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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061114
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20240425BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E02F9/16 E
E02F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168840
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 一毅
(72)【発明者】
【氏名】石合 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】坂牧 和広
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015EA03
2D015EA05
2D015GA01
2D015GB04
2D015GB06
(57)【要約】
【課題】清掃性および組付け性に優れると共に、軽量で簡素な構造によって撓み防止が可能なルーフガードを備える作業用車両を提供する。
【解決手段】操縦室16にルーフガード70が設けられる作業用車両1であって、ルーフガード70は、操縦室16の上面前方に固定される枠体72と、枠体72の後フレーム72dに対して上下方向に回動可能に蝶着される前部ガード74と、枠体72の後フレーム72dに対して前部110が固定される後部ガード76と、を備え、枠体72と前部ガード74とは、スライドステー100によって接続され、スライドステー100は、枠体72と前部ガード74との最大開口位置を規制すると共に、最大開口位置において、開口状態を保持可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦室にルーフガードが設けられる作業用車両であって、
前記ルーフガードは、前記操縦室の上面前方に固定される枠体と、前記枠体の後フレームに対して上下方向に回動可能に蝶着される前部ガードと、前記枠体の前記後フレームに対して前部が固定される後部ガードと、を備え、
前記枠体と前記前部ガードとは、スライドステーによって接続され、
前記スライドステーは、前記枠体と前記前部ガードとの最大開口位置を規制すると共に、前記最大開口位置において、開口状態を保持可能であること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記前部ガードを回動させる一対の回動連結部材が前記枠体の前記後フレームに設けられており、
前記回動連結部材は、補強部材を介して前記前部ガードに固定されていること
を特徴とする請求項1記載の作業用車両。
【請求項3】
前記後部ガードの前記前部は、前記回動連結部材間において、前記枠体の前記後フレームに対して固定部材もしくは溶接によって固定されていること
を特徴とする請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
閉口状態において、前記枠体の前記後フレームに蝶着されていない側の前記前部ガードの端部は、固定部材によって前記枠体に固定されること
を特徴とする請求項3に記載の作業用車両。
【請求項5】
前記枠体と前記前部ガードとの接触面には、衝撃吸収用の弾性体が取付けられていること
を特徴とする請求項4に記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により作動する作業装置を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、走行用のタイヤもしくはクローラが取付けられた下部体と、下部体の上に配設された上部体と、下部体もしくは上部体に取付けられて油圧により作動する作業装置を備えるエクスカベータ、ローダ等が従来より知られている。
【0003】
上記のような作業用車両には、岩石の落下等から操縦室を保護するためのルーフガードが設けられる。ルーフガードは、操縦室の上部にボルト等の固定部材によって固定されており、清掃やメンテナンスの際には、全ての固定部材を取り外してルーフガードごと取り外す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-109658号公報
【特許文献2】特許5393850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開平8-109658号公報参照)には、操縦室に固設された左右一対のブラケットに対してルーフガードの上端両端部が軸着され、前後方向に回動可能なルーフガードが開示されている。この構成によれば、ワンタッチでルーフガードを開閉できるため、清掃の度に固定部材を脱着する手間がかからない。しかし、ルーフガードの開閉による負荷、クリープ、落下物による衝撃等により天井が撓んでしまうという課題があった。また、ガスシリンダによってルーフガードの開口が保持されるため、ガスシリンダに不具合が生じた場合、ルーフガードを支えきれず、挟まれ事故につながる恐れがあった。また、操縦室の上面に部品を直接取付けるため、組付け性が悪いという課題があった。
【0006】
