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特開2024-61184作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061184
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20240425BHJP
   F01P 5/04 20060101ALI20240425BHJP
   F01P 7/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
E02F9/00 M
E02F9/00 C
F01P5/04 A
F01P7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168958
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩将
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 善広
(72)【発明者】
【氏名】谷口 優太
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太郎
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015CA02
(57)【要約】
【課題】作業機械の点検又は整備の作業性の低下を抑制すること。
【解決手段】作業機械の制御システムは、キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作されるキースイッチと、作業機械の冷却対象を冷却するための気流を生成する電動ファンと、キーオン状態において記電動ファンを所定状態に維持するコントローラと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作されるキースイッチと、
作業機械の冷却対象を冷却するための気流を生成する電動ファンと、
前記キーオン状態において前記電動ファンを所定状態に維持するコントローラと、を備える、
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記キーオン状態において前記電動ファンを駆動状態に維持する、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記冷却対象の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記キーオン状態において、前記温度センサの検出データに基づいて、前記電動ファンの回転数を調整する、
請求項2に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記キーオン状態において前記電動ファンを停止状態に維持する、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記冷却対象の温度を検出する温度センサを備え、
前記コントローラは、前記キースタート状態において、前記温度センサにより検出された前記冷却対象の温度が温度閾値よりも低い場合、前記電動ファンを停止し、前記冷却対象の温度が温度閾値以上である場合、前記電動ファンを駆動する、
請求項2又は請求項4に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記作業機械は、電動モータと、前記電動モータにより駆動される油圧ポンプと、を有し、
前記冷却対象は、前記電動モータを含む、
請求項5に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械の制御システムを備える、
作業機械。
【請求項8】
キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作されるキースイッチの操作状態を取得することと、
前記キーオン状態において作業機械の冷却対象を冷却するための気流を生成する電動ファンを所定状態に維持することと、を含む、
作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム、作業機械、及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、バッテリ装置に外気を吹き付けて冷却する電動ファンを備える建設機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-051065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械がキーオン状態で点検者が作業機械を点検又は整備する場合がある。作業機械の点検又は整備の作業において、例えば点検者が電動ファンの近くにいるときに電動ファンが急に駆動を開始すると、点検又は整備の作業性が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機械の点検又は整備の作業性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作されるキースイッチと、作業機械の冷却対象を冷却するための気流を生成する電動ファンと、キーオン状態において電動ファンを所定状態に維持するコントローラと、を備える、作業機械の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の整備又は点検の作業性の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る作業機械を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る作業機械の制御システムを示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るコントローラを示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る作業機械の制御方法の第1例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る作業機械の制御方法の第2例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業機械]
