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特開2024-61099作業管理方法、作業管理システム、及び作業管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061099
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業管理方法、作業管理システム、及び作業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240425BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168819
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】作業装置により作業が行われた位置を精度よく抽出する。
【解決手段】作業管理方法は、作業装置30の各時刻における位置を表す位置情報421と、作業装置30の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、複数の稼働情報から、作業装置30が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することを含む。また、作業管理方法は、複数の作業候補群から選択され、作業装置30が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることを含む。さらに、作業管理方法は、作業群に基づき、作業装置30が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することと、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることと、
前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することと、
を含む作業管理方法。
【請求項2】
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記作業装置の状態に関する分布において極大値に対応する基準状態に基づき、前記複数の作業候補群を抽出すること
を含む請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項3】
前記複数の作業候補群を抽出することは、
少なくとも2つ以上の前記基準状態のそれぞれに基づき、作業候補群を少なくとも2つ以上抽出すること
を含む請求項2に記載の作業管理方法。
【請求項4】
前記複数の作業候補群を抽出することは、
1つの前記基準状態に基づき、前記複数の作業候補群を抽出すること
を含む請求項2または3に記載の作業管理方法。
【請求項5】
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記1つの基準状態に隣接し、前記1つの基準状態に対する基準頻度の第1割合である第1閾値頻度を表す2つの第1閾値状態で挟まれた状態を表す前記複数の稼働情報を第1作業候補群として抽出することと、
前記1つの基準状態に隣接し、前記1つの基準状態に対する前記基準頻度の第2割合である第2閾値頻度を表す第2閾値状態で挟まれた状態を表す前記複数の稼働情報を第2作業候補群として抽出することと、
を含み、
前記第2閾値状態は、前記第1閾値状態と異なる
請求項4に記載の作業管理方法。
【請求項6】
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記1つの基準状態との差が第1閾値以内の状態を表す前記複数の稼働情報を第3作業候補群として抽出することと、
前記1つの基準状態との差が第2閾値以内の状態を表す前記複数の稼働情報を第4作業候補群として抽出することと、
を含み、
前記第2閾値は、前記第1閾値と異なる
請求項4に記載の作業管理方法。
【請求項7】
前記複数の作業候補群により表される複数の位置に基づき、前記複数の作業候補群に基づき前記作業装置が作業を行ったと推定される候補領域または畝候補の位置を表す候補情報を決定することと、
前記候補情報を出力することと、
をさらに含み、
前記作業群を受け付けることは、
前記候補情報の出力に対する応答を受け付けること
を含む請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項8】
前記候補情報は、前記候補領域の面積または前記畝候補の距離を含む
請求項7に記載の作業管理方法。
【請求項9】
前記候補情報は、前記複数の稼働情報が表す位置のうち、前記候補領域または前記畝候補に含まれる割合を表す
請求項7または8に記載の作業管理方法。
【請求項10】
前記状態情報は、前記作業装置の速度または進行方向を表す
請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項11】
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出する候補群抽出部と、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付け、前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定する作業情報決定部と、
を備える作業管理システム。
【請求項12】
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することと、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることと、
前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することと、
を演算装置に実行させる作業管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理方法、作業管理システム、及び作業管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における作業に関する情報を用いることが研究されている。例えば、作業装置の位置情報から作業装置が作業を行った作業領域を推定することが研究されている。
