(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061161
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/38 20220101AFI20240425BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240425BHJP
F24H 15/136 20220101ALI20240425BHJP
F24H 15/385 20220101ALI20240425BHJP
F24H 15/231 20220101ALI20240425BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240425BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240425BHJP
【FI】
F24H15/38
F24H4/02 F
F24H15/136
F24H15/385
F24H15/231
F24H1/00 A
F24H1/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168918
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】江田 秋人
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB24
3L122AB33
3L122AC35
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA18
3L122BB03
3L122BC12
3L122BC17
3L122DA22
3L122DA23
3L122DA24
3L122EA62
3L122EA63
3L122FA02
3L122GA06
(57)【要約】
【課題】除霜運転中のヒートポンプユニットの圧縮機にかかる過剰な運転負荷を軽減することができる貯湯給湯装置を提供すること。
【解決手段】圧縮機(21)と凝縮熱交換器(22)と膨張弁(23)と蒸発熱交換器(24)とを冷媒回路(25)により接続して構成されたヒートポンプユニット(4)と、貯湯タンク(2)と、ヒートポンプユニット(4)で加熱された湯水を貯湯タンク(2)に貯湯する貯湯運転を制御する制御部(18)を備えた貯湯給湯装置(1)において、圧縮機(21)の冷媒の吐出温度を検知する吐出温度検知手段(26)と、蒸発熱交換器(24)の出口の冷媒温度を検知する蒸発熱交出口温度検知手段(27)を備え、制御部(18)は、貯湯運転中に蒸発熱交換器(24)の出口の冷媒温度に基づいて蒸発熱交換器(24)の着霜を検知した場合にこの霜を除去する除霜運転を開始し、この除霜運転開始から所定時間経過後の除霜運転中に吐出温度の上昇を検知した場合には圧縮機(21)の運転回転数を減少させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプユニットと、貯湯タンクと、前記ヒートポンプユニットで加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御部を備えた貯湯給湯装置において、
前記圧縮機の冷媒の吐出温度を検知する吐出温度検知手段と、前記蒸発熱交換器の出口の冷媒温度を検知する蒸発熱交出口温度検知手段を備え、
前記制御部は、前記貯湯運転中に前記蒸発熱交換器の出口の冷媒温度に基づいて前記蒸発熱交換器の着霜を検知した場合にこの霜を除去する除霜運転を開始し、この除霜運転開始から所定時間経過後の除霜運転中に前記吐出温度の上昇を検知した場合には前記圧縮機の運転回転数を減少させることを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記吐出温度の上昇幅に応じた前記運転回転数の減少幅を設定することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記運転回転数を減少させた後で前記吐出温度の下降を検知した場合に、前記吐出温度の下降幅に応じて前記運転回転数の増加幅を設定して前記運転回転数を増加させることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットで加熱して貯湯タンクに貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置に関し、特に貯湯運転中に行われるヒートポンプユニットの除霜運転に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を行い、この貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置が広く利用されている。ヒートポンプユニットは、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されている。
