(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061094
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光学装置及び照明方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/956 20060101AFI20240425BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 E
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168811
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】幸山 常仁
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB02
2G051BA05
2G051BB01
2G051BB11
2G051CA03
2G051CB01
2G051CC11
(57)【要約】
【課題】照明光の照明位置の位置ズレを抑制することができる光学装置及び照明方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る光学装置は、光源LSのターゲット112を励起光LRで励起することによって、光源LSで生成された照明光L1を用いて試料を照明する照明光学系10と、励起光LRが照明光学系10から光源LSに入射するように、励起光LRを出射する励起光出射部80と、を備える。照明光L1によって照明された試料からの光を集光し、集光した光を検出器25に導く検出光学系20をさらに備えてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源のターゲットを励起光で励起することによって、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明する照明光学系と、
前記励起光が前記照明光学系から前記光源に入射するように、前記励起光を出射する励起光出射部と、
を備えた光学装置。
【請求項2】
前記照明光によって照明された前記試料からの光を集光し、集光した前記光を検出器に導く検出光学系をさらに備え、
前記励起光出射部は、前記検出器と前記検出光学系との間から前記検出光学系に前記励起光を出射し、
前記励起光は、前記検出光学系から前記照明光学系を介して前記光源に入射する、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記検出器と前記検出光学系との間から前記検出光学系にガイド光を導入するガイド光導入部と、
前記検出光学系を介して前記照明光学系に導入された前記ガイド光を前記照明光学系において検出するセンサと、
をさらに備えた請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記照明光学系は、
前記光源から生成された前記照明光を収束光として反射させる第1楕円面鏡と、
前記第1楕円面鏡で反射した前記照明光が集光点を介して発散光として入射され、入射した前記照明光を前記収束光として反射させる第2楕円面鏡と、
前記第2楕円面鏡で反射した前記照明光を前記試料に対して反射することにより、前記照明光を前記試料に入射させる落とし込みミラーと、
を有し、
前記照明光によるクリティカル照明を用いて前記試料を照明する、
請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記集光点と前記第2楕円面鏡との間で前記ガイド光を取り出す取り出しミラーをさらに備え、
前記センサは、前記取り出しミラーによって取り出された前記ガイド光の光軸の変化を、前記検出器の検出面と共役な位置で検出する、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記光源と前記第1楕円面鏡との間で前記ガイド光を取り出す取り出しミラーをさらに備え、
前記センサは、前記取り出しミラーによって取り出された前記ガイド光の光軸の変化を、前記検出器の検出面と共役な位置で検出する、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
前記取り出しミラーは、前記照明光の光軸に直交する前記照明光の断面よりも外側の部分の前記ガイド光を取り出す、
請求項5または6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記センサは、前記第2楕円面鏡の近傍で前記ガイド光の光軸の変化を検出する、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項9】
前記センサは、前記第1楕円面鏡の近傍で前記ガイド光の光軸の変化を検出する、
請求項4に記載の光学装置。
【請求項10】
前記第2楕円面鏡と前記落とし込みミラーとの間の距離の変化を計測する計測部をさらに備え、
前記計測部は、
ビームを出射するビーム出射部と、
前記ビームを反射するビームミラーと、
前記ビーム出射部が出射した前記ビームと、前記ビームミラーで反射した前記ビームとの干渉により、前記距離の変化を計測する干渉計測部と、
を有する、
請求項8に記載の光学装置。
【請求項11】
前記第1楕円面鏡と前記第2楕円面鏡との間の距離の変化を計測する計測部をさらに備え、
前記計測部は、
ビームを出射するビーム出射部と、
前記ビームを反射するビームミラーと、
前記ビーム出射部が出射した前記ビームと、前記ビームミラーで反射した前記ビームとの干渉により前記距離の変化を計測する干渉計測部と、
を有する、
請求項9に記載の光学装置。
【請求項12】
前記照明光学系は、
前記光源から生成された前記照明光を収束光として反射させる第1楕円面鏡と、
前記第1楕円面鏡で反射した前記照明光が集光点を介して発散光として入射され、入射した前記照明光を前記収束光として反射させる第2楕円面鏡と、
前記第2楕円面鏡で反射した前記照明光を前記試料に対して反射することにより、前記照明光を前記試料に入射させる落とし込みミラーと、
を有し、前記照明光によるクリティカル照明を用いて前記試料を照明し、
前記励起光出射部は、前記第2楕円面鏡と前記落とし込みミラーとの間から前記照明光学系に前記励起光を出射し、
前記励起光は、前記照明光学系から前記光源に入射する、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項13】
光源のターゲットを励起光で励起することによって、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明する照明光学系を備えた光学装置の照明方法であって、
