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特開2024-61129電動ディスクグラインダ用アタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061129
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】電動ディスクグラインダ用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/10 20060101AFI20240425BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240425BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B24B55/10
B24B23/02
B23Q3/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168862
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】522413261
【氏名又は名称】株式会社ビルドリペア
(74)【代理人】
【識別番号】100200632
【弁理士】
【氏名又は名称】若▲崎▼ 義和
(72)【発明者】
【氏名】関口 和義
【テーマコード(参考)】
3C016
3C047
3C158
【Fターム(参考)】
3C016FA33
3C047FF07
3C047FF17
3C047JJ02
3C047JJ12
3C047JJ15
3C158AA02
3C158AA16
3C158AC05
3C158CB03
3C158CB04
3C158CB07
(57)【要約】
【課題】小径の研削ホイールを用いて研削するときに、電動ディスクグラインダのヘッド部やアタッチメントと被研削物とが干渉せず、十分な切込みが可能なアタッチメントを提供すること。
【解決手段】
電動ディスクグラインダのスピンドルを中心部に接続される回転入力部と、切削ホイールを取り付けるシャフトを中心部に軸着した回転出力部と、回転入力部に入力された回転力を回転出力部へ伝達する伝達部と、回転入力部と回転出力部のそれぞれの軸を平行に軸支する軸受け部と、回転入力部と回転出力部と伝達部と軸受け部とを内包した略長円形のハウジングとを有し、ハウジングにはスピンドルが回転入力部へ到達するための開口部が設けられているとともに、スピンドルを軸支する電動ディスクグラインダの軸受けカバーと密着して固定する取付け部を備え、ハウジングの回転出力部側の端部の曲率半径が取付け部の外接円の半径より小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ディスクグラインダのスピンドルを中心部に接続される回転入力部と、
切削ホイールを取り付けるシャフトを中心部に軸着した回転出力部と、
前記回転入力部に入力された回転力を前記回転出力部へ伝達する伝達部と、
前記回転入力部と前記回転出力部のそれぞれの軸を平行に軸支する軸受け部と、
前記回転入力部と前記回転出力部と前記伝達部と前記軸受け部とを内包した略長円形のハウジングとを有し、
当該ハウジングには、前記スピンドルが前記回転入力部へ到達するための開口部が設けられているとともに、前記スピンドルを軸支する前記電動ディスクグラインダの軸受けカバーと密着して固定する円筒状に突出した取付け部を備え、
前記ハウジングの前記回転出力部側の端部の曲率半径が前記取付け部の外接円の半径より小さい電動ディスクグラインダ用アタッチメント。
【請求項2】
前記ハウジングに対して、前記回転入力部に接続する前記スピンドルが取り付けられる方向と、前記回転出力部に軸着した前記シャフトの立設する方向とが同一である
ことを特徴とする請求項1に記載の電動ディスクグラインダ用アタッチメント。
【請求項3】
前記回転入力部は中心部に雌ネジを形成した入力歯車であり、前記回転出力部は前記シャフトを軸着した出力歯車であり、前記伝達部は前記入力歯車と前記出力歯車とに係合する中間歯車である
