(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061136
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240425BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240425BHJP
【FI】
G06Q30/02 320
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168869
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 奈津美
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一
(72)【発明者】
【氏名】松井 涼
(72)【発明者】
【氏名】盛林 敏之
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】グループを考慮した特典の付与を適切に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な本発明の情報処理装置は、処理部を備える。前記処理部は、特典の取得を希望するユーザのグループを推定する。そして、前記処理部は、前記グループが同じである複数の前記ユーザの中から、前記特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して前記特典の割り当てを行う。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部を備える情報処理装置であって、
前記処理部は、
特典の取得を希望するユーザのグループを推定し、
前記グループが同じである複数の前記ユーザの中から、前記特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して前記特典の割り当てを行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記グループに属さない者に比べて、前記代表者への前記特典の付与確率を高くして前記特典の割当処理を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記募集への応募に際して、入札を要求し、
前記入札の情報に応じて前記特典を付与する者を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記募集への応募に際して、入札を要求し、
前記入札の情報に応じて前記特典を付与する者を決定し、
前記代表者と、前記グループに属さない者との間で前記入札の情報を用いた計算処理の仕方を変更して、前記代表者への前記特典の付与確率を高くする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記募集に応募した者の中から抽選で前記特典を付与する者を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記募集に応募した者の中から抽選で前記特典を付与する者を決定し、
前記抽選の当選確率を高くして、前記代表者への前記特典の付与確率を高くする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記ユーザに対して前記グループに属することを証明するグループ登録を要求することにより前記グループの推定を行い、
前記グループ登録は、前記ユーザが利用する端末装置と、前記ユーザが属する前記グループの他の者が利用する端末装置とを利用して行われる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特典は、イベントの開催に対応して提供され、
前記ユーザは、前記イベントへの参加者である、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記ユーザに前記特典を付与することで前記イベント後の人流制御を行う、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
グループが同じであると推定された複数のユーザの中から、特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者に設定された者へ、前記募集に対する応募の結果を通知する処理を、装置が実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポン等の特典を付与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定の空間内を移動する複数の人物の流れを分析する人流分析装置における人流分析方法が開示される。当該人流分析方法では、複数の人物の所定の空間内における移動履歴を示す移動情報を取得し、取得した移動情報に基づいて、互いに関連して移動していると推定される少なくとも2人の人物を抽出する。そして、抽出した少なくとも2人の人物がどのような関連性を有しているかを示す関連性情報を特定し、特定した関連性情報に基づいて、少なくとも2人の人物をグループ化するか否かを判断する。グループ化すると判断した少なくとも2人の人物の行動を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ライブやスポーツ観戦等のイベントの終了後においては、イベント会場からの退場者によって、イベント会場の周辺や最寄り駅等が混雑する。混雑緩和のために、イベント会場の周辺に存在する店舗等で利用できるクーポン等の特典を提供して人流を誘導することが考えられる。
【0005】
ただし、例えば、1つのグループにつき1つしか利用できないクーポンを、同じグループに属する者が複数取得した場合に、利用されないクーポンが生じてしまう。この結果、クーポンの提供を利用した人流の誘導が十分にできず、混雑緩和の効果を得られない可能性がある。また、無駄なクーポンの発生は、ユーザの満足度を低下させる原因ともなり得る。
【0006】
特許文献1に開示される技術等を参考に、イベント参加者がグループに属するか否かを推定することができる。しかし、クーポンの取得を希望する希望者の中に、グループに属する者と属さない者とが存在する場合に、どのようにクーポンを付与すべきかについては、十分な検討がなされておらず、検討すべき課題であると考えられる。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑み、グループを考慮した特典の付与を適切に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な本発明の情報処理装置は、処理部を備える。前記処理部は、特典の取得を希望するユーザのグループを推定する。そして、前記処理部は、前記グループが同じである複数の前記ユーザの中から、前記特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して前記特典の割り当てを行う。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、グループを考慮した特典の付与を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの概略の構成を示す図
【
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図
【
図6】グループ登録の第1手法について説明するための図
【
図7】グループ登録の第2手法について説明するための図
【
図8】第1実施形態に係る情報処理方法の流れを例示するフローチャート
【
図11】第2実施形態に係る情報処理システムの概略の構成を示す図
【
図12】第2実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図
【
図15】オークション形式を利用した特典の割当処理の流れを例示するフローチャート
【
図16】入札者毎の各入札特典に対応する入札ポイント情報を示す模式図
【
図17】入札者毎の各入札特典に対応する滞在効果時間情報を示す模式図
【
図18】入札者毎の各入札特典に対応する実販売価格情報を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<1.第1実施形態>
[1-1.情報処理システムの概要]
図1は、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム100の概略の構成を示す図である。情報処理システム100は、当該システム100に登録するユーザに対して特典を付与するシステムである。すなわち、情報処理システム100は、特典付与システムとも言える。
【0013】
なお、特典は、特別の待遇を与えるものを広く含む。特典は、例えば、商品の販売やサービスの利用の促進を図るために配布されるものである。特典は、例えば、店舗等の施設で利用可能なクーポンである。クーポンは、例えば、引換券、割引券、優待券等である。特典は、例えば、施設ごとに提供される。情報処理システム100で扱われる特典の種類は、好ましくは多種類である。1つの施設が多種類の特典を提供してもよい。
