(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061193
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】水位測定装置、圃場管理システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20240425BHJP
E02B 13/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
A01G25/00 501E
E02B13/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168973
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000242530
【氏名又は名称】北菱電興株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】松田 啓
(72)【発明者】
【氏名】中川 和也
(72)【発明者】
【氏名】桑本 勇一
(72)【発明者】
【氏名】山田 智子
(57)【要約】
【課題】 圃場の管理を効率化する。
【解決手段】 水位測定装置は、中空の筐体と、前記筐体が設置された状態において、この筐体の内部で下方の水面までの距離を測定する測距センサと、前記筐体が設置された状態において、この筐体の側壁面に形成された通気口とを有する。好適には、前記筐体が設置された状態において、この筐体の上部に配置されたアンテナと、前記アンテナを介して通信を行う通信手段とをさらに有し、前記測距センサによる測定結果は、前記通信手段により送信される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の筐体と、
前記筐体が設置された状態において、この筐体の内部で下方の水面までの距離を測定する測距センサと、
前記筐体が設置された状態において、この筐体の側壁面に形成された通気口と
を有する水位測定装置。
【請求項2】
前記筐体が設置された状態において、この筐体の上部に配置されたアンテナと、
前記アンテナを介して通信を行う通信手段と
をさらに有し、
前記測距センサによる測定結果は、前記通信手段により送信される
請求項1に記載の水位測定装置。
【請求項3】
前記通信手段により受信した制御情報と、前記測距センサによる測定結果とに基づいて、水門又はバルブを開閉する水位調整装置に対する制御を行う水位制御手段
をさらに有する請求項2に記載の水位測定装置。
【請求項4】
前記筐体が設置された状態において、この筐体の下方に形成された通水口
をさらに有し、
前記測距センサは、前記通水口から前記筐体の内部に流入した水の水面までの距離を超音波により測定する
請求項3に記載の水位測定装置。
【請求項5】
水門又はバルブを開閉して圃場の水位を調整する水位調整装置と、
前記圃場の水位を測定する水位測定装置と、
前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場の状況を管理する圃場管理装置と
を含み、
前記圃場管理装置は、
前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場における損傷の有無を判定する損傷判定部
を有する
圃場管理システム。
【請求項6】
前記水位測定装置の筐体は、設置状態において、前記水位調整装置の筐体よりも高く、
前記水位測定装置は、
この水位測定装置の筐体の上部に配置されたアンテナと、
前記アンテナを介して、前記圃場管理装置と通信を行う第1の通信手段と
をさらに有し、
前記水位調整装置は、前記水位測定装置からの制御情報に基づいて、水門又はバルブを開閉する
請求項5に記載の圃場管理システム。
【請求項7】
前記水位測定装置は、
前記圃場管理装置と通信を行う第1の通信手段と、
前記水位調整装置と通信を行う第2の通信手段と
をさらに有し、
前記第1の通信手段は、前記第2の通信手段と比較して、通信距離又は通信頻度が異なる
請求項5に記載の圃場管理システム。
【請求項8】
前記水位調整装置は、前記圃場の外縁領域に設置され、
前記水位測定装置は、前記水位調整装置よりも、前記圃場の内側に設置される
請求項6に記載の圃場管理システム。
【請求項9】
水門又はバルブを開閉して圃場の水位を調整する水位調整装置と、前記圃場の水位を測定する水位測定装置と、前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場の状況を管理するコンピュータを含む圃場管理システムにおいて、