ことを特徴とする請求項2に記載の電動ディスクグラインダ用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ディスクグラインダ用のアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、手持ちの電動ディスクグラインダに使用する砥石ディスクには研削用、切断用、研磨用、さび・汚れ落とし用など様々な種類のものがあった。また、そのディスクの大きさや厚さも用途ごとに用意され使い分けられていた。
【0003】
しかしながら、壁と床との屈曲部のような狭い空間での研削や小さく細かな研削作業を行うために、直径が従来の半分程度の研削ホイールを電動ディスクグラインダに取り付けて研削しようとした際、被研削物と電動ディスクグラインダのモーターを収納するヘッドカバー部分が被研削物と干渉してしまい研削ホイールが被研削物まで届かないという課題があった。
【0004】
一方で、電動工具に様々なアタッチメントを取り付けて用途の拡充や課題解決を図ることも行われており、例えば、電動切断工具用のアタッチメントとしては、特許文献1に記載されているようなものがあった。
【0005】
図10は、特許文献1に記載された従来のアングルアタッチメントを示すものである。
【0006】
図10において、アングルアタッチメントは第1の軸1152と第1のギヤ1154とを含むアセンブリ1150と、第2の軸1172と第2のギヤ1174とを含んでいる第2のアセンブリ1170とを含んでいる。第2のギヤは第1のギヤと係合し、第2の軸の中心長手軸線は第1の軸の中心長手軸線と同一線上でもなく並行でもないものであった。
【0007】
また、ねじやナットの締め付けや緩める作業を通常の電動工具では使用できない限られた空間で使用されるアタッチメントとして、特許文献2に記載されているものがあった。
【0008】
図11は、特許文献2に記載された従来の電動工具のためのアタッチメント部品である。
【0009】
図11において、電動工具用のアタッチメント部品は、上部ハウジング部2111と下部ハウジング部2112と上部および下部ハウジング部を相互接続するための相互接続手段とを含む細長いハウジングを備えた。電動工具の出力軸に接続するための入力歯車2131は、ハウジングの第1の端部2113に配置された。出力接続部2132aを備える出力歯車は、ハウジングの第2の端部2114に配置された。相互接続手段は、入力歯車を収容し、上部ハウジング部の第1の端部で第1の中心穴を貫通して延びるスリーブ部材と、下部ハウジング部の第1の端部で第2の中心穴を貫通して延び、上部および下部ハウジング部を締め付けるためのスリーブ部材に固定されるように配置される固定部材とを備えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-261959号公報
【特許文献2】特表2021-524387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来例の特許文献1に記載のアングルアタッチメントは、スピンドルが電動切断工具本体の長手方向と同一方向に突出したストレートタイプの電動工具用のアングルアタッチメントであって、スピンドルが本体の長手方向に対し直角方向に突出したアングルタイプについて使用できるものではなかった。
【0012】
また、従来例の特許文献2に記載のアタッチメント部品は、ねじやナットを締め付け等行うものであったため、出力接続部2132aは電動工具を取り付ける側と反対側に突出するようにビットを取り付けるものであった。また、研削ホイールを取り付けられるものでもなかった。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するためになされ、その目的とするところは、小径の研削ホイールをアングルタイプの電動ディスクグラインダに取り付けて研削・切断するときに、電動ディスクグラインダのヘッド部やアタッチメントと被研削物とが干渉せず、十分な切込みが可能なアタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決する本発明に係る電動ディスクグラインダ用アタッチメントは、電動ディスクグラインダのスピンドルを中心部に接続される回転入力部と、切削ホイールを取り付けるシャフトを中心部に軸着した回転出力部と、その回転入力部に入力された回転力をその回転出力部へ伝達する伝達部と、その回転入力部と回転出力部のそれぞれの軸を平行に軸支する軸受け部と、その回転入力部と回転出力部と伝達部と軸受け部とを内包した略長円形のハウジングとを有する。そして、そのハウジングには、そのスピンドルがその回転入力部へ到達するための開口部が設けられているとともに、そのスピンドルを軸支する電動ディスクグラインダの軸受けカバーと密着して固定する取付け部を備え、そのハウジングの回転出力部側の端部の曲率半径がそのハウジングの取付け部の外接円の半径より小さいものである。
