(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061112
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/02 20060101AFI20240425BHJP
E02F 9/12 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E02F9/02 Z
E02F9/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168838
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 秀和
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓郁
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏一
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015DA00
(57)【要約】
【課題】上部体の機器配置の簡素化および上部体のコンパクト化を図る。
【解決手段】本発明に係る作業用車両1は、走行装置10を有する下部体2と、旋回可能な上部体3と、油圧により作動する作業装置12、14と、走行用制御バルブ70Aおよび作業用制御バルブ70Bの両方または一方と、下部体2と上部体3との連結部分に配設されるスリップリング付スイベルジョイント64と、を備え、走行用制御バルブ70Aおよび作業用制御バルブ70Bの全部または一部が、ソレノイドにより作動するソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、下部体2に配設されており、ソレノイドの制御を行うコントローラ62が、ロワーフレーム28に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロワーフレームに走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回ベアリングを介して旋回可能に配設された上部体と、前記下部体もしくは前記上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備える作業用車両であって、
前記走行装置の制御を行う1個もしくは複数個の走行用制御バルブ、ならびに、前記作業装置の制御を行う1個もしくは複数個の作業用制御バルブ、の両方または一方と、
前記下部体と前記上部体との連結部分に配設されて、作動油および電気信号の中継を行うスリップリング付スイベルジョイントと、を備え、
前記走行用制御バルブおよび前記作業用制御バルブの全部または一部が、ソレノイドにより作動するソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、前記下部体に配設されており、
前記ソレノイドの制御を行うコントローラが、前記ロワーフレームに固定されて設けられていること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記コントローラは、一部もしくは全部が、前記旋回ベアリングの内周面より径方向内側で、且つ、前記スリップリング付スイベルジョイントの外周面より径方向外側となる位置に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記コントローラは、上端部が、前記ロワーフレームの上部プレートよりも上方となるように配置されていること
を特徴とする請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記走行装置は、前後に2輪ずつ配置された4輪の走行輪を有し、
前記走行用制御バルブの一つとして、前記走行輪のうち前後いずれかの2輪による操舵と前後の4輪による操舵との切替を行う操舵制御バルブが、前記ソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、前記下部体に配設されていること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、ロワーフレームに走行用のタイヤもしくはクローラが取付けられた下部体と、下部体の上に旋回可能に配設された上部体と、下部体もしくは上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備えるエクスカベータ、クレーン等が従来より知られている。
【0003】
