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2024-61108商品識別システム、商品識別装置、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061108
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】商品識別システム、商品識別装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20240425BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G07G1/00 311E
G07G1/01 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168834
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】伴野 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】吉村 千里
【テーマコード(参考)】
3E142
【Fターム(参考)】
3E142CA12
3E142DA04
3E142DA08
3E142EA02
3E142FA42
3E142GA03
3E142GA32
3E142GA35
(57)【要約】
【課題】撮影画像から抽出した商品の識別子との対応付けが完了し次第、順に、商品情報をレジスター装置に送信することができる商品識別システム、商品識別装置、プログラムを提供する。
【解決手段】撮影画像から抽出された商品のコードに識別番号を割り当てて記憶するコードリストは常時更新される。CPUはコードリストが更新される度に、コードリストの識別番号が商品リストにあるか判断し、なければコード識別処理を行って、識別した商品情報を商品リストに追加する。CPUは、商品情報が商品リストに追加され次第(S71)、レジスター装置に送信する(S73)。商品情報をまとめてレジスター装置に送信する場合と比べ、会計処理の全体にかかる時間を短縮できる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置に接続する商品識別システムであって、
所定の撮影範囲を撮影する撮影装置と、
情報を表示する表示装置と、
操作の入力を受け付ける入力装置と、
前記表示装置および前記撮影装置に対する制御指令を出力する制御装置と、
個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶装置と
を有し、
前記識別子はARマーカであり、
前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、
前記制御装置は、
前記入力装置を介した操作の入力を受け付ける入力処理と、
前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理と、
前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理において抽出された前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶装置から取得する取得処理と、
前記取得処理において取得された前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理と、
前記表示装置に表示指令を出力し、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理と、
前記入力処理によって所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理によって取得した前記商品情報を前記一時記憶処理によって前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理と
を実行すること
を特徴とする商品識別システム。
【請求項2】
前記入力処理において受け付ける前記所定の操作は、前記抽出処理の開始を指示する操作、前記送信処理の開始を指示する操作、または前記商品情報の一部を修正するパラメータの入力完了を指示する操作のいずれかを含むこと
を特徴とする請求項1に記載の商品識別システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記入力処理において前記所定の操作の入力を受け付ける前、または受け付け時に、前記パラメータの入力を受け付けるパラメータ入力処理を実行すること
を特徴とする請求項2に記載の商品識別システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記送信処理によって前記レジスター装置への前記商品情報の送信がなされた商品の前記撮影画像における商品画像を他の画像で覆い、且つその商品の前記商品情報を非表示する隠蔽処理を実行すること
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の商品識別システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記表示処理の実行前に前記送信処理を実行し、
前記送信処理によって前記レジスター装置への前記商品情報の送信がなされた商品から順に、その商品の前記商品情報を、前記表示処理において前記撮影画像に重ねて表示すること
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の商品識別システム。
【請求項6】
商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置と、所定の撮影範囲を撮影する撮影装置とに接続する商品識別装置であって、
情報を表示する表示部と、
操作の入力を受け付ける入力部と、
前記撮影装置に対する制御指令を出力する制御部と、
個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶部と
を備え、
前記識別子はARマーカであり、
前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、
前記制御部は、
前記入力部によって操作の入力を受け付ける入力処理部と、
前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理部と、
前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部によって抽出した前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶部から取得する取得処理部と、
前記取得処理部によって取得した前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理部と、
