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特開2024-61091建物のゲート管理システム、該管理システムに於ける通信端末及び該通信端末用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061091
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】建物のゲート管理システム、該管理システムに於ける通信端末及び該通信端末用プログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240425BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20240425BHJP
   G07C 9/29 20200101ALI20240425BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E05B49/00 J
G07C9/27
G07C9/29
G08B25/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168806
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】岩田 圭司
【テーマコード(参考)】
2E250
3E138
5C087
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250AA03
2E250BB04
2E250BB53
2E250FF23
2E250FF36
3E138AA01
3E138JA01
3E138JC01
3E138JC19
5C087DD06
5C087DD20
5C087EE02
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF25
5C087GG19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建物から退去した元居住者が所持する通信端末が保持している認証用鍵IDを一定期間使用していない場合には、認証用鍵IDを利用する権限がなくなったものと見做し、自動的に通信端末(特にスマホ)に認証用鍵IDを残さない或いは認証用鍵IDを使用不可とする。
【解決手段】ゲートのロック装置を少なくとも解除するための認証用鍵IDを記録する通信端末と、前記認証用鍵IDと登録済み鍵情報とを照合し照合の判定結果が正当である場合には前記ゲート用のロック装置を作動させる認証システムとを備え、通信端末は、計時部が示す現在時刻を参照して、認証用アプリケーションは一定期間内に全く起動しなかった又は認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかった、のいずれか一方であると判別した場合に認証用鍵IDの利用不可情報を記憶部に登録し、以後認証用鍵IDを認証システムに送信することができない状態となるゲート管理システム。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物のセキュリティーゾーンのゲートのロック装置を、少なくとも解除するための認証用鍵IDを記録する通信端末と、前記認証用鍵IDと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合には、前記ゲート用のロック装置を作動させる認証システムとを備える建物のゲート管理システムであって、
前記通信端末は、認証用アプリケーションと、前記認証用アプリケーションが一定期間内に起動したか否か、又は前記認証用アプリケーションによる認証用鍵IDの認証が一定期間内に実行されたか否かのいずれか一方を判別する判別手段と、通信端末の制御を行う端末制御部とを有し、前記判別手段は、計時部が示す現在時刻を参照して前記認証用アプリケーションは一定期間内に全く起動しなかった、又は計時部が示す現在時刻を参照して前記認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかった、のいずれか一方であると判別した場合に、端末制御部は、前記認証用鍵IDの利用不可情報を記憶部に登録し、これにより、以後、前記通信端末は前記認証用鍵IDを前記認証システムに送信することができない状態となる建物のゲート管理システム。
【請求項2】
請求項1の建物のゲート管理システムに於いて、前記セキュリティーゾーンは、少なとも専有部又は共用部の入口のいずれか一方であることを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項3】
コンピュータに対し、通信端末の判別手段は、計時部が示す現在時刻を参照して認証用アプリケーションは一定期間内に全く起動しなかった、又は計時部が示す現在時刻を参照して認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかった、のいずれか一方であると判別した場合、建物の元居住者が所持する通信端末の認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部に記録する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 建物のゲート管理システム、該管理システムに於ける通信端末及び該通信端末用プログラムに関し、特に、通信端末が記録している認証用鍵IDによりセキュリティーゾーンのゲート用の電気錠、自動扉開閉装置などのロック装置の作動(例えば解錠、開閉など)させることができる建物のゲート管理システム、該管理システムに於ける通信端末及び該通信端末用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
まず特許文献1は、スマートフォンなどの電子機器(以下、簡単に「スマホ」という場合もある)を通じて解錠/施錠を行うスマートロックにおいて、利用者の権限を管理するサーバー側で利用者の認証を行う場合、スマートロックとサーバーとの間で通信が行われる出入管理システムの認証装置に関するもので、前記サーバーの解錠認証手段は、前記スマホが保持している認証用鍵ID(識別情報)が利用可能であるか、それとも利用できないものであるかを判別(認証)するものである。
