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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006112
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20240110BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240110BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60W30/02
G08G1/16 F
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106701
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】山崎 達郎
(72)【発明者】
【氏名】時崎 淳平
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA16
3D241BA55
3D241BA60
3D241BA70
3D241BC01
3D241CE04
3D241CE05
3D241DD07Z
3D241DD10Z
5H181AA01
5H181BB15
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保する。
【解決手段】乗員を撮像する撮像装置100と、撮像された画像から車載機器を操作している乗員を判定する操作乗員判定装置200と、車両の外部情報を取得する外部情報取得装置300と、取得された外部情報に基づいて、車両に対するリスクを判定するリスク判定装置400と、判定されたリスクに基づいて、車載機器の操作を無効化する機器操作無効化装置500と、乗員に与える加速度を制御する加速度制御装置600と、を備え、車載機器を操作している乗員が運転者ではない場合に、車載機器の操作を無効化せず、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を撮像する撮像装置と、
該撮像された画像から車載機器を操作している前記乗員を判定する操作乗員判定装置と、
外部情報を取得する外部情報取得装置と、
該取得された前記外部情報に基づいて、リスクを判定するリスク判定装置と、
前記車載機器の操作を無効化する機器操作無効化装置と、
前記乗員に与える加速度を制御する加速度制御装置と、
を備え、
前記操作乗員判定装置によって、前記車載機器を操作している前記乗員が運転者ではないと判定された場合に、前記機器操作無効化装置は、前記車載機器の操作を無効化せず、前記加速度制御装置は、前記乗員に与える前記加速度を抑制するよう制御を実行することを特徴とする車両。
【請求項2】
前記撮像された前記画像から前記運転者の視線方向を検出し、前記運転者の脇見を検出する脇見検出装置をさらに備え、
前記脇見検出装置によって、前記運転者の脇見が検出された場合であっても、前記機器操作無効化装置は、前記車載機器の操作を無効化せず、前記加速度制御装置は、前記乗員に与える加速度を抑制するよう制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記脇見検出装置により、前記運転者の脇見が検出された場合には、前記運転者に対する脇見警報を発しないことを特徴とする請求項2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両には、カーナビゲーションシステムやオーディオ機器などの様々な車載機器が搭載されており、快適な走行環境を演出している。
【0003】
ところが、車両前方のコンソール等に収納された、これらの車載機器を走行中に運転者が、操作する場合には、運転者の視線を車両の進行方向から、こうした車載機器へと移すこととなる。
また、助手席の乗員が上記のような車載機器を操作する場合においても、前傾姿勢の状態で、操作を行うことになるために、助手席の乗員に対する安全性が損なわれる。
そのため、自車両の近くにリスクが存在している場合には、乗員の車載機器に対する操作を禁止する技術も提供されている。
【0004】
しかしながら、上記技術のように、乗員によるカーナビゲーションシステム等への操作が走行中に全くできなくなってしまうと、走行中に目的地やルートの変更を行うことができず、乗員の利便性が損なわれてしまうという問題がある。
【0005】
上記のような問題に対して、車両の車速が所定値以上であるときは、操作無効化制御部からカーナビゲーションシステムに操作無効化信号が出力され、カーナビゲーションシステムの操作を無効化する。一方で、カーナビゲーションシステムに操作無効化信号が出力されているときであっても、リスク判定結果に基づいた運転操作の支援制御の実行中であって、かつ、車両のリスクの予測判定結果が車両のリスクが所定時間経過までに増大しないとするものである場合は、操作有効化制御部からカーナビゲーションシステムに操作有効化信号が出力され、カーナビゲーションシステムの操作を許可する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-118518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、乗員の操作を有効とする条件として、車両のリスクの予測判定結果が所定時間経過までに増大しないことが前提となっている。
