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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061145
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】回転子および回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20240425BHJP
【FI】
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168887
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 匡伸
(72)【発明者】
【氏名】青木 一男
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622AA06
5H622CA03
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB05
5H622PP09
(57)【要約】
【課題】回転子の磁石を効率的に冷却して出力効率の低下を抑えること。
【解決手段】実施形態に係る回転子は、軸方向に延びた回転子鉄心と、回転子鉄心の回転軸の垂直断面において、回転子鉄心の外周面に沿って軸方向に形成された永久磁石収納孔と、永久磁石収納孔に収納された永久磁石と、垂直断面において、永久磁石収納孔における前記回転子鉄心の径方向内側に永久磁石収納孔に沿って該永久磁石収納孔と連通して形成され、永久磁石を冷却する冷媒を封入可能な冷媒流路と、永久磁石収納孔内において、永久磁石収納孔の内壁面及び永久磁石の表面の間に配設され、永久磁石を内壁面に密着させるシートと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びた回転子鉄心と、
前記回転子鉄心の回転軸の垂直断面において、前記回転子鉄心の外周面に沿って前記軸方向に形成された永久磁石収納孔と、
前記永久磁石収納孔に収納された永久磁石と、
前記垂直断面において、前記永久磁石収納孔における前記回転子鉄心の径方向内側に前記永久磁石収納孔に沿って該永久磁石収納孔と連通して形成され、前記永久磁石を冷却する冷媒を封入可能な冷媒流路と、
前記永久磁石収納孔内において、前記永久磁石収納孔の内壁面及び前記永久磁石の表面の間に配設され、前記永久磁石を前記内壁面に密着させるシートと
を備えた回転子。
【請求項2】
前記永久磁石は、板状の形状を具備し、
前記シートは、前記永久磁石の主面のうち、前記回転子の回転方向における後段側の主面上に配設されたこと
を特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項3】
前記永久磁石は、複数の永久磁石部を具備し、
前記シートは、さらに前記複数の永久磁石部間に配設されたこと
を特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項4】
前記永久磁石は、板状の形状を具備し、
前記シートは、前記永久磁石の主面上に配設されたこと
を特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項5】
前記回転子鉄心は、積層された複数の電磁鋼板と、前記積層された複数の電磁鋼板の両端面に配設された端板とからなり、
前記シートは、さらに、前記永久磁石の端面と前記端板との間に配設されたこと
を特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項6】
前記シートは、前記永久磁石の全表面に配設されたこと
を特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項7】
前記シートは、発泡性を具備することを特徴とする請求項1記載の回転子。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の回転子と、
前記回転子の周面と対向配置された固定子と
を具備した回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転子および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石を回転子内に配設した回転電機では、その運転時に回転子内の磁石が発熱して損失が発生する。すなわち、磁石の発熱に起因して出力効率が低下することが知られている。
【0003】
出力効率の高い回転電機を実現するためには、回転子の磁石を効率的に冷却することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-100353
【特許文献2】特開2020-141552