【0015】
これによって、研削ホイールを取り付けるシャフトが電動ディスクグラインダから離れた位置に平行移動するので、被研削物と電動ディスクグラインダとが干渉することなく、また、小径の研削ホイールを使用しても被研削物とハウジングが干渉することなく研削することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る電動ディスクグラインダ用アタッチメントのハウジングに対して、その回転入力部に接続するそのスピンドルが取り付けられる方向と、その回転出力部に軸着したシャフトの立設する方向とが同一である。
【0017】
これにより、アタッチメントに取り付けた研削ホイールの位置研削ホイールの位置と、電動ディスクグラインダのスピンドルの軸受けとのスピンドル長手方向の距離は僅かなものとなるので、電動ディスクグラインダ本体を把持して被研削物を研削したときに受ける、電動ディスクグラインダ本体の長手方向を軸とする回転方向の力を受けることがなく、研削作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る電動ディスクグラインダ用アタッチメントの回転入力部は中心部に雌ネジを形成した入力歯車であり、その回転出力部はそのシャフトを軸着した出力歯車であり、その伝達部は入力歯車と出力歯車とに係合する中間歯車である。
【0019】
これによって、アタッチメントは重荷重に耐えられるので、アタッチメントを付けた状態でも、電動ディスクグラインダが本来備えている研削能力を減少させることなしに被研削物を研削することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、電動ディスクグラインダ本体が被研削物と干渉することなく、被研削物を研削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1における、研削ホイールを取り付けた電動ディスクグラインダ用アタッチメントの外観図
図2】本発明の実施の形態1における、研削ホイールを取り付けた電動ディスクグラインダ用アタッチメントの分解斜視図
図3】本発明の実施の形態1におけるディスクグラインダ用アタッチメントの平面図
図4】本発明の実施の形態1における、研削ホイールを取り付けた電動ディスクグラインダ用アタッチメント装置の断面図
図5】本発明の実施の形態1における電動ディスクグラインダ用アタッチメントのハウジングに収納される歯車列を示す図
図6】(a)本発明の電動ディスクグラインダ用アタッチメントのハウジングに収納されるベルトによる駆動伝達構造を示す図、(b)本発明の電動ディスクグラインダ用アタッチメントのハウジングに収納されるチェーンによる駆動伝達構造を示す図
図7】本発明の実施の形態1における電動ディスクグラインダ用アタッチメントを電動ディスクグラインダに装着したときの部分断面図
図8】本発明の実施の形態1における電動ディスクグラインダにアタッチメントを装着して小径の研削ホイールにより対象物を研削する状態を示す図
図9】電動ディスクグラインダに小径の研削ホイールを直接取り付けて被研削物を研削する状態を示す図
図10】従来の電動工具用アングルアタッチメントの分解斜視図
図11】従来の電動工具用アタッチメントの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1における電動ディスクグラインダ用アタッチメントの外観図であり、研削ホイール301が取り付けられた状態を示している。図2は電動ディスクグラインダ用アタッチメントの分解斜視図である。図3図1に示す研削ホイールが取り付けられた電動ディスクグラインダ用アタッチメントの平面図であり、図4図3に示す歯車111と出力シャフト132の中心を通るA-A断面線で切断されたときの断面図である。
【0024】