【0014】
本実施形態では、情報処理システム100は、一例として、イベントが開催される会場(イベント会場)から退場する人の流れを制御するシステム(人流制御システム)に適用される。この意味で、情報処理システム100は、人流制御システムと言ってもよい。本実施形態では、特典は、人流の誘導を目的として提供される。特典は、イベントの開催に対応して提供される。特典を受け取った者は、イベント会場や最寄り駅の周辺に存在する施設に立ち寄ることが期待される。そして、特典を受け取った者が施設に立ち寄ることで、イベント会場の周辺の道路や駅等における混雑が緩和されることが期待される。
【0015】
なお、イベントは、例えば、スポーツの試合や、アーティストのコンサート等である。イベント会場は、スポーツの試合やコンサートが行われる会場であり、多くの人が集まる場所である。
【0016】
図1に示すように、情報処理システム100は、情報処理装置1とユーザ端末2とを備える。
【0017】
情報処理装置1は、情報処理システム100を利用するユーザに対して、人流の制御(誘導)を目的とした特典を付与するための処理を行う。情報処理装置1は、特典付与装置或いは人流制御装置と言うことができる。情報処理装置1は、インターネットや電話回線網等の通信ネットワーク3に、有線又は無線によって接続可能に設けられる。情報処理装置1の詳細については後述する。
【0018】
ユーザ端末2は、情報処理システム100に登録するユーザが利用する端末装置である。本実施形態では、ユーザは、イベントへの参加者である。イベントの参加者にイベント会場の周辺等の施設で利用できる特典を付与して、イベント後の最寄り駅等における混雑の緩和を図ることができる。ユーザ端末2は、好ましくは、イベントに参加するユーザが所持する携帯端末である。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、ノートパソコン等である。
【0019】
ユーザ端末2は、通信ネットワーク3に、有線又は無線(好ましくは無線)によって接続可能に設けられる。ユーザ端末2は、情報処理装置1と通信ネットワーク3を介して通信可能である。ユーザ端末2は、通信ネットワーク3を介して、情報処理装置1に対してユーザに関する情報であるユーザ情報を適宜送信する。ユーザ端末2は、情報処理装置1から特典に関する各種の情報を受信可能に設けられる。また、ユーザ端末2は、情報処理装置1から特典の付与を受けることができる。ユーザ端末2には、特典の付与を受けるために利用されるアプリ(アプリケーションソフト)が、ダウンロード等によってインストールされていることが好ましい。
【0020】
なお、
図1においては、通信ネットワーク3に接続されるユーザ端末2の数は1つとされているが、実際には、通信ネットワーク3に接続されるユーザ端末2の数は複数である。
【0021】
[1-2.情報処理装置]
本実施形態では、情報処理装置1は、コンピュータ装置によって構成されるサーバである。情報処理装置1は、物理サーバであってもクラウドサーバであってもよい。なお、本発明の情報処理装置は、単数のサーバで構成されても、複数のサーバで構成されてもよい。また、本発明の情報処理装置は、サーバだけでなく、サーバと端末とで構成されてもよい。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、第1実施形態に係る情報処理装置1の特徴を説明するために必要な構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載は省略されている。
図2に示すように、情報処理装置1は処理部11を備える。情報処理装置1は、メモリ部12および通信部13をさらに備える。なお、情報処理装置1は、キーボード等の入力装置や、ディスプレイ等の出力装置を備える構成であってもよい。
【0023】
処理部11は、演算処理を行う演算回路で構成される。処理部11は、詳細には演算処理等を行うプロセッサを含む。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成されてよい。処理部11は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、複数のプロセッサで構成されてもよい。複数のプロセッサで構成される場合には、それらのプロセッサは互いに通信可能に接続されればよい。なお、情報処理装置1がクラウドサーバで構成される場合、プロセッサを構成するCPUは仮想CPUであってよい。
【0024】
メモリ部12は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリを含んで構成される。揮発性メモリには、例えばRAM(Random Access Memory)が含まれてよい。不揮発性メモリには、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、又は、ハードディスドライブが含まれてよい。不揮発性メモリには、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータが格納される。
【0025】
通信部13は、通信ネットワーク3に接続するためのインターフェース回路を有する通信インターフェースとして構成される。
【0026】
本実施形態では、処理部11は、ユーザに特典を付与することでイベント後の人流制御を行う。特典の付与を受けたユーザが、イベント会場周辺に存在する特典を提供する施設に訪れることが期待できる。特典の付与を受けたユーザが施設を訪問することにより、イベント後の会場周辺の道路や最寄り駅等が混雑することを抑制することができる。
図2に示すように、処理部11は、その機能として、取得部111と、推定部112と、割当部113と、通知部114とを備える。本実施形態においては、処理部11の機能は、メモリ部12に記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。
【0027】
なお、本実施形態の範囲には、情報処理装置1の少なくとも一部の機能をプロセッサ(コンピュータ)に実現させるコンピュータプログラムが含まれてよい。また、本実施形態の範囲には、そのようなコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体が含まれてよい。不揮発性記録媒体は、例えば、上述の不揮発性メモリの他、光記録媒体(例えば光ディスク)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、USBメモリ、又は、SDカード等であってよい。
【0028】
また、各機能部111~114は、1つのプログラムにより実現されてもよいが、例えば、機能部ごとに別々のプログラムにより実現される構成としてもよい。また、各機能部111~114が別々のサーバとして実現されてもよい。また、各機能部111~114は、上述のように、プロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現されてよいが、他の手法により実現されてもよい。各機能部111~114は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現されてもよい。すなわち、各機能部111~114は、専用のIC等を用いてハードウェアにより実現されてもよい。また、各機能部111~114は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現されてもよい。また、各機能部111~114は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能が、複数の構成要素に分散されてよい。また、複数の構成要素が有する機能が1つの構成要素に統合されてもよい。
【0029】
取得部111は、情報処理装置1の外部から情報を取得する。取得部111は、例えば、通信ネットワーク3および通信部13を介して外部から情報を取得する。通信ネットワーク3等を介して得られる情報には、ユーザ端末2からの情報が含まれる。また、取得部111は、入力装置を利用した手入力が行われることによって、外部から情報を取得してもよい。なお、入力装置は、情報処理装置1と接続される外部の装置、または、情報処理装置1が備える装置である。また、取得部111は、光ディスク等の記録媒体から情報を読み取ることによって、外部から情報を取得してもよい。
【0030】
取得部111は、外部から取得した情報をメモリ部12に適宜記憶する。詳細には、取得部111は、外部から取得した情報の少なくとも一部をデータベースとしてメモリ部12に記憶する。なお、メモリ部12にデータベースとして記憶された情報の少なくとも一部は、所定期間が過ぎた時点で削除されてもよい。
【0031】
本実施形態では、取得部111は、施設情報と、ユーザ情報と、特典情報とを取得する。取得部111は、施設情報と、ユーザ情報と、特典情報とを適宜外部から取得して、それぞれテーブル情報としてメモリ部12に記憶するための処理を行う。
【0032】
