口部208及びケース210を有する。バッグ本体206は、軟質な樹脂材料によって袋状に形成されている。バッグ本体206は、薬液を収容する収容室212(
図19参照)を有する。
【0149】
図19に示すように、口部208は、ノズル214、ロック部216、栓体カバー部218及び第1栓体219を有する。ノズル214は、収容室212に連通する流路214aを有する。ノズル214は、筒状に形成されている。ロック部216は、環状に延在すると共にノズル214の外周面に繋がっている。ロック部216は、外周部に、アダプタ204を保持するための連結溝220を有する。連結溝220は、ロック部216の周方向に180°の角度をあけて2つ配置されている。
【0150】
図20に示すように、連結溝220は、第1連結溝222、第2連結溝224及び第3連結溝226を有する。第1連結溝222は、ロック部216の周方向に沿って延在する溝である。第1連結溝222は、延在方向の一端部である第1端部222aと、延在方向の他端部である第2端部222bとを有する。第2連結溝224は、第1連結溝222の第1端部222aからロック部216の先端までノズル214の軸線方向に沿って延在している。第3連結溝226は、第1連結溝222の第2端部222bからロック部216の先端までノズル214の軸線方向に沿って延在している。
【0151】
連結溝220には、第1係合凸部228と、第2係合凸部230とが設けられている。第1係合凸部228は、第1連結溝222の溝底面からロック部216の径方向外方に突出している。第1係合凸部228は、第1連結溝222の第2端部222bに隣接して位置する。第1係合凸部228の突出長は、第1連結溝222の溝深さよりも短い。第1係合凸部228は、第1連結溝222の溝幅の全幅に渡って延在している。第1係合凸部228は、第1連結溝222の第2端部222bから第1端部222aに向かって径方向外方に傾斜した傾斜面228aを有する。
【0152】
第2係合凸部230は、第3連結溝226の溝底面からロック部216の径方向外方に突出している。第2係合凸部230は、第1連結溝222の第2端部222bに対して先端方向に隣接して位置する。第2係合凸部230のうち基端方向を向く面230aは、ロック部216の軸線方向と直交する平坦面であって、第1連結溝222の第2端部222bを向いている。
【0153】
図19に示すように、栓体カバー部218は、第1栓体219をノズル214に保持する。栓体カバー部218は、ロック部216から先端方向に延出すると共に第1栓体219の先端面の外周部を先端方向から覆う。第1栓体219は、ノズル214の先端開口を液密及び気密に封止する。第1栓体219の中心部は他の部分に比べて薄肉に形成されている。
【0154】
図19及び
図20において、ケース210は、ベース部232と複数の先端延出部36とを有する。ベース部232は、口部208の先端部を覆うように当該口部208に取り外し可能に装着されている。ベース部232は、栓体カバー部218に取り外し可能に装着されている。ベース部232の外周面には、径方向外方に突出すると共に周方向に延在した環状凸部236が設けられている。
【0155】
複数の先端延出部36は、ベース部232から先端方向に向かって延出すると共に周方向に間隔をあけて配置されている。先端延出部36は、ストッパ40及び接触凸部42を有する。
【0156】
図19及び
図21に示すように、アダプタ204は、接続部材240、針部材242及び規制解除部材50を有する。アダプタ204は、
図18に示す初期状態において、接続部材240が医療用バッグ202に接続されている。接続部材240は、筒状の形状を有する。接続部材240の内部には、針部材242及び規制解除部材50が収容されている。
【0157】
図19に示すように、接続部材240は、連結部244、中間部246及び保持筒248を有する。連結部244は、接続部材240の基端側を形成する。初期状態で、連結部244は、ロック部216及びベース部232を収容する(
図22参照)。
【0158】
連結部244は、連結突起250、凹部252及び環状凹部254を有する。連結突起250は、内周面から内方に向けて突出している。連結突起250は、初期状態で、第1連結溝222の第2端部222bに係合して、接続部材240の医療用バッグ202からの離脱を阻止する(