前記表示部に、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理部と、
前記入力処理部によって所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理部によって取得した前記商品情報を前記一時記憶処理部によって前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理部と
を備えたこと
を特徴とする商品識別装置。
【請求項7】
商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置と、所定の撮影範囲を撮影する撮影装置とに接続し、前記撮影装置に対する制御指令を出力する商品識別装置のコンピュータが実行するプログラムであって、
前記商品識別装置は、
情報を表示する表示部と、
操作の入力を受け付ける入力部と、
個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶部と
を備え、
前記識別子はARマーカであり、
前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、
前記プログラムは、
前記入力部によって操作の入力を受け付ける入力処理と、
前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理と、
前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理において抽出した前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶部から取得する取得処理と、
前記取得処理において取得した前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理と、
前記表示部に、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理と、
前記入力処理において所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理において取得した前記商品情報を前記一時記憶処理において前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理と
を前記コンピュータに実行させること
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品の情報を一括で識別する商品識別システム、商品識別装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の商品の情報を一括で認識できる装置が知られている。特許文献1に記載の商品登録装置は、トレー上の複数の商品を撮影し、撮影画像中の商品のバーコードを一括で読み取ることで、複数の商品をまとめて認識する。認識した商品のバーコードはデータベースに照会され、対応する商品の情報が取得される。商品情報はレジスター装置に送られ、販売金額が合計されて、精算が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-177433号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品登録装置は、認識した全ての商品の商品情報を一度にまとめてレジスター装置に送信するため、商品点数が多いほど送信を開始してから終了するまでの待ち時間が増え、商品の会計処理に時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、撮影画像から抽出した商品の識別子との対応付けが完了し次第、順に、商品情報をレジスター装置に送信することができる商品識別システム、商品識別装置、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様によれば、商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置に接続する商品識別システムであって、所定の撮影範囲を撮影する撮影装置と、情報を表示する表示装置と、操作の入力を受け付ける入力装置と、前記表示装置および前記撮影装置に対する制御指令を出力する制御装置と、個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶装置とを有し、前記識別子はARマーカであり、前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、前記制御装置は、前記入力装置を介した操作の入力を受け付ける入力処理と、前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理と、前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理と、前記抽出処理において抽出された前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶装置から取得する取得処理と、前記取得処理において取得された前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理と、前記表示装置に表示指令を出力し、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理と、前記入力処理によって所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理によって取得した前記商品情報を前記一時記憶処理によって前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理とを実行することを特徴とする商品識別システムが提供される。
【0007】
商品識別システムは、撮影画像から商品の識別子を抽出し、商品情報との対応付けを行い、商品情報を表示装置に表示する。撮影画像から識別子を抽出し、商品情報に対応付ける処理は随時実行することができる。所定の操作が入力されると、商品識別システムは、識別子に対応する商品情報をレジスター装置に送信する処理を開始することができる。この場合に商品識別システムは、識別子との対応付けが完了した商品情報を一時記憶部に記憶し次第、順に、商品情報をレジスター装置に送信する。故に商品識別システムは、全ての商品情報をまとめてレジスター装置に送信する場合と比べ、会計処理の全体にかかる時間を短縮することができる。
【0008】
第一態様の前記入力処理において受け付ける前記所定の操作は、前記抽出処理の開始を指示する操作、前記送信処理の開始を指示する操作、または前記商品情報の一部を修正するパラメータの入力完了を指示する操作のいずれかを含んでもよい。商品識別システムは、識別子の抽出開始指示、レジスター装置への送信開始指示、またはパラメータの入力完了指示を切っ掛けに、識別子に対応する商品情報をレジスター装置に送信する処理を開始することができる。故に商品識別システムは、レジスター装置における精算の処理に必要な処理が完了する前に、レジスター装置への商品情報の送信が開始されてしまうことを防止できる。