上記の作業用車両に関し、下部体と上部体とが旋回ベアリングを介して連結されると共に、当該連結部分において旋回可能に油圧配管を中継するスイベルジョイントが設けられる構成が知られている(特許文献1:特開2020-153135号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の作業用車両においては、機器配置の簡素化、および車両のコンパクト化が恒常的な課題として存在する。仮に、上部体に配設される走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを下部体に配設することができれば、上部体に搭載される機器を減らすことができるため、上部体の機器配置の簡素化、上部体のコンパクト化を図ることができる。しかしながら、従来より、走行用制御バルブおよび作業用制御バルブには、パイロット油圧により作動するパイロット式バルブが多用されてきた。そのため、それらのバルブを下部体に配設した場合には、スイベルジョイントのポート数が増加し、その結果スイベルジョイント自体も大型化し、さらに、下部体に設けられる油圧配管が増加および複雑化するという課題が生じ得る。その結果、4輪操舵機構等に例示されるオプション機能の設定が制限されるという課題も生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、スイベルジョイントのポート数の増加および大型化、ならびに下部体の油圧配管の増加および複雑化を抑制しつつ、走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを下部体に配設する構成を実現し、上部体の機器配置の簡素化および上部体のコンパクト化を可能とする作業用車両を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る作業用車両は、ロワーフレームに走行装置が取付けられた下部体と、前記下部体の上に旋回ベアリングを介して旋回可能に配設された上部体と、前記下部体もしくは前記上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備える作業用車両であって、前記走行装置の制御を行う1個もしくは複数個の走行用制御バルブ、ならびに、前記作業装置の制御を行う1個もしくは複数個の作業用制御バルブ、の両方または一方と、前記下部体と前記上部体との連結部分に配設されて、作動油および電気信号の中継を行うスリップリング付スイベルジョイントと、を備え、前記走行用制御バルブおよび前記作業用制御バルブの全部または一部が、ソレノイドにより作動するソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、前記下部体に配設されており、前記ソレノイドの制御を行うコントローラが、前記ロワーフレームに固定されて設けられていることを要件とする。
【0009】
上記の構成によれば、スリップリング付スイベルジョイントのポート数の増加および大型化、ならびに下部体の油圧配管の増加および複雑化を抑制しつつ、走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを下部体に配設する構成を実現することができる。
【0010】
また、前記コントローラは、一部もしくは全部が、前記旋回ベアリングの内周面より径方向内側で、且つ、前記スリップリング付スイベルジョイントの外周面より径方向外側となる位置に配置されていることが好ましい。上記の構成によれば、コントローラが水没するリスク、およびコントローラに水が進入するリスクを低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクを低減することができる。
【0011】
また、前記コントローラは、上端部が、前記ロワーフレームの上部プレートよりも上方となるように配置されていることが好ましい。上記の構成によれば、コントローラが水没するリスク、およびコントローラに水が進入するリスクをより一層低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクをより一層低減することができる。
【0012】
また、前記走行装置は、前後に2輪ずつ配置された4輪の走行輪を有し、前記走行用制御バルブの一つとして、前記走行輪のうち前後いずれかの2輪による操舵と前後の4輪による操舵との切替を行う操舵制御バルブが、前記ソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、前記下部体に配設されていることが好ましい。上記の構成によれば、スリップリング付スイベルジョイントの大型化、および、下部体に設けられる油圧配管の増加と複雑化を抑制しつつ、高機能の作業用車両を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スリップリング付スイベルジョイントのポート数の増加および大型化、ならびに下部体の油圧配管の増加および複雑化を抑制しつつ、走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを下部体に配設する構成を実現することができる。したがって、上部体の機器配置の簡素化および上部体のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、上部体と下部体との連結部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左前部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。作業用車両1として、エクスカベータを例に挙げて説明する。ただし、作業用車両1は、エクスカベータに限定されるものではない。
【0017】