前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場における損傷の有無を判定する損傷判定機能
をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水位測定装置、圃場管理システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、用水路から農地へ農業用水を導く給水路の途中に、上下方向移動可能に配置され、下降した全閉位置で前記給水路を閉じ、上昇した全開位置で前記給水路を開く板状体の止水弁と、前記全開位置での前記止水弁を収容する弁体収容部と、この弁体収容部の上方位置に設けられ、前記止水弁の上下方向位置を制御する制御装置を収容する制御装置収容部と、を有してなる農地自動給水装置であって、前記止水弁の、厚さ方向から見て、少なくとも高さ方向下側部分の外周が、独立気泡スポンジから構成されていて、前記止水弁の下降時に、前記給水路の底面に弾力的に圧接可能の弾性体外周部とされたことを特徴とする農地自動給水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、圃場の管理を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る水位測定装置は、中空の筐体と、前記筐体が設置された状態において、この筐体の内部で下方の水面までの距離を測定する測距センサと、前記筐体が設置された状態において、この筐体の側壁面に形成された通気口とを有する。
【0006】
好適には、前記筐体が設置された状態において、この筐体の上部に配置されたアンテナと、前記アンテナを介して通信を行う通信手段とをさらに有し、前記測距センサによる測定結果は、前記通信手段により送信される。
【0007】
好適には、前記通信手段により受信した制御情報と、前記測距センサによる測定結果とに基づいて、水門又はバルブを開閉する水位調整装置に対する制御を行う水位制御手段をさらに有する。
【0008】
好適には、前記筐体が設置された状態において、この筐体の下方に形成された通水口をさらに有し、前記測距センサは、前記通水口から前記筐体の内部に流入した水の水面までの距離を超音波により測定する。
【0009】
また、本発明に係る圃場管理システムは、水門又はバルブを開閉して圃場の水位を調整する水位調整装置と、前記圃場の水位を測定する水位測定装置と、前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場の状況を管理する圃場管理装置とを含み、前記圃場管理装置は、前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場における損傷の有無を判定する損傷判定部を有する。なお、損傷判定部は、圃場における損傷の有無だけでなく、水戸の堰板の高さが低く、水がオーバーフローして水位が増加しない場合や、圃場より用水の水位が低く水が圃場に流入しない場合、止水状態でパイプの水漏れにより水位が異常に増加する場合、給水部の詰まりにより正常に入水できない場合のような異常状態の有無を判定してもよい。
【0010】
好適には、前記水位測定装置の筐体は、設置状態において、前記水位調整装置の筐体よりも高く、前記水位測定装置は、この水位測定装置の筐体の上部に配置されたアンテナと、前記アンテナを介して、前記圃場管理装置と通信を行う第1の通信手段とをさらに有し、前記水位調整装置は、前記水位測定装置からの制御情報に基づいて、水門又はバルブを開閉する。
【0011】
好適には、前記水位測定装置は、前記圃場管理装置と通信を行う第1の通信手段と、前記水位調整装置と通信を行う第2の通信手段とをさらに有し、前記第1の通信手段は、前記第2の通信手段と比較して、通信距離又は通信頻度が異なる。
【0012】
好適には、前記水位調整装置は、前記圃場の外縁領域に設置され、前記水位測定装置は、前記水位調整装置よりも、前記圃場の内側に設置される。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、水門又はバルブを開閉して圃場の水位を調整する水位調整装置と、前記圃場の水位を測定する水位測定装置と、前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場の状況を管理するコンピュータを含む圃場管理システムにおいて、前記水位測定装置による測定結果と、前記水位調整装置による開閉情報とに基づいて、前記圃場における損傷の有無を判定する損傷判定機能をコンピュータに実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、圃場の管理を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】圃場管理システム1の全体構成を例示する図である。