図1から図4において、アタッチメント10は入力された回転力を回転軸が平行な位置関係にある出力軸に伝達し回転出力する機構を内蔵するギヤボックス100と回転出力軸に取り付けられた研削ホイールの一部をカバーする集塵カバー200とから構成される。
【0025】
ギヤボックス100は2つの曲率が異なる端部を有する略長円形であって厚みが均一な立体形状をしており、曲率半径の大きい側の端部には円筒状の接続ヘッド103が突出している。また、曲率半径の小さい側の端部にも接続ヘッド103と同じ方向に円筒状のボス105が突出している。さらに、接続ヘッド103の中心とボス105の中心との中間部にも略円筒状で高さがボス105よりも低いボス104が突出しており、その一部が接続ヘッド103に食い込む形状をしている。
【0026】
このギヤボックス100のハウジングは、アルミニウム製であって、厚み方向で第1ハウジング部101と第2ハウジング部102とに分かれており、5本のビス141により接合される。
【0027】
接続ヘッド103は電動ディスクグラインダのスピンドルの軸受けカバーと密着して接合するものであるが、その軸受けカバーを包み込むようにして取り付けるためのビス孔106が2箇所開けられている。なお、この接続ヘッド103が本発明に係る取付け部に該当する。
【0028】
また、ボス105も第2ハウジング部102から突出しているが、これは集塵カバー200を取り付けるためのものである。
【0029】
図5はギヤボックス100のハウジング内に収納される歯車列の構成を説明するための図である。図5において、ハウジング内には直線状に3個の歯車がそれぞれ噛み合って配置されており、第2ハウジング部102に設けた、3つの円柱の一部が重なって直線状に連結した穴161に収納されている。なお、これらの歯車はいずれも炭素鋼鋼材からなる。
【0030】
接続ヘッド103側の端部にある歯車111は回転力を電動ディスクグラインダから受け取る入力歯車であり、もう一方の端部にある歯車131は回転力を出力する出力歯車であり、両歯車の中間に入力歯車111と出力歯車131それぞれと噛み合う歯車121が回転力を伝達する中間歯車である。なお、入力歯車は本願発明に係る回転入力部に該当し、出力歯車は本願発明に係る回転出力部に該当し、中間歯車は本願発明に係る伝達部に該当する。
【0031】
本実施の形態では、入力歯車111と出力歯車121とは半径と歯数を同一にすることで、電動ディスクグラインダの出力する回転数とトルクと同一の回転数とトルクを出力歯車が出力する構成としている。さらに、中間歯車121を一つのみ介しているので出力歯車の回転方向も入力歯車と同一である。
【0032】
そして、図4に示すように、歯車111に軸112が一体形成されており、これらの中心部には電動ディスクグラインダのスピンドルと螺合するための孔113が開けられている。本実施の形態における電動ディスクグラインダのスピンドルには研削ホイールを取り付けるための雄ねじが形成されているので、この雄ねじと嵌め合わせるために歯車111と軸112の孔113の内面には雌ねじが切られている。
【0033】
また、歯車121の中心部には軸122が嵌挿され、歯車121に固定されている。
【0034】
さらに、歯車131の中心部にも回転出力となるシャフト132が嵌挿され、キー133により固定されている。このシャフトは電動ディスクグラインダのスピンドルの代わりになるものであり、後述する研削ホイールを取り付け固定するための雄ねじ136が第2ハウジングを貫通して突出したシャフト132の先端近くに設けられている。
【0035】
そして、これらの歯車111と軸112、歯車121と軸122、そして歯車131とシャフト132は、第1ハウジング部101および第2ハウジング部102に設けられた、対応する穴に収納される。すなわち、図4に示すように、軸112は第1ハウジング部101に設けた滑り軸受151により支持され、軸122は第1ハウジング部101に設けた穴152に装着した軸受123と、第2ハウジング部102に設けた穴162に装着した軸受124とにより支持され、出力用シャフト132は第1ハウジング部101に設けた穴153に装着した軸受134と、第2ハウジング部102に設けた穴163に装着した軸受135により支持される。なお、滑り軸受151と軸受134と軸受135は本願発明に係る軸受け部に該当する。
【0036】
次に、集塵カバー200の構成を説明する。