図1に示すように、作業用車両1は、ロワーフレーム28に走行装置10が取付けられた下部体2を備えている。作業用車両1は、下部体2の上に旋回ベアリング30を介して旋回可能に配設された上部体3を備えている。作業用車両1は、下部体2や上部体3に取付けられて油圧により作動する作業装置12、14を備えている。ここで、
図2Aに、上部体3の概略図(中央部下方からの斜視図)を示す。
図2Bに、旋回ベアリング30の概略図(側面図)を示す。
図2Cに、下部体2の概略図(中央部上方からの斜視図)を示す。
【0018】
旋回ベアリング30は、下部体2に取付けられる下部体側ベアリング30A(本実施形態においては、ベアリングを構成する「内輪」が該当する)と、上部体3に取付けられる上部体側ベアリング30B(本実施形態においては、ベアリングを構成する「外輪」が該当する)と、を備えている。本実施形態においては、下部体側ベアリング30Aは、下部体2の上部に設けられるベアリング支持部28B(詳細は後述)に固定(一例として、ボルト固定)される。一方、上部体側ベアリング30Bは、上部体3の下部に設けられるベアリング固定部21に固定(一例として、ボルト固定)される。旋回ベアリング30は、下部体側ベアリング30Aと上部体側ベアリング30Bとが、軸心Cを一致させた状態で、相互に回動可能に組み合わされている。旋回ベアリング30によって、上部体3は、下部体2に対して旋回可能となる。
【0019】
下部体2のロワーフレーム28は、上部に設けられる上部プレート28Aと、上部プレート28Aから上方に突設されるベアリング支持部28Bと、を備えている。上部プレート28Aは、板状材料を用いて上面28Aaが平面状に形成されている。ベアリング支持部28Bは、径方向の中央に空間部を有する略環状に形成されている。また、ベアリング支持部28Bは、下部体側ベアリング30Aが固定される位置よりも径方向内側にグリスを保持させるグリス保持部28Baを備えている。
【0020】
上部体3は、前部側に作業者(オペレータ)が乗車して走行や作業の操作を行う操縦室(キャビンもしくはキャノピー)16を備えている。上部体3は、作業者の操作に応じて走行装置10および作業装置12、14の制御を行う制御装置60を備えている。上部体3は、後部側に駆動源(本実施形態においては、エンジン)18が収容される機器室20を備えている。ただし、駆動源18はエンジンに限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、エンジンに代えて、もしくは、エンジンと共に、バッテリー駆動の電気モータを備える構成としてもよい(不図示)。
【0021】
走行装置10の例として、前後に2輪ずつ配置された4輪の走行輪26を備えている。走行輪26は、ホイール26Aの外周にタイヤ26Bが嵌設されている(シングル式、ダブル式の両方の場合がある)。ただし、走行装置10は、走行輪26に限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、走行輪26に代えて無限軌道(クローラ)を備える構成としてもよい(不図示)。
【0022】
走行輪26は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動される。なお、上記の走行油圧モータは油圧によって作動する。当該油圧を発生させる油圧ポンプ(不図示)は、上部体3に配設される。当該油圧ポンプは、駆動源18によって駆動される。すなわち、上記の走行装置10は、当該油圧ポンプから送出される圧油を受けて作動する。
【0023】
下部体2は、各走行輪26の上方を覆うマッドガード80を備えている(
図5参照)。一例として、マッドガード80は、略2分の1程度の外周長を有する円筒状に形成されている。各マッドガード80は、前部および後部のそれぞれに周方向と直交して配設される棒状の支持部材82を備えている。支持部材82は、ロワーフレーム28側の端部が、ボルト86を用いて固定部材84に固定されている。固定部材84は、走行輪26の車軸支持部に固定されている。
【0024】
上記の構成により、下部体2に対して上部体3がどの旋回位置にある場合であっても、ボルト86を緩めれば、マッドガード80が上部体3に当たってしまうことなく水平方向に引き出して取外すことが可能となる。したがって、マッドガードを上下方向に着脱する構成の従来の作業用車両において、上部体の旋回位置によってはマッドガードが当たってしまって取外せない場合が生じていた課題の解決を図ることができる。
【0025】
作業装置12の例として、排土板22、およびアウトリガー24を備えている。排土板22は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部体2に取付けられている。アウトリガー24は、左右に張出して接地可能に下部体2に取付けられている。排土板22は、油圧シリンダ32によって駆動される。アウトリガー24は、油圧シリンダ34によって駆動される。ただし、作業装置12は、上記の構成に限定されるものではない。
【0026】