前記励起光が前記照明光学系から前記光源に入射するように、励起光出射部に前記励起光を出射させるステップと、
前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明するステップと、
を備えた照明方法。
【請求項14】
前記光学装置は、前記照明光によって照明された前記試料からの光を集光し、集光した前記光を検出器に導く検出光学系をさらに備え、
前記励起光出射部に前記励起光を出射させるステップにおいて、
前記励起光出射部に、前記検出器と前記検出光学系との間から前記検出光学系に対して前記励起光を出射させ、
前記励起光は、前記検出光学系から前記照明光学系を介して前記光源に入射する、
請求項13に記載の照明方法。
【請求項15】
ガイド光導入部に、前記検出器と前記検出光学系との間から前記検出光学系にガイド光を導入させるステップと、
センサに、前記検出光学系を介して前記照明光学系に導入された前記ガイド光を前記照明光学系において検出させるステップと、
をさらに備えた、
請求項14に記載の照明方法。
【請求項16】
前記照明光学系は、
前記光源から生成された前記照明光を収束光として反射させる第1楕円面鏡と、
前記第1楕円面鏡で反射した前記照明光が集光点を介して発散光として入射され、入射した前記照明光を前記収束光として反射させる第2楕円面鏡と、
前記第2楕円面鏡で反射した前記照明光を前記試料に対して反射することにより、前記照明光を前記試料に入射させる落とし込みミラーと、
を有し、
前記照明光によるクリティカル照明を用いて前記試料を照明する、
請求項15に記載の照明方法。
【請求項17】
前記ガイド光を前記照明光学系において検出させるステップにおいて、
前記集光点と前記第2楕円面鏡との間で、取り出しミラーによって前記ガイド光を取り出し、
前記取り出しミラーによって取り出された前記ガイド光の光軸の変化を、前記検出器の検出面と共役な位置で前記センサに検出させる、
請求項16に記載の照明方法。
【請求項18】
前記ガイド光を前記照明光学系において検出させるステップにおいて、
前記光源と前記第1楕円面鏡との間で、取り出しミラーによって前記ガイド光を取り出し、
前記取り出しミラーによって取り出された前記ガイド光の光軸の変化を、前記検出器の検出面と共役な位置で前記センサに検出させる、
請求項16に記載の照明方法。
【請求項19】
前記取り出しミラーによって前記ガイド光を取り出す際に、前記照明光の光軸に直交する前記照明光の断面よりも外側の部分の前記ガイド光を取り出す、
請求項17または18に記載の照明方法。
【請求項20】
前記ガイド光を前記照明光学系において検出させるステップにおいて、
前記第2楕円面鏡の近傍で前記ガイド光の光軸の変化を検出させる、
請求項16に記載の照明方法。
【請求項21】
前記ガイド光を前記照明光学系において検出させるステップにおいて、
前記第1楕円面鏡の近傍で前記ガイド光の光軸の変化を検出させる、
請求項16に記載の照明方法。
【請求項22】
前記第2楕円面鏡と前記落とし込みミラーとの間の距離の変化を計測部に計測させるステップをさらに備え、
前記計測させるステップは、
ビーム出射部にビームを出射させ、
ビームミラーに前記ビームを反射させ、
前記ビーム出射部が出射した前記ビームと、前記ビームミラーで反射した前記ビームとの干渉により前記距離の変化を干渉計測部に計測させる、
請求項20に記載の照明方法。
【請求項23】
前記第1楕円面鏡と前記第2楕円面鏡との間の距離の変化を計測部に計測させるステップをさらに備え、
前記計測させるステップは、
ビーム出射部にビームを出射させ、
ビームミラーに前記ビームを反射させ、
前記ビーム出射部が出射した前記ビームと、前記ビームミラーで反射した前記ビームとの干渉により前記距離の変化を干渉計測部に計測させる、
請求項21に記載の照明方法。
【請求項24】
前記照明光学系は、
前記光源から生成された前記照明光を収束光として反射させる第1楕円面鏡と、
前記第1楕円面鏡で反射した前記照明光が集光点を介して発散光として入射され、入射した前記照明光を前記収束光として反射させる第2楕円面鏡と、
前記第2楕円面鏡で反射した前記照明光を前記試料に対して反射することにより前記照明光を前記試料に入射させる落とし込みミラーと、
を有し、前記照明光によるクリティカル照明を用いて前記試料を照明し、
前記励起光出射部に前記励起光を出射させるステップにおいて、
前記励起光出射部に、前記第2楕円面鏡と前記落とし込みミラーとの間から前記照明光学系に対して前記励起光を出射させ、
前記励起光は、前記照明光学系から前記光源に入射する、
請求項13に記載の照明方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学装置及び照明方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された検査装置のように、EUV(Extreme Ultra Violet)光を用いたリソグラフィ用のマスク(以下、EUVマスクという。)の検査において、照明光の輝度を確保するために、クリティカル照明で照明する照明光学系が用いられる。クリティカル照明は、光源の像をEUVマスクの上面に結像させるように照明する方法であり、高輝度で照明することができる光学系となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明光学系を構成する楕円面鏡等の光学部材の位置は、温度や気圧等の変化のために経時変化する場合がある。この場合には、照明光の光路等の光学調整にズレが生じることとなる。これにより、照明光の照明位置にも位置ズレが生じることとなる。しかしながら、EUV光等の照明光をモニタしながらの光学調整では、どの光学部材の位置に変化が生じているのか見出すことは困難である。
【0005】
本開示の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、照明光の照明位置の位置ズレを抑制することができる光学装置及び照明方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光学装置は、照明光学系の像面と共役な位置から発生させた励起光で光源のターゲットを励起光で励起することによって、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明する照明光学系と、前記励起光が前記照明光学系から前記光源に入射するように、前記励起光を出射する励起光出射部と、を備える。
【0007】