【
図2】圃場管理装置2のハードウェア構成を例示する図である。
【
図4】圃場管理装置2の機能構成を例示する図である。
【
図5】水位測定装置4の操作パネルを例示する図である。
【
図6】圃場データ表示部340により表示される表示画面(グラフあり)を例示する図である。
【
図7】圃場データ表示部340により表示される表示画面(制御状況あり)を例示する図である。
【
図8】圃場からの水漏れが発生した場合の測定結果を例示する図である。
【
図9】変形例における通信手順を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、圃場管理システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、圃場管理システム1は、圃場管理装置2と、水位測定装置4と、水位調整装置装置6とを有する。圃場管理装置2は、Gateway7を介して、水位測定装置4と無線接続しており、水位調整装置6は、同じ圃場に設置された水位測定装置4と無線接続している。つまり、圃場に設置された各水位調整装置6は、水位測定装置4を介して、この水位調整装置6を制御する圃場管理装置2と無線接続している。なお、無線接続は、LoRAなどの無線通信方式に対応した無線通信接続である。
圃場管理装置2は、コンピュータ端末であり、水位測定装置4から受信した圃場状態情報(圃場の状態を示す情報)を集約してユーザに提示すると共に、ユーザにより入力された制御情報を水位測定装置4に送信して、圃場に設置された水位測定装置4及び水位調整装置6の動作を制御し、圃場の環境を管理する。
【0017】
水位測定装置4は、圃場の水位を測定すると共に、圃場管理装置2から水位調整装置6への通信を中継するコンピュータ端末である。例えば、水位測定装置4は、水位調整装置6よりも、前記圃場の内側に設置され、圃場の水口や水戸の影響が少ない場所で水位や水温等を測定する。
水位調整装置6は、圃場に設置された水門又はバルブを自動的に開閉して、圃場の水位を調整する装置である。例えば、水位調整装置6は、特開2021-45060に記載の農地自動給水装置に、通信機能が追加されたものである。本例の位調整装置6は、圃場の水口及び水戸に設置され、水位測定装置4から受信した情報に基づいて、水口又は水戸の水門を開閉する。
【0018】
上記構成において、水位測定装置4の筐体は、設置状態において、水位調整装置6の筐体よりも高いため、より遠くの圃場管理装置2又はGateway7と無線接続でき、水位調整装置6と圃場管理装置2との通信を中継する装置として好ましい。
また、水位測定装置4による測定結果を圃場管理装置2に通知する頻度は、水位調整装置6による開閉状態を圃場管理装置2に通知する頻度よりも多いため、圃場管理装置2への通知を水位測定装置4に集約することにより、圃場管理システム1における通信頻度の抑制が期待できる。
水位調整装置6は、水口や水戸などの圃場の外縁領域に設置されるところ、センサ等が組み込まれた水位測定装置4は、水位調整装置6よりも圃場の内側に設置されることにより、盗難やいたずらの抑制が期待できる。
【0019】
図2は、圃場管理装置2のハードウェア構成を例示する図である。なお、圃場管理装置2の各ハードウェア構成を、クラウド上のリソースで代替してもよい。
図2に例示するように、圃場管理装置2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースであり、例えば、Gateway7を介した水位測定装置4との通信を実現する。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
【0020】
図3は、水位測定装置4の構成を例示する図である。なお、本図の水位測定装置4は、圃場に設置された状態を例示しており、鉛直方向に細長い形状をしている。
図3に例示するように、水位測定装置4は、中空の筐体40と、筐体40内に設けられた制御基板400、制御基板シャーシ402、電池ボックス404、LED408、アンテナ410、超音波センサ412、及びセンサブロック418と、筐体40の外側に設けられたケーブル420及び水温センサ422とを有する。
本例の筐体40は、下端面を有する細長い筒状体であり、筐体40の下方の側壁面には、複数の開口44が設けられている。複数の開口44は、互いに異なる高さに配置されており、圃場の水位よりも高い位置にある開口44は、筐体40内部への通気口として機能し、圃場の水位よりも低い位置にある開口44は、筐体40内部への通水口として機能する。すなわち、開口44は、通気口及び通水口として機能することにより、筐体40の内空間は、筐体40の外側の空間と区画されていながらも、気温や水温等は均一化される。
