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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061059
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】窓用空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
F24F1/02 411C
F24F1/0007 401B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168743
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貢也
(72)【発明者】
【氏名】山岸 嵩武
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BG06
(57)【要約】
【課題】結露耐力に優れる窓用空気調和機を提供する。
【解決手段】冷凍サイクルを備える本体と、本体の正面側に配置された室内吸込口12と、室内吹出口13と、室内吹出口13から吹き出させる室内ファン31と、を備え、室内吸込口12から隣接する室内吹出口13側を第1方向とするとき、正面視で室内吸込口12の全面のうち少なくとも第1方向側の面を覆う位置に垂直に配置された前パネル80と、前パネル80と室内吸込口12の間の風路81とを備え、前パネル80は、正面壁82と、正面壁82の第1方向の端部を基点とし本体の室内吸込口12と室内吹出口13を区画する外装部17を到着点として立設させた案内壁83と、正面壁82の第1方向の反対方向および上下方向の侵入口84とを備え、案内壁83は、到着点側に開口部85を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で連通させ冷媒が流動する冷凍サイクルを備える本体と、
前記本体の正面側に配置された室内吸込口と、
前記室内吸込口に隣接して前記本体の正面側に垂直に配置された室内吹出口と、
前記室内吸込口から空気を吸込み前記蒸発器を介して前記室内吹出口から吹き出させる室内ファンと、
を備え、
前記室内吸込口から隣接する前記室内吹出口側を第1方向とするとき、
正面視で前記室内吸込口の全面のうち少なくとも前記第1方向側の面を覆う位置に垂直に配置された前パネルと、
前記前パネルと前記室内吸込口の間の風路と、
をさらに備え、
前記前パネルは、
正面視で前記室内吸込口を覆う面を形成する正面壁と、
前記正面壁の前記第1方向の端部を基点とし前記本体の前記室内吸込口と前記室内吹出口を区画する外装部を到着点として立設させた案内壁と、
前記正面壁の前記第1方向の反対方向および上下方向の端部と前記本体の間に開口した空気の侵入口と、
を備え、
前記案内壁は、前記到着点側に開口部を備えることを特徴とする窓用空気調和機。
【請求項2】
前記外装部は、前記案内壁より前記風路側に前記本体の外側に向けて突出する凸部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の窓用空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用の窓用空気調和機に関する。より詳しくは熱交換器と室内ファンとを収納する風路を介して連通する室内吸込口及び室内吹出口を有する空気調和機に関するもので、室内吸込口の正面に設けられる前パネル(化粧板)の結露を抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の窓用空気調和機は、室内空気を吸い込むための室内吸込口と、温度調節された空気を室内に吹き出すための室内吹出口とが器具の正面に設けられており、その室内吹出口には吹き出される空気の向きを変更するための風向変更部が設けられている。
風向変更部としては、室内における所望の領域に向かって室内吹出口から吹き出された空気を送り出すために、室内吹出口から吹き出される空気の流れを左右方向に変更する風向変更部が用いられている。
また、室内吸込口の外側には、他社製品との差別化を図り外観をより良く見せるための前パネル(化粧板)が設けられている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録752986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す窓用空気調和機では、図9に示すように、冷房運転時に室内吹出口113の風向変更部191を左側の室内吸込口の方向に向けた場合、室内吸込口112の正面に設けられた前パネル180と室内吸込口112との間の風路181に温度調節された冷たい空気の一部が浸入しショートサーキットが発生するとともに、前パネル180の後側(本体側)の面が冷やされ、その結果、前パネル180の前側(正面側)の面に空気中の水分が凝縮して結露水が付着することがあった。
【0005】