本開示に係る照明方法は、光源のターゲットを励起光で励起することによって、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明する照明光学系を備えた光学装置の照明方法であって、前記励起光が前記照明光学系から前記光源に入射するように、励起光出射部に前記励起光を出射させるステップと、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照明光の照明位置の位置ズレを抑制することができる光学装置及び照明方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。
【
図2】実施形態1に係る光源を例示した断面図である。
【
図3】実施形態1に係る光源の容器を例示した斜視図である。
【
図4】実施形態1に係る検査装置において、励起光出射部を例示した図である。
【
図5】実施形態1に係る検査装置において、励起光出射部を例示した図である。
【
図6】実施形態1に係る照明方法を例示したフローチャート図である。
【
図7】実施形態2に係る検査装置を例示した構成図である。
【
図8】実施形態2に係る検査装置において、ガイド光導入部を例示した図である。
【
図9】実施形態2に係る検査装置において、ガイド光導入部を例示した図である。
【
図10】実施形態2に係る検査装置において、開口絞りを例示した断面図である。
【
図11】実施形態2に係るガイド光を取り出す取り出しミラーを例示した図である。
【
図12】実施形態2に係るガイド光を取り出す取り出しミラーを例示した図である。
【
図13】実施形態2に係る照明方法を例示したフローチャート図である。
【
図14】実施形態3に係る検査装置を例示した構成図である。
【
図15】実施形態4に係る検査装置を例示した構成図である。
【
図16】実施形態5に係る検査装置を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本開示の好適な実施の形態を示すものであって、本開示の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係る光学装置を説明する。本実施形態の光学装置は、照明光を用いて試料を検査、処理及び測定等を行う装置を含む。例えば、光学装置は、検査対象を検査する検査装置、露光対象を露光する露光装置である。以下では、光学装置の一例として、検査装置を用いて説明する。その場合には、試料は、検査対象である。
【0012】
<検査装置の構成>
図1は、実施形態1に係る検査装置を例示した構成図である。
図1に示すように、検査装置1は、照明光学系10、検出光学系20、検出器25、処理部40及び励起光出射部80を備えている。検査装置1は、さらに、光源LSを備えてもよい。検査装置1は、光源LSで生成された照明光L1を用いて、検査対象の欠陥等を検査する装置である。検査対象は、例えば、EUVマスク50である。なお、検査対象は、EUVマスク50に限らず、半導体基板等でもよい。
【0013】
照明光学系10は、楕円面鏡11、楕円面鏡12及び落とし込みミラー13を有している。検出光学系20は、穴開き凹面鏡21、凸面鏡22、平面鏡23及び凹面鏡24を有している。穴開き凹面鏡21及び凸面鏡22は、シュバルツシルト拡大光学系を構成している。
【0014】
図2は、実施形態1に係る光源LSを例示した断面図である。
図3は、実施形態1に係る光源LSの容器を例示した斜視図である。
図2及び
図3に示すように、光源LSは、容器111を備えている。容器111は、例えば、坩堝であり、内部で、金属を溶融させることができる。容器111は、励起光LRの照射によりプラズマを発生させる溶融金属等のターゲット112を保持する。ターゲット112は、例えば、容器111に保持された溶融金属である。なお、ターゲット112は、容器111に保持された溶融金属に限らず、励起光LRの照射によりプラズマを発生する物質であれば、固体金属、液滴等でもよい。溶融金属は、例えば、スズ(Sn)、または、リチウム(Li)等が溶融したものであるが、励起光LRの照射によりプラズマを発生するものであれば、スズ、リチウムに限らない。又、励起光LRは、検出器25の片側だけではなく、両側、もしくは検出面26上から発生させてもよい。
【0015】
容器111は、回転軸Rを有し、回転軸Rを中心にして回転する。容器111は、例えば、一方の開口部が閉じた円筒形状である。容器111の閉じた部分を底部113という。容器111の円筒状の部分を円筒部114という。容器111の回転軸Rは、例えば、鉛直方向に延びている。底部113の内側の面を底面115という。円筒部114の内側の面を内周面116という。底部113と円筒部114との接合部分には溝117が形成されてもよい。
【0016】
回転軸Rを囲むように形成された内周面116は、回転軸Rとの距離が一定の円筒状の部分を含んでもよいし、上方ほど外側に拡がったすり鉢状の部分を含んでもよい。例えば、内周面116のすり鉢状の部分は溝117に接続されている。
【0017】
光源LSは、容器111の他、ヒータ118、デブリシールド119及びコレクターミラー120を備えてもよい。ヒータ118の加熱によって、容器111内に、溶融金属等のターゲット112を形成することができる。EUV光を含む照明光L1は、励起光LRがターゲット112に照射されることにより発生したプラズマ127から生成される。コレクターミラー120は、プラズマ127から出射したEUV光を含む照明光L1を反射させる。コレクターミラー120は、生成された照明光L1を反射し、照明光L1を検査装置1の照明光学系10に導く。デブリシールド119は、ターゲット112を覆うように開口部121に配置されている。
【0018】
励起光LRは、後述するように、照明光学系10から光源LSに入射する。照明光学系10から光源LSに入射した励起光LRは、コレクターミラー120で反射し、ターゲット112を照射する。これにより、ターゲット112において発生したプラズマ127からEUV光を含む照明光L1は生成される。
【0019】
光源LSは、照明光L1を生成する。照明光L1は、例えば、検査対象であるEUVマスク50の露光波長と同じ13.5nmのEUV光を含んでいる。なお、照明光L1は、EUV光以外の光を含んでもよい。光源LSから生成された照明光L1は、照明光学系10に入射する。
【0020】
照明光学系10は、光源LSのターゲット112を励起光LRで励起することによって、光源LSで生成された照明光L1を用いてEUVマスク50を照明する。具体的には、
図1に示すように、光源LSから生成された照明光L1は、楕円面鏡11で反射する。楕円面鏡11で反射した照明光L1は、絞られながら進み、集光点IF1で集光される。よって、楕円面鏡11は、光源LSから生成された照明光L1を収束光として反射させる。集光点IF1は、EUVマスク50の上面51及び検出器25の検出面26と共役な位置である。
【0021】