【0003】
特許文献1には、作業装置が作業を行っているときの各時刻の位置に基づき、作業領域を推定する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、作業装置が作業を行っているときの各時刻の位置の凸包を作業領域として推定することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、作業装置が作業を行っているときの各時刻の位置に基づき、作業装置により作業が行われた畝の位置を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-30855号公報
【特許文献2】特許第5821970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、作業装置の位置は、作業を行っていないときにも測定される場合がある。この場合、測定された位置から、作業装置が作業を行っているときの位置を抽出する必要がある。
【0007】
上記の状況に鑑み、本開示は、測定された作業装置の位置から、作業装置が作業を行っているときの位置を精度よく抽出することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理方法は、作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報(421)と、作業装置(30)の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、複数の稼働情報から、作業装置(30)が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することを含む。また、作業管理方法は、複数の作業候補群から選択され、作業装置(30)が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることを含む。さらに、作業管理方法は、作業群に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することを含む。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理システム(1000)は、候補群抽出部(150)と、作業情報決定部(170)とを備える。候補群抽出部(150)は、作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報(421)と、作業装置(30)の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、複数の稼働情報から、作業装置(30)が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出する。作業情報決定部(170)は、複数の作業候補群から選択され、作業装置(30)が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付ける。また、作業情報決定部(170)は、作業群に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定する。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理プログラム(320)は、作業装置(30)の各時刻における位置を表す位置情報(421)と、作業装置(30)の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、複数の稼働情報から、作業装置(30)が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することを演算装置(120、220)に実行させる。また、作業管理プログラム(320)は、複数の作業候補群から選択され、作業装置(30)が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることを演算装置(120、220)に実行させる。さらに、作業管理プログラム(320)は、作業群に基づき、作業装置(30)が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することを演算装置(120、220)に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の形態によれば、精度よく、作業が行われた位置を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における作業管理システムの概略図である。
図2】一実施の形態における作業装置が移動したときに測定される位置情報を表す図である。
図3】一実施の形態における作業管理装置の構成を表す図である。
図4】一実施の形態における作業管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図5】一実施の形態における端末の構成を表す図である。
図6】一実施の形態における作業管理システムによる処理を表すフローチャートである。
図7】一実施の形態における作業装置において測定された状態の分布を表す図である。
図8】一実施の形態において、作業装置の状態の分布に基づき作業候補群を抽出する方法を説明するための図である。
図9】一実施の形態において、作業装置の状態の分布に基づき作業候補群を抽出する方法を説明するための図である。
図10】一実施の形態において、作業候補群に含まれる稼働情報に基づき決定される候補領域を表す図である。
図11】一実施の形態における端末が表示する選択画像を表す図である。
図12】一実施の形態における作業管理システムによる処理を表すフローチャートである。
図13】一実施の形態における端末が表示する選択画像を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態による作業管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、作業管理システム1000は、図1に示すように、作業管理装置100と、端末200とを備える。作業管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、作業装置30と、端末200とに通信可能に接続されている。
