(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061062
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20240425BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20240425BHJP
B62D 53/02 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
B62D21/18 Z
B62D53/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168751
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】マテイ ドミンコビッチ
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA26
3D203BA06
3D203BA07
3D203DB03
3D203DB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】地形の変化に柔軟に車体を追従させつつ快適なステアリング操作を維持できる作業車両を提供する。
【解決手段】作業車両は、後部車体フレームと前部車体フレームを備えており、前部車体フレームの後端に在り、上下方向に配置された第1球面滑り軸受けと第2球面滑り軸受け310a1を備える前部接合部と、第1球面滑り軸受けを介して前部接合部300と連結する連結部材330と第3球面滑り軸受けを介して連結しかつ第2球面滑り軸受け310a1を介して連結し、後部車体フレームに在る後部接合部と、第4球面滑り軸452受けを介して前部接合部と連結し、第5球面滑り軸451受けを介して後部車体フレームと連結するシリンダ450を備え、第4球面滑り軸受け452が第2球面滑り軸受け310a1と同一水平面上に配置されている作業車両。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部車体フレームと、前記後部車体フレームの水平方向及び長手方向に対して垂直に回動可能に前記後部車体フレームに連結する前部車体フレームと、を備える作業車両において、
前記前部車体フレームの後端に在り、上下方向に配置された第1球面滑り軸受けと第2球面滑り軸受けを備える前部接合部と、
前記第1球面滑り軸受けを介して前部接合部と連結する連結部材と第3球面滑り軸受けを介して連結しかつ前記第2球面滑り軸受けを介して連結し、前記後部車体フレームの先端に在る後部接合部と、
第4球面滑り軸受けを介して前記前部接合部と連結し、第5球面滑り軸受けを介して前記後部車体フレームと連結するシリンダを備え、前記第4球面滑り軸受けの少なくとも一部が前記第2球面滑り軸受けの少なくとも一部と同一水平面上に配置されている作業車両。
【請求項2】
前記第1球面滑り軸受けが前記第2球面滑り軸受けの上方に配置されている請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記前部接合部は、前記前部車体フレームの後端から突設し、上下に配置された第1突設部と第2突設部を備え、
前記第2突設部には、前記第4球面滑り軸受けが枢結され、前記第2球面軸受けが装着されている請求項2記載の作業車両。
【請求項4】
前記後部車体フレーム上方に配置された運転部の下方に前記シリンダが配置されている請求項3記載の作業車両。
【請求項5】
前記シリンダのチューブが前記運転部の下方に配置されている請求項4記載の作業車両。
【請求項6】
前記第3球面滑り軸受けが前記運転部の下方に配置されている請求項5記載の作業車両。
【請求項7】
前記第3球面滑り軸受けが前記後部接合部の後方の突設部に支持軸を介して支持されている請求項6記載の作業車両。
【請求項8】
前記後部接合部の上部で前記連結部材を挟みこむように形成された一対の規制部材を備える請求項7記載の作業車両。
【請求項9】