照明光L1は、集光点IF1を通過後、拡がりながら進んで、楕円面鏡12等の反射鏡に入射する。よって、楕円面鏡12は、楕円面鏡11で反射した照明光L1が中間集光点IF1を介して発散光として入射される。楕円面鏡12に入射した照明光L1は、楕円面鏡12で反射し、絞られながら進んで、落とし込みミラー13に入射する。つまり、楕円面鏡12は、入射した照明光L1を収束光として反射させる。そして、楕円面鏡12は、照明光L1を落とし込みミラー13に入射させる。落とし込みミラー13は、EUVマスク50の真上に配置されている。落とし込みミラー13に入射して反射した照明光L1は、EUVマスク50に入射する。よって、落とし込みミラー13は、楕円面鏡12で反射した照明光L1をEUVマスク50に対して反射することにより照明光L1をEUVマスク50に入射させる。
【0022】
楕円面鏡12は、EUVマスク50に照明光L1を集光している。照明光L1がEUVマスク50を照明する際に、光源LSの像を、EUVマスク50の上面51に結像させるように照明光学系10は設置されている。よって、照明光学系10は、クリティカル照明となっている。このように、照明光学系10は、光源LSで生成された照明光L1によるクリティカル照明を用いて検査対象を照明する。
【0023】
EUVマスク50は、ステージ52上に配置されている。ここで、EUVマスク50の上面51に平行な平面をXY平面とし、XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。照明光L1は、Z軸方向から傾いた方向からEUVマスク50に入射する。すなわち、照明光L11は、斜め入射して、EUVマスク50を照明する。
【0024】
ステージ52は、駆動部53を有するXYZ駆動ステージである。駆動部53は、ステージ52をX軸方向及びY軸方向に移動させることで、EUVマスク50の所望の領域を照明させることができる。さらに、駆動部53は、ステージ52をZ軸方向に移動させることにより、フォーカス調整を行うことができる。
【0025】
光源LSからの照明光L1は、EUVマスク50の検査領域を照明する。照明光L1によって照明される検査領域は、例えば、0.5mm角である。なお、検査領域は、0.5mm角に限らない。照明光L1によって照明されたEUVマスク50からの光は、穴開き凹面鏡21に入射する。以下では、照明光L1によって照明されたEUVマスク50からの光を反射光L2として説明する。なお、EUVマスク50から穴開き凹面鏡21に入射する光は、反射光L2に限らず、回折光等を含んでもよい。EUVマスク50で反射した反射光L2は、穴開き凹面鏡21に入射する。穴開き凹面鏡21の中心には、穴21hが設けられている。穴開き凹面鏡21は、EUVマスク50からの反射光L2を集光し、集光した反射光L2を収束光として反射する。
【0026】
穴開き凹面鏡21で反射された反射光L12は、凸面鏡22に入射する。凸面鏡22は、穴開き凹面鏡21で反射した反射光L12を、穴開き凹面鏡21の穴21hに向けて反射させる。穴21hを通過した反射光L12は、平面鏡23に入射する。平面鏡23は、凸面鏡22で反射した反射光L2を穴開き凹面鏡21の穴21hを通して収束光として入射させる。平面鏡23に入射した反射光L2は、平面鏡23で反射する。平面鏡23で反射した反射光L2は、絞られながら進み、集光点IF2で集光される。よって、平面鏡23は、入射した反射光L2を収束光として反射する。集光点IF2を開口絞りと呼ぶ場合もある。集光点IF2は、EUVマスク50の上面51及び検出器25の検出面26と共役な位置である。
【0027】
反射光L2は、集光点IF2を通過後、拡がりながら進んで、凹面鏡24に入射する。よって、凹面鏡24は、収束光として平面鏡23で反射した反射光L2が集光点IF2を介して発散光として入射される。凹面鏡24は、入射した反射光L2を収束光として検出器25に対して反射させる。凹面鏡24で反射した反射光L2は、検出器25で検出される。このように、検出光学系20は、照明光L11によって照明された検査対象からの反射光L2を集光し、集光した反射光L2を検出器25に導く。
【0028】
検出器25は、TDI(Time Delay Integraion)センサを含んでもよい。検出器25は、検査対象であるEUVマスク50の画像データを取得する。検出器25は、一方向にライン状に並んだ複数の撮像素子を含んでもよい。ライン状に並んだ複数の撮像素子で撮像したライン状の画像データを一次元画像データ、または、1フレームという。検出器25は、一方向に直交する方向にスキャンすることにより、複数の一次元画像データを取得する。撮像素子は、例えば、CCD(Charg Coupled Device)である。なお、撮像素子は、CCDに限らない。
【0029】
反射光L2には、EUVマスク50の欠陥等の情報が含まれている。Z軸方向に対して傾いた方向からEUVマスク50に入射した照明光L1の正反射光は、検出光学系20によって検出されている。EUVマスク50に欠陥が存在する場合には、暗い像として欠陥が観察される。このような観察方法を、明視野観察という。検出器25により取得されたEUVマスク50の複数の一次元画像データは、処理部40に出力され、二次元画像データに処理される。処理部40は、例えば、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を含む。
【0030】
励起光出射部80は、励起光LRが照明光学系10から光源LSに入射するように、励起光LRを出射する。励起光出射部80は、例えば、検出器25の近傍に配置されている。その場合には、励起光出射部80は、検出器25と検出光学系20との間から検出光学系20に励起光LRを出射する。具体的には、励起光出射部80は、凹面鏡24に対して励起光LRを照射する。又、励起光LRは、検出器25の片側だけではなく、両側、もしくは検出面26上から発生させてもよい。励起光LRは、例えば、IR(Infra Red)光を含む。なお、励起光LRは、ターゲット112を照射されることにより発生したプラズマ127からEUV光を含む照明光L1を生成することができれば、IR光に限らない。
【0031】
図4及び
図5は、実施形態1に係る検査装置1において、励起光出射部80を例示した図である。
図4に示すように、励起光出射部80は、折り返しミラー82を含んでもよい。励起光出射部80は、光ファイバ83から出射した励起光LRを凹面鏡24に反射する。これにより、励起光出射部80は、励起光LRを検出光学系20に導入する。例えば、光ファイバ83から出射する励起光LRの出射点は、検出器25の検出面26と共役な位置となっている。なお、励起光出射部80は、検出光学系20に励起光LRを導入することができれば、折り返しミラー82に限らず、
図5に示すように、レンズ84を含んでもよい。例えば、レンズ84は、メニスカスレンズであり、NAを小さくすることができる。また、励起光出射部80は、検出光学系20に直接励起光LRを出射する光ファイバ83でもよい。
