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特開2024-61123バーナ、これを備える燃焼器、及びこの燃焼器を備えるガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061123
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】バーナ、これを備える燃焼器、及びこの燃焼器を備えるガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/32 20060101AFI20240425BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240425BHJP
   F23D 14/48 20060101ALI20240425BHJP
   F23D 14/62 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
F23R3/32
F23R3/28 B
F23R3/28 D
F23D14/48 D
F23D14/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168852
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 明生
(72)【発明者】
【氏名】福場 信一
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017CA05
3K017CA06
3K017CB02
3K017CB09
3K017CE07
3K017CE08
3K017CF03
(57)【要約】
【課題】逆火を抑制しつつも、NOxの発生を抑える。
【解決手段】バーナは、混合空間が形成されている混合管と、前記混合空間内に配置されている燃料ノズルと、を備える。前記燃料ノズルは、前記混合空間の延在方向に延びているノズル本体と、前記ノズル本体の外周面から突出し前記混合管の内周面から離れている突出部と、を有する。前記ノズル本体は、前記燃料を前記混合空間内に噴出可能な燃料噴出口を有する。前記突出部は、前記ノズル本体を基準にして周方向に延びるに従って次第に前記延在方向における下流側に延びて、前記ノズル本体の周りに前記突出部の全体がスパイラル状に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の延在方向に延びて空気と燃料とを混合させる混合空間が形成されている混合管と、
前記延在方向に延びて、少なくとも一部が前記混合空間内に配置されている燃料ノズルと、
を備え、
前記混合管は、前記空気が前記混合空間内に流入可能な空気入口と、前記空気と燃料とが混合された予混合気体を前記混合空間から噴出可能な噴出口と、を有し、
前記噴出口は、前記延在方向における一方側である上流側と他方側である下流側とのうち、前記混合管の前記下流側の端に形成され、
前記燃料ノズルは、前記延在方向に延びているノズル本体と、前記ノズル本体の外周面から突出し前記混合管の内周面から離れている突出部と、を有し、
前記ノズル本体は、前記空気入口よりも前記下流側で且つ前記噴出口よりも前記上流側の位置から前記燃料を前記混合空間内に噴出可能な燃料噴出口を有し、
前記突出部は、前記ノズル本体を基準にして周方向に延びるに従って次第に前記下流側に延びて、前記ノズル本体の周りに前記突出部の全体がスパイラル状に形成されている、
バーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナにおいて、
前記突出部における前記ノズル本体の前記外周面から最大突出量は、前記ノズル本体の前記外周面の一部であって前記延在方向で前記突出部が存在している部分から前記混合管の前記内周面までの最小距離の半分以下である、
バーナ。
【請求項3】
請求項1に記載のバーナにおいて、
前記突出部における前記ノズル本体の前記外周面から最大突出量は、前記ノズル本体の前記外周面の一部であって前記延在方向で前記突出部が存在している部分から前記混合管の前記内周面までの最小距離の20%以下である、
バーナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバーナにおいて、
前記燃料噴出口は、前記ノズル本体の前記下流側の端に形成され、
前記突出部は、前記ノズル本体の外周面上であって前記ノズル本体の前記下流側の端から前記上流側に向かって所定範囲に形成されている、
バーナ。
【請求項5】
請求項4に記載のバーナにおいて、
前記突出部は、前記混合空間内にのみ形成されている、
バーナ。
【請求項6】
請求項5に記載のバーナにおいて、
前記混合空間は、前記延在方向に垂直な断面積が前記下流側に向かうに連れて次第に小さくなる縮面積部を有し、
前記縮面積部は、前記延在方向で前記突出部が存在する領域内に形成されている、
バーナ。
【請求項7】
請求項6に記載のバーナにおいて、
前記混合空間内で前記燃料ノズルを支持するノズルサポートを有し、
前記ノズルサポートは、前記延在方向で前記縮面積部が形成されている領域よりも前記上流側の位置で、前記ノズル本体の前記外周面と前記混合管の前記内周面とを接続する、
バーナ。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバーナにおいて、
前記混合空間は、円柱状の空間であり、
前記ノズル本体は、前記混合空間の空間中心軸上に配置されている、
バーナ。
【請求項9】
請求項8に記載のバーナにおいて、
前記ノズル本体は、前記空間中心軸を中心して円柱状の大径部と、前記空間中心軸を中心として円錐状の縮径部と、前記空間中心軸を中心として円柱状の小径部と、を有し、
前記縮径部は、前記大径部の前記下流側の端に接続され、前記下流側に向かうに連れて次第に外径が小さくなっており、
前記小径部は、前記縮径部の前記下流側の端に接続され、
前記突出部の上流端は、前記延在方向で、前記大径部と前記縮径部との境界に位置し、
前記突出部の下流端は、前記小径部の下流側の端に位置し、
前記空間中心軸から前記突出部の外周面までの距離は、延在方向のいずれの位置でも、大径部の外径以下である、