【0003】
貯湯運転は、蒸発熱交換器で外気の熱を冷媒に吸熱させ、この冷媒の熱を湯水の加熱に利用する。そのため、外気温が低いときには、吸熱されて温度が下がった外気に含まれている水分が凝縮して、蒸発熱交換器に着霜し易くなる。蒸発熱交換器についた霜は外気からの吸熱を妨げるので、着霜が検知されるとこの霜を除去する除霜運転が行われる。
【0004】
この除霜運転について、例えば特許文献1のように、冷媒回路の接続を切替えて冷媒の流動方向を逆転させ、圧縮機から吐出される高温の冷媒を蒸発熱交換器に流通させて除霜運転を行う貯湯給湯装置が知られている。また、例えば特許文献2のように、外気を温めるヒータを備え、ヒータで温められた外気を蒸発熱交換器に送風して霜を解かす除霜運転を行う貯湯給湯装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5333597号公報
【特許文献2】特開2008-57910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の除霜運転は、冷媒回路の接続切替のために圧縮機の運転回転数(周波数)を減少させる、又は圧縮機を停止させ、接続切替後に予め設定されている除霜運転時の運転回転数にする。それ故、高温の冷媒を蒸発熱交換器に流通させるまで時間がかかり、除霜運転の所要時間が長くなる虞がある。また、除霜運転完了後に冷媒回路の接続を切替えて貯湯運転を再開する際にも時間がかかり、貯湯運転の所要時間が長くなる虞がある。
【0007】
一方、特許文献2の除霜運転は、外気を温めるためのヒータによって貯湯給湯装置が複雑になり、製造コストが上昇してしまうので好ましくない。そのため、除霜運転は、貯湯タンクから凝縮熱交換器に供給される湯水の流動を停止させると共に膨張弁を所定の開度にし、冷媒回路の接続を切替えずに圧縮機から吐出される高温の冷媒を蒸発熱交換器に流通させて霜を除去する場合が多い。
【0008】
しかし、この除霜運転中に、液化した冷媒によって冷媒回路内の冷媒の流動が滞ってしまい、圧縮機に過剰な運転負荷かがかかる場合がある。例えば膨張弁において、液化した冷媒が気体の冷媒の流動を妨げ、圧縮機の吐出圧力が上昇して運転負荷が増加する場合がある。そして、この除霜運転時の過剰な運転負荷による圧縮機の耐久性劣化又は破損が懸念されている。
【0009】
そこで、本発明は、除霜運転中のヒートポンプユニットの圧縮機に過剰な運転負荷がかかることを軽減することができる貯湯給湯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の貯湯給湯装置は、圧縮機と凝縮熱交換器と膨張弁と蒸発熱交換器とを冷媒回路により接続して構成されたヒートポンプユニットと、貯湯タンクと、前記ヒートポンプユニットで加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御部を備えた貯湯給湯装置において、前記圧縮機の冷媒の吐出温度を検知する吐出温度検知手段と、前記蒸発熱交換器の出口の冷媒温度を検知する蒸発熱交出口温度検知手段を備え、前記制御部は、前記貯湯運転中に前記蒸発熱交換器の出口の冷媒温度に基づいて前記蒸発熱交換器の着霜を検知した場合にこの霜を除去する除霜運転を開始し、この除霜運転開始から所定時間経過後の除霜運転中に前記吐出温度の上昇を検知した場合には前記圧縮機の運転回転数を減少させることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、貯湯給湯装置は、ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯運転中にヒートポンプユニットの蒸発熱交換器の着霜を検知した場合にこの霜を除去する除霜運転を開始する。そして、この除霜運転開始から所定時間経過後の除霜運転中に圧縮機が吐出する冷媒の吐出温度の上昇を検知した場合に、圧縮機の運転回転数を減少させる。除霜運転中の圧縮機が吐出する冷媒の吐出温度の上昇は吐出圧力の上昇によるものであり、圧縮機の運転負荷の増加を示しているので、圧縮機の運転回転数を減少させて運転負荷の増加を軽減することができる。従って、除霜運転中のヒートポンプユニットの圧縮機にかかる過剰な運転負荷を軽減することができ、圧縮機の耐久性劣化又は破損を防止することができる。
【0012】
請求項2の発明の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、前記吐出温度の上昇幅に応じた前記運転回転数の減少幅を設定することを特徴としている。
上記構成によれば、圧縮機の吐出温度の上昇幅に対応させて圧縮機の運転回転数の減少幅を設定するので、圧縮機の運転負荷の増加に応じて運転回転数を減少させて運転負荷の増加を軽減することができる。