【0003】
すなわち、特許文献1の発明は、電気錠の解錠を制御する錠制御端末と、電気錠が設置された施設の利用者が所持する携帯端末とを有する電気錠システムであって、錠制御端末は、携帯端末から受信した電子証明書及び送信元端末識別情報を用いて、携帯端末が電気錠の解錠権限を有することを認証する解錠認証手段と、該解錠認証手段によって携帯端末が電気錠の解錠権限を有すると認証された場合、電気錠を解錠するよう制御する解錠制御手段とを有する。そして、解錠認証手段は、正当であると検証した電子証明書から読み出した錠識別情報が電気錠の錠識別情報と一致する場合、電子証明書が電気錠に対する電子証明書であると確認し、確認した電子証明書から読み出した端末識別情報が送信元端末識別情報と一致する場合、携帯端末が電気錠の解錠権限を有すると認証するものである。
【0004】
そこで、特許文献1の請求項5には、「 前記錠制御端末(認証システム側)は、前記電気錠の解錠を禁止する携帯端末の端末識別情報を登録したブラックリストを記憶する記憶部をさらに有し、前記携帯端末からブラックリストを受信すると、前記記憶したブラックリストを更新し、前記送信元端末識別情報が、前記更新したブラックリストに登録されている端末識別情報と一致する場合、前記携帯端末が前記電気錠の解錠権限を有するものと認証しないこと」が記載されている。
【0005】
前記請求項5に記載の発明は、電気錠が、電気錠の解錠権限を管理する管理装置と通信しなくても、解錠を要求した携帯端末が解錠権限を有することを適切に認証できるという効果があるものの、携帯端末及び錠制御端末(認証システム側)の両方にそれぞれ携帯端末自体の端末識別情報を登録したブラックリストを記録(ブラックリストの更新も含む)させ、通信接続の際、錠制御端末(認証システム側)が常にブラックリストの端末識別情報を検証することから、端末同士の記録情報が増大化する、システムが複雑になる、携帯端末にブラックリストに記録されている情報が残る等のという問題点がある。
【0006】
次に特許文献2及び特許文献3は、いわゆるスマホと称されている携帯端末の「アプリケーション」の一つである着信音の通常モードとマナーモードを切り替える機能に関するものである。例えば特許文献2は、自動的に通常モードとマナーモードを切り替えるために、マナーモードの設定を開始する設定時刻保持手段、前記設定時刻保持手段に保持されている開始設定時刻に基づいて、前記マナーモードの設定の開始を制御するモード管理手段を備えるものである。
【0007】
ところで、前記スマホの記憶部には、周知の如く多数のアプリケーションが格納されているが、建物のゲート管理システムとの関係で、例えば建物の元居住者が所持している通信端末の認証用鍵IDの利用不可情報に関することは全く記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-173523号公報
【特許文献2】特開2006-50293号公報
【特許文献3】特開2010-109616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主たる課題は、建物から退去した元居住者が所持している通信端末の記憶部に登録されている認証用鍵IDについて、該通信端末及び錠制御端末(認証システム側)の両方にブラックリストを記録させることなく、その代わり、通信端末がその記憶部に保持している認証用鍵IDを一定期間使用していない場合には、もはや認証用鍵IDを利用する権限がなくなっているものと見做し、これにより、前記建物の元居住者が所持している通信端末(例えばスマホ)に認証用鍵IDを残さない、或いは認証用鍵IDの使用を不可とすることである。これにより、端末同士のブラックリストの認証(例えば呼応)を不要にする、端末同士の記録情報が増大化しないようにする等の効果を得ることである。なお、使用停止にした利用不可情報は、例えばスリープ状態が含まれるが、好ましくは認証用鍵IDの使用禁止(認証用鍵IDの抹消も含む)である。第2の目的は、セキュリティーゾーンが、複数の共用部を含む場合に、全ての共用部のセキュリティーゾーンの記憶部に記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。具体的な実施形態として、例えばセキュリティーゾーンのゲートに、例えばエントランス、エレベーター等のゲートが含まれる場合には、これらのゲートの不当解錠を防止するために、共用部に設置された各認証システムの記憶部にそれぞれ記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。なお、本発明の利用実施の一例として、例えば通信端末が建物の数に対応して各々異なる認証用鍵IDを有している場合には、前記異なる認証用鍵IDの全てを対象として認証用鍵IDを使用継続するか否かを判別することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、本発明の建物のゲート管理システムは、物のセキュリティーゾーンのゲートのロック装置を、少なくとも解除するための認証用鍵IDを記録する通信端末と、前記認証用鍵IDと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合には、前記ゲート用のロック装置を作動させる認証システムとを備える建物のゲート管理システムであって、前記通信端末は、認証用アプリケーションと、前記認証用アプリケーションが一定期間内に起動したか否か、又は前記認証用アプリケーションによる認証用鍵IDの認証が一定期間内に実行されたか否かのいずれか一方を判別する判別手段と、通信端末の制御を行う端末制御部とを有し、前記判別手段は、計時部が示す現在時刻を参照して前記認証用アプリケーションは一定期間内に全く起動しなかった、又は計時部が示す現在時刻を参照して前記認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかった、のいずれか一方であると判別した場合に、端末制御部は、前記認証用鍵IDの利用不可情報を記憶部に登録し、これにより、以後、前記通信端末は前記認証用鍵IDを前記認証システムに送信することができない状態となることを特徴とする(請求項1)。これにより、端末同士のブラックリストの認証を不要する、端末同士の記録情報が増大化しないようにする等の効果を得ることができる。