【特許文献3】特開2018-67978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転子、回転電機は、回転子に設けられた磁石の発熱に起因して出力効率が低下するという問題があった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、回転子の磁石を効率的に冷却して出力効率の低下を抑えることのできる回転子、回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る回転子は、軸方向に延びた回転子鉄心と、回転子鉄心の回転軸の垂直断面において、回転子鉄心の外周面に沿って軸方向に形成された永久磁石収納孔と、永久磁石収納孔に収納された永久磁石と、垂直断面において、永久磁石収納孔における前記回転子鉄心の径方向内側に永久磁石収納孔に沿って該永久磁石収納孔と連通して形成され、永久磁石を冷却する冷媒を封入可能な冷媒流路と、永久磁石収納孔内において、永久磁石収納孔の内壁面及び永久磁石の表面の間に配設され、永久磁石を内壁面に密着させるシートと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る回転電機の構成を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る回転子の断面の一部を拡大した拡大図である。
図3】第1実施形態に係る回転子の断面(A-A断面)を示す断面図である。
図4】第2実施形態に係る回転子の断面の一部を拡大した拡大図である。
図5】第2実施形態に係る回転子の断面(B-B断面)を示す断面図である。
図6】第3実施形態に係る回転子の断面(A-A断面)を示す断面図である。
図7】第4実施形態に係る回転子の断面(B-B断面)を示す断面図である。
図8】第5実施形態に係る回転子の断面の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る回転子および回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る回転電機1の構成を示す断面図である。
【0010】
回転電機1は、回転軸方向に延びたロータシャフト110、同じく回転軸方向に延びロータシャフト110の径方向外側に取り付けられた円筒状の回転子鉄心120、および複数の永久磁石130(131)を有する埋め込み磁石型の回転子100と、回転子鉄心120の径方向外側に、ギャップ空間を介して回転子鉄心120を囲むように配された円筒状の固定子10と、ロータシャフト110を回転可能に支持する2つの軸受(図示せず)とを備える。図1は、ロータシャフト110の回転軸に垂直な断面(以下、「垂直断面」)を示す。
【0011】
回転子鉄心120は、複数の電磁鋼板120aを回転軸方向に積層して形成される。積層された電磁鋼板120aの回転軸方向の両端には端板(図示せず)が配設される。電磁鋼板120aそれぞれには、ロータシャフト110が貫通するための打ち抜き孔や、永久磁石130(131)が貫通するための打ち抜き孔などが形成されている。これらの打ち抜き孔は、電磁鋼板120aが積層されることによって貫通孔をなす。なお、図1では、回転子鉄心120が電磁鋼板120aからなる場合を例にとって示しているが、これに限定されず、ロータシャフトと回転子鉄心が一体の塊状型の回転子についても適用可能である。
【0012】
回転子鉄心120には、永久磁石130,131を収納するための、軸方向に延びた一対の永久磁石収納孔122,123が、回転子鉄心120の周方向に沿って複数形成されている。一対の永久磁石収納孔122,123は、回転子100における磁極に対応する。永久磁石収納孔122,123は、回転子鉄心120の回転軸方向に沿って形成される。複数の電磁鋼板120aに形成された打ち抜き孔は、複数の電磁鋼板120aが積層されることにより、回転子鉄心120の回転軸方向に延びた永久磁石収納孔122(123)が形成される。
【0013】
永久磁石130,131は、回転子100の磁極に対応し、永久磁石収納孔122,123それぞれに収納される。各磁極に対応する一対の永久磁石130,131は、径方向外側になるに従って周方向の間隔が広くなるように配置される。図1に示す例では、永久磁石130,131は、回転子鉄心120の径方向内側に向けて凸のV字配置に配設されているが、この形態には限定されない。回転子100の径方向外側になるに従って永久磁石130,131の周方向の間隔が広くなるように配置されていれば、他の形態を採っていても構わない。なお、永久磁石130,131は平板状形状を有している。
【0014】
対をなす永久磁石130,131は、回転子鉄心120の円周面に沿って同様の形態で複数組配設される。図1に示す例では、合計8組の永久磁石130,131が配設されている。