そのため、上記所定時間の経過前に、急激にリスクが増大した場合には、突然、助手席の乗員によるカーナビゲーションシステムへの操作が無効とされるばかりか、助手席の乗員の安全を損なう場合も想定され、助手席の乗員の利便性および安全性を損なう虞があるという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、車載機器を操作している乗員が運転者ではない場合には、車載機器の操作を無効化せず、同時に、乗員にかかる加速度を抑制する制御を行うことによって、安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、乗員を撮像する撮像装置と、該撮像された画像から車載機器を操作している前記乗員を判定する操作乗員判定装置と、外部情報を取得する外部情報取得装置と、該取得された前記外部情報に基づいて、リスクを判定するリスク判定装置と、前記車載機器の操作を無効化する機器操作無効化装置と、前記乗員に与える加速度を制御する加速度制御装置と、を備え、前記操作乗員判定装置によって、前記車載機器を操作している前記乗員が運転者ではないと判定された場合に、前記機器操作無効化装置は、前記車載機器の操作を無効化せず、前記加速度制御装置は、前記乗員に与える前記加速度を抑制するよう制御を実行することを特徴とする車両を提案している。
【0010】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記撮像された前記画像から前記運転者の視線方向を検出し、前記運転者の脇見を検出する脇見検出装置をさらに備え、前記脇見検出装置によって、前記運転者の脇見が検出された場合であっても、前記機器操作無効化装置は、前記車載機器の操作を無効化せず、前記加速度制御装置は、前記乗員に与える加速度を抑制するよう制御を実行することを特徴とする車両を提案している。
【0011】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記脇見検出装置により、前記運転者の脇見が検出された場合には、前記運転者に対する脇見警報を発しないことを特徴とする車両を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、車載機器を操作している乗員が運転者ではない場合には、車載機器の操作を無効化せず、同時に、乗員にかかる加速度を抑制する制御を行うことによって、安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両の電気的構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る車両の電気的構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る車両の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図1から図6を用いて説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1から図3を用いて、本実施形態に係る車両1について説明する。
【0016】
<車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る車両1は、撮像装置100と、操作乗員判定装置200と、外部情報取得装置300と、リスク判定装置400と、機器操作無効化装置500と、加速度制御装置600と、制御装置700と、を含んで構成されている。
【0017】
撮像装置100は、車両1内の乗員を撮像する。
撮像装置100は、例えば、車両1の内部前方に設けられ、車両1の車室内を撮像するカメラであり、所定時間間隔(例えば、4ミリ秒)で、車室内の運転者、助手席の乗員を含む乗員の挙動を撮像する。
撮像装置100は、夜間においても乗員の挙動を撮像できるよう赤外線カメラであること、あるいは、一般的なカメラに赤外線カメラを併設することが好ましい。
なお、撮像装置100において撮像された画像は、後述する操作乗員判定装置200に送信される。
【0018】
操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員を判定する。
操作乗員判定装置200は、例えば、撮像装置100において撮像された画像から画像処理によって乗員を抽出し、抽出された乗員の時系列的な画像情報に基づいて、抽出された乗員の挙動を把握して、車載機器を操作している乗員を判定する。
【0019】
外部情報取得装置300は、車両1の外部情報を取得する。
外部情報取得装置300は、例えば、車両1の前方部に設けられた2台のフロントカメラ等で構成され、所定時間間隔で、車両1の外部を撮像して、画像データとしての外部情報を取得する。
外部情報取得装置300は、車両1のフロントガラス付近の車室内に設置され、車両1の前方の画像を撮像することに加えて、車両1の側方あるいは後方に配置され、車両1の側方の画像あるいは、車両1の後方の画像を撮像する撮像装置を併設してもよい。
【0020】
リスク判定装置400は、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクを判定する。
リスク判定装置400は、例えば、外部情報取得装置300から取得した画像データを解析して得られた外部情報に基づいて車両1のリスクを判定する。
より具体的には、リスク判定装置400は、外部情報取得装置300が取得した画像データに基づいて、車両1の走行方向に存在する先行車両や歩行者、障害物の有無、車両1から該障害物までの距離、車線に対する車両1の走行方向などを判別する。
また、リスク判定装置400は、図示しない車両の状態を検出する装置等が取得したモーメントデータ、および舵角データ等に基づいて、車両1のリスクを判定するようにしてもよい。
なお、リスク判定装置400によるリスク判定には、既に顕在化しているリスクだけでなく、例えば、進路の先に車両や歩行者の飛び出し等による事故の発生確率が高い地点が存在するような場合のリスク発生の可能性を含む。
リスク判定装置400は、取得したモーメントデータに基づいて、車両1に作用するヨー、ピッチ、ロール等のモーメントの種別とモーメントの強弱を判別するとともに、舵角データや、モーメントの強弱またはこれらの組み合わせに基づいて車両1の舵角を判別して、画像データ、モーメントデータ、および舵角データに基づいて判別した各情報を用いて、総合的に車両1のリスクを判定してもよい。
