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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061130
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240425BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240425BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20240425BHJP
   B23K 101/42 20060101ALN20240425BHJP
【FI】
H05K3/34 505B
B23K1/00 330E
B23K3/06 P
B23K3/06 H
B23K101:42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168863
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】三門 幸信
(72)【発明者】
【氏名】戸川 良樹
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AC01
5E319BB04
5E319BB05
5E319CD02
5E319CD26
5E319CD29
5E319CD60
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】半田バンプのリフロー時におけるウィッキングを抑える技術を提供する。
【解決手段】本開示の配線基板10の製造方法は、配線基板10を覆うマスク20の複数の貫通孔21に半田めっき16Aが充填されて配線基板10上の複数の半田バンプ16が形成されてからマスク20が取り除かれる製造方法であり、マスク20が取り除かれる前に、複数の半田バンプ16の頂部が平面加工される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板を覆うマスクの複数の貫通孔に半田が充填されて前記配線基板上の複数の半田バンプが形成されてから前記マスクが取り除かれる配線基板の製造方法において、
前記マスクが取り除かれる前に、前記複数の半田バンプの頂部が平面加工される平面加工工程を有する。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記平面加工工程で、前記複数の半田バンプの頂部は、前記マスクの表面と一緒に研削又は切削される。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
前記複数の貫通孔に充填される半田がリフローされて固化し、上面が表面張力により膨出した形状に前記複数の半田バンプが形成されるリフロー工程を有し、
前記平面加工工程では、各前記半田バンプの膨出する上面のうち外縁部より内側が平面加工される。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板の製造方法において、
配線基板の最外層の導電層の上にソルダーレジスト層が積層されてからその上に追加樹脂層が積層され、それらソルダーレジスト層と追加樹脂層とに合わせて前記複数の貫通孔が形成されて複数のパッドが形成されると共に、前記追加樹脂層が前記複数のパッドに対応する前記複数の貫通孔を有する前記マスクになる穿孔工程を有する。
【請求項5】
複数の半田バンプを備える配線基板であって、
前記複数の半田バンプのうち配線基板の外面から突出する半田バンプ本体部は、円柱状をなし、
先端面が平坦な加工面をなし、
先端部の外周面が、先方に向かうに従って縮径する傾斜面になっている。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板であって、
前記半田バンプ本体部の外周面のうち先端部の下方には、前記傾斜面と連続する円筒面が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の半田バンプを有する配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配線基板の製造方法として、フラッタニング処理にて複数の半田バンプが加圧されて頂部を平面加工される製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-223065号公報(段落[0009],図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の製造方法で製造される配線基板の複数の半田バンプは、リフローされる際にウィッキングし易いという問題がある。これに対し、ウィッキングを抑える技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた配線基板の製造方法は、配線基板を覆うマスクの複数の貫通孔に半田が充填されて前記配線基板上の複数の半田バンプが形成されてから前記マスクが取り除かれる配線基板の製造方法において、前記マスクが取り除かれる前に、前記複数の半田バンプの頂部が平面加工される平面加工工程を有する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の配線基板の製造方法では、複数の半田バンプは、マスクの複数の貫通孔に収まり、側方への変形を規制された状態で頂部を平面加工される。これにより、従来の製造方法で生じる半田バンプの側方への膨みが抑えられ、駄肉が少ない半田バンプの形成が可能になる。そして、半田バンプの駄肉が少なくなることで、従来よりウィッキングが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態に係る配線基板の拡大断面図