一対の前記規制部材の間の距離が、前方から後方にかけて狭くなる請求項8記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、ホイールローダの第1のフレームと第2のフレーム構造を横方向にかつ上下方向に相対的に移動できるように連結するリンケージ装置は、上方で第1のフレームと第2のフレームをそれぞれに装着された自在軸受け装置を介してリンク部材により連結し、さらにリンク部材を連結する第1のフレームに装着された自在軸受け装置の下方で、他の自在軸受け装置により第1のフレームと第2のフレームを連結することが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0314130(US,1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホイールローダを旋回させるためには、第1のフレームと第2のフレームをステアリングシリンダで連結し、ステアリング操作量に応じてステアリングシリンダを伸縮させ旋回させるが、第1のフレームのステアリングシリンダの枢結位置の高さが、他の自在軸受け装置の上方に配置された場合、第1のフレームと第2のフレーム構造が上下方向に相対的に移動している(オシレートしている)時に、ステアリング操作を行うと左右のステアリング操作量に対して左右の操舵角が異なることからステアリング操作性が悪くなるという問題が発生する。
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、その課題は、地形の変化に柔軟に車体を追従させつつ良好なステアリング操作を維持できる作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業車両は、後部車体フレームと、前記後部車体フレームの水平方向及び長手方向に対して垂直に回動可能に前記後部車体フレームに連結する前部車体フレームと、を備える作業車両において、前記前部車体フレームの後端に在り、上下方向に配置された第1球面滑り軸受けと第2球面滑り軸受けを備える前部接合部と、前記第1球面滑り軸受けを介して前部接合部と連結する連結部材と第3球面滑り軸受けを介して連結しかつ前記第2球面滑り軸受けを介して連結し、前記後部車体フレームの先端に在る後部接合部と、第4球面滑り軸受けを介して前記前部接合部と連結し、第5球面滑り軸受けを介して前記後部車体フレームと連結するシリンダを備え、前記第4球面滑り軸受けの少なくとも一部が前記第2球面滑り軸受けの少なくとも一部と同一水平面上に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地形の変化に柔軟に車体を追従させつつ良好なステアリング操作を維持できる作業車両を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るホイールローダの左側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るホイールローダの前部車体フレームの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るホイールローダの後部車体フレームの上方からの斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るホイールローダの後部車体フレームの下方からの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るホイールローダの車体フレームの斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るホイールローダの連結部の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るホイールローダの車体フレームの前面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るホイールローダの車体フレームのA-A断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るホイールローダの規制部材により左方向の捻じれが規制された連結部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る作業車両の代表例としてホイールローダ1を例に挙げ添付図面を参照しつつ本発明にかかる実施形態について詳細に説明する。
【0010】
なお、実施形態では、ホイールローダ1の直進する走行方向を前後方向とし、ホイールローダの直進する走行方向と直交する方向を左右方向とする。これらの方向は、運転室の運転座席に着座したオペレータを基準として設定された方向である。
【0011】
図1で示すようにホイールローダ1は、前方に向けて作業装置100を上下に昇降自在に支持し、左右の前車輪210が設けられた前部車体200と、連結部300を介して水平方向に回動することにより左右に屈曲するように前部車体200と連結し、左右の後車輪410が設けられた後部車体400から構成されている。
【0012】
前部車体200は、前部車体フレーム220と、前部車体フレーム220の裏面に装着された前部アクスル(図示せず)により取り付けられた左右の前車輪210から構成される。
【0013】