図2において、集塵カバー200はステンレス鋼でできており、ホイールカバー部201と取付け部202とフラップ203と付勢部204と吸引管205とからなる。
【0037】
ホイールカバー部201は研削ホイールの一部をカバーし使用者の安全を確保すると共に、研削により生じる粉塵が周辺へ飛散することを抑えるものである。
【0038】
吸引管205は吸引機(図示していない)と接続してエアーを吸引し、粉塵を吸い込む管であり、ホイールカバー部201の研削ホイール301の回転方向下流端部の近傍に外周壁208を貫通して接合している。
【0039】
取付け部202は第2ハウジング部102のボス105の外周に取り付けて締め付けネジによりギヤボックス100と接合するリング金具である。
【0040】
フラップ203はホイールカバー部201の上記回転方向下流端部に設けられ、ホイールカバー部201の両側壁209に設けた長孔206にピン207を挿入して摺動可能に取付けられている。さらに、そのボス105側のピン207にねじりバネ204の一端が取り付けられ、他端がホイールカバー部201のボス105側の側壁206に固定されたピンに取り付けられている。
【0041】
本発明に係るアタッチメント10は以上の構成であるが、インナフランジ302とナット303は研削ホイール301をシャフト132に取り付けるためのものである。研削ホイール301はこれらを用いてホイールカバー部201の両側壁209の内側に取り付けられるが、そのために、まず、インナフランジ302をシャフト132に通し、ボス105へ押し当てた後、研削ホイール301をシャフト132に通す。その後、ナット303をシャフト132に通し、雄ねじ部137にねじ込んで研削ホイール301を固定する。
【0042】
以上のように構成された電動ディスクグラインダ用アタッチメントについて、以下にその動作と作用・効果を説明する。
【0043】
その前に、アタッチメント10の電動ディスクグラインダ10への取り付けについて説明する。
【0044】
図7は、アタッチメント10に電動ディスクグラインダ20を取り付けた状態を示す部分断面図であり、電動ディスクグラインダ20のスピンドル24は軸受けカバー23から突出しており、先端付近には研削ホイールを取り付けるための雄ねじ25が設けられている。
【0045】
まず、はじめに、電動ディスクグラインダ20のスピンドル24をロック状態にした上で、図3の紙面手前側から歯車111の中心に当該スピンドル24を嵌め合わせ、電動ディスクグラインダの軸受けカバー23とアタッチメントの接続ヘッド103とが密着するまでスピンドル24をアタッチメント10にねじ込む。このスピンドルには、研削ホイールを取り付けるための雄ねじ25が設けられているので、歯車111と軸112の中心部内壁に切られている雌ねじと螺嵌してスピンドル24に固定できる。
【0046】
次に、電動ディスクグラインダのスピンドルのロックを解除する。そして、電動ディスクグラインダの軸受けカバーとアタッチメント10と取付け角度を決め、接続ヘッド103に設けられた2つの孔106にビスを通して電動ディスクグラインダの軸受けカバー23に締め付けて固定する。
【0047】
このように、電動ディスクグラインダのスピンドル24に雄ねじが形成されている場合、アタッチメント10との接続に特別なコネクターを必要とせずに取り付けることができ、また、電動ディスクグラインダとアタッチメント10とは任意の角度で固定することができる。さらにまた、スピンドルの軸方向の位置が固定されることで入力歯車111の軸方向の位置も固定されるので、簡単な構成で入力歯車111と中間歯車121との係合を確実なものにすることができる。さらに、アタッチメント10は電動ディスクグラインダの軸受けカバー23と密着するので、研削による粉塵がアタッチメント内部の歯車機構へ付着することを防ぐことができる。
【0048】
次に、電動ディスクグラインダのスイッチをオンにしてスピンドル24を回転させたときのアタッチメント10の各部の動作を説明する。
【0049】
電動ディスクグラインダをオンにしてスピンドル24を回転させると、スピンドルに固定されている入力歯車111が回転し、その回転力が中間歯車121を介して出力歯車131に伝わり、出力歯車131は入力歯車111と同一の回転速度とトルク、および、同じ回転方向で回転する。これにより、出力歯車131の中心軸のシャフト132に固定されている研削ホイール301が、電動ディスクグラインダのスピンドルに直接取り付けたときと同一の回転速度、トルクおよび回転方向で回転する。