図2】半田バンプの拡大断面図
図3】半田バンプの拡大断面図
図4】(A)ソルダーレジスト積層工程の配線基板の断面図、(B)開口形成工程の配線基板の断面図
図5】(A)マスク層積層工程の配線基板の断面図、(B)穿孔工程の配線基板の断面図
図6】(A)クリーム半田充填工程の配線基板の断面図、(B)リフロー工程の配線基板の断面図
図7】(A)平面加工工程の配線基板の断面図、(B)マスク層除去工程の配線基板の断面図
図8】CMP研磨機及び平面加工工程の配線基板の概念図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図8を参照して、本開示の一実施形態について説明する。図1には、本実施形態の配線基板10における実装面近傍の一部のみが拡大して示されている。この配線基板10は、例えば導電層12と絶縁層13とが交互に積層される多層配線基板(図1には1つの導電層12と1つの絶縁層13のみが示されている)であって、実装面をソルダーレジスト層11で覆われている。また、ソルダーレジスト層11には、複数の開口部15が形成され、導電層12のうち複数の開口部15内に位置する部位が複数のパッド14になっている。そして、一部複数のパッド14上に半田バンプ16が形成されている(図1には、半田バンプ16を備えていないパッド14は省略されている)。
【0009】
なお、本実施形態の配線基板10は、半田バンプ16を有しないパッド14を備えているが、そのようなパッド14を備えていなくもよい。
【0010】
図2(A)には、本実施形態の配線基板10が有する複数の半田バンプ16の形状の代表例が示されている。半田バンプ16は、円柱体の先端部が僅かに先細りになった形状をなしている。具体的には、半田バンプ16は、ソルダーレジスト層11から突出している半田バンプ本体部16Hと、開口部15内に位置している半田バンプ基礎部16Bとからなり、半田バンプ本体部16Hの高さは、半田バンプ基礎部16Bの高さの、例えば、1.5~3倍程度になっている。
【0011】
また、開口部15は、ソルダーレジスト層11の上面から下方に向かって縮径するテーパー孔をなしており、半田バンプ本体部16Hの外周面は、ソルダーレジスト層11の上面から上端寄り位置まで、開口部15の上端の開口縁の内径よりも大きい外径をなして連続する円筒面32になっている。そして、半田バンプ本体部16Hの外周面のうち上端寄り位置から上端までの間は、上端に向かうに従って徐々に縮径する傾斜面33になっている。また、傾斜面33は、側方に膨らむように湾曲していて、円筒面32と滑かに連続している。
【0012】
半田バンプ16の先端面31は、例えば、配線基板10の外面と平行かつ平坦になるように研削又は切削される加工面になっている。これに対し、円筒面32及び傾斜面33は、半田が固化して形成される非加工面になっている。そして、傾斜面33と先端面31とは、鈍角が角部35を挟んで隣り合っている。
【0013】
なお、本実施形態の半田バンプ16は、半田バンプ本体部16Hの高さは、半田バンプ基礎部16Bの高さの、例えば、1.5~3倍程度であるがこれに限定されるものではない。また、本実施形態の開口部15及び半田バンプ16の平断面形状は、円形であるが、これに限定されるものではなく、例えば、楕円形や多角形であってもよい。
【0014】
また、図2(B)に示すように、半田バンプ基礎部16Bに対して半田バンプ本体部16Hが水平方向にずれてそれらの間に境界を有していてもよい。また、本実施形態の半田バンプ16は、外周面の上端部が傾斜面33になっているが、傾斜面33を有さず、下端から上端まで均一な外径の円筒面32をなし、円筒面32と先端面31とが隣り合っていてもよい(図2(C))。
【0015】
また、図3(A)に示すように、半田バンプ本体部16Hの外径より、半田バンプ基礎部16Bの上端の外径が大きくてもよい。さらには、図3(B)に示すように、半田バンプ本体部16Hの下端の外径と半田バンプ基礎部16Bの上端の外径とが同じになっていてもよい。
【0016】
本開示の配線基板10は、例えば、以下のようにして製造される。なお、図4から図8には、説明の便宜のため、配線基板10のうちマスク20が備えられる側のソルダーレジスト層11と、その直下の導電層12及び絶縁層13のみが示されている。
(1)複数の導電層12と複数の絶縁層13とが交互に積層されると共に、各導電層12上にセミアディティブ法など公知な方法で所定の配線パターンが形成される。最上部の導電層12上に、例えば、絶縁樹脂が塗布されることでソルダーレジスト層11が形成される。(図4(A)参照)。
