(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061162
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/184 20220101AFI20240425BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240425BHJP
F24H 15/315 20220101ALI20240425BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240425BHJP
F24H 15/212 20220101ALI20240425BHJP
【FI】
F24H15/184
F24H1/18 A
F24H15/315
F24H1/00 A
F24H15/212
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168919
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】舘 大介
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA42
3L122AB24
3L122AB33
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA13
3L122BA14
3L122BA18
3L122BB03
3L122BB14
3L122DA13
3L122EA23
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA28
3L122FA35
3L122GA09
(57)【要約】
【課題】混合弁の異常の有無を判定して高温の出湯を事前に防止することができるとともに、給湯使用を妨げずに混合弁の異常の有無を判定することができる貯湯給湯装置を提供すること。
【解決手段】熱源機(4)と、貯湯タンク(2)と、熱源機(4)で加熱された湯水を貯湯タンク(2)に貯湯する貯湯運転を制御する制御部(18)と、貯湯タンク(2)から出湯された湯水と上水とを混合して給湯する混合弁(14)を有する貯湯給湯装置(1)において、制御部(18)は、貯湯運転の目標貯湯温度が予め設定された高温基準温度以上の場合に、貯湯開始前に混合弁(14)の動作確認を行うように構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、貯湯タンクと、前記熱源機で加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御部と、前記貯湯タンクから出湯された湯水と上水とを混合して給湯する混合弁を有する貯湯給湯装置において、
前記制御部は、前記貯湯運転の目標貯湯温度が予め設定された高温基準温度以上の場合には、前記貯湯運転の貯湯開始前に前記混合弁の動作確認を行うことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記混合弁の動作確認において異常が検知された場合には、前記高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯を禁止することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記混合弁の動作確認において異常が検知された場合には、前記貯湯運転の目標貯湯温度を前記高温基準温度未満の温度に変更して貯湯することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記混合弁の動作確認中に給湯要求があったときに、前記貯湯タンクに給湯可能な温度の湯水がある場合には前記動作確認を中止して前記混合弁による混合を制御して給湯し、前記貯湯タンクに給湯可能な温度の湯水がない場合には前記動作確認を継続することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機で加熱して貯湯タンクに貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱源機として例えば発電時の熱を利用する湯水加熱装置やヒートポンプユニット等で加熱された湯水を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯タンクの湯水を給湯に使用する貯湯給湯装置が広く利用されている。この貯湯給湯装置は、熱源機と、貯湯タンクを備えた貯湯ユニットに加えて、貯湯タンクに給湯可能な温度の湯水がない場合でも給湯できるように、例えば燃焼式の補助熱源機を備えている場合が多い。
【0003】
貯湯給湯装置には、貯湯ユニットから出湯された湯水が、補助熱源機を介して給湯栓に給湯されるように構成されたものがある。この貯湯給湯装置は、給湯栓の開栓により給湯使用が開始されると、貯湯タンクから出湯された高温の湯水と低温の上水とが貯湯ユニットの混合弁で混合され、温度が調整された湯水が貯湯ユニットから出湯される。そして、貯湯ユニットから出湯された湯水が、補助熱源機を介して給湯栓に給湯される。
【0004】
このとき補助熱源機は、貯湯ユニットから出湯された湯水の温度に応じて加熱して又は非加熱で給湯する。補助熱源機の加熱運転は、給湯設定温度で給湯可能な温度の湯水が貯湯タンクにない場合に行い、貯湯ユニットから出湯された湯水を給湯設定温度になるように加熱して給湯する。一方、給湯設定温度に調整された湯水が貯湯ユニットから出湯される場合には、非加熱で給湯する。