【0011】
上記構成に於いて、少なとも専有部又は共用部の入口のいずれか一方であることを特徴とする(請求項2)。また本発明のプログラムは、コンピュータに対し、通信端末の判別手段は、計時部が示す現在時刻を参照して認証用アプリケーションは一定期間内に全く起動しなかった、又は計時部が示す現在時刻を参照して認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかった、のいずれか一方であると判別した場合、建物の元居住者が所持する通信端末の認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部に記録する処理を実行させることを特徴とする(請求項3)。
【0012】
なお、請求項1の構成に於いて、端末制御部は、前記利用不可情報を記憶部に登録した後、利用不可情報を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報をサーバー記憶部に記録することを特徴とする。これにより、サーバーが利用不可情報を一括管理しやすくなる。
【0013】
また、前記通信端末は建物から退去した元居住者が所持するものであることを特徴とする。これにより、建物から退去した元居住者が通信端末を所持していても、共用部に複数個のゲートが存在する場合に、それらの登録済み鍵情報を、例えば抹消することができるので、不正に建物の中に入るのをより一層確実に防止することができる。また、集合住宅の場合の運用として、共用部の抹消等をトリガーとする理由は、退去者が出た場合、セキュリティ上、まず退去者がマンションに立ち入りを防ぐ必要がある為、一般的に、共用部の認証システムから鍵情報を抹消する方が好ましい。
【0014】
さらに、前記通信端末は、認証用鍵IDを受信する受信手段、前記受信手段が受信した前記認証用鍵IDを記憶部に登録する登録部、操作部、表示部、計時部、判別手段、認証システムに対して登録済の前記認証用鍵IDを送信する送信手段、前記記憶部に登録された認証用アプリケーションを備えていることを特徴とする。
【0015】
加えて、実施形態如何によっては、通信端末が建物又はゲートの数のいずれかに対応して各々異なる認証用鍵IDを有している場合には、端末制御部は、記憶部から前記認証用鍵ID毎に、操作部の操作を検出することにより、各認証用鍵IDの送信が時系列的に停止した最終操作日情報をそれぞれ取得し、前記判別手段は、計時部が示す現在時刻を参照して前記認証用鍵IDを使用継続するか否かを判別することを特徴とする。これにより、前記認証用鍵IDの全てを対象として認証用鍵IDを使用継続するか否かを判別することができる。
【0016】
上記本発明の建物のゲート管理システムに於いて、「通信端末の判別手段18は、計時部17が示す現在時刻を参照し、前記認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行されになかったか否かを判別する実施形態」が存在する。この実施形態は、判別手段18の判別のタイミングに関して、必ず、認証用アプリの起動時に判別する必要がないことを意味する。具体的には、認証アプリがスマホのバックグラウンドで常時起動しており、一定期間内に認証用鍵IDの使用があったか否かについて、その判別のタイミングは、所定期間毎に判別する場合を想定している。この想定に基づく実施形態としては、例えば現在時刻と最終操作履歴情報との比較ではなく、計時部17が最終操作からタイマーを起動させ、経過時間を参照にして一定期間内に認証用IDの使用があったか否かを判別する場合である。このような実施形態の場合には、一定期間内に認証用IDの使用がなかったとき、そのまま次の認証をせず、即時に前記認証用鍵IDを利用できないようにし、一方、前記最終操作を基準にして前記一定期間経過する前に当該認証用鍵IDを利用した認証を行った場合には現状維持する。
【0017】
ここで「認証用鍵ID」は、例えば通信端末の識別情報や鍵IDと、認証システム側の端末の識別情報と、認証システム側のゲートの識別情報と、サーバー側の識別情報とが適宜に紐付けられている電気キーが好ましい。なお、元居住者が複数人(父親、母親、子供など)存在する場合に於いて、それぞれ自己の通信端末を所持している時には、前記通信端末の認証用鍵IDは、個々の通信端末の識別情報によって異なるので、このような場合には、認証システムの登録済み鍵情報も前記個々の通信端末の認証用鍵IDの数に対応して複数個存在する。
【0018】
また「セキュリティーゾーン」とは、例えば集合住宅やオフィス、商業施設といった建物の敷地に入るための門扉、エントランスに入るための自動開閉扉、エレベーターに乗るための自動開閉ドア、専有部に入るための扉を基準にして区分けされた占有スペースをいう。それ故に、占有スペースは単数又は複数である。また「ゲート」とは、建物の遮蔽用開閉体をいう。
【0019】
なお「ロック装置」には、錠前本体にシリンダー錠やサムターン錠を備え、機械的・電気的に施・解錠することができる電気錠のみならず、駆動モータ、動力伝達手段等を備え、駆動モータの駆動力により遮蔽用開閉体を水平方向や垂直方向へと開くための駆動装置も含まれる。したがって、ここでの「作動」には、遮蔽用開閉体が静止状態で、いわゆるデッドボルトに対するロック手段のロック状態を解消させる場合、デッドボルトが解錠方向に移動する場合や、駆動モータの駆動力により遮蔽用開閉体が開く方向へ移動する場合が含まれる。また普通一般に、集合住宅の場合のセキュリティーゾーンは、エントランスに使用される共用部用のゲートと、個々の建物区分所有権に対応する専有部用のゲートが存在するので、認証システムも前記共用部用のゲート用の第1認証システムと前記専有部用のゲートに対応する第2認証システムとが存在する。またオフィスの場合のセキュリティーゾーンは、エントランスに使用される共用部用のゲートと、個々の建物区分所有権、又は貸テナントの賃貸契約に基づく占有権に対応する専有部用のゲートが存在するので、認証システムも前記共用部用のゲート用の第1認証システムと前記専有部用のゲートに対応する第2認証システムとが存在する。
【0020】