【0013】
請求項3の発明の貯湯給湯装置は、請求項1又は2の発明において、前記制御部は、前記運転回転数を減少させた後で前記吐出温度の下降を検知した場合に、前記吐出温度の下降幅に応じて前記運転回転数の増加幅を設定して前記運転回転数を増加させることを特徴としている。
上記構成によれば、圧縮機の運転負荷の軽減後に圧縮機の吐出温度の下降を検知した場合に、この吐出温度の下降幅に対応させて圧縮機の運転回転数の増加幅を設定してこの圧縮機の運転回転数を増加させる。運転回転数減少後の圧縮機が吐出する冷媒の吐出温度の下降は圧縮機の吐出圧力の低下によるものであり、圧縮機の運転負荷が減少しているので、圧縮機の運転回転数を増加させて、運転回転数減少前の状態に近づける。従って、除霜運転中のヒートポンプユニットの圧縮機に過剰な運転負荷がかからなくなった後、除霜運転開始当初の運転回転数に近づけるので、除霜運転の所要時間が長くならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の貯湯給湯装置によれば、除霜運転中のヒートポンプユニットの圧縮機にかかる過剰な運転負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯装置の説明図である。
【
図2】
図1のヒートポンプユニットの説明図である。
【
図5】除霜運転中の圧縮機の吐出温度と吐出圧力、膨張弁の出口の冷媒温度と蒸発熱交換器の出口の冷媒温度の変動を示すデータの例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
最初に、本発明の貯湯給湯装置1の構成について説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯タンク2を備えた貯湯ユニット3と、ヒートポンプユニット4と、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。この貯湯給湯装置1は、ヒートポンプユニット4で所定の目標貯湯温度に加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯する貯湯運転を行う。補助熱源機5は、矢印HWで示すように給湯設定温度の湯水を給湯栓6から給湯するために、貯湯ユニット3から出湯された湯水をその温度に応じて加熱して、又は非加熱で、給湯栓6に供給する。
【0018】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
貯湯タンク2の下部には、ヒートポンプユニット4に貯湯タンク2の湯水を供給するために、貯湯ポンプ7を備えた往き通路8が接続されている。貯湯タンク2の上部には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯するための戻り通路9が接続されている。戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設され、この切替弁10において戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、往き通路8の貯湯ポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0019】
戻り通路9の切替弁10よりも上流側には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えばヒートポンプユニット4の起動直後における戻り温度センサ9bの検知温度が所定の貯湯設定温度よりも低い場合に、切替弁10を貯湯タンク2側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯タンク2に湯水を戻さずに循環させることができる。
【0020】
貯湯タンク2の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯タンク2の頂部には、貯湯ユニット3から貯湯タンク2の湯水を出湯するための出湯通路12が接続されている。出湯通路12の途中には混合弁14が配設され、給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aが混合弁14に接続されている。そして、貯湯タンク2からの湯水と給水分岐通路11aからの上水とが、混合弁14で混合されて貯湯ユニット3から出湯される。
【0021】
貯湯タンク2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設されており、貯湯タンク2に貯湯された湯水の温度とその温度の湯水の貯湯量を検知することができる。そして、貯湯された湯水の降温を防ぐため、これら貯湯温度センサ2a~2dと貯湯タンク2を覆うように図示外の断熱材が配設されている。
【0022】