室内吹出口113からの冷風を遮るために、図10に示すように、前パネル180の室内吹出口113側の端部182cから本体側に向けて立設させた案内壁183を設けた場合でも、室内吹出口113からの冷風が案内壁183の外側の面183aを掠めて通過し、その結果、案内壁183の外側の面183aが冷やされ、侵入口184から流入した空気が案内壁183の風路側の面183bに流れ、風路側の面183bに空気中の水分が凝縮して結露水が付着することがあり、結露水が滴下して室内を汚す虞があって問題となっていた。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、室内吹出口の風向変更部を室内吸込口側に向けた場合でも、結露耐力に優れる窓用空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で連通させ冷媒が流動する冷凍サイクルを備える本体と、前記本体の正面側に配置された室内吸込口と、前記室内吸込口に隣接して前記本体の正面側に垂直に配置された室内吹出口と、前記室内吸込口から空気を吸込み前記蒸発器を介して前記室内吹出口から吹き出させる室内ファンと、を備え、前記室内吸込口から隣接する前記室内吹出口側を第1方向とするとき、正面視で前記室内吸込口の全面のうち少なくとも前記第1方向側の面を覆う位置に垂直に配置された前パネルと、前記前パネルと前記室内吸込口の間の風路と、をさらに備え、前記前パネルは、正面視で前記室内吸込口を覆う面を形成する正面壁と、前記正面壁の前記第1方向の端部を基点とし前記本体の前記室内吸込口と前記室内吹出口を区画する外装部を到着点として立設させた案内壁と、前記正面壁の前記第1方向の反対方向および上下方向の端部と前記本体の間に開口した空気の侵入口と、を備え、前記案内壁は、前記到着点側に開口部を備えることを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記外装部は、前記案内壁より前記風路側に前記本体の外側に向けて突出する凸部を備えることを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
この本発明によれば、室内吹出口の風向変更部を室内吸込口側に向けた場合でも結露耐力に優れ、ショートサーキットによる運転性能の低下を防ぐことができ、ランニングコストの悪化を防ぐことができる窓用空気調和機を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態を説明する窓用空気調和機の斜視図
図2】本発明の第1の実施形態を説明する窓用空気調和機の正面図
図3】本発明の第1の実施形態を説明する窓用空気調和機の右側面図
図4】本発明の第1の実施形態を説明するA-A平面概略断面図
図5】本発明の第1の実施形態の冷凍サイクルを説明する図
図6】本発明の第1の実施形態の機能構成を示す概略的な機能ブロック図
図7】本発明の第1の実施形態の運転状態を説明する断面図
図8】本発明の第2の実施形態の運転状態を説明する断面図
図9】従来技術を説明する断面図
図10】従来技術の変更案を説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明にかかる窓用空気調和機の第1の実施形態を図1から図6を参照して説明する。
【0012】
1は、窓用空気調和機で、10は窓用空気調和機1の外観を構成する筐体であり、11は筐体10の前側を構成する前枠である。
筐体10は、住宅の窓枠に嵌め込まれるように据付枠72を用いて螺子等の締結部材で固定され、前枠11側が室内、後枠20側が室外に位置する。
前枠11は、本体正面に室内空気を吸い込む室内吸込口12と、室内吸込口12に隣接して本体の正面側に垂直に配置され、室内吸込口12で吸い込んだ空気を吹き出す室内吹出口13と、運転開始指示や設定温度の変更等、ユーザによる指示が可能な複数のスイッチを有した操作部14と、を備えている。
【0013】
操作部14には、運転の開始、および停止させることが可能な運転スイッチ14aと、冷房運転と除湿運転とを切り替える運転切り替えスイッチ14bとが備えられている。冷房運転、及び除湿運転の詳細は後述する。
【0014】
30は、前枠11の後側に位置し筐体10内部に形成された室内側送風室である。
室内側送風室30内には、室内吸込口12から吸い込んだ室内空気が蒸発器33を介して室内吹出口13から吹き出すように送風する送風ファンとしての室内ファン31と、室内ファン31を所定の回転数で駆動させる室内モータ32と、複数のフィンと、当該複数のフィンを貫通する左右方向に平行な複数の伝熱管と、各伝熱管の左右端を接続するヘアピン部とで構成され、伝熱管、及びヘアピン部内を低温の冷媒が流動する蒸発器33と、当該蒸発器33を構成し冷媒の出口付近に位置する伝熱管の表面に当接した熱交温度センサ34と、室内吸込口12と蒸発器33との間で前枠11の一部である図示しない固定枠内に設置され、室内ファン31により送風される室内空気の温度を検知する室温センサ35と、室内吸込口12の後側に取り付けられ吸い込まれる空気中に含まれる塵埃を捕集するフィルタ36と、室内ファン31が駆動することで室内空気が通過する室内通風路37と、を有している。
【0015】
40は後枠20の前側に位置し筐体10内部に形成された室外側送風室である。当該室外側送風室40内には、室外吸込口21から吸い込んだ室外空気が凝縮器43を介して室外吹出口22から吹き出すように送風する室外ファン41と、当該室外ファンを所定の回転数で駆動させる室外モータ42と、複数のフィンを貫通する伝熱管内に高温の冷媒が通流する凝縮器43と、室外ファン41が駆動することで室外空気が通過する室外通風路44と、を有している。
【0016】
室内側送風室30の下方には図示しない機械室があり、当該機械室内には、冷媒を圧縮し高温高圧状態にするON/OFF状態を切り替え可能な圧縮機51と、冷媒を減圧して低温低圧状態にする減圧装置52と、が備えられ、圧縮機51、凝縮器43、減圧装置52、及び蒸発器33が順次冷媒配管53で接続されることで冷媒が循環可能な冷凍サイクル54が形成されている。更に、機械室内には、制御基板上にスイッチ回路等を備えた制御部55が設置されており、制御部55は、操作部14での指示に基づき圧縮機51等の各アクチュエータが所定の動作で駆動するよう制御するものである。