特許文献1に対し、特許文献2(特許5393850号公報参照)には、操縦室の上面に固定フレームが固設され、固定フレームに対して開閉ガード部が回動可能に取付けられるルーフガードが開示されている。この構成によれば、天井の撓み防止効果を高められるものの、固定フレームの撓みを防止するため、固定フレームを堅牢な構造とする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、清掃性および組付け性に優れると共に、軽量で簡素な構造によって撓み防止が可能なルーフガードを備える作業用車両を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る作業用車両は、操縦室にルーフガードが設けられる作業用車両であって、前記ルーフガードは、前記操縦室の上面前方に固定される枠体と、前記枠体の後フレームに対して上下方向に回動可能に蝶着される前部ガードと、前記枠体の前記後フレームに対して前部が固定される後部ガードと、を備え、前記枠体と前記前部ガードとは、スライドステーによって接続され、前記スライドステーは、前記枠体と前記前部ガードとの最大開口位置を規制すると共に、前記最大開口位置において、開口状態を保持可能であることを要件とする。
【0010】
上記の構成によれば、回動により前部ガードの一端を持ち上げることで開口できるため、清掃性が向上する。また、前部ガードを最大開口位置まで持ち上げると、スライドステーによって開口状態が自動でロックされるため、前部ガードによる挟まれ事故を防止できる。また、操作室の上面に枠体を介して前部ガードを配設することで、前部ガード取付け時の手間のかかる位置決めが不要となるため、組付け性が向上する。また、軽量で簡素な構造によって後フレームの撓みを抑制することができる。
【0011】
また、前記前部ガードを回動させる一対の回動連結部材が前記枠体の前記後フレームに設けられており、前記回動連結部材は、補強部材を介して前記前部ガードに固定されていることが好ましい。
【0012】
また、前記後部ガードの前記前部は、前記回動連結部材間において、前記枠体の前記後フレームに対して固定部材もしくは溶接によって固定されていることが好ましい。
【0013】
また、閉口状態において、前記枠体の前記後フレームに蝶着されていない側の前記前部ガードの端部は、固定部材によって前記枠体に固定されることが好ましい。
【0014】
また、前記枠体と前記前部ガードとの接触面には、衝撃吸収用の弾性体が取付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、清掃性および組付け性に優れると共に、軽量で簡素な構造によって撓み防止が可能なルーフガードを備える作業用車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す斜視図である。
図2図2Aは、図1の作業用車両のルーフガードの閉口状態を示す斜視図である。図2Bは、図1の作業用車両のルーフガードの開口状態を示す斜視図である。
図3図3は、ルーフガードの平面図である。
図4図4は、ルーフガードの下方からの斜視図である。
図5図5は、図2AのV部の拡大図である。
図6図6は、図3のVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左前部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。作業用車両1として、エクスカベータを例に挙げて説明する。ただし、作業用車両1は、エクスカベータに限定されるものではない。
【0019】
図1に示すように、作業用車両1は、走行装置10が取付けられた下部体2を備えている。作業用車両1は、下部体2の上に旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に配設された上部体3を備えている。作業用車両1は、下部体2や上部体3に取付けられて油圧により作動する作業装置12、14を備えている。
【0020】
上部体3は、前部側に作業者(オペレータ)が乗車して走行や作業の操作を行う操縦室(キャビンもしくはキャノピー)16を備えている。上部体3は、作業者の操作に応じて走行装置10および作業装置12、14の制御を行う制御装置60を備えている。上部体3は、後部側に駆動源(本実施形態においては、エンジン)18が収容される機器室20を備えている。ただし、駆動源18はエンジンに限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、エンジンに代えて、もしくは、エンジンと共に、バッテリー駆動の電気モータを備える構成としてもよい(不図示)。
【0021】
走行装置10の例として、前後に2輪ずつ配置された4輪の走行輪26を備えている。走行輪26は、ホイール26Aの外周にタイヤ26Bが嵌設されている(シングル式、ダブル式の両方の場合がある)。ただし、走行装置10は、走行輪26に限定されるものではない。変形例として、作業用車両1は、走行輪26に代えて無限軌道(クローラ)を備える構成としてもよい(不図示)。
【0022】
走行輪26は、走行油圧モータ(不図示)によって駆動される。なお、上記の走行油圧モータは油圧によって作動する。当該油圧を発生させる油圧ポンプ(不図示)は、上部体3に配設される。当該油圧ポンプは、駆動源18によって駆動される。すなわち、上記の走行装置10は、当該油圧ポンプから送出される圧油を受けて作動する。
【0023】
作業装置12の例として、排土板22を備えている。排土板22は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に下部体2に取付けられている。排土板22は、油圧シリンダ32によって駆動される。ただし、作業装置12は、上記の構成に限定されるものではない。