作業装置14の例として、ブーム42、アーム44、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)46を備えている。ただし、アタッチメント46はバケットに限定されるものではない。ブーム42は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部体3に取付けられている。ただし、ブーム42は、上記の構成に限定されるものではない。ブームブラケット48は省略されてもよい。本実施形態においては、上部体3とブーム42との間にブームブラケット48が設けられている。ブームブラケット48によって、ブーム42は上部体3に対して左右(前後成分を含む)に揺動可能となる。なお、ブームブラケット48は省略されてもよい。アーム44は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム42に取付けられている。アタッチメント46は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム44に取付けられている。ブーム42は、油圧シリンダ52によって駆動される。アーム44は、油圧シリンダ54によって駆動される。アタッチメント46は、油圧シリンダ56によって駆動される。ただし、作業装置14は、上記の構成に限定されるものではない。
【0027】
上記の各油圧シリンダは油圧によって作動する。当該油圧を発生させる油圧ポンプ(不図示)は、上部体3に配設される。当該油圧ポンプは、駆動源18によって駆動される。すなわち、上記の作業装置12、14は、当該油圧ポンプから送出される圧油を受けて作動する。
【0028】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(エクスカベータ)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0029】
前述の通り、作業用車両1は、特に上部体3において、機器配置の簡素化、および車両のコンパクト化が求められている。走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを下部体2に配設する構成が実現できれば、上部体3に搭載される機器を減らすことができる。
【0030】
本実施形態に係る作業用車両1は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
【0031】
作業用車両1は、走行装置10の制御を行う走行用制御バルブ70Aを下部体2に備えている(仕様に応じて1個もしくは複数個、または、0個)。作業用車両1は、作業装置12の制御を行う作業用制御バルブ70Bを下部体2に備えている(仕様に応じて1個もしくは複数個、または、0個)。作業用車両1は、作業装置14の制御を行う作業用制御バルブ(不図示)を上部体3に備えている(仕様に応じて1個もしくは複数個)。
【0032】
上記の構成により、走行用制御バルブ70Aおよび作業用制御バルブ70Bが下部体2に配設される。したがって、上部体3に搭載される機器を減らすことができるため、上部体3における機器配置の簡素化、および、上部体3のコンパクト化を図ることができる。
【0033】
しかしながら、従来の作業用車両は、走行用制御バルブおよび作業用制御バルブとして、パイロット油圧により作動するパイロット式バルブが多用されてきた。したがって、パイロット式バルブで構成された走行用制御バルブおよび作業用制御バルブを、下部体2に配設する構成とした場合、以下の課題が発生する。第1に、スイベルジョイントのポート数が増加してしまう課題である。第2に、スイベルジョイントが大型化してしまう課題である。第3に、下部体2に設けられる油圧配管が増加および複雑化してしまう課題である。
【0034】
本実施形態に係る作業用車両1は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
図3は、上部体3と下部体2との連結部分の側面断面図である。
図4は、作業用車両1の底面図である。
【0035】
作業用車両1は、走行用制御バルブ70Aの例として、以下の制御バルブを備えている(仕様に応じて省略もできる)。走行輪26のうち前後いずれかの2輪による操舵と前後の4輪による操舵との切替を行う操舵制御バルブを備えている。これにより、4輪操舵機構を実現できる。走行油圧モータ(不図示)の変速を行う変速制御バルブを備えている。走行輪26のディファレンシャルギア(不図示)のロックとアンロックとの切替を行うデフロック制御バルブを備えている。これにより、デフロック機構を実現できる。走行輪26の車軸を揺動させるラムシリンダ(不図示)のロックとアンロックとの切替を行うラムロック制御バルブを備えている。これにより、ラムロック機構を実現できる。
【0036】
作業用車両1は、作業用制御バルブ70Bの例として、以下の制御バルブを備えている(仕様に応じて省略もできる)。排土板22の駆動とアウトリガー24の駆動との切替を行う作業装置制御バルブを備えている。
【0037】
本実施形態において、下部体2に配置される全ての(一部でもよい)走行用制御バルブ70Aおよび作業用制御バルブ70Bは、ソレノイドにより作動するソレノイド式バルブを用いて構成されている。上記のソレノイド式バルブを用いて構成され、且つ、下部体2に配置された制御バルブを、以下、制御バルブ70Xと称して区別する。
【0038】