図2で示すように前部車体フレーム220は、前方から後方に向けて立ち上がるように傾斜して形成され、前部で内側を梁材で架け渡すように連結された一対の側壁221と、側壁221の後端で、側壁221の上端から約3分の1の高さまで形成された後壁222と、一対の側壁221の下端に形成された底部223と、一対の側壁221の間の上方に設けられ、バケットシリンダ140を支持するバケットシリンダ支持部224と、一対の側壁221の上部でブーム110を支持するブーム支持部225と、後壁222の前面に設けられリフトシリンダ150を支持するリフトシリンダ支持部226と、連結部300の一部を構成し、底部223から後方に向けて突設された突設部227と、突設部227の上方に並行でかつ後壁222の下端から突設された突設部228から形成されている。
【0014】
図1で示すように作業装置100は、ブーム支持部225に回動支持され、前方に延びる一対の縦板で形成されるブーム110と、ブーム110の端部に揺動自在に支持されたバケット120と、一対の縦板の間を架け渡すように形成された梁材の前部にバケット120を回動自在に連結するベルクランク130と、ベルクランク130及びバケットシリンダ支持部224に両端を回動自在に枢結されたバケットシリンダ140と、梁材の後部及びリフトシリンダ支持部226に両端を回動自在に枢結されたリフトシリンダ150から構成されている。
【0015】
図1で示すように後部車体400は、後部車体フレーム420と、後部車体フレーム420の裏面に装着された後部アクスル(図示せず)により取り付けられた左右の後車輪410と、後部車体フレーム420の上方に設置された運転部を囲む運転室430と、後部車体フレーム420の後端から運転室430の下部下端をボンネットカバーで覆い形成された機関室440から構成される。
【0016】
機関室440内部に設置されたエンジン(図示せず)は、バケットシリンダ140、リフトシリンダ150及び後部車体400に対して前部車体200を屈曲させるステアリングシリンダ450に対して作動油を圧送するギアポンプ(図示せず)と前車輪210及び後車輪410を回転させる走行モータ(図示せず)に作動油を圧送させるポンプ(図示せず)を駆動させる。
【0017】
運転室430内部の運転部には、オペレータが座る座席431が設置され、座席431の前方には、ステアリング432を上部で支持するステアリングコラム433が設置されている。
【0018】
ステアリング432は、操舵のための回転操作されるハンドルであって、ステアリング432の回転方向と回転量に応じて制御弁(図示せず)を介してステアリングシリンダ450に供給される作動油の量と方向を制御し、ステアリングシリンダ450のロッドの伸縮量により、後部車体400に対する前部車体200の左右の屈曲方向と屈曲量を制御する。
【0019】
図3、
図4で示すように後部車体フレーム420は、前部から中途にかけて凹欠部421aを形成し、凹欠部421aの前部から後方に延びる底板421bの両側に凹欠部421aの前方から後方に向けて延びる一対の縦板421c1,420c2から形成されるフレーム本体部421と、フレーム本体部421の前部に在り一対の縦板421c1,421c2を架け渡すように設置され、連結部300の一部を含む連結支持部422から構成されている。
【0020】
一対の縦板420c1,420c2は底板421bの前部から3分の2あたりのところまで延設され、縦板420c1,420c2の後部には、縦板420c1,420c2の間で架け渡すように補強する横板421dが接続されている。
【0021】
底板421bの後端部には、幅方向に延び底板421bを補強する横板421cが接続されている。
【0022】
連結支持部422は、運転室430の下方に設置されており、フレーム本体部421の左縦板421c1の内側に突設された支持部に球面滑り軸受け451を介してチューブ端部を支持されるステアリングシリンダ450は、連結支持部422の下方に配置されていることから、ステアリングシリンダ450は運転室430の下方、つまり運転室430の内部の運転部の下方に配置されている。
【0023】
上記構成をとることによりステアリングシリンダ450のロッドの一部とチューブは、後部車体フレーム420内に配置されることになり、走行中の障害物の接触よるステアリングシリンダ450の破損の低減を図ることができる。
【0024】
連結支持部422は、フレーム本体部421の左右の縦板421c1,421c2の間を架け渡す梁板422aの中央付近で下方に底板421bの高さまで垂直に延びる左右一対の縦板422b1,422b2を有している。
【0025】
縦板422b1の前部、後部には縦板421c1との間に架け渡された前板422c1と後板422d1を有している。