【0015】
作業装置30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、図2に示すように、各時刻の位置を表す位置情報421を取得する。このため、位置情報421は、作業装置30が移動した軌道420に沿った位置を表す。作業装置30は、圃場400の内外を移動する任意の装置、例えばトラクター、田植え機、コンバイン、農薬散布用ドローンなどを含む。
【0016】
作業装置30は、圃場400内だけでなく、圃場400外も移動して位置情報421を取得する。例えば、作業装置30は、保管場所410から圃場400に移動するとき、圃場400に含まれない第1軌道420-1に沿って移動する。その後、作業装置30は、圃場400内で、第2軌道420-2に沿って移動して作業を行う。圃場400での作業を終えると、作業装置30は、第3軌道420-3に沿って保管場所410に移動する。このように、作業装置30は、圃場400に含まれない第1軌道420-1と、第3軌道420-3とにおいても位置情報421を取得する。
【0017】
作業装置30は、取得された位置情報421を図1に示す作業管理装置100に送信する。作業管理装置100は、作業装置30から位置情報421を取得して、取得した複数の位置情報421に基づき、作業装置30が作業を行ったと推定される期間に対応する位置情報421を表す複数の作業候補群を抽出する。ユーザ、例えば作業者は、端末200を用いて、抽出された複数の作業候補群から作業装置30により作業が行われた期間に対応する作業群を選択する。作業管理装置100は、選択された作業群に基づき、作業装置30により作業が行われた作業領域を決定する。
【0018】
作業を行っているときの作業装置30の状態、例えば速度なども、ユーザにより異なる。また、作業装置30により作業が行われた領域として管理する作業領域は、ユーザの管理方針により異なる場合がある。例えば、圃場400内で作業装置30の進行方向を変更するために旋回した領域を作業領域に含めるか否かがユーザにより異なる場合がある。
【0019】
このため、作業管理装置100は、作業領域について複数の候補領域をユーザに提示し、ユーザにより作業領域が選択されることで、より精度の高い作業領域を決定する。また、作業管理装置100は、ユーザが選択した作業領域の履歴に基づき、提示する候補領域の優先度を変更する。これにより、作業管理装置100は、ユーザの管理方針に応じた作業領域を提示する。
【0020】
なお、作業装置30は、各時刻における作業装置30の状態を表す状態情報を取得してもよい。取得された状態情報は、作業管理装置100に出力される。状態情報は、例えば作業装置30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況などを表す。また、作業装置30が作業機械を牽引する車両であるとき、状態情報は、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報を含んでもよい。
【0021】
作業装置30は、位置情報421と状態情報とを合わせて、稼働情報として作業管理装置100に出力してもよい。
【0022】
(作業管理システムの構成)
図1に示す作業管理システム1000に含まれる作業管理装置100の構成を説明する。作業管理装置100は、図3に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0023】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業装置30から取得する位置情報421と状態情報とを演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0024】
記憶装置140は、作業装置30により作業に関する作業情報、例えば作業領域を決定するための様々なデータ、例えば抽出パラメータ300と、選択履歴データ310と、作業管理プログラム320とを格納する。記憶装置140は、作業管理プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業管理プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0025】
抽出パラメータ300は、各時刻に測定された複数の稼働情報から、作業装置30が作業をしているときの複数の稼働情報を表す作業候補群を抽出するときに用いられるパラメータを格納する。抽出パラメータ300は複数のパラメータセットを格納し、1つのパラメータセットは1つの作業候補群を抽出するときに用いられる。
【0026】
選択履歴データ310は、過去にユーザが選択したパラメータセットと、そのパラメータセットが選択されたときの稼働情報とを関連付けて格納する。例えば、作業管理装置100は、選択履歴データ310から、作業装置30の稼働情報と類似する稼働情報を選択する。作業管理装置100は、選択された稼働情報に関連付けられたパラメータセットを優先的に使用して、作業候補群を抽出する。
【0027】
演算装置120は、作業管理プログラム320を記憶装置140から読み出し実行して、作業装置30により行われた作業に関する作業情報を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0028】
演算装置120は、作業管理プログラム320を読み出し実行することで、図4に示すように、候補群抽出部150と、候補情報決定部160と、作業情報決定部170とを実現する。候補群抽出部150は、作業装置30の稼働情報に基づき、複数の作業候補群を抽出する。候補情報決定部160は、抽出された複数の作業候補群により表される候補領域に関する候補情報を決定する。また、候補情報決定部160は、決定された候補情報を端末200に出力する。作業情報決定部170は、複数の作業候補群から選択された作業群に基づき、作業装置30により行われた作業に関する作業情報を決定する。決定された作業情報は端末200に出力される。
【0029】