【0021】
機器操作無効化装置500は、車載機器の操作を無効化する。
ここで、機器操作無効化装置500における車載機器の操作を無効化する判断指標としてのリスクとしては、例えば、「車両1が所定以上の車速で走行している」状況等を例示することができる。
なお、無効化の方法としては、車載機器の入力画面表示を維持しつつ、乗員の入力を受け付けないようにしてもよいし、車載機器の入力画面表示を行わないようにしてもよい。
【0022】
加速度制御装置600は、乗員に与える加速度を制御する。
加速度制御装置600は、運転支援制御装置の一部であり、例えば、ブレーキタイミングの早期化制御、ブレーキ強度の低減制御、加速の鈍化制御、車間距離の増加制御、シフトダウンによる減速制御等を行い、乗員に与える加速度を制御する。
【0023】
制御装置700は、所謂、ECU(Electronic Control Unit)であって、図示しないROM(Read Only Memory)等に格納された制御プログラムに従って、上記の各種装置の動作を制御する。
制御装置700は、本実施形態においては、操作乗員判定装置200によって、車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定された場合に、機器操作無効化装置500に対して、車載機器の操作を無効化しないよう制御し、加速度制御装置600に対して、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行させる。
【0024】
<車両1の処理>
図2図3を用いて、本実施形態に係る車両1の処理について説明する。
【0025】
図2に示すように、リスク判定装置400は、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが存在するのか、リスクが発生する可能性が有るか否かを判定する(ステップS110)。
【0026】
リスク判定装置400は、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが有ると判定する場合(ステップS110の「YES」)には、その旨を操作乗員判定装置200に通知する。
【0027】
操作乗員判定装置200は、リスク判定装置400から外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが有る旨の通知を受け取ると、撮像された画像から車載機器(ナビゲーションシステム)を操作している乗員が運転者か否かを判定する(ステップS120)。
【0028】
操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、その旨を制御装置700に通知する。
また、操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0029】
制御装置700は、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者であるとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者による車載機器の操作を無効化するように制御して処理を終了する(ステップS130)。
【0030】
一方、制御装置700は、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者ではないとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者以外の乗員による車載機器の操作を無効化しないように制御して処理を終了する(ステップS140)。
【0031】
そして、制御装置700は、乗員に与える加速度を抑制するよう加速度制御装置600に対して、制御を実行して処理を終了する(ステップS150)。
【0032】
また、ステップS110において、リスク判定装置400が、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが無いと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、リスク判定装置400は、その旨を操作乗員判定装置200に通知する。
【0033】
操作乗員判定装置200は、リスク判定装置400から外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが無い旨の通知を受け取ると、撮像された画像から車載機器(ナビゲーションシステム)を操作している乗員が運転者であるか否かを判定する(ステップS160)。
【0034】
操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者であると判定した場合(ステップS160の「YES」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0035】
制御装置700が、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者であるとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者による車載機器の操作を無効化するように制御して処理を終了する(ステップS170)。
【0036】
一方で、ステップS160において、操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定した場合(ステップS170の「NO」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0037】
制御装置700が、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者ではないとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者以外の乗員による車載機器の操作を有効化するように制御する(ステップS180)。