【0032】
励起光LRは、検出光学系20側から導入されている。また、検出器25によって励起光LRが検出されないように、励起光LRは、検出器25の検出面26において、検出器25の視野外から検出光学系20に導入される。また、励起光LRは、検出面26と共役な位置から導入される。
【0033】
励起光出射部80は、例えば、アクチュエータ等の駆動部を有してもよい。励起光出射部80は、駆動部によって、励起光LRの導入位置を移動させることができる。励起光LRは、検出面26と共役な位置で集光されることが望ましい。なお、励起光LRは、検出面26と共役な位置で集光されなくてもよい。例えば、励起光LRは、楕円面鏡11及び12等のミラーと同じ平面で集光されてもよい。
【0034】
励起光出射部80から導入された励起光LRは、凹面鏡24で反射する。凹面鏡24で反射した励起光LRは、絞られながら進み、集光点IF2で集光される。開口絞りとなる集光点IF2は、像面から出た光が集光される。開口絞りは、リレーされる。開口絞りとなる集光点IF2及び集光点IF2と共役な位置では、励起光LRが反射光L2の光軸と一致(交差)するように、励起光LRの向きを設定する。
【0035】
励起光LRは、集光点IF2を通過後、拡がりながら進んで、平面鏡23に入射する。平面鏡23に入射した励起光LRは、平面鏡23で反射する。平面鏡23で反射した励起光LRは、凸面鏡22で反射し、穴開き凹面鏡21に入射する。穴開き凹面鏡21に入射した励起光LRは、穴開き凹面鏡21で反射し、収束光としてEUVマスク50に入射する。
【0036】
EUVマスク50で反射した励起光LRは、拡がりながら進み、落とし込みミラー13に入射する。落とし込みミラー13に入射した励起光LRは、落とし込みミラー13で反射し、楕円面鏡12に入射する。楕円面鏡12に入射した励起光LRは、楕円面鏡12で反射し、集光点IF1を介して、楕円面鏡11に入射する。楕円面鏡11に入射した励起光LRは、楕円面鏡11で反射し、光源LSに入射する。このように、励起光LRは、検出光学系20から照明光学系10を介して光源LSに入射する。そして、前述のように、照明光学系10から光源LSに入射した励起光LRは、コレクターミラー120で反射し、ターゲット112を照射する。
【0037】
次に、本実施形態に係る照明方法を説明する。本実施形態の照明方法は、光源LSで生成された照明光L1を用いてEUVマスク50を照明する照明光学系10を備えた検査装置1の照明方法である。
図6は、実施形態1に係る照明方法を例示したフローチャート図である。
【0038】
図6のステップS11に示すように、励起光出射部80に励起光LRを出射させる。具体的には、励起光LRが照明光学系10から光源LSに入射するように、励起光出射部80に励起光LRを出射させる。例えば、検査装置1は、照明光L1によって照明された試料からの反射光L1を集光し、集光した反射光を検出器25に導く検出光学系20を備える。その場合には、励起光出射部80に、検出器25と検出光学系20との間から検出光学系20に対して励起光LRを出射させる。そうすると、励起光LSは、検出光学系20から照明光学系10を介して光源LSに入射する。
【0039】
次に、ステップS12に示すように、光源LSで生成された照明光L1を用いてEUVマスク50を照明する。このようにして、検査装置1においてEUVマスク50を照明することができる。
【0040】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の検査装置1は、ターゲット112を励起する励起光LRを、照明光学系10から光源LSに入射させる。そして、ターゲット112から生成されたEUV光を含む照明光L1は、励起光LRと逆向きに照明光学系10に導入される。したがって、照明光学系10の光学部材に位置ズレが生じていても、励起光LRは、位置ズレを含む照明光学系10から光源LSに入射し、照明光L1は、同じ位置ズレを含む照明光学系10に入射する。よって、励起光LR及び照明光L1は、相互に位置ズレを相殺するので、照明光L1の照明位置の位置ズレを抑制することができる。
【0041】
また、励起光LRは、検出器25の視野外から導入されるので、検出器25における励起光LRの影響を抑制することができる。
【0042】
さらに、位置ズレを含む照明光学系10から励起光LRが入射される場合には、ターゲット112は、励起光LRの位置ズレを見込んだ集光点を確保するために、所定の大きさの領域を必要とする。本実施形態の光源LSは、容器111の内周面116に渡って溶融金属が拡がっている。よって、励起光LRの位置ズレを見込んだ集光点をを確保することができる。
【0043】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る検査装置を説明する。本実施形態の検査装置は、光学系を構成する各光学部材の位置の変化をモニタするモニタ装置を備える。
図7は、実施形態2に係る検査装置を例示した構成図である。
図7に示すように、本実施形態の検査装置2は、モニタ装置30を備えている。
【0044】
モニタ装置30は、ガイド光導入部31、取り出しミラー32、センサ33、取り出しミラー34及びセンサ35を有している。ガイド光導入部31は、検出器25の近傍に配置されている。ガイド光導入部31は、検出器25と検出光学系20との間から検出光学系20にガイド光LGを導入する。具体的には、ガイド光導入部31は、凹面鏡24に対してガイド光LGを照射する。ガイド光LGは、例えば、可視光である。なお、ガイド光LGは、可視光に限らず、IR(Infra Red)光、EUV光等でもよい。
【0045】
図8及び
図9は、実施形態2に係る検査装置2において、ガイド光導入部31を例示した図である。
図8に示すように、ガイド光導入部31は、折り返しミラー36を含んでもよい。ガイド光導入部31は、光ファイバ37から出射したガイド光LGを凹面鏡24に反射する。これにより、ガイド光導入部31は、ガイド光LGを検出光学系20に導入する。例えば、光ファイバ37から出射するガイド光LGの出射点は、検出器25の検出面26と共役な位置となっている。なお、ガイド光導入部31は、検出光学系20にガイド光LGを導入することができれば、折り返しミラー36に限らず、
図9に示すように、レンズ38を含んでもよい。例えば、レンズ38は、メニスカスレンズであり、NAを小さくすることができる。また、ガイド光導入部31は、検出光学系20に直接ガイド光LGを出射する光ファイバ37でもよい。
【0046】