次に、図1に示す端末200の構成を説明する。端末200は、図5に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0030】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、作業管理装置100から取得する信号を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を作業管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0031】
記憶装置240は、作業管理装置100から取得する候補情報と作業情報とを表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム330を格納する。記憶装置240は、表示プログラム330を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム330は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0032】
演算装置220は、表示プログラム330を読み出し実行することで、図4に示すように、入出力装置210と協働して、表示部250を実現する。表示部250は、作業管理装置100から取得した情報を表示する。また、表示部250は、複数の作業候補群から選択された作業群を表す情報を作業管理装置100に出力する。
【0033】
(作業管理装置の動作)
図1に示す作業装置30は、圃場400での作業を行うと、位置情報421と状態情報とを含む稼働情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。例えば、作業装置30は、エンジンを停止したときに、エンジンを起動してから停止するまでに各時刻に測定した複数の稼働情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30から複数の稼働情報を受信すると、作業管理プログラム320を読み出し実行する。作業管理プログラム320が読み出し実行されると、演算装置120は、作業管理方法の一部である図6に示す処理を開始する。
【0034】
ステップS110において、演算装置120により実現される候補群抽出部150は、複数の稼働情報に基づき、作業装置30が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出する。例えば、候補群抽出部150は、稼働情報に含まれる作業装置30の状態情報に基づき、作業候補群を抽出する。例えば、候補群抽出部150は、作業装置30の状態、例えば速度に関する分布に基づき、作業候補群を抽出する。
【0035】
例えば、候補群抽出部150は、図7に示すように、複数の稼働情報に表される状態、例えば速度に対する確率密度を決定する。候補群抽出部150は、速度に対する確率密度が極大値となる基準状態500に基づき、複数の稼働情報から作業候補群を抽出する。
【0036】
例えば、候補群抽出部150は、基準状態500のうちの最も確率密度が大きい第1基準状態500-1に基づき、作業候補群を抽出する。例えば、候補群抽出部150は、図8に示すように、第1基準状態500-1との差が閾値510以内の状態を表す稼働情報を作業候補群として抽出する。例えば、候補群抽出部150は、第1基準状態500-1である速度との差が第1閾値510-1以内の速度を表す稼働情報を1つの作業候補群として抽出する。具体的には、候補群抽出部150は、第1状態範囲520-1に含まれる速度を表す複数の稼働情報を第1作業候補群として抽出する。
【0037】
さらに、候補群抽出部150は、第1基準状態500-1の速度との差が第2閾値510-2以内の速度を表す稼働情報を1つの作業候補群として抽出してもよい。具体的には、候補群抽出部150は、第2状態範囲520-2に含まれる速度を表す複数の稼働情報を第2作業候補群として抽出する。ここで、第1閾値510-1と、第2閾値510-2とを表す情報は、図3に示す抽出パラメータ300に異なるパラメータセットとして格納されている。候補群抽出部150は、1つのパラメータセットを用いて、1つの作業候補群を抽出する。
【0038】
また、候補群抽出部150は、図9に示すように、基準状態500に対応する基準頻度550に基づき、作業候補群を抽出してもよい。例えば、候補群抽出部150は、基準頻度550の所定の第1割合を表す閾値頻度560を決定し、閾値頻度560に対応する2つの閾値状態580に挟まれた状態範囲570に対応する稼働情報を作業候補群として決定する。例えば、候補群抽出部150は、最初に、基準頻度550の第1割合である第1閾値頻度560-1を決定する。次に、候補群抽出部150は、基準状態500の速度に隣接し、第1閾値頻度560-1を表す2つの第1閾値状態580-1の速度を決定する。最後に、候補群抽出部150は、第1閾値状態580-1の速度に挟まれた第1状態範囲570-1の速度を表す複数の稼働状態を1つの作業候補群として抽出する。
【0039】
さらに、候補群抽出部150は、基準頻度550の所定の第2割合を表す第2閾値頻度560-2に基づき、作業候補群を抽出してもよい。第1状態範囲570-1と同様に、候補群抽出部150は、基準頻度550に隣接し、第2閾値頻度560-2を表す2つの第2閾値状態580-2の速度を決定する。続いて、候補群抽出部150は、第2閾値状態580-2に挟まれた第2状態範囲570-2の速度を表す複数の稼働状態を1つの作業候補群として抽出する。
【0040】
候補群抽出部150は、さらに、第1基準状態500-1と同様に、図7に示す第2基準状態500-2に基づき、複数の作業候補群を抽出する。
【0041】
ここで、作業候補群の抽出の条件、例えば基準状態500の数、図8に示す閾値510、図9に示す閾値頻度560を決定する割合などは、抽出パラメータ300に格納されている。例えば、抽出パラメータ300に格納されている1つのパラメータセットは、確率密度が最大値となる基準状態500を用いることと、第1閾値510-1とを表す。また、別のパラメータセットは、2番目に大きい基準状態500を用いることと、第1閾値頻度560-1を決定する割合とを表す。このように、図6に示すステップS110において、候補群抽出部150は、抽出パラメータ300に格納されたパラメータセットの数だけ、作業候補群を抽出する。
