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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061126
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】分散機、乾燥機、貯留ビン
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20240425BHJP
   F26B 17/14 20060101ALI20240425BHJP
   B02B 1/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B02B7/00 Z
F26B17/14 K
F26B17/14 P
F26B17/14 Z
B02B1/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168858
(22)【出願日】2022-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】303026213
【氏名又は名称】北斗工販株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145078
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 正志
【テーマコード(参考)】
3L113
4D043
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB03
3L113AC40
3L113AC45
3L113AC56
3L113AC67
3L113AC71
3L113BA03
3L113DA02
3L113DA06
4D043AA02
4D043AA05
4D043AA06
4D043AA07
4D043BB02
4D043BB21
(57)【要約】
【課題】ランニングコストを抑制することができる分散機、乾燥機、貯留ビンを提供することを目的とする。
【解決手段】本体と、前記本体内に配置される回転軸と、前記回転軸に設けられ、前記本体内に投入される処理対象物の流路に配置される分散盤と、鉛直方向と成す角が第1の角度をもって前記回転軸に設けられた複数の受け羽根で構成され、前記流路において前記分散盤よりも上流側に配置される受け羽根体と、を備え、前記受け羽根体は、流下する前記処理対象物から水平方向の力を受けて、前記回転軸を介して前記分散盤を回転させる前記分散盤を回転させるための動力源が搭載されていない分散機である。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置される回転軸と、
前記回転軸に設けられ、前記本体内に投入される処理対象物の流路に配置される分散盤と、
鉛直方向と成す角が第1の角度をもって前記回転軸に設けられた複数の受け羽根で構成され、前記流路において前記分散盤よりも上流側に配置される受け羽根体と、
を備え、
前記受け羽根体は、流下する前記処理対象物から水平方向の力を受けて、前記回転軸を介して前記分散盤を回転させる
前記分散盤を回転させるための動力源が搭載されていない分散機。
【請求項2】
前記第1の角度は約35度~約50度である
請求項1に記載の分散機。
【請求項3】
前記受け羽根は、前記回転軸の周方向に離隔して4枚~8枚設けられている
請求項1又は2のいずれかに記載の分散機。
【請求項4】
前記受け羽根は、前記処理対象物を受け止める上面が略平らである
請求項1に記載の分散機。
【請求項5】
前記処理対象物は穀物である
請求項1に記載の分散機。
【請求項6】
前記処理対象物は米、小麦、大麦、ライ麦、えん麦、稗、粟、トウモロコシ、大豆、小豆、ソバ、キノア、センニンコクのいずれか1つまたは複数である
請求項1に記載の分散機。
【請求項7】
前記回転軸にはさらに発電機が設けられている
請求項1に記載の分散機。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の分散機を含む乾燥機。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の分散機を含む貯留ビン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散機、乾燥機、貯留ビンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タンクなどの貯留部に流下してくる処理対象物を、貯留部内でできるだけ均平に堆積・貯留させる目的で分散機が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、貯留槽内に流下する穀類を分散するために穀物乾燥機に設けられた分散機が開示されている。