検査に用いる照明光L1及び反射光L2の位置は、検出光学系20側を基準とするのが好ましい。よって、ガイド光LGは、検出光学系20側から導入されている。また、検出器25によってガイド光LGが検出されないように、ガイド光LGは、検出器25の検出面26において、検出器25の視野外から検出光学系20に導入される。また、ガイド光LGは、検出面26と共役な位置から導入される。
【0047】
ガイド光導入部31は、例えば、アクチュエータ等の駆動部を有してもよい。ガイド光導入部31は、駆動部によって、ガイド光LGの導入位置を移動させることができる。ガイド光LGは、検出面26と共役な位置で集光されることが望ましい。なお、ガイド光LGは、検出面26と共役な位置で集光されなくてもよい。例えば、ガイド光LGは、楕円面鏡11及び12等のミラーと同じ平面で集光されてもよい。
【0048】
ガイド光導入部31から導入されたガイド光LGは、凹面鏡24で反射する。凹面鏡24で反射したガイド光LGは、絞られながら進み、集光点IF2で集光される。
【0049】
図10は、実施形態2に係る検査装置2において、開口絞りを例示した断面図である。
図10に示すように、開口絞りとなる集光点IF2は、像面から出た光が集光される。開口絞りは、リレーされる。開口絞りとなる集光点IF2及び集光点IF2と共役な位置では、ガイド光LGが反射光L2の光軸と一致(交差)するように、ガイド光LGの向きを設定する。そして、集光点IF2等において決定される反射光L2のNAよりも大きいNAになるように、ガイド光LGのNAを設定する。したがって、開口絞り(集光点IF2)において、反射光L2の光軸に直交する反射光L2の断面積は、ガイド光LGの光軸に直交するガイド光LGの断面積よりも小さい。
【0050】
ガイド光LGは、集光点IF2を通過後、拡がりながら進んで、平面鏡23に入射する。平面鏡23に入射したガイド光LGは、平面鏡23で反射する。平面鏡23で反射したガイド光LGは、凸面鏡22で反射し、穴開き凹面鏡21に入射する。穴開き凹面鏡21に入射したガイド光LGは、穴開き凹面鏡21で反射し、収束光としてEUVマスク50に入射する。
【0051】
EUVマスク50で反射したガイド光LGは、拡がりながら進み、落とし込みミラー13に入射する。落とし込みミラー13に入射したガイド光LGは、落とし込みミラー13で反射し、楕円面鏡12に入射する。楕円面鏡12に入射したガイド光LGは、楕円面鏡12で反射し、集光点IF1を介して、楕円面鏡11に入射する。楕円面鏡11に入射したガイド光LGは、楕円面鏡11で反射し、光源LSに到達する。
【0052】
取り出しミラー32は、集光点IF1と楕円面鏡12との間に配置されている。取り出しミラー32は、集光点IF1と楕円面鏡12との間でガイド光LGを取り出す。
図11及び
図12は、実施形態1に係るガイド光LGを取り出す取り出しミラー32及び34を例示した図である。
【0053】
図11に示すように、取り出しミラー32は、照明光L1の光軸に直交する断面における照明光L1の3箇所の周縁に配置されている。3箇所の取り出しミラー32でガイド光LGを取り出すことにより、光軸の3次元的な位置ずれを検出することができる。なお、
図12に示すように、取り出しミラー32は、4箇所の周縁に配置されてもよいし、5箇所以上の周縁に配置されてもよい。なお、取り出しミラー32及び34は、光軸から見て、照明光L1の周縁上に相互にずらして配置させることが好ましい。これにより、取り出しミラー32によるガイドLGの遮蔽を抑制することができる。
【0054】
図11及び
図12に示すように、取り出しミラー32は、検査に用いる照明光L1のNAの外の部分を取り出すように配置されている。すなわち、取り出しミラー32は、照明光L1の光軸に直交する照明光L1の断面よりも外側の部分のガイド光LGを取り出す。具体的には、取り出しミラー32は、検査に用いる照明光L1のNAの外側の部分を反射する。取り出しミラー32で反射したガイド光LGは、センサ33に入射する。取り出しミラー32は、ハーフミラーまたはビームスプリッタでもよいし、不透明なミラーでもよい。
【0055】
センサ33は、検出光学系20を介して照明光学系10に導入されたガイド光LGを照明光学系10において検出する。つまり、センサ33は、検出光学系20に導入されたガイド光LGを照明光学系10におけるガイド光LGの光路の一部で検出する。例えば、センサ33は、取り出しミラー32によって取り出されたガイド光LGの光軸の変化を、検出器25の検出面26と共役な位置で検出する。具体的には、センサ33は、集光点IF1と共役な位置に配置されている。センサ35は、フォトダイオード(Poto Diode、以下、PDと呼ぶ。)、位置検出センサ(Position Sensitive Detector、以下、PSDと呼ぶ。)、二次元センサ等である。例えば、楕円面鏡12に位置ずれが発生している場合には、センサ33は、ガイド光LGの光軸の変化を検出する。
【0056】
取り出しミラー34は、光源LSと楕円面鏡11との間に配置されている。取り出しミラー34は、光源LSと楕円面鏡11との間でガイド光LGを取り出す。取り出しミラー34は、取り出しミラー32と同様に、検査に用いる照明光L1のNAの外の部分を取り出すように配置されている。すなわち、取り出しミラー34は、照明光L1の光軸に直交する照明光L1の断面よりも外側の部分のガイド光LGを取り出す。具体的には、取り出しミラー34は、検査に用いる照明光L1のNAの外側の部分を反射する。取り出しミラー34で反射したガイド光LGは、センサ35に入射する。取り出しミラー34は、ハーフミラーまたはビームスプリッタでもよいし、不透明なミラーでもよい。
【0057】
センサ35は、検出光学系20を介して照明光学系10に導入されたガイド光LGを照明光学系10において検出する。つまり、センサ35は、検出光学系20に導入されたガイド光LGを照明光学系10におけるガイド光LGの光路の一部で検出する。例えば、センサ35は、取り出しミラー34によって取り出されたガイド光LGの光軸の変化を、検出器25の検出面26と共役な位置で検出する。具体的には、センサ35は、光源LSの発光点と共役な位置に配置されている。センサ35は、センサ33と同様に、例えば、PD、PSD、二次元センサ等である。例えば、楕円面鏡11に位置ずれが発生している場合には、センサ35は、ガイド光LGの光軸の変化を検出する。
【0058】
センサ33及び35は、ガイド光LGの集光状態をモニタする。センサ33及び35によって検出されたガイド光LGの集光状態が一定になるように、楕円面鏡11等の位置を含む照明光学系10を調整する。視野外からガイド光LGを検出光学系20及び照明光学系10に導入するので、検査中も常にモニタすることができる。
【0059】
次に、検査装置2の照明方法を説明する。
図13は、実施形態2に係る照明方法を例示したフローチャート図である。
図13のステップS11及びS12は、前述した
図6と同様である。