【0021】
制御基板400、制御基板シャーシ402、電池ボックス404、アンテナ410、超音波センサ414、及びセンサブロック418は、筐体40の上方に配置されている。特に、アンテナ410は、筐体40の上部に配置されることにより、広い無線通信エリアを実現する。
電池ボックス404は、筐体40の上端に配置され、筐体40の上方から電池の交換を可能にする。
電池ボックス404の下に配置された制御基板シャーシ402には、制御基板400が固定されている。制御基板400には、超音波センサ412及び水温センサ422を制御するセンサ制御モジュールと、アンテナ410を介して圃場管理装置2とのLoRA通信を制御する第1の通信制御モジュールと、アンテナ410を介して水位調整装置6とのLoRA通信を制御する第2の通信制御モジュールとが設けられている。なお、第1の通信制御モジュールと第2の通信制御モジュールは、ハードウェアを共用しつつ、ソフトウェア的に区別されるものであり、通信距離又は通信頻度が異なる。例えば、第1の通信制御モジュールは、第2の通信制御モジュールと比較して、より高い頻度で、より長距離の無線通信を行う。
【0022】
筐体40の中央部に配置されたセンサブロック418には、超音波センサ412と、水温センサ422とが接続されている。
超音波センサ412は、本発明に係る測距センサの一例であり、筐体40の内部に配置され、いずれかの開口44から筐体40の内部に流入した水の水面までの距離を超音波により測定する。すなわち、筐体40の中央部に配置された超音波センサ412は、筐体40の中空空間において、鉛直下方の水面までの距離を測定する。
水温センサ422は、筐体40の下端面近傍に配置され、圃場の水温を測定する。水温センサ422の測定結果を出力するケーブル420は、センサブロック418に接続しており、筐体40の外に引き出され、筐体40の側壁面に沿って水温センサ422まで配線されている。
【0023】
図4は、圃場管理装置2の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、圃場管理装置2には、圃場管理プログラム3がインストールされると共に、管理データベース370(管理DB370)が構築されている。なお、圃場管理プログラム3及び管理データベース370がクラウド上で構成され、その機能がウェブサービスとして圃場管理装置2に提供されてもよい。
圃場管理プログラム3は、データ受信部300、制御情報送信部310、損傷判定部330、及び圃場データ表示部340を有する。
なお、圃場管理プログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。また、圃場管理プログラム3は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して圃場管理装置2にインストールされる。
【0024】
圃場管理プログラム3において、データ受信部300は、水位測定装置4から、水位測定装置4により測定された測定結果(水位及び水温等のデータ)を受信し、水位測定装置4を介して、水位調整装置6の開閉情報(水門の開閉状態を示す情報)を受信する。
制御情報送信部310は、ユーザにより入力された制御情報を水位測定装置4に送信する。ユーザにより入力される制御情報は、例えば、水位調整装置6に水門を開閉させる時刻を指定する情報、水位調整装置6に水門を開閉させる水位を設定する情報、又は、水位調整装置6に水門を開閉させる水温を設定する情報などである。
【0025】
損傷判定部330は、データ受信部300により受信した、水位測定装置4による測定結果と、水位調整装置6による開閉情報とに基づいて、圃場における損傷の有無を判定する。具体的には、損傷判定部330は、水位調整装置6の開閉状況から想定される水位の変動量と、水位測定装置4により測定された水位の変動量を比較し、水位測定装置4により測定された水位の低下速度が異常に早いと判断された場合に、圃場が損傷していると判定する。なお、損傷判定部330は、水位調整装置6の開閉状況から想定される水位の変動量と、水位測定装置4により測定された水位の変動量を比較し、水位測定装置4により測定された水位の上昇速度が異常に遅いと判断された場合に、又は、水位測定装置4により測定された水位が異常に上昇していると判断された場合に、圃場が異常状態であると判定してもよい。
【0026】