【0005】
補助熱源機の加熱運転では、貯湯ユニットからの湯水を給湯設定温度に加熱するために、加熱能力を調整する。しかし、貯湯タンクの湯水温度が給湯設定温度未満であって給湯設定温度に近い温度の場合には、補助熱源機の最小加熱能力で加熱しても給湯設定温度よりも高温の給湯になる虞がある。そのため、補助熱源機で加熱する場合には、混合弁で上水を混合して所定の目標出湯温度以下に温度を下げた湯水を貯湯ユニットから出湯し、補助熱源機の加熱運転によって給湯設定温度に調整して給湯する。
【0006】
ところで、貯湯ユニットの混合弁において貯湯タンクからの湯水と上水の混合に不具合が生じた場合、貯湯ユニットから給湯設定温度よりも高温の湯水が出湯される虞がある。この場合、補助熱源機は、この高温の湯水を非加熱でそのまま給湯することになり、ユーザが予期しない高温の給湯による火傷の危険がある。
【0007】
それ故、貯湯ユニットには、予め設定された規定温度以上の高温出湯の回避手段として、例えば特許文献1の給湯システムのように、混合弁をバイパスして混合弁の下流側に低温の上水を供給するためのバイパス通路と、このバイパス通路を開閉する電磁弁が装備されている。そして、混合弁の下流側に所定の高温基準温度以上の高温の湯水が流通した場合に、電磁弁を開けることによりバイパス通路から低温の上水が高温の湯水に混合され、温度が大きく下がった湯水が出湯される。この特許文献1には、メンテナンス時に、混合弁とバイパス通路の電磁弁の故障診断を容易に行うことができる技術が記載されている。
【0008】
また、例えば特許文献2のようにバイパス通路の電磁弁の故障の有無を判定する技術が知られている。その上、特許文献3のように、給湯時に混合弁の不具合が発生して出湯温度が異常になった場合に、バイパス通路を開閉するバイパス弁を開けると共に混合弁を湯側全開にして、混合弁とバイパス弁の異常判定を行うものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4003682号公報
【特許文献2】特開2014-190634号公報
【特許文献3】特許第6623834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1、2では、出湯した状態で湯水混合弁又は高温出湯回避弁を作動させて出湯温度の変化に基づいて故障診断を行うので、故障診断中には給湯使用が妨げられる。また、特許文献3では、設定された温度より高温の出湯になっている場合に混合弁とバイパス弁の異常の有無を判定するので、高温の出湯を事前に防止することができない。
【0011】
そこで、本発明は、混合弁の異常を検知して高温の出湯を事前に防止することができると共に、給湯使用を妨げずに混合弁の異常を検知することができる貯湯給湯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明の貯湯給湯装置は、熱源機と、貯湯タンクと、前記熱源機で加熱された湯水を前記貯湯タンクに貯湯する貯湯運転を制御する制御部と、前記貯湯タンクから出湯された湯水と上水とを混合して給湯する混合弁を有する貯湯給湯装置において、前記制御部は、前記貯湯運転の目標貯湯温度が予め設定された高温基準温度以上の場合には、前記貯湯運転の貯湯開始前に前記混合弁の動作確認を行うことを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、貯湯タンクに貯湯した高温の湯水を給湯に使用するために混合弁で上水と混合して出湯する貯湯給湯装置において、高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯運転を行う場合に、貯湯運転の実行前に混合弁の動作確認を行う。従って、混合弁の動作確認を行って異常が検知された場合に、まだ高温基準温度以上の湯水が貯湯タンクに貯湯されていないので、高温出湯を容易に回避することができる。また、貯湯前なので、給湯使用を妨げずに混合弁の異常を検知することができる。
【0014】
請求項2の発明の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、前記混合弁の動作確認において異常が検知された場合には、前記高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯を禁止することを特徴としている。
上記構成によれば、混合弁の異常が検知された場合に高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯運転が禁止される。従って、貯湯タンクに高温の湯水が貯湯されず、高温出湯を事前に防止することができる。
【0015】
請求項3の発明の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、前記混合弁の動作確認において異常が検知された場合には、前記貯湯運転の目標貯湯温度を前記高温基準温度未満の温度に変更して貯湯することを特徴としている。
上記構成によれば、混合弁の異常が検知された場合に高温基準温度以上の目標貯湯温度を高温基準温度未満に変更して貯湯運転が行われる。従って、高温基準温度以上の高温出湯を防止しながら、貯湯タンクに貯湯された湯水を給湯に使用することができる。
【0016】