図3は、施設情報テーブル121の一例を示す図である。施設情報テーブル121は、取得部111が取得した施設情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。なお、施設は、イベントの開催に対応して特典を提供する店舗等である。施設は、例えば、イベント会場の周辺や、イベント会場の最寄りに存在する交通機関の停車場所(駅等)の周辺に存在する。施設は、例えば、イベント会場と最寄りの駅との間に存在する。施設情報は、例えば、入力装置を用いて手入力により入力された情報であってよい。また、施設情報は、各施設が所有する端末装置(不図示)から情報処理装置1に送信される情報であってもよい。
【0033】
図3に示すように、施設情報テーブル121は、当該テーブルが有する情報として、施設ID、施設種類、および、提供特典IDを含む。「施設ID」は、各施設を識別する識別情報である。「施設種類」は、施設で提供するサービスの種類を示す情報である。「提供特典ID」は、各施設が提供する特典の特典IDである。特典IDについては後述する。
【0034】
なお、
図3に示す例においては、例えば、施設IDが「S1」で識別される施設は、施設種類が「レストラン」、提供する特典の特典IDが「T1」である。
図3に示す例では、各施設が提供する特典の種類は1種類であるが、複数種類であってもよい。
【0035】
また、施設情報テーブル121は、施設名、施設の場所、連絡先、営業時間、人気度、収容可能人数、時間帯毎の混雑度等の他の情報を含んでもよい。また、施設情報テーブル121における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0036】
図4は、ユーザ情報テーブル122の一例を示す図である。ユーザ情報テーブル122は、取得部111が取得したユーザ情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。なお、ユーザ情報は、イベントの参加者のうち、情報処理システム100を利用することを目的としてユーザ登録を行った者(ユーザ)の情報である。取得部111は、例えば、ユーザ端末2からユーザ情報を取得する。
【0037】
図4に示すように、ユーザ情報テーブル122は、当該テーブルが有する情報として、ユーザID、位置、希望特典ID、および、グループIDを含む。「ユーザID」は、各ユーザを識別する識別情報である。「位置」は、ユーザの現在位置を示す情報である。ユーザの現在位置は、例えば、ユーザ端末2に備えられるGPS(Global Positioning System)センサ等から得ることができる。現在位置は、例えば緯度および経度で表される。「希望特典ID」は、各ユーザが取得を希望する特典の特典IDである。特典IDについては後述する。「グループID」は、各ユーザが属するグループを識別する識別情報である。グループは、行動を共にする複数の者で構成される。グループに属さずに単独で行動するユーザには、グループIDは付与されない。
【0038】
なお、
図4に示す例では、例えば、ユーザIDが「U1」で識別されるユーザは、現在の位置を示す緯度および経度が「1at1、1ng1」、希望する特典の特典IDが「T1」、所属するグループのグループIDが「G1」である。
図4に示す例では、ユーザIDが「U2」で識別されるユーザのグループIDは、ユーザIDが「U1」で識別されるユーザのグループIDと同じ(「G1」)である。すなわち、ユーザIDが「U1」で識別されるユーザと、ユーザIDが「U2」で識別されるユーザとが、同じグループに属することがわかる。また、
図4に示す例では、各ユーザが取得を希望する特典の種類は1種類であるが、複数種類であってもよい。
【0039】
また、ユーザ情報テーブル122は、ユーザの氏名、居住地、メールアドレス等の連絡先、年齢、性別、趣味、嗜好、端末ID等の他の情報を含んでもよい。端末IDは、ユーザが利用するユーザ端末2を識別する識別情報である。また、ユーザ情報テーブル122における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0040】
図5は、特典情報テーブル123の一例を示す図である。特典情報テーブル123は、取得部111が取得した特典情報をテーブル化してメモリ部12に記憶した情報である。特典情報は、例えば、入力装置を用いて手入力により入力された情報であってよい。また、特典情報は、特典を提供する各施設が所有する端末装置(不図示)から情報処理装置1に送信される情報であってもよい。
【0041】
図5に示すように、特典情報テーブル123は、当該テーブルが有する情報として、特典ID、提供元、特典内容、使用条件、および、上限提供数を含む。「特典ID」は、各特典を識別する識別情報である。なお、特典IDは、上述の施設情報テーブル121およびユーザ情報テーブル122における特典IDと同じ情報である。すなわち、特典情報テーブル123は、施設情報テーブル121およびユーザ情報テーブル122と関連付けることができる構成になっている。
【0042】
「提供元」は、特典を提供する提供元(提供者)の情報を示す。本実施形態では、「提供元」には、各特典を提供する施設の施設IDが登録される。すなわち、この点においても、特典情報テーブル123は、施設情報テーブル121と関連付けることができる構成になっている。
【0043】
「特典内容」は、特典の具体的な内容を示す情報である。特典の具体的内容としては、例えば、特定の料理や飲料を無料で提供するといった内容や、商品の値段の割引を行うといった内容が挙げられる。「使用条件」は、特典の使用条件を示す情報である。使用条件としては、例えば、「当日限り利用可能」、「16時から17時までに入店の場合に利用可能」、「複数名で利用可能」といった条件が挙げられる。「上限提供数」は、各特典が提供される数の上限を示す情報である。
【0044】
なお、
図5に示す例では、特典IDが「T1」で識別される特典は、特典の提供元の施設IDが「S1」、特典内容が「特典Z1」、使用条件が「条件J1」、上限提供数が「提供数V1」である。
【0045】
また、特典情報テーブル123は、ユーザ端末2において特典として機能する特典本体データ等の他の情報を含んでよい。特典本体データは、ユーザ端末2の画面に表示される情報であってよい。特典本体データは、例えば、バーコード情報やQRコード(登録商標)情報等であってよい。また、特典情報テーブル123における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0046】
図2に戻って、推定部112(処理部11)は、特典の取得を希望するユーザのグループを推定する。詳細には、推定部112は、特典の取得を希望するユーザがグループの一員であるか否かを推定する。また、推定部112は、ユーザがグループの一員である場合に、同じグループを構成している他のユーザを推定する。同伴者が存在するユーザは、グループを構成していると推定される。
【0047】
グループの推定は、例えば、ユーザが自身のユーザ端末2に手入力したグループ員の情報に基づいて実施されてよい。例えば、ユーザが、同じグループに属する他のユーザのユーザID等を情報処理装置1へ送信することで、グループの推定が行われてよい。
【0048】
ただし、本実施形態では、推定部112(処理部11)は、ユーザに対してグループに属することを証明するグループ登録を要求することによりグループの推定を行う。グループ登録は、ユーザが利用する端末装置と、当該ユーザが属するグループの他の者が利用する端末装置とを利用して行われる。このような構成とすると、ユーザが自身の属するグループのグループ員に関する情報を手入力するといった作業を省略することができ、ユーザの負担を低減することができる。また、グループ員に関する情報の信頼性を高めることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、グループ登録を行おうとするユーザが利用する端末装置、および、当該ユーザが属するグループの他の者が利用する端末装置は、いずれも上述のユーザ端末2である。なお、ユーザ端末2には、ユーザ登録が既に完了している端末のみならず、グループ登録に伴ってユーザ登録が行われる端末も含まれてよい。
【0050】
以下に、グループ登録の手法について例示する。グループ登録の説明に際して、グループ登録を行おうとするユーザを第1ユーザとし、第1ユーザが利用するユーザ端末2を第1ユーザ端末2aとする。また、グループ登録を行おうとするユーザが属するグループの他の者を第2ユーザとし、第2ユーザが利用するユーザ端末2を第2ユーザ端末2bとする。なお、第2ユーザは、単数であっても複数であってもよいが、以下では、第2ユーザが単数である場合を例示する。
【0051】
グループ登録の第1手法として、コード情報を用いる手法が挙げられる。コード情報は、例えば一次元コード或いは二次元コードであってよい。
図6は、グループ登録の第1手法について説明するための図である。なお、
図6に示す例では、2次元コードは、QRコードである。
【0052】
第1手法では、例えば、情報処理装置1からの指令に従ってグループ登録するために、第2ユーザが第2ユーザ端末2bの画面21に所定のQRコード22を表示させる。所定のQRコード22は、例えば、第2ユーザのユーザID情報をQRコードとしたものである。第2ユーザ端末2bの画面21にQRコード22が表示されると、第1ユーザは第1ユーザ端末2aによりQRコード22の読み取りを行う。そして、読み取られたQRコード情報が、第1ユーザ端末2aから情報処理装置1へと送信される。推定部112は、受信したQRコード情報に基づき、第1ユーザ端末2aを利用する第1ユーザと、第2ユーザ端末2bを利用する第2ユーザとが同じグループに属すると推定する。推定部112は、当該推定の結果に応じてグループIDを設定し、ユーザ情報テーブル122にグループ推定の結果を反映する。
