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特開2024-61068障害対応装置、障害対応システム、障害対応方法、及び障害対応プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061068
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】障害対応装置、障害対応システム、障害対応方法、及び障害対応プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168769
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】592246565
【氏名又は名称】株式会社日本システムプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】100119758
【弁理士】
【氏名又は名称】菊地 保宏
(72)【発明者】
【氏名】勝山 徹
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】的確かつ迅速に障害対応することができる。
【解決手段】障害対応装置1は、回答者管理データを記憶する回答者管理DB101と、情報端末2Aから第一の言語の障害情報を受け付ける障害情報受付部105と、障害内容及び受付時間に基づいて回答者管理データを参照し、当該障害内容に対応可能な回答者を決定する回答者決定部106と、決定された回答者(以下、対応スタッフ)の言語(以下、対応言語)が第一の言語と異なる場合(以下、第一の場合)、対応言語の障害情報を作成する翻訳制御部108と、情報端末2Bに対応言語又は第一の言語の障害情報を出力する障害情報出力部と、対応スタッフの回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付部109と、第一の場合に第一の言語の障害対応情報を作成する翻訳制御部108と、情報端末2Aに第一の言語の障害対応情報を出力する障害対応情報出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能な障害対応装置であって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付部と、
前記障害情報受付部が受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定部と、
前記回答者決定部により決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御部と、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力部と、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付部と、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御部と、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力部と、
を備えることを特徴とする障害対応装置。
【請求項2】
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、回答不可を示す回答不可情報を受け付ける回答不可情報受付部を備え、
前記回答者決定部は、前記回答不可情報受付部が前記回答不可情報を受け付けた場合、又は前記障害情報出力部が前記障害情報を出力してから所定の時間が経過するまでに前記障害対応情報受付部が前記障害対応情報を受け付けない場合には、前記障害内容に対応可能な新たな前記回答者を決定する、
ことを特徴とする請求項1記載の障害対応装置。
【請求項3】
前記回答者IDと、前記回答者の回答貢献度を示すポイントと、を対応付けた回答者ポイント情報を記憶するポイント情報記憶部を備え、
前記ポイントは、前記対応スタッフの回答回数及び前記連絡者の評価に基づいて加算されるポイントであり、
前記回答者決定部は、前記ポイント情報記憶部に記憶された前記回答者ポイント情報を加味して前記回答者を決定する、
ことを特徴とする請求項2記載の障害対応装置。
【請求項4】
前記障害情報及び前記障害対応情報は、それぞれ、テキスト情報、画像情報、及び音声情報のうちのいずれか一以上の情報である、
ことを特徴とする請求項3記載の障害対応装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の障害対応装置と、
前記第一の情報端末と、
前記第二の情報端末と、
を備えることを特徴とする障害対応システム。
【請求項6】
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能な障害対応装置の障害対応方法であって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記障害対応装置は、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
を備え、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付ステップと、
前記障害情報受付ステップで受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定ステップと、
前記回答者決定ステップにより決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御ステップと、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力ステップと、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付ステップと、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御ステップと、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力ステップと、