【0026】
縦板422b2の前部、後部には縦板421c2との間に架け渡された前板422c2と後板422d2を有している。
【0027】
前板422c1、後板422d1、422c2と422d2の上端は、縦板422b1,422b2の上端から3分の1程度の高さの位置に設置され、前板422c1、後板422d1、422c2と422d2の下端は、縦板422b1,422b2の下端から3分の1程度の高さの位置に設置される。
【0028】
ステアリングシリンダ450のロッドは、前板422c1の下方に位置するように設置されている。
【0029】
ステアリングシリンダ450のチューブは、後板422d1の下方に位置するように設置されている。すなわちステアリングシリンダ450のチューブは運転室430の下方、つまり運転室430の内部の運転部の下方に配置されている。
【0030】
後板422d1の下部は上方に向け凹欠部を構成しており、後部車体400に対して前部車体200を左右に屈曲させる際、ステアリングシリンダ450が左右に回動しても、後板422d1がステアリングシリンダ450に干渉せずに後部車体フレーム420の剛性を高めることができる。
【0031】
前板422c1及び後板422d1の上端は、梁板422aと接合しており、前板422c1及び後板422d1の間には梁板422aと平行になるように補強板422e1が架け渡されており、縦板422b1と縦板421c1と接合し箱型形状を構成する。
【0032】
前板422c2及び後板422d2上の上端は、梁板422aと接合しており、前板422c2及び後板422d2の間には梁板422aと平行になるように補強板422e2が架け渡されており、縦板422b2と縦板421c2と接合し箱型形状を構成する。
【0033】
これらの箱型形状は、連結支持部422の剛性を高め、後部車体フレーム420の剛性を高めることができる。
【0034】
梁板422aは、縦板422b1、422b2の上方あたりに凹欠部422hと、凹欠部422hの後方に突設する突設する突設部422iを有する。
【0035】
支持板422f1は、梁板422aと平行になるように縦板422b1、422b2の間に架け渡されて形成されている。
【0036】
支持板422f2は、支持板422f1と平行になるように縦板422b1、422b2の下端に形成されている。
【0037】
支持板422f1、422f2は、前方に向けてほぼ同一量突設した突設部422g1と突設部422g2を有している。
【0038】
支持板422f2は、後方に向け、縦板422b1、422b2の幅の広さで延設され、底板421bの前部で凹欠部421aの幅に広がり凹欠部421aの内部で底板421bと接合し、底板421bと共に後部車体フレーム420の底面を形成する。
【0039】
ステアリングシリンダ450は、突設部422g1と422g2間の高さの位置に設置され、支持板422f1、422f2の間から広がる仮想水平面上で回動する。
【0040】
図5で示すように、車体フレーム10は、後部車体フレーム420と、連結部300を介して後部車体フレーム420の水平方向及び長手方向に対して垂直に回動可能にすることにより左右に屈曲可能かつ捻じれ方向(ロール方向)に回動可能に後部車体フレーム420と連結する前部車体フレーム220と、左右の屈曲と捻じれの最大位置を規制する規制部材500から構成されている。
【0041】
図5~
図8に示すように、連結部300は、前部接合部320を後部車体フレーム420の水平方向及び長手方向に対して垂直に回動可能にするように第1センターピン310aと第2センターピン310bと連結部材330を介して接合する後部接合部340により構成されている。
【0042】
前部接合部320は、突設部227と、突設部228と、突設部228の上方かつ平行に後壁222から後方に向けて延設され、左右側方から下方に延び突設部228と接合する一対の脚部を有する支持部321から構成されている。
【0043】
後部接合部340は、突設部422g1と、突設部422g2と、突設部422iと、突設部422iの貫通孔に嵌挿され立設された支持ピン341から構成されている。
【0044】
センターピン310aは、上方から突設部422g1と、突設部227と、突設部422g2を通るように配置されている。
【0045】
センターピン310aは、突設部422g2に裏面よりに溶接した固定板422jにボルト422kで下方から固定されている。
【0046】
この構成によれば、後部車体400から前部車体200に延びる油圧ホースやハーネスを前部車体200の屈曲やねじれにより、第1センターピン310aを突設部422g2に固定するボルト422j等で損傷させることがない。
【0047】
