IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

特開2024-6111監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム
<>
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図1
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図2
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図3
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図4
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図5
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6A
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6B
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6C
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6D
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6E
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図6F
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図7
  • 特開-監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006111
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】監視支援装置、監視支援システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240110BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G08G1/16 A
H04N7/18 J
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106700
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】渡部 亮介
【テーマコード(参考)】
5C054
5H181
【Fターム(参考)】
5C054DA07
5C054FA09
5C054FC12
5C054FE12
5C054FE17
5C054HA30
5H181AA01
5H181AA06
5H181AA07
5H181AA12
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF24
5H181FF33
5H181FF39
5H181LL01
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】移動体の交通状況を監視する人員の負担を軽減し得る監視支援装置、監視支援システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】監視支援装置は、移動体から撮像される映像を取得する映像取得部と、移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別部と、映像取得部が取得する映像に、所定の期間における対象物の位置を示す画像を表示させた重畳映像を生成する映像生成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体から撮像される映像を取得する映像取得部と、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別部と、
前記映像取得部が取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成部と、
を備える、監視支援装置。
【請求項2】
前記重畳画像は、前記映像取得部が取得する映像に、前記識別部が前記移動体の停止原因となる対象物を取得した時から所定期間経過するまでの、前記対象物の位置を示す画像を表示させた画像である、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項3】
前記重畳画像は、前記映像取得部が取得する映像に、前記識別部が前記映像に含まれなくなるまでの、前記対象物の位置を示す画像を表示させた画像である、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項4】
前記重畳画像は、前記映像取得部が取得する映像に、所定の時間ごとの前記対象物の位置を示す画像を表示させた画像である、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項5】
前記所定の時間は、前記対象の種類、又は前記対象の移動速度に応じて決定される、請求項4に記載の監視支援装置。
【請求項6】
前記識別部は、前記映像取得手段が取得する映像に基づいて、前記対象物に関する情報を取得する、
請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項7】
前記識別部は、前記映像取得手段が取得する映像上で指定されることで、前記対象物を取得する、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項8】
前記映像生成部は、前記重畳映像として、前記映像取得部が取得する映像に、前記映像取得部が取得する前記対象物の映像を半透明化した画像を重ねる映像を生成する、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項9】
前記映像取得部が取得する映像に基づいて、前記対象物を識別していた前記識別部が当該対象物を識別しなくなる時に、
前記映像生成部は、前記移動体の予定されていた進路を示すオブジェクトが表示された映像を生成する、請求項1に記載の監視支援装置。
【請求項10】
移動体から撮像される映像を受信する通信部と、
前記通信部が受信する映像を取得する映像取得部と、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別部と、
前記映像取得部が取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成部と、
前記映像生成部が生成する映像を表示する表示部と、
を含む、監視支援システム。
【請求項11】
コンピュータに、
移動体から撮像される映像を取得する映像取得ステップと、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別ステップと、