【0024】
作業装置14の例として、ブーム42、アーム44、およびアタッチメント(本実施形態においては、バケット)46を備えている。ただし、アタッチメント46はバケットに限定されるものではない。ブーム42は、上下(前後成分を含む)に揺動可能に上部体3に取付けられている。本実施形態においては、上部体3とブーム42との間にブームブラケット48が設けられている。ブームブラケット48によって、ブーム42は上部体3に対して左右(前後成分を含む)に揺動可能となる。なお、ブームブラケット48は省略されてもよい。アーム44は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にブーム42に取付けられている。アタッチメント46は、上下(前後成分を含む)に揺動可能にアーム44に取付けられている。ブーム42は、油圧シリンダ52によって駆動される。アーム44は、油圧シリンダ54によって駆動される。アタッチメント46は、油圧シリンダ56によって駆動される。ただし、作業装置14は、上記の構成に限定されるものではない。
【0025】
上記の各油圧シリンダは油圧によって作動する。当該油圧を発生させる油圧ポンプ(不図示)は、上部体3に配設される。当該油圧ポンプは、駆動源18によって駆動される。すなわち、上記の作業装置12、14は、当該油圧ポンプから送出される圧油を受けて作動する。
【0026】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構については、公知の作業用車両(エクスカベータ)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0027】
続いて、本実施形態に特徴的なルーフガード70について詳しく説明する。図1に示すように、ルーフガード70は、操縦室16の上面に設けられ、岩石の落下等から操縦室16を保護するものである。なお、ここでいう操縦室16の「上面」とは、操縦室16のサイドフレーム16aの上端部分と、サイドフレーム16aを横架する前面上部フレーム16bおよび背面上部フレーム16cと、これらのフレームに張り渡された天井と、の総称である。
【0028】
ルーフガード70は、枠体72、前部ガード74、および後部ガード76を備えている。
【0029】
枠体72は、図3および図4に示すように、左フレーム72a、右フレーム72b、前フレーム72c、および後フレーム72dの四辺からなる平面視略矩形状の枠体である。なお、作業用車両1が天窓を備える場合は、平面視で天窓の外縁部と略一致させて枠体72が形成される。
【0030】
左フレーム72aおよび右フレーム72bは、一枚の金属板を用いて操縦室16の上面の形状に沿うように前方側の端部(以下、前端という)が下側に折り曲げられて形成されている。左フレーム72aおよび右フレーム72bの前端には、固定部材(例えば、ボルト等)80が挿通される貫通孔80aが穿設されている。また、左フレーム72aおよび右フレーム72bの後端には、固定部材(例えば、ボルト等)82が挿通される貫通孔82aが穿設されている。
【0031】
前フレーム72cは、一枚の金属板を用いて左フレーム72aおよび右フレーム72bの前端同士を横架するように配設されている。
【0032】
後フレーム72dは、一枚の金属板を用いて左フレーム72aおよび右フレーム72bの後端同士を架設するように配設されている。後フレーム72dの左右方向における両端には、固定部材80が挿通される貫通孔80aが穿設されている。また、貫通孔80aのすぐ内側には、固定部材82が挿通される貫通孔82aが穿設されている。また、貫通孔82aの内側には、回動連結部材(例えば、ヒンジ等)86が蝶着される幅広部が前方向に突出して形成されており、幅広部には、固定部材(例えば、ボルト等)88が挿通される貫通孔88aが穿設されている。さらに、幅広部の内側(すなわち、一対の回動連結部材86間)には、固定部材(例えば、ボルト等)84が挿通される少なくとも一つ(本実施形態においては三つ)の貫通孔84aが穿設されている。
【0033】
本実施形態においては、前フレーム72cおよび後フレーム72dは、左フレーム72aおよび右フレーム72bに夫々溶接されて枠体72として一体的に形成されている。ただし、枠体72は、金型を用いた一体成型や、その他の公知の成形方法によって形成されてもよい。
【0034】
前部ガード74は、複数のリブ90が左右方向に一定間隔で連結された格子状のガード部材である。前部ガード74は、枠体72の上方に配設され、回動連結部材86によって後フレーム72dに対して上下方向に回動可能に蝶着されている。
【0035】
具体的に、後フレーム72dは、幅広部に穿設された貫通孔88aと回動連結部材86の後端とに固定部材88が挿通されて回動連結部材86が接合されている。他方、前部ガード74は、図6に示すように、後部に下向きに開口する側面視U字状の補強部材94を有し、補強部材94は、凹状部に補強ブロック96を有し、回動連結部材86の前端が補強ブロック96に溶接されている。また、補強部材94の下方には、側面視L字状の補強部材98が溶接されており、補強部材94、98が角筒構造となるように形成されている。これによれば、前部ガード74と回動連結部材86との接合部を補強できると共に、後端が切り欠かれたリブ90を補強部材94に載置して溶接することで、前部ガード74の強度を上げることができる。
【0036】