【0009】
第一態様の前記制御装置は、前記入力処理において前記所定の操作の入力を受け付ける前、または受け付け時に、前記パラメータの入力を受け付けるパラメータ入力処理を実行してもよい。商品識別システムは、レジスター装置における精算の処理に必要なパラメータの入力が完了する前に、レジスター装置への商品情報の送信が開始されてしまうことを防止できる。
【0010】
第一態様の前記制御装置は、前記送信処理によって前記レジスター装置への前記商品情報の送信がなされた商品の前記撮影画像における商品画像を他の画像で覆い、且つその商品の前記商品情報を非表示する隠蔽処理を実行してもよい。商品識別システムは、レジスター装置への商品情報の送信が完了した商品の画像を、例えば撮影範囲内で商品を配置する部位の画像等で覆い、その商品情報を非表示とすることができる。故にオペレータは、識別されていない商品がどれかを把握しやすい。
【0011】
第一態様の前記制御装置は、前記表示処理の実行前に前記送信処理を実行し、前記送信処理によって前記レジスター装置への前記商品情報の送信がなされた商品から順に、その商品の前記商品情報を、前記表示処理において前記撮影画像に重ねて表示してもよい。商品識別システムは、レジスター装置への商品情報の送信が完了した商品から順に、その商品情報を撮影画像に重ねて表示することができる。故にオペレータは、識別されていない商品がどれかを把握しやすい。
【0012】
本発明の第二態様によれば、商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置と、所定の撮影範囲を撮影する撮影装置とに接続する商品識別装置であって、情報を表示する表示部と、操作の入力を受け付ける入力部と、前記撮影装置に対する制御指令を出力する制御部と、個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶部とを備え、前記識別子はARマーカであり、前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、前記制御部は、前記入力部によって操作の入力を受け付ける入力処理部と、前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理部と、前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部によって抽出した前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶部から取得する取得処理部と、前記取得処理部によって取得した前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理部と、前記表示部に、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理部と、前記入力処理部によって所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理部によって取得した前記商品情報を前記一時記憶処理部によって前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理部とを備えたことを特徴とする商品識別装置が提供される。故に商品識別装置は、第一態様と同様の効果を奏する。
【0013】
本発明の第三態様によれば、商品に関する商品情報の入力を受け付けて、前記商品情報に基づく販売額を合計するレジスター装置と、所定の撮影範囲を撮影する撮影装置とに接続し、前記撮影装置に対する制御指令を出力する商品識別装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記商品識別装置は、情報を表示する表示部と、操作の入力を受け付ける入力部と、個々の商品の前記商品情報を、前記商品情報を示す識別子と対応付けて記憶する記憶部とを備え、前記識別子はARマーカであり、前記撮影装置の前記撮影範囲内には、前記識別子が予め設けられた複数の商品が配置され、前記プログラムは、前記入力部によって操作の入力を受け付ける入力処理と、前記撮影装置に撮影指令を出力し、前記撮影範囲を撮影した撮影画像を随時取得する撮影処理と、前記撮影画像から前記識別子を抽出する抽出処理と、前記抽出処理において抽出した前記識別子のうち、前記商品情報が未取得の前記識別子に対応する前記商品情報を前記記憶部から取得する取得処理と、前記取得処理において取得した前記商品情報を前記識別子と対応付けて一時記憶部に記憶する一時記憶処理と、前記表示部に、前記一時記憶部に記憶された全ての前記商品情報を前記撮影画像に重ねて表示する表示処理と、前記入力処理において所定の操作の入力を受け付けた場合に処理を開始し、前記取得処理において取得した前記商品情報を前記一時記憶処理において前記一時記憶部に記憶し次第、記憶順に、前記レジスター装置に送信する送信処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。故にプログラムは、第一態様と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】商品識別システム1の外観を示す斜視図である。
図2】商品識別システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】商品識別画面80の表示例である。
図4】記憶部44の商品情報データベース100の概念図である。
図5】RAM43のコードリスト110および商品リスト120の概念図である。
図6】ラベル発行処理のフローチャートである。
図7】商品識別処理のフローチャートである。
図8図7の商品識別処理のフローチャートの続きである。
図9図8の商品識別処理のフローチャートの続きである。
図10図9の商品識別処理のフローチャートの続きである。
図11】撮影画像表示領域82の表示例である。
図12】撮影画像表示領域82の表示例の続きである。
図13図9における商品識別処理のフローチャートの変形例である。
図14図10における商品識別処理のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照し、本発明の一実施形態に係る商品識別システム1を説明する。商品識別システム1は、識別用のコードがそれぞれに設けられた複数の商品を撮影し、撮影画像から抽出したコードの数を提示して、商品の点数に間違いがないかを容易に確認できるようにするシステムである。商品識別システム1は、例えば商品を販売する店舗において、精算時に複数の商品を一括して識別するシステムとして用いられる。
【0016】
図1に示すように、商品識別システム1は、撮影台2、撮影装置3、識別端末4、印刷装置6を備える。撮影台2は、撮影対象の複数の商品を配置する位置を示す台である。本実施形態では、複数の商品を載せるトレー25を用意し、撮影台2上にトレー25を配置することで、トレー25上のすべての商品が撮影範囲P内に配置される。それぞれの商品は個別に透明な袋に包装され、予め、商品名と、商品の種類毎に異なるコードとが印刷されたラベルシール26が貼り付けられている。コードは、例えばARマーカである。