給水通路11には、給水通路11を流通する上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット3からの出湯流量を検知する出湯流量センサ12aと、貯湯タンク2から出湯されて混合弁14に供給される湯水の温度を検知する貯湯タンク出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット3からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12cが配設されている。出湯通路12は、湯水通路15によって補助熱源機5の給水口5aに接続され、補助熱源機5の給湯口5bは、湯水通路16によって給湯栓6に接続されている。
【0023】
貯湯ユニット3は、例えば貯湯運転の制御、貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度調整の制御等を行う貯湯ユニット制御部18(制御部)を有する。貯湯ユニット制御部18は、ヒートポンプユニット4と貯湯ポンプ7を駆動して、ヒートポンプユニット4で加熱した湯水を貯湯タンク2の上部から貯湯する貯湯運転を行う。また、出湯流量センサ12aが所定の流量以上の流量を検知した場合に、給水温度センサ11b及び貯湯タンク出湯温度センサ12bの検知温度に基づいて、出湯温度センサ12cの検知温度が所定の出湯温度になるように混合弁14の混合比を調整して出湯する。
【0024】
貯湯ユニット制御部18と補助熱源機5には、例えば給湯設定温度等を給湯使用者が設定するための操作端末19が接続されている。操作端末19は複数台接続されていてもよく、貯湯ユニット3に対応する操作端末19が貯湯ユニット制御部18に接続され、補助熱源機5に対応する操作端末が補助熱源機5に接続されていてもよい。
【0025】
次に、ヒートポンプユニット4について説明する。
図2に示すように、ヒートポンプユニット4は、圧縮機21と凝縮熱交換器22と膨張弁23と蒸発熱交換器24とを冷媒回路25により接続して構成されている。冷媒回路25には、圧縮機21、凝縮熱交換器22、膨張弁23、蒸発熱交換器24を通過させる冷媒が封入されている。この冷媒回路25には、圧縮機21が吐出した冷媒の温度を検知する吐出温度センサ26(吐出温度検知手段)と、蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度を検知する蒸発熱交出口温度センサ27(蒸発熱交出口温度検知手段)が配設されている。
【0026】
ヒートポンプユニット4は、蒸発熱交換器24に外気を送る送風ファン28と、貯湯ユニット制御部18の指令に基づいてヒートポンプユニット4を制御するヒートポンプユニット制御部29を備えている。ヒートポンプユニット制御部29は、吐出温度センサ26、蒸発熱交出口温度センサ27の検知温度を取得し、通信線29aを介して貯湯ユニット制御部18と通信し、圧縮機21の運転回転数と膨張弁23の開度と送風ファン28の送風量を制御する。
【0027】
圧縮機21は、圧縮して高温になった高温高圧の冷媒を凝縮熱交換器22に供給する。凝縮熱交換器22では、貯湯ポンプ7によって供給される貯湯タンク2の湯水が、高温の冷媒との熱交換により目標貯湯温度に加熱され、貯湯タンク2に戻される。凝縮熱交換器22での熱交換により温度が下がった高圧の冷媒は、膨張弁23に送られる。
【0028】
膨張弁23は、例えば電動モータの駆動により絞り量を変更することができる制御弁である。この膨張弁23に送られた高圧の冷媒は、膨張弁23を通過する際に急激に膨張して外気よりも低温になり、蒸発熱交換器24に送られる。そして、蒸発熱交換器24において送風ファン28によって送風される外気から吸熱して温度が上がった冷媒が、圧縮機21に戻って再び圧縮され高温になる。
【0029】
次に、貯湯運転及びこの貯湯運転中に行われる除霜運転について説明する。
貯湯ユニット制御部18は、給湯使用の時刻、使用量等を給湯使用履歴として学習記憶し、この給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用の給湯使用開始時刻、使用量等の予測を行う。そして、予測した給湯使用開始時刻までに予測した使用量に相当する必要熱量を貯湯する貯湯運転を行う。この貯湯運転の制御について
図3のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0030】
貯湯運転制御が開始されると、S1において給湯使用の予測に基づいて目標貯湯温度の貯湯運転を開始してS2に進む。具体的にはヒートポンプユニット4を作動させ、貯湯ポンプ7を駆動する。ヒートポンプユニット4は、送風ファン28を駆動し、圧縮機21を所定の運転回転数で駆動し、膨張弁23を所定の開度にして冷媒回路25内の冷媒を流動させ、凝縮熱交換器22で貯湯タンク2からの湯水を加熱する。
【0031】