請求項4の発明の貯湯給湯装置は、請求項1~3の何れか1項の発明において、前記制御部は、前記混合弁の動作確認中に給湯要求があったときに、前記貯湯タンクに給湯可能な温度の湯水がある場合には前記動作確認を中止して前記混合弁による混合を制御して給湯し、前記貯湯タンクに給湯可能な温度の湯水がない場合には前記動作確認を継続することを特徴としている。
上記構成によれば、混合弁の動作確認中に給湯要求があったときに、貯湯タンクに給湯に使用できる温度の湯水がある場合には、前回の混合弁の動作確認時には異常がなかったものとして、給湯要求を優先させて動作確認を中止するので、給湯使用が妨げられない。一方、混合弁の動作確認中に給湯要求があったときに、貯湯タンクに給湯に使用できる温度の湯水がない場合には、混合弁の混合比によらず低温の湯水が給湯のために出湯されるので、混合弁の動作確認を継続し、給湯使用を妨げずに混合弁の異常を検知することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貯湯給湯装置によれば、混合弁の異常を検知して高温の出湯を事前に防止することができると共に、給湯使用を妨げずに混合弁の異常を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯装置の説明図である。
【
図3】混合弁異常発生時動作の1例を示すフローチャートである。
【
図4】混合弁異常発生時動作の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0020】
最初に、本発明の貯湯給湯装置1の構成について説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯タンク2を備えた貯湯ユニット3と、熱源機としてヒートポンプユニット4と、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。この貯湯給湯装置1は、ヒートポンプユニット4で所定の目標貯湯温度に加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯する貯湯運転を行う。補助熱源機5は、矢印HWで示すように給湯設定温度の湯水を給湯栓6から給湯するために、貯湯ユニット3から出湯された湯水をその温度に応じて加熱して、又は非加熱で、給湯栓6に供給する。
【0021】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
貯湯タンク2の下部には、ヒートポンプユニット4に貯湯タンク2の湯水を供給するために、貯湯ポンプ7を備えた往き通路8が接続されている。貯湯タンク2の上部には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯するための戻り通路9が接続されている。戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設され、この切替弁10において戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、往き通路8の貯湯ポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0022】
戻り通路9の切替弁10よりも上流側には、ヒートポンプユニット4で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えばヒートポンプユニット4の起動直後における戻り温度センサ9bの検知温度が所定の貯湯設定温度よりも低い場合に、切替弁10を貯湯タンク2側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯タンク2に湯水を戻さずに循環させることができる。
【0023】
貯湯タンク2の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯タンク2の頂部には、貯湯ユニット3から貯湯タンク2の湯水を出湯するための出湯通路12が接続されている。出湯通路12の途中には混合弁14が配設され、給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aが混合弁14に接続されている。そして、貯湯タンク2からの湯水と給水分岐通路11aからの上水とが、混合弁14で混合されて貯湯ユニット3から出湯される。混合弁14は、貯湯タンク2の高温水側の開度を大きくすると共に給水分岐通路11aの上水側の開度が小さくなるように開度が連動する。
【0024】
貯湯タンク2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設されており、貯湯タンク2に貯湯された湯水の温度とその温度の湯水の貯湯量を検知することができる。そして、貯湯された湯水の降温を防ぐため、これら貯湯温度センサ2a~2dと貯湯タンク2を覆うように図示外の断熱材が配設されている。
【0025】
給水通路11には、給水通路11を流通する上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット3からの出湯流量を検知する出湯流量センサ12aと、貯湯タンク2から出湯されて混合弁14に供給される湯水の温度を検知する貯湯タンク出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット3からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12cが配設されている。出湯通路12は、湯水通路15によって補助熱源機5の給水口5aに接続され、補助熱源機5の給湯口5bは、湯水通路16によって給湯栓6に接続されている。