前記映像取得ステップで取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成ステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視支援装置、監視支援システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車が少なくとも部分的に自動で(人間が運転操作を行わなくとも)走行可能な自動運転の技術開発が、実用化に向けて進められている。ここで、自動運転とは、例えば、日本国の公益社団法人自動車技術会(Society of Automotive Engineers of Japan, Inc.(JSAE))、又は米国の非営利団体SAE(Society of Automotive Engineers)が策定したレベルに基づく自動運転としてよい。一方、自動運転がある程度のレベルで開発又は実用化されたとしても、例えば不測の事態などに対処するために、人間の監視者が例えば遠隔で監視を行う必要性が想定される。このような必要性に対応し得るものとして、例えば特許文献1は、車両の運転が困難になった場合に、管制センターに在籍しているオペレータの遠隔操作支援によって走行を継続できる車両遠隔監視支援システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-42764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車のような移動体の監視システムにおいて、移動体の交通状況を監視する人員(監視者)の負担を軽減できれば望ましい。
【0005】
本開示の目的は、移動体の交通状況を監視する人員(監視者)の負担を軽減し得る監視支援装置、監視支援システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る監視支援装置は、
移動体から撮像される映像を取得する映像取得部と、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別部と、
前記映像取得部が取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成部と、
を備える。
【0007】
一実施形態に係る監視支援システムは、
移動体から撮像される映像を受信する通信部と、
前記通信部が受信する映像を取得する映像取得部と、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別部と、
前記映像取得部が取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成部と、
前記映像生成部が生成する映像を表示する表示部と、
を含む。
【0008】
一実施形態に係るプログラムは、
コンピュータに、
移動体から撮像される映像を取得する映像取得ステップと、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別ステップと、
前記映像取得ステップで取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成ステップと、
を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態によれば、移動体の交通状況を監視する人員(監視者)の負担を軽減し得る監視支援装置、監視支援システム、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る監視支援システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る監視支援装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る監視支援システムの使用態様を示す図である。
図4】一実施形態に係る監視支援システムの使用態様を示す図である。
図5】一実施形態に係る監視支援装置の動作を説明するフローチャートである。
図6A】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図6B】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図6C】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図6D】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図6E】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図6F】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図7】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
図8】一実施形態に係る監視支援装置の動作の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示において、「監視支援装置」とは、電力により動作する電子機器としてよい。また、「監視支援システム」とは、電力により動作する機器(例えば監視支援装置)を含むものとしてよい。また、「ユーザ」とは、一実施形態に係る監視支援装置又は監視支援システムを使用する者としてよい。ユーザは、一実施形態に係る監視支援装置又は監視支援システムを用いることによる恩恵を受け得る者としてもよい。
【0012】
一実施形態に係る監視支援装置又は監視支援システムが利用される場面として想定されるのは、例えば交通監視センターのように、路上を走行する自動車などの移動体の交通状況を、例えば遠隔で監視する施設などとしてよい。このような施設を、以下、単に「監視施設」と記す。また、監視施設において、監視支援装置又は監視支援システムを使用して移動体などの交通状況の監視を行う人員を、単に「監視者」と記す。すなわち、監視施設において、監視者は、監視支援装置又は監視支援システムを使用することで、自動車などの移動体の交通状況の監視を行うことができる。
【0013】
以下説明する実施形態においては、監視者によって監視される自動車などの移動体は、当該移動体から撮像装置によって撮像される映像を、監視支援システムに送信しているものとする。このような映像の送信は、例えば常時行われるものとしてよい。移動体から送信された映像は、監視支援システムによって受信され、当該映像は、監視支援システムのディスプレイなどの表示部に表示される。監視者は、監視支援システムにおいて表示される映像を目視することで、当該移動体の交通状況を監視することができる。
【0014】
例えば自動運転中の自動車が、何らかの理由で自動運転を継続することが不可能となり停止した場合、監視者は、その停止の原因を、監視支援システムを利用して確認することが想定される。その後、その自動車の周囲環境の完全が確認されれば、監視者は、必要な場合又は可能な場合には、当該自動車の遠隔操作を行う場面も想定される。また、運転者が自ら自動車を運転することができる場合、監視者は、運転者による運転の支援を遠隔で行うこともあり得る。また、例えば自動車を運転している運転者又は自動運転している自動車が、監視者に対して、例えば遠隔操作の要請のような、何らかの対応要請を行うような場面も想定される。このような場合も、監視者は、自動車の周囲環境の完全が確認し、必要な場合又は可能な場合には、当該自動車の遠隔操作又は運転者による運転の遠隔支援を行う場面が想定される。このような遠隔操作又は遠隔支援は、監視者自らによって行われてもよいし、例えば監視者の指示に基づいて、他の人員(例えば操作専門のオペレータ)に割り振られてもよい。