【0038】
そして、制御装置700は、乗員に与える加速度を抑制するよう加速度制御装置600に対して、制御を実行して処理を終了する(ステップS190)。
【0039】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1は、外部情報に基づいて、該撮像された画像から車載機器を操作している乗員を判定する操作乗員判定装置200と、車両1に対するリスクを判定するリスク判定装置400と、判定されたリスクに基づいて、車載機器の操作を無効化する機器操作無効化装置500と、乗員に与える加速度を制御する加速度制御装置600と、を含み、操作乗員判定装置200によって、車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定された場合に、機器操作無効化装置500は、車載機器の操作を無効化せず、加速度制御装置600は、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行する。
つまり、車両1は、車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定された場合には、運転者以外の乗員による車載機器の操作を無効化せず、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行する。
そのため、安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保することができる。
【0040】
<変形例1>
本実施形態においては、リスク判定装置400によるリスク判定には、既に顕在化しているリスクだけでなく、例えば、進路の先に車両や歩行者の飛び出し等による事故の発生確率が高い地点が存在するような場合のリスク発生の可能性を含む。そのため、既に顕在化しているリスクが存在しなくても、自動ブレーキ制御が発動される可能性がある場合には、運転者以外の乗員による車載機器の操作を自動ブレーキ制御が発動される前に、無効化するようにしてもよい。
【0041】
<第2の実施形態>
図4から図6を用いて、本実施形態に係る車両1Aについて説明する。
【0042】
<車両1Aの構成>
図4に示すように、本実施形態に係る車両1Aは、撮像装置100と、操作乗員判定装置200と、外部情報取得装置300と、リスク判定装置400と、機器操作無効化装置500と、加速度制御装置600と、制御装置700Aと、脇見検出装置800と、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は、省略する。
【0043】
制御装置700Aは、操作乗員判定装置200によって、車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定され、かつ、後述する脇見検出装置800によって、運転者の脇見が検出された場合であっても、機器操作無効化装置500に対して、車載機器の操作を無効化しないよう制御し、加速度制御装置600に対して、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行させる。
【0044】
脇見検出装置800は、撮像装置100により撮像された画像から運転者の視線方向を検出し、運転者の脇見を検出する。
なお、脇見検出装置800により、運転者の脇見が検出された場合には、制御装置700Aは、運転者に対する脇見警報を発しないように制御する。
【0045】
<車両1Aの処理>
図5図6を用いて、本実施形態に係る車両1Aの処理について説明する。
【0046】
図5に示すように、リスク判定装置400は、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが存在するのか、リスクが発生する可能性が有るか否かを判定する(ステップS110)。
【0047】
リスク判定装置400は、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが有ると判定する場合(ステップS110の「YES」)には、その旨を操作乗員判定装置200に通知する。
【0048】
操作乗員判定装置200は、リスク判定装置400から外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが有る旨の通知を受け取ると、撮像された画像から車載機器(ナビゲーションシステム)を操作している乗員が運転者か否かを判定する(ステップS120)。
【0049】
操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者であると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0050】
脇見検出装置800は、撮像装置100により撮像された画像から運転者の視線方向を検出し、運転者の脇見を検出する(ステップS210)。そして、脇見検出装置800において、運転者の脇見が検出されなかった場合(ステップS210の「NO」)には、処理を元に戻して待機する。
【0051】
一方で、脇見検出装置800において、運転者の脇見が検出され場合(ステップS210の「YES」)には、その旨を制御装置700Aに出力する。
【0052】
制御装置700Aは、操作乗員判定装置200によって、車載機器を操作している乗員が運転者ではあると判定され、かつ、脇見検出装置800によって、運転者の脇見が検出された場合に、機器操作無効化装置500に対して、車載機器の操作を無効化するよう制御し、処理を終了する(ステップS130A)。
【0053】
また、操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、その旨を制御装置700Aに通知する。
【0054】