を備えることを特徴とする障害対応方法。
【請求項7】
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能なコンピュータによる障害対応プログラムであって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記コンピュータは、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
を備え、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付ステップと、
前記障害情報受付ステップで受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定ステップと、
前記回答者決定ステップにより決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御ステップと、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力ステップと、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付ステップと、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御ステップと、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力ステップと、
前記コンピュータに実行させることを特徴とする障害対応プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会話型コミュニケーションツールを用いて、発生した障害に対応する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械や装置に障害が発生した場合、ヘルプデスクやコールセンターなどに電話して障害を解決する方法がある。この場合、電話対応する最適なオペレータを選択する仕組みとして、例えば、特許文献1には、入電した顧客に対して、オペレータの生体情報を利用して、顧客満足度が高く、かつ電話対応に要する時間が短くなるようなオペレータを割り当てる装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、障害対応能力のレベルに応じてオペレータを選択する障害対応システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-62460号公報
【0004】
【特許文献2】特開2013-250704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電話サポートの場合、そもそも電話がつながりにくいという問題がある。すなわち、オペレータにつながるまでに時間を要するという問題がある。そのため、電話での問題解決を諦める顧客も存在する。また、オペレータにつながってもトラブルに対応できるオペレータが存在せず結果として問題解決に至らないという場合もある。さらには、電話サポートの場合には、営業時間外においては対応できないという問題もある。
【0006】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたものであり、障害の発生場所や発生時間によらず、的確かつ迅速に障害対応可能なオペレータとコミュニケーションをとることができる障害対応技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、その一態様として、
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能な障害対応装置であって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付部と、
前記障害情報受付部が受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定部と、
前記回答者決定部により決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御部と、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力部と、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付部と、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御部と、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明は、別の一態様として、
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能な障害対応装置の障害対応方法であって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記障害対応装置は、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
を備え、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付ステップと、
前記障害情報受付ステップで受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定ステップと、
前記回答者決定ステップにより決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御ステップと、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力ステップと、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付ステップと、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御ステップと、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力ステップと、