さらに、「認証用鍵IDの利用不可の条件」は、例えば認証用アプリケーションが現在日時情報を基準として一定期間内に起動しなかった場合か、又は前記認証用アプリケーションが現在日時情報を基準として複数回使用された場合における最後の認証用鍵ID応答等を基準として、前記計時部の開始設定時刻から複数の日数を含む一定期間の経過した場合、のいずれか一方が含まれ、好ましくは「認証用鍵IDの利用不可情報」には、認証用鍵IDをスリープモードにした状態や認証用鍵IDの抹消した状態等である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、建物から退去した元居住者が所持する通信端末が、その記憶部に保持している認証用鍵IDを一定期間使用していない場合には、もはや認証用鍵IDを利用する権限がなくなったものと見做し、これにより、例えば前記建物の元居住者が所持している通信端末(特にスマホ)自体に自動的に認証用鍵IDを残さない、或いは自動的に認証用鍵IDを使用不可とすることができる。こりより、認証システムの利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1乃至図6は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図1】管理システムXの全体を示す概念構成図。
図2】通信端末の構成を示すブロック図。
図3】認証システムの構成を示す概略図。
図4】サーバーの構成を示す概略図。
図5】通信端末の認証用アプリケーションの実行によって記憶部の記憶領域に登録される使用の履歴情報の一例を示す説明図。
図6】通信端末の認証用アプリケーションが一定期間内に起動しなかった場合のフローチャート(第1の実施形態)。
図7】一定期間内に認証用鍵IDが使用されなかった場合のフローチャート(第2の実施形態)。
図8】判別手段は、計時部が示す現在時刻及びカウント時間の幅を参照にして、一定期間内の認証用鍵IDの使用があったか否かを判別するフローチャート(第3の実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1乃至図6は、本発明の第1実施形態の建物のゲート管理システムX(以下、ここでは「管理システムX」ともいう。)の各説明図である。図1は管理システムXの全体を示す概念構成図である。
【0024】
〈基本的な全体構成〉
図1に於いて、1は単数又は複数の建物のセキュリティーゾーン、2はセキュリティーゾーンに設けられた単数又は複数のゲート、3はゲート自体又はゲート付近(扉枠部、壁部)に設けられたゲート用のロック装置(電気錠、自動開閉扉、自動開閉シャッター等)、4はロック装置の認証用鍵ID(例えば電気錠を解錠する権限、自動開閉扉を開く権限等)A及び認証用アプリケーションBをそれぞれ記録する通信端末、5は前記認証用鍵ID(符号A)と登録済み鍵情報(符号R)とを照合し、該登録済み鍵情報Rと認証用鍵IDとが一致した場合にゲート用のロック装置3を作動させる認証システム、6は通信端末4及び認証システム5がそれぞれ接続するネットワーク、7は前記ネットワーク6を介して前記認証システム5に接続すると共に、その記憶部に前記認証用鍵ID(符号A)を管理するサーバーである。第1実施形態では、サーバー7が管理している認証用鍵ID(符号A)及び認証用アプリケーション(符号B)を、ネットワーク6を介して通信端末4に配信することができる。
【0025】
〈通信端末4の構成〉
図2は通信端末4の構成を示すブロック図である。通信端末4は、セキュリティーゾーン1のゲート2を通過する人(例えば建物の入居者、入居者から認証用鍵IDを付与された者、建物から退去した元居住者、ホテルの宿泊者など)が所持し、ゲート用のロック装置3を作動(解錠、施錠、開閉)させるために用いられるスマートフォン、タブレットなどの携帯端末である。ここでは携帯端末を便宜上「スマホ」という場合もある。
【0026】
したがって、通信端末4或いはスマホは、例えば端末制御部10、操作部及び表示部としてのタッチパネル11、記憶部12、認証用鍵ID(符号A)の新規登録・更新登録・変更登録・抹消登録をするためのモード切替え機能を有する登録部12a、記憶部12に記録されている認証用鍵ID(符号A)のコピーを抽出する認証用鍵ID特定部15、認証用鍵IDを受信・送信する複数の通信部13(13a、13b)、計時部17、判別手段18、図示しない各種のスイッチ、カメラ機能、複数のアブリケーションと共に、認証用アプリケーションB(単に「アプリ」或いは「アプリB」という場合もある)を有する。
【0027】
付言すると、実施形態の通信端末4は、図1で示すようにサーバー1からネットワーク6を介して取得した認証用アプリケーション(符号B)を記憶部12に格納している。ここで簡単に各部の機能を説明する。第1通信部13aに含まれる受信手段14並びに第2通信部13bに含まれる送信手段は、いわゆるアンテナ部や無線部に相当するもので、通信端末4の送受信部である。端末制御部10は、当然のことながら通信端末4の制御を行う。実施形態の端末制御部10は、例えば認証用アプリケーション(符号B)の起動(開始)及び停止、認証用鍵IDを使用停止にした場合における利用不可情報に関する制御・管理を行う。
【0028】
また計時部17は、認証用アプリケーションBが起動を開始した時刻、起動を停止した時刻、現在時刻を計測する。計時部17は常に現在時刻を保持する。なお、計時部17には、図示しない時刻修正用サーバー、時刻専用サーバー等が含まれる。
図2で示すように、端末制御部10は、計時部17の計時時刻と関連して、例えば認証用アプリケーションB(図2では、単に「アプリ」と記載する)のアプリ使用時刻(起動や停止時刻)17a、認証用鍵IDの使用開始時刻17b等を記憶部12の時刻記憶領域12bに記録する。
【0029】
実施形態の判別手段18が判別する所定の条件、換言すれば、「認証用鍵IDの利用不可の条件」は、認証用アプリケーションBが一定期間内に全く起動しなかった場合か、又は前記認証用アプリケーションBが複数回使用された場合における最後の認証用鍵IDの使用(例えば応答)を基準として、前記計時部17の記認証用アプリケーションBをアプリ使用したアプリ使用時刻(少なくともアプリ起動設定時刻又はアプリ停止設定時刻のいずれか一方を含む)17a、又は認証用鍵ID使用した使用時刻(例えば呼応時刻)17bから複数の日数を含む一定期間の経過した場合、のいずれか一方である。