図13のステップS13に示すように、検出光学系20にガイド光LGを導入する。具体的には、照明光学系10及び検出光学系20を備えた検査装置2において、ガイド光導入部31に、検出器25と検出光学系20との間から検出光学系20にガイド光LGを導入させる。
【0060】
次に、
図13のステップS14に示すように、ガイド光LGを照明光学系10において検出する。具体的には、センサ33及び35に、検出光学系20を介して照明光学系10に導入されたガイド光LGを照明光学系10において検出させる。
【0061】
ガイド光LGを照明光学系10において検出させるステップS14において、集光点IF1と楕円面鏡12との間で、取り出しミラー32によってガイド光LGを取り出してもよい。そして、取り出しミラー32によって取り出されたガイド光LGの光軸の変化を、検出器25の検出面26と共役な位置でセンサ33に検出させてもよい。
【0062】
また、ガイド光LGを照明光学系10において検出させるステップS14において、光源LSと楕円面鏡11との間で、取り出しミラー34によってガイド光LGを取り出してもよい。そして、取り出しミラー32によって取り出されたガイド光LGの光軸の変化を、検出器25の検出面26と共役な位置でセンサ35によって検出させてもよい。取り出しミラー32及び34によってガイド光LGを取り出す際に、照明光L1の光軸に直交する照明光L1の断面よりも外側の部分のガイド光LGを取り出してもよい。
【0063】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の検査装置2は、検出光学系20にガイド光LGを導入し、導入されたガイド光LGを照明光学系10で取り出す。よって、照明光学系10で取り出されたガイド光LGに基づいて、照明光学系10及び検出光学系20を構成する各光学部材の位置の変化をモニタすることができる。これにより、照明光学系10及び検出光学系20における照明光L1及び反射光L2の光軸を高精度で調整することができる。
【0064】
また、ガイド光LGを検出器25の視野外から導入する。これにより、照明光L1を用いた検査中においても、照明光L1に影響を与えずで、ガイド光LGを用いた光学部材の位置の調整を行うことができる。
【0065】
さらに、開口絞りにおいて、反射光L2の光軸に直交する反射光L2の断面積は、ガイド光LGの光軸に直交するガイド光LGの断面積よりも小さくしている。よって、取り出しミラー32及び34は、照明光L1の光軸に直交する照明光L1の断面よりも外側の部分のガイド光LGを取り出すことができ、照明光L1を用いた検査中においてもガイド光による光学部材の位置の調整を行うことができる。
【0066】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る検査装置を説明する。本実施形態の検査装置において、モニタ装置は、楕円面鏡11及び12等の近傍でガイド光LGを取り出す。
図14は、実施形態3に係る検査装置を例示した構成図である。
図14に示すように、本実施形態の検査装置3において、モニタ装置30aは、楕円面鏡12の近傍にセンサ33aを有する。センサ33aは、例えば、楕円面鏡12の周縁に配置されている。具体的には、センサ33aは、検査に用いる照明光L1のNAの外の部分を検出するように配置されている。センサ33aは、楕円面鏡12の近傍でガイド光の光軸の変化を検出する。
【0067】
また、検査装置3は、楕円面鏡11の近傍にセンサ35aを有する。センサ35aは、例えば、楕円面鏡11の周縁に配置されている。具体的には、センサ35aは、検査に用いる照明光L1のNAの外の部分を検出するように配置されている。センサ35aは、楕円面鏡11の近傍でガイド光の光軸の変化を検出する。
【0068】
本実施形態のモニタ方法では、ガイド光LGを照明光学系10において検出させるステップS12において、楕円面鏡12の近傍でガイド光LGの光軸の変化を検出させる。また、ガイド光LGを照明光学系10において検出させるステップS12において、楕円面鏡11の近傍でガイド光LGの光軸の変化を検出させる。
【0069】
本実施形態によれば、モニタ装置30aは、楕円面鏡11及び12の周縁等の近傍にセンサ33a及び35aを配置させ、ガイド光LGが一定状態に集光されるように、照明光学系10を調整する。モニタ装置30aは、楕円面鏡11及び12の近傍のガイド光LGを検出するので、楕円面鏡11及び12の位置の変化を高精度で検出することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0070】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る検査装置を説明する。前述の実施形態3のモニタ装置30aでは、センサ33a及び35aは、楕円面鏡11及び12に配置されている。よって、ガイド光LGの光軸方向における位置の変化の検出精度が低下する場合がある。そこで、本実施形態の検査装置において、モニタ装置は、ガイド光LGの光軸方向における各光学部材間の位置の変化を高精度で検出する。
【0071】
図15は、実施形態4に係る検査装置を例示した構成図である。
図15に示すように、本実施形態の検査装置4において、モニタ装置30bは、前述のセンサ33a及び35aに加えて、計測部60を備えている。計測部60は、ビーム出射部61、ビームミラー62、干渉計測部63、ビーム出射部64、ビームミラー65、干渉計測部66を有している。
【0072】
計測部60は、楕円面鏡12と落とし込みミラー13との間の距離の変化を計測する。例えば、ビーム出射部61及び干渉計測部63は、落とし込みミラー13または落とし込みミラー13の支持台に固定されている。ビームミラー62は、楕円面鏡12または楕円面鏡12の支持台に固定されている。
【0073】
なお、ビーム出射部61及び干渉計測部63と、ビームミラー62との位置関係が逆でもよい。すなわち、ビーム出射部61及び干渉計測部63は、楕円面鏡12または楕円面鏡12の支持台に固定され、ビームミラー62は、落とし込みミラー13または落とし込みミラー13の支持台に固定されてもよい。
【0074】
ビーム出射部61は、干渉計測用のビームを出射する。ビームは、例えば、可視光を含む。ビーム出射部61は、干渉計測用のビームを生成して出射してもよいし、干渉計測用のビームを受光及び反射することにより、干渉計測用のビームを出射してもよい。ビームミラー62は、ビーム出射部61が出射したビームを反射する。干渉計測部63は、ビーム出射部61が出射したビームとビームミラー62で反射したビームとの干渉により、楕円面鏡12と落とし込みミラー13との間の距離の変化を計測する。
【0075】