また、枠体72と前部ガード74とは、スライドステー100によって接続されている。具体的に、前部ガード74の右側面にアーム100aの一端が回動可能に取付けられると共に、右フレーム72b上に固着されたレール100bにアーム100aの他端が摺動可能に取付けられている。すなわち、前部ガード74の開閉に連動してアーム100aがレール100bを摺動すると共に、前部ガード74の開口範囲(最大開口位置)がレール100bによって規制される構成である。なお、スライドステー100は右フレーム72bに限らず、左フレーム72aもしくはその両方に設けてもよい。
【0037】
レール100bの最奥側(前部ガード74が最大開口となる位置)には、窪み100cが設けられており、アーム100aが窪み100cに落ち込むことで摺動が規制される。すなわち、前部ガード74が最大開口位置まで開口された際、スライドステー100に自動的にロックがかかり、最大開口位置において前部ガード74の開口状態が保持される構成である。これによれば、前部ガード74を再度持ち上げてロックを解除するまで開口状態が保持されるため、前部ガード74による挟まれ事故を防止できる。
【0038】
前部ガード74の前方側(後フレーム72dに蝶着されていない側)端部の両側面には、ブラケット120が形成されている。閉口状態において、ブラケット120と、左フレーム72aおよび右フレーム72bに溶接等によって固着された係止部材122と、に固定部材(例えば、ボルト等)124が挿通されることで、前部ガード74が枠体72に対して固定されている。前部ガード74を開口するためには、固定部材124を取り外し、前部ガード74の前方に形成された取手92を持ち上げるだけで前部ガード74を開口することができる。これによれば、前部ガード74を開口する度に、ルーフガードを操縦室に固定している全ての固定部材を取り外す必要がないため、特に清掃工程を簡略化することができる。
【0039】
後部ガード76は、その下面に複数のリブが左右方向に一定間隔で連結された箱状のガード部材である。後部ガード76は、枠体72の後方に配設され、後部ガード76の前端に形成された前部110が後フレーム72dに対して固定されている。
【0040】
前部110は、後部ガード76に溶接された側面視L字状の一枚の金属板を用いて構成されており、その上面(L字の長尺面)の左右方向における両端には、固定部材82が挿通される貫通孔82aが穿設されている。また、貫通孔82aの内側には、回動連結部材86を回避するための凹部が形成されている。また、凹部の内側(すなわち、一対の回動連結部材86間)には、固定部材84が挿通される少なくとも一つ(本実施形態においては三つ)の貫通孔84aが穿設されている。
【0041】
前部110は、後フレーム72d上に重ねて配設され、左フレーム72a、右フレーム72b、後フレーム72d、および前部110に穿設された貫通孔82aに固定部材82が挿通されると共に、後フレーム72dおよび前部110に穿設された貫通孔84aに固定部材84が挿通されることで、枠体72と後部ガード76とがルーフガード70として一体的に組立てられる。このように、後フレーム72dが前部110によって押止され、さらに、回動連結部材86間が固定部材84によって締結されることで、後フレーム72dが補強され、前部ガード74の開閉による負荷、クリープ、落下物による衝撃等による撓みを防止することができる。また、従来技術のように枠体(固定フレーム)を堅牢(大きく、重い)な構成としたり、操縦室16に新たなフレームを配設したりする必要がなく、軽量で簡素な構造のルーフガードとすることができる。なお、後フレーム72dと前部110とは、貫通孔84aを穿設せず、溶接によって接合されてもよい。
【0042】
操縦室16の上面(具体的に、サイドフレーム16a、前面上部フレーム16b、および背面上部フレーム16cのフレーム部分)には、左フレーム72a、右フレーム72b、後フレーム72d、および後部ガード76の後方両側面に形成されたブラケット112に穿設された貫通孔80aに対応する係止部材(不図示)が溶接等によって固着されており、貫通孔80aに固定部材80が挿通されることで操縦室16の上面にルーフガード70が固定される。このように、予め一体的に組立てられたルーフガード70が操縦室16に取付けられるため、回動連結部材86やスライドステー100との細かな位置決め等の手間のかかる作業が不要となり、組付け性が向上する。
【0043】
本実施形態において、左フレーム72aおよび右フレーム72bの表面には、弾性体130(例えば、エラストマー等)が取付けられており、前部ガード74の左右両側面には、弾性体130と接触する受け部132が形成されている。これによれば、前部ガード74を閉口する際、前部ガード74と枠体72とが衝突して発生する衝撃を抑制することができる。また、枠体72を介することで、操縦室16の上面へ伝わる衝撃を分散することができる。
【0044】
以上説明した通り、上記の作業用車両によれば、清掃性および組付け性に優れると共に、軽量で簡素な構造によって撓み防止が可能なルーフガードを実現することができる。
【0045】
本発明は、上記の実施形態(エクスカベータ)に限定されるものではない。本発明は、その他の作業用車両(ローダ、キャリア等)に対して同様に適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 作業用車両
2 下部体
3 上部体
10 走行装置
12、14 作業装置
16 操縦室
70 ルーフガード
72 枠体
74 前部ガード
76 後部ガード
図1
図2
図3
図4
図5
図6