【0004】
これら従来の分散機では、処理対象物の流路に回転可能な分散盤が設けられている。分散盤が処理対象物を回転しながら受け止めることで、処理対象物の流下する方向を制御し、貯留部に流れ込む処理対象物の量を分散させる。この分散盤を回転させるために、電動モータ等の動力源が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-90683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
分散機や、それが設けられている穀物乾燥機・貯留ビン等の装置においては、そのランニングコストを抑制することが求められる。
【0007】
この点、従来の分散機は、分散盤を回転させるために動力源を用いるため、相当する電力の消費が避けられない。動力源の消費電力等がコストとして跳ね返り、ランニングコストの上昇の一因になっている。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、ランニングコストを抑制することができる分散機、乾燥機、貯留ビンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための手段として、第1の発明は、本体と、前記本体内に配置される回転軸と、前記回転軸に設けられ、前記本体内に投入される処理対象物の流路に配置される分散盤と、鉛直方向と成す角が第1の角度をもって前記回転軸に設けられた複数の受け羽根で構成され、前記流路において前記分散盤よりも上流側に配置される受け羽根体と、を備え、前記受け羽根体は、流下する前記処理対象物から水平方向の力を受けて、前記回転軸を介して前記分散盤を回転させる前記分散盤を回転させるための動力源が搭載されていない分散機である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランニングコストを抑制することができる分散機、乾燥機、貯留ビンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係る穀物乾燥機の概略断面図である。
図2】分散機の断面図である。
図3】分散盤の平面図である。
図4】分散盤と受け羽根体の正面図である。
図5】分散盤と受け羽根体の平面図である。
図6】受け羽根の枚数を1枚にした状態の受け羽根体と分散盤の正面図である。
図7】受け羽根の枚数を1枚にした状態の受け羽根体と分散盤の平面図である。
図8】第2の実施の形態に係る貯留ビンの概略断面図である。
図9】受け羽根の枚数を4枚にした状態の受け羽根体と分散盤の平面図である。
図10】受け羽根の枚数を6枚にした状態の受け羽根体と分散盤の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.第1の実施の形態>
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
【0013】
<1.第1の実施の形態>
図1~7を参照して、本発明に係る分散機および穀物乾燥機について説明する。
【0014】
この実施の形態では、分散機を設置する装置が穀物乾燥機である場合を例にして説明を行う。
【0015】
穀物乾燥機100は、その上流側から順に、スクリューコンベアー110と、分散機120と、乾燥機本体180とで構成される。まず、スクリューコンベアー110について説明する。
【0016】
(スクリューコンベアー110)
スクリューコンベアー110は、乾燥前の穀物190を乾燥機本体180に向かって下流側へ搬送するために設置される。
【0017】
スクリューコンベアー110は、その本体111が中空の構造になっている。本体111の内部にはスクリュー112が回転可能な状態で水平方向に架け渡されている。
【0018】
また、本体111の上面と下面には、投入口113と排出口114とがそれぞれ開口されている。さらに、排出口114の下端部には、スクリューコンベアー用ホッパー115が設けられている。
【0019】
スクリューコンベアー110は、スクリュー112が回転させることで、投入口113から投入された乾燥前の穀物190を下流側に搬送する。
【0020】
ついで、分散機120、乾燥機本体180について説明する。スクリューコンベアー110の下部には、処理対象物である穀物190の流路に沿って、分散機120、乾燥機本体180の順に設けられている。
【0021】
(分散機120)
分散機120は、スクリューコンベアー110から流下してくる穀物190を、乾燥機本体180内にできるだけ均平に投入して、乾燥むらが生じることを防止するために用いられる。
【0022】