バーナ。
【請求項10】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバーナと、
前記バーナの前記噴出口から噴出された前記予混合気体が燃焼可能な筒と、
を備える燃焼器。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか一項に記載のバーナを複数備えると共に、
複数の前記バーナのそれぞれの前記噴出口から噴出された前記予混合気体が燃焼可能な筒を備え、
複数の前記バーナ毎の前記延在方向は、互いに同じ方向であり、
前記延在方向における複数の前記バーナ毎の前記噴出口の位置が互い揃っている、
クラスターバーナ燃焼器。
【請求項12】
請求項10に記載の燃焼器と、
空気を圧縮して圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を前記バーナに供給可能な圧縮機と、
前記燃焼器の前記筒内において前記予混合気体の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、
を備えるガスタービン。
【請求項13】
請求項11に記載のクラスターバーナ燃焼器と、
空気を圧縮して圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を複数の前記バーナに供給可能な圧縮機と、
前記クラスターバーナ燃焼器の前記筒内において前記予混合気体の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、
を備えるガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナ、これを備える燃焼器、及びこの燃焼器を備えるガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、燃焼器からの燃焼ガスで駆動するタービンと、を備えている。
【0003】
以下の特許文献1には、水素を含む燃料が燃焼する燃焼空間が形成されている筒と、複数の燃料ノズルと、プレートと、を備える燃焼器が開示されている。筒は、この筒の延在方向における下流側及び上流側の端に開口が形成されている。プレートは、筒の下流側の端の開口を塞ぐように配置されている。プレートには、このプレートを延在方向に貫通する複数の空気孔が形成されている。複数の空気孔内には、燃料ノズルの先端部が挿入されている。複数の空気孔の内周面には、孔の周方向に延びるに従って次第に下流側に延びている旋回溝が形成されている。
【0004】
空気孔の内周面近傍の気体流速は、空気孔の中心軸近傍の気体流速よりも遅い。このため、空気孔の内周面近傍における燃料濃度が高いと、燃焼空間内の火炎が空気孔内にも伝わる逆火を起こしやすい。
【0005】
特許文献1に記載の燃焼器では、圧縮機から圧縮空気が空気孔を通過する過程で、空気孔の内周面に形成されている旋回溝により、この圧縮空気が旋回流となる。水素を含む燃料は、燃料ノズルからこの旋回流中に噴出される。圧縮空気は燃料よりも密度が高いため、遠心力により、空気孔の内周面側に押し付けられ一方で、燃料は空気孔の中心軸近傍に集まる。すなわち、この燃焼器では、旋回流により、燃料と空気との分離が図られる。このため、この燃焼器では、前述の逆火を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-014400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の燃焼器では、逆火を抑制できるものの、空気孔の中心軸近傍で、燃空比(燃料量/空気量)が高い領域が生じて、NOxの発生量が多くなる。
【0008】
そこで、本開示は、逆火を抑制しつつも、NOxの発生を抑えることができる技術を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としてのバーナは、
所定の延在方向に延びて空気と燃料とを混合させる混合空間が形成されている混合管と、前記延在方向に延びて、少なくとも一部が前記混合空間内に配置されている燃料ノズルと、を備える。前記混合管は、前記空気が前記混合空間内に流入可能な空気入口と、前記空気と燃料とが混合された予混合気体を前記混合空間から噴出可能な噴出口と、を有する。前記噴出口は、前記延在方向における一方側である上流側と他方側である下流側とのうち、前記混合管の前記下流側の端に形成されている。前記燃料ノズルは、前記延在方向に延びているノズル本体と、前記ノズル本体の外周面から突出し前記混合管の内周面から離れている突出部と、を有する。前記ノズル本体は、前記空気入口よりも前記下流側で且つ前記噴出口よりも前記上流側の位置から前記燃料を前記混合空間内に噴出可能な燃料噴出口を有する。前記突出部は、前記ノズル本体を基準にして周方向に延びるに従って次第に前記下流側に延びて、前記ノズル本体の周りに前記突出部の全体がスパイラル状に形成されている。
【0010】
本態様では、延在方向における突出部が存在する領域及び突出部よりも下流側の領域であって、延在方向に垂直な仮想面内でノズル本体の近傍周りの領域に、突出部により、混合空間内に流入してきた空気の旋回流を形成することができる。また、突出部は、混合管の内周面から離れているため、空気が突出部の外周面を横切ると、この外周面における空気横切り方向の下流側に、空気の小さな乱流が生じる。さらに、突出部の下流端の下流側にも空気の小さな乱流が生じる。以上のように、本態様では、突出部よりも下流側の領域であって、延在方向に垂直な仮想面内でノズル本体の近傍周りの領域である下流側本体周り領域に、主要な空気流れとしての旋回流が形成されると共に、小さな乱流が形成される。このため、本態様では、下流側本体周り領域において、空気とノズル本体から噴出された燃料との混合が促進される。よって、本態様では、混合空間内で、燃空比(燃料量/空気量)が高い領域の発生を抑制でき、NOxの発生を抑えることができる。
【0011】