【0053】
グループ登録の第2手法として、複数のユーザ端末2の画面をあたかも一つの画面であるかのように扱うマルチディスプレイ機能を用いる手法が挙げられる。
図7は、グループ登録の第2手法について説明するための図である。
【0054】
第2手法では、例えば、情報処理装置1からの指令に従ってグループ登録するために、第1ユーザ端末2aと第2ユーザ端末2bとのそれぞれから、情報処理装置1に対して、分割画像23の情報を送信することが要求される。分割画像23は、1つの画像を分割して得られた画像である。換言すると、複数の分割画像23が組み合わせることによって、1つの画像が形成される。
図7に示す例では、分割画像23は、バスの画像を2つに分けて得られる画像片である。
【0055】
情報処理装置1は、分割画像23の情報の送信要求に応じて、第1ユーザ端末2aと第2ユーザ端末2bとに互いに異なる分割画像23の情報を送信する。
図7に示す例では、第1ユーザ端末2aに、バスの画像を2つに分割して得られる一方の画像の情報が送信される。また、第2ユーザ端末2bに、バスの画像を2つに分割して得られる他方の画像の情報が送信される。これに応じて、第1ユーザ端末2aの画面21と、第2ユーザ端末2bの画面21とには、
図7に示すように、送信された分割画像23がそれぞれ表示される。
【0056】
第1ユーザと第2ユーザとは、第1ユーザ端末2aの画面に表示される分割画像23と、第2ユーザ端末2bの画面21に表示される分割画像23とを、端末同士を接近させて組み合わる。第1ユーザと第2ユーザとは、当該端末同士の接近により1つの画像を形成する。
図7に示す例では、バスの画像を形成する。そして、1つの画像(例えばバスの画像)が形成された状態を専用の読み取り装置(不図示)に読み取らせる。推定部112は、専用の読み取り装置で読み取られた画像が、想定した画像と同じであると判定した場合に、第1ユーザと第2ユーザとが同じグループであると推定する。推定部112は、当該推定の結果に応じてグループIDを設定し、ユーザ情報テーブル122にグループ推定の結果を反映する。
【0057】
なお、上述の専用の読み取り装置は、例えば、イベント会場内や、イベント会場の周辺等に配置される。専用の読み取り装置は、情報処理装置1と通信ネットワーク3を介して通信可能に設けられる。専用の読み取り装置は、読み取った画像の情報を情報処理装置1に送信する。
【0058】
グループ登録の第3手法として、第1ユーザ端末2aと第2ユーザ端末2bとをBluetooth(登録商標)等の所定の無線通信の規格を利用してペアリングさせる手法が挙げられる。この手法では、例えば、情報処理装置1からの指令に従って、第1ユーザと第2ユーザとが、第1ユーザ端末2aと第2ユーザ端末2bとをペアリングするための操作を行う。そして、第1ユーザ端末2aからペアリング中の第2ユーザ端末2bの情報(端末ID等)が、情報処理装置1に送信される。推定部112は、ペアリング情報に基づき、第1ユーザ端末2aを利用する第1ユーザと、第2ユーザ端末2bを利用する第2ユーザとが同じグループに属すると推定する。推定部112は、当該推定の結果に応じてグループIDを設定し、ユーザ情報テーブル122にグループ推定の結果を反映する。
【0059】
図2に戻って、割当部113は、ユーザからの特典の取得希望に応じて、特典をユーザに割り当てる処理を行う。なお、特典は、提供される数に上限があり、取得を希望しても付与さないことがあり得る。割当部113は、ユーザの満足度を高められると共に、イベント後の混雑緩和といった目的を達成できるように、特典のユーザへの割り当てを行う。割当部113は、メモリ部12に記憶される各種の情報テーブル121~123に含まれる情報等に応じて、特典のユーザへの割り当てを行う。
【0060】
本実施形態において、割当部113(処理部11)は、グループが同じである複数のユーザの中から、特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して特典の割り当てを行う。詳細には、代表者は1名である。すなわち、本実施形態では、同じグループに属する複数のユーザの全員が、或る1つの特典に対してそれぞれ応募資格を有することはない。1つのグループにつき、1つの特典に対する応募資格の数は1つである。
【0061】
このような構成とすると、例えば「グループで使用できる特典の数は1つである」といった特典について、同じグループに属する複数のユーザに特典が付与されることを防止することができる。すなわち、利用されることがない無駄な特典の付与が行われることを抑制することができる。この結果、ユーザの満足度の向上しつつ、特典を有効利用して、イベント後の混雑緩和を促進することができる。また、特典を利用した集客により、店舗等の施設の活性化を図ることができる。
【0062】
本実施形態では、割当部113(処理部11)は、グループに属さない者に比べて、グループの代表者への特典の付与確率を高くして特典の割当処理を行う。なお、グループに属さない者は、同伴者が居ない単独行動者である。すなわち、単独行動者に比べてグループの代表者に対して特典が付与される可能性が高くなる。このようにすれば、グループに属する者が、グループであることを申告して特典の募集に応じる可能性を高めることができる。これにより、グループを構成する人の動きを把握し易くすることができる。また、複数の人が含まれるグループに対して特典が付与され易くなることで、特典を利用した施設への人の誘引効果を高めることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、グループ登録へのインセンティブを与えるために、割当処理時にグループに対して特典の付与確率を高くすることが行われる構成となっている。ただし、これは例示である。このような構成に代えて、或いは、加えて、次のようなことを行ってグループ登録へのインセンティブを与えてもよい。例えば、代表者が取得した特典について、グループ全員で利用できる構成としてよい。また、例えば、グループしか利用できない特典の数を増やしてもよい。また、グループの代表者が当選すると、グループを構成するユーザの全員に特典が割り当てられる構成としてもよい。また、グループ登録後における利便性を向上するために、グループであると推定された者のユーザ端末2に対しては、グループ推奨の特典の情報が優先表示されるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、割当部113(処理部11)は、特典の取得希望者の募集に応募した者の中から抽選で特典を付与する者を決定する。すなわち、特典を付与する者が抽選方式で決定される。抽選は、応募者のうち、応募資格を有する者が対象である。グループの場合は、代表者のみが抽選に参加することになる。抽選方式が採用されることで、応募のタイミングが早い者しか特典を利用できないといったことがなくなり、多くのユーザの満足感を得易くすることができる。
【0065】
なお、特典の取得希望者の数が特典の上限提供数(
図5参照)に達しない場合には、抽選は行われなくてよい。このような場合には、特典の取得を希望する者の全員に、特典が付与されてよい。
【0066】
また、本実施形態では、割当部113(処理部11)は、抽選の当選確率を高くして、グループの代表者への特典の付与確率を高くする。これによれば、抽選時の条件設定により、簡単に単独行動者よりもグループの代表者の当選確率を高くすることができる。例えば、当選確率が応募者全員に対して差をつけることなく均等に設定される場合の当選確率に比べて、グループの代表者の当選確率が高く設定されてよい。また、当選確率が応募者全員に対して差をつけることなく均等に設定される場合の当選確率に比べて、単独行動者の当選確率が低く設定されてよい。
【0067】
なお、抽選時におけるグループの代表者の当選確率は、グループに属する人の数が多くなるにつれて高く設定されてもよい。また、抽選時の当選確率は、例えば、特典の種類、グループの属性(趣味等)、又は、ユーザの希望等に応じて調整されてもよい。特典の種類は、例えば特典情報テーブル123より取得することができる。グループの属性やユーザの希望は、ユーザ情報テーブル122から取得や推定を行うことができる。例えば、飲酒が好きな人の集まりであると推定されるグループに対して、居酒屋のクーポンの当選確率を上げる構成としてよい。また、例えば、未成年の集まりであると推定されるグループに対しては、居酒屋のクーポンの当選確率をゼロにする等してよい。
【0068】
通知部114(
図2参照)は、割当部113で行われた特典の割り当て結果を、特典の取得希望者の募集に応募したユーザに対して通知する。本実施形態では、通知部114は、特典の取得希望者の募集に応募したユーザに抽選結果を通知する。ユーザは、情報処理装置1と通信ネットワーク3を介して接続される自身のユーザ端末2によって、抽選結果を確認することができる。なお、抽選結果の通知に合わせて、特典として機能する特典本体データもユーザ端末2に送信されてよい。別の例として、抽選結果の通知に合わせて、特典本体データのダウンロードを可能とする情報(URL情報等)が、ユーザ端末2に送信されてもよい。