圃場データ表示部340は、データ受信部300により受信した、水位測定装置4による測定結果と、水位調整装置6による開閉情報とを表示する。例えば、圃場データ表示部340は、水位測定装置4により測定された水位及び水温と、水位調整装置6による水門の開閉状況とを時系列にグラフ表示する。
管理DB370には、データ受信部300により受信した測定結果(水位及び水温)、及び、水門の開閉情報が圃場及び時刻に関連付けて登録される。
【0027】
図5は、水位測定装置4の操作パネルを例示する図である。
図5に例示するように、水位測定装置4の操作パネルには、エラーが検知された場合に点灯するエラーLEDと、電源の状態を示す電源LEDと、電源操作や設定操作を行うスイッチとが、電池ボックスの隣の領域に配置されている。
【0028】
図6及び
図7は、圃場データ表示部340により表示される表示画面を例示する図である。
図6に例示するように、圃場データ表示部340は、水門の開閉状態と、直近の測定結果である圃場の水位及び水温の数値とを表示すると共に、水位及び水温の経時変化を示すグラフを表示する。
また、圃場データ表示部340は、
図7に例示するように、天気予報や圃場の状況(水位及び水温)に加えて、水位調整装置6の制御状況(水位測定装置4の検知結果に基づく自動開閉、又は、ユーザの指示による開閉)を表示してもよい。
【0029】
図8は、圃場からの水漏れが発生した場合の測定結果を例示する図である。
図8に例示するように、圃場管理装置2(損傷判定部330)は、水位測定装置4から受信した測定結果及び水門の開閉情報に基づいて、圃場の水位変化が正常であるか否かを判定し、水位変化の異常パターンが検知された場合に、圃場に異常が発生していると判定する。
【0030】
以上説明したように、本実施形態における圃場管理システム1によれば、水位測定装置4の筐体40内で水位を測定できるため、稲穂や雑草、風雨等の影響を受けることなく、より正確に圃場の水位を測定できる。同時に、水位を測定する超音波センサ412自体も保護され、環境による劣化を抑制できる。また、開口44が通気口として機能し、筐体40内が異常に加熱されることが抑制されるため、水位測定の精度が担保される。
また、圃場管理システム1によれば、水位調整装置6の開閉情報と、水位測定装置4の測定結果とに基づいて、圃場の損傷を検知することができる。
より具体的には、超音波センサ412により水位を検知する部分は筐体40の内部であり、外部からの影響を受けにくいため、圃場の中心付近など、設置場所を選ばない。
水位検出部分が筐体40の内部であるため、日光による温度上昇により、音波の伝達速度が変わり水位誤差が発生するリスクがあるが、筐体40の側面に開けた開口44による放熱により、温度変化を抑制している。また、制御基板400上に温度センサを搭載することで、温度変化による水位の検出値を補正できる。
筐体40の側面には、結露や雨水の付着、砂粒、虫などの異物の付着が想定されるが、超音波センサ412の表面に取り付けた有孔板により超音波の指向性を調整(絞る)ことで、それらの影響を受けない構造としている。また、筐体40の側面に開けた開口44自体をセンサが誤検知することも防止している。
水位測定装置4を設置する深さはバラつきが発生するが、オフセット調整により多少の設置バラつきを許容する。
【0031】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。
図9は、圃場管理システム1における通信手順の変形例を説明する図である。
図9に例示するように、水位測定装置4が、上位(圃場管理装置2)に対し定期的なタイミング(例えば、20分に1度)で水位や水温の状態を送信(アップロード)し、上位(圃場管理装置2)から、その応答と水位調整装置6への動作指示(下位に水位調整装置6がある場合)を受信する。続けて、水位測定装置4は、同じ圃場に設置された水位調整装置6に対して、上位(圃場管理装置2)から受け取った動作指示を送信する。
水位調整装置6が複数台接続されている場合は、水位測定装置4は、複数台の水位調整装置6に対して動作指示を送信する。
より具体的には、水位測定装置4は、水位調整装置6から、この水位調整装置6の状態を取得し、取得した水位調整装置6の状態を圃場管理装置2に送信する。圃場管理装置2は、水位調整装置6の状態に応じた動作指示を水位測定装置4に返信すると、水位測定装置4は、圃場管理装置2から受信した動作指示を水位調整装置6に送信する。
水位測定装置4は、管理下にある全ての水位調整装置6(すなわち、同じ圃場に設置された全ての水位調整装置)について通信が成功した場合、又は、タイムアウトした場合(本例では、5分経過後)、スリープ状態に戻る。
【符号の説明】
【0032】
1…圃場管理システム
2…圃場管理装置
3…圃場管理プログラム
4…水位測定装置
6…水位調整装置