突設部227に設けられた貫通孔には、球面滑り軸受け310a1が設置されており、センターピン310aが球面滑り軸受け310a1に嵌挿されている。
【0048】
突設部227の左側部、センターピン310aの前方にステアリングシリンダ450のロッドの端部に球面滑り軸受け452を介して枢結している。
【0049】
突設部227
は、水平面状の平板で形成されていることから、球面滑り軸受け310a1の少なくとも一部と球面滑り軸受け452の少なくとも一部が同一水平面上に存在する。
【0050】
上記構成によれば、ホイールローダ1が不整地を走行中に前部車体200の左右の前車輪210の高さを地形に合わせて球面滑り軸受け310a1を支点として前部車体200を後部車体フレーム420の長手方向に対して垂直に回動させるつまり捻じれ方向(ロール方向)に動かすことにより、前部車体200を地面の形状に追従させることができ車体10に係る負荷を減少させることができる。
【0051】
さらに前部車体200を捻じれ方向に回動中に、ステアリング432を左右に操作した場合、支点である球面滑り軸受け310a1と同一水平面上に存在するため、左右のステアリング432の操作量すなわちステアリングシリンダ450の伸長量に対する左右の後部車体400に対する前部車体200の左右の屈曲量が同程度になることから地形の変化に柔軟に車体を追従させつつ快適なステアリング操作を維持することができる。
【0052】
センターピン310bは、上方から支持部321と、連結部材330と、突設部228を通るように設置されている。
【0053】
センターピン310bは、突設部228の貫通孔に嵌挿されており、センターピン310bの上端部の細い部分を固定板322aに貫通させ固定板322aをボルト322bで上方より締結することにより固定される。
【0054】
支持ピン341は、突設部422iの中間部あたりから、凹欠部422hの前部両端の縁端辺りまで延びる一対の縦板により構成される規制部材500の上部に設置された支持板342と、連結部材330と、突設部422iを通るように形成されている。
【0055】
支持ピン341は、嵌挿された突設部422iの貫通孔に対して、支持ピン341の上端部の細い部分を固定板344に貫通させ固定板344をボルト343で支持板342に締結することにより固定される。
【0056】
連結部材330は、矩形の板材で形成されており、両端に貫通孔を有し前端部に球面滑り軸受け310b1が装着され、後端部に球面滑り軸受け341aが装着されている。
【0057】
球面滑り軸受け310b1には、センターピン310bが嵌挿されており、球面滑り軸受け341aには、支持ピン341が嵌挿されている。
【0058】
球面滑り軸受け310b1は、球面滑り軸受け310a1上の仮想軸線上にあり、仮想軸線を支点として後部車体400に対して前部車体200を屈曲させ、捻じれ方向に回動させる。したがってホイールローダ1が作業中に作業装置100に大きな荷重がかかり後部車体400が浮いた場合、後部車体400の捻じれ方向の回動が抑制され車体の安定性を保つことができる。
【0059】
支持ピン341は、連結支持部422の後部側に支持されていることから、後部車体フレームの内部に支持されているつまり、運転部の下方で支持されている。
【0060】
従って、連結部材330は、後部車体フレームの内部で揺動支持されているつまり、運転部の下方で揺動支持されており、連結部材330を後方に伸ばすことができる。
【0061】
上記構成によれば、球面滑り軸受け310a1を支点として前部車体200を捻じれ方向に回動させるに際し、前部車体200を球面滑り軸受け310a1の上方で、捻じれ方向に回動の軌跡に追従させることができるので、連結部300の耐久性向上させると同時に地形の変化に柔軟に車体を追従させつつ快適なステアリング操作を維持することができる。
【0062】
前部車体フレーム220と後部車体フレーム420の各連結は、球面滑り軸受け310a1、310b1、341a、452、451、を介しておこなわれているため、左右の地形の変化だけでなく前後の地形の変化にも柔軟に車体を追従させるため、荒れ地などの走行中の車体10にかかる負荷を低減することができる。
【0063】
規制部材500を構成する一対の縦板の間には、連結部材330が配置されており、一対の縦板は前方から後方にかけて狭くなるように配置されている。
【0064】
一対の縦板は、連結支持部422の前方でそれぞれ機体側方に向け屈曲し、一対の第1当接部510a、510bを構成する。
【0065】
第1当接部510a1は、前板422c1の上部と接合されており、第1当接部510a2は、前板422c2の上部と接合されることにより、前方からの衝撃に対して耐久性を有する。又後述する第2当接部510b1、510b2を補強することにより、第2当接部510b1、510b2の耐久性を向上させる。