【0015】
上述のような状況において、監視者は、作業効率などの観点から、1人で複数の自動車の監視を同時に行うような場面も想定される。この場合、監視支援システムは、1人の監視者が視認可能なディスプレイなどの表示部に、複数の自動車から撮像された映像を並べて表示してよい。このような監視支援システムを使用して、監視者は、複数の自動車の交通状況を同時に監視しつつ、自動車又は運転者から各種の要請などを受けた場合に、順次対応することができる。以下、一実施形態に係る監視支援システム及び監視支援装置は、上述のような態様で使用されるものとして説明する。
【0016】
監視者によって監視される自動車などの移動体は、自動運転(例えばレベル3から5)していてもよいし、部分的な自動運転(例えばレベル2)をしていてもよいし、運転者が運転(例えばレベル0又は1)していてもよい。監視者によって監視される自動車などの移動体は、普通自動車に限定されず、例えば、バス、トラック、救急車、消防車、又はパトカーなど、任意の自動車としてよい。また、監視者によって監視される移動体は、必ずしも自動車に限定されず、路上の交通に参加し得る他の移動体としてもよい。
【0017】
以下、一実施形態に係る監視支援装置及び監視支援システムについて、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、一実施形態に係る監視支援装置を含む監視支援システムを、自動車のような移動体とともに示す図である。
【0019】
図1に示すように、監視支援システム1は、監視支援装置10と、通信部120と、表示部130とを含んで構成されてよい。また、監視支援システム1は、例えば自動車などのような移動体200の監視を支援するものとしてよい。監視支援システム1は、例えば監視施設にあるものとしてよい。移動体200は、運転者によって運転されてもよいし、少なくとも部分的に自動運転されてもよいし、例えば遠隔制御装置300によって遠隔操作されるものとしてもよい。移動体200は、例えば路上にあるものとしてよい。
【0020】
移動体200は、例えば自動車としてよい。移動体200は、例えば、通常の乗用車としてよい。移動体200は、通常の乗用車に限定されず、例えば、バス、トラック、救急車、消防車、又はパトカーなど、任意の自動車としてよい。また、移動体200は、必ずしも自動車に限定されず、路上の交通に参加し得る他の移動体としてもよい。
以下、移動体200が乗用車であるものとして説明する。移動体200は、エンジン車、電気自動車、又は燃料電池自動車など、各種の動力を備えるものとしてよい。
【0021】
移動体200は、自動運転(例えばレベル3から5)可能なものとしてもよいし、部分的な自動運転(例えばレベル2)可能なものとしてもよいし、運転者が運転(例えばレベル0又は1)可能なものとしてもよい。図1に示すように、移動体200は、例えば、撮像部210と、通信部220と、を備えてよい。移動体200は、図1に示す機能部の一部を備えなくてもよいし、図1に示す機能部以外の機能部を備えてもよい。
【0022】
撮像部210は、映像を撮像することができる。撮像部210は、例えばデジタルカメラのような、電子的に画像を撮像するイメージセンサを含んで構成されてよい。撮像部210は、CCD(Charge Coupled Device Image Sensor)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のように、光電変換を行う撮像素子を含んで構成されてよい。撮像部210は、デジタルカメラのような撮像デバイスに限定されず、任意のデバイスとしてよい。撮像部210が撮像する映像は、静止画としてもよいし、連続する静止画としてもよいし、動画としてもよい。以下、静止画、連続する静止画、及び動画などのような、撮像部210によって撮像されるものを総称して、「映像」と記す。
【0023】
撮像部210は、移動体200におけるいずれかの箇所に設置されてよい。撮像部210は、移動体200に固定して取り付けられてよい。また、撮像部210は、撮像範囲を変更できるように、移動体200において可動に取り付けられてもよい。
【0024】
一実施形態において、撮像部210は、典型的には移動体200の前方の映像を撮像してよい。特に、撮像部210は、移動体200の前方などを中心として移動体200の交通状況(環境)を把握可能な映像を撮像してよい。撮像部210が撮像した映像のデータは、通信部220に送信されてよい。撮像部210は、通信部220と、有線及び無線の少なくとも一方によって接続されてよい。
【0025】
移動体200の通信部220は、監視支援システム1の通信部120と、有線及び無線の少なくとも一方(典型的には無線)によって接続されることにより、通信することができる機能部としてよい。通信部220は、移動体200に設置される専用のハードウェアとしてもよいし、例えばスマートフォン又はタブレット端末のような汎用品を利用してもよい。
【0026】
通信部220は、有線又は無線により通信するためのインタフェースの機能を有する。一実施形態の通信部220によって行われる通信方式は無線通信規格としてよい。例えば、無線通信規格は2G、3G、4G、及び5G等のセルラーフォンの通信規格を含んでよい。例えばセルラーフォンの通信規格は、LTE(Long Term Evolution)、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、及びPHS(Personal Handy-phone System)等を含む。例えば、無線通信規格は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、WiFi、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、及びNFC(Near Field Communication)等を含む。通信部220は、上記の通信規格の1つ又は複数をサポートすることができる。通信部220は、例えば電波を送受信するアンテナ及び適当なRF部などを含めて構成してよい。また、通信部220は、外部に有線接続するためのコネクタなどのようなインタフェースとして構成してもよい。通信部220は、無線通信を行うための既知の技術により構成できるため、より詳細なハードウェアなどの説明は省略する。
【0027】
移動体200は、移動体200の各所における各種のステータスを検出する各種のセンサなどを備えてよい。このような各種のセンサは、通信部220と、有線及び無線の少なくとも一方によって接続されてよい。また、移動体200は、移動体200の各所における各種のステータスを検出するECU(engine control unit)などのような装置を備えてよい。この場合、ECUは、通信部220と、有線及び無線の少なくとも一方によって接続されてよい。
【0028】
移動体200は、少なくとも部分的な自動運転を行うために必要な各種機能を備えてよい。自動運転に関する技術は、既存のもの及び/又は今後開発されるものを含め、各種のものを採用してよい。また、移動体200は、移動体200の搭乗者以外の人員によって遠隔操作(遠隔操縦)を行うことを可能にする各種機能を備えてよい。このような遠隔操作(遠隔操縦)に関する技術は、既存のもの及び/又は今後開発されるものを含め、各種のものを採用してよい。
【0029】