また、本態様では、突出部が混合管の内周面から離れているため、突出部よりも下流側の領域であって、延在方向に垂直な仮想面内で混合管の内周面近傍領域における旋回流の影響を抑えることができる。このため、本態様では、この内周面近傍領域における空気と燃料との混合が抑制される。よって、本態様では、気体流速が遅い内周面近傍領域内での燃空比(燃料量/空気量)を低く抑えることができ、火炎が混合空間内に伝わる逆火を抑制することができる。
【0012】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としての燃焼器は、
前記一態様としての前記バーナと、前記バーナの前記噴出口から噴出された前記予混合気体が燃焼可能な筒と、を備える。
【0013】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としてのクラスターバーナ燃焼器は、
前記一態様としての前記バーナを複数備えると共に、複数の前記バーナのそれぞれの前記噴出口から噴出された前記予混合気体が燃焼可能な筒を備える。複数の前記バーナ毎の前記延在方向は、互いに同じ方向である。前記延在方向における複数の前記バーナ毎の前記噴出口の位置が互い揃っている。
【0014】
上記目的を達成するための本開示に係る一態様としてのガスタービンは、
前記一態様としての前記燃焼器と、空気を圧縮して圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を前記バーナに供給可能な圧縮機と、前記燃焼器の前記筒内において前記予混合気体の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。
【0015】
上記目的を達成するための本開示に係る他の態様としてのガスタービンは、
前記一態様としてのクラスターバーナ燃焼器と、空気を圧縮して圧縮空気を生成し、前記圧縮空気を複数の前記バーナに供給可能な圧縮機と、前記クラスターバーナ燃焼器の前記筒内において前記予混合気体の燃焼で生成された燃焼ガスにより駆動可能なタービンと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様では、逆火を抑制しつつも、NOxの発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの構成を示す模式図である。
図2】本開示に係る一実施形態におけるガスタービンの燃焼器周りの断面図である。
図3】本開示に係る一実施形態におけるバーナの切欠き斜視図である。
図4】本開示に係る一実施形態におけるバーナの断面図である。
図5】本開示に係る一実施形態におけるバーナの要部切欠き斜視図である。
図6】参考例における混合空間内の燃空比分布を示す説明図である。
図7】本開示に係る一実施形態における混合空間内の燃空比分布を示す説明図である。
図8】本開示に係る第一変形例におけるバーナの要部切欠き斜視図である。
図9】本開示に係る第二変形例におけるバーナの要部切欠き斜視図である。
図10】本開示に係る第三変形例におけるバーナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係るバーナ、このバーナを備える燃焼器、及びこの燃焼器を備えるガスタービンの実施形態、さらにバーナの変形例ついて、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態におけるガスタービンは、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成可能な圧縮機10と、燃料Fを圧縮空気Acom中で燃焼させ燃焼ガスGを生成可能な複数の燃焼器20と、燃焼ガスGにより駆動可能なタービン15と、を備えている。
【0020】
圧縮機10は、ロータ軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ11と、圧縮機ロータ11を覆う圧縮機ケーシング12と、を有する。タービン15は、ロータ軸線Arを中心として回転するタービンロータ16と、タービンロータ16を覆うタービンケーシング17と、を有する。なお、以下では、ロータ軸線Arが延びる方向をロータ軸線方向Da、このロータ軸線方向Daの両側のうち一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。
【0021】
圧縮機10は、タービン15に対して軸線上流側Dauに配置されている。圧縮機ロータ11とタービンロータ16とは、同一ロータ軸線Ar上に位置し、互いに接続されてガスタービンロータ1を成す。このガスタービンロータ1には、例えば、発電機GENのロータが接続されている。ガスタービンは、さらに、圧縮機ケーシング12とタービンケーシング17との間に配置されている中間ケーシング4を備えている。この中間ケーシング4内には、圧縮機10からの圧縮空気Acomが流入する。複数の燃焼器20は、ロータ軸線Arに対する周方向に並んで、中間ケーシング4に取り付けられている。圧縮機ケーシング12と中間ケーシング4とタービンケーシング17とは、互いに接続されてガスタービンケーシング2を成す。
【0022】
燃焼器20には、燃料ラインが接続されている。燃焼器20は、この燃料ラインからの燃料Fを、圧縮機10からの圧縮空気Acom中で燃焼させて燃焼ガスGを生成可能である。
【0023】
燃焼器20は、図2に示すように、燃料Fが燃焼可能な燃焼空間Scを形成する筒21と、燃焼空間Sc内に燃料Fと圧縮空気Acomとが混合された予混合気体Gpmを噴出する複数のバーナ30と、複数のバーナ30を支持するバーナ支持枠25と、を備える。
【0024】
筒21は、尾筒又は燃焼筒と呼ばれることがある。この筒21は、燃焼器軸線Acを中心として筒状である。ここで、燃焼器軸線Acが延びている方向を延在方向Deとする。また、この延在方向Deの両側のうち、一方側を上流側Deu、他方側を下流側Dedとする。この筒21の上流側Deuの端及び下流側Dedの端は、開口している。図1に示すように、筒21の下流側Dedの開口は、燃料Fの燃焼で生成された燃焼ガスGをタービンケーシング17内に送れるよう形成されている。一方、筒21の上流側Deuの開口22は、バーナ支持枠25で塞がれている。複数のバーナ30は、燃焼器軸線Acに対する径方向及び周方向に並んで配置されて、このバーナ支持枠25に支持されている。よって、本実施形態の燃焼器20は、クラスターバーナ燃焼器である。