【0050】
このように、アタッチメント10は、入力された回転力を回転軸が平行な位置関係にある出力軸であるシャフト132に伝達し回転出力できる。また、アタッチメントを構成する歯車列は重荷重に耐えられるので、アタッチメントを付けた状態でも、電動ディスクグラインダが本来備えている研削能力を減少させることなしに被研削物を研削することができる。
【0051】
次に、被研削物を研削するときのアタッチメント10の動作、作用を説明する。
【0052】
アタッチメント10が被研削物を研削するときには被研削物から反力を受ける。このとき、図7に示すように、アタッチメント10のシャフト132は、歯車列111、121、131に対して電動ディスクグラインダ20側へ突出しているので、それに取り付けられた研削ホイール301の位置と、電動ディスクグラインダのスピンドル24の軸受け26とのスピンドル長手方向の距離f(以下、オフセットという。)は僅かなものである。
このため、電動ディスクグラインダ20を把持して被研削物を研削したときに生じる、電動ディスクグラインダ20本体の長手方向を軸にして回転させるようなモーメント力は極めて小さいので安定した研削作業をすることができる。
【0053】
これに反して、破線で示すようにシャフト132を歯車列111、121、131に対して電動ディスクグラインダ20と反対側へ突出して研削ホイール301を取り付け、被研削物を研削するとオフセットgが大きくなるため、それに伴って電動ディスクグラインダ20を把持する手には電動ディスクグラインダ20本体の長手軸を中心に回転させるようなモーメント力が働き、研削作業が行いにくくなる。
【0054】
このように、アタッチメント10のシャフト132を、歯車列111、121、131、すなわち、ハウジングに対して電動ディスクグラインダ20のスピンドルと同じ方向へ突出させることは、電動ディスクグラインダ20を把持する手にかかるモーメント力を小さく抑えることができるので、研削作業をする上で大きな利点がある。
【0055】
また、図8は、アタッチメント10を取り付けた電動ディスクグラインダで壁面のタイルを研削するときの図である。なお、研削ホイール301は直径60ミリメートルのものでる。
【0056】
図8において、電動ディスクグラインダに取り付けられたアタッチメント10は壁30に対して、集塵カバー200のフラップ203の先端部203aが平行に接するように押し当てて、研削ホイール301を壁30の下方へ移動して研削する。なお、このときの研削ホイール301の回転方向は反時計回りである。
【0057】
図から明らかなように、研削ホイール301は壁30がアタッチメント10のハウジングと干渉するまでの距離aだけ研削することができる。
【0058】
ここで、本実施の形態におけるアタッチメント10の大きさについて説明する。
【0059】
研削ホイール301の深さ方向の切込み量を大きくするためにはアタッチメント10の研削ホイール取付け側ハウジングの端部の曲率半径を可能な限り小さくすることが必要になる。この曲率半径は出力歯車131の基準円直径プラス5乃至6ミリメートル程になるが、前述した通り出力歯車131の直径と歯数は入力歯車111のそれらと同一である。したがって、入力歯車111の直径を極力小さくすることが求められる。この入力歯車111の基準円直径は、電動ディスクグラインダの最大トルクと中間歯車121の大きさに影響を受ける。
【0060】
電動ディスクグラインダの最大トルクは、アタッチメント10の使用対象のものを用いるが、電動ディスクグラインダ内部の歯車のモジュールを参考にすることもできる。また、中間歯車121の大きさは、1個の中間歯車121を使用するとした場合、図3に示すように、接続ヘッド103とホイールカバー部201とが干渉しない距離以上を入力歯車111と出力歯車131の中心間距離dとして保てるものであることと、入力歯車111(出力歯車131)と中間歯車121間の歯先の干渉を起こさないようにすることとから求める。
【0061】
本実施の形態においては、電動ディスクグラインダの内部の歯車のモジュールを参考にして入力歯車111(出力歯車131)と中間歯車121のモジュールを1.5とし、入力歯車111(出力歯車131)の歯数を12とした。また、入力歯車111と出力歯車131の中心間距離を60ミリメートルとした。