遠隔制御装置300は、移動体200を遠隔操作(遠隔操縦)するコントローラとしてよい。遠隔制御装置300は、例えば、ジョイスティック、スライダ、タッチパッド若しくはタッチパネル、及び/又は各種のスイッチの少なくともいずれかを含んでよい。例えば監視施設に駐在するオペレータ(操作人員)は、遠隔制御装置300を用いて、移動体200を遠隔操作することができる。
【0030】
遠隔制御装置300は、監視支援システム1の通信部120に、有線及び無線の少なくとも一方によって接続されてよい。遠隔制御装置300は、通信部120に接続されて、通信部220と通信することにより、移動体200を遠隔操作することができる。
【0031】
図2は、一実施形態に係る監視支援システム1の機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、監視支援システム1は、監視支援装置10と、通信部120と、表示部130とを含んで構成されてよい。
【0032】
通信部120は、有線又は無線により通信するためのインタフェースの機能を有する。通信部120は、移動体200の通信部220と有線又は無線により通信する機能を有してよい。通信部120は、通信部220と同様又は類似の思想に基づく機能部としてよい。通信部120は、通信部220と無線により通信する機能部として、例えばRF部のような既知の無線通信デバイスと同様又は類似の思想に基づく機能部としてよい。また、通信部120は、通信部220と有線により通信する機能部として、例えばコネクタのようなデバイスと同様又は類似の思想に基づく機能部としてよい。通信部120は、既知の技術により構成することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0033】
表示部130は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence panel)、又は無機ELディスプレイ(Inorganic Electro-Luminescence panel)等の任意の表示デバイスとしてよい。表示部130は、文字、図形、又は記号等の各種の情報を表示してよい。また、表示部130は、例えばユーザに監視支援装置10又は移動体200の操作を促すために、種々のGUIを構成するオブジェクト、及びアイコン画像などを表示してもよい。表示部130は、上述のような既知の表示デバイスと同様又は類似の思想に基づく機能部としてよい。表示部130は、既知の技術により構成することができるため、より詳細な説明は省略する。
【0034】
監視支援装置10は、図2に示すように、映像取得部11、情報取得部12、識別部13、映像生成部14、及び記憶部15を備えてよい。監視支援装置10は、図2に示す機能部の一部を備えなくてもよいし、図2に示す機能部以外の機能部を備えてもよい。例えば、一実施形態に係る監視支援装置10は、映像取得部11、識別部13、及び映像生成部14を備えてもよい。
【0035】
一実施形態に係る監視支援装置10は、種々の電子機器として構成し得る。例えば、監視支援装置10は、専用に設計された端末としてもよいし、汎用のコンピュータ、ノートパソコン、又はサーバなどとしてもよい。さらに、監視支援装置10は、タブレット型コンピュータ又はスマートフォンなどとしてもよい。
【0036】
監視支援装置10は、種々の機能を実行するための制御及び処理能力を提供するために、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)のような、少なくとも1つのプロセッサを含んでよい。監視支援装置10は、まとめて1つのプロセッサで実現してもよいし、いくつかのプロセッサで実現してもよいし、それぞれ個別のプロセッサで実現してもよい。プロセッサは、単一の集積回路(Integrated Circuit:IC)として実現されてよい。プロセッサは、複数の通信可能に接続された集積回路及びディスクリート回路として実現されてよい。プロセッサは、他の種々の既知の技術に基づいて実現されてよい。
【0037】
一実施形態において、監視支援装置10は、例えばCPU及び当該CPUで実行されるプログラムとして構成されてよい。監視支援装置10において実行されるプログラム、並びに、監視支援装置10において実行された処理の結果などは、例えば記憶部15に記憶されてよい。監視支援装置10は、動作に必要なメモリを適宜含んでもよい。監視支援装置10は、専用のハードウェアとして構成されてもよいし、少なくとも一部にソフトウェアを含めて構成されてもよいし、全てソフトウェアで構成されているとしてもよい。
【0038】
映像取得部11は、移動体200の撮像部210が撮像する映像を取得する。すなわち、映像取得部11は、移動体200から撮像される映像を取得する。映像取得部11は、例えば、移動体200の通信部220及び監視支援システム1の通信部120を介して、撮像部210が撮像する映像を取得してよい。上述のように、移動体200の前方などを中心として移動体200の交通状況(環境)を把握可能な映像を撮像してよい。例えば、映像取得部11は、撮像部210によって撮像される映像であって、移動体200の走行中又は停車中の映像を撮像してよい。この場合、映像取得部11は、移動体200の例えば前方向に存在する自動車、バイク、自転車、歩行者、ベビーカー、道路、建物、及び/又は、風景などを撮像してよい。
【0039】
情報取得部12は、移動体200における各部から、各種の情報を取得してよい。情報取得部12は、例えば、移動体200の通信部220及び監視支援システム1の通信部120を介して、各種の情報を取得してよい。例えば、情報取得部12は、移動体200のECUから、移動体200に関する各種の情報を取得してよい。また、情報取得部12は、移動体200の自動運転を制御するコンピュータのような電子機器から、移動体200の自動運転に関する各種の情報を取得してよい。また、情報取得部12は、移動体200の遠隔制御を制御するコンピュータのような電子機器から、移動体200の遠隔制御に関する各種の情報を取得してよい。
【0040】
識別部13は、移動体200の停止原因となる対象物の情報を取得してよい。識別部13は、映像取得部11が取得する映像に基づいて、当該映像に含まれる対象物を識別する。上述のように、映像取得部11が取得する映像は、移動体200の撮像部210が撮像する映像としてよい。一実施形態において、識別部13は、自動運転中の移動体200が停止した場合、映像取得部11が取得する映像に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別してよい。識別部13は、対象物の種類、及び/又は、対象物の移動速度を識別しても良い。この場合、識別部13は、移動体200から受信する情報に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別してもよい。また、識別部13は、移動体200から受信する移動体200の停止原因に関する情報に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別してもよい。また、識別部13は、情報取得部12が取得する情報に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別してもよい。識別部は、監視者が表示部130に表示された映像上で指定することによって、移動体200の自動運転の停止原因となる対象物を特定してもよい。
【0041】