分散機120は、乾燥機本体180の上面に設けられ、処理対象物である穀物190の流路内に位置するよう、スクリューコンベアー用ホッパー115の下部に配置される。
【0023】
分散機120は、スクリューコンベアー用ホッパー115から流下してくる穀物190を一端受け止めた上で、回転運動に伴う慣性力(遠心力)によって穀物190を強制的に分散させて、乾燥機本体180内にできるだけ均平に投入する。
【0024】
この分散機120の詳細については後述する。
【0025】
(乾燥機本体180)
乾燥機本体180は、流下してきた穀物190を内部に貯留して、穀物190を乾燥させるものである。
【0026】
乾燥機本体180は、穀物190を貯留するのに十分な容積を備える中空の槽体で構成される。乾燥機本体180の上部には、前述のとおり、分散機120が設けられており、流下してきた穀物190が乾燥機本体150内に均平に堆積する。
【0027】
乾燥機本体180の内部には、上下方向に伸びる熱風路181と排風路182が交互にかつ離隔して複数併設されている。この熱風路181と排風路182の間隙は穀物190の流路(乾燥流路183)として機能する。
【0028】
すなわち、この乾燥流路183それぞれの下流端には、排出ロータリーバルブ184が設けられており、乾燥機本体180内に投入された穀物190は、この排出ロータリーバルブ151により流下が促される。流下する穀物190は、乾燥流路183を通過する際に、熱風路181において熱風の作用により水分を奪われて乾燥される。
【0029】
(穀物乾燥機100による乾燥工程)
ついで、穀物乾燥機100による乾燥工程を説明する。穀物乾燥機100の乾燥工程は、まず、流路の上流側に設置されたスクリューコンベアー110の投入口113に、処理対象物である穀物190を投入することでスタートする。
【0030】
投入された穀物190は、スクリューコンベアー110によりその排出口114まで搬送され、スクリューコンベアー用ホッパー115を介して分散機120に投入される。
【0031】
分散機120によって、穀物190は乾燥機本体180内にできるだけ均平に投入される。投入された穀物190は、乾燥機本体180の乾燥流路183を通過することで水分を奪われて、乾燥された状態で乾燥流路183から排出される。以上が穀物乾燥機100の乾燥工程である。
【0032】
ただし、穀物乾燥機100を循環型の構成とし、穀物190が所定の水分量となるまで、上述の乾燥工程を循環させて乾燥が繰り返されてもよい。
【0033】
なお、穀物190は、米、小麦、大麦、ライ麦、えん麦、稗、粟、トウモロコシ、大豆、小豆、ソバ、キノア、センニンコクのいずれか1つまたは複数であってもよい。また、他の穀物であってもよく、これらの穀物に限定されない。
【0034】
(分散機120の詳細な説明)
ここで、分散機120の構成について詳述する。
【0035】
分散機120は、分散機本体130と、回転軸140と、分散盤150と、受け羽根体160と、発電機170から構成される。
【0036】
(分散機本体130)
分散機本体130は、その上部に位置するホッパー部131と、下部に位置するカバー部134と、ホッパー部131の内側に配置された内筒部139で構成される。ホッパー部131は、下流に向かって縮径していく逆円錐台形状の投入口部132と、この投入口部132の下流側端部から下流側(鉛直方向下側)に向かって伸びる円筒状の排出口部133とで構成される、全体が漏斗状の部材である。
【0037】
カバー部134は、上流部135と、下流部137とで構成される、大略円筒状の部材である。上流部135の下流端側、下流部137の上流端側にはそれぞれフランジ部136、138が設けられており、両部材はフランジ部136、138をねじ止めすることでカバー部134として一体化される。
【0038】
内筒部139は、回転軸140が穀物190と接触することを防ぐためのものである。
【0039】
内筒部139は長尺の筒状の部材であって、その長さはホッパー部131の鉛直方向の長さと同一となっている。内筒部139はホッパー部131の内側において、スポークを用いてホッパー部131と同軸上に配置される。
【0040】
内筒部139には、回転軸140が挿通される。このとき、内筒部139の上下両端部にはベアリング139a、bが設けられており、回転軸140が後述のように回転する際にこれを支持する。
【0041】
なお、分散機120を乾燥機本体180に設置する際も、分散機本体130のカバー部134の両フランジ部136、138を用いる。すなわち、乾燥機本体180の上面には、穀物190の流路となる開口部が設けられているため、まずは、この開口部と同軸上に分散機本体130のカバー部134を配置する。このときに、カバー部134の上流部135および下流部137で、乾燥機本体180の上面を挟み込んだ状態で、両フランジ部136、138をボルトで締結する。これにより、分散機本体130のカバー部134は乾燥機本体180に対して位置決め固定される。