【0062】
これらから、入力歯車111と出力歯車131の基準円直径は18ミリメートルとなり、中間歯車121の基準円直径を42ミリメートルとした。これにより、アタッチメント10の研削ホイール取付け側のハウジング端部の曲率半径bは15ミリメートルとなった。なお、接続ヘッド103は、電動ディスクグラインダの軸受けカバーを抱擁する形で密着するので、本実施の形態では、その外径が48ミリメートルであった。
【0063】
したがって、本実施の形態において、アタッチメント10に取り付けられた研削ホイール301の直径が60ミリメートルであるので、研削ホイール301の深さの切込み量は最大15ミリメートルを確保できる。すなわち、アタッチメント10の研削ホイール3取付け側のハウジング端部の曲率半径b(15ミリメートル)を接続ヘッド103の外接円の半径(24ミリメートル)より小さくすることにより、小径の研削ホイールを使用しても十分な切込み量を得ることが可能になる。
【0064】
これに対し、図9はアタッチメント10を使用せず、電動ディスクグラインダのスピンドルに研削ホイール301を直接取り付けた状態を示している。なお、図9において電動ディスクグラインダと研削ホイール301との関係を分かりやすくするために集塵カバーを省略している。
【0065】
図9において、壁30と破線で示す電動ディスクグラインダのヘッド部22との距離aが極めて近いため、直径60ミリメートルの研削ホイール301を使用して壁30を研削することができない。
【0066】
このように、本実施の形態において、電動ディスクグラインダにアタッチメント10を取り付けることにより、研削ホイールの直径が小さなものでも電動ディスクグラインダのヘッド部と被研削物とが干渉しなくなるのは勿論のこと、アタッチメント10のハウジングと被研削物との距離を十分にとれるので、壁と床との屈曲部のような狭い空間での研削や小さく細かな研削作業を行うことが可能になる。
【0067】
次に、アタッチメント10の集塵カバーの動作・作用について説明する。
【0068】
図8において、集塵カバー200の吸引管205は図示していない吸引機がエアーを吸引することで、研削ホイール301が反時計回りに回転して被研削物を研削したときに生じる粉塵を吸引する。このとき、ホイールカバー部201とフラップ203により粉塵が飛散することを防止している。特に、本実施の形態では、ホイールカバー部201に取り付けられたフラップ203が、ねじりバネ204により通常状態では、ホイールカバー部201から離れる方向に付勢されているが、被研削物である壁30と接触し、先端部203aが押圧されると、押圧に反する力で壁30に接触したまま、ホイールカバー部201に近づくように移動する。
【0069】
すなわち、壁30が破線部までアタッチメント10との距離が相対的に近づいたとき、フラップの先端部203aは破線で示したフラップ203の位置まで壁30と接触し続けたまま移動することができる。
【0070】
これにより、研削ホイール301が壁30を研削することで生じた粉塵がホイールカバー部201の下方へ飛散することを防いで吸引管205内に吸い込まれるので、研削作業中の粉塵の飛散を高い確率で抑えることが可能になる。
【0071】
以上のように、本実施の形態においては、電動ディスクグラインダ用アタッチメントは、電動ディスクグラインダのスピンドルを中心部に接続される入力歯車と、切削ホイールを取り付けるシャフトを中心部に軸着した出力歯車と、その入力歯車に入力された回転力をその出力歯車へ伝達する中間歯車と、その入力歯車と出力歯車のそれぞれの軸を平行に軸支する軸受け部と、その入力歯車と出力歯車と中間歯車と軸受け部とを内包した略長円形のハウジングとを有する。そして、そのハウジングには、そのスピンドルがその入力歯車へ到達するための開口部が設けられているとともに、そのスピンドルを軸支する電動ディスクグラインダの軸受けカバー部と密着して固定する接続ヘッドを備える。そして、さらに、そのハウジングの出力歯車側の端部の曲率半径が接続ヘッドの外接円の半径より小さい。
【0072】