識別部13は、例えば画像認識によって、物体を判別してよい。識別部13は、例えばパターンマッチングなどの各種技術によって、物体を判別してよい。識別部13は、各種物体の画像に対応付けられた各種物体の情報に基づいて、物体を判別してよい。各種物体の画像に対応付けられた各種物体の情報は、例えば記憶部15に記憶されていてもよいし、通信部120を介して例えば外部サーバなどに問い合わせてもよい。識別部13は、例えばAI(Artificial Intelligence)の技術に基づいて、物体を判別してもよい。識別部13は、例えば機械学習(さらにはディープラーニング)の技術に基づいて、物体を判別してもよい。
【0042】
例えば、移動体200の自動運転中に、移動体200の前を歩行者が横切ろうとしたとする。この場合、移動体200は、所定の距離以内に歩行者を検出したことに基づいて、自動運転の制御によってブレーキをかけて停止することが想定される。この場合、識別部13は、移動体200の前を横切ろうとした歩行者を、移動体200が停止した原因となる対象物として識別してよい。また、例えば、移動体200の自動運転中に、移動体200の前を自転車が横切ろうとしたとする。この場合、移動体200は、所定の距離以内に自転車を検出したことに基づいて、自動運転の制御によってブレーキをかけて停止することが想定される。この場合、識別部13は、移動体200の前を横切ろうとした自転車を、移動体200が停止した原因となる対象物として識別してよい。識別部13が、停止原因となる対象物を特定できない場合、監視者に対して移動体200の撮像部210が撮像した映像を提供し、監視者に停止の原因を特定させてもよい。停止の原因は、複数あってもよい。
【0043】
識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別する場合、移動体200の電子機器が識別した対象物の情報を、情報取得部12が取得してもよい。また、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別する場合、移動体200の撮像部210が撮像した映像を映像取得部11が取得して、当該映像に基づいて識別部13が識別してもよい。
【0044】
映像生成部14は、映像取得部11が取得した映像に基づく所定の映像を生成して出力する。一実施形態において、映像生成部14は、重畳映像を生成してよい。ここで、重畳映像とは、映像取得部11が取得する映像に、移動体200の停止原因となる対象物の、時間経過に伴い態様が変化した画像を、所定の時間ごとに重ねた映像である。映像生成部14が生成する重畳映像については、さらに後述する。映像取得部11が取得した映像、及び/又は、映像生成部14が生成する重畳映像を目視することにより、監視施設の監視者は、移動体200を監視することができる。
【0045】
映像生成部14によって生成される映像は、表示部130に出力されてよい。表示部130は、映像生成部14から映像を供給されることにより、映像生成部14によって生成される映像を表示することができる。表示部130に表示される映像を目視することにより、監視施設の監視者は、移動体200とその周囲を監視することができる。
【0046】
記憶部15は、各種の情報を記憶するメモリとしての機能を有してよい。記憶部15は、例えば監視支援装置10において実行されるプログラム、及び、監視支援装置10の少なくとも一部において実行された処理の結果などを記憶してよい。記憶部15は、各種の情報を記憶するデータベースとしての機能を有してもよい。また、記憶部15は、監視支援装置10の少なくとも一部のワークメモリとして機能してよい。記憶部15は、例えば半導体メモリ等により構成することができるが、これに限定されず、任意の記憶装置とすることができる。例えば、記憶部15は、一実施形態に係る監視支援装置10に挿入されたメモリカードのような記憶媒体としてもよい。また、記憶部15は、監視支援装置10の少なくとも一部において用いられるCPUの内部メモリであってもよいし、監視支援装置10の少なくとも一部に別体として接続されるものとしてもよい。
【0047】
図2に示す監視支援システム1において、通信部120及び表示部130は、監視支援装置10とは別の機能部として示してある。しかしながら、一実施形態に係る監視支援装置10は、通信部120及び表示部130の少なくとも一方を備えてもよい。
【0048】
次に、一実施形態に係る監視支援システム1の使用態様について説明する。図3及び図4は、一実施形態に係る監視支援システム1の使用態様を例示する図である。図3及び図4は、例えば監視施設などに設置された監視支援システム1を使用して、監視者WAが移動体200などの監視を行う様子を概略的に示している。
【0049】
図3及び図4に示すように、監視支援システム1を使用する監視者WAは、表示部130を目視することにより、移動体200などの監視を行うことができる。移動体200などの監視には、移動体そのものだけでなく、その周囲の監視を含んでよい。図3及び図4は、監視者WAが表示部130を目視する様子を示してある。表示部130は、例えば、移動体から撮影される映像(各移動体から送信される映像)を表示するとともに、監視支援装置10から出力される映像を表示することができる。監視支援装置10から出力される映像とは、例えば種々のガイドとなる表示を含んでよい。
【0050】
図3及び図4に示すように、表示部130は、画面130A、画面130B、画面130C、及び画面130Dなどのように、複数の表示画面を有してよい。例えば、画面130A、画面130B、画面130C、及び画面130Dは、それぞれ別の移動体から撮像される映像を表示してよい。例えば、画面130A、画面130B、画面130C、及び画面130Dは、それぞれ同一の移動体から撮像される、異なる映像を表示してもよい。例えば、画面130Aは、移動体200を監視するのに用いられてよい。また、画面130Bは、移動体200とは異なる他の移動体を監視するのに用いられてよい。画面130Cは、前述の移動体とは異なるさらに他の移動体を監視するのに用いられてよい。図3及び図4においては、例として、画面130A、画面130B、画面130C、及び画面130Dの4画面を示してある。しかしながら、表示部130は、1つ以上の任意の数の画面を表示させてよい。このような表示部130を使用することで、監視者WAは、複数の移動体などを監視することができる。
【0051】
図3及び図4に示す画面130Aは、例えば移動体200の監視に用いられるものとしてよい。画面130Aは、移動体200に設置された撮像部210によって撮影された映像を示している。図3及び図4に示すように、画面130Aには、撮像部210によって撮影された移動体200の前方の映像として、移動体200の一部(前部)が表示されているとともに、移動体200の前方の風景(景色)が表示されている。また、画面130Aには、移動体200の前方の道路として、直進する道路と右折する道路との分岐(T字路)が表示されている。
【0052】
例えば、監視支援システム1で複数の移動体を監視している監視者WAのもとに、自動運転していた移動体200が緊急停止した旨が通知されたとする。このように、移動体200が緊急停止した旨の通知は、例えば移動体200から通知されてもよいし、移動体200の自動運転システムなどから通知されてもよい。また、移動体200が緊急停止した旨は、例えば表示部130上に何らかの表示を行うことにより、監視者WAに注意喚起してもよい。例えば、移動体200が緊急停止した際、画面130Aが一瞬明るくフラッシュ表示されてもよいし、画面130Aの周囲が赤いワクで囲まれてもよいし、画面130Aのどこかに注意を促すオブジェクトを表示してもよい。