【0042】
次に、位置決めされたカバー部134の上端部に、分散機本体130のホッパー部131を載置する。具体的には、ホッパー部131の投入口部132の高さ方向中間位置に、カバー部134の上端部が当接してこれを支持する状態となるため、この状態でホッパー部131とカバー部134を固着することで、分散機本体130、ひいては分散機120が乾燥機本体180に設置される。
【0043】
(回転軸140)
回転軸140は、分散機本体130の内側に設置される、長尺の軸状の部材である。回転軸140は、後述するように、分散盤150と受け羽根体160と接続され、これらを一体的に回転させるものである。
【0044】
回転軸140は、分散機本体130(分散機本体130の内筒部139)の内側において、ベアリング139a、bを介して、分散機本体130の中心と同軸上に回転可能に支持されている。回転軸140は鉛直方向において分散機本体130より長く設定されているため、分散機本体130内に設置した際には、回転軸140の上下両端部は、分散機本体130の上下端部から僅かに飛び出した状態となる。
【0045】
(分散盤150)
回転軸140の下端には、傘状の分散盤150が設けられている。分散盤150は、流下してきた穀物190を受け止めて強制的に分散させて、乾燥機本体180内にできるだけ均平に投入するために用いられる。
【0046】
分散盤150は、全体が4つの分散シュート部151a~151dで構成される。すなわち、分散盤150は、平面視で中央に位置するハブ152を中心として、互いに垂直な直径によって領域が四等分され、扇形状の第1から第4の四分円154a~154dに分割される。第1から第4の四分円154a~154dの各境界線上には、垂直方向に起立した境界プレート155a~155dが設けられており、この境界プレート155a~155dと、それぞれ対応する第1から第4の四分円154a~154dとにより、上述した4つの分散シュート部151a~151dがそれぞれ区画される。
【0047】
また、4つの分散シュート部151a~151dのうち、対向する分散シュート部151b、151dには、鉛直方向に貫通する落下孔153b、153dが設けられている。この落下孔153b、153dは、後述するように、穀物190を分散盤150の直下に堆積させるために機能する。
【0048】
なお、分散盤150は上記構成に限定されない。穀物190を受け止めて分散させる機能を有すれば、適宜他の構成に変更が可能である。本実施の形態においては、一体の分散盤150を、境界プレート155a~155dで4つの分散シュート部151a~151dに領域分割して、穀物190の流路を4つに分けるよう構成したが、例えば、複数の分散シュート部を別々に配置して流路を分割するよう構成してもよい。
【0049】
(受け羽根体160)
回転軸140の下端側には、受け羽根体160が設けられている。受け羽根体160は、穀物190の流路において、分散機本体130のカバー部134の下流部137と、分散盤150との間の位置に取り付けられる。受け羽根体160は、流下してきた穀物190の力を利用して自身が回転することで、回転軸140を介して分散盤150を回転させる。
【0050】
受け羽根体160は全体で8枚の受け羽根161から構成される。図4~7に示すように、受け羽根161は略扇形の板状の部材であり、その鉛直方向上側を向く面(上面)が略平らに形成されている。受け羽根161は、例えばステンレスや、高張力鋼等で構成される。
【0051】
受け羽根161はその中心角側の端部が回転軸140に固定される。その際、受け羽根161は、鉛直方向と成す角の角度(第1の角度α)が45度の状態で取り付けられる(図6)。
【0052】
また、各受け羽根161は、回転軸140の周方向に等間隔で離隔して設けられている(図4、5)。隣り合う受け羽根161同士は、側面視で高さ方向に部分的に重なり合う(ある受け羽根161の上端縁側と、隣り合う受け羽根161の下端縁側とが鉛直方向で同一線上に位置する)よう配置される。
【0053】
(発電機170)
回転軸140の上端部には、カップリング171を介して発電機170が設けられている。発電機170は、回転軸140の回転を電気に変換して発電する。
【0054】
分散機120の構成は以上である。ついで、分散機120を流下する穀物190の動きと、分散機120の動作について説明する。
【0055】
(分散機120を流下する穀物190の動き)
【0056】
分散機120には、スクリューコンベアー110の排出口114から排出された穀物190が流入する。この穀物190は、分散機本体130のホッパー部131を通過して、その下部に設置された受け羽根体160上に流下する。