【0015】
永久磁石130が収容された永久磁石収納孔122における回転子鉄心120の径方向内側の端部近傍には、冷媒流路150が形成されている。同様に、永久磁石131が収容された永久磁石収納孔123における回転子鉄心120の径方向内側の端部近傍には、冷媒流路151が形成されている。
【0016】
冷媒経路150,151は、永久磁石収納孔122,123と並行配置され、冷媒を封入可能な空間を形成している。冷媒流路150,151は、永久磁石収納孔122,123と連通しており、冷媒流路150,151を通る冷媒は永久磁石130,131を冷却することができる。
【0017】
図2は、図1に示す回転子鉄心120の径方向内側に向けて凸のV字配置された一対の永久磁石130,131を拡大して示す。図2に示すように、永久磁石収納孔122は、シート160と永久磁石130を収容する。
【0018】
シート160は、板状に形成された永久磁石130における回転子鉄心120の回転軸に垂直な断面において一方の長辺に沿って配設されている。すなわち、板状に形成された永久磁石130の主面のうち、一方の面に配設されている。永久磁石130は板状に形成されており、図2に示すように、その回転子鉄心120の回転軸に垂直な断面には、永久磁石130の主面をなす一対の長辺が存在する。この二つの長辺のうち、回転子100の回転方向Xに対して後段側の長辺(主面)に沿ってシート160が配設される。
【0019】
同様に、永久磁石収納孔123は、シート161と永久磁石131を収容する。シート161は、板状に形成された永久磁石131の断面において一方の長辺に沿って配設されている。すなわち、板状に形成された永久磁石131の主面のうち、一方の面に配設されている。永久磁石131は板状に形成されており、図2に示すように、その回転子鉄心120の回転軸に垂直な断面には、一対の長辺が存在する。この二つの長辺のうち、回転子100の回転方向Xに対して後段側の長辺(主面)に沿ってシート161が配設される。他の組の永久磁石についても同様である。
【0020】
図3は、図2におけるA-A断面を示す。すなわち、図3は、板状の永久磁石130を回転子100の回転軸に沿った断面を示している。図3に示すように、複数の電磁鋼板120aが積層されて円筒状の回転子鉄心120を形成しており、その両端には端版124,126が配設されている。図3に示す例では、永久磁石130は、一つの永久磁石収納孔122に複数の永久磁石130a,130bを含んでいる。すなわち、永久磁石130は、複数の磁石に分割され永久磁石収納孔122に収容されている。
【0021】
図3に示すように、永久磁石130(130a,130b)の回転子100の回転軸に垂直な断面における一方の長辺(主面)には、シート160が配設されている。また、永久磁石130a及び130bの間にも、シート160aが配設されている。すなわち、永久磁石130(130a,130b)は、その隙間と回転子100の回転方向の後段の主面にシートが配設されている。
【0022】
シート160,160aは、永久磁石130(130a,130b)を永久磁石収納孔122,123内の所定位置に固定する作用をする。したがって、シート160,160aは、永久磁石130,131の主面及び対応する永久磁石収納孔122,123の内壁面に密着する機能を持つことが望ましい。
【0023】
この実施形態では、永久磁石130,131の径方向内側の端部近傍に形成された冷媒流路150,151に冷媒が封入される。冷媒流路150,151と永久磁石収納孔122,123は連通しているから、永久磁石130,131の周囲は冷媒が満たされることになる。これにより、永久磁石130の冷却を可能にする。
【0024】
回転子鉄心120が電磁鋼板120aの積層体からなる場合、回転子120の回転による遠心力により、永久磁石130,131と永久磁石収納孔122,123の内壁面との間を介して冷媒が回転子鉄心120の外周面に漏れ出す可能性がある。この実施形態のシート160,160aは、永久磁石130,131における回転子100の回転方向の後段側の主面と、対応する永久磁石収納孔122,123の内壁面との間に配設されるので、冷媒流路150,151に封入された冷媒が、回転子100の回転によって生ずる遠心力で回転子100の外周面から漏出することを防止することができる。
【0025】
この実施形態によれば、冷却材が漏れやすい永久磁石130,131の周囲、特に回転子100の回転方向後段側の面にシート160を備えたので、冷媒の漏出に起因する回転電機1の出力効率の低下を抑えることができる。
【0026】