【0069】
[1-3.情報処理方法]
次に、情報処理装置1を用いて行われる情報処理方法について説明する。装置1が実行する情報処理方法では、グループが同じであると推定された複数のユーザの中から、特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者に設定された者へ、募集に対する応募の結果を通知する。応募の結果の通知には、特典を付与することが決まった場合に、当該特典を付与する処理が含まれてよい。本実施形態では、グループには代表者が設定されるために、1つのグループにつき、1つの特典に対する応募資格の数が1つとなる。このために、グループで使える数が1つに制限されている特典が、同じグループの者に複数割り当てられることを防止できる。この結果、利用されない特典が発生することを抑制することができる。
【0070】
以下、上述の情報処理方法の具体例について説明する。
【0071】
図8は、本発明の第1実施形態に係る情報処理方法の流れを例示するフローチャートである。
図8は、スポーツ観戦等のイベントの終了後における人流の制御を狙って提供される特典を対象とした情報処理方法を例示する。
図8に示す処理は、特典の取得希望者の募集が開始された時点で開始される。募集の開始は、例えば、イベントの開始と同時や、イベントの開始から所定時間以内等であってよい。所定時間は、例えば1時間以内等であってよい。特典の取得希望者の募集は、イベントの終了時刻よりも前に開始されることが好ましい。
【0072】
本例において、特典は、複数の施設から提供されるものであり、通常、提供される特典の種類は複数存在する。ただし、提供される特典の種類は一種類であってもよい。
図8においては、特典が複数種類存在することを前提として説明を行う。なお、提供される特典の種類や数は、例えば、イベント会場の周辺の道路や最寄り駅等の混雑度に応じて情報処理装置1が適宜変更してよい。ここで言う混雑度は、現在の混雑度ではなく、30分後等の将来の混雑度であってもよい。混雑度には、道路だけでなく、店舗等の施設の混雑度が含まれてもよい。
【0073】
また、本例では、特典の取得希望者の募集が開始されると、ユーザは、ユーザ端末2にインストールされた専用のアプリを用いて募集されている特典の種類を閲覧できる。また、ユーザは、当該アプリを利用して取得を希望する特典の募集に対して応募を行うことができる。
【0074】
また、本実施形態の情報処理方法の少なくとも一部をコンピュータ装置に実現させるコンピュータプログラムは、本実施形態の範囲に含まれる。また、そのようなコンピュータプログラムを記録するコンピュータ読取り可能な不揮発性記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。
【0075】
図8のステップS1では、取得部111が特典への応募の有無を監視する。ユーザは、ユーザ端末2を用いて特典への応募を行う。特典の応募に際して、ユーザは、ユーザ端末2を用いて、応募対象の特典の選択や、ユーザ登録のための情報の入力等を適宜行い、情報処理装置1に情報の送信を行う。なお、特典への応募は、ユーザ登録と同時に行われる必要はなく、ユーザ登録が行われた後に行われてもよい。取得部111は、当該送信が行われた場合に、特典への応募があったことを認識する。特典への応募があった場合(ステップS1でYes)、次のステップS2に処理が進められる。一方、特典への応募がない場合(ステップS1でNo)、ステップS1の処理が繰り返される。
【0076】
ステップS2では、取得部111が、ユーザ端末2から取得した情報を、ユーザ情報としてユーザ情報テーブル122に記憶する処理を行う。ユーザ情報の記憶処理が行われると、ステップS3に処理が進められる。
【0077】
ステップS3では、推定部112が、特典への応募を行ったユーザのグループ推定を行う。グループの推定は、ユーザが特典への応募時に送信した情報を利用して行われてよい。ただし、推定部112は、上述したQRコードを用いる手法(
図6参照)等を利用したグループ登録をユーザに要求してよい。そして、推定部112は、グループ登録の結果に応じてグループの推定を行ってよい。推定部112は、グループの推定結果を、ユーザ情報テーブル122に適宜登録する。グループの推定が完了すると、次のステップS4に処理が進められる。
【0078】
ステップS4では、割当部113が、特典への応募の募集期間が終了したか否かを判定する。募集期間の終了時刻は、例えば、イベントの終了時刻、或いは、当該終了時刻の前後所定時間以内に設定される。所定時間以内とは、例えば15分以内等である。なお、例えば野球等のスポーツ観戦では、イベントの終了時刻が必ずしも一定ではない。このような場合は、イベントの終了時刻は、試合の状況に応じて適当なタイミングで決定される予想終了時刻であってよい。また、例えば野球の試合の観戦等においては、序盤に大差がつき、多くの観戦者が試合の終了予想時刻よりもかなり前の時刻に帰宅を開始することがある。このために、募集期間の終了時刻は、イベントの終了時刻を基準に一律に設定されるのではなく、イベントの進行状況に応じて変更される構成であってもよい。
【0079】
募集期間が終了したと判定された場合(ステップS4でYes)、次のステップS5に処理が進められる。募集期間が終了していないと判定された場合(ステップS4でNo)、ステップS1に処理が戻され、ステップS1以降の処理が繰り返される。
【0080】
ステップS5では、割当部113が、先に行われたグループの推定結果を利用して、グループに属するユーザが存在する場合に、グループの代表者を設定する。代表者は、処理部11によって任意に設定されてよい。また、ユーザが、グループの代表者を予め設定しておくことができる構成としてもよい。グループに属するユーザは、代表者のみが応募資格を有し、後述の抽選対象となる。グループの代表者の設定が完了すると、次のステップS6に処理が進められる。
【0081】
なお、代表者の設定に応じて、
図9に示すような、応募者情報テーブル124が作成され、メモリ部12に記憶されてよい。
図9は、応募者情報テーブル124の一例を示す図である。応募者情報テーブル124は、当該テーブルが有する情報として、ユーザID、グループID、および、応募資格を含む。「ユーザID」および「グループID」は、ユーザ情報テーブル122における「ユーザID」および「グループID」と同じ情報である。「応募資格」は、応募資格があるか否かを示す情報である。グループIDを有しない単独行動者であるユーザは、応募により応募資格が与えられる。グループIDを有するユーザは、代表者に設定された場合に応募資格が与えられ、代表者に設定されない場合に応募資格が与えられない。
図9に示す例では、同じグループIDがG1のグループに属するユーザIDがU1とU2のユーザのうち、代表者に設定されたのは、ユーザIDがU1であるユーザである。このために、ユーザIDがU1であるユーザは応募資格を有し、ユーザIDがU2であるユーザは応募資格を有しない。
【0082】
ステップS6では、割当部113が、特典をユーザに割り当てる割当処理を行う。割当処理は、特典ごとに行われる。特典ごとに行われる割当処理については後述する。1つの特典について割当処理が完了すると、ステップS7に処理が進められる。
【0083】
ステップS7では、割当部113が、全ての特典に対してステップS6の割当処理を完了したか否かを判定する。全ての特典に対して割当処理が完了していない場合(ステップS7でNo)、ステップS6に処理が戻され、割当処理が行われていない次の特典について、ステップS6以降の処理が行われる。一方、全ての特典に対して割当処理が完了している場合(ステップS7でYes)、
図8に示す処理が終了する。
【0084】
図10は、第1実施形態に係る情報処理方法の割当処理の流れを例示するフローチャートである。
図10に示すフローチャートは、
図8におけるステップS6の詳細な流れを示すフローチャートである。
【0085】
ステップS61では、割当部113は、抽選が必要であるか否かを判定する。割当部113は、特典への応募者数が特典の上限提供数以下である場合、抽選を行う必要がないと判定する。抽選を行う必要がないと判定された場合(ステップS61でNo)、
図10に示す処理は終了する。一方、割当部113は、特典への応募者数が特典の上限提供数よりも多い場合、抽選を行う必要があると判定する。抽選を行う必要があると判定された場合(ステップS61でYes)、ステップS62に処理が進められる。
【0086】
ステップS62では、割当部113は、特典への当選確率の調整を行う。詳細には、割当部113は、グループに属するユーザ(代表者)の当選確率が、グループに属さないユーザ(単独行動者)に比べて高くなるように調整する。当選確率の調整が完了すると、次のステップS63に処理が進められる。
【0087】
ステップS63では、割当部113は、先に調整した当選確率で抽選を実施する。なお、グループに属するユーザは、応募資格を有する代表者のみが抽選対象である。抽選が完了すると、次のステップS64に処理が進められる。
【0088】