【0057】
受け羽根161の上に落下した穀物190は、受け羽根161の上面(鉛直方向上側の面)に沿って流下し、さらにその下部に配置された分散盤150の上に落下する。穀物190は、回転する分散盤150の分散シュート部151に沿って摺動し、円周方向に分散されて乾燥機本体180内に均平になるように流下する。
【0058】
また、分散シュート部151b、151dには落下孔153b、153dが設けられているため、この落下孔153b、153dからも穀物190が乾燥機本体180内に落下して、分散機120の真下にも均平に穀物190が堆積する。
【0059】
(分散機120の動作)
上述のとおり、受け羽根体160の各受け羽根161は流路の途中で一旦穀物190を受け止める。このとき、受け羽根161は、穀物190の重さと流れの勢いから、水平方向の力を受けて回転軸140を中心に回転する。この回転運動により、回転軸140を介して分散盤150もあわせて回転することとなる(分散盤150の回転方向は図3の矢印イの反時計周り方向)。
【0060】
すなわち、本実施の形態に係る分散機120では、穀物190の流れ落差を利用して分散盤150を回転させることができる。その回転にモータ等の動力源は用いていない。そのため、動力源を利用して分散盤を回転させる従来の分散機や穀物乾燥機に比べて、消費電力を抑え、ランニングコストを抑制することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態に係る分散機120はモータレス構造のため、メンテナンス性に優れる。また、本実施の形態に係る分散機120では、動力源を設置しない分、分散機120全体を軽量化できるメリットもある。なお、本実施の形態に係る分散機120はモータレス構造としたが、分散盤150を回転させる手段としてモータ等の動力源を併用することを除外するものではない。
【0062】
さらに、受け羽根161の上面は略平らに形成されている。例えば、上面がアール状の場合には穀物190から受ける力が分散してしまうが、略平らな構成としたため、穀物190からの力を真面に受けることができ、受け羽根体160、ひいては分散盤150をより効率的に回転させることができる。
【0063】
さらに、回転軸140には発電機170が接続されているため、分散盤150が回転するのと同時に発電も行うことができる。
【0064】
なお、穀物乾燥機の構成は、本実施の形態のものに限られない。構成上、上部において穀物を搬送する穀物搬送部(スクリューコンベアー110に相当)を、下部において流下してきた穀物を乾燥する穀物乾燥部(乾燥機本体180に相当)を構成として備え、穀物貯搬送部から流下する穀物を穀物乾燥部において乾燥させる穀物乾燥機であれば、本発明を適用することが可能である。
【0065】
さらに、本実施の形態では、熱風方式の乾燥機を用いて説明したが、本発明はこの乾燥方式に限定されるものではない。例えば、遠赤外線式の乾燥機に本発明を適用することも可能である。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
図8を参照して、本発明に係る分散機および貯留ビンについて説明する。
【0067】
この実施の形態では、分散機を設置する装置が貯留ビンである場合を例にして説明を行う。第1の実施の形態と共通の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
貯留ビン200は、例えば、未乾燥の状態の穀物190を一時貯留しておくために用いられる。貯留ビン200は、貯留ビン本体210と、ビン投入ベルトコンベアー220と、移動ベルトコンベアー230と、分散機120とで構成される。
【0069】
貯留ビン本体210は中空の貯留槽であって、その内部に穀物190を貯留することができる。
【0070】
貯留ビン本体210の上部には、穀物190を搬送するビン投入ベルトコンベアー220が設けられている。さらにその下部には、移動ベルトコンベアー230がガイドレール 231に沿って水平方向に移動可能に設置されている。
【0071】
移動ベルトコンベアー230の水平方向両端には、分散機120が設けられている。この分散機120の構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0072】
穀物190は、まずビン投入ベルトコンベアー220によって水平方向に搬送され、移動ベルトコンベアー230へと投下される。ついで、穀物190は、移動ベルトコンベアー230によりさらに水平方向に搬送され、端部に設けられた分散機120を経て、できるだけ均平になるよう分散されて貯留ビン本体210内に投入されて堆積する。
【0073】