図22参照)。連結突起250は、連結部244の周方向に180°の角度をあけて2つ配置されている。
【0159】
連結突起250のうち先端方向を向く面250aは、連結部244の軸線方向と直交する方向に沿った平坦面である。凹部252は、連結部244の壁部を厚さ方向に貫通した貫通孔である。初期状態で、凹部252には、第2係合凸部230が位置している(
図23参照)。環状凹部254は、連結部244の内周面に形成されている。環状凹部254には、ベース部232の環状凸部236が嵌合している(
図22参照)。
【0160】
図22及び
図23において、初期状態では、連結突起250の面250aが第2係合凸部230の面230aに当たることにより連結部244は医療用バッグ202の口部208から先端方向に引き抜くことができないようになっている。また、
図23において、連結突起250が第1係合凸部228に係合することによって連結突起250が第1連結溝222の第1端部222aに向かう方向の回転が制限されている。
【0161】
図19及び
図21に示すように、中間部246は、軸線方向において連結部244と保持筒248との間に位置し、段差部を介して連結部244及び保持筒248と一体的に繋がる。中間部246は、連結部244の外径及び内径よりも小さな外径及び内径を有する。中間部246の外周面には、連結部244と保持筒248とを繋ぐ複数のリブ256が設けられている。複数のリブ256は、中間部246の周方向に間隔をあけて配置されている(
図21参照)。初期状態において、中間部246は、複数の先端延出部36と針部材242の基端部とを収容する(
図22参照)。
【0162】
保持筒248は、接続部材240の先端側を形成する。保持筒248は、中間部246の外径及び内径よりも大きな外径及び内径を有する。初期状態で、保持筒248は、針部材242の先端側を収容する(
図22参照)。保持筒248の内周面の先端部には、径方向内方に突出すると共に周方向に延在した環状の第1突起257が設けられている。
【0163】
針部材242は、キャップ接続部258、両頭針86及びバイアル接続部260を有する。キャップ接続部258には、医療用バッグ202のキャップ(第1栓体219及びケース210)が接続される。キャップ接続部258は、基端針90と基端筒262とを有する。基端筒262は、移動規制部96を有する。基端筒262には、上述した第1爪部材98及び第1案内凸部100が設けられていない。
【0164】
バイアル接続部260は、先端針92と、先端筒264とを有する。先端筒264の外周面には、径方向外方に突出すると共に周方向に延在した複数の第2突起266が設けられている。第2突起266は、第1突起257よりも基端方向に隣接している。複数の第2突起266が第1突起257に当たることにより、針部材242が接続部材240から先端方向に抜け出ることが阻止される。
【0165】
本実施形態のアダプタ付き容器200では、バイアル500の口部502が針部材242の先端筒264に挿入された状態でバイアル500がシリンジ12に向けて押し込まれると、
図24に示すように、針部材242の先端針92がバイアル500の第2栓体504を貫通する。先端針92が第2栓体504を貫通した時点で、針部材242の基端方向への移動は移動規制部96とストッパ40とによって規制されているため、基端針90が第1栓体219を貫通することはない。
【0166】
続いて、バイアル500がシリンジ12に向けてさらに押し込まれると、バイアル500によって規制解除部材50の凸部122が基端方向に押し込まれる。そうすると、
図25に示すように、規制解除部材50の押圧部120が先端延出部36の接触凸部42の傾斜面42aを基端方向に押圧するため、先端延出部36は、径方向内方に弾性変形する(撓む)。これにより、ストッパ40が径方向内方に変位するため、移動規制部96がストッパ40から離脱する。すなわち、針部材242の接続部材240に対する基端方向の移動の規制が解除される。なお、複数の先端延出部36は、押圧部120の内部に入り込む。
【0167】