シート160,160aは、密着性に加えて発泡性を具備してもよい。シート160,160aが発泡性を具備すると、回転電機1の運転によって永久磁石130,131が発熱した場合にシート160,160aが膨張して永久磁石130,131と永久磁石収納孔122,123の壁面の密着性を高めることができ、冷媒の漏出をより抑えることが可能になる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、図4及び5を参照して、第2実施形態に係る回転電機について説明する。この実施形態は、第1実施形態とはシートの配置が異なるものである。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素に共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0028】
図4は、第2実施形態における、回転子鉄心120の径方向内側に向けて凸のV字配置された一対の永久磁石130,131を拡大して示す。図4に示すように、永久磁石収納孔122aは、シート160及び永久磁石130に加えてシート160bを収容する。
【0029】
シート160及び160bは、板状に形成された永久磁石130の断面において二つ長辺に沿って配設されている。永久磁石130は板状に形成されており、図4に示すように、その回転子鉄心120の回転軸に垂直な断面には、一対の長辺(主面)が存在する。この二つの長辺(主面)のうち、両方の長辺(主面)に沿ってシート160及び160bが配設される。
【0030】
同様に、永久磁石収納孔123aは、シート161及び永久磁石131に加えてシート161bを収容する。シート161及び161bは、板状に形成された永久磁石131の断面において両方の長辺(主面)に沿って配設されている。永久磁石131は板状に形成されており、図4に示すように、その回転子鉄心120の回転軸に垂直な断面には、一対の長辺(主面)が存在する。この二つの長辺(主面)のうち、両方の長辺(主面)に沿ってシート161及び161bが配設される。他の組の永久磁石についても同様である。
【0031】
図5は、図4におけるB-B断面を示す。すなわち、図5は、板状の永久磁石130を回転子100の回転軸に沿った断面を示している。図5に示すように、複数の電磁鋼板120aが積層されて円筒状の回転子鉄心120を形成しており、その両端には端版124,126が配設されている。図5に示す例では、永久磁石130は、一つの永久磁石収納孔122内において複数の永久磁石130a,130bを含んでいる。すなわち、永久磁石130は、複数の磁石に分割され永久磁石収納孔122に収容されている。
【0032】
図5に示すように、永久磁石130(130a,130b)の両方の長辺(主面)には、シート160及び160bが配設されている。また、永久磁石130a及び130bの間にも、シート160aが配設されている。
【0033】
シート160,160a,160bは、永久磁石130(130a,130b)を永久磁石収納孔122内の所定位置に固定する作用をする。したがって、シート160,160a、160bは、永久磁石130,131及び回転子鉄心120に密着する機能を持つことが望ましい。シート160,160a、160bは、発泡性を有してもよい。
【0034】
この実施形態のシート160,160a,160bは、永久磁石130,131における回転子100の回転方向の前後段両方の面と、永久磁石130a,130bの間に配設されるので、冷媒流路150に封入された冷媒が、回転子100の回転によって生ずる遠心力で回転子100の外周面から漏出することを防止することができる。特に、冷媒が漏れやすい永久磁石130の長辺(主面)にシート160,160bを備えたので、冷媒の漏出に起因する回転電機1の出力効率の低下を抑えることができる。
【0035】
(第3実施形態)
次に、図6を参照して、第3実施形態に係る回転電機について説明する。この実施形態は、第1実施形態におけるシートの配置を変更したものである。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素に共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0036】
図6は、図2におけるA-A断面を示す。すなわち、図6は、板状の永久磁石130を回転子100の回転軸に沿った断面を示している。図6に示すように、複数の電磁鋼板120aが積層されて円筒状の回転子鉄心120を形成しており、その両端には端版124,126が配設されている。図6に示す例では、永久磁石130は複数の永久磁石130a,130bを含んでいる。すなわち、永久磁石130は、複数の磁石に分割され永久磁石収納孔122に収容されている。
【0037】
図6に示すように、永久磁石130(130a,130b)の回転子100の回転軸に垂直な断面における一方の長辺(主面)には、シート160が配設されている。また、永久磁石130a及び130bの間にも、シート160aが配設されている。すなわち、永久磁石130(130a,130b)は、その隙間と回転子100の回転方向の後段にシートが配設されている。