S2において、目標貯湯温度で必要熱量の貯湯が完了したか否か判定する。S2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において貯湯運転を終了して貯湯運転制御を終了する。一方、S2の判定がNo場合はS4に進み、S4において蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度の変動に基づいて蒸発熱交換器24に着霜したか否か判定する。この着霜判定は、貯湯運転開始からしばらく時間が経過すると、蒸発熱交換器24着霜によって冷媒が外気から吸熱し難くなって蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度が低下することを利用している。S4の判定がNoの場合はS2に戻って貯湯運転を継続する。
【0032】
一方、S4の判定がYesの場合はS5に進み、S5において貯湯ポンプ7を停止することにより貯湯運転を中断して、S6に進む。そしてS6において、除霜運転制御を行う。蒸発熱交換器24の着霜は、冷媒が外気から吸熱することを妨げて貯湯運転の効率を低下させるので、効率よく貯湯運転ができるように除霜運転を行って、蒸発熱交換器24についた霜を除去する。
【0033】
除霜運転制御は、
図4に示すように、最初にS11において送風ファン28を停止させ、膨張弁23を除霜開度にし、圧縮機21の運転回転数を除霜回転数(例えば75回転/秒)に変更してS12に進む。
【0034】
S12において、蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度と圧縮機21の吐出温度を取得してS13に進み、S13において除霜対象の蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度が所定の除霜必要温度以上になったか否か判定する。除霜が完了したか否か判定するステップである。蒸発熱交換器24についた霜が除去されると、冷媒からの放熱が減少して蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度が例えば0℃から上昇してゆく。この冷媒の温度が予め設定された除霜必要温度(例えば5℃)以上になってS13の判定がYesの場合は、除霜が完了したのでS14に進み、S14において除霜運転を終了してリターンし、
図3のS7に進む。そしてS7において、貯湯運転を中断した状態から貯湯運転を再開してS2に戻る。S2の判定がYesの場合にはS3に進み、S3において貯湯運転を終了して貯湯運転制御を終了する。
【0035】
一方、
図4のS13の判定がNoの場合は除霜運転を継続してS15に進み、S15において除霜運転開始から所定時間経過したか否か判定する。ここで、除霜運転中の圧縮機21の冷媒の吐出温度と吐出圧力と、膨張弁23の出口の冷媒温度と蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度の推移を実験的に記録した例を
図5に示す。実線L1は圧縮機21の冷媒の吐出温度、破線L2は圧縮機21の冷媒の吐出圧力、実線L3は膨張弁23の出口における冷媒の温度、実線L4は蒸発熱交換器24の出口における冷媒の温度である。
【0036】
貯湯運転中の時刻t0で除霜運転が開始されると、圧縮機21の運転回転数の変更と膨張弁23の駆動によって吐出圧力、吐出温度が変動すると共に、膨張弁23の出口及び蒸発熱交換器24の出口の冷媒の温度が変動する。この
図5では、吐出圧力が貯湯運転時よりも一旦下がった後貯湯運転時よりも高くなるまで徐々に上昇し、時刻t1以降は概ね2MPaで安定している。また、吐出温度は、貯湯運転時よりも下がってゆき、時刻t1以降は吐出温度の低下が緩やかになっている。膨張弁23の出口の冷媒温度は、貯湯運転時と比べて一旦低くなった後、吐出圧力の上昇に対応するように25℃程度まで上昇して時刻t1以降で概ね安定する。蒸発熱交換器24の出口の冷媒温度は、外気との熱交換が殆どなく、霜を解かすために放熱するので貯湯運転時と比べて一旦低くなるが、膨張弁23から供給される冷媒の温度が上昇するので0℃程度まで上昇して、時刻t1以降で安定している。
【0037】
この安定するまでにかかる時間を所定時間として定めており、例えば時刻t0から時刻t1までの時間が所定時間に相当する。
図4のS15の判定がNoの場合はS12に戻る。S15の判定がYesの場合はS16に進み、S16において圧縮機21の冷媒の吐出温度が上昇し始めたか否か判定する。ここで、
図5の除霜運転途中の時刻t2において、例えば液化した冷媒が膨張弁23を閉塞して高温高圧の気体の冷媒が膨張弁23を通過できず、膨張弁23の出口温度が急低下している。これにより圧縮機21の吐出圧力と吐出温度が上昇する。しばらくすると、この液化した冷媒による閉塞は、高温高圧の冷媒によって押し流されて又は気化して自然に解消され、時刻t3において圧縮機21の吐出圧力と吐出温度が下降に転じると共に膨張弁23の出口温度が回復し始める。