ステップS64では、通知部114は、特典への応募に対する結果を各ユーザに対して通知する。通知は、例えば、通信ネットワーク3を利用してユーザ端末2に対して行われる。例えば、抽選が行われた場合には、抽選に当選した者と、抽選に外れた者との両方に対して抽選の結果が通知される。また、例えば、抽選が行われなかった場合には、応募したユーザの全てを当選者として通知が行われる。なお、特典への応募に対する結果の通知に際して、ユーザ端末2で画面表示して利用が可能な特典本体データ(QRコード等)が、ユーザ端末2に送信されてよい。これにより、ユーザは、ユーザ端末2を用いて特典の利用を行うことができる。
【0089】
以上では、抽選がユーザからの応募によって実施される構成とした。ただし、これは例示である。抽選がユーザからの応募に関係なく、ユーザ登録している者を対象として自動的に実施されてもよい。このような場合でも、グループに属するユーザについては、グループの代表者である場合にのみ、特典への応募資格が与えられる構成としてよい。
【0090】
<2.第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明に際して、第1実施形態と重複する内容の説明については、適宜省略する。
【0091】
第1実施形態では、特典は、取得希望者の募集に応募したユーザに対して抽選方式で割り当てられる構成とした。第2実施形態では、抽選方式ではなく、オークション方式で特典の割り当てが行われる。
【0092】
本実施形態では、イベントへ参加するユーザが、所定条件を満たす行動を行うことで、ポイントがユーザに対して付与される構成となっている。所定条件は、例えば、イベントに参加し、且つ、情報処理システム100A(
図11参照)に利用者登録することであってよい。そして、当該ポイントを使用することで入手可能な特典が、ユーザに提示される。特典は、例えば、イベント会場や最寄り駅等の周辺に存在する各施設で利用可能なクーポンである。特典の付与に対して、オークション形式を利用した処理が行われる。そして、当該処理を行うことで、イベント会場の周辺や最寄り駅等の混雑状況を緩和が図られる構成となっている。
【0093】
[2-1.情報処理システムの概要]
図11は、本発明の第2実施形態に係る情報処理システム100Aの概略の構成を示す図である。情報処理システム100Aは、第1実施形態と同様に、当該システム100Aに登録するユーザに対して特典を付与するシステムである。情報処理システム100Aは、一例として、イベントが開催される会場から退場する人の流れを制御するシステムに適用される。
【0094】
第2実施形態の情報処理システム100Aは、情報処理装置1Aおよびユーザ端末2Aの他に、定点カメラ4を備える。情報処理装置1Aの詳細については後述する。ユーザ端末2Aは、第1実施形態と同様の構成であるために、その説明は省略する。
【0095】
定点カメラ4は、例えばイベント会場から退場するユーザが使用する道路、道路上の施設周辺、施設内、交通機関の停車場所等に設置される。定点カメラ4は、これらの場所のそれぞれに、例えば撮影方向や撮影範囲が異なるように複数台設置されてよい。定点カメラ4は、イベント会場周辺の混雑状況を動画、或いは静止画として撮影することができる。定点カメラ4が撮影したカメラ画像は、定点カメラ4から通信ネットワーク3を介して情報処理装置1Aに送信される。
【0096】
なお、定点カメラ4は、例えば人体検知センサに代えても良い。人体検知センサとしては、例えば赤外線を利用したセンサを用いることができる。イベント会場周辺の混雑状況をユーザ端末2Aによるユーザの位置情報から取得する構成とする場合には、定点カメラ4は、情報処理システム100Aから除外されてよい。
【0097】
[2-2.情報処理装置]
情報処理装置1Aは、第1実施形態と同様にサーバである。
図12は、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。なお、
図12においては、第2実施形態に係る情報処理装置1Aの特徴を説明するために必要な構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載は省略されている。
図12に示すように、情報処理装置1Aは、処理部11Aと、メモリ部12A、および、通信部13Aを備える。
【0098】
なお、メモリ部12Aの構成は、概ね第1実施形態の情報処理装置1が備えるメモリ部12の構成と同様である。ただし、格納される情報に相違点を有する。この点は、後述する。また、通信部13Aの構成は、第1実施形態の情報処理装置1が備える通信部13の構成と同様の構成であるために、その説明は省略する。
【0099】
処理部11Aは、第1実施形態と同様に、ユーザに特典を付与することでイベント後の人流制御を行う。
図12に示すように、処理部11Aは、その機能として、取得部111Aと、推定部112Aと、割当部113Aと、通知部114Aと、ポイント管理部115とを備える。第1実施形態と同様に、本実施形態においても、処理部11Aの機能は、メモリ部12Aに記憶されるプログラムにしたがった演算処理をプロセッサが実行することによって実現される。
【0100】
取得部111Aは、第1実施形態と同様に、外部から施設情報、ユーザ情報、および、特典情報を取得して、テーブル情報として記憶する。ただし、メモリ部12Aに記憶される施設情報テーブル121A、ユーザ情報テーブル122A、および、特典情報テーブル123Aは、以下の点で第1実施形態と相違する。
【0101】
施設情報テーブル121Aは、当該テーブルが有する情報として、
図3に示す施設ID、施設種類、および、提供特典IDの他に、混雑状況を含む。「混雑状況」は、施設における混雑度を示す情報である。混雑度は、例えば、定点カメラ4やユーザ端末2Aから得られる人の位置情報や移動方向情報に基づいて生成される。例えば、混雑度は、施設の収容可能人数と、施設を訪問している人の数との比によって求まる混雑率であってよい。また、例えば、混雑度は、混雑率の大きさに応じて数段階にレベル分けされたレベル値で示される情報であってもよい。
【0102】
ユーザ情報テーブル122Aは、当該テーブルが有する情報として、
図4に示すユーザID、位置、希望特典ID、および、グループIDの他に、所有ポイント数を含む。「所有ポイント数」は、各ユーザが有するポイント数を示す情報である。なお、ポイントは、上述のように、特典の取得を希望する際に必要とされる。
【0103】
特典情報テーブル123Aは、当該テーブルが有する情報として、
図5に示す特典ID、提供元、特典内容、使用条件、および、上限提供数の他に、実販売価格と、滞在効果時間とを含む。「実販売価格」は、特典の実販売価格を示す情報である。詳細には、「実販売価格」は、特典を購入することを想定した場合の価格を示す情報である。「滞在効果時間」は、ユーザが当該特典を入手することで費やすと想定される、施設におけるユーザの滞在時間を示す情報である。例えば、特典の対象が施設内で着席して提供される飲食物等の場合、滞在効果時間は長くなる傾向にある。一方、例えば、特典の対象が施設から持ち帰る物品等である場合、滞在効果時間は短くなる傾向にある。
【0104】
また、本実施形態では、取得部111Aは、外部から混雑情報を取得して、テーブル情報として記憶する。この点も、第1実施形態と異なる。混雑情報は、人流制御対象領域の混雑状況であって、イベント会場から退場するユーザが利用する道路の混雑状況を示す。人流制御対象領域は、例えば、イベント会場から最寄り駅までの少なくとも1つの経路を構成する道路を対象とする領域である。
図13は、混雑情報テーブル125の一例を示す図である。混雑情報テーブル125は、取得部111Aが取得した混雑情報をテーブル化してメモリ部12Aに記憶した情報である。なお、取得部111Aは、例えば、定点カメラ4やユーザ端末2Aから混雑情報を取得する。
【0105】
図13に示すように、混雑情報テーブル125は、当該テーブルが有する情報として、地点ID、位置情報、および、混雑状況を含む。「地点ID」は、混雑状況を観測する道路上の各地点を示す識別情報である。「位置情報」は、各地点の位置を示す情報である。位置情報は、例えば緯度および経度で表される。「混雑状況」は、道路上の地点を含む所定領域の混雑度を示す情報である。混雑度は、例えば、定点カメラ4やユーザ端末2Aから得られる人の位置情報や移動方向情報に基づいて生成される。例えば、混雑度は、道路上の地点を含む所定領域の人の密度であってよい。また、例えば、混雑度は、人の密度の大きさに応じて数段階にレベル分けされたレベル値で示される情報であってもよい。
【0106】
なお、
図13に示す混雑情報テーブル125は一例であって、これに限定されるわけではない。また、本実施形態では、混雑情報として、ユーザ端末2Aによるユーザの位置情報、または、定点カメラ4が撮像したカメラ画像に基づくリアルタイムの情報を利用する構成としている。ただし、これは例示である。事前に推測(過去のイベントにおける混雑度実績やイベントチケットの販売状況等に基づいて推測)したデータを利用して混雑情報が得られてもよい。また、混雑情報テーブル125における各項目の登録情報は、適宜更新されてよい。
【0107】
また、本実施形態では、取得部111Aは、外部から入札情報を取得して、テーブル情報として記憶する。この点も、第1実施形態と異なる。入札情報は、特典の割り当てのために行われるオークション(詳細は後述する)への入札状況を示す。