【0017】
撮影装置3は、撮影台2上に予め設定された撮影範囲Pを撮影台2の上方から撮影する装置である。撮影装置3は、撮影台2の側方に固定されて上方へ延びる柱状部分と、柱状部分の上部において撮影台2の中央上方へ向けて延びる腕状部分と、腕状部分の下部に設けられ、下方に位置する撮影台2に撮影方向を向ける撮影部31を有する。撮影部31は、撮影台2の撮影範囲Pを撮影するように、予め撮影方向および画角が調整されて、撮影装置3に組み付けられる。
【0018】
識別端末4は、例えば周知のタブレット端末である。識別端末4は公知のUSBケーブル35を用いて撮影装置3と接続し、撮影装置3が撮影する撮影範囲Pの撮影画像あるいは撮影映像を取得する。なお、静止画である撮影画像と動画である撮影映像を特に区別しない場合、以下説明では、撮影画像という。識別端末4はオペレータによる操作の入力を受け付け、撮影装置3が撮影した撮影画像、撮影画像から抽出したコードの数、コードに対応する商品情報のリスト等を画面に表示する。識別端末4は、公知のレジスター装置7に設けられたハンディスキャナ用のシリアルポートに接続したシリアルケーブル77と、識別端末4に接続するUSBケーブル75とをUSBシリアル変換器76を介して接続することで、レジスター装置7にデータを送信することができる。また、識別端末4は、USBケーブル65を用いて印刷装置6と接続する。印刷装置6は、例えば公知の感熱ラベル用の印刷装置である。識別端末4から受信する印刷データに基づいて、商品名およびARマーカをラベルシール26に印刷する。なお、ラベルシール26には、商品名、ARマーカ以外にも、商品の消費期限、商品の販売額、商品の型番、商品の製造場所(製造工場)、アレルギー情報等、その他の情報が印刷されてもよい。
【0019】
商品識別システム1が識別対象とする商品は、店頭で販売される商品であり、例えばパンである。撮影台2、撮影装置3、識別端末4およびレジスター装置7は、商品を販売する売り場に配置される。また、印刷装置6は、商品を製造するバックヤードに配置される。
【0020】
図2を参照し、商品識別システム1の電気的構成について説明する。撮影装置3は、撮影部31と制御部32を有する。撮影部31は、公知のCCDイメージセンサあるいはCMOSイメージセンサである。制御部32は、撮影部31から出力されるデータを処理して撮影画像の画像データを生成し、識別端末4に出力する。撮影映像を出力する場合、制御部32は、フレームレートに従って画像データを連続して生成し、映像データとして識別端末4に出力する。
【0021】
識別端末4は、制御部40、記憶部44、タッチパネル46、USBインターフェース45を有する。制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43を備える。CPU41は識別端末4の制御を司る。ROM42には、OSや初期設定情報が記憶される。RAM43には、CPU41が処理を実行する過程でデータが一時的に記憶される。記憶部44は、例えばフラッシュメモリである。記憶部44には、CPU41が実行するための制御プログラム、後述の商品識別プログラムおよびラベル発行プログラム、コードと商品の情報を関連付ける商品情報データベース100等が記憶される。
【0022】
タッチパネル46は、表示部48と入力部47を備える。表示部48は液晶ディスプレイである。入力部47は、表示部48の表面に設けられたタッチパネルである。USBインターフェース45は、USB規格により、撮影装置3および印刷装置6と接続し、レジスター装置7にはUSBシリアル変換器76を介してシリアル変換して接続し、データ通信を行う。印刷装置6は、印刷部61と制御部62を備える。印刷部61は、台紙に貼付されたラベルシール26に商品名およびARマーカを印刷する。制御部62は、印刷装置6の制御を司る。
【0023】
図3を参照し、識別端末4の表示部48に表示される画面を説明する。後述する商品識別処理において、識別端末4の表示部48には、商品識別画面80が表示される。図3(A)に示すように、商品識別画面80には、点数入力領域81、撮影画像表示領域82、税率設定領域83およびメッセージ表示領域84が設定され、スタートボタン85が設けられる。
【0024】
点数入力領域81には、オペレータのタッチ操作により、撮影台2上に配置される商品の点数の入力を受け付けるための操作項目が表示される。一例として、オペレータがタッチ操作で選択可能な商品点数を示す1~10の数値と、11以上の数値を入力する場合にスワイプ操作で操作項目を表示可能であることを示す三角印が表示される。オペレータによる商品点数の入力が行われた場合、入力された点数を囲って示す丸印が表示される。
【0025】
撮影画像表示領域82には、撮影装置3が撮影した撮影範囲Pの撮影画像が表示される。撮影画像には、撮影台2に配置される複数の商品と、それぞれの商品に設けられた識別用のコードも写って表示される。税率設定領域83には、オペレータが商品の税率を設定するためのボタンが表示される。カスタマーが商品のテイクアウトを所望する場合の税率である8%を設定する8%ボタンと、イートインを所望する場合の税率である10%を設定する10%ボタンが設けられる。メッセージ表示領域84には、後述する商品識別処理においてオペレータに対して報知される警告メッセージ等の各種メッセージが表示される。スタートボタン85は、オペレータが商品の識別の開始を指示する場合に操作するボタンである。
【0026】
また、商品識別処理が進行すると、商品識別画面80の表示内容が変化する。図3(B)に示すように、商品識別画面80には、点数入力領域81および撮影画像表示領域82、メッセージ表示領域84に加え、商品リスト表示領域86および合計額表示領域87が設定される。なお、この場合に撮影画像表示領域82に表示される撮影画像には、複数の商品それぞれのコードに表示される目印28と、各商品の商品名29(図12(B)参照)とが重ねて表示される。目印28は、例えば、コード(ARマーカ)の輪郭部を縁取る枠体(例えば緑色)であり、商品名29は、商品情報から取得される商品の名称である。
【0027】
商品リスト表示領域86は、後述する商品識別処理において撮影画像から識別されたコードに対応する商品情報が一覧表示される。商品情報は商品名と単価を含み、後述する商品情報データベース100において、コードと対応付けられている。商品情報は、後述する商品識別処理においてRAM43に設けられる商品リスト120に追加される。商品リスト表示領域86には、商品リスト120に基づく商品情報の一覧が表示される。なお、同一商品は個数が演算されて、一つの商品として、個数をまとめて表示される。合計額表示領域87には、商品リスト表示領域86に一覧表示される商品の全体での個数と、全ての商品の単価を足し合わせた小計額と、小計額にオペレータが設定した税率を掛け合わせた消費税額と、小計額と消費税額とを足し合わせた税込合計額とが表示される。個数は、撮影画像から抽出されたコードの点数と一致する。