【0017】
(2)次いで、ソルダーレジスト層11の所定箇所に、レーザー加工やフォトリソグラフィー処理等により、複数の開口部15が形成される(図4(B)参照)。
【0018】
(3)次いで、ソルダーレジスト層11の上面に、図示しないカーテンコーターやロールコーター等によって未硬化の樹脂組成物が塗布され、熱乾燥処理を経て乾燥・固化されれマスク20が形成される(図5(A)参照)。
【0019】
なお、マスク20半硬化状態の樹脂フィルムが熱圧着処理されて重ねられて形成されてもよい。
【0020】
(4)次いで、マスク20のうち、複数の開口部15と重なる位置に、レーザー加工やフォトリソグラフィー処理等によって複数の貫通孔21が形成される。貫通孔21の大きさは、開口部15よりも大きくなっている。
【0021】
なお、貫通孔21の大きさは、開口部15と同じであってもよいし、小さくなっていてもよい。また、開口部15に丁度重なる位置に貫通孔21が形成されなくてもよい。
【0022】
(5)配線基板10の上面にメタルマスク43が重ねられる。メタルマスク43には貫通口21に対応する開口を含む複数の開口21Aが備えられている。そして、メタルマスク43上に、クリーム半田16Aが乗せられる。スキージ44がメタルマスク43の上面に当接した状態で、一端から他端へと動かされると、複数の貫通口21にクリーム半田16Aが充填される(図6(A)参照)。
【0023】
なお、電解めっき処理によって、錫めっきや銀めっき、その他の金属が貫通口21に充填されてもよい。また、半田ボールが導電層12上に直接搭載されてもよい。
【0024】
(6)配線基板10がリフロー処理され、開口部15及び貫通孔21の内部に半田バンプ16が形成される。ここでは、半田バンプ16は溶融したクリーム半田16Aの表面張力により上方に膨らむ形状になる(図6(B)参照)。
【0025】
(7)次いで、図8に示すように、配線基板10がCMP研磨機40にかけられる。具体的には、配線基板10のB面(図1の下側の面)を基板支持部材41に吸着させ、マスク20が下側に向けられて研磨パッド42に押し付けられる。すると研磨パッド42上の図示されない研磨粒子と薬液とによって、半田バンプ16の頂部とマスク20の表面とが一緒に研削される。ここでは、半田バンプ16の膨出する上面のうち外縁部よりも内側が研削され、半田バンプ16の頂部に平坦な先端面31が形成される(図7(A)参照)。
【0026】
なお、上述した平面加工工程は、研磨粒子と薬液を用いず、平面研削盤によって研削されてもよい。
【0027】
(8)研磨粒子と薬液とを洗浄によって除去した後、例えば、配線基板10を有機溶液中に浸漬したり、マスク20に有機溶液を塗布またはスプレーすることにより、マスク20が除去される(図7(B)参照)。以上により、配線基板10が完成する。
【0028】
なお、マスク20が樹脂フィルムによって形成されている場合には、引き剥がすことによって除去されてもよい。
【0029】
本実施形態の配線基板10の製造方法の説明は以上である。本実施形態の配線基板10の製造方法では、複数の半田バンプ16は、マスク20の複数の貫通孔21に収まり、側方への変形を規制された状態で頂部を平面加工されて平坦な先端面31が形成される。これにより、従来の製造方法では生じる半田バンプの側方への膨みが抑えられ、駄肉が少ない複数の半田バンプ16の形成が可能になる。そして、複数の半田バンプ16の駄肉が少なくなることで、リフローされる時のウィッキングが抑えられる。また、複数の半田バンプ16の形状がファインになるので、それら複数の半田バンプ16の高集積化が可能になる。さらには、複数の半田バンプ16は、複数の貫通孔21の内面によって側方から支持された状態で先端面31を加工されるので、加工時の負荷により半田バンプ16が剪断されるような不具合が防がれる。また、半田バンプ16の先端部の外周面には傾斜面33が備えられ、先端角部が面取りされた形状になるので、角部が欠けるような不具合も防がれる。
【0030】
<他の実施形態>
【0031】
(1)マスク20の貫通孔21とソルダーレジスト層11の開口部15は、同時に形成されてもよい。具体的には、ソルダーレジスト層11に複数の開口部15が形成される前に、ソルダーレジスト層11の上に追加樹脂層が積層され、それらソルダーレジスト層11と追加樹脂層とを合わせて複数の貫通孔が形成されて複数のパッド14が形成されると共に、追加樹脂層が複数のパッド14に対応する複数の貫通孔21を有するマスク20になるようにしてもよい。
【0032】
(2)平面加工工程においてマスク20が研削されなくてもよい。この場合は、複数の開口部15からのマスク20上に溢れるように半田めっき16Aを形成してリフローし、マスク20の上面より上側に突出した部分が研削又は切削されるようにすればよい。
【符号の説明】
【0033】
10 配線基板
11 ソルダーレジスト層
14 パッド
15,15A 開口部
16 半田バンプ
20 マスク
21 貫通孔
31 先端面
32 円筒面
33 傾斜面
35 角部
40 研磨機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8