その後、バイアル500によって基端方向に押された針部材242は、接続部材240に対して基端方向に移動し、基端針90が第1栓体219を貫通する。これにより、医療用バッグ202の収容室212と、バイアル500の内部とは、針部材242の流路90b、92bを介して連通する。
【0168】
その後、例えば、バイアル500よりも上方に医療用バッグ202を位置させて重力の作用によって、医療用バッグ202の第1薬液をバイアル500の内部に移送する。この時、バッグ本体206を押圧して薬液をバイアル500に押し出してもよい。そして、バイアル500の内部で薬液と固体薬剤とが混合されて、混合薬液の調製が行われる。その後、バイアル500よりも下方に医療用バッグ202を位置させて重力の作用によりバイアル500の混合薬液を医療用バッグ202の収容室212に移送する。
【0169】
続いて、アダプタ204が医療用バッグ202から取り外される。具体的に、使用者の操作により、
図26に示すように、接続部材240が医療用バッグ202に対して回転されることで、連結突起250が第1係合凸部228を乗り越えて第1連結溝222の第2端部222bに移動する。これにより、接続部材240と医療用バッグ202の口部208との連結が解除可能となる。
【0170】
その後、
図27に示すように、使用者の操作により、アダプタ204が軸線方向の先端側に引き抜かれることで、アダプタ204は医療用バッグ202の口部208から外れる。この時、複数の先端延出部36が復元力(弾性力)によって押圧部120の内周面に押し付けられている。また、ケース210の環状凸部236が接続部材240の環状凹部254に嵌合しているため、ケース210がアダプタ204と共に医療用バッグ202の口部208から外れる。なお、使用者は、バイアル500をアダプタ204から取り外した後で、アダプタ204を医療用バッグ202の口部208から取り外してもよい。その後、アダプタ204が外された医療用バッグ202の口部208の第1栓体219に図示しない連結針が穿刺されて、混合薬液の投与に供される。
【0171】
本実施形態によれば、上述したアダプタ付き容器10と同様の効果を奏する。
【0172】
アダプタ付き容器200は、
図17に示す変形例に係る構成(針部材144、規制解除部材142、ケース146及びストッパ155)を有してもよい。アダプタ付き容器10、200において、ストッパ40は、第1容器(シリンジ12、医療用バッグ202)ではなく接続部材44、240に設けられてもよい。また、アダプタ付き容器10、200は、規制解除部材50、142の移動に伴い移動規制部96が径方向に弾性変形することにより、ストッパ40が移動規制部96から離脱するように形成されてもよい。この場合、移動規制部96が弾性変形できるように基端筒94には、例えばスリットが設けられる。
【0173】
上述した第2実施形態では、バイアル500には、第2薬剤として薬液(例えば、溶解液等)が収容されてもよい。この場合、医療用バッグ202には、第1薬剤として薬液及び固体薬剤(例えば、粉体)のいずれが収容されてもよい。すなわち、医療用バッグ202(第1容器)に収容される第1薬剤とバイアル500(第2容器)に収容される第2薬剤とは、少なくとも一方が液体(薬液)であればよい。
【0174】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0175】
10、200…アダプタ付き容器 12…シリンジ(第1容器)
14、204…アダプタ 16…バレル
17b…リブ状突起 20…ガスケット
22…プランジャ 22a…解除ロッド
23…外筒 23a…係合溝
28、220…連結溝 29…凹凸構造
30、219…第1栓体 34、232…ベース部
36、148…先端延出部 40、155…ストッパ
44、240…接続部材 46…ロック部材
48、144、242…針部材 50、142…規制解除部材
52、244…連結部 56、248…保持筒(保持部)
58、250…連結突起 60…挿通溝
68…ロック片 86…両頭針
90…基端針(第1針) 92…先端針(第2針)
94…基端筒(筒部) 96…移動規制部
98…第1爪部材(爪部) 104…支持壁部
114…貫通孔 120…押圧部
122…凸部 202…医療用バッグ(第1容器)
500…バイアル(第2容器) 504…第2栓体