【0025】
複数のバーナ30のそれぞれは、図3及び図4に示すように、混合管31と、燃料ノズル34と、複数のノズルサポート39と、を有する。
【0026】
複数のバーナ30毎の混合管31は、いずれも、燃焼器軸線Acが延びている延在方向Deに延びて、圧縮空気Acomと燃料Fとを混合される円柱状の混合空間Smを形成する。この混合管31は、圧縮空気Acomが混合空間Sm内に流入可能な空気入口31iと、圧縮空気Acomと燃料Fとが混合された予混合気体Gpmを混合空間Smから噴出可能な噴出口31oと、燃料流路31pと、を有する。空気入口31iは、混合管31の上流側Deuの端に形成され、噴出口31oは、混合管31の下流側Dedの端に形成されている。混合空間Smは、延在方向Deに垂直な断面積が下流側Dedに向かうに連れて次第に小さくなる縮面積部33を有する。この縮面積部33は、延在方向Deで、空気入口31iと噴出口31oとの間に形成されている。混合空間Sm中で縮面積部33より上流側Deuの部分における断面積は、混合空間Sm中で縮面積部33より下流側Dedの部分における断面積より大きい。燃料流路31pは、混合管31の外周面から内周面32まで貫通して、燃料Fが流通可能である。
【0027】
燃料ノズル34は、混合空間Sm内に配置されている。この燃料ノズル34は、延在方向Deに延びているノズル本体35と、ノズル本体35の外周面36から突出し混合管31の内周面32から離れている複数の突出部37と、を有する。
【0028】
ノズル本体35は、混合空間Smの中心軸である空間中心軸Ab上に配置されている。なお、空間中心軸Abは、延在方向Deに延びている。ノズル本体35は、空間中心軸Abを中心して円柱状の大径部35aと、空間中心軸Abを中心として円錐状の縮径部35bと、空間中心軸Abを中心として円柱状の小径部35cと、を有する。大径部35aは、ノズル本体35の上流側Deuの部分に形成されている。縮径部35bは、大径部35aの下流側Dedの端に接続されている。縮径部35bは、下流側Dedに向かうに連れて次第に外径が小さくなっている。小径部35cは、縮径部35bの下流側Dedの端に接続され、ノズル本体35の下流側Dedの端まで延びている。小径部35cの外径は、大径部35aの外径よりも小さい。ノズル本体35は、さらに、燃料流路35pと、ノズル本体35の下流側Dedの端に形成されている燃料噴出口35oと、を有する。燃料流路35pは、大径部35a、縮径部35b、及び小径部35cの内部で延在方向Deに延びている。この燃料流路35pは、燃料Fが流通可能である。燃料噴出口35oは、燃料流路35pを流れてきた燃料Fを混合空間Sm内に、下流側Dedに向かって噴出可能である。
【0029】
突出部37は、ノズル本体35を基準にして周方向に延びるに従って次第に下流側Dedに延びて、ノズル本体35の周りに突出部37の全体がスパイラル状に形成されている。言い換えると、突出部37は、空間中心軸Abを中心としてその全体がスパイラル状に形成されている。なお、図4では、突出部37の突出量を理解し易くするため、便宜上、突出部37が延在方向Deに直線的に延びているように描いている。突出部37は、延在方向Deで最も上流側Deuの上流端37uと、延在方向Deで最も下流側Dedの下流端37dを有する。複数の突出部37毎の上流端37uは、いずれも、延在方向Deで、大径部35aと縮径部35bとの境界に位置している。複数の突出部37毎の下流端37dは、いずれも、延在方向Deで、ノズル本体35の下流側Dedに端に位置している。空間中心軸Abから突出部37の外周面38までの距離は、延在方向Deのいずれの位置でも、大径部35aの外径と同じである。このため、ノズル本体35の外周面36から突出部37の外周面38までの距離である突出量は、突出部37中でノズル本体35の縮径部35bに形成されている部分で、下流側Dedに向かうに連れて次第に大きくなる。また、この突出量は、突出部37中でノズル本体35の小径部35cに形成されている部分で、最大突出量pmaxになる。
【0030】
前述の混合空間Smの縮面積部33は、延在方向Deで、突出部37が存在する領域内に形成されている。混合管31の内周面32の一部であって縮面積部33よりも下流側Dedの部分は、ノズル本体35の小径部35cの外周面36と径方向で対向している。ノズル本体35の外周面36の一部であって延在方向Deで突出部37が存在している部分から混合管31の内周面32までの距離のうち、ノズル本体35の小径部35cの外周面36から混合管31の内周面32の一部であって縮面積部33よりも下流側Dedの部分までの距離が最小距離dminになる。前述の突出部37の最大突出量pmaxは、この最小距離dminの20%以下である。
【0031】
複数のノズルサポート39は、延在方向Deで突出部37が存在する領域よりも下流側Dedの位置で、ノズル本体35の外周面36と混合管31の内周面32とを接続する。複数のノズルサポート39のうち、一のノズルサポート39は、燃料Fが流通可能な燃料流路39pを有する。この燃料流路39pは、混合管31の燃料流路31p及びノズル本体35の燃料流路35pと連通している。
【0032】
バーナ支持枠25の下流側Dedの端には、図2に示すように、筒21の上流側Deuの部分が接続されて、前述したように、筒21の上流側Deuの開口22を塞いている。バーナ支持枠25の上流側Deuの端は、中間ケーシング4に接続されている。延在方向Deで、複数のバーナ30毎における混合管31の上流側Deuの端の位置は、バーナ支持枠25の上流側Deuの端の位置とほぼ一致している。バーナ支持枠25は、燃料Fが流通可能な燃料流路26と、圧縮空気Acomが流通可能な空気流路27と、を有する。燃料流路26は、外部からの燃料Fを受け入れて、この燃料Fが流通可能な主流路26mと、主流路26mから分岐している複数の分岐流路26bと、を有する。複数の分岐流路26bのそれぞれは、複数のバーナ30のうちのいずれか一の混合管31の燃料流路31pに連通している。空気流路27は、圧縮機10からの圧縮空気Acomが複数のバーナ30毎の混合空間Sm内に流入可能に形成されている。
【0033】