作業用車両1は、下部体2と上部体3との連結部分に、スリップリング付スイベルジョイント64が配設されている。スリップリング付スイベルジョイント64は、上部体3の油圧ポンプと下部体2の制御バルブ70Xとの間で、作動油の中継を行う。
【0039】
ソレノイド式バルブは、パイロット式バルブと比較して、パイロット油圧配管を省略できる。したがって、スリップリング付スイベルジョイント64のポート数が増加してしまう課題を解決できる。また、スリップリング付スイベルジョイント64が大型化してしまう課題を解決できる。また、下部体2に設けられる油圧配管が増加および複雑化してしまう課題を解決できる。
【0040】
このように、スリップリング付スイベルジョイント64の大型化、および、下部体2に設けられる油圧配管の増加と複雑化を抑制しつつ、高機能の作業用車両1を実現できる。
【0041】
ここで、制御バルブ70Xのソレノイドの制御を行うコントローラ62を上部体3に設けた場合、スリップリング付スイベルジョイント64における、スリップリング部の電気配線が増加および複雑化してしまうという課題が生じ得る。その一方で、コントローラ62を下部体2に設けた場合、走行中もしくは作業中に、コントローラ62が水没するリスク、コントローラ62に水が進入するリスク、および、飛び石や、土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクが高くなってしまうという課題が生じ得る。
【0042】
本実施形態に係る作業用車両1は、上記課題を解決するため、以下の構成を備える。
【0043】
制御バルブ70Xのソレノイドの制御を行うコントローラ62は、下部体2(スリップリング付スイベルジョイント64よりも電気信号配線における末端側(制御バルブ70X側))に配設されている。この構成により、スリップリング付スイベルジョイント64における、スリップリング部の電気配線が増加および複雑化してしまうという課題が解決できる。
【0044】
コントローラ62は、ステー66を介してロワーフレーム28に固定されている。一例として、コントローラ62は、ステー66を介してロワーフレーム28のベアリング支持部28B(具体的には、グリス保持部28Baの下面)に固定されている。この構成により、コントローラ62が水没するリスク、および、コントローラ62に水が進入するリスクを低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクを低減することができる。
【0045】
特に、コントローラ62は、上下方向における一部もしくは全部が、側面視で下部体側ベアリング30Aの内周面より径方向内側となる位置で、且つ、スリップリング付スイベルジョイント64の外周面より径方向外側となる位置に配置されていることが好ましい。この構成により、コントローラ62が水没するリスク、および、コントローラ62に水が進入するリスクをさらに低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクをさらに低減することができる。
【0046】
特に、コントローラ62は、上端部62aが、側面視で下部体2を構成するロワーフレーム28の上部プレート28A(具体的には、上面28Aa)よりも上方となるように配置されていることが好ましい。この構成により、コントローラ62が水没するリスク、および、コントローラ62に水が進入するリスクをさらに一層低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラが損傷するリスクをさらに一層低減することができる。
【0047】
以上説明した通り、上記の作業用車両1によれば、スリップリング付スイベルジョイント64のポート数の増加および大型化、ならびに下部体2の油圧配管の増加および複雑化を抑制しつつ、走行用制御バルブ70Aおよび作業用制御バルブ70Bを下部体2に配設する構成を実現することができる。したがって、上部体3の機器配置の簡素化および上部体3のコンパクト化を図ることができる。また、4輪操舵機構、デフロック機構、ラムロック機構等に例示される高機能化を図ることができる。
【0048】
上記の作業用車両1によれば、スリップリング付スイベルジョイント64における、スリップリング部の電気配線が増加および複雑化してしまうという課題が解決できる。また、コントローラ62が水没するリスク、および、コントローラ62に水が進入するリスクを低減することができる。また、走行中における飛び石、あるいは、作業中における土石、木片、木屑等の衝突によってコントローラ62が損傷するリスクを低減することができる。
【0049】
本発明は、上記の実施形態(エクスカベータ)に限定されるものではない。本発明は、下部体に対して上部体が旋回する作業用車両(クレーン、高所作業車等)に対して同様に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 作業用車両
2 下部体
3 上部体
10 走行装置
12、14 作業装置
26 走行輪
28 ロワーフレーム
30 旋回ベアリング
30A 下部体側ベアリング
30B 上部体側ベアリング
62 コントローラ
64 スリップリング付スイベルジョイント
70A、70X 走行用制御バルブ
70B、70X 作業用制御バルブ