図1は、実施形態に係る作業機械1を模式的に示す図である。実施形態において、作業機械1は、バッテリ2を駆動源とする電動作業機械である。バッテリ2は、作業機械1に搭載される。実施形態において、作業機械1は、電動ショベルである。作業機械1は、履帯を有する下部走行体3と、下部走行体3に支持される上部旋回体4と、上部旋回体4に支持される作業機5とを有する。作業機5は、上部旋回体4に連結されるブームと、ブームに連結されるアームと、アームに連結されるバケットとを含む。
【0011】
バッテリ2は、二次電池を含む。作業機械1の作業現場において、バッテリ2は、充電装置6により充電される。実施形態において、バッテリ2は、充電式のリチウムイオン電池を含む。充電装置6は、ケーブル7を介して作業機械1に接続される。作業機械1に充電ポート8が設けられる。ケーブル7は、充電ポート8に着脱される。充電装置6から出力された電力は、ケーブル7及び充電ポート8を介してバッテリ2に入力される。バッテリ2は、充電装置6から出力された電力により充電される。
【0012】
図2は、実施形態に係る作業機械1を示すブロック図である。作業機械1は、バッテリ2と、充電ポート8と、電源分配ユニット9と、インバータ10と、メインモータ11と、油圧ポンプ12と、DC/DCコンバータ13と、電動ファン14とを有する。
【0013】
電源分配ユニット9(PDU:Power Distribution Unit)は、バッテリ2からの電力を分配する。インバータ10は、電源分配ユニット9からの電力をメインモータ11に供給する。インバータ10は、電源分配ユニット9から出力された直流電圧を交流電圧に変換してメインモータ11へ出力する。メインモータ11は、電動モータである。メインモータ11は、インバータ10からの電力により駆動する。油圧ポンプ12は、メインモータ11により駆動される。油圧ポンプ12は、作動油を吐出する。油圧ポンプ12から吐出された作動油は、作業機械1の油圧アクチュエータに供給される。作業機械1の油圧アクチュエータは、下部走行体3の履帯を回転させる走行油圧モータ、上部旋回体4を旋回させる旋回油圧モータ、及び作業機5を動作させる油圧シリンダを含む。
【0014】
DC/DCコンバータ13は、電源分配ユニット9から出力されたバッテリ2の電圧を所定の電圧に変換する。実施形態において、DC/DCコンバータ13は、バッテリ2の電圧を所定の降圧比で降圧する。電動ファン14は、DC/DCコンバータ13から出力された電力に基づいて駆動する。電動ファン14は、作業機械1の冷却対象を冷却するための気流を生成する。実施形態において、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれは、液冷式熱交換器により冷却される。液冷式熱交換器は、水冷式熱交換器でもよいし、油冷式熱交換器でもよい。冷却対象は、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれを冷却するための液冷式熱交換器を含む。バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のそれぞれは、水冷式熱交換器(ラジエータ)により冷却されてもよい。電動ファン14は、液冷式熱交換器を冷却するための気流を生成する。電動ファン14は、ファン用モータ14Aと、ファン用モータ14Aが発生する回転力により回転するファン14Bとを有する。ファン用モータ14Aは、電動モータである。
【0015】
[制御システム]
図3は、実施形態に係る作業機械1の制御システム20を示すブロック図である。制御システム20は、キースイッチ21と、温度センサ22と、電動ファン14と、コントローラ30とを有する。
【0016】
キースイッチ21は、キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作者に操作される。キーがキーシリンダに差し込まれた状態で操作者により回転されると、キースイッチ21は、「オフ」、「オン」、及び「スタート」のいずれかの位置に回転する。キーが「オフ」の位置に回転すると、キースイッチ21は、キーオフ状態になる。キーが「オン」の位置に回転すると、キースイッチ21は、キーオン状態になる。キーが「スタート」の位置に回転すると、キースイッチ21は、キースタート状態になる。
【0017】
キースイッチ21は、コントローラ30にキー信号を出力する。キースイッチ21から出力されるキー信号は、キーオフ状態のときに出力されるキーオフ信号、キーオン状態のときに出力されるキーオン信号、及びキースタート状態のときに出力されるキースタート信号を含む。
【0018】
キースイッチ21がキーオフ状態において、コントローラ30及び電動ファン14のそれぞれに電力は供給されない。キースイッチ21がキーオフ状態において、メインモータ11は駆動しない。キースイッチ21がキーオン状態において、コントローラ30及び電動ファン14のそれぞれに電力が供給される。キースイッチ21がキーオン状態において、メインモータ11は駆動を開始できない。キースイッチ21がキースタート状態において、コントローラ30及び電動ファン14のそれぞれに電力が供給される。キースイッチ21がキースタート状態において、メインモータ11は駆動を開始する。キースタート状態において、コントローラ30は、インバータ10に制御指令を出力することにより、メインモータ11を駆動させる。インバータ10に出力される制御指令は、メインモータ11に入力する電圧指令及び電流上限値指令を含む。キーオン状態又はキースタート状態において、コントローラ30は、DC/DCコンバータ13に制御指令を出力することにより、電動ファン14を駆動させる。DC/DCコンバータ13に出力される制御指令は、ファン14Bの目標回転数指令、ファン用モータ14Aに入力する電圧指令及び電流上限値指令を含む。