図1に示すように、圧縮機10は、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成する。この圧縮空気Acomは、圧縮機10から中間ケーシング4内に吐出される。中間ケーシング4内に吐出された圧縮空気Acomは、図2に示すように、バーナ支持枠25の空気流路27を経て、複数のバーナ30毎の混合空間Smに流入する。燃料Fは、図2及び図4に示すように、バーナ支持枠25の燃料流路26p、複数のバーナ30毎の混合管31の燃料流路31p、及び、複数のバーナ30毎のノズルサポート39の燃料流路39pを介して、複数のバーナ30毎のノズル本体35の燃料流路35pに流入する。ノズル本体35の燃料流路35pに流入した燃料Fは、ノズル本体35の下流側Dedの端に形成されている燃料噴出口35oから混合空間Smに噴出される。混合空間Smに噴出された燃料Fは、この混合空間Sm内で圧縮空気Acomと混ざって予混合気体Gpmとして、混合管31の噴出口31oから筒21の燃焼空間Sc内に噴出される。予混合気体Gpmは、この燃焼空間Sc内で燃焼して、燃焼ガスGになる。この燃焼ガスGは、燃焼器20からタービンケーシング17内に送られる。燃焼ガスGは、タービンケーシング17内を軸線下流側Dadへ流れる過程で、タービンロータ16を回転させる。このタービンロータ16の回転で、ガスタービンロータ1に接続されている発電機GENのロータが回転する。この結果、発電機GENは発電する。
【0034】
本実施形態では、延在方向Deにおける突出部37が存在する領域及び突出部37よりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内でノズル本体35の近傍周りの領域に、突出部37により、図5に示すように、混合空間Sm内に流入してきた圧縮空気Acomの旋回流Fsが形成される。なお、突出部37は、空間中心軸Abを中心としてスパイラル状に形成されているため、この旋回流Fsは、空間中心軸Abを中心として旋回する流れである。また、突出部37は、混合管31の内周面32から離れているため、圧縮空気Acomが突出部37の外周面38を横切ると、この外周面38における空気横切り方向の下流側Dedに、空気の小さな乱流Ft1が生じる。さらに、突出部37の下流端37dの下流側Dedにも空気の小さな乱流Ft2が生じる。
【0035】
仮に、ノズル本体35の周りにスパイラル状の突出部37が設けられていない場合、圧縮空気Acomとノズル本体35から噴出された燃料Fとの混合が促進されず、延在方向Deに垂直な仮想面内でノズル本体35の近傍周りの領域である下流側本体周り領域Ra(図4及び図7に示す)では、図6に示すように、燃空比(燃料量/空気量)が高い領域が形成される。なお、図6及び後述の図7では、燃空比が高くなるほぼ、色が濃くなるよう描いている。
【0036】
一方、本実施形態では、以上で説明したように、突出部37よりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内でノズル本体35の近傍周りの領域である下流側本体周り領域Raに、主要な空気流れとしての旋回流Fsが形成されると共に、小さな乱流Ft1,Ft2が形成される。このため、本実施形態では、下流側本体周り領域Raにおいて、圧縮空気Acomとノズル本体35から噴出された燃料Fとの混合が促進される。特に、本実施形態では、突出部37がノズル本体35の下流側Dedの端を含む領域に形成されている。このため、本実施形態では、ノズル本体35の下流側Dedの端から噴出された燃料Fに対して、突出部37の下流端37dがノズル本体35の下流側Dedの端よりも上流側Deuに形成されている場合よりも、突出部37により形成される圧縮空気Acomの旋回流Fs及び乱流Ft1,Ft2の影響を強く与えることができる。これにより、本態様では、下流側本体周り領域Raにおいて、圧縮空気Acomと燃料Fとの混合を効果的に行うことができる。よって、本実施形態では、図7に示すように、下流側本体周り領域Ra内で、燃空比(燃料量/空気量)が高い領域の発生を抑制でき、NOxの発生を抑えることができる。
【0037】
また、本実施形態では、突出部37が混合管31の内周面32から離れている。特に、突出部37におけるノズル本体35の外周面36からの最大突出量pmaxは、前述したように、ノズル本体35の小径部35cの外周面36から混合管31の内周面32までの最小距離dminの20%以下である。このため、本実施形態では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の下流側本体周り領域Ra中で、旋回流Fsの周方向成分流速Vc(図7)が第一流速以上の領域の面積を小さくすることができる。一方、本実施形態では、突出部37よりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内で混合管31の内周面近傍領域Rb(図4及び図7に示す)中で、旋回流Fsの周方向成分流速Vcが第一流速より遅い第二流速以下の領域の面積を大きくすることができる。よって、本態様は、気体流速が遅い内周面近傍領域Rb内で、混合管31の内周面32に沿って流れてきた圧縮空気Acomに対して燃料Fの混合が抑制され、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を抑制することができる。
【0038】
本実施形態では、縮面積部33における混合管31の内周面32に沿った領域には、混合管31の中心に向かう方向成分を有する空気流れが生じる。この空気流れにより、本実施形態では、突出部37により形成される旋回流Fsが混合管31の中心側に押される。このため、本実施形態では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の下流側本体周り領域Ra中で、旋回流Fsの周方向成分流速Vcが第一流速以上の領域は、混合管31の中心側に寄る。この結果、本実施形態では、旋回流Fsの周方向成分流速Vcが第一流速以上の領域の面積を小さくすることができる。さらに、縮面積部33より下流側Dedにおける混合空間Smの断面積が、縮面積部33より上流側Deuの混合空間Smの断面積よりも小さい。このため、本実施形態では、延在方向Deにおける、縮面積部33より下流側Dedの混合空間Sm内の気体流速が、縮面積部33が存在しない場合よりも速くなる。よって、本実施形態では、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を効果的に抑制することができる。