【0066】
第1当接部510a1、510a2は、前部車体200を後部車体に対して前後方向に対して左右に揺動するに際して、第1当接部510a1、510a2と突設部228の側部とを当接することにより後部車体に対する、前部車体200の屈曲量の上限を設定している。
【0067】
規制部材500を構成する一対の縦板先端側には、連結部材330と対向するようにそれぞれ第2当接部510b1、510b2が形成される。
【0068】
第2当接部510b1、510b2は、規制部材500を構成する一対の縦板と同じ高さの厚板を上下にボルトによって一対の縦板にそれぞれ締着されている。
【0069】
図9で示すように第2当接部510b1、510b2は、前部車体200を後部車体に対して上下方向に対して左右に揺動するに際して、第2当接部510b1、510b2と連結部材330の側部とを当接させることにより後部車体に対する、前部車体200の捻じれ方向(ロール方向)の回動量の上限を設定している。
【0070】
規制部材500は、簡易な構造で、前部車体フレーム220の後部車体400に対する屈曲及び捻じれ量の上限を定めることができ、車体10にかかる負荷を低減することができる。
【0071】
本発明の実施形態にかかる発明は、以下の付記のように特定することができる。
【0072】
〈付記1〉
後部車体フレームと、前記後部車体フレームの水平方向及び長手方向に対して垂直に回動可能に前記後部車体フレームに連結する前部車体フレームと、を備える作業車両において、前記前部車体フレームの後端に在り、上下方向に配置された第1球面滑り軸受けと第2球面滑り軸受けを備える前部接合部と、前記第1球面滑り軸受けを介して前部接合部と連結する連結部材と第3球面滑り軸受けを介して連結しかつ前記第2球面滑り軸受けを介して連結し、前記後部車体フレームの先端に在る後部接合部と、第4球面滑り軸受けを介して前記前部接合部と連結し、第5球面滑り軸受けを介して前記後部車体フレームと連結するシリンダを備え、前記第4球面滑り軸受けの少なくとも一部が前記第2球面滑り軸受けの少なくとも一部と同一水平面上に配置されている作業車両。
【0073】
〈付記2〉
前記第1球面滑り軸受けが前記第2球面滑り軸受けの上方に配置されている付記1記載の作業車両。
【0074】
〈付記3〉
前記前部接合部は、前記前部車体フレームの後端から突設し、上下に配置された第1突設部と第2突設部を備え、前記第2突設部には、前記第4球面滑り軸受けが枢結され、前記第2球面軸受けが装着されている付記1から付記2の何れかに記載の作業車両。
【0075】
〈付記4〉
前記後部車体フレーム上方に配置された運転部の下方に前記シリンダが配置されている付記1から付記3の何れかに記載の作業車両。
【0076】
〈付記5〉
前記シリンダのチューブが前記運転部の下方に配置されている付記1から付記4の何れかに記載の作業車両。
【0077】
〈付記6〉
前記第3球面滑り軸受けが前記運転部の下方に配置されている付記1から付記5の何れかに記載の作業車両。
【0078】
〈付記7〉
前記第3球面滑り軸受けが前記後部接合部の後方の突設部に支持軸を介して支持されている付記1から付記6の何れかに記載の作業車両。
【0079】
〈付記8〉
前記後部接合部の上部で前記連結部材を挟みこむように形成された一対の規制部材を備える付記1から付記7の何れかに記載の作業車両。
【0080】
〈付記9〉
一対の前記規制部材の間の距離が、前方から後方にかけて狭くなる付記1から付記8の何れかに記載の作業車両。
【0081】
以上では、作業車両として、ホイールローダを例に挙げて説明したが、作業車両はホイールローダに限定されず、アーティキュレート式ダンプトラックやモータグレーダやマカダムローダなどの他の作業車両であってもよく、さらに原動機としてエンジンを挙げて説明したが電動モータでもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で拡張又は、変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、作業車両に関するものであり産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0084】
1 ホイールローダ(作業車両)220 前部車体フレーム310b1 第1球面滑り軸受け310a1 第2球面滑り軸受け320 前部接合部330 連結部材314a 第3球面滑り軸受け420 後部車体フレーム422 後部接合部452 第4球面滑り軸
451 第5球面滑り軸
450 ステアリングシリンダ(シリンダ)