【0019】
温度センサ22は、冷却対象の温度を検出する。上述のように、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13のような作業機械1のコンポーネントが液冷式熱交換器により冷却される。実施形態において、温度センサ22は、液冷式熱交換器の冷却液の温度を検出する。温度センサ22の検出データは、温度センサ22からコントローラ30に送信される。
【0020】
コントローラ30は、バッテリ2から供給される電力に基づいて動作する。コントローラ30は、キーオン状態において電動ファン14を所定状態に維持する。所定状態は、駆動状態又は停止状態である。駆動状態は、ファン14Bが回転状態であることを意味する。ファン14Bの回転状態は、冷却対象の温度に基づかずに決定された回転数によりファン14Bが回転する定速回転状態、及び冷却対象の温度に基づいて決定された回転数によりファン14Bが回転する可変回転状態を含む。定速回転状態におけるファン14Bの回転数は、低い回転数であることが好ましい。コントローラ30は、キーオン状態において電動ファン14を駆動状態に維持することができる。コントローラ30は、キーオン状態において電動ファン14を停止状態に維持することができる。
【0021】
図4は、実施形態に係るコントローラ30を示すブロック図である。コントローラ30は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。コントローラ30の機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0022】
図3に示すように、コントローラ30は、キー信号受信部31と、検出データ受信部32と、判定部33と、ファン制御部34と、記憶部35とを有する。なお、キー信号受信部31と、検出データ受信部32と、判定部33と、ファン制御部34と、記憶部35とが、別々のハードウエア(コントローラ)により構成されてもよい。
【0023】
キー信号受信部31は、キースイッチ21からキー信号を受信する。キー信号は、キーオフ信号、キーオン信号、及びキースタート信号を含む。検出データ受信部32は、温度センサ22から検出データを受信する。温度センサ22の検出データは、冷却対象の温度を示す。
【0024】
判定部33は、キー信号受信部31により受信されたキー信号がキーオフ信号、キーオン信号、及びキースタート信号のいずれであるかを判定する。判定部33は、キー信号受信部31により受信されたキー信号に基づいて、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれであるかを判定する。
【0025】
ファン制御部34は、判定部33により判定されたキースイッチ21の操作状態に基づいて、電動ファン14を制御する制御指令を出力する。実施形態において、ファン制御部34は、DC/DCコンバータ13を制御することにより、電動ファン14を制御する。電動ファン14の制御は、電動ファン14の駆動、電動ファン14の停止、及び電動ファン14の回転数の調整を含む。電動ファン14の駆動は、ファン用モータ14Aの駆動を意味する。電動ファン14の停止は、ファン用モータ14Aの停止を意味する。電動ファン14の回転数の調整は、ファン用モータ14Aの回転数の調整を含む。
【0026】
記憶部35は、冷却対象の温度と電動ファン14の回転数との関係を示す相関データを記憶する。相関データは、予め定められる。冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の回転数が低くなり、冷却対象の温度が高いほど電動ファン14の回転数が高くなるように、相関データが定められる。
【0027】
[制御方法の第1例]
図5は、実施形態に係る作業機械1の制御方法の第1例を示すフローチャートである。図5は、キーオン状態において電動ファン14が回転状態に維持される例を示す。
【0028】
キー信号受信部31は、キー信号を受信する(ステップSA1)。判定部33は、キー信号受信部31により受信されたキー信号に基づいて、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態であるか否かを判定する(ステップSA2)。ステップSA2において、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態であると判定された場合(ステップSA2:Yes)、電動ファン14は駆動されず、ステップSA1の処理に戻る。
【0029】
ステップSA2において、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態ではないと判定した場合(ステップSA2:No)、判定部33は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態であるか否かを判定する(ステップSA3)。
【0030】