【0026】
貯湯ユニット3は、例えば貯湯運転の制御、貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度調整の制御等を行う貯湯ユニット制御部18(制御部)を有する。貯湯ユニット制御部18は、ヒートポンプユニット4と貯湯ポンプ7を駆動して、ヒートポンプユニット4で加熱した湯水を貯湯タンク2の上部から貯湯する貯湯運転を行う。また、出湯流量センサ12aが所定の流量以上の流量を検知した場合に、給水温度センサ11b及び貯湯タンク出湯温度センサ12bの検知温度に基づいて、出湯温度センサ12cの検知温度が所定の出湯温度になるように混合弁14の混合比を調整して出湯する。
【0027】
貯湯ユニット制御部18と補助熱源機5には、例えば給湯設定温度等を給湯使用者が設定するための操作端末19が接続されている。操作端末19は複数台接続されていてもよく、貯湯ユニット3に対応する操作端末19が貯湯ユニット制御部18に接続され、補助熱源機5に対応する操作端末が補助熱源機5に接続されていてもよい。図示を省略するが、操作端末19には運転情報等の表示部と、操作部と、音声出力部が装備されている。
【0028】
次に、貯湯運転について説明する。
貯湯ユニット制御部18は、給湯使用の時刻、使用量等を給湯使用履歴として学習記憶し、この給湯使用履歴に基づいて将来の給湯使用の給湯使用開始時刻、使用量等の予測を行う。そして、予測した給湯使用開始時刻までに予測した使用量に相当する必要熱量を貯湯する貯湯運転を行う。この貯湯運転の制御について
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0029】
貯湯運転制御が開始されると、S1において給湯使用の予測に基づいて必要熱量を貯湯するための目標貯湯温度と貯湯量を設定してS2に進む。目標貯湯温度は、ヒートポンプユニット4の運転効率が向上するように、給湯設定温度よりも高く且つ必要熱量を貯湯可能な範囲でなるべく低くなるように設定される。貯湯タンク2の容量は限られているので、必要熱量が多いほど目標貯湯温度が高く設定される。尚、貯湯タンク2に貯湯した湯水は次の貯湯運転までに使い切る場合が多いが、給湯に使用できる温度の湯水が残っている場合には、残っている湯水の熱量を合わせて必要熱量を貯湯することができる。
【0030】
S2において、目標貯湯温度が予め設定された高温基準温度未満であるか否か判定する。高温基準温度は、ユーザが短時間触れても火傷の危険がない温度であり、例えば50℃に設定されている。S2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において目標貯湯温度の貯湯を開始してS4に進む。次にS4において、設定した貯湯量に到達したか否か判定する。このS4の判定がNoの場合は貯湯を継続してS4に戻り、S4の判定がYesの場合はS5に進む。そしてS5において貯湯を終了して貯湯運転制御を終了する。
【0031】
一方、S2の判定がNoの場合(目標貯湯温度が高温基準温度以上の場合)にはS6に進み、S6において貯湯ユニット3が現在出湯中か否か判定する。S6の判定がYesの場合はS7に進み、S7において貯湯タンク2に給湯に使用することができる温度の湯水があるか否か判定する。S7の判定がYesの場合はS8に進み、S8において貯湯ユニット3が現在行っている出湯の温度に異常がないか判定する。S8の判定がYesの場合は、混合弁14に異常がないので、上記のように設定した目標貯湯温度で設定した貯湯量を貯湯して貯湯運転制御を終了する。S8の判定がNoの場合は、混合弁14に異常があるので、後述する混合弁異常発生時動作のためにS17に進む。
【0032】
一方、S6の判定がNoの場合、又はS7の判定がNoの場合にはS9に進む。そしてS9において、混合弁14の動作確認を開始してS10に進む。動作確認は、混合弁14の例えば水側全開位置を原点として原点復帰させて原点位置になったことの確認により行われる。動作確認開始時に既に原点位置にある場合には、一旦水側を閉じるように且つ貯湯タンク側を開けるように駆動してから原点復帰させる。貯湯タンク2に給湯に使用可能な温度の湯水がない場合には、低温の湯水を補助熱源機5で加熱して給湯するので、動作確認を行っても低温の湯水が補助熱源機5に供給され、給湯が妨げられない。
【0033】
次にS10において、混合弁14の動作確認中に貯湯ユニット3に対する出湯要求があるか否か判定する。S10の判定がYesの場合はS11に進み、S11において貯湯タンク2に給湯に使用可能な温度の湯水があるか否か判定する。
【0034】
S11の判定がYesの場合はS12に進み、S12において給湯要求を優先させて混合弁14の動作確認を中止し、給湯設定温度となるように混合弁14で混合して出湯し、S13に進む。S13において、給湯設定温度と比べて、貯湯ユニット3の出湯温度に異常があるか否か判定する。S13の判定がNoの場合は、混合弁14に異常がないのでS3に進み、既に説明したように設定した目標貯湯温度で設定した貯湯量を貯湯して貯湯運転制御を終了する。S13の判定がYesの場合は、混合弁14の異常を検知したのでS17に進む。
【0035】