【0053】
監視者WAは、移動体200が緊急停止した旨を認識したら、画面130Aを目視することにより、移動体200の周囲の状況を確認する。図3に示す表示部130上には、緊急停止した移動体200の前方に歩行者Pが表示されている。このような状況を確認することで、監視者WAは、移動体200が緊急停止した原因は、歩行者Pであることを把握することができる。例えば、歩行者Pは、道路を歩いて横断しようとしていたとする。この場合、監視者WAは、歩行者Pが道路を横断し終わるまで、移動体200に停止するよう指示することができる。例えば、監視者WAは、移動体200の自動運転の制御部に指示してもよいし、移動体200の運転者に指示してもよい。また、監視者WAは、移動体200の自動運転を遠隔制御により引き継いで、歩行者Pが道路を横断し終わった後で、移動体200を遠隔操縦してもよい。
【0054】
監視者WAは、歩行者Pが道路を横断し終わるのを待つ間、移動体200以外の他の移動体の監視を行うことができる。例えば、監視者WAは、画面130B又は画面130Cなどを目視して、移動体200以外の他の移動体の状況を確認することができる。このようにして時間が経過した後で、監視者WAは、再び移動体200の周囲の状況の確認に戻ったとする。この時、歩行者Pが道路を横断し終わっていたとする。この場合、監視者WAが画面130Aを目視すると、図4に示すように、既に歩行者Pは画面130Aに表示されていない。
【0055】
監視者WAは、他の状況に注意を傾けていたため、時間が経過して再び図4に示す画面130Aを目視しても、歩行者Pが原因となって移動体200が緊急停止した旨を、即座に認識できない(思い出せない)ことも想定される。すなわち、図4に示す画面130Aを目視しても、監視者WAは、移動体200が運転再開してよい安全な状況なのか、一見して把握することができない。
【0056】
また、監視者WAは、図4に示す画面130Aを目視しても、移動体200が緊急停止する前に、移動体200が直進しようとしていたのか右折しようとしていたのか把握できないことも想定される。すなわち、図4に示す画面130Aを目視しても、監視者WAは、例えば移動体200の自動運転を遠隔操縦で引き継ぐ場合に、もともと予定されていた進路を一見して把握することができない。
【0057】
そこで、一実施形態に係る監視支援装置10は、以上のような観点において、移動体の交通状況を監視する人員(監視者)の負担を軽減するための支援措置を講ずる。すなわち、一実施形態に係る監視支援装置10は、移動体が停止した場合に、当該停止の原因になった状況を、監視者に容易に把握させることができる。また、一実施形態に係る監視支援装置10は、移動体が停止した場合に、当該停止以前に予定されていた移動体の進路を、監視者に容易に把握させることができる。
【0058】
以下、一実施形態に係る監視支援装置10の動作について説明する。図5は、一実施形態に係る監視支援装置10の動作を説明するフローチャートである。図5は、典型的には、移動体200が道路を走行している状態において実行されることを想定した、監視支援装置10の動作としてよい。
【0059】
図5に示す動作は、図1に示すような移動体200が自動運転により走行している場面において開始するものとしてよい。図5に示す動作が開始する時点で、監視支援装置10は、通信部120を介して、移動体200(の通信部220)と通信可能な状態とする。また、図5に示す動作が開始する時点で、移動体200の撮像部210は移動体200の前方の映像を撮像しており、映像取得部11は撮像部210が撮像する映像を取得しているものとする。また、図5に示す動作が開始する時点で、情報取得部12は移動体200における各種の情報を取得しているものとしてもよい。
【0060】
図5に示す動作が開始すると、監視支援装置10は、移動体200が停止したか否か判定する(ステップS11)。典型的な例として、移動体200は、図6Aに示すように、移動体200の前方から所定の距離に、例えば歩行者Pのような物体を検出した場合、移動体200を停止させてよい。監視支援装置10は、情報取得部12が取得する情報に基づいて、移動体200が停止したか否か判定してよい。例えば、監視支援装置10は、情報取得部12が移動体200のECUなどから取得する情報に基づいて、移動体200が停止したか否か判定してよい。また、監視支援装置10は、情報取得部12が移動体200の自動運転に関連する各種機能部などから取得する情報に基づいて、移動体200が停止したか否か判定してよい。
【0061】
ステップS11において移動体200が停止したと判定すると、識別部13は、移動体200の停止原因となる対象物を識別する(ステップS12)。ステップS12において、識別部13は、映像取得部11が取得する映像に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別してよい。例えば図6Aに示す状況において、識別部13は、歩行者Pを、移動体200の停止原因となる対象物として識別してよい。ステップS12において、移動体200の自動運転に関連する機能部が移動体200の停止原因となる対象物を識別した場合、情報取得部12は、このようにして識別された結果を移動体200から取得してもよい。また、ステップS12において、移動体200の停止原因となる対象物が識別されたら、監視支援装置10は、その対象物の位置を、記憶部15に記憶してもよい。ここで、対象物の位置とは、映像取得部11が取得する映像において、移動体200の停止原因となる対象物が存在する位置としてよい。
【0062】
ステップS12において対象物が識別されたら、映像生成部14は、移動体200の停止原因となる対象物の位置を示すオブジェクトを表示した映像を生成する(ステップS13)。ステップS13において、移動体200の停止原因となる対象物の位置を示すオブジェクトとは、当該位置に存在する対象物が原因となって移動体200が停止したことを監視者WAに注意喚起するために示す、任意のオブジェクトとしてよい。すなわち、監視者WAは、このオブジェクトを目視することにより、当該オブジェクトの位置に存在する対象物が原因で移動体200が停止した旨を容易に把握することができる。このように、一実施形態において、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別した時に、映像生成部14は、その対象物の位置を示すオブジェクトが表示された映像を生成してよい。
【0063】
ステップS13において生成されたオブジェクトを表示した画像が監視支援装置10から出力されると、表示部130は、例えば図6Bの画面130Aに示すような画面を表示してよい。図6Bの画面130Aにおいて、移動体200の停止原因となる対象物(歩行者P)の位置を示すオブジェクトOB1が表示されている。このオブジェクトOB1は、任意の形状、任意の色、任意の表示態様のものとしてよい。オブジェクトOB1は、移動体200の停止原因を監視者WAに注意喚起するために、例えば歩行者Pの周囲を赤色の長方形などの枠で囲んで示すものとしてよい。
【0064】
ステップS13の次に、監視支援装置10は、映像取得部11が取得する映像において、まだ移動体200の停止原因となる対象物が存在するか否か判定する(ステップS14)。ステップS14において、例えば、識別部13は、映像取得部11が取得する映像において、移動体200の停止原因となる対象物をまだ識別しているか否か判定してもよい。