【0017】
筐体10内部において、室内側送風室30と室外側送風室40とは隔壁60によって隔てられており、室内空気と室外空気とが混合しない構成となっている。
【0018】
また、室内側送風室30と機械室とは図示しない上下仕切板によって隔てられており、当該上下仕切板上に室内モータ32、および図示しないドレンパンを固定している。
【0019】
窓用空気調和機1は、正面視で室内吸込口12の全面を覆う位置に垂直に配置された前パネル80と、前パネル80と室内吸込口12の間に風路81を備える。
前パネル80は、室内吸込口12から隣接する室内吹出口13側を第1方向とするとき、正面視で室内吸込口12を覆う面を形成する正面壁82と、正面壁82の第1方向の端部82cを基点とし本体の室内吸込口12と室内吹出口13を区画する外装部17を到着点として立設させた案内壁83と、正面壁82の第1方向の反対方向および上下方向の端部と本体の間に開口した空気の侵入口84と、を備える。
そして、案内壁83は、案内壁83の基点側との到着点側のうち、到着点側に開口部85を備える。
【0020】
なお、開口部85は、案内壁83の到着点側の端部を切り欠いて外装部17との間に開口させた貫通部でもよく、案内壁83に開口された貫通孔でもよいものである。
【0021】
また、外装部17は、案内壁83の着地点より風路側に本体の外側に向けて突出し上下方向に延設された凸部88を備えている。
【0022】
次に、本実施形態における冷房運転時の動作について説明する。
【0023】
ユーザにより操作部14にある運転スイッチ14aが操作され、運転切り替えスイッチ14bにより冷房運転が設定されると、制御部55は、圧縮機51をON状態に切り替えるとともに室内ファン31、及び室外ファン41が所定の回転数で駆動するよう、室内モータ32及び室外モータ42を動作させる。
これにより、冷凍サイクル54内を図4の矢印Bで示す方向へ冷媒が循環するので、蒸発器33には低温の冷媒が流動し、凝縮器43には高温の冷媒が流動する。
室内吸込口12から吸い込まれた室内空気が蒸発器33により冷却され、室内吹出口13により室内へ送風されることで、室内の冷房を可能とする。
また、室外吸込口21から吸い込まれた室外空気が凝縮器43により加熱され、室外吹出口22により室外へ送風されることで、凝縮器43内を流動する冷媒を冷却し、冷凍サイクル54の効率を高める。
【0024】
次に、本実施形態の作用について図7に基づいて説明する。
窓用空気調和機1が冷房運転を開始すると、室内ファン31が駆動し、室内吸込口12から室内空気を取り込み、前記した冷凍サイクル54によって室内吹出口13から温度調整された冷風が送風される。
室内吸込口12に取り込まれる空気は、前パネル80の左側と上下に備えた侵入口84と第1方向側に備えた開口部85から侵入し、風路81を通過して室内吸込口12へと流れる。
このとき、室内吹出口13からの冷風は、案内壁83の外側の面83aを掠め室内を冷房するとともに、一部はショートサーキットして開口部85から風路81に浸入する。開口部85から侵入した冷風のうち、一部はそのまま室内吸込口12へ流れ、一部は案内壁83の内側の面83bと、正面壁82の内側の面82bの近傍を流れたのち、室内吸込口12へ流れ込む。
【0025】
なお、外装部17に凸部88を備えたことにより、開口部85から侵入した冷風が凸部88にぶつかって、案内壁83の内側の面83bへの流れがより多くなるものである。
【0026】
これにより、侵入口84からの室内空気は、正面壁82の内側の面82bのうち第1方向側の面に触れることなく室内吸込口12に流れ、かつ、案内壁83の内側の面83bに触れることなく室内吸込口12に流れるため、案内壁83の内側の面83bへの結露が抑制されるものである。
また、開口部85から風路81に侵入した冷風は、正面壁82の内側の面82bに届くころには侵入口84からの侵入した空気と交じるため冷えが緩和され、正面壁82の外側の面82aへの結露を抑制できるものである。
これによって、室内吹出口13の風向変更部91を室内吸込口12側に向けて冷房運転した場合でも、前パネル80への結露が抑制され、結露耐力に優れ、ショートサーキットによる運転性能の低下を防ぐことができ、ランニングコストの悪化を防ぐことができる窓用空気調和機1を提供することができるものである。
【0027】
なお、前パネル80は、図8に示すように正面視で室内吸込口12の第1方向側の一部を覆う位置に垂直に配置されてもよいものである。
【0028】
なお、前パネル80の正面壁82と案内壁83との交わり部(角部)は直角に交わっている必要はなく、正面壁82と案内壁83とが緩やかな曲面によって連設されていても良いものである。
なお、前パネル80の案内壁83は、正面壁82に対して直角に交わっている必要はなく、正面壁82と案内壁83との内角が直角より僅かに大きい角度で連接されていてもよいものである。
【0029】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 :窓用空気調和機
12 :室内吸込口
13 :室内吹出口
17 :外装部
31 :室内ファン
33 :蒸発器
43 :凝縮器
51 :圧縮機
52 :減圧装置
53 :冷媒配管
54 :冷凍サイクル
80 :前パネル
81 :風路
82 :正面壁
82c :端部
83 :案内壁
84 :侵入口
85 :開口部
88 :凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10