【0042】
図6に示すステップS120において、候補情報決定部160は、作業候補群に対応する候補情報を決定する。候補情報は、例えば作業候補群に対応する候補領域を表す。例えば、候補情報決定部160は、1つの作業候補群に含まれる稼働情報に基づき、対応する候補領域を決定する。例えば、候補情報決定部160は、稼働情報に表される位置をすべて含む領域を候補領域として決定する。
【0043】
例えば、候補情報決定部160は、図10に示すように、作業装置30の各位置情報421を含む領域を小領域630に分割する。候補情報決定部160は、作業候補群に含まれる稼働情報が表す位置を含む小領域630を候補領域650として決定する。例えば、圃場400内の小領域630が作業候補群に含まれる稼働情報の位置を含むとき、候補情報決定部160は、圃場400内の小領域630を候補領域650として決定する。ここで、小領域630は、複数の平行な第1分割線610と、複数の平行な第2分割線620とにより分割された領域を表す。例えば、第1分割線610は緯線に平行し、第2分割線620は経線に平行する。
【0044】
同様に、候補情報決定部160は、抽出された複数の作業候補群に対して、候補領域650を決定する。候補情報決定部160は、決定された複数の候補領域650を表す候補情報を端末200に出力する。
【0045】
さらに、候補情報決定部160は、候補領域650に関する数値情報、例えば面積を、候補情報の一部として決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、決定された候補領域650の面積を候補情報の一部として決定してもよい。また、候補情報決定部160は、すべての稼働情報のうち、決定された候補領域650に含まれる位置を表す稼働情報の割合を、候補情報の一部として決定してもよい。
【0046】
また、候補情報決定部160は、複数の候補領域650の優先度を、候補情報の一部として決定する。例えば、候補情報決定部160は、数値情報に表された数値に基づき、候補領域650の優先度を決定する。候補情報決定部160は、面積が大きい候補領域650ほど、高い優先度を設定する。また、候補情報決定部160は、決定された候補領域650に含まれる位置を表す稼働情報の割合が大きい候補領域650ほど、高い優先度を設定してもよい。
【0047】
候補情報決定部160は、選択履歴データ310に基づき、複数の候補領域650の優先度を決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との類似度を決定する。例えば、類似度は、稼働情報を多次元のベクトルとして扱い、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との差に基づき表される。例えば、優先度は、差が小さいほど高く設定される。
【0048】
図6に示すステップS130において、端末200の表示部250は、複数の作業候補群のうち、作業装置30により作業が行われた期間に対応する作業群を表す情報を受け付ける。例えば、表示部250は、複数の作業候補群に対応する候補領域650を表す候補情報を表示し、ユーザにより適切な作業群を選択する操作を受け付ける。例えば、表示部250は、図11に示すように、選択画像700を入出力装置210に表示する。例えば、選択画像700は、複数の候補領域650を表す。例えば、選択画像700は、地図上に候補領域650を表す候補画像710を表示する。図11に示す例において、第1候補画像710-1は、圃場400に含まれる小領域630を候補領域650として表す。第2候補画像710-2は、圃場400に含まれる小領域630のうち、作業装置30が旋回した軌道420以外の小領域630を候補領域650として表す。第3候補画像710-3は、作業装置30が移動した道路を含む小領域630を候補領域650として表す。
【0049】
また、選択画像700は、候補情報に含まれる数値情報720を含んでもよい。数値情報720は、候補情報決定部160により決定された候補領域650の面積を含む。また、数値情報720は、すべての稼働情報のうち、決定された候補領域650に含まれる位置を表す稼働情報の割合を含んでもよい。
【0050】
さらに、選択画像700は、作業候補群から、最適な作業群を選択するための選択ボタン730を含む。例えば、選択ボタン730は、各作業候補群に対応して設けられている。
【0051】
ユーザは、複数の作業候補群のうち最適な作業群に対応する選択ボタン730を選択する。図11に示す例において、ユーザは、第1候補画像710-1に表された候補領域650を選択するとき、第1選択ボタン730-1を選択する。表示部250は、選択ボタン730が選択されると、選択された選択ボタン730に対応する作業候補群を作業群として表す情報を作業管理装置100に出力する。
【0052】
なお、表示部250は、優先度の高い候補領域650のみを表示してもよい。
【0053】
図6に示すステップS140において、作業管理装置100の作業情報決定部170は、選択された作業群を表す情報を受け付け、受け付けた情報に基づき、作業装置30により行われた作業を表す作業情報、例えば作業領域を決定する。例えば、作業情報決定部170は、作業群に含まれる複数の稼働情報に表される位置に基づき、作業領域を決定する。例えば、作業情報決定部170は、作業群に含まれる複数の稼働情報に表される位置に対する凸包を決定し、決定された凸包を作業領域として決定する。決定された作業領域を表す作業情報は、作業情報決定部170により端末200に出力される。
【0054】
また、作業情報決定部170は、選択された作業群を抽出したパラメータセットと、作業装置30の稼働情報とを関連付けて、選択履歴データ310に格納する。
【0055】
ステップS150において、端末200の表示部250は、作業管理装置100から取得した作業情報を表示する。
【0056】
このように、作業管理システム1000は、ユーザに複数の候補情報を提示することで、より精度よく作業情報を決定する。
【0057】
(実施の形態2)