【0065】
ステップS14において対象物がまだ存在する場合、監視支援装置10は、所定時間ごとに、当該対象物の位置を例えば記憶部15に記憶する(ステップS15)。ここで、対象物の位置とは、映像取得部11が取得する映像において、移動体200の停止原因となる対象物が存在する位置としてよい。ステップS15において、所定時間とは、例えば1秒ごとなど、任意の時間としてよい。例えば、所定時間は、移動体200の停止原因となる対象物の動き(位置の移動)が把握できる程度の時間としてよい。所定の時間は、例えば、対象物の種類、及び/又は対象物の移動速度に応じて異なる値を決定してよい。例えば、対象物が高速で移動する場合には、低速で移動する対象物の場合より短い時間を所定の時間としてよい。例えば、識別部が識別した対象物が高速で移動する物体(例えば車両、オートバイ等)の場合には、低速で移動する物体(歩行者)の場合より短い時間を所定の時間としてよい。
【0066】
ステップS15において対象物の位置が記憶されたら、監視支援装置10は、ステップS13に戻って動作を繰り返してよい。ステップS15を経てステップS13の動作を行う時点で、移動体200の停止原因となる対象物の位置が移動した場合、映像生成部14は、その時点における最新の位置を示すオブジェクトを表示する映像を生成してよい。
【0067】
このように、ステップS13からステップS15までのループによって、監視支援装置10は、図6Bから図6Eまでにおいて示す画面130Aのような映像を出力することができる。図6Bから図6Eまでに示すように、画面130Aにおいて、歩行者Pは、右から左に向かって道路を歩いて横断している。この時、監視支援装置10は、移動する歩行者P(移動体200の停止原因となる対象物)の位置を示すために、オブジェクトOB1を歩行者Pの移動に追従させて、画面130Aに表示する。このように、映像生成部14は、移動体200の停止原因となる対象物の位置の移動に追従するオブジェクトOB1が表示された映像を生成してよい。
【0068】
図6Bから図6Eまでに示す画面130AにおけるオブジェクトOB1(及び歩行者Pの映像)を目視することで、監視者WAは、移動体200の停止原因となる対象物がまだ存在することを容易に把握できる。
【0069】
図6Fは、図6Bから図6Eまでに示した状況の次の時点の状況を示す図である。図6Fは、図6Bから図6Eまで歩行者Pが移動した後に、さらに歩行者Pが移動したため、映像取得部11が取得する映像において、もはや歩行者Pが存在していない様子を示している。
【0070】
上述のように、例えば移動体200とは異なる他の移動体の対応をした後で、移動体200の監視を再開しようとした監視者WAが、図6Fに示す画面130Aを目視しても、移動体200の停止原因となる対象物を容易に把握することはできない。また、例えば、監視者WAが、移動体200の開始を開始した時に、最初に図6Fに示すような画面130Aを目視しても、移動体200の現在の状況を容易に把握することはできない。さらに、監視者WAが移動体200の運転を引き継いて遠隔操縦する場合、図6Fに示す画面130Aを目視しても、移動体200が停止する前に前進する予定であったのか右折する予定であったのか、容易に把握することはできない。
【0071】
そこで、一実施形態に係る監視支援装置10は、ステップS14において対象物がもはや存在しないと判定された場合、ステップS16の動作を行う。ステップS14では、映像取得部11が取得する映像において移動体200の停止原因となる対象物が撮像されていない場合、監視支援装置10は、対象物がもはや存在しないと判定してもよい。また、ステップS14において、識別部13は、映像取得部11が取得する映像において、移動体200の停止原因となる対象物を識別しなくなった場合、対象物がもはや存在しないと判定してもよい。
【0072】
ステップS16において、映像取得部11は、移動体200が停止した際の停止原因となる対象物の位置を、現在の映像において示すオブジェクトを表示する映像を生成してよい。ここで、移動体200が停止した際の停止原因となる対象物の位置とは、例えば、ステップS13で最初に認識された対象物の位置としてよい。すなわち、ステップS16における対象物の位置を示すオブジェクトとは、移動体200の停止原因となった対象物が最初に識別された位置を示すオブジェクトとしてよい。
【0073】
ステップS16において生成されたオブジェクトを表示した画像が監視支援装置10から出力されると、表示部130は、例えば図7の画面130Aに示すオブジェクトOB2が表示されるものとしてよい。このオブジェクトOB2は、任意の形状、任意の色、任意の表示態様のものとしてよい。また、オブジェクトOB2は、ステップS13において言及したオブジェクトOB1(図6B乃至図6E)とは異なる表示態様のオブジェクトとしてよい。オブジェクトOB2は、移動体200の停止原因となった対象物がもともと存在した位置を示しつつ、当該対象物はすでに画面内に存在しないことを示すオブジェクトとしてよい。オブジェクトOB2は、移動体200の停止原因が既に存在しない旨を監視者WAに注意喚起するために、例えば歩行者Pの周囲を青色又は緑色の長方形などの枠で囲んで示すものとしてよい。
【0074】
このように、映像生成部14は、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別した際の当該対象物の位置を示すオブジェクトOB2が現在の映像に表示された映像を生成してもよい。また、映像生成部14は、映像取得部11が取得する映像に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別していた識別部13が当該対象物を識別しなくなる時に、前述の動作を実行してもよい。
【0075】
ステップS16においてオブジェクトOB2を表示した映像が生成されたら、映像生成部14は、ステップS17の動作を行う。ステップS17において、映像生成部14は、対象物の表示態様を変更して、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別した時から現在に至るまでの間、所定時間経過するごとの対象物の位置を示す映像を生成する(ステップS17)。映像生成部14は、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別した時から所定期間経過するまでの間、所定時間経過するごとの対象物の位置を示す映像を生成してよい。映像生成部14は、識別部13が移動体200の停止原因となる対象物を識別した時から画面内に存在しなくなるまでの間、所定時間経過するごとの対象物の位置を示す映像を生成してもよい。映像生成部14は、識別部13が移動体200の停止原因となると識別した対象物が画面内に存在しなくなる時から所定の期間過去までの間について、所定時間経過するごとの対象物の位置を示す映像を生成してもよい。映像生成部14は、識別部13が移動体200の停止原因となると識別した対象物が画面内に存在している所定の期間の間、所定時間経過するごとの対象物の位置を示す映像を生成してもよい。ここで、所定時間ごとの対象物の位置とは、例えば、ステップS15において記憶部15に記憶された対象物の位置としてよい。すなわち、ステップS17において、映像生成部14は、例えば図6Bから図6Eまでに示したような、所定時間ごとの対象物の位置を示す映像を生成する。ここで、移動体200の停止原因となる対象物が既に存在していない映像において、当該対象物の映像を重ねて表示すると、監視者WAは、当該対象の映像が現実に存在するものなのか、仮想的なものなのか、区別しにくくなるおそれがある。したがって、ステップS17において、映像生成部14は、例えば対象物を半透明にするような画像処理を適宜行った後で、所定時間ごとの対象物の位置を示す映像を生成してよい。例えば、映像生成部14は、図6Bから図6Eまでに示したような対象物のそれぞれの位置に、図6Bから図6Eまでに示したような対象物(歩行者P)の映像とは異なる表示態様の映像を、重ねて表示してよい。