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明は、別の一態様として、
障害発生側の連絡者が利用する第一の情報端末及び回答側の回答者が利用する第二の情報端末のそれぞれと相互に通信可能なコンピュータによる障害対応プログラムであって、
前記第一の情報端末及び前記第二の情報端末には、それぞれ、所定の会話型コミュニケーションツールがインストールされており、
前記連絡者と前記回答者は、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して双方向のコミュニケーションが可能となっており、
前記コンピュータは、
前記所定の会話型コミュニケーションツールを介した前記第一の情報端末と前記第二の情報端末の相互の通信を制御するコミュニケーション制御部と、
前記回答者を一意に識別可能な回答者IDと、前記回答者が対応可能な言語と、前記回答者が対応可能な時間と、前記回答者が対応可能な業務と、を対応付けた回答者管理情報を記憶する回答者管理情報記憶部と、
を備え、
前記第一の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記連絡者により第一の言語で入力された障害情報を受け付ける障害情報受付ステップと、
前記障害情報受付ステップで受け付けた前記障害情報の内容(以下、障害内容という)及び前記障害情報を受け付けた時間に基づいて、前記回答者管理情報記憶部に記憶された前記回答者管理情報を参照し、前記障害情報を受け付けた時点において前記障害内容に対応可能な前記回答者を決定する回答者決定ステップと、
前記回答者決定ステップにより決定された前記回答者(以下、対応スタッフという)の対応可能な言語(以下、対応言語という)と前記第一の言語が異なる言語の場合(以下、第一の場合という)、前記第一の言語の前記障害情報を前記対応言語の前記障害情報に翻訳する第一の翻訳制御ステップと、
前記対応スタッフが利用する前記第二の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の場合には前記対応言語に翻訳された前記障害情報を出力し、前記第一の場合以外の場合には前記第一の言語の前記障害情報を出力する障害情報出力ステップと、
前記第二の情報端末から前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記対応スタッフにより入力された、前記障害情報に対する回答を障害対応情報として受け付ける障害対応情報受付ステップと、
前記第一の場合には、前記対応言語の前記障害対応情報を前記第一の言語の前記障害対応情報に翻訳する第二の翻訳制御ステップと、
前記障害情報を入力した前記連絡者が利用する前記第一の情報端末に、前記所定の会話型コミュニケーションツールを介して、前記第一の言語の前記障害対応情報を出力する障害対応情報出力ステップと、
前記コンピュータに実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、障害の発生場所や発生時間によらず、的確かつ迅速に障害対応可能なオペレータとコミュニケーションをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る障害対応システムの概略構成図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る障害対応サービスの概要図である。
図3】(a)は、本発明の一実施の形態に係る情報端末のチャットツール上に障害情報が表示されている状態を示す図であり、(b)は、本発明の一実施の形態に係る情報端末のチャットツール上に障害情報とともに障害対応情報が表示されている状態を示す図である。
図4】(a)は、本発明の一実施の形態に係る回答者管理データのデータ構成を示す模式図であり、(b)は、本発明の一実施の形態に係る障害データのデータ構成を示す模式図であり、(c)は、本発明の一実施の形態に係る障害対応データのデータ構成を示す模式図であり、(d)は、本発明の一実施の形態に係る回答者ポイントデータのデータ構成を示す模式図である。
図5】(a)~(c)は、本発明の一実施の形態に係る回答者管理データの対応業務を具体的に説明する図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る障害対応システムの障害対応処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る障害対応システムの回答者決定処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
<障害対応システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る障害対応システム100の概略構成図である。障害対応システム100は、図1に示すように、障害対応装置1と、障害発生側の情報端末2Aと、回答側の情報端末2Bと、を備える。障害対応装置1は、コールセンターに設置されたサーバ装置であり、情報端末2Aは、障害発生側の利用者(以下、連絡者という)が利用する情報端末であり、情報端末2Bは、回答側の世界各国のサポートスタッフ(以下、回答者という)が利用する情報端末である。情報端末2A及び情報端末2B(以下、情報端末2A及び情報端末2Bを総称する場合は情報端末2という)は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォンなどの情報端末が想定される。障害対応装置1、情報端末2A及び情報端末2Bの各装置は、通信ネットワーク3を介して、それぞれ相互に通信可能に接続されている。通信ネットワーク3は、例えば、インターネット網、公衆網、LAN(Local Area Network)などの構内網、を含む通信ネットワークで構成される。
【0014】