作業管理システム1000は、作業領域に限らず、作業装置30により作業が行われた畝の位置を決定してもよい。この場合、作業管理システム1000の構成は、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0058】
(作業管理装置の動作)
実施の形態1と同様に、図1に示す作業装置30は、圃場400での作業を行うと、位置情報421と状態情報とを含む稼働情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。演算装置120は、作業装置30から複数の稼働情報を受信すると、作業管理プログラム320を読み出し実行する。作業管理プログラム320が読み出し実行されると、演算装置120は、作業管理方法の一部である図12に示す処理を開始する。
【0059】
ステップS210において、演算装置120により実現される候補群抽出部150は、複数の稼働情報に基づき、作業装置30が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出する。例えば、候補群抽出部150は、作業装置30の状態、例えば進行方向に関する分布に基づき、作業候補群を抽出する。候補群抽出部150が進行方向に関する分布に基づき作業候補群を抽出する処理は、実施の形態1における速度に関する分布に基づき作業候補群を抽出する処理と同様のため、説明を省略する。
【0060】
ステップS220において、候補情報決定部160は、作業候補群に対応する候補情報を決定する。候補情報は、例えば作業候補群に対応する畝候補の位置を表す。例えば、候補情報決定部160は、1つの作業候補群に含まれる稼働情報に基づき、対応する畝候補の位置を決定する。例えば、候補情報決定部160は、作業候補群に含まれる稼働情報のうち、測定された時刻が互いに隣接する2つの稼働情報に表される位置を結んだ線を畝候補の位置として決定する。また、候補情報決定部160は、抽出された複数の作業候補群に対して、畝候補の位置を決定する。候補情報決定部160は、決定された複数の畝候補の位置を表す候補情報を端末200に出力する。
【0061】
候補情報決定部160は、候補領域650に関する数値情報、例えば畝の平均距離を、候補情報の一部として決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、決定された畝の平均距離を候補情報の一部として決定してもよい。また、候補情報決定部160は、すべての稼働情報のうち、決定された畝に含まれる位置を表す稼働情報の割合を、候補情報の一部として決定してもよい。
【0062】
また、候補情報決定部160は、複数の畝候補の優先度を、候補情報の一部として決定する。例えば、候補情報決定部160は、数値情報に表された数値に基づき、候補領域650の優先度を決定する。候補情報決定部160は、畝の平均距離が長い畝候補ほど、高い優先度を設定する。また、候補情報決定部160は、決定された候補領域650に含まれる位置を表す稼働情報の割合が大きい畝候補ほど、高い優先度を設定してもよい。
【0063】
候補情報決定部160は、選択履歴データ310に基づき、複数の畝候補の優先度を決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との類似度を決定する。例えば、類似度は、稼働情報を多次元のベクトルとして扱い、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との差に基づき表される。例えば、優先度は、差が小さいほど高く設定される。
【0064】
ステップS230において、端末200の表示部250は、複数の作業候補群のうち、作業装置30により作業が行われた期間に対応する作業群を表す情報を受け付ける。例えば、表示部250は、図13に示すように、選択画像700を入出力装置210に表示する。例えば、選択画像700は、複数の畝候補を表す。例えば、選択画像700は、地図上に畝候補を表す候補画像710を表示する。図13に示す例において、第1候補画像710-1は、圃場400に含まれる作業装置30の軌道420のうち直線軌道と、旋回軌道の開始部分と終了部分とを畝候補として表す。第2候補画像710-2は、圃場400に含まれる作業装置30の軌道420のうち、作業装置30が旋回した軌道420を除いた直線部分を畝候補として表す。第3候補画像710-3は、作業装置30が道路を移動した軌道420を畝候補として表す。
【0065】
また、選択画像700は、候補情報に含まれる数値情報720を含んでもよい。数値情報720は、候補情報決定部160により決定された畝候補の平均距離を含む。また、数値情報720は、すべての稼働情報のうち、決定された候補領域650に含まれる位置を表す稼働情報の割合を含んでもよい。
【0066】
さらに、選択画像700は、作業候補群から、最適な作業群を選択するための選択ボタン730を含む。例えば、選択ボタン730は、各作業候補群に対応して設けられている。
【0067】
ユーザは、複数の作業候補群のうち最適な作業群に対応する選択ボタン730を選択する。図13に示す例において、ユーザは、第2候補画像710-2に表された畝候補を選択するとき、第2選択ボタン730-2を選択する。表示部250は、選択ボタン730が選択されると、選択された選択ボタン730に対応する作業候補群を作業群として表す情報を作業管理装置100に出力する。
【0068】
なお、表示部250は、優先度の高い畝候補のみを表示してもよい。
【0069】
図12に示すステップS240において、作業管理装置100の作業情報決定部170は、選択された作業群を表す情報を受け付け、受け付けた情報に基づき、作業装置30により行われた作業を表す作業情報、例えば畝の位置を決定する。例えば、作業情報決定部170は、作業群に含まれる複数の稼働情報に表される位置に基づき、畝の位置を決定する。例えば、作業情報決定部170は、作業群に含まれる複数の稼働情報のうち、測定された時刻が互いに隣接する2つの稼働情報が表す位置を結んだ線を畝の位置として決定する。決定された作業領域を表す作業情報は、作業情報決定部170により端末200に出力される。
【0070】
また、作業情報決定部170は、選択された作業群を抽出したパラメータセットと、作業装置30の稼働情報とを関連付けて、選択履歴データ310に格納する。
【0071】
ステップS250において、端末200の表示部250は、作業管理装置100から取得した作業情報を表示する。