【0039】
混合空間Sm内に流入した空気は、ノズルサポート39により圧力損失する。しかも、混合空間Smの一部がノズルサポート39に占められていると、混合空間Sm内で圧縮空気Acomが流れる領域が狭くなり、この圧縮空気Acomの流速が上がって、ノズルサポート39により空気の圧力損失が大きくなる。そこで、本実施形態では、ノズルサポート39による圧縮空気Acomの圧力損失を抑えるため、縮面積部33よりも上流側Deuで混合空間Smの断面積が大きな領域にノズルサポート39を配置している。
【0040】
本実施形態の突出部37は、大径部35aより、空間中心軸Abに対する径方向外側には、存在しない。このため、本実施形態では、ノズル本体35の大径部35aに沿って流れてきた圧縮空気Acomが突出部37の上流端37uに衝突することによる圧縮空気Acomの圧力損失を抑えることができる。
【0041】
「変形例」
以上の実施形態において、突出部37の最大突出量pmaxは、ノズル本体35の小径部35cの外周面36から混合管31の内周面32までの最小距離dminの20%以下である。しかしながら、混合空間Sm内を流れる圧縮空気Acomの延在方向Deにおける流速によっては、突出部37の最大突出量pmaxが、ノズル本体35の小径部35cの外周面36から混合管31の内周面32までの最小距離dminの20%より大きく且つ最小距離dminの半分以下であってもよい。
【0042】
以上の実施形態では、突出部37がノズル本体35の下流側Dedの端から上流側Deuに向かって所定の範囲に形成されている。しかしながら、図8に示すように、突出部37aは、ノズル本体35の下流側Dedの端よりも上流側Deuの位置から上流側Deuに向かって所定の範囲に形成されてもよい。
【0043】
以上の実施形態では、突出部37がノズル本体35の上流側Deuの端を含む領域には形成されていない。しかしながら、突出部は、ノズル本体35の上流側Deuの端を含む領域に形成してもよい。
【0044】
以上の実施形態では、空間中心軸Abを中心とするスパイラル状の一つの仮想線に沿って、一つの突出部37が形成されている。しかしながら、図9に示すように、空間中心軸Abを中心とするスパイラル状の一つの仮想線に沿って、複数の突出部37b,37cが形成されてもよい。
【0045】
以上の実施形態では、ノズル本体35の全体が混合空間Sm内に収まっている。しかしながら、図10に示すように、ノズル本体35の上流側Deuの端が混合空間Smの上流側Deuの端から上流側Deuに突出してもよい。この場合でも、前述したように、突出部37を、ノズル本体35の上流側Deuの端を含む領域に形成してもよい。すなわち、突出部37の一部は、混合空間Sm外に形成されてもよい。
【0046】
以上の実施形態における燃焼器20は、燃焼器軸線Acに対する周方向及び径方向に複数のバーナ30が配置されているクラスターバーナ燃焼器である。しかしながら、燃焼器軸線Acに対する径方向に複数の予混合バーナが配置されていない通常の燃焼器における予混合バーナに、本開示のバーナ構造を適用してもよい。
【0047】
また、本開示は、以上で説明した一実施形態及び変形例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0048】
「付記」
以上の実施形態におけるバーナは、例えば、以下のように把握される。
【0049】
(1)第一態様におけるバーナは、
所定の延在方向Deに延びて空気Acomと燃料Fとを混合させる混合空間Smが形成されている混合管31と、前記延在方向Deに延びて、少なくとも一部が前記混合空間Sm内に配置されている燃料ノズル34と、を備える。前記混合管31は、前記空気Acomが前記混合空間Sm内に流入可能な空気入口31iと、前記空気Acomと燃料Fとが混合された予混合気体Gpmを前記混合空間Smから噴出可能な噴出口31oと、を有する。前記噴出口31oは、前記延在方向Deにおける一方側である上流側Deuと他方側である下流側Dedとのうち、前記混合管31の前記下流側Dedの端に形成されている。前記燃料ノズル34は、前記延在方向Deに延びているノズル本体35と、前記ノズル本体35の外周面36から突出し前記混合管31の内周面32から離れている突出部37,37a,37b,37cと、を有する。前記ノズル本体35は、前記空気入口31iよりも前記下流側Dedで且つ前記噴出口31oよりも前記上流側Deuの位置から前記燃料Fを前記混合空間Sm内に噴出可能な燃料噴出口35oを有する。前記突出部37,37a,37b,37cは、前記ノズル本体35を基準にして周方向に延びるに従って次第に前記下流側Dedに延びて、前記ノズル本体35の周りに前記突出部37,37a,37b,37cの全体がスパイラル状に形成されている。
【0050】
本態様では、延在方向Deにおける突出部37,37a,37b,37cが存在する領域及び突出部37,37a,37b,37cよりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内でノズル本体35の近傍周りの領域に、突出部37,37a,37b,37cにより、混合空間Sm内に流入してきた空気Acomの旋回流Fsを形成することができる。また、突出部37,37a,37b,37cは、混合管31の内周面32から離れているため、空気Acomが突出部37,37a,37b,37cの外周面38を横切ると、この外周面38における空気横切り方向の下流側Dedに、空気Acomの小さな乱流Ft1が生じる。さらに、突出部37,37a,37b,37cの下流端37dの下流側Dedにも空気Acomの小さな乱流Ft1が生じる。以上のように、本態様では、突出部37,37a,37b,37cよりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内でノズル本体35の近傍周りの領域である下流側本体周り領域Raに、主要な空気流れとしての旋回流Fsが形成されると共に、小さな乱流Ft1,Ft2が形成される。このため、本態様では、下流側本体周り領域Raにおいて、空気Acomとノズル本体35から噴出された燃料Fとの混合が促進される。よって、本態様では、混合空間Sm内で、燃空比(燃料量/空気量)が高い領域の発生を抑制でき、NOxの発生を抑えることができる。