以下、本実施の形態では、障害対応システム100により提供されるサービスを「障害対応サービス」といい、障害対応システム100が実行する障害対応サービスに関連する処理を障害対応処理という。図2は、障害対応サービスの流れを示す概要図である。障害対応サービスは、チャットツールを用いた24時間対応の障害対応サービスである。障害対応サービスは、所定の装置や機械(以下、装置等という)に障害が発生した場合、連絡者が情報端末2Aのチャットツールを用いて障害内容をコールセンター(障害対応装置1)に通知すると、コールセンター(障害対応装置1)において決定された回答者が情報端末2Bのチャットツールを用いて連絡者に当該障害内容に対する回答を提示するというサービスとなっている。ここで、連絡者は、障害が発生した装置等を自ら使用する者でもよいし、障害が発生した装置等を用いて顧客に所定のサービスを提供するサービス提供者でもよい。また、回答者は、コールセンターなどの公的な業務空間にいてもよいし、回答者の自宅など私的な空間にいてもよい。また、障害対応サービスは、自動翻訳機能を装備しているので、連絡者及び回答者が使用する言語は問わない。なお、チャットツールは予め情報端末2にインストールされている会話型コミュニケーションツール(後述するアプリケーションプログラムAP)であり、障害対応装置1には、チャットツールを制御するためのサーバ用のアプリ(後述するサーバプログラムSAP)がインストールされている。
【0015】
図2を用いて、障害対応サービスの流れを説明すると、まず、障害が発生した場合、連絡者が情報端末2Aのチャットツールを用いて障害情報を作成し、作成した障害情報を、チャットツールを介してコールセンター宛てに送信する(ステップS2)。ここで、障害情報には、文字入力によるテキスト情報、カメラ撮影による写真などの静止画情報、ビデオ撮影による動画情報、マイクによる音声情報などが含まれる。図3(a)は、障害情報を送信した直後の情報端末2Aのチャットツール上の画面例であり、障害情報201が表示されている状態を示している。
【0016】
次に、コールセンター(障害対応装置1)では、障害情報を受け付けると(ステップS3)、障害情報の内容に基づいて、障害情報を受け付けた時点において対応可能な回答者のうち、最適な回答者を決定し(ステップS4)、決定した回答者宛にチャットツールを介して障害情報を送信する(ステップS5)。
【0017】
なお、本実施の形態の障害対応サービスは、翻訳機能を備えているので、連絡者のチャットツール上で使用する言語と回答者のチャットツール上で使用する言語は同じでもよいし、異なっていてもよい。つまり、最適な回答者を決定するアルゴリズムは、連絡者及び回答者が使用する言語には関係なく、障害内容だけに基づいて回答者を決定するようになっている。この回答者を決定するアルゴリズムには、障害の対象商品や対象サービスの内容に応じて種々のパターンが想定されるので詳しくは後述する。
【0018】
次に、回答者が情報端末2Bのチャットツールを介して障害情報を受信すると(ステップS6)、回答者は情報端末2Bのチャットツールを用いて当該障害内容の回答である障害対応情報を作成し(ステップS7)、作成した障害対応情報を、チャットツールを介してコールセンター宛てに送信する(ステップS8)。ここで、障害対応情報には、文字入力によるテキスト情報、カメラ撮影による写真などの静止画情報、ビデオ撮影による動画情報、マイクによる音声情報などが含まれる。
【0019】
なお、図2には図示しないが、回答者は、障害情報を受け取っても、例えば、その内容から回答することが困難であると判断した場合には、障害対応情報を作成しなくてもよい。この場合には、回答者は、回答不可のメッセージをコールセンター(障害対応装置1)宛に送信すればよい。この場合、コールセンター(障害対応装置1)では、次に最適な回答者を新たに決定し(ステップS4)、新たに決定した回答者に対して障害情報を送信することになる(ステップS5)。
【0020】
次に、コールセンター(障害対応装置1)では、回答者から障害対応情報を受信すると、受信した障害対応情報を、チャットツールを介して連絡者宛に送信する(ステップS9)。
【0021】
この結果、連絡者は、情報端末2Aのチャットツールを介して障害対応情報を受信するので(ステップS10)、受信した障害対応情報に従って障害の復旧作業を行うことができる(ステップS11)。図3(b)は、障害対応情報を受信した直後の情報端末2Aのチャットツール上の画面例であり、障害情報201とともに障害対応情報301が表示されている状態を示している。
【0022】
このように本実施の形態の障害対応サービスでは、障害の発生した時間や場所にとらわれることなく、世界各国の回答者のうち障害内容に最適な回答者が24時間対応で解決策をリアルタイムで連絡者に提供するので、連絡者は、迅速かつ的確な回答を回答者から受け取ることができる。
【0023】
なお、図2では、連絡者と回答者は一往復のコミュニケーションにより障害が解決した場合の障害対応サービスの流れを示したが、数往復のコミュニケーションをとってもよいのは勿論である。例えば、回答者による回答の意味がよくわからないので、連絡者が回答者に対して質問をする場合、回答者が障害内容に関してより詳細な情報を必要とするので、回答者から連絡者に対してさらに具体的な情報提供のお願いをする場合などには、数往復のコミュニケーションを経て障害を解決することが想定される。
【0024】
以下、本実施の形態では、広義には、障害発生側の連絡者が情報端末2Aから入力した情報を障害情報といい、回答側の回答者が情報端末2Bから入力した情報を障害対応情報という。例えば、上述した、連絡者が回答者に対して質問をする場合の入力情報も「障害情報」であり、回答者から連絡者に対して質問をする場合の入力情報も「障害対応情報」という。
【0025】
<障害対応装置>
障害対応装置1は、障害対応システム100の中核的なサーバ装置であり、障害対応処理のサーバ側の処理を実行する。
【0026】