【0072】
このように、作業管理システム1000は、作業領域に限定されず、畝の位置についても、より精度よく作業情報を決定することができる。
【0073】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、作業装置30の状態情報は、作業装置30の位置情報421に基づき決定されてもよい。例えば、図6に示すステップS110、または、図12に示すステップS210において、候補群抽出部150は、作業装置30の位置情報421に基づき、作業装置30の状態情報、例えば速度、進行方向などを決定する。例えば、候補群抽出部150は、測定された時刻が隣接する2つの位置情報421に表された位置の間の距離と、時間間隔とに基づき、作業装置30の速度を決定してもよい。また、候補群抽出部150は、測定された時刻が隣接する2つの位置情報421に表された位置の変化に基づき、作業装置30の進行方向を決定してもよい。例えば、候補群抽出部150は、測定された時刻が隣接する2つの位置情報421のうち、先に測定された位置情報421に表された位置から、後に測定された位置情報421に表された位置への方向を作業装置30の進行方向として決定してもよい。この場合、作業管理装置100は、作業装置30から状態情報を取得しなくてもよい。
【0074】
また、図6に示すステップS110、または、図12に示すステップS210において、候補群抽出部150により抽出される作業候補群の数は、抽出パラメータ300に格納されたパラメータセットの数より小さくてもよい。例えば、候補群抽出部150は、選択履歴データ310と、作業装置30の稼働情報とに基づき、使用するパラメータセットの優先度を決定する。候補群抽出部150は、決定された優先度が高いパラメータセットのみを用いて、作業候補群を抽出する。
【0075】
例えば、候補情報決定部160は、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との類似度を決定する。例えば、類似度は、稼働情報を多次元のベクトルとして扱い、選択履歴データ310に格納された稼働情報と、作業装置30の稼働情報との差に基づき表される。例えば、優先度は、差が小さいほど高く設定される。
【0076】
また、類似度は、稼働情報に表される状態情報の分布に基づき決定されてもよい。この場合、選択履歴データ310は、過去にユーザが選択したパラメータセットと、そのパラメータが選択されたときの稼働情報に表される状態情報の分布とを関連付けて格納する。候補情報決定部160は、作業装置30の状態情報の分布と、選択履歴データ310に格納された状態情報の分布との類似度を決定する。例えば、類似度は、2つの分布の統計値、例えば基準状態500の値、極大値の値、複数の極大値間の比率などを多次元のベクトルとして扱い、2つの分布の差に基づき表されてもよい。例えば、優先度は、差が小さいほど高く設定される。この場合、作業情報決定部170は、図6に示すステップS140または図12に示すステップS240において、選択された作業群を抽出したパラメータセットと、作業装置30の稼働情報の分布とを関連付けて、選択履歴データ310に格納する。
【0077】
また、図6に示すステップS110、または、図12に示すステップS210において、候補群抽出部150は、作業装置30の稼働情報に基づき、任意の方法で作業候補群を抽出してもよい。例えば、候補群抽出部150は、作業装置30の稼働情報から作業装置30により作業が行われた期間の稼働情報を抽出するように学習された判定モデルを用いてもよい。例えば、候補群抽出部150は、異なる稼働情報を用いて学習された複数の判定モデルを用いてもよい。
【0078】
また、図10に示す小領域630は、作業装置30の位置情報が表す位置を含む領域を分割する任意の形状を有してもよい。例えば、小領域630は六角形に形成されてもよい。
【0079】
また、図6に示すステップS120において、候補情報決定部160は、作業候補群に含まれる位置情報421に表される位置に基づき、任意の方法で、候補領域650を決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、位置情報421に表される位置に対する凸包を候補領域650として決定してもよい。
【0080】
同様に、図12に示すステップS220において、候補情報決定部160は、作業候補群に含まれる位置情報421に表される位置に基づき、任意の方法で、畝候補の位置を決定してもよい。例えば、候補情報決定部160は、決定された畝候補の位置を統合または削除してもよい。例えば、候補情報決定部160は、畝候補の延びる方向に直交する方向において、2つの畝候補の距離が閾値より小さいとき、対応する2つの畝候補を統合してもよい。また、候補情報決定部160は、1つの畝候補に対する位置情報421の数が閾値より小さいとき、対応する畝候補を削除してもよい。
【0081】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、作業管理装置100の一部、または、すべての処理を端末200が実行してもよい。また、端末200の一部、または、すべての処理を作業管理装置100が実行してもよい。また、作業管理プログラム320は、表示プログラム330を含んでもよい。また、作業管理システム1000は、端末200を含まず、作業管理システム1000に含まれない外部端末に候補情報と作業情報とを表示させてもよい。
【0082】
また、図11、または、図13に示す選択画像700は、数値情報720を含まなくてもよい。この場合、候補情報決定部160は、図6に示すステップS130または図12に示すステップS230において、数値情報720を決定しなくてもよい。さらに、選択画像700の候補画像710は、作業候補群に含まれる位置情報421を他の位置情報421と区別して表し、候補情報、例えば候補領域650、畝候補の位置などを表さなくてもよい。この場合、候補情報決定部160は省略されてもよい。
【0083】
また、位置情報421が測定された時刻は、任意の基準時点からの経過時間を表してもよい。例えば、位置情報421が測定された時刻は、作業装置30が起動してからの経過時間を表してもよい。
【0084】
(付記)