【0030】
判別手段18が、認証用アプリケーションBは一定期間内に全く起動なし、又は認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行なし、のいずれか一方を判別した場合、端末制御部10は、前記認証用鍵IDの利用不可情報を記憶部12に登録し、これにより、以後、前記通信端末は前記認証用鍵ID(符号A)を前記認証システム5に送信することができない状態となる。前記アプリBが一定期間内に使用された時刻、アプリBが一定期間内に使用されなかった期間、又は/及び認証用鍵IDが一定期間内に使用された時刻、一定期間内に使用されなかった期間が「使用の履歴情報」となる(図6図7を参照)。
【0031】
しかして、実施形態の通信端末4は、図1及び図2で示すように、建物のセキュリティーゾーン1のゲート2のロック装置3を、少なくとも解除するための認証用鍵ID(符号A)を、ネットワーク6を介して受信する受信手段14、前記受信手段が受信した前記認証用鍵IDを記憶部12に登録する登録部12a、操作部11、表示部11、計時部17、認証システム5に対して登録済の前記認証用鍵IDを送信する送信手段16、前記送信手段16に認証用鍵IDを送信するための認証用鍵ID特定部15、前記記憶部12に登録された認証用アプリケーションB、アプリ起動時刻17a、認証用鍵IDの使用開始時刻17b、アプリ起動停止時刻17a等を記憶する時刻記憶領域12bを備え、前記認証用鍵ID(符号A)の利用不可の条件は、前記認証用アプリケーション(符号B)が一定期間内に全く起動しなかった場合か、又は認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行なし、のいずれか一方である。なお、ここでは「アプリ使用時刻」には、少なくともアプリ起動時刻17a又はアプリ起動停止時刻17aのいずれか一方が含まれるので、同じ符号を用いた。
【0032】
繰り返しとなるが、前記端末制御部10には、その記憶部12にロック装置の認証用鍵ID(符号A)が記録されている。また前記通信部13の第1通信部13aは、サーバー7から認証用鍵IDやアプリBを取得し、かつ登録部12aに該認証用鍵IDやアプリBを渡す認証用鍵ID受信手段14を含み、一方、前記通信部13の第2通信部13bは、認証用鍵ID特定部15を介してゲート識別情報、ロック装置の識別情報、ロック装置用の制御部識別情報、サーバーの送信元識別情報等の識別情報が適宜に紐付けされた前記認証用鍵IDを用い、かつ、ロック装置3の作動を要求する認証用鍵ID送信手段(解錠要求手段)16を含む。
【0033】
〈認証システムの構成〉
図3は認証システムの構成を示す概略図である。この図3に於いて、20は制御部、21は記憶部としての鍵情報登録部、22は前記鍵情報登録部に登録されている認証用鍵IDを削除するための鍵情報抹消手段、23は認証用鍵ID(符号A)と登録済み鍵情報(符号R)とを照合して一致するか否かを検証する解錠認証手段、24はゲート2用のロック装置3に対して解錠や開閉信号を要求する解錠要求手段、25はサーバー7と通信する第1通信部、26は通信端末4と認証用鍵IDや抹消信号を通信する第2通信部、27は入出力部、28は鍵情報設定・抹消用の外部機器(例えばノートパソコン)である。
【0034】
前記外部機器28は、例えば建物のセキュリティーゾーンの一例であるマンションの専有部に、新規な入居者が住むことになった場合には、サーバー側から通信端末4に認証用鍵IDを配信する前に、管理者やキーメンテナンスをする資格を有する業者が、前記鍵情報登録部21に当該認証用鍵IDに対応する新規な鍵情報を登録するために用いられるものである。したがって、実施形態では、業者が新規な鍵情報を、外部機器28を介して鍵情報登録部21に設定した時、認証システム5は第1通信部25からサーバー7に対してその新規な鍵情報を登録した旨を通知する。サーバー7は前記通知を受信した場合には、後述するように、その記憶部33に登録する。
【0035】
ところで、前記外部機器28が、例えばノートパソコン、タブレット端末等の機器である場合には、認証システム5に対して外部指令装置としいの機能を有するので、特に図示しないが、新規な鍵情報を登録するための登録ファイル、登録済み認証用鍵IDを他の認証用鍵IDに変更するための変更ファイル、登録済み認証用鍵IDを使用禁止するための使用禁止ファイル、登録済み認証用鍵IDを抹消するための抹消ファイル、認証用鍵ID配信用ファイルなどの各種のファイルを外部指令用記憶部に有している。
【0036】
また認証システム5と通信を行うための外部指令用通信処理部を有している。また前記外部指令用記憶部、外部指令通信処理部等の各構成要素の動作を制御すると共に、各構成要素間の各種の信号や情報の伝送を実行する制御部を有している。したがって、例えば認証システム5が前記外部機器28を含む実施形態では、認証システム5は、サーバー7に対して認証用鍵IDに関する情報を提示する情報提示装置側通信装置としての役割(機能)を果たす。
【0037】
であるから、認証システム5は、少なくともゲート2用のロック装置3と、認証用鍵IDが利用可能か否かを判定する照合部(解錠認証手段)23と、前記ロック装置3を制御する制御部20と、記憶部としての鍵情報登録部21と、通信端末4及びサーバー7と通信する複数の通信部(25、26)、入出力部27とを備え、好ましくは前記外部機器28も含まれる。
【0038】
そして、前記制御部20は、前記鍵情報登録部21が記録している登録済み鍵情報Rが鍵情報設定・抹消用の外部機器28によって認証用鍵IDに関する新規登録・更新登録・抹消登録がされた場合には、少なくともその抹消登録の時期(例えば入居者が引越で退出した時、新入居者が入居する直前、前記退出時から前記入居時までの間の適宜時期)に、サーバー7に対して、例えば退去者の抹消登録に関し、もはや元居住者の認証用鍵IDを使用することができない旨の利用不可情報を出力する。第1実施形態では、認証システム5が通信端末4から認証用鍵IDを一定期間受け取ることができない状態となった場合には、認証システム5は通信端末4の所持者が認証用鍵IDを利用する資格を有しなくなったと看做し、それをトリガーとして認証システム5の第1通信部25からネットワークを介してサーバー7に利用不可情報が通知される。