障害対応装置1は、例えば、ハードディスク等から構成され、障害対応システム100が管理するデータを記憶する記憶部11と、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、記憶部11の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、障害対応処理を実行する制御部12と、通信ネットワーク3を介して、情報端末2とデータの送受信を行う通信部13と、を備えている。
【0027】
記憶部11は、詳しくは、回答者管理データベース(以下、回答者管理DBという)101と、障害データベース(以下、障害DBという)102と、障害対応データベース(以下、障害対応DBという)103と、回答者ポイントデータベース(以下、回答者ポイントDBという)104と、を具備する構成となっている。図4(a)に回答者管理DB101、図4(b)に障害DB102、図4(c)に障害対応DB103、図4(d)に回答者ポイントDB104で管理されるデータのデータ構成を模式的に示す。
【0028】
回答者管理DB101は、回答者の障害対応サービスに関わる属性を管理するデータベースである。回答者管理DB101は、図4(a)に示すように、回答者IDと、言語と、対応業務と、対応可否情報と、を少なくとも含んで構成される回答者管理データd101を記憶する。
【0029】
回答者IDは、障害対応システム100において回答者を一意に識別可能な識別情報である。言語は、回答者がチャットツールを用いて使用する言語である。一又は複数の言語を設定することが可能である。対応業務は、回答者が対応可能な業務に関する情報である。対応業務は、障害対応サービスの扱う商品やサービスに応じて分類することが可能である。例えば、図5(a)に示すように、複数の装置に対する障害対応を行う場合には、装置ごとに回答者を分類してもよい。図5(a)に示す一例の場合には、スタッフAは、A装置とB装置に対して障害対応することが可能となっている。また、例えば、図5(b)に示すように、ハードウェア及びソフトウェアの双方の障害対応を行う場合には、ハードウェア又はソフトウェアの種別に応じて回答者を分類してもよい。図5(b)に示す一例の場合には、スタッフAは、ハードウェアの障害に対応可能となっている。また、例えば、図5(c)に示すように、提供するサービスごとに回答者を分類してもよい。図5(c)に示す一例の場合には、スタッフAは、サービスAに関わる装置等の障害に対応可能となっている。なお、言語及び対応業務は、障害対応システム100の管理者又は回答者が情報端末2Bから設定することが可能となっている。
【0030】
対応可否情報は、回答者が今現在、障害への回答業務をすることが可能か否かを示す情報である。対応可否情報としては、例えば、対応可を示す状態及び対応不可を示す状態のフラグ情報(具体的には、今現在、就業中かつ障害対応中でないことを示す就業フラグがオンかオフか)が設定されるようにしてもよいし、また、業務時間(例えば、2022年9月1日10:00~18:00などの就業時間帯)が設定されるようにしてもよい。なお、業務時間を設定する場合には、回答者の所在地は、世界各国が想定されるため、時差を考慮してUTC時刻を用いて設定するようにしてもよい。なお、対応可否情報は、回答者が情報端末2Bから適宜設定可能な情報となっている。
【0031】
障害DB102は、図2で説明した障害情報、つまり連絡者がチャットツールを用いて入力した情報を管理するデータベースである。障害DB102は、図4(b)に示すように、障害IDと、枝番と、連絡者IDと、言語、連絡者入力内容と、受付日時と、を少なくとも含んで構成される障害データd102を記憶する。障害IDは、障害対応システム100において発生した障害を一意に識別可能な識別情報である。枝番は、当該障害のチャットツール上の会話の枝番である。本実施の形態では、まず、回答者が入力した会話の障害情報に対して1オリジンの枝番が発行され、以後、連絡者又は回答者が入力した会話情報ごとに枝番がインクリメントされるようになっている。例えば、障害ID「XYZ」の障害に対して連絡者が障害情報を入力した場合には、枝番「1」の障害データd102がまず作成される。連絡者IDは、障害対応システム100において連絡者を一意に識別可能な識別情報である。言語は、連絡者がチャットツール上にて使用した言語である。一の言語が設定される。連絡者入力内容は、連絡者がチャットツールを用いて入力した入力情報である。連絡者入力内容は、例えば、テキスト情報、画像情報及び音声情報の少なくとも一つ以上の情報で構成される。受付日時は、障害対応装置1が連絡者から障害情報を受け付けた日時である。
【0032】
障害対応DB103は、図2で説明した障害対応情報、つまり回答者がチャットツールを用いて入力した情報を管理するデータベースである。障害対応DB103は、図4(b)に示すように、障害IDと、枝番と、回答者IDと、言語と、回答者入力内容と、受付日時と、を少なくとも含んで構成される障害対応データd103を記憶する。言語は、回答者がチャットツール上にて使用した言語である。一の言語が設定される。回答者入力内容は、回答者がチャットツールを用いて入力した入力情報である。例えば、障害ID「XYZ」、枝番「1」の障害データd102に対して回答者が障害対応情報を入力した場合には、障害ID「XYZ」、枝番「2」の障害対応データd103が作成される。回答者入力内容は、例えば、テキスト情報、画像情報及び音声情報の少なくとも一つ以上の情報で構成される。受付日時は、障害対応装置1が回答者から障害対応情報を受け付けた日時である。
【0033】
このように本実施の形態の障害データd102及び障害対応データd103は、障害ID及び枝番で管理されているため、同一の障害に対するコミュニケーション履歴がデータベース上で時系列に記録されるようになっている。そのため、システム管理者は勿論、障害発生側の関係者(連絡者と同一会社、同一部署など障害に関連ある者)もリアルタイム又は後日、障害内容や障害対応の様子を確認することが可能となっている。
【0034】
回答者ポイントDB104は、回答者に付与されるポイントを管理するデータベースである。回答者ポイントDB104は、回答者IDと、ポイント値と、を少なくとも含む回答者ポイントデータd104を記憶する。ポイント値は、予め定めた期間(例えば、1週間、1月、1年など)において障害に対応した回答数、回答時間、連絡者からの評価、障害難易度などを加味して回答者に付与されるポイントである。なお、このポイント値は、回答者に対して支払われるサービス対価に反映されるようになっている。