図14は、入札情報テーブル126の一例を示す図である。入札情報テーブル126は、取得部111Aが取得した入札情報をテーブル化してメモリ部12Aに記憶した情報である。
【0108】
なお、取得部111Aは、例えば、ユーザ端末2Aから入札情報を取得する。
図14に示す例では、ユーザは、ユーザ端末2Aを利用して複数の特典に対して入札可能となっている。ただし、ユーザは、1つの特典に対してのみ入札可能な構成であってもよい。
【0109】
図14に示すように、入札情報テーブル126は、当該テーブルが有する情報として、ユーザID、入札特典ID、および、入札ポイント数を含む。「ユーザID」は、入札を行ったユーザを識別する識別情報であり、ユーザ情報テーブル122AにおけるユーザIDと同じ情報が利用される。「入札特典ID」は、ユーザが入札を行った特典の識別番号であり、当該識別番号は、特典情報テーブル123Aにおける特典IDと同じ情報である。「入札ポイント数」は、ユーザの入札値を示す情報である。なお、
図14に示す入札情報テーブル126は一例であって、これに限定されるわけではない。
【0110】
推定部112Aは、第1実施形態と同様に、特典の取得を希望するユーザのグループを推定する。推定の手法は、第1実施形態と同様であってよい。
【0111】
割当部113Aは、第1実施形態と同様に、ユーザからの特典の取得希望に応じて、特典をユーザに割り当てる処理を行う。ただし、割当部113Aは、抽選方式ではなく、オークション方式を利用して、特典をユーザに割り当てる。すなわち、割当部113A(処理部11A)は、特典の取得希望者を募集する募集への応募に際して、入札を要求する。そして、割当部113A(処理部11A)は、入札の情報に応じて特典を付与する者を決定する。このような構成によれば、ユーザは自身の好みの特典を、自身の価値観に合った条件で取得することができる。また、入札にポイントが必要とされることによって、ユーザが必要以上に特典を入手して利用されない特典が生じることを抑制することができる。
【0112】
割当部113Aは、例えば、特典取得希望者の数がその特典の上限提供数以下の場合、特典取得希望者の全員に特典を付与してよい。また、割当部113Aは、特典取得希望者の数がその特典の上限提供数を超える場合、入札ポイント(入札値)が上位(特典の上限提供数まで)の特典取得希望者に特典を割り当ててよい。なお、特典を取得した者の所有ポイントは、入札ポイント(入札値)分だけ消費されてよい。すなわち、ユーザ情報テーブル122Aにおける所有ポイント数は、落札に伴い入札ポイント分だけ減算されてよい。また、特典を取得できなった特典取得希望者の所有ポイントは、減算されず、維持されてよい。
【0113】
本実施形態では、割当部113Aは、上述のような単純な方式のオークションと異なる方式のオークションを行う。割当部113Aは、イベント会場の周辺の混雑状況を示す混雑情報と、特典情報と、ユーザの特典に対する取得希望情報(入札情報を含む)とに基づき、どの特典をどのユーザに割り当てるかを決定する。これについての詳細例については後述する。
【0114】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、割当部113Aは、グループが同じである複数のユーザの中から、特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して特典の割り当てを行う。すなわち、同じグループに属する複数のユーザの全員が、或る1つの特典に対してそれぞれ応募資格を有することはない。1つのグループにつき、1つの特典に対する応募資格の数は1つである。なお、本実施形態の特典は、1つのグループで使える数が1つに制限されている特典であることが好ましい。代表者が1つの特典を落札すると、当該特典はグループ全員で利用できることが好ましい。
【0115】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、割当部113Aは、グループに属さない者に比べて、グループの代表者への特典の付与確率を高くして特典の割当処理を行う。詳細には、割当部113A(処理部11A)は、グループの代表者と、グループに属さない者との間で入札の情報を用いた計算処理の仕方を変更して、代表者への特典の付与確率を高くする。グループに対する特典の付与確率を高くすることで、グループ登録へのインセンティブを与えることができる。グループに設定される代表者への特典の付与確率を高くする構成の詳細例については後述する。
【0116】
通知部114A(
図12参照)は、第1実施形態と同様に、割当部113Aで行われた特典の割り当て結果を、特典の取得希望者の募集に応募したユーザに対して通知する。本実施形態では、通知部114Aは、特典の取得希望者の募集に応募したユーザにオークションの結果を通知する。ユーザは、情報処理装置1Aと通信ネットワーク3を介して接続される自身のユーザ端末2Aによって、オークション結果を確認することができる。なお、オークション結果の通知に合わせて、特典として機能する特典本体データもユーザ端末2Aに送信されてよい。
【0117】
ポイント管理部115(
図12参照)は、各ユーザのポイントを管理する。ポイント管理部115は、ユーザがポイント付与条件を満たすと、当該ユーザが利用するユーザ端末2Aにポイントに付与情報を送信する。この際、ユーザ情報テーブル122Aの所有ポイント数の更新も行う。また、ポイント管理部115は、ユーザが特典を落札した場合に、入札時に設定したポイントを当該ユーザの所有ポイント数から減算する処理を行う。
【0118】
[2-3.情報処理方法]
次に、情報処理装置1Aを用いて行われる情報処理方法について説明する。本実施形態でも、特典の取得希望者の募集が開始されると、
図8に示すステップS1~ステップS5と同様の処理が行われる。すなわち、特典への応募者情報の登録、特典への応募の締め切りの確認、および、グループの代表者設定が行われる。これらの処理の完了後に、オークション形式を利用した特典の割当処理が行われる。
【0119】
図15は、オークション形式を利用した特典の割当処理の流れを例示するフローチャートである。
図15に示す割当処理の流れを説明するに際して、
図16、
図17、および、
図18に示す具体例を想定する。
【0120】
図16は、入札者(ユーザ)毎の各入札特典に対応する入札ポイント情報を示す模式図である。
図16によれば、各入札者がどの特典の入札に何ポイントを設定したかがわかる。例えば、ユーザIDがU1であるユーザは、特典IDがT1の特典の入札に対して100ポイントを設定し、特典IDがT3の特典の入札に対して300ポイントを設定している。また、ユーザIDがU3であるユーザは、特典IDがT1の特典の入札に対して100ポイントを設定し、特典IDがT2の特典の入札に対して400ポイントを設定している。
【0121】
なお、
図16においては、入札者は、特典に対する応募資格を有する者である。すなわち、ユーザがグループに属する場合、代表者に設定されていなければ、
図16に示す入札者とはなり得ない。
図16に示す例では、ユーザIDがU1のユーザと、ユーザIDがU2のユーザとが同じグループに属している。そして、ユーザIDがU1のユーザが代表者に設定されている。このために、ユーザIDがU1のユーザは、
図16に入札者として示されている。ユーザIDがU2のユーザは、
図16に入札者として示されない。これらの点は、
図17および
図18でも同様である。
【0122】
また、
図16においては、入札者がグループに属する場合には、項目「グループ」が「Yes」とされる。また、入札者がグループに属さない場合には、項目「グループ」が「No」とされる。これらの点は、
図17および
図18でも同様である。
【0123】
また、
図16では、特典IDがT1、T2、T3の3種類の特典が掲載されている。ただし、実際の特典の種類の数は、対象のイベントにおける人流制御に対して提供される特典の種類数となる。この点は、
図17および
図18でも同様である。
【0124】
図17は、入札者(ユーザ)毎の各入札特典に対応する滞在効果時間情報を示す模式図である。
図17によれば、各入札者が入札した特典が、該当施設の滞在時間に対してどの程度の効果を生じるか、つまり人流制御(待機時間)に対する効果時間がわかる。例えば、ユーザIDがU1のユーザが入札した特典IDがT1とT3の特典の滞在効果時間は、それぞれ、30分と50分である。また、ユーザIDがU3のユーザが入札した特典IDがT1とT2の特典の滞在効果時間は、それぞれ、30分と20分である。
【0125】
図18は、入札者(ユーザ)毎の各入札特典に対応する実販売価格情報を示す模式図である。
図18によれば、各入札者が入札した特典の実販売価格相当額、つまり特典の価値がわかる。特典の実販売相当額は、例えば販売物品の割引額等であってよい。なお、特典提供者からみれば、実販売価格情報は特典の提供に対するコストとも言える。例えば、ユーザIDがU1のユーザが入札した特典IDがT1とT3の特典の実販売価格は、それぞれ、300円と600円である。また、ユーザIDがU3のユーザが入札した特典IDがT1とT2の特典の実販売価格は、それぞれ、300円と400円である。