これにより、本発明に係るアタッチメントを使用すれば、電動ディスクグラインダのスピンドルに研削ホイールを直接取り付けたときに、電動ディスクグラインダのヘッドと部と被研削物とが干渉してしまうような小径の研削ホイールであっても、研削ホイールの外周とアタッチメントのハウジングとの距離を確保することができるので、被研削物とアタッチメントとが干渉することなく当該電動ディスクグラインダによる研削をすることが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態では、電動ディスクグラインダ用アタッチメントのハウジングに対して、その入力歯車に接続する、電動ディスクグラインダのスピンドルが取り付けられる方向と、その出力歯車に軸着したシャフトの立設する方向とが同一である。
【0074】
これにより、アタッチメントに取り付けた研削ホイールのオフセットを小さくできるので、電動ディスクグラインダ本体を把持して被対象物を研削したときに受ける、電動ディスクグラインダ本体の長手方向を軸とする回転方向の力を受けることがなく、研削作業を容易に行うことができる。
【0075】
また、本実施の形態では、集塵カバー200のホイールカバー部201にねじりバネ204により通常状態では、ホイールカバー部201から離れる方向に付勢されるフラップ203を取り付けてある。
【0076】
これにより、フラップ203が被研削物である壁30と接触し、その先端部203aが押圧されると、押圧に反する力で壁30に接触したまま、ホイールカバー部201に近づくように移動する。そのため、研削ホイール301が壁30を研削することで生じた粉塵がホイールカバー部201の下方へ飛散することを防いで吸引管205内に吸い込むことができるので、研削作業中の粉塵の飛散を抑えることが可能になる。
【0077】
なお、本実施の形態においては、中間歯車は1個のみの構成としたがこれに限らず、奇数個の中間歯車を使用することも可能である。
【0078】
これにより、入力歯車と出力歯車の中心間距離dを長くすることができる。
【0079】
また、本実施の形態においては、3個の歯車を直列に連結していたが、これに限らず、図6(a)に示すように、中間歯車を使用せず、歯付きベルト401を用いて入力プーリー402の回転力を出力プーリー403へ伝達することも可能である。
【0080】
これにより、アタッチメント10の歯車同士による騒音がなくなるので、静音化が可能になる。
【0081】
また、図6(b)に示すように、中間歯車を使用せず、チェーン404を用いて、入力スプロケット405の回転力を出力スプロケット406へ伝達することも可能である。
【0082】
これにより、アタッチメント10の入力スプロケット405から出力スプロケット406への伝達能力が増すので、より出力の高い電動ディスクグラインダ使用することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、電動ディスクグラインダに取り付けるアタッチメントに有用であり、直径の小さな研削ホイールを用いて研削するのに適している。
【符号の説明】
【0084】
10 アタッチメント
【0085】
20 電動ディスクグラインダ
22 ヘッド部
23 軸受けカバー
24 スピンドル
26 軸受け
30 壁
100 ギヤボックス
101 第1ハウジング部
102 第2ハウジング部
103 接続ヘッド
104、105 ボス
106 ビス孔
111 入力歯車
112、122 軸
121 中間歯車
123、124、134、135 軸受け
131 出力歯車
132 出力シャフト
133 キー
136 雄ねじ
141 ビス
151 滑り軸受
152、153、161、162 穴
201 ホイールカバー部
202 取付け部
203 フラップ
203a 先端部
204 付勢部
205 吸引管
206 長孔
207 ピン
208 外周壁
209 側壁
301 研削ホイール
302 インナフランジ
303 ナット
401 歯付きベルト
402 入力プーリー
403 出力プーリー
404 チェーン
405 入力スプロケット
406 出力スプロケット
1150 アセンブリ
1152 第1の軸
1154 第1のギヤ
1170 第2のアセンブリ
1172 第2の軸
1174 第2のギヤ
2111 上部ハウジング部
2112 下部ハウジング部
2113 第1の端部
2114 第2の端部
2131 入力歯車
2132a 出力接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11