【0035】
なお、図1及び図4には図示しないが、連絡者及び回答者が障害対応サービスを利用するためのログインIDやパスワードを管理するユーザ認証DBも存在する。連絡者及び回答者は、ユーザ認証後に障害対応サービスを利用することができるようになっている。
【0036】
また、記憶部11には、障害対応システム100の障害対応処理のうちサーバ側の処理を実行するためのサーバプログラムSAPが記憶されている。なお、サーバプログラムSAPには、情報端末2にインストールされているチャットツール(後述するアプリケーションプログラムAP)を制御するための機能、及び情報端末2Aで使用される言語と情報端末2Bで使用される言語の間の自動翻訳の機能も含まれている。
【0037】
制御部12は、機能的には、障害情報受付部105と、回答者決定部106と、コミュニケーション制御部107と、翻訳制御部108と、障害対応情報受付部109と、を有する。
【0038】
障害情報受付部105は、連絡者がチャットツールを介して入力した障害情報を受け付け、受け付けた障害情報から障害データd102を作成し、作成した障害データd102を障害DB102に登録する。
【0039】
回答者決定部106は、障害情報受付部105が受け付けた障害情報の障害内容を切り分け、障害内容に対応可能な最適な回答者を決定する。詳しくは、回答者管理DB101に記憶された回答者管理データd101の対応業務及び対応可否情報を参照して、障害情報を受け付けた時点において対応可能な回答者、かつ当該障害内容に合致する対応業務を有する回答者を優先順位付けして決定する。本実施の形態では、回答者ポイントDB104に記憶された回答者ポイントデータd104に基づいて優先順位付けをする。例えば、A装置に関する障害情報を受け付けた時点においてA装置の障害に対応可能な回答者候補がスタッフAとスタッフBの二人いた場合であって、スタッフAのポイント値が80、スタッフBのポイント値が60の場合には、スタッフAを優先順位1番、スタッフBを優先順位2番とし、優先順位1番の回答者を最適な回答者として決定する。なお、障害情報を転送した回答者から回答不可の連絡を受けた場合には、次の優先順位の回答者を最適な回答者として決定する。
【0040】
コミュニケーション制御部107は、連絡者と回答者のチャットツールを用いた双方向の会話コミュニケーションを制御する。本実施の形態の場合、例えば、連絡者が入力した障害情報を回答者決定部106により決定された回答者に転送する障害情報出力部としての機能、回答者が入力した障害対応情報を連絡者に転送する障害対応情報出力部としての機能を有する。
【0041】
翻訳制御部108は、連絡者がチャットツールを用いて使用した言語と回答者がチャットツールを用いて使用する言語(詳しくは、回答者管理データd101の言語)が異なる場合、連絡者がチャットツールを介して入力した障害情報を回答者が使用する言語に翻訳したり、回答者がチャットツールを介して入力した障害対応情報を連絡者が使用する言語に翻訳したりする。なお、本実施の形態では、主としてサーバ側に自動翻訳エンジン及び辞書を搭載しているが、これに限定されず、情報端末2側に自動翻訳エンジン及び辞書を搭載するようにしてもよい。
【0042】
障害対応情報受付部109は、回答者がチャットツールを介して入力した障害対応情報を受け付け、受け付けた障害対応情報から障害対応データd103を作成し、作成した障害対応データd101を障害対応DB103に登録する。また、障害対応情報受付部109は、回答者から回答不可の情報を受け付けた場合、又は回答者決定部106により決定された回答者に障害情報を送信してから所定時間(例えば、5分、10分など予め設定された閾値)が経過しても回答者から何ら返答がない場合には、障害対応データd103を作成しない。この場合には、回答者決定部106が再度、決定した回答者から障害対応情報を受け付ける。
【0043】
なお、障害対応装置1は、物理的に一つからなる装置の他、複数の装置がネットワーク接続されたシステムから構成されていてもよい。そして、障害対応装置1が複数の装置で構成された場合には、同一の場所にすべてが設置されていてもよいし、機能に応じて複数の場所に分散して設置されていてもよい。
【0044】
さらに、本実施の形態に係る障害対応装置1の障害対応処理を実行するためのサーバプログラムSAPは、記憶部11、つまり上述したメモリなどの主記憶装置やハードディスクなどの補助記憶装置に格納されているだけでなく、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録することも、通信ネットワーク3を介して配信することも可能である。
【0045】
<情報端末>
情報端末2は、詳しくは、記憶部21と、UI(User Interface)部22と、制御部23と、通信部24と、を具備する構成である。
【0046】
記憶部21は、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等から構成され、制御部23が制御に用いるデータやプログラムなどを記憶するようになっている。本実施の形態の記憶部21には、障害対応処理の情報端末2側に係わる処理を実行するアプリケーションプログラムAPがインストールされている。アプリケーションプログラムAPは、チャットツールの機能を含むアプリケーションプログラムである。
【0047】
UI部22は、例えば、タッチパネルディスプレイ、マイク、カメラ、スピーカなどで構成されている。UI部22は、情報端末2の入力部及び出力部を兼ねるものであり、より具体的には、テキスト入力機能、静止画又は動画を撮影するためのカメラ及びビデオ機能、連絡者又は回答者の声を入力するマイク機能、連絡者又は回答者の声を出力するスピーカ機能、コミュニケーションコンテンツ(テキスト、静止画、動画)を表示するディスプレイ機能などを有する。本実施の形態では、UI部22を介して、障害情報の入力及び出力、障害対応情報の入力及び出力が可能となっている。また、回答者は、UI部22を介して、対応可否情報(例えば、就業フラグ、就業時間帯)の入力が可能となっている(アプリケーションプログラムAPの図示しない管理画面で設定することができる)。