【0028】
図4を参照し、記憶部44に記憶される商品情報データベース100を説明する。商品情報データベース100は、単品販売される商品(パン)を、その種類が異なるごとに1つのコード番号を割り当てて、商品情報を紐付けたデータベースである。商品情報データベース100には、商品情報として、コード番号、コード(ARマーカ)、商品名、単価、その他の情報が対応付けて記憶される。コード番号は、商品の種類ごとに割り振られた番号である。コードには、例えば100~900番台のコード番号が割り当てられる。コード番号は、データベース上で商品情報を管理するため商品情報に紐付けられるIDである。
【0029】
コードにはコード番号が割り当てられ、ARマーカとしての特徴部を有する画像(図4では便宜上、ARマーカの外観図を示す)が登録される。識別端末4には、コード番号に基づいてARマーカを生成することができるアプリケーションが、予めインストールされている。本実施形態では、例えば7×7セルのARマーカが用いられる。商品名は、販売する商品の名称である。単価は、その商品の販売価格である。その他の情報は、例えば、商品の製造年月日、商品の消費期限、商品の製造場所、アレルギー情報等である。商品情報データベース100は、識別端末4への商品識別プログラムのインストール時に、記憶部44に記憶される。
【0030】
図5を参照し、商品識別処理においてRAM43に作成されるコードリスト110および商品リスト120を説明する。図5(A)に示すように、コードリスト110は、識別番号と、撮影画像から抽出したコードの位置を示すコード座標と、商品画像から抽出した商品の外観を表す輪郭線を示す輪郭座標とをARマーカに対応付けて一時的に記憶する記憶領域である。識別番号は、撮影画像から抽出したARマーカのそれぞれに割り当てる識別用の固有の番号である。コード座標は、ARマーカの四隅の位置座標である。コード座標は、例えば、ARマーカの四つ角のうちの一つの角の位置座標であってもよいし、ARマーカの中央の位置座標であってもよい。輪郭座標は、撮影画像を画像解析することによってARマーカを含む商品の輪郭線を特定した輪郭線の位置座標である。商品はラベルシール26が貼られた透明な袋に包装されているので、特定される輪郭線は、商品およびラベルシール26の輪郭線である。輪郭座標は、商品識別処理において、レジスター装置7に商品情報を送信し終えた商品の画像を撮影画像において背景画像で重ねて見えなくすることで送信完了を示す処理に用いられる。商品識別処理において、コードリスト110は常時更新される。
【0031】
図5(B)に示すように、商品リスト120は、識別番号と、商品情報と、コード座標と、輪郭座標と、確定フラグと、送信フラグと、単価税額とを、コード番号に対応付けて一時的に記憶する記憶領域である。確定フラグは、商品識別処理において使用され、コードと商品情報との対応付けがなされ、識別結果が確定し、撮影画像に商品名が表示された商品に対して立てられるフラグである。送信フラグは、商品識別処理において、識別が完了した商品の商品情報をレジスター装置7に送信した場合に立てられるフラグである。単価税額は、商品の単価にオペレータが設定した税率を掛け合わせた金額である。商品識別処理において、商品リスト120は、商品情報が追加された後、トレー25から商品が取り除かれたり、トレー25内での配置位置が大きく変更されない限り、更新されない。
【0032】
図6を参照し、ラベル発行処理について説明する。識別端末4において、オペレータによってラベル発行処理のアプリケーションを起動するための操作が入力部47を介して行われた場合、記憶部44に記憶されたラベル発行プログラムを制御部40のCPU41が読み出して実行することにより、ラベル発行処理が開始される。
【0033】
制御部40のCPU41は、表示部48に商品情報の編集またはラベルの発行を行う選択画面(図示略)を表示する。CPU41は、オペレータによる操作がなければ待機する(S1:NO、S11:NO)。
【0034】
オペレータによって商品情報の編集を行う操作が行われた場合(S1:YES)、CPU41は、記憶部44から商品情報データベース100をRAM43に読み込む(S2)。CPU41は、商品情報データベース100に登録された商品の商品情報を一覧表示し、オペレータによるデータベースの編集を受け付ける(S3、S5:NO)。オペレータは、商品情報データベース100に登録されたコード、商品名、単価、その他の情報を適宜編集することができる。オペレータがデータベースの編集を終了する操作を行うと(S5:YES)、CPU41は、編集によって商品情報データベース100においてデータが変更された部分を更新する(S6)。CPU41は処理をS11に進め、待機状態に移行する。
【0035】
オペレータによって商品(パン)用のラベルを発行する操作が行われた場合(S11:YES)、CPU41は、記憶部44から商品情報データベース100をRAM43に読み込む(S12)。CPU41は、商品情報データベース100に登録された商品の商品情報を表示部48に一覧表示し、商品の選択と、ラベルの発行枚数の入力を受け付ける(S13)。オペレータは、店頭に並べるために用意した商品(例えば焼き上がったパン)をデータベースから選択し、用意した商品の個数をラベルの発行枚数として入力する。CPU41は、選択された商品の商品情報に基づき、商品名およびARマーカを、発行枚数分、ラベルシール26に印刷する印刷指令を印刷装置6に出力する印刷処理を行う(S15)。CPU41は処理をS1に戻し、待機状態に移行する。オペレータは、印刷されたラベルシール26を商品に貼り付け、売り場に運び、店頭に陳列する。
【0036】
図3図7図12を参照し、商品識別処理について説明する。識別端末4において、オペレータによって商品識別処理のアプリケーションを起動するための操作が入力部47を介して行われた場合、記憶部44に記憶された商品識別プログラムを制御部40のCPU41が読み出して実行することにより、商品識別処理が開始される。
【0037】
制御部40のCPU41は、表示部48に初期状態の商品識別画面80を表示する(S21)。図3(A)に示す商品識別画面80では、初期状態において、撮影画像表示領域82には何も表示されず、点数入力領域81と税率設定領域83がアクティブの状態となる。なお、スタートボタン85は非アクティブの状態である。
【0038】
図7に示すように、CPU41は、商品点数と税率の入力を受け付ける(S22)。すなわち点数入力領域81においてタッチ操作による商品点数の入力(選択)が可能な状態となる。商品点数は、オペレータが目視で数えた撮影台2上の商品の数である。また、税率設定領域83においてタッチ操作による税率の入力(設定)が可能な状態となる。商品点数の入力を受け付けた場合、CPU41は、入力された商品点数をRAM43に記憶し、点数入力領域81において、入力された商品点数を示す数値を囲む位置に、丸印を表示する処理を行う。また、税率が設定された場合、CPU41は、設定された税率をRAM43に記憶し、例えば設定されたボタンの画像をボタンが押された状態の画像にして、設定状態がわかるように表示する。スタートボタン85は、商品点数の入力と税率の設定がなされるまで、非アクティブな状態に維持される(S23:NOおよびS23:YES,S25:NO)。CPU41は、メッセージ表示領域84に警告メッセージAを表示する(S27)。警告メッセージAは、例えば「商品点数と税率を入力し、スタートボタンを押してください。」というメッセージである。