【0039】
しかして、前記サーバー7が認証システム5から通信端末4の「利用不可情報」を受信しても、前記通信端末4に依然として認証用鍵IDが残っている。その場合ユーザ(例えば元居住者)は、認証用鍵IDを積極的に抹消してくれるとは限らない。ユーザが通信端末4に保持されている認証用鍵IDを積極的に抹消してくれない場合は、例えば旧居住者が所持しているスマホ4にそのまま認証用鍵IDが保留されることなる。
【0040】
そこで、実施形態の通信端末4は、認証用アプリケーションBと、前記認証用アプリケーションが一定期間内に起動したか否か、又は前記認証用アプリケーションによる認証が一定期間内に実行されたか否かのいずれか一方を判別する判別手段18を有し、前記判別手段18が、前記認証用アプリケーションBは一定期間内に全く起動なし、又は認証用鍵IDの認証は一定期間内に全く実行なし、のいずれか一方を判別した場合、端末制御部10は、前記認証用鍵IDの利用不可情報(例えば抹消情報)を記憶部12に登録し、これにより、以後、前記通信端末4は前記認証用鍵IDを前記認証システム5に送信することができない状態となる。
【0041】
ところで、ロック装置3が、例えば電気錠の場合には、カム部材又は歯車部材が駆動手段の動力により解錠方向に作動し、その結果、ダルマによってデッドボルトが錠箱側に引き戻される。前記ロック装置3は特に限定するものではないが、例えば電気錠の場合には、機械的並びに電気的に施・解錠することができる。
〈該サーバーの構成〉
図4はサーバー7の構成を示す概略図である。サーバー7は、望ましくは記憶容量が大きいクラウドであり、通信部31、制御部32、記憶部33、操作部34、表示部35などを有する。ここでは、通信部31、制御部32、記憶部33及び認証用鍵IDの管理方式、認証用鍵IDの抹消方式、認証用鍵IDの配信先、認証用鍵配信アプリケーションの配信等について説明する。サーバー7の具体的構成は、本発明の特定要件ではないので、以下、簡単に説明する。
【0042】
まず通信部31は、通信端末4や認証システム5と通信を行う通信インターフェイスである。次に制御部32は、周知のように各種の情報を処理する。制御部32は、コンピュータプログラムにより実現される機能モジュールとして、通信端末4に対して、少なくともアドレス情報を発行するアドレス情報発行手段36、前記アドレス情報と他の識別情報(ゲートの識別情報、錠ID、当該通信端末の識別情報、制御部の識別情報など)を認証用鍵IDに紐付して通信端末4に発行する認証用鍵ID発行手段37、例えば認証システム5のトリガーによって、通信端末4との呼応不可情報を、通信部31を介して受け取った場合に、後述する記憶部33の第2データリスト33bに登録する利用不可情報登録手段38、認証用アプリケーション配信手段(アプリ配信手段)39などを有している。
【0043】
次に記憶部33は、サーバー7上で実行されるコンピュータプログラムのコードおよび各種のデータを記憶し、RAM、ROMなどの任意の半導体メモリを有するものである。
しかして、記憶部33は、認証用アプリケーションを保存管理し、例えば図1で示すように、認証用アプリケーションB(アプリB)は、サーバー7からネットワーク6を介してユーザとしての通信端末4に配信することができる。また記憶部33は、通信端末4に配信するための認証用鍵IDを保存管理する第1データリスト33aと、前記通信端末4に配信済みでありかつ認証システム5から呼応不可情報の通知を受けた認証用鍵IDを使用停止や抹消した記録を保存管理する第2データリスト(使用禁止のリスト)33bとを有する。前記第2データリスト33bは、配信済みの認証用鍵IDの再使用を禁止するための措置である。なお、特に図示しないが、記憶部33は、通信端末4からネットワーク6を介して通信部31が受け取った認証用鍵IDの着信履歴も記録されている。
【0044】
次に、通信端末4がサーバー7にアクセスする態様について説明する。好ましい実施形態は、通信端末4のカメラで二次元コードをとらえる方法である。例えば不動産としての建物の壁(ゲートの壁面、ゲート付近の壁など)、動産として各種物品(包装箱、はがき、カード、ポスター、カレンダー、スタンドなど)の平面部に二次元コードを印刷し、通信端末4のカメラを用いて二次元コードを読み込むと、webサイトの表示画面が直ちに現れ、その表示画面にタッチするとサーバーに容易かつ迅速に接続可能である。もちろん、URL(送信可能化された情報)の取得方法は、テレビジョンの画面に一時的に表れた二次元コードを通信端末4のカメラを用いて読み込むこともできる。その取得方法は色々とある。
【0045】
そこで、本発明の建物のゲート管理システムXが、仮に「認証用アプリケーションB」を使用する場合には、サーバー7から利用者が所持している手元の通信端末4にURLに紐付けされた認証用鍵配信アプリをダウンロードし、かつ、該認証用鍵配信アプリを使えるようにインストールした上で、アプリケーションの様式に基づいて利用者に関する必要な情報をサーバー7に送信することができる。
【0046】
しかして、第1実施形態では、認証システム5が通信端末4との間で一定期間内に全く認証が実行されなかった場合(例えば呼応がなかった場合)には、その登録済み鍵情報を利用できない状態(例えば抹消、使用停止等)になったものと看做し、該サーバー7は前記通信端末4の認証用鍵IDを、記憶部33の第2データリスト(使用禁止のリスト)33bに保存管理すると共に、前記認証用鍵IDを利用することができなくなる制御信号(好ましくは抹消信号)を通信端末4にネットワーク(ローカル又は広域の通信網)を介して単数又は複数回送信する。
【0047】
なお、前記制御信号は、異なる時期(例えば入居から退去により当該セキュリティーゾーンを利用することができなくなった直後、当該セキュリティーゾーンを利用する新規居住者が引っ越してくる直前、前記直後と直前の間など)に、少なくとも合計二回以上送信することが好ましい。
【0048】
またセキュリティーゾーン1が、少なくとも第1のセキュリティーゾーン(例えば建物の共用部)と、第2のキュリティーゾーン(例えば建物の専有部)が存在する場合に、サーバー7又は認証システム5のいずれかが、認証用鍵IDを利用することができなくなる制御信号を出力する時、該制御信号には、前記第1のセキュリティーゾーンのゲートを利用することができなくする共用部用の第1制御信号と、前記第1制御信号とは別個の前記第2のキュリティーゾーンのゲートを利用することができなくする専有部用の第2制御信号が含まれている。