【0038】
さらに、この実施形態では、永久磁石130aの端部と端板126との間、永久磁石130bの端部と端板124との間にも、シート160c及び160dが配設されている。
【0039】
シート160,160a,160c,160dは、永久磁石130(130a,130b)を永久磁石収納孔122内の所定位置に固定する作用をする。したがって、シート160,160a,160c,160dは、永久磁石130,131及び回転子鉄心120に密着する機能を持つことが望ましい。
【0040】
この実施形態のシート160,160a,160c,160dは、永久磁石130,131における回転子100の回転方向の後段側の面と、永久磁石130、131との間と、永久磁石130a,130bと端板126、124の間に配設されるので、冷媒流路150,151に封入された冷媒が、回転子100の回転によって生ずる遠心力で回転子100の外周面から漏出することを防止することができる。
【0041】
なお、この実施形態において、永久磁石130aの端部と端板126との間、永久磁石130bの端部と端板124との間に配設されるシート160c,160dは、発泡性を有するシートであることがより好ましい。かかる構成により、永久磁石の端面と端板との間の隙間を効果的に埋めることができる。シート160,160a,160c,160dの全てが発泡性を有してもよい。
【0042】
(第4実施形態)
次に、図7を参照して、第4実施形態に係る回転電機について説明する。この実施形態は、第2実施形態におけるシートの配置をさらに変更したものである。以下の説明において、第2実施形態と共通する要素に共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0043】
図7は、図4におけるB-B断面を示す。すなわち、図7は、板状の永久磁石130を回転子100の回転軸に沿った断面を示している。図7に示すように、複数の電磁鋼板120aが積層されて円筒状の回転子鉄心120を形成しており、その両端には端版124,126が配設されている。図7に示す例では、永久磁石130は複数の永久磁石130a,130bを含んでいる。すなわち、永久磁石130は、複数の磁石に分割され永久磁石収納孔122に収容されている。
【0044】
図7に示すように、永久磁石130(130a,130b)の両方の長辺(主面)には、シート160及び160bが配設されている。また、永久磁石130a及び130bの間にも、シート160aが配設されている。
【0045】
さらに、この実施形態では、永久磁石130aの端部と端板126との間、永久磁石130bの端部と端板124との間にも、シート160c及び160dが配設されている。
【0046】
シート160,160a,160b,160c,160dは、永久磁石130(130a,130b)を永久磁石収納孔122内の所定位置に固定する作用をする。したがって、シート160,160a,160b,160c,160dは、永久磁石130,131及び回転子鉄心120に密着する機能を持つことが望ましい。
【0047】
この実施形態のシート160,160a,160b,160c,160dは、永久磁石130における回転子100の回転方向の後段側の主面と、永久磁石130a,130bの間と、永久磁石130a,130bと端板126、124の間に配設されるので、冷媒流路150に封入された冷媒が、回転子100の回転によって生ずる遠心力で回転子100の外周面から漏出することを防止することができる。
【0048】
この実施形態においても、永久磁石130aの端部と端板126との間、永久磁石130bの端部と端板124との間に配設されるシート160c,160dは、発泡性を有するシートであることがより好ましい。かかる構成により、永久磁石の端面と端板との間の隙間を効果的に埋めることができる。シート160,160a,160c,160dの全てが発泡性を有してもよい。
【0049】
(第5実施形態)
次に、図8を参照して、第5実施形態に係る回転電機について説明する。この実施形態は、永久磁石130a,130bの全ての面にシート160~160fを配設したものである。かかる構成においても、冷媒流路150,151に封入された冷媒が、回転子100の回転によって生ずる遠心力で回転子100の外周面から漏出することを防止することができる。また、シート160~160fの全てが発泡性を有してもよい。
【0050】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1…回転電機、10…固定子、11…固定子鉄心、100…回転子、110…ロータシャフト、120…回転子鉄心、122,123…永久磁石収納孔、130,131…永久磁石、150,151…冷媒流路、160,161…シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8