【0039】
商品点数の入力と税率の設定がなされると、CPU41はスタートボタン85をアクティブ化し、オペレータのタッチ操作によるスタートボタン85の操作の入力待ちを行う(S23:YES,S25:YES,S26:NO,S27)。スタートボタン85が操作されると(S26:YES)、CPU41は撮影装置3に撮影指令を出し、撮影部31による撮影範囲Pの撮影を開始する(S31)。撮影範囲Pの撮影は映像により行われる。CPU41は撮影装置3の制御部32から映像データを受信し、表示部48の撮影画像表示領域82への表示を開始する。図11(A)に示すように、3つのカレーパン、2つのあんパン、および1つのメロンパンが入れられたトレー25が撮影台2に載置された場合を例に説明する。撮影画像には、トレー25と、ラベルシール26が貼られた袋に包装された上記複数のパンが写る。各ラベルシール26にはコードが印刷されており、撮影画像にもコードが写る。なお、パンの1つ(画面右上)は、ラベルシール26を下向きにしてトレー25に配置されており、撮影画像にコードが写らないものとする。
【0040】
図7に示すように、CPU41はRAM43に商品リスト120を作成し、確定フラグおよび送信フラグを初期状態にする(S32)。
【0041】
S33~S43では、撮影画像に写る商品のコードを抽出し、コードリスト110に記憶する処理が行われる。CPU41は、RAM43にコードリスト110を作成し(S33)、映像データから撮影画像を取得する(S35)。また、撮影画像に後述する目印28が重ねて表示されている場合は消去する(S36)。CPU41は、取得した撮影画像に対するコード抽出処理を行う(S37)。コード抽出処理では、画像認識により、撮影画像においてARマーカが抽出される。なお、商品の包装が他の商品のコードと重なって配置される場合があるが、包装が透明であれば、ARマーカを抽出する処理への影響は生じにくい。
【0042】
CPU41は、抽出したARマーカの四隅の位置座標をコード座標として取得する(S38)。さらに図8に示すように、CPU41は、画像認識により、S31で抽出した個々のARマーカを含む個々の商品の画像を抽出し、その輪郭線の位置座標を輪郭座標として取得する(S41)。CPU41は、コード座標と輪郭座標とを、ARマーカに対応付けて、コードリスト110に記憶する(S42)。コードリスト110には、ARマーカの抽出順に識別番号が割り当てられる。CPU41は、コード座標に基づいて、ARマーカのそれぞれに対し、識別対象として抽出したことを示す目印の表示を撮影画像に行う(S43)。
【0043】
図11(B)に示すように、抽出したARマーカを示す目印28が、撮影画像に重ねて表示される。目印28は、コード座標に基づいて作成される。故にオペレータは、撮影画像において、コードが正しく識別されているか確認することができる。
【0044】
図8に示すように、CPU41は、撮影画像においてコードが1つも識別されなかった場合(S45:NO)、メッセージ表示領域84に警告メッセージBを表示する(S46)。警告メッセージBは、例えば「撮影台に商品を置いてください。」というメッセージである。CPU41は処理をS33に戻し、S33~S46の処理を繰り返して行う。すなわちコードリスト110は常時更新される。この場合にCPU41は、コードリスト110を作成し直し(S33)、すでに目印28が表示されている場合は消去してから(S36)、コードの抽出を行う。よってオペレータは、トレー25上で商品が重なって配置され、コードが識別できない場合に、撮影画像に表示される目印28を確認しながら商品の重なり状態を解消することができる。
【0045】
S51~S57では、撮影画像から抽出したコードを識別し、商品リスト120に商品情報を記憶する処理が行われる。CPU41は、コードリスト110に記憶された識別番号を、コードリスト110への記憶順に1つ選択する(S51)。CPU41は、選択した識別番号が商品リスト120に記憶されていれば(S52:YES)、処理をS57に進める。選択した識別番号が商品リスト120に記憶されていない場合(S52:NO)、CPU41はコード識別処理を行う(S53)。CPU41は、記憶部44の商品情報データベース100に照会し、コード抽出処理で抽出したARマーカが示すコード番号に対応する商品情報を検索する。コード識別処理は、商品情報データベース100に登録された全ての商品情報に対して行われる。抽出したARマーカに対応する商品情報が見つかると、CPU41は商品情報データベース100から商品情報を読み込み、コードリスト110において選択した識別番号に対応するコード座標および輪郭座標と対応付けて、商品リスト120に記憶する(S55)。またCPU41は、設定済みの税率を商品の単価に掛け合わせて単価税額を演算し、商品リスト120に記憶する(S56)。CPU41は、コードリスト110において未選択の識別番号があれば(S57:YES)、処理をS51に戻し、抽出したすべてのARマーカに対するコード照会処理が行われる。コードリスト110のすべての識別番号が選択済みであれば(S57:NO)、CPU41は処理をS61に進める。
【0046】
S61~S67では、商品リスト120に記憶する商品情報の商品名を、撮影画像に写るコードの近傍に表示する処理が行われる。図9に示すように、CPU41は、商品リスト120に記憶された識別番号を、商品リスト120への記憶順に1つ選択する(S61)。CPU41は、選択した識別番号に対応する確定フラグが1であり、撮影画像に商品名を表示させる処理が完了している場合には(S62:YES)、処理をS71に進める。選択した識別番号に対応する確定フラグが0の場合(S62:NO)、CPU41は、識別番号に対応する商品の商品名を撮影画像において表示する位置を、コード座標に基づいて決定し(S63)、撮影画像に写るコードの近傍に商品名を表示する(S65)。CPU41は、確定フラグによって、撮影画像に同じ商品の商品名が二重に表示されるのを防止する。図11(C)に示すように、コード抽出処理において抽出されたARマーカの位置の近傍に、ARマーカが示すコードに対応する商品情報から取得された有効な商品の商品名29が、撮影画像に重ねて表示される。図9に示すように、CPU41は確定フラグを1にして(S66)、処理をS67に進める。CPU41は、商品リスト120において未選択の識別番号があれば(S67:YES)、処理をS61に戻し、未選択の識別番号に対応する商品名29の表示を行う。商品リスト120のすべての識別番号が選択済みであれば(S67:NO)、CPU41は処理をS68に進める。