【0049】
ここで、通信端末4用の「プログラム」についてクレームすると、次の通りである。「コンピュータに対し、建物のキュリティーゾーン1のゲート2のロック装置3を、少なくとも解除するための認証用鍵IDを記録する通信端末4と、前記認証用鍵IDと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置3を作動させる認証システム5と、前記通信端末4及び認証システム5がそれぞれ接続するネットワーク6と、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記認証用鍵IDを管理するサーバー7とから成る建物のゲート管理方法に使用される前記通信端末のコンピュータを実行させるプログラムであって、前記コンピュータに、認証用アプリケーションBが一定期間内に起動しなかった場合か、又は前記認証用アプリケーションBが複数回使用された場合における最後の認証用鍵ID応答を基準として、前記計時部の認証用アプリケーション使用時刻又は認証用鍵IDの使用時刻から複数の日数を含む一定期間の経過した場合、のいずれか一方であるとき、建物の元居住者が所持する前記通信端末の認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部の使用禁止のリストに記録する処理を実行させるプログラム」。
【実施例0050】
ここでは、まず、図5を参照にて、通信端末4の認証用アプリケーションB(単に「アプリB」ともいう)の実行によって記憶部12の時刻記憶領域12bに登録される使用の履歴情報の一例を説明する。
【0051】
図5の記憶部12の時刻記憶領域12bには、アプリ起動開始時刻とアプリ使用停止時刻が記録されている。図面左側の前記アプリ起動開始時刻に関して、例えば2022年6月1日に於いて、午後に仕事から自宅に帰った人が所持しているスマホ4でゲート2のロック装置3をセキュリティーゾーン1で解錠する場合には、その日の第1回目のアプリ起動開始時刻1が記録される。そして、その後に外出し、例えば夕方等に、再び前記スマホ4でゲート2のロック装置3を解錠する場合には、その日の第2回目のアプリ起動開始時刻1-2が記録される。以下、それが繰り返されると、アプリ起動開始時刻1-3、1-4、1-nが逐次記録される。2022年6月2日、3日、4日も同様である。図面右側前記アプリ使用停止時刻に関しても、前記アプリ起動開始時刻と同様である。
【0052】
しかして、仮に前記スマホ4を利用していた人が退去し、元居住者となった場合、普通一般に前記セキュリティーゾーン1で一定期間内にアプリBを使用しないであろう。元居住者は、特段の理由がない限り、アプリBを利用する資格を有しないからである。
そこで、2022年6月5日から同年同月の19日まで一定期間、例えば2週間アプリBが使用されていない場合には、その間、使用の履歴情報が存在しないことになる。
【0053】
ところで、図5の記憶部12の時刻記憶領域12bには、アプリ起動開始時刻とアプリ使用停止時刻が記録されているが、アプリBの使用に関する情報を、認証用鍵IDの使用情報に置換することも可能である。なお、図5に於いて、時刻記憶領域12bに、例えば1日に「何度、アプリを起動させたか」、又は「何度、認証用鍵IDを使用したか」の使用回数を記憶する領域を設けても良い。
【0054】
したがって、記憶部12の時刻記憶領域12bには、少なくともアプリBの使用に関する情報か、又は、認証用鍵IDの使用情報(操作時刻や呼応時刻)のいずれか一方が、使用の履歴情報として記録されている。なお、一定期間は2週間に限定する趣旨ではなく、例えば20日、30日、40日、50日等、適宜に設定することができる事項である。
次に、図6は計時部が示す現在時刻を参照にして、通信端末の認証用アプリケーションが一定期間内に起動しなかった場合のフローチャート(第1の実施形態)である。さらに図7図6のフローチャートと同一であり、計時部が示す現在時刻を参照にして、一定期間内に認証用鍵IDが使用されなかった場合のフローチャート(第2の実施形態)である。なお、例えばステップ601と記載すべきであるが、略式で「S601、S602等」と記載する。
【0055】
まず図6に於いて、S601は認証用アプリが起動する。前述した如く、「アプリB」は、スマホ4にインストール済みであり、その記憶部12に記録されている。S602はアプリBが現在日時情報、つまり現在時刻(年・月・日・時・分)を取得する。現在時刻はスマホ4の計時部17、時刻修正用サーバー、時刻専用サーバー等で取得することができる。S603は図5の時刻記憶領域に記録されている使用の履歴情報を取得する。判別手段18は、計時部17が示す現在時刻を参照にして、一定期間内にアプリBの起動があったか否かを判別する(S604)。S605は一定期間内にアプリBの起動があった「Yesの場合」であり、この場合には現状をそのまま維持する。したがって、アプリBをそのまま使用続けることができる。一方、S606は一定期間内にアプリBの起動しなかった「Noの場合」であり、この場合には、例えばアプリBの使用停止、又は認証用鍵IDの使用停止、或いは認証用鍵IDを抹消する。
【0056】
次に図7のフローチャートは、実質的には図6のフローチャートと同一なので、重複するS701、S702、S703、S705及びS706の説明は割愛する(図6の各ステップを援用する)。図7のフローチャートに於いて、図6のそれと主に異なるステップは、S704である。S704は、判別手段18が現在時刻を基準にして一定期間内に認証用鍵IDの使用があったか否かを判別する。このように構成しても図6の実施形態と同一の課題と効果を達成することができる。
【0057】
さらに、図8は、図6及び図7の実施形態が、判別手段18の判別時期に関して、必ず、認証用アプリの起動(S601又はS701)が前提であると限定的に解釈される恐れがあるので、念のために、判別手段18の判別のタイミングについて、認証用アプリの起動(S601又はS701)から開始する必要がないことを示すものである。なお、図8の実施形態を説明するにあたって、図7と同一のステップには同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0058】