また、計測部60は、楕円面鏡11と楕円面鏡12との間の距離の変化を計測する。例えば、ビーム出射部64及び干渉計測部66は、楕円面鏡12または楕円面鏡12の支持台に固定されている。ビームミラー62は、楕円面鏡11または楕円面鏡11の支持台に固定されている。
【0076】
なお、ビーム出射部64及び干渉計測部66と、ビームミラー65との位置関係が逆でもよい。すなわち、ビーム出射部64及び干渉計測部66は、楕円面鏡11または楕円面鏡11の支持台に固定され、ビームミラー65は、楕円面鏡12または楕円面鏡12の支持台に固定されてもよい。
【0077】
ビーム出射部64は、干渉計測用のビームを出射する。ビーム出射部64は、干渉計測用のビームを生成して出射してもよいし、干渉計測用のビームを受光及び反射することにより、干渉計測用のビームを出射してもよい。ビームミラー65は、ビーム出射部64が出射したビームを反射する。干渉計測部66は、ビーム出射部64が出射したビームとビームミラー65で反射したビームとの干渉により、楕円面鏡11と楕円面鏡12との間の距離の変化を計測する。
【0078】
本実施形態のモニタ方法は、楕円面鏡12と落とし込みミラーとの間の距離の変化を計測部60に計測させるステップをさらに備えてもよい。計測するステップは、以下の手順を含む。すなわち、ビーム出射部61にビームを出射させ、ビームミラー62にビームを反射させ、ビーム出射部61が出射したビームと、ビームミラー62で反射したビームとの干渉により、楕円面鏡12と落とし込みミラーとの間の距離の変化を干渉計測部63に計測させる。
【0079】
また、本実施形態のモニタ方法は、楕円面鏡11と楕円面鏡12との間の距離の変化を計測部60に計測させるステップをさらに備えてもよい。計測するステップは、以下の手順を含む。すなわち、ビーム出射部64にビームを出射させ、ビームミラー65にビームを反射させ、ビーム出射部64が出射したビームと、ビームミラー65で反射したビームとの干渉により、楕円面鏡11と楕円面鏡12との間の距離の変化を干渉計測部66に計測させる。
【0080】
次に、本実施形態の効果を説明する。センサ33a及びセンサ35aは、ガイド光LGの光軸に直交する方向における位置の変化を高精度で検出することができる。一方、センサ33a及びセンサ35aは、ガイド光LGの光軸に平行な方向における位置の変化を高精度で検出することが困難な場合がある。そのような場合でも、本実施形態によれば、計測部60は、ガイド光LGの光軸に平行な方向における位置の変化を高精度で検出することができるので、照明光学系10の光学部材を高精度で調整することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0081】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る検査装置を説明する。本実施形態の検査装置において、励起光出射部80は、楕円面鏡12と落とし込みミラー13との間から照明光学系10に励起光LRを出射する。
【0082】
図16は、実施形態5に係る検査装置を例示した構成図である。
図16に示すように、本実施形態の検査装置5において、励起光出射部80は、楕円面鏡12と落とし込みミラー13との間から照明光学系10に励起光LRを出射する。励起光出射部80から出射した励起光LRは、ミラー81で反射して楕円面鏡12に入射する。楕円面鏡12に入射した励起光LRは、楕円面鏡11を介して、光源LSに入射する。このように、励起光LRは、照明光学系10から光源LSに入射する。本実施形態の照明方法は、
図6または
図13の励起光出射部80に励起光LRを出射させるステップにおいて、励起光出射部80に、楕円面鏡12と落とし込みミラー13との間から照明光学系10に対して励起光LRを出射させる。
【0083】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の検査装置5は、照明光学系10に励起光LRを導入させる。よって、光源LSとの距離を小さくすることができるので、照明光L1の照明位置の位置ズレを抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~4の記載に含まれている。
【0084】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。また、実施形態1~5の各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【0085】
また、励起光出射部80及びモニタ装置30~30bを処理部40に接続させ、処理部40に励起光出射部80及びモニタ装置30~30bを制御させてもよい。その場合には、上記した励起光出射部80及びモニタ装置30~30bの処理のうちの一部又は全部は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。
【0086】
コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0087】
また、本実施形態の照明方法をコンピュータに実行させる下記の照明プログラムも実施形態の技術思想に含まれる。
【0088】
光源のターゲットを励起光で励起することによって、前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明する照明光学系を備えた光学装置の照明プログラムであって、
前記励起光が前記照明光学系から前記光源に入射するように、励起光出射部に前記励起光を出射させ、
前記光源で生成された照明光を用いて試料を照明させる、
ことをコンピュータに実行させる照明プログラム。
【符号の説明】
【0089】
1、2、3、4、5 検査装置
10 照明光学系
11 楕円面鏡
12 楕円面鏡
13 落とし込みミラー
20 検出光学系
21 穴開き凹面鏡
21h 穴
22 凸面鏡
23 平面鏡
24 凹面鏡
25 検出器
26 検出面
30、30a、30b モニタ装置
31 ガイド光導入部
32 取り出しミラー
33、33a センサ
34 取り出しミラー
35、35a センサ
36 折り返しミラー
37 光ファイバ
38 レンズ
40 処理部
50 EUVマスク
51 上面
52 ステージ
53 駆動部
60 計測部
61 ビーム出射部
62 ビームミラー
63 干渉計測部
64 ビーム出射部
65 ビームミラー
66 干渉計測部
80 励起光出射部
81 ミラー
82 折り返しミラー
83 光ファイバ
84 レンズ
111 容器
112 ターゲット
113 底部
114 円筒部
115 底面
116 内周面
117 溝
118 ヒータ
119 デブリシールド
120 コレクターミラー
121 開口部
127 プラズマ
IF1 集光点
IF2 集光点
L1 照明光
L2 反射光
LG ガイド光
LR 励起光
LS 光源
R 回転軸