ステップSA3において、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態であると判定された場合(ステップSA3:Yes)、ファン制御部34は、電動ファン14を駆動する(ステップSA4)。ファン制御部34は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態において、電動ファン14を駆動状態に維持する。ファン制御部34は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態である期間、電動ファン14を駆動し続ける。電動ファン14を駆動状態にすることは、電動ファン14を低い回転数で回転させることを含む。電動ファン14の回転数は、電動ファン14が駆動状態であることを点検者が認識できる程度の回転数でよい。電動ファン14が低い回転数で回転することにより、電力消費量が抑制され、騒音の発生が抑制される。
【0031】
キースイッチ21の操作状態がキーオン状態において、ファン制御部34は、検出データ受信部32により受信された温度センサ22の検出データに基づいて、電動ファン14の回転数を調整してもよい。例えば、ファン制御部34は、温度センサ22の検出データと記憶部35に記憶されている相関データとに基づいて、冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の回転数が低くなり、冷却対象の温度が高いほど電動ファン14の回転数が高くなるように、電動ファン14を制御してもよい。
【0032】
ステップSA3において、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態ではないと判定された場合(ステップSA3:No)、判定部33は、キースイッチ21の操作状態がキースタート状態であると判定する。キースイッチ21の操作状態がキースタート状態である場合、メインモータ11の駆動が開始される。キースイッチ21の操作状態がキースタート状態である場合、ファン制御部34は、検出データ受信部32により受信された温度センサ22の検出データに基づいて、電動ファン14を制御する(ステップSA5)。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が予め定められている温度閾値よりも低い場合、ファン制御部34は、電動ファン14を予め定められた所定回転数よりも低い回転数で回転させる。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が温度閾値以上である場合、ファン制御部34は、電動ファン14を所定回転数よりも高い回転数で回転させる。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が温度閾値以上である場合、ファン制御部34は、検出データ受信部32により受信された温度センサ22の検出データに基づいて、電動ファン14の回転数を調整してもよい。例えば、ファン制御部34は、温度センサ22の検出データと記憶部35に記憶されている相関データとに基づいて、冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の回転数が低くなり、冷却対象の温度が高いほど電動ファン14の回転数が高くなるように、電動ファン14を制御してもよい。
【0033】
[制御方法の第2例]
図6は、実施形態に係る作業機械1の制御方法の第2例を示すフローチャートである。図6は、キーオン状態において電動ファン14が停止状態に維持される例を示す。
【0034】
キー信号受信部31は、キー信号を受信する(ステップSB1)。判定部33は、キー信号受信部31により受信されたキー信号に基づいて、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態であるか否かを判定する(ステップSB2)。ステップSB2において、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態であると判定された場合(ステップSB2:Yes)、電動ファン14は駆動されず、ステップSB1の処理に戻る。
【0035】
ステップSB2において、キースイッチ21の操作状態がキーオフ状態ではないと判定した場合(ステップSB2:No)、判定部33は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態であるか否かを判定する(ステップSB3)。
【0036】
ステップSB3において、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態であると判定された場合(ステップSB3:Yes)、ファン制御部34は、電動ファン14を駆動しない(ステップSB4)。ファン制御部34は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態において、電動ファン14を停止状態に維持する。ファン制御部34は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態である期間、電動ファン14を停止し続ける。ファン制御部34は、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態である期間、電動ファン14の駆動を禁止する。
【0037】
ステップSB3において、キースイッチ21の操作状態がキーオン状態ではないと判定された場合(ステップSB3:No)、判定部33は、キースイッチ21の操作状態がキースタート状態であると判定する。キースイッチ21の操作状態がキースタート状態である場合、メインモータ11の駆動が開始される。キースイッチ21の操作状態がキースタート状態である場合、ファン制御部34は、検出データ受信部32により受信された温度センサ22の検出データに基づいて、電動ファン14を制御する(ステップSB5)。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が予め定められている温度閾値よりも低い場合、ファン制御部34は、電動ファン14を予め定められた所定回転数よりも低い回転数で回転させる。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が温度閾値以上である場合、ファン制御部34は、電動ファン14を所定回転数よりも高い回転数で回転させる。温度センサ22により検出された冷却対象の温度が温度閾値以上である場合、ファン制御部34は、検出データ受信部32により受信された温度センサ22の検出データに基づいて、電動ファン14の回転数を調整してもよい。例えば、ファン制御部34は、温度センサ22の検出データと記憶部35に記憶されている相関データとに基づいて、冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の回転数が低くなり、冷却対象1の温度が高いほど電動ファン14の回転数が高くなるように、電動ファン14を制御してもよい。