S11の判定がNoの場合はS14に進み、S14において、混合弁14の動作確認を行いながら出湯してS15に進む。貯湯タンク2に給湯に使用できる温度の湯水がなく補助熱源機5で加熱して給湯するので、動作確認を行っても低温の湯水が補助熱源機5に供給され、給湯が妨げられない。また、S10の判定がNoの場合にもS15に進む。
【0036】
次にS15において、混合弁14の動作確認が終了したか否か判定する。S15の判定がNoの場合はS10に戻る。S15の判定がYesの場合はS16に進み、S16において混合弁14に異常があるか否か判定する。例えば原点復帰できなかった場合又は駆動可能範囲に対して原点位置が明らかに異常な場合に、混合弁14に異常があると判定する(異常検知)。S16の判定がNoの場合は、混合弁14に異常がないのでS3に進み、既に説明したように設定した目標貯湯温度で設定した貯湯量を貯湯して貯湯運転制御を終了する。
【0037】
混合弁14に異常があって、S16の判定がYesの場合、S13の判定がYesの場合、又はS8の判定がNoの場合にはS17に進み、S17において混合弁異常発生時動作を実行する。この混合弁異常発生時動作は、高温出湯を回避するために高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯を禁止する。また、高温基準温度以上の目標貯湯温度を高温基準温度未満の目標貯湯温度に変更して貯湯することもできる。ユーザが操作端末19を操作して、これらを選択するようにしてもよい。
【0038】
高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯を禁止する場合には、
図3に示すように、S21において混合弁14の異常発生を操作端末19から例えば表示、音声によってユーザに報知して、S22に進む。そしてS22において、高温基準温度以上の目標貯湯温度での貯湯を禁止してリターンし、貯湯運転制御を終了する。高温基準温度以上の目標貯湯温度での貯湯を禁止した状態で次の貯湯機会になった場合には、混合弁14の動作確認を行わずに、目標貯湯温度が高温基準温度未満である場合のみ貯湯運転を行うようにしてもよい。
【0039】
高温基準温度未満の目標貯湯温度に変更して貯湯する場合には、
図4に示すように、S31において混合弁14の異常発生を操作端末19から例えば表示、音声によってユーザに報知してS32に進む。次にS32において、設定された目標貯湯温度を高温基準温度未満に変更してS33に進む。そしてS33において、設定された貯湯量を、変更した目標貯湯温度に対応する貯湯量に変更してS34に進む。
【0040】
次にS34において、変更した目標貯湯温度の貯湯を開始してS35に進み、S35において変更した貯湯量に達したか否か判定する。S35の判定がNoの場合は貯湯を継続してS35に戻る。S35の判定がYesに場合はS36に進み、S36において貯湯を終了してリターンし、貯湯運転制御を終了する。混合弁14の異常発生が解消されていない状態で次の貯湯機会になった場合には、混合弁14の動作確認を行わずに、目標貯湯温度が高温基準温度未満である場合はそのまま貯湯し、目標貯湯温度が高温基準温度以上の場合は高温基準温度未満に変更して貯湯するようにしてもよい。
【0041】
上記の貯湯給湯装置1の作用、効果について説明する。
貯湯タンク2に貯湯した高温の湯水を給湯に使用するために混合弁14で上水と混合して出湯する貯湯給湯装置1は、高温基準温度以上の目標貯湯温度の貯湯運転を行う際に、貯湯開始前に混合弁14の動作確認を行う。従って、混合弁14の異常が検知されても、高温基準温度以上の湯水が貯湯タンク2に貯湯される前なので、高温出湯を容易に回避することができる。また、貯湯前なので、給湯使用を妨げずに混合弁14の異常を検知することができる。
【0042】
混合弁14の異常が検知されて高温基準温度以上の目標温度の貯湯運転が禁止された場合には、貯湯タンク2に火傷の危険がある高温基準温度以上の高温の湯水が貯湯されないので、高温出湯を事前に防止することができる。
【0043】
混合弁14の異常が検知されて高温基準温度以上の目標温度を高温基準温度未満に変更して貯湯運転を行う場合には、貯湯タンク2に火傷の危険がある高温基準温度以上の高温の湯水が貯湯されない。従って、高温出湯を防止しながら、高温基準温度未満の湯水を貯湯タンク2に貯湯して給湯に使用することができ、補助熱源機5の加熱機会の増加が抑えられる。
【0044】
混合弁14の動作確認中に給湯要求があったときに、貯湯タンク2に給湯に使用できる温度の湯水がある場合には、前回の混合弁14の動作確認時に異常がなかったものとして、給湯要求を優先させて動作確認を中止する。従って、給湯使用が妨げられない。一方、混合弁14の動作確認中に給湯要求があったときに、貯湯タンク2に給湯に使用できる温度の湯水がない場合には、混合弁14の混合比によらず低温の湯水が給湯のために出湯されるので、混合弁14の動作確認を継続する。従って、給湯使用を妨げずに混合弁14の動作確認を行って、混合弁14の異常を検知することができる。
【0045】
混合弁14の動作確認は、貯湯運転のときだけでなく、1日に1回、給湯使用がない例えば夜間に実行するようにして、混合弁14の異常発生を事前に検知できるようにしてもよい。熱源機としてヒートポンプユニット4の代わりに発電時の熱を利用する湯水加熱装置を備えた貯湯給湯装置においても、上記のように混合弁14の動作確認により異常を検知して高温出湯を防止するように構成可能である。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。