【0076】
例えば、映像生成部14は、図7に示す歩行者の映像Qのように、歩行者Pの映像を半透明にして示してもよい。また、映像生成部14は、図7に示す歩行者の映像Qとは異なる表示態様で、例えば、歩行者Pの映像の外枠のみを示したり、歩行者Pの映像をグレイアウトして示したりしてもよい。
【0077】
このように、映像生成部14は、映像取得部11が取得する映像に、移動体200の停止原因となる対象物の表示態様を変更した画像を、所定の時間ごとに重ねる重畳映像を生成してよい。また、映像生成部14は、前述の重畳映像として、映像取得部11が取得する現在の映像に、移動体200の停止原因となる対象物の映像を例えば半透明化した画像を重ねる映像を生成してもよい。映像生成部14は、映像取得部11が取得する映像に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別していた識別部13が当該対象物を識別しなくなる時に、前述のような重畳映像を生成してもよい。
【0078】
図7に示す画面130Aを目視することで、監視者WAは、移動体200の停止原因となった対象物がもともとオブジェクトOB2の位置に存在したことを容易に把握することができる。また、監視者WAは、図6Bから図6Eまでに示したようなオブジェクトOB1を目視することで、移動体200の停止原因となった対象物がまだ画面130Aに存在することを容易に把握することができる。すなわち、監視者WAは、図6Bから図6Eまでに示したようなオブジェクトOB1を目視することにより、現時点で移動体200の運転を再開するのは危険である旨を容易に把握することができる。
【0079】
一方、監視者WAは、図6Bから図6Eまでに示したようなオブジェクトOB1ではなく図7に示すオブジェクトOB2を目視することで、移動体200の停止原因となった対象物がもはや画面130Aに存在しないことを容易に把握することができる。さらに、監視者WAは、図7に示す歩行者の映像Qを目視することで、既に画面130Aに存在しない対象物が、どのような経緯で画面130Aに存在しなくなったのか、その経緯を容易に把握することができる。このように、監視者WAは、図7に示す画面130Aを目視することにより、移動体200は運転再開しても安全である旨を容易に把握することができる。
【0080】
一実施形態において、映像生成部14は、ステップ17の動作の後に、さらにステップS18の動作を実行してもよい。すなわち、ステップS18において、映像生成部14は、もともと予定されていた進路を示すオブジェクトが表示された映像を生成してもよい。
【0081】
例えば、移動体200が自動運転されていた場合、情報取得部12は、ステップS11において移動体200が停止する前の段階で、今後予定されている進路の情報を入手することができる。また、移動体200がカーナビゲーションシステムに従って走行していた場合も、情報取得部12は、ステップS11において移動体200が停止する前の段階で、今後予定されている進路の情報を入手することができる。
【0082】
したがって、ステップS14において対象物がもはや存在しないと判定された場合、映像生成部14は、移動体200が停止した時点から先に予定されていた進路を示すオブジェクトを表示してよい(ステップS18)。
【0083】
図8は、図7に示した画面130Aにおいて、移動体200が停止した時点から先に予定されていた進路を示すオブジェクトOB3をさらに示した様子を示す図である。図8に示すように、オブジェクトOB3は、移動体200の進むべき道路を把握しやすい態様で表示してよい。オブジェクトOB3は、進路を示すオブジェクトとして、任意の大きさ、任意の形状、任意の色、任意の表示態様のものとしてよい。図7に示す画面130AのオブジェクトOB3を目視することで、監視者WAは、停止した移動体200の運転を再開する際の進路を容易に把握することができる。
【0084】
このように、映像生成部14は、移動体200の予定されていた進路を示すオブジェクトOB3が表示された映像を生成してもよい。また、映像生成部14は、映像取得部11が取得する映像に基づいて、移動体200の停止原因となる対象物を識別していた識別部13が当該対象物を識別しなくなる時に、前述の動作を実行してもよい。
【0085】
以上説明したように、一実施形態に係る監視支援装置10は、移動体が停止した場合に、当該停止の原因になった状況を、監視者に容易に把握させることができる。また、一実施形態に係る監視支援装置10は、移動体が停止した場合に、当該停止以前に予定されていた移動体の進路を、監視者に容易に把握させることができる。したがって、一実施形態に係る監視支援装置10は、移動体の交通状況を監視する人員の負担を軽減することができる。
【0086】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0087】
また、上述した実施形態は、例えば、上述した監視支援装置のような電子機器の制御方法として実施してもよい。さらに、上述した実施形態は、例えば、上述した監視支援装置を含むシステムとして実施してもよい。例えば、上述した実施形態は、監視支援装置10、通信部120、及び表示部130を含む監視支援システムとして実施してもよい。この場合、表示部130は、監視支援装置10の映像生成部14が生成する映像を表示してよい。また、監視支援システムは、通信部120に代えて、又は通信部120とともに、映像を撮像する撮像部210をさらに含んでもよい。また、上述した実施形態は、例えば、上述した監視支援装置又は監視支援システムによって実行されるプログラムとして実施してもよい。さらに、上述した実施形態は、例えば、上述した監視支援装置又は監視支援システムによって実行されるプログラムを記録した記録媒体、すなわちコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実施してもよい。
【0088】
上述した実施形態をプログラムとして実施する場合、当該プログラムは、
コンピュータに、
移動体から撮像される映像を取得する映像取得ステップと、
前記移動体の停止原因となる対象物の情報を取得する識別ステップと、
前記映像取得ステップで取得する映像に、所定の期間における、前記対象物の位置を示す画像を表示させた、重畳映像を生成する映像生成ステップと、
を実行させるものとしてよい。
【符号の説明】
【0089】
1 監視支援システム
10 監視支援装置
11 映像取得部
12 情報取得部
13 識別部
14 映像生成部
15 記憶部
120 通信部
130 表示部
200 移動体
210 撮像部
220 通信部
300 遠隔制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8