この図8の実施形態が図7の実施形態と主に異なる点は、認証用アプリの起動(S701)が前提である。また、図7の如く、必ずしも、使用の履歴情報から認証用鍵IDの使用情報を取得しない(S703不要)。したがって、判別手段18は、現在時刻を基準にして一定期間内に認証用鍵IDの使用があったか否かを判別する(S704)。一定期間内に認証用鍵IDの使用があった場合(S704:Yes)には、現状維持であり(S705)、現在時刻の取得を参照にすることができる元の状態へと戻る。つまり、認証可能状態の場合には、再度、現在時刻の取得が可能となる(S702)。そこで、前回の認証用鍵IDの使用確認から一定期間内に認証用鍵IDの使用があったか否かを判別する(S704)。そして、一定期間内に認証用鍵IDの使用がなかった場合(S704:No)には、例えばアプリBの使用停止、又は認証用鍵IDの使用停止、或いは認証用鍵IDを抹消する(S706)。
【0059】
ここで、図8の実施形態について付言する。この実施形態は、判別手段18の判別のタイミングに関して、必ず、認証用アプリの起動時に判別する必要がないことを意味する。具体的には、認証アプリがスマホのバックグラウンドで常時起動しており、一定期間内に認証用鍵IDの使用があったか否かについて(S704)、その判別のタイミングは、所定期間毎に判別する場合を想定している。この想定に基づく実施形態としては、例えば現在時刻と最終操作履歴情報との比較ではなく、計時部17が最終操作(最終時刻の時間情報:現在時刻)からタイマーを起動させ、経過時間を参照にして一定期間内に認証用IDの使用があったか否かを判別する場合である(S704)。このような実施形態の場合には、一定期間内(例えば20日、30日、40日等)に認証用IDの使用がなかったとき、そのまま次の認証をせず、即時に前記認証用鍵IDを利用できないようにし、一方、前記最終操作を基準にして前記一定期間経過する前に当該認証用鍵IDを利用した認証を行った場合には現状維持する(S705)。この場合、最終操作履歴情報ではなく、現在時刻を含むカウント時間の幅が問題視される。
【0060】
〈付記1〉
建物のゲート管理システムに於いて、前記セキュリティーゾーンが、少なくとも第1のセキュリティーゾーンと、第2のキュリティーゾーンが存在する場合に、前記第1のセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号を第2のセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。これとは逆に、前記第2のセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号を前記第1のセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。
【0061】
また同じ建物の共用部内においても、前記セキュリティーゾーンが共用玄関やエレベータフロア、駐車場や駐輪場への出入口等で区分けされ、セキュリティーゾーンが複数存在する場合がある。同様に、同じ建物の専有部においても、建物の住人が複数の居室(専有部)を所有している場合、セキュリティーゾーンが複数存在する場合がある。このように、前記セキュリティーゾーンが、複数存在する場合に、前記複数のセキュリティーゾーンの内、何れか一つのセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部の前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、認証用鍵IDの利用不可情報の制御信号をその他のセキュリティーゾーン内、少なくとも一つのセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。
【0062】
〈付記2〉
本発明の利用実施の一つの態様として、例えば請求項1の建物のゲート管理システムに於いて、通信端末は建物から退去した元居住者が所持するものであり、該通信端末が前記建物又はゲートの数のいずれかに対応して各々異なる認証用鍵IDを有している場合には、端末制御部10は、記憶部12から前記認証用鍵ID毎に、操作部11の操作を検出することにより、各認証用鍵IDの送信が時系列的に停止した最終操作日情報をそれぞれ取得し、判別手段18は、前記認証用鍵IDを使用継続するか否かを判別することを特徴としても良い。
【0063】
〈付記3〉
本発明は、セキュリティーゾーンのゲートのロック装置を、少なくとも解除するための認証用鍵IDを記録する通信端末と、前記認証用鍵IDと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合には、前記ゲート用のロック装置を作動させる認証システムとを備える建物のゲート管理システムを前提としているが、前記ゲートのロック装置を識別する識別情報は、前記通信端末のレコード、ユーザに関する氏名、生年月日、固定電話、住所、物件名、部屋番号等のレコードについての識別検索キーに適宜に関連付けられている。要するにゲート(扉)を通過することできる情報であれば、特にユーザの一部の情報に拘泥するものではなく、ユーザに関する情報の全部又は一部に関連付けられていれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、建物のゲート管理システムの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
X…建物のゲート管理システム、
1…セキュリティーゾーン、
2…ゲート、
3…ロック装置、
4…通信端末、
5…認証システム、
6…ネットワーク、
7…サーバー、
10…端末制御部、
12…記憶部、
12a…登録部、
12b…時刻記憶領域(使用の履歴情報)、
13…通信部、
16…認証用鍵IDの送信手段、
17…計時部、
18…判別手段、
28…外部機器、
28A…指令操作部、
A…認証用鍵ID、
B…認証用アプリケーション、
R…登録済み鍵情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8