【0048】
制御部23は、例えば、CPU及びメモリ等から構成され、記憶部の制御や、各種データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行うことにより、障害対応システム100の障害対応処理における情報端末2の処理を実行する。障害対応処理における情報端末2の処理は、アプリケーションプログラムAPの機能による。
【0049】
通信部24は、通信ネットワーク3を介して障害対応装置1とデータの送受信を行う。詳しくは、情報端末2Aの通信部24は、障害対応装置1に障害情報を送信し、障害対応装置1から障害対応情報を受信する。また、詳しくは、情報端末2Bの通信部24は、障害対応装置1から障害情報を受信し、障害対応装置1に障害対応情報を送信する。
【0050】
<障害対応システムの動作>
次に、図6を用いて、本実施の形態に係る障害対応システム100の動作について説明する。図6は、障害対応システム100の障害対応処理の流れを示すフローチャートである。なお、前提として、情報端末2は、チャットツールを介して障害対応システム100にログインした状態(例えば、連絡者及び回答者は、障害対応サービスを利用するためのID及びパスワードを入力して障害対応システム100にログインした状態)にあるものとして説明をする。
【0051】
まず、連絡者が情報端末2Aのチャットツール上において所定の言語(以下、連絡者言語という)にて障害情報を入力し、コールセンター宛て送信指示をした場合(ステップS10)、情報端末2Aは、障害対応装置1に対して障害情報を送信する(ステップS20)。
【0052】
障害対応装置1は、情報端末2Aから障害情報を受信すると、受信した障害情報から障害データd102を作成し、作成した障害データd102を障害DB102に登録する(ステップS30)。次に、障害対応装置1は、障害情報の障害内容に基づいて、回答者を決定する(ステップS40)。ここで、図7を用いて、回答者決定処理の一例を説明する。図7は、ステップS40の回答者決定処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【0053】
まず、障害対応装置1は、障害情報を受け付けた日時と、回答者管理DB101に記憶された回答者管理データd101の対応可否情報と、に基づいて、対応可能な就業中の回答者、つまり、現在障害対応中ではない、かつ障害対応業務に従事している回答者を抽出する(ステップS41)。
【0054】
次に、障害対応装置1は、受け付けた障害情報を特定のジャンルの障害(例えば、図5(a)~(c)に示したジャンルの障害)に分類する(ステップS42)。例えば、障害情報がテキスト情報の場合には、テキスト情報として使われている単語などに基づいて、いずれの装置(例えば、図5(a)のA装置、B装置など)かを判断するようにしてもよい。また、例えば、障害情報が画像情報の場合には機械学習モデルを用いていずれの装置かを判断するようにしてもよい。また、最終的にはコールセンターの管理者がチェックし、判断(修正)するようにしてもよい。
【0055】
次に、障害対応装置1は、ステップS41において抽出された回答者のうち、ステップS42において分類された障害内容に対応可能な回答者をリストアップする(ステップS43)。例えば、障害対応業務に従事している回答者のうち、特定のジャンルの障害(例えば、A装置の障害)に対応可能な回答者を、回答者管理DB101に記憶された回答者管理データd101の対応業務に基づいて抽出し、抽出した回答者をリストアップする。
【0056】
次に、障害対応装置1は、ステップS43においてリストアップされた回答者を、予め定めたアルゴリズムに従って優先順位付けする(ステップS44)。予め定めたアルゴリズムとは、例えば、回答者ポイントDB104に記憶された回答者ポイントデータd104のポイント値に基づいて、ポイント値の高い順序で優先順位付けをするアルゴリズムであるが、これに代えて又は加えて、他の要素を取りいれてもよい。例えば、連絡者が特定の回答者を希望するなどのリクエストの要素を反映するようにしてもよい。
【0057】
最後に、障害対応装置1は、ステップS44で決定された優先順位に基づいて回答者を決定する(ステップS45)。具体的には、優先順位1番の回答者を最適な回答者として決定する。しかしながら、後述するステップS100において回答者から回答不可情報を受け付けた場合には、次の優先順位(例えば、優先順位1番の回答者が回答不可情報を送信した場合には、優先順位2番)の回答者を最適な回答者として決定する。
【0058】
図6に戻り、障害対応装置1は、ステップS40において決定された回答者(以下、対応スタッフという)の使用する言語(以下、対応言語という)と、連絡者言語が異なるか否か、つまり、翻訳が必要か否かを判定する(ステップS50)。翻訳が必要である場合(対応言語と連絡者言語が異なる場合、ステップS50:YES)には、障害対応装置1は、連絡者言語にて受け付けた障害情報を翻訳して対応言語の障害情報を作成し(ステップS60)、作成した対応言語の障害情報を対応スタッフの情報端末2Bに送信する(ステップS70)。一方、翻訳が必要ない場合(対応言語と連絡者言語が同一の場合、ステップS50:NO)には、障害対応装置1は、連絡者言語にて受け付けた障害情報を対応スタッフの情報端末2Bに送信する(ステップS70)。
【0059】
対応スタッフの情報端末2Bは、障害対応装置1から障害情報を受信すると、チャットツール上に障害情報を出力する(ステップS80)。対応スタッフは、出力された障害情報の内容を確認した後、当該障害情報への回答が不可であると判断した場合、具体的には、情報端末2Bのチャットツール上において対応言語にて回答不可を示す情報(以下、回答不可情報という)を入力し、コールセンター宛て送信指示をした場合(ステップS90)には、対応スタッフの情報端末2Bは、回答不可情報を障害対応装置1に送信する(ステップS100)。
【0060】