【0038】
[効果]
以上説明したように、作業機械1は、キーオフ状態、キーオン状態、及びキースタート状態のいずれか一つの操作状態になるように操作されるキースイッチ21と、作業機械1の冷却対象を冷却するための気流を生成する電動ファン14と、キーオン状態において電動ファン14を所定状態に維持するコントローラ30と、を備える。
【0039】
実施形態によれば、作業機械1がキーオン状態で点検者が作業機械1を点検又は整備する場合、電動ファン14が駆動状態又は停止状態に維持される。電動ファン14の動作は、冷却対象の温度によらずに、キースイッチ21の操作状態に基づいて決定される。これにより、点検又は整備の作業性の低下が抑制される。作業機械1がキーオン状態において電動ファン14が駆動し続ける場合、点検者は、電動ファン14に近付かないようにしながら、点検又は整備の作業を効率良く実施することができる。作業機械1がキーオン状態において電動ファン14が停止し続ける場合、点検者が電動ファン14の近くにいるときに電動ファン14が急に駆動を開始することが無いので、点検者は、点検又は整備の作業を効率良く実施することができる。
【0040】
作業機械1がキーオン状態において、電動ファン14が回転状態に維持される場合、ファン制御部34は、電動ファン14の回転数を任意に設定することができる。作業機械1がキーオン状態において、電動ファン14が例えば低い回転数で回転することにより、騒音の発生が抑制される。また、電動ファン14が低い回転数で回転することにより、電動ファン14の電力消費量が抑制される。また、図5を参照して説明したように、作業機械1がキーオン状態において、冷却対象の温度に基づいて電動ファン14の回転数が調整されることにより、作業機械1がキーオン状態においても冷却対象が適正に冷却される。
【0041】
作業機械1がキーオン状態において、電動ファン14が停止状態に維持される場合、騒音の発生が抑制される。また、作業機械1がキーオン状態において、電動ファン14の駆動が禁止されるので、点検者は、作業機械1の点検又は整備の作業を効率良く実施することができる。
【0042】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、電動ファン14の冷却対象は、液冷式熱交換器の冷却液であることとした。液冷式熱交換器は、水冷式熱交換器(ラジエータ)でもよいし、油冷式熱交換器(オイルクーラ)でもよい。液冷式熱交換器がラジエータである場合、電動ファン14の冷却対象は、ラジエータの冷却水である。また、液冷式熱交換器により冷却される作業機械1のコンポーネントは、バッテリ2、インバータ10、メインモータ11、及びDC/DCコンバータ13に限定されない。液冷式熱交換器がオイルクーラである場合、オイルクーラは、作業機械1の油圧システムの作動油を冷却してもよい。
【0043】
冷却対象が複数存在する場合、コントローラ30は、複数の冷却対象のそれぞれの温度に基づいて決定される電動ファン14の回転数の最大値で電動ファン14を駆動してもよい。例えば、冷却対象として、ラジエータ、オイルクーラ、及びエアコンディショナのコンデンサが作業機械1に搭載される場合、複数の冷却対象のそれぞれの温度と電動ファン14の回転数との関係を示す相関データが記憶部35に記憶されてもよい。冷却対象の温度が低いほど電動ファン14の回転数が低くなり、冷却対象の温度が高いほど電動ファン14の回転数が高くなるように、相関データが定められてもよい。冷却対象の温度と相関データとに基づいて、ラジエータを冷却するための電動ファン14の回転数が第1回転数に決定され、オイルクーラを冷却するための電動ファン14の回転数が第2回転数に決定され、コンデンサを冷却するための電動ファン14の回転数が第3回転数に決定され、例えば第1回転数が第2回転数及び第3回転数よりも高い場合、コントローラ30は、第1回転数で電動ファン14を駆動させてもよい。
【0044】
上述の実施形態において、作業機械1が電動ショベルであることとした。作業機械1は、例えば電動フォークリフトでもよい。
【0045】
上述の実施形態において、作業機械1の駆動源がメインモータ11であることとした。すなわち、作業機械1が電動作業機械であることとした。作業機械1の駆動源がエンジンでもよい。電動ファン14の冷却対象は、エンジンでもよいし、エンジンを冷却するラジエータでもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…作業機械、2…バッテリ、3…下部走行体、4…上部旋回体、5…作業機、6…充電装置、7…ケーブル、8…充電ポート、9…電源分配ユニット、10…インバータ、11…メインモータ、12…油圧ポンプ、13…DC/DCコンバータ、14…電動ファン、14A…ファン用モータ、14B…ファン、20…制御システム、21…キースイッチ、22…温度センサ、30…コントローラ、31…キー信号受信部、32…検出データ受信部、33…判定部、34…ファン制御部、35…記憶部、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6