制御装置700Aは、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者ではないとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者以外の乗員による車載機器の操作を無効化しないように制御して処理を終了する(ステップS140)。
【0055】
そして、制御装置700は、乗員に与える加速度を抑制するよう加速度制御装置600に対して、制御を実行して処理を終了する(ステップS150)。
【0056】
また、ステップS110において、リスク判定装置400が、外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが無いと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、リスク判定装置400は、その旨を操作乗員判定装置200に通知する。
【0057】
操作乗員判定装置200は、リスク判定装置400から外部情報取得装置300において、取得された外部情報に基づいて、車両1に対するリスクが無い旨の通知を受け取ると、撮像された画像から車載機器(ナビゲーションシステム)を操作している乗員が運転者であるか否かを判定する(ステップS160)。
【0058】
操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者であると判定した場合(ステップS160の「YES」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0059】
脇見検出装置800は、撮像装置100により撮像された画像から運転者の視線方向を検出し、運転者の脇見を検出する(ステップS220)。そして、脇見検出装置800において、運転者の脇見が検出されなかった場合(ステップS220の「NO」)には、処理を元に戻して待機する。
【0060】
一方で、脇見検出装置800において、運転者の脇見が検出され場合(ステップS220の「YES」)には、その旨を制御装置700Aに出力する。
【0061】
制御装置700Aは、操作乗員判定装置200によって、車載機器を操作している乗員が運転者ではあると判定され、かつ、脇見検出装置800によって、運転者の脇見が検出された場合に、機器操作無効化装置500に対して、車載機器の操作を無効化するよう制御し、処理を終了する(ステップS170A)。
【0062】
一方で、ステップS160において、操作乗員判定装置200は、撮像された画像から車載機器を操作している乗員が運転者ではないと判定した場合(ステップS160の「NO」)には、その旨を制御装置700に通知する。
【0063】
制御装置700が、操作乗員判定装置200から車載機器を操作している乗員が運転者ではないとの通知を受け取ると、機器操作無効化装置500に対して、運転者以外の乗員による車載機器の操作を有効化するように制御する(ステップS180)。
【0064】
そして、制御装置700は、乗員に与える加速度を抑制するよう加速度制御装置600に対して、制御を実行して処理を終了する(ステップS190)。
【0065】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両1Aは、撮像された画像から運転者の視線方向を検出し、運転者の脇見を検出する脇見検出装置800をさらに備え、脇見検出装置800によって、運転者の脇見が検出された場合に、機器操作無効化装置500は、車載機器の操作を無効化せず、加速度制御装置600は、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行する。
つまり、制御の条件として、運転者の脇見の有無を加え、運転者の脇見が検出された場合であっても、運転者以外の乗員による車載機器の操作を無効化せず、加速度制御装置600は、乗員にかかる加速度を抑制するよう制御を実行する。
そのため、安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保することができる。
【0066】
また、本実施形態に係る車両1Aの制御装置700Aは、脇見検出装置800により、運転者の脇見が検出された場合には、運転者に対する脇見警報を発しない。
つまり、単に、脇見警報を発すると、運転者が前を向くタイミングによって、急ブレーキが発生する虞があり、乗員に対する安全性を十分に確保できない場面も想定される。
そのため、制御装置700Aは、脇見検出装置800により、運転者の脇見が検出された場合には、運転者に対する脇見警報を発しないとすることによって、安全性を確保しつつ、運転者以外の乗員による車載機器の操作に関する利便性を担保することができる。
【0067】
なお、操作乗員判定装置200、リスク判定装置400、加速度制御装置600、制御装置700、700A、脇見検出装置800等の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを操作乗員判定装置200、リスク判定装置400、加速度制御装置600、制御装置700、700A、脇見検出装置800等に読み込ませ、実行することによって本発明の車両1、1Aを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0068】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0069】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0070】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1;車両
1A;車両
100;撮像装置
200;操作乗員判定装置
300;外部情報取得装置
400;リスク判定装置
500;機器操作無効化装置
600;加速度制御装置
700;制御装置
700A;制御装置
800;脇見検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6