(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006120
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォーム製造用組成物、及びポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08G 18/50 20060101AFI20240110BHJP
C08G 18/46 20060101ALI20240110BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20240110BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20240110BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240110BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
C08G18/50 021
C08G18/46 015
C08G18/73 ZBP
C08G18/75
C08L101/16
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106716
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】小島 貫也
【テーマコード(参考)】
4J034
4J200
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034DA01
4J034DA03
4J034DB04
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4J034DG03
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4J200EA17
(57)【要約】
【課題】脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造する場合においても、製造時の反応性を向上しうる技術を提供すること。
【解決手段】本技術では、ポリオールと、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートと、第1級アミンと、を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物を提供する。本技術では、また、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物から製造されるポリウレタンフォームを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールと、
脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートと、
第1級アミンと、
を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物。
【請求項2】
前記ポリオールと前記第1級アミンの合計100質量部に対して、前記第1級アミンを1~20質量部含有する、請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用組成物。
【請求項3】
前記ポリオールは、生分解性ポリオールである、請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造用組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造用組成物から製造されるポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ポリウレタンフォーム製造用組成物、及びポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、ソファーや椅子等の家具、マットレスや枕等の寝具、下着等の衣類、食器や掃除用スポンジ等の生活必需品、車内シート等の車両・航空機内装用製品、玩具、雑貨に至るまで、様々な分野で幅広く使用されている。そして、それぞれの分野や目的に応じて、品質を向上させたり、新たな機能を付与したりと、様々な開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定構造のポリウレタンフォーム製造用強度向上剤(A)及びポリオール(P)を含有してなり、(1)前記強度向上剤(A)の水酸基価(mgKOH/g)が0~500であり、(2)芳香族ポリカルボン酸(C)が3価以上の芳香族ポリカルボン酸(C)であり、ポリオール組成物の重量を基準としたYの構造の含有量(重量%)が0.1~60重量%であり、(3)ポリオール組成物のエステル基濃度(mmol/g)が0.005~3.8mmol/gであることにより、黄変しにくく、また脂肪族/脂環式イソシアネートを使用しても、引張、引裂強度等の機械物性を低下させない軟質ポリウレタンフォームをつくるためのポリオール組成物が開示されている。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、イソシアネートを、イソシアネート基に対して反応性のある少なくとも2個の水素原子を有する化合物と反応させることによってポリウレタンフォームを製造する方法において、使用するイソシアネートが(環式)脂肪族イソシアネートであり、ポリウレタンフォーム中にフレーム構造を形成する物質の存在において反応を実施することで、良好な機械的性能を有し、ポリウレタン化学における慣用の出発原料を使用して生産することができる耐光安定性のポリウレタンフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-1777号公報
【特許文献2】特開2001-226448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリウレタンフォームは、イソシアネートとポリオールとを、触