【0126】
図15に示すステップS11では、割当部113Aが、特典情報テーブル123Aおよび入札情報テーブル126から、各ユーザの入札に関する情報、および、各特典に関する情報を抽出する。この際、割当部113Aは、(a)特典への入札ポイント情報(
図16参照)、(b)入札特典の滞在効果時間情報(
図17参照)、および、(c)入札特典の実販売価格情報(
図18参照)といった形式でデータを整理し、以降の処理に備える。ステップS11の処理が完了すると、次のステップS12に処理が進められる。
【0127】
ステップS12では、割当部113Aは、先の処理で得られた(a)特典への入札ポイント情報と、(b)入札特典の滞在効果時間情報と、(c)入札特典の実販売価格情報とについて、スケーリングを行う。当該スケーリングでは、次のステップS13で行われる最適化計算において上記(a)、(b)、および、(c)の情報のいずれを重視して計算するかが決定される。例えば、混雑情報からイベント会場周辺や最寄り駅等の混雑度が高いと判定される場合には、(b)の情報が重視される。(b)入札特典の滞在効果時間情報が重視される場合、(b)のデータが大きく重み付けされ、(a)および(c)のデータは小さく重み付けされる。例えば、(b)のデータに大きい係数αが乗じられ、(a)及び(c)のデータには、それぞれ、αよりも小さい係数β、γが乗じられる。このスケーリングにより重視する情報に応じて、オークションにおける落札者が変わってくる。ステップS12の処理が完了すると、次のステップS13に処理が進められる。
【0128】
ステップS13では、割当部113Aが、スケーリングされた(a)特典への入札ポイント情報の各データと、(b)入札特典の滞在効果時間情報の各データと、(c)入札特典の実販売価格情報の各データと、を含む目的関数の最適化計算を行う。割当部113Aは、以下に示す式(1)で表される目的関数の最適化計算を行う。
【0129】
なお、最適化計算の制約条件は、提供する特典の上限数、および、ユーザ1人が入手できる特典の数である。本実施形態では、一例として、ユーザ1人が入手できる特典は1つである。
【0130】
【数1】
式(1)において、f(ti)は、施設におけるユーザの滞在効果時間(混雑緩和効果)を表す。f(po)は、ユーザが入札時に使用した入札ポイント数を表す。f(pr)は、ユーザが入札した特典の実販売価格を表す。なお、これらには、スケーリング処理により重み付け係数が乗じられている。
【0131】
また、式(1)におけるf(gr)は、グループ係数を表す。本実施形態では、グループ係数は、ユーザがグループに属する場合、例えば「1.5」等の1より大きい値とされ、ユーザがグループに属さない場合、「1」とされる。すなわち、グループの代表者と、グループに属さない者との間で、入札の情報を用いた計算処理の仕方が変更される。グループ係数が組み込まれることによって、グループに属しない者に比べて、グループの代表者への特典の付与確率を高くすることができる。グループ係数の値は、実験やシミュレーション等により適宜決定されてよい。なお、上述の例ではグループであるか否かでグループ係数が決まる構成としているが、これは例示である。グループ係数は、グループに属する人の数に応じて異なる値とされてもよい。グループに属する人の数が多いほど、値が大きくされてよい。
【0132】
詳細に言えば、割当部113Aは、上述の制約条件のもとで、どのユーザにどの特典を割り当てるのかという割当状態を表す全ての特典割当パターンにおいて、式(1)で表される目的関数Fの演算を行う。目的関数Fの演算において、割当部113Aは、特典割当パターンの各々に関してユーザ別人流制御効果を算出し、特典割当パターン毎にユーザ別人流制御効果を集計する。ユーザ別人流制御効果は、ユーザ各々に対する特典の実販売価格(価値)と入札値との関係を示す値である関係値と、当該特典による施設におけるユーザの滞在効果時間(特典効果値)とに基づき算出される。最適化計算が完了すると、次のステップS14に処理が進められる。
【0133】
ステップS14では、割当部113A、ステップS13の最適化計算の結果として決定された特典割当パターン(最適解)に基づき、複数の特典それぞれの落札者(ユーザ)を決定する。割当部113Aは、複数の特典割当パターン(本実施形態では全特典割当パターン)のうち、目的とする効果が最大となる特典割当パターンを最適解とする。換言すると、割当部113Aは、どのユーザにどの特典を割り当てるのかという割当状態を表す各パターンのうち、目的とする効果が最大となる特典割当パターンを最適解とする。本例では、目的とする効果は人流制御効果であり、具体的には施設滞在時間が効果指標とされる。割当部113Aは、当該最適解の特典割当パターンで、特典の割り当てを行う。
【0134】
詳細には、割当部113Aは、式(1)で表される目的関数F(ユーザ別人流制御効果の集計値)が最大となる特典割当パターンを最適解として決定する。すなわち、割当部113Aは、目的関数Fの演算を行うことで、目的とする効果(施設滞在時間を指標とする人流制御効果)が最大となる特典割当パターンを求めて落札者を決定する。特典割当パターンの決定により複数の特典それぞれの落札者が決定されると、次のステップS15に処理が進められる。
【0135】
ステップS15では、通知部114Aが、特典への応募に対する結果(オークションの結果)を各ユーザに対して通知する。通知は、例えば、通信ネットワーク3を利用してユーザ端末2Aに対して行われる。なお、特典への応募に対する結果の通知に際して、ユーザ端末2Aで画面表示して利用が可能な特典本体データ(QRコード等)が、ユーザ端末2Aに送信されてよい。これにより、ユーザは、ユーザ端末2Aを用いて特典の利用を行うことができる。また、特典が付与されると、ポイント管理部115は、特典を付与された各ユーザの所有ポイントから、入札時に設定したポイント分を減算する。これに伴い、ユーザ情報テーブル122Aの所有ポイント数が更新される。また、ユーザ端末2Aに所有ポイント数が減算されたことが通知される。
【0136】
本実施形態のオークション方式によれば、混雑緩和、イベント主催者及び施設の満足度向上、並びにユーザの満足度向上を総合的に実現することが可能になる。イベント主催者及び施設の満足度向上としては、例えば施設へのユーザの誘引、売り上げ増加等が挙げられる。ユーザの満足度向上としては、例えばユーザそれぞれの目的、嗜好に応じた特典の入手等が挙げられる。
【0137】
また、本実施形態では、グループが同じである複数のユーザの中から、特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して特典の割り当てが行われる。このために、例えば「グループで使用できる特典の数は1つである」といった特典について、同じグループに属する複数のユーザに特典が付与されることを防止することができる。すなわち、利用されることがない無駄な特典の付与が行われることを抑制することができる。この結果、ユーザの満足度の向上しつつ、特典を有効利用して、イベント後の混雑緩和を促進することができる。また、特典を利用した集客により、店舗等の施設の活性化を図ることができる。
【0138】
また、本実施形態では、グループに属さない者に比べて、グループに設定される代表者への特典の付与確率が高くされる。これにより、グループに属する者が、グループであることを申告して特典の募集に応じる可能性を高めることができる。これにより、グループを構成する人の動きを把握し易くすることができる。また、グループに対して特典が付与され易くなることで、特典を利用した施設への人の誘引効果を高めることができる。
【0139】
なお、以上では、グループの代表者が落札した特典は、グループ全員が利用でき、グループで落札できる特典の数は1つとした。ただし、これは例示であり、これとは別のオークション形式とされてもよい。例えば、代表者が特典を落札すると、グループの人数分の特典が付与される構成としてもよい。
【0140】
<3.付記>
例示的な本発明のプログラムは、情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであってよい。当該プログラムは、前記コンピュータを、特典の取得を希望するユーザのグループを推定することと、前記グループが同じである複数の前記ユーザの中から、前記特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者を設定して前記特典の割り当てを行うこととを行う手段として機能させる構成であってよい。
【0141】
また、当該プログラムは、前記コンピュータを、グループが同じであると推定された複数のユーザの中から特典の取得希望者の募集に対して応募資格を有する代表者に設定された者へ、前記募集に対する応募の結果を通知する手段として機能させる構成であってよい。
【0142】
<4.留意事項等>
本明細書の、発明を実施するための形態に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書の、発明を実施するための形態に開示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0143】
1、1A・・・情報処理装置
2、2A・・・ユーザ端末(端末装置)
11、11A・・・処理部