【0038】
しかし、その間は圧縮機21の吐出圧力が時刻t1までの安定した吐出圧力よりも高くなっており、圧縮機21に過剰な運転負荷がかかっているため、圧縮機21の耐久性の劣化又は故障の虞がある。そのため、この一時的な閉塞による圧縮機21の過剰な運転負荷を軽減するために、安定していた吐出圧力の上昇に伴い吐出温度が上昇し始めたときに運転負荷を軽減するように除霜運転を制御する。
【0039】
図4のS16の判定がNoの場合は、圧縮機21が過剰な運転負荷の状態ではないのでS12に戻る。一方、S16の判定がYesの場合は、圧縮機21が過剰な運転負荷の状態になっているのでS17に進み、S17において圧縮機21の運転回転数を吐出温度の上昇幅に応じた減少幅で減少させて、S18に進む。
【0040】
圧縮機21が過剰な運転負荷の状態にあると耐久性の劣化又は破損の虞があるため好ましくないので、圧縮機21の運転回転数を吐出温度の上昇幅に応じた減少幅で減少させて吐出圧力の上昇を小さく抑え、圧縮機21の運転負荷を軽減している。圧縮機21の運転回転数の減少幅は、圧縮機21に応じて適宜設定され、例えば吐出温度の上昇幅0.5℃につき5回転/秒だけ下げるようにする。このとき、圧縮機21にかかる運転負荷を一層軽減するために、例えば1秒につき1回転下げるように緩やかに運転回転数を下げる。
【0041】
S18において、圧縮機21の運転回転数を減少させた後の冷媒の吐出温度を取得してS19に進む。そしてS19において、冷媒の吐出温度が下降傾向に転じたか否か判定する。S19の判定がNoの場合はS17に戻り、冷媒の吐出温度が下降傾向に転じるまで圧縮機21の運転回転数を下げる。尚、運転回転数を予め設定された下限運転回転数よりも下げないようにしてもよい。
【0042】
一方、S19の判定がYesの場合はS20に進み、S20において圧縮機21の運転回転数を吐出温度の下降幅に応じた増加幅で増加させてS12に戻る。閉塞が解消されて圧縮機21の吐出圧力が低下し、吐出温度が下がるので、圧縮機21の運転回転数を増加させる。このとき圧縮機21にかかる運転負荷を軽減するために、例えば吐出温度の下降幅0.5℃につき5回転/秒だけ上げるようにし、圧縮機21にかかる運転負荷を一層軽減するために、例えば1秒につき1回転上げるように緩やかに運転回転数を上げる。最終的には、圧縮機21の運転回転数を除霜運転開始時の運転回転数に戻す。
【0043】
長時間の貯湯運転中には蒸発熱交換器24の着霜が何度か起き、その都度この除霜運転が行われる場合がある。一方、外気温がある程度高い場合には蒸発熱交換器24に着霜しないので、除霜運転を行うことなく貯湯が完了する。
【0044】
上記の貯湯給湯装置1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯装置1は、ヒートポンプユニット4で加熱した湯水を貯湯タンク2に貯湯し、この貯湯運転中にヒートポンプユニット4の蒸発熱交換器24の着霜を検知した場合にこの霜を除去する除霜運転を開始する。そして、除霜運転開始から所定時間経過後の除霜運転中に圧縮機21が吐出する冷媒の吐出温度の上昇を検知した場合に、圧縮機21の運転回転数を減少させる。除霜運転中の圧縮機21が吐出する冷媒の吐出温度の上昇は、圧縮機21の吐出圧力の上昇によるものであり、圧縮機21の運転負荷が増加しているので、圧縮機21の運転回転数を減少させて運転負荷の増加を軽減することができる。従って、除霜運転中のヒートポンプユニット4の圧縮機21にかかる過剰な運転負荷を軽減することができ、圧縮機21の耐久性劣化又は破損を防止することができる。
【0045】
このとき圧縮機21の吐出温度の上昇幅に対応させて圧縮機21の運転回転数の減少幅を設定するので、圧縮機21の運転負荷の増加に応じて運転回転数を減少させて、運転負荷の増加を軽減することができる。
【0046】
また、圧縮機21の運転負荷の軽減後に圧縮機21の吐出温度の下降を検知した場合に、この吐出温度の下降幅に対応させて圧縮機21の運転回転数の増加幅を設定し、この圧縮機21の運転回転数を増加させる。運転回転数減少後の圧縮機21が吐出する冷媒の吐出温度の下降は、圧縮機21の吐出圧力の低下によるものであり、圧縮機21にかかる運転負荷が減少しているので、圧縮機21の運転回転数を増加させて、運転回転数減少前の状態に近づける。従って、除霜運転中のヒートポンプユニット4の圧縮機21に過剰な運転負荷がかからなくなった後、除霜運転開始当初の運転回転数に近づけるので、除霜運転の所要時間が長くならないようにすることができる。
【0047】
上記除霜運転における圧縮機21の過剰な運転負荷の軽減は、ヒートポンプユニット4を備えた設備機器に適用可能である。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。