【0047】
例えば、図12(A)に示すように、オペレータが、トレー25の右上角部において裏返しに配置されたパンを、コードが写るように表向きに直そうとして撮影範囲Pの左下方から腕を延ばすと、一部のコードが腕に隠れて撮影画像に写らなくなる。この場合、オペレータがパンの向きを直し撮影範囲Pから腕をどけると、撮影画像に写らなくなったコードは、再び撮影画像に写るようになる。ここで、S61~S67の処理を含むS33~S82の処理は、トレー25に配置された全ての商品が識別されるまで、繰り返し実行される。その処理の過程において、コードリスト110が常時更新されるのに対し、商品リスト120は更新されない。故に、一部のコードが一時的に撮影画像に写らなくなっても、それらのコードに対応する商品名は、継続して、撮影画像に重ねて表示される。オペレータが、トレー25の右上角部において裏返しに配置されたパンを表向きに直し、撮影範囲P内から腕を外すと、図12(B)に示すように、撮影画像に写らなくなっていたコードは、再び撮影画像に写るようになる。この場合、コードリスト110には、商品リスト120に記憶されている識別番号が、再び記憶されるようになる。また、新たに識別されたコードに対応する商品名も、撮影画像に重ねて表示されるようになる。
【0048】
図9に示すように、CPU41は、商品リスト表示領域86に、撮影画像から識別されたコードに対応する商品情報として、商品名と単価を一覧表示する(図3(B)参照)。商品名が同じ商品は1つにまとめて表示され、個数が表示される(S68)。また、CPU41は、合計額表示領域87に、全商品の個数と、個々の商品の単価を足し合わせた小計額と、個々の商品の単価税額を足し合わせた消費税額と、小計額と消費税額とを足し合わせた税込合計額とを表示する。
【0049】
S71~S78では、商品リスト120に記憶する商品情報をレジスター装置7に送信し、商品画像を撮影画像において非表示とする処理が行われる。図10に示すように、CPU41は、商品リスト120に記憶された識別番号を、商品リスト120への記憶順に1つ選択する(S71)。CPU41は、選択した識別番号に対応する送信フラグが1であり、対応する商品の商品情報をレジスター装置7へ送信する処理が完了している場合には(S72:YES)、処理をS78に進める。選択した識別番号に対応する送信フラグが0の場合(S72:NO)、CPU41は、選択した識別番号に対応する商品の商品名、単価および税率を、レジスター装置7に送信する(S73)。CPU41は、識別番号の商品に対応し、撮影画像に重ねて表示する目印28と商品名29を削除する(S75)。CPU41は、撮影画像において、輪郭座標に基づく商品の輪郭線の内部領域に、予め作成した背景画像を表示する(S76)。背景画像は、例えば、撮影台2に載置したトレー25を、商品を配置しない状態で撮影した画像である。図12(C)に示すように、輪郭線30の内部領域に背景画像を表示することで、オペレータは、撮影画像において、識別番号の商品が、あたかもトレー25から取り除かれたように見える。図10に示すように、CPU41は、送信フラグを1にして(S77)、処理をS78に進める。CPU41は、商品リスト120において未選択の識別番号があれば(S78:YES)、処理をS71に戻し、レジスター装置への商品情報の送信と、輪郭線30内への背景画像の表示とを行う。そして商品リスト120のすべての識別番号が選択済みであれば(S78:NO)、CPU41は処理をS81に進める。
【0050】
CPU41は、商品点数とコード点数を比較する。商品点数は、点数入力領域81において入力された数である。コード点数は、商品リスト120に記憶される商品の数、すなわち識別番号の数である。商品点数がコード点数より多い場合(S81:YES)、CPU41は、メッセージ表示領域84に警告メッセージCを表示する(S82)。警告メッセージCは、例えば「識別されていない商品があります。」というメッセージである。この場合、CPU41は、処理をS33に戻す。
【0051】
商品点数がコード点数より多いうちは、S33~S46のコード抽出処理と、S51~S57のコード識別処理と、S61~S67の商品名29を表示する処理と、S71~SS78の商品情報を送信する処理とが繰り返し実行される。商品名29の表示は、二重に行われないように確定フラグによって管理される。また、商品情報の送信は、二重に行われないように送信フラグによって管理される。オペレータがパンの向きを正すことでコードが正しく抽出され、その結果、商品点数とコード点数とが一致する場合(S91:NO)、CPU41は、メッセージ表示領域84に識別完了メッセージを表示する(S93)。識別完了メッセージは、例えば「全商品が識別されました。」というメッセージである。CPU41は、商品識別画面80の表示状態を初期状態に戻して商品識別処理を最初から実行し直す。
【0052】
一方、コード点数が商品点数より多い場合(S91:YES)、オペレータが商品点数を数え間違えた可能性がある。CPU41は、メッセージ表示領域84に警告メッセージDを表示する(S92)。警告メッセージDは、例えば「商品点数を入力し直してください。」というメッセージである。CPU41は、処理をS21に戻し、商品識別画面80の表示状態を初期状態に戻して商品識別処理を最初から実行し直す。
【0053】
レジスター装置7は、予め商品情報のデータベースを記憶する。商品リスト120に含まれる商品情報に基づき、販売された商品の商品名をデータベースから読み込む。レジスター装置7は商品ごとの個数を求め、単価と掛け合わせた金額を合計して小計額を算出する。さらに、小計額に税率を掛け合わせた消費税額と、小計額と消費税額とを足し合わせた税込合計額とを算出し、レジスター装置7の表示部に表示する。オペレータはカスタマーから商品の代金を受け取り、販売された商品の商品名、販売数、単価、合計金額等が印刷されたレシートを発行する。
【0054】
以上説明したように、商品識別システム1は、撮影画像から商品のコードを抽出し、商品情報との対応付けを行い、商品情報を表示部48に表示する。撮影画像からコードを抽出し、商品情報に対応付ける処理は随時実行することができる。所定の操作が入力されると、商品識別システム1は、コードに対応する商品情報をレジスター装置7に送信する処理を開始することができる。この場合に商品識別システム1は、コードとの対応付けが完了した商品情報をRAM43の商品リスト120に記憶し次第、順に、商品情報をレジスター装置7に送信する。故に商品識別システム1は、全ての商品情報をまとめてレジスター装置7に送信する場合と比べ、会計処理の全体にかかる時間を短縮することができる。
【0055】
商品識別システム1は、コードの抽出開始指示、レジスター装置7への送信開始指示、または税率等パラメータの入力完了指示を切っ掛けに、コードに対応する商品情報をレジスター装置7に送信する処理を開始することができる。故に商品識別システム1は、レジスター装置7における精算の処理に必要な処理が完了する前に、レジスター装置7への商品情報の送信が開始されてしまうことを防止できる。