本実施の形態では、複数の貯留ビン本体210が併設されているが、移動ベルトコンベアー230を水平方向に移動させるとともに、そのベルトコンベアーを正逆回転させて投入位置をコントロールすることで、所望の貯留ビン本体210に穀物190を投入することができる。
【0074】
上述のとおり、分散機120の構成は第1の実施の形態と同一としたため、貯留ビン200においても、動力源を用いずに、穀物190の流れ落差を利用して分散盤150を回転させることができる。そのため、モータ等の動力源を利用する分散機を設けた貯留ビン200に比べて、消費電力を抑え、ランニングコストを抑制することができる。
【0075】
また、回転軸140に接続した発電機170で同時に発電を行うこともできる。
【0076】
なお、貯留ビンの構成は、本実施の形態のものに限られない。構成上、上部において穀物を搬送する穀物搬送部(ビン投入ベルトコンベアー220および/または移動ベルトコンベアー230に相当)を、下部において流下してきた穀物を貯留する穀物貯留部(貯留ビン本体210に相当)を構成として備え、穀物貯搬送部から流下する穀物を穀物貯留部において貯留する穀物貯留ビンであれば、本発明を適用することが可能である。
【0077】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0078】
本実施の形態では、処理対象物が穀物である場合を例にして説明を行ったが、処理対象物は穀物に限られない。例えば、いも類、根菜類、鱗茎類、豆類(種実)、豆類(未成熟)、うり類、なす科果菜類、あぶらな科野菜(花蕾及び茎)、葉菜類、茎野菜類、食用花類などの野菜類を分散機で分散する際にも本発明を用いることができる。さらに、かんきつ類、仁果類、核果類、ベリー類等の小粒果実類などの果樹類や、きのこ類を分散機で分散する際にも本発明を用いることができる。さらに、擬似穀類又は擬似穀粒を分散機で分散する際にも本発明を用いることができる。また、処理対象物は食材に限られるものではない。
【0079】
また、本実施の形態においては、受け羽根161の第1の角度αは45度に設定したが、これに限られない。受け羽根161が穀物190から受ける力を効率的に回転運動に変換するためには、約35度~約50度の範囲内で設定することが望ましい。ただし、この値は好適な一例を示すに過ぎず、第1の角度αを、約35度~約50度の範囲外に設定することを除外するものではない。
【0080】
また、本実施の形態においては、受け羽根体160は、合計で8枚の受け羽根161で構成したが、この枚数に限られない。図9、10に示すように、4枚、6枚の受け羽根161で受け羽根体160を構成してもよい。ただし、この値は好適な一例を示すに過ぎず、これら以外の枚数の受け羽根161で受け羽根体160を構成することを除外するものではない。
【符号の説明】
【0081】
100・・・穀物乾燥機
110・・・スクリューコンベアー
120・・・分散機
130・・・分散機本体
140・・・回転軸
150・・・分散盤
151a~151d・・・分散シュート部
160・・・受け羽根体
161・・・受け羽根
170・・・発電機
180・・・乾燥機本体
190・・・穀物
200・・・貯留ビン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体内に配置される回転軸と、
前記回転軸に設けられ、前記本体内に投入される処理対象物の流路に配置される分散盤と、
鉛直方向と成す角が第1の角度をもって前記回転軸に設けられた複数の受け羽根で構成され、前記流路において前記分散盤よりも上流側に配置される受け羽根体と、
を備え、
前記回転軸には発電機が設けられており、
前記受け羽根体は、流下する前記処理対象物から水平方向の力を受けて、前記回転軸を介して前記分散盤を回転させる
前記分散盤を回転させるための動力源が搭載されていない分散機。
【請求項2】
前記第1の角度は約35度~約50度である
請求項1に記載の分散機。
【請求項3】
前記受け羽根は、前記回転軸の周方向に離隔して4枚~8枚設けられている
請求項1に記載の分散機。
【請求項4】
前記受け羽根は、前記処理対象物を受け止める上面が略平らである
請求項1に記載の分散機。
【請求項5】
前記処理対象物は穀物である
請求項1に記載の分散機。
【請求項6】
前記処理対象物は米、小麦、大麦、ライ麦、えん麦、稗、粟、トウモロコシ、大豆、小豆、ソバ、キノア、センニンコクのいずれか1つまたは複数である
請求項1に記載の分散機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の分散機を含む乾燥機。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の分散機を含む貯留ビン。