障害対応装置1は、情報端末2Bから回答不可情報を受信すると(ステップS110:NO)、ステップS40に戻り、障害情報の障害内容に基づいて、回答者を再度決定する(ステップS40)。
【0061】
一方、対応スタッフは、出力された障害情報の内容を確認した後、当該障害情報への回答が可能であると判断した場合、具体的には、情報端末2Bのチャットツール上において対応言語にて当該障害内容への解決策である障害対応情報を入力し、コールセンター宛て送信指示をした場合(ステップS120)、情報端末2Bは、障害対応装置1に対して障害対応情報を送信する(ステップS130)。
【0062】
このように本実施の形態では、対応スタッフが回答不可と判断したときにだけ回答可否情報を返信し、対応スタッフが回答可と判断した場合には、回答可否情報を送信せずそのまま障害対応情報を入力するので、コールセンターと回答者のコミュニケーションを最小限とすることができ、回答者はより迅速に障害対応することが可能となっている。しかしながら、これとは別に、回答可の回答可否情報を送信するようにしてもよく(この場合には、コールセンターと対応スタッフの間で必ず一往復のコミュニケーションが発生する)、コールセンターは対応スタッフからの回答可否情報の受信により、次のアクションを実行するようにしてもよい。
【0063】
次に、障害対応装置1は、ステップS130において情報端末2Bから送信された障害対応情報を送信すると、対応言語と連絡者言語が異なるか否か、つまり、翻訳が必要か否かを判定する(ステップS140)。翻訳が必要である場合(ステップS140:YES)には、障害対応装置1は、対応言語にて受け付けた障害対応情報を翻訳して連絡者言語の障害対応情報を作成し(ステップS150)、作成した連絡者言語の障害対応情報を、障害情報を入力した情報端末2Aに送信する(ステップS160)。一方、翻訳が必要ない場合(ステップS140:NO)には、障害対応装置1は、対応言語にて受け付けた障害対応情報を、障害情報を入力した情報端末2Aに送信する(ステップS160)。また、障害対応装置1は、情報端末2Bから障害対応情報を受信すると、受信した障害対応情報から障害対応データd103を作成し、作成した障害対応データd103を障害DB103に登録する(ステップS170)。
【0064】
障害情報を入力した連絡者の情報端末2Aは、障害対応装置1から障害対応情報を受信すると、チャットツール上に障害対応情報を出力する(ステップS180)。この結果、連絡者は、チャットツール上に出力された障害対応情報に従って障害の復旧作業を行うことができる。
【0065】
なお、連絡者と回答者の一連のコミュニケーションは、障害データd102及び障害対応データd103として時系列に記録されていくので、障害発生側の関係者も、情報端末2AのアプリケーションプログラムAPを介して、リアルタイムで障害対応の進捗を把握することができる。また、障害対応システム100の管理者は、リアルタイム又は後日、顧客満足度の観点から、回答者の対応をチェックすることができる。
【0066】
なお、図6は、図2と同様に、連絡者と回答者は一往復のコミュニケーションにより障害が解決した場合の障害対応処理の流れを示したが、ステップS180以降に数往復の双方向のコミュニケーションをとってもよいのは勿論である。
【0067】
以上、本実施の形態の障害対応システム100によれば、連絡者はチャットツールを用いて障害情報をあげると、世界各国のサポートスタッフの中から障害情報に最適な回答者を選択してくれ、最適な回答者がチャットツールにて解決策を回答してくれるので、障害の発生場所や発生時間によらず、障害内容に的確かつ迅速に障害復旧を行うことができる。また、障害発生側の関係者も、連絡者と同一の情報を閲覧することができるので、障害対応の進捗をリアルタイムで把握することができる。
【0068】
また、障害情報には、テキスト情報のほか、写真や動画、音声も含むことができるので、連絡者は、より詳細かつ的確に障害内容を提供することができる。この結果、回答者も正確な障害内容を迅速に把握できるので、より迅速かつ的確な回答を連絡者にすることができる。
【0069】
また、本実施の形態の障害対応システム100によれば、自動翻訳機能を具備しているので、回答者として世界各国のサポートスタッフのスキルを活用することができるというメリットがある。また、回答者にとっても、自宅などの私的空間において障害対応サービスを提供することが可能なので、リモートワークに対応することができるととともに、オフィスに出かけなくても自分の空き時間を有効活用して仕事をすることができる。
【0070】
なお、本実施形態の障害対応サービスは、従前の保守料と異なり、実際に障害対応した分だけの料金を請求するようになっているので、障害対応サービスを利用する会社は、障害対応の保守料を軽減することができるという効果がある。
【0071】
<その他の変形例>
なお、上記実施の形態の障害対応システム100においては、情報端末2はアプリケーションプログラムAPをインストールすることにより、障害対応処理を実行可能としたが、これに限定されない、例えば、Webブラウザの機能により障害対応処理を実行可能としてもよい。この場合、障害対応装置1は、Webサーバとしての機能により、障害対応処理のサーバ側の処理を実行する。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、本発明の実施の形態に対して種々の変形や変更を施すことができ、そのような変形や変更を伴うものもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
1 障害対応装置
2,2A,2B 情報端末
3 通信ネットワーク
11,21 記憶部
12,23 制御部
13,24 通信部
22 UI部
100 障害対応システム
101 回答者管理DB
102 障害DB
103 障害対応DB
104 回答者ポイントDB
105 障害情報受付部
106 回答者決定部
107 コミュニケーション制御部
108 翻訳制御部
109 障害対応情報受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7