【0051】
また、本態様では、突出部37,37a,37b,37cが混合管31の内周面32から離れているため、突出部37,37a,37b,37cよりも下流側Dedの領域であって、延在方向Deに垂直な仮想面内で混合管31の内周面近傍領域Rbにおける旋回流Fsの影響を抑えることができる。このため、本態様では、この内周面近傍領域Rbにおける空気Acomと燃料Fとの混合が抑制される。よって、本態様では、気体流速が遅い内周面近傍領域Rb内での燃空比(燃料量/空気量)を低く抑えることができ、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を抑制することができる。
【0052】
(2)第二態様におけるバーナは、
前記第一態様におけるバーナ30において、前記突出部37,37a,37b,37cにおける前記ノズル本体35の前記外周面36,38から最大突出量pmaxは、前記ノズル本体35の前記外周面36の一部であって前記延在方向Deで前記突出部37,37a,37b,37cが存在している部分から前記混合管31の前記内周面32までの最小距離dminの半分以下である。
【0053】
本態様では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の下流側本体周り領域Ra中で、旋回流Fsの周方向成分流速が第一流速以上の領域の面積を小さくすることができる。一方、本態様では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の内周面近傍領域Rb中で、旋回流Fsの周方向成分流速が第一流速より遅い第二流速以下の領域の面積を大きくすることができる。よって、本態様は、気体流速が遅い内周面近傍領域Rb内で、混合管31の内周面32に沿って流れてきた空気Acomに対して燃料Fの混合が抑制され、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を抑制することができる。
【0054】
(3)第三態様におけるバーナは、
前記第一態様又は前記第二態様におけるバーナ30において、前記突出部37,37a,37b,37cにおける前記ノズル本体35の前記外周面36,38から最大突出量pmaxは、前記ノズル本体35の前記外周面36,38の一部であって前記延在方向Deで前記突出部37,37a,37b,37cが存在している部分から前記混合管31の前記内周面32までの最小距離dminの20%以下である。
【0055】
本態様では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の下流側本体周り領域Ra中で、旋回流Fsの周方向成分流速が第一流速以上の領域の面積を小さくすることができる。一方、本態様では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の内周面近傍領域Rb中で、旋回流Fsの周方向成分流速が第一流速より遅い第二流速以下の領域の面積を大きくすることができる。よって、本態様は、気体流速が遅い内周面近傍領域Rb内で、混合管31の内周面32に沿って流れてきた空気Acomに対して燃料Fの混合が抑制され、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を抑制することができる。
【0056】
(4)第四態様におけるバーナは、
前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれか一態様におけるバーナ30において、前記燃料噴出口35oは、前記ノズル本体35の前記下流側Dedの端に形成されている。前記突出部37,37cは、前記ノズル本体35の外周面36上であって前記ノズル本体35の前記下流側Dedの端から前記上流側Deuに向かって所定範囲に形成されている。
【0057】
本態様では、突出部37,37cがノズル本体35の下流側Dedの端を含む領域に形成されている。このため、本態様では、ノズル本体35の下流側Dedの端から噴出された燃料Fに対して、突出部37,37cの下流端37dがノズル本体35の下流側Dedの端よりも上流側Deuに形成されている場合よりも、突出部37,37cにより形成される空気Acomの旋回流Fs及び乱流Ft1,Ft2の影響を強く与えることができる。よって、本態様では、前述の下流側本体周り領域Raにおいて、空気Acomと燃料Fとの混合を効果的に行うことができる。
【0058】
(5)第五態様におけるバーナは、
前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれか一態様におけるバーナ30において、前記突出部37,37a,37b,37cは、前記混合空間Sm内にのみ形成されている。
【0059】
(6)第六態様におけるバーナは、
前記第五態様におけるバーナ30において、前記混合空間Smは、前記延在方向Deに垂直な断面積が前記下流側Dedに向かうに連れて次第に小さくなる縮面積部33を有する。前記縮面積部33は、前記延在方向Deで前記突出部37,37a,37b,37cが存在する領域内に形成されている。
【0060】
本態様では、縮面積部33における混合管31の内周面32に沿った領域には、混合管31の中心に向かう方向成分を有する空気流れが生じる。この空気流れにより、突出部37,37a,37b,37cにより形成される旋回流Fsが混合管31の中心側に押される。このため、本態様では、延在方向Deに垂直な仮想面内における前述の下流側本体周り領域Ra中で、旋回流Fsの周方向成分流速Vcが第一流速以上の領域は、混合管31の中心側に寄る。この結果、本態様では、周方向成分流速Vcが第一流速以上の領域の面積を小さくすることができる。さらに、縮面積部33より下流側Dedにおける混合空間Smの断面積が、縮面積部33より上流側Deuの混合空間Smの断面積よりも小さい。このため、本態様では、延在方向Deにおける、縮面積部33より下流側Dedの混合空間Sm内の気体流速が、縮面積部33がない場合より速くなる。よって、本態様では、火炎が混合空間Sm内に伝わる逆火を効果的に抑制することができる。
【0061】
(7)第七態様におけるバーナは、
前記第六態様におけるバーナ30において、前記混合空間Sm内で前記燃料ノズル34を支持するノズルサポート39を有する。前記ノズルサポート39は、前記延在方向Deで前記縮面積部33が形成されている領域よりも前記上流側Deuの位置で、前記ノズル本体35の前記外周面36,38と前記混合管31の前記内周面32とを接続する。
【0062】
混合空間Sm内に流入した空気Acomは、ノズルサポート39により圧力損失する。しかも、混合空間Smの一部がノズルサポート39に占められていると、混合空間Sm内で空気Acomが流れる領域が狭くなり、この空気Acomの流速が上がって、ノズルサポート39により空気Acomの圧力損失が大きくなる。そこで、本態様では、ノズルサポート39による空気Acomの圧力損失を抑えるため、縮面積部33よりも上流側Deuで混合空間Smの断面積が大きな領域にノズルサポート39を配置している。
【0063】
(8)第八態様におけるバーナは、
前記第一態様から前記第七態様のうちのいずれか一態様におけるバーナ30において、前記混合空間Smは、円柱状の空間である。前記ノズル本体35は、前記混合空間Smの空間中心軸Ab上に配置されている。
【0064】
(9)第九態様におけるバーナは、
前記第八態様におけるバーナ30において、前記ノズル本体35は、前記空間中心軸Abを中心して円柱状の大径部35aと、前記空間中心軸Abを中心として円錐状の縮径部35bと、前記空間中心軸Abを中心として円柱状の小径部35cと、を有する。前記縮径部35bは、前記大径部35aの前記下流側Dedの端に接続され、前記下流側Dedに向かうに連れて次第に外径が小さくなっている。前記小径部35cは、前記縮径部35bの前記下流側Dedの端に接続されている。前記突出部37,37a,37b,37cの上流端37uは、前記延在方向Deで、前記大径部35aと前記縮径部35bとの境界に位置する。前記突出部37,37a,37b,37cの下流端37dは、前記小径部35cの下流側Dedの端に位置する。前記空間中心軸Abから前記突出部37,37a,37b,37cの外周面38までの距離は、延在方向Deのいずれの位置でも、大径部35aの外径以下である。
【0065】
本態様の突出部37,37a,37b,37cは、大径部35aよりも、空間中心軸Abに対する径方向外側に存在しない。このため、本態様では、ノズル本体35の大径部35aに沿って流れてきた空気Acomが突出部37,37a,37b,37cの上流端37uに衝突することによる空気Acomの圧力損失を抑えることができる。
【0066】
以上の実施形態における燃焼器は、例えば、以下のように把握される。
(10)第十態様における燃焼器は、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるバーナ30と、前記バーナ30の前記噴出口31oから噴出された前記予混合気体Gpmが燃焼可能な筒21と、を備える。
【0067】
以上の実施形態におけるクラスターバーナ燃焼器は、例えば、以下のように把握される。
(11)第十一態様におけるクラスターバーナ燃焼器は、
前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれか一態様におけるバーナ30を複数備えると共に、複数の前記バーナ30のそれぞれの前記噴出口31oから噴出された前記予混合気体Gpmが燃焼可能な筒21を備える。複数の前記バーナ30毎の前記延在方向Deは、互いに同じ方向である。前記延在方向Deにおける複数の前記バーナ30毎の前記噴出口31oの位置が互い揃っている。
【0068】
以上の実施形態におけるガスタービンは、例えば、以下のように把握される。
【0069】
(12)第十二態様におけるガスタービンは、
前記第十態様における燃焼器と、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成し、前記圧縮空気Acomを前記バーナ30に供給可能な圧縮機10と、前記燃焼器の前記筒21内において前記予混合気体Gpmの燃焼で生成された燃焼ガスGにより駆動可能なタービン15と、を備える。
【0070】
(13)第十三態様におけるガスタービンは、
前記第十一態様におけるクラスターバーナ燃焼器と、空気Aを圧縮して圧縮空気Acomを生成し、前記圧縮空気Acomを複数の前記バーナ30に供給可能な圧縮機10と、前記クラスターバーナ燃焼器の前記筒内において前記予混合気体Gpmの燃焼で生成された燃焼ガスGにより駆動可能なタービン15と、を備える。
【符号の説明】
【0071】
1:ガスタービンロータ
2:ガスタービンケーシング
4:中間ケーシング
10:圧縮機
11:圧縮機ロータ
12:圧縮機ケーシング
15:タービン
16:タービンロータ
17:タービンケーシング
20:燃焼器
21:筒
22:上流側の開口
25:バーナ支持枠
26:燃料流路
26m:主流路
26b:分岐流路
27:空気流路
30:バーナ
31:混合管
31i:空気入口
31o:噴出口
31p:燃料流路
32:内周面
33:縮面積部
34:燃料ノズル
35:ノズル本体
35a:大径部
35b:縮径部
35c:小径部
35o:燃料噴出口
35p:燃料流路
36:外周面
37,37a,37b,37c:突出部
37u:上流端
37d:下流端
38:外周面
39:ノズルサポート
39p:燃料流路
A:空気
Acom:圧縮空気
F:燃料
G:燃焼ガス
Gpm:予混合気体
Ar:ロータ軸線
Ac:燃焼器軸線
Ab:空間中心軸
Da:ロータ軸線方向
Dau:軸線上流側
Dad:軸線下流側
De:延在方向
Deu:上流側
Ded:下流側
Sc:燃焼空間
Sm:混合空間
Ra:下流側本体周り領域
Rb:内周面近傍領域
Fs:旋回流
Ft1,Ft2:乱流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10