【0056】
商品識別システム1は、レジスター装置7における精算の処理に必要なパラメータ(税率等)の入力が完了する前に、レジスター装置7への商品情報の送信が開始されてしまうことを防止できる。
【0057】
商品識別システム1は、レジスター装置7への商品情報の送信が完了した商品の画像を、例えば撮影範囲P内で商品を配置する部位の画像等(背景画像)で覆い、その商品情報を非表示とすることができる。故にオペレータは、識別されていない商品がどれかを把握しやすい。
【0058】
上記実施形態において、表示部48は、本発明の「表示装置」に相当する。入力部47は、本発明の「入力装置」に相当する。制御部40は、本発明の「制御装置」に相当する。記憶部44は、本発明の「記憶装置」に相当する。CPU41が実行するS22の処理は、本発明の「入力処理」および請求項3における「パラメータ入力処理」に相当する。CPU41が実行するS31、S35の処理は、本発明の「撮影処理」に相当する。CPU41が実行するS37の処理は、本発明の「抽出処理」に相当する。CPU41が実行するS53の処理は、本発明の「取得処理」に相当する。RAM43の商品リスト120は、本発明の「一時記憶部」に相当する。CPU41が実行するS55の処理は、本発明の「一時記憶処理」に相当する。CPU41が実行するS65の処理は、本発明の「表示処理」に相当する。CPU41が実行するS73の処理は、本発明の「送信処理」に相当する。CPU41が実行するS76の処理は、本発明の「隠蔽処理」に相当する。
【0059】
本発明は上記実施形態から変更できる。コードはARマーカを例に説明したが、公知のバーコード、QRコード(登録商標)等をコードとして用いてもよいし、独自に開発したマーカをコードとして用いてもよい。商品情報は商品名と単価の他に、原材料、製造年月日、製造工場、アレルギー情報など、その他の情報を含んでもよい。
【0060】
識別端末4はタブレット端末としたが、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等、他のデバイスを用いてもよい。パーソナルコンピュータを使用する場合、タッチパネル機能を搭載したディスプレイを用いてオペレータによる操作の入力を行うとよい。また、タブレット端末に搭載するカメラ機能を、撮影装置3として使用してもよい。この場合、カメラ機能を有するタブレット端末は、商品識別装置として動作し、本実施形態の商品識別システム1として単体で機能することができる。
【0061】
本発明におけるパラメータの一例として税率を挙げたが、他にも、割引率、値引き額、有料レジ袋の有無等、合計金額を算出する上で必要となる要素を設定してもよい。コード認識処理は、商品識別処理の実行が開始されたら常時行われるようにしてもよい。また、S76で商品の画像に背景画像を重ねて表示する処理は行わなくてもよい。あるいはCPU41は、輪郭座標の取得を行わず、S76でコード座標に基づきARマーカ、またはARマーカを中心とする周辺の領域に背景画像を表示してもよい。もしくは、ラベルシール26が商品の包装の所定位置に貼り付けられるものとして、CPU41は、輪郭座標の取得を行わず、S76でコード座標に基づきARマーカの位置および傾きを算出し、算出した情報に基づき商品およびラベルシール26を覆う大きさの四角い背景画像をラベルが表示されている部分に貼り付けてもよい。背景画像は、必ずしもトレー25の撮影画像でなくてもよく、単に単色のベタ塗り画像や、例えばチェックマークや花などを描いた所定の画像等であってもよい。または、ARマーカに設けた目印28である枠体の色を、例えば赤に変更したり、商品名29の文字色や背景色を、例えば赤に変更したりすることで、オペレータが商品のデータを送信済みであることを認識しやすくしてもよい。
【0062】
本実施形態において、CPU41は、スタートボタン85の操作を契機に、コード抽出処理の実行を開始し、さらにコード識別処理を実行した後、商品情報をレジスター装置7に送信する。スタートボタン85の操作は、コード抽出処理の開始を指示する操作に限らず、例えば商品情報をレジスター装置7に送信する指示の操作としてもよい。この場合、例えば、図13に示すように、S221~S251,S271の処理をS68の前に実行し、S261,S271の処理をS68の後に実行するようにするとよい。なお、S221~S271の処理は、図7のS22~S27と同等の処理である。また、図7のS21の処理の後はS31に移行すればよい。これによりCPU41は、オペレータによるスタートボタン85の操作を契機に、商品情報をレジスター装置7に送信することができる。
【0063】
スタートボタン85を廃し、図7もしくは図13において、S26の処理を削除して、S25:YESの場合にS31に移行するようにしてもよい。すなわちCPU41は、商品点数の入力および税率の設定がなされ次第、コード抽出処理の実行を開始し、さらにコード識別処理を実行した後、商品情報をレジスター装置7に送信してもよい。レジスター装置7への商品情報の送信と同時もしくはそれより前に税率の設定がなされることで、レジスター装置7への税率の送信漏れを防止できる。また、スタートボタン85の操作の手間を省くことができる。
【0064】
図14に示すように、S68とS71の間に、S75の処理と同様な、撮影画像から商品名を消去するS751の処理を行い、S73とS77の処理の間に、S63と同様な、商品名の表示位置を決定するS631の処理と、S65と同様な、コードの近傍に商品名を表示するS651の処理とを実行してもよい。すなわちCPU41は、商品情報をレジスター装置7に送信する場合に、撮影画像に重なる商品名をいったん消去し、商品情報の送信を行い次第、その商品の商品名を、撮影画像に重ねて表示してもよい。このような処理を行うことで、商品識別システム1は、レジスター装置7への商品情報の送信が完了した商品から順に、その商品情報を撮影画像に重ねて表示することができる。故にオペレータは、識別されていない商品がどれかを把握しやすい。
【0065】
また、CPU41は、図14の変形例において、予めS41で輪郭座標を抽出する際に、輪郭線内の商品画像を切り抜いて保存しておき、S751で商品名を消去する際に、撮影画像を背景画像と置き換えてもよい。そしてCPU41は、S651でレジスター装置7への送信が完了した商品の商品名を表示する際に、保存した商品画像を背景画像に重ねて表示するようにしてもよい。
【0066】
上記実施形態では、識別子としてARマーカを使用したが、ARマーカに代えて、QRコード(登録商標)、カメレオンコード(登録商標)等の2次元コード、バーコード、RFIDタグ等を使用してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 商品識別システム
3 撮影装置
7 レジスター装置
40 制御部
41 CPU
43 RAM
44 記憶部
47 入力部
48 表示部
120 商品リスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14