各実施の形態で記載した作業管理方法と、作業管理システムと、作業管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0085】
第1の態様に係る作業管理方法は、
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することと、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることと、
前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することと、
を含む。
【0086】
第2の態様に係る作業管理方法は、第1の態様に係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記作業装置の状態に関する分布において極大値に対応する基準状態に基づき、前記複数の作業候補群を抽出すること
を含む。
【0087】
第3の態様に係る作業管理方法は、第2の態様に係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群を抽出することは、
少なくとも2つ以上の前記基準状態のそれぞれに基づき、作業候補群を少なくとも2つ以上抽出すること
を含む。
【0088】
第4の態様に係る作業管理方法は、第2または第3の態様に係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群を抽出することは、
1つの前記基準状態に基づき、前記複数の作業候補群を抽出すること
含む。
【0089】
第5の態様に係る作業管理方法は、第4の態様に係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記1つの基準状態に隣接し、前記1つの基準状態に対する基準頻度の第1割合である第1閾値頻度を表す2つの第1閾値状態で挟まれた状態を表す前記複数の稼働情報を第1作業候補群として抽出することと、
前記1つの基準状態に隣接し、前記1つの基準状態に対する前記基準頻度の第2割合である第2閾値頻度を表す第2閾値状態で挟まれた状態を表す前記複数の稼働情報を第2作業候補群として抽出することと、
を含み、
前記第2閾値状態は、前記第1閾値状態と異なる
を含む。
【0090】
第6の態様に係る作業管理方法は、第4または第5の態様に係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群を抽出することは、
前記1つの基準状態との差が第1閾値以内の状態を表す前記複数の稼働情報を第3作業候補群として抽出することと、
前記1つの基準状態との差が第2閾値以内の状態を表す前記複数の稼働情報を第4作業候補群として抽出することと、
を含み、
前記第2閾値は、前記第1閾値と異なる
を含む。
【0091】
第7の態様に係る作業管理方法は、第1から第6の態様のいずれか1つに係る作業管理方法であって、
前記複数の作業候補群により表される複数の位置に基づき、前記複数の作業候補群に基づき前記作業装置が作業を行ったと推定される候補領域または畝候補の位置を表す候補情報を決定することと、
前記候補情報を出力することと、
をさらに含み、
前記作業群を受け付けることは、
前記候補情報の出力に対する応答を受け付けること
を含む。
【0092】
第8の態様に係る作業管理方法は、第7の態様に係る作業管理方法であって、
前記候補情報は、前記候補領域の面積または前記畝候補の距離を含む。
【0093】
第9の態様に係る作業管理方法は、第7または第8の態様に係る作業管理方法であって、
前記候補情報は、前記複数の稼働情報が表す位置のうち、前記候補領域または前記畝候補に含まれる割合を表す。
【0094】
第10の態様に係る作業管理方法は、第1から第9の態様のいずれか1つに係る作業管理方法であって、
前記状態情報は、前記作業装置の速度または進行方向を表す。
【0095】
第11の態様に係る作業管理システムは、
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出する候補群抽出部と、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付け、前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定する作業情報決定部と、
を備える。
【0096】
第12の態様に係る作業管理プログラムは、
作業装置の各時刻における位置を表す位置情報と、前記作業装置の各時刻における状態を表す状態情報とを含む複数の稼働情報に基づき、前記複数の稼働情報から、前記作業装置が作業を行っていると推定される期間に対応する複数の作業候補群を抽出することと、
前記複数の作業候補群から選択され、前記作業装置が作業を行っている期間に対応する作業群を表す情報を受け付けることと、
前記作業群に基づき、前記作業装置が作業を行った作業領域または畝の位置を表す作業情報を決定することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0097】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業装置
100 :作業管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :候補群抽出部
160 :候補情報決定部
170 :作業情報決定部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :表示部
300 :抽出パラメータ
310 :選択履歴データ
320 :作業管理プログラム
330 :表示プログラム
400 :圃場
410 :保管場所
420 :軌道
421 :位置情報
500 :基準状態
510 :閾値
520 :状態範囲
550 :基準頻度
560 :閾値頻度
570 :状態範囲
580 :閾値状態
610 :第1分割線
620 :第2分割線
630 :小領域
650 :候補領域
700 :選択画像
710 :候補画像
720 :数値情報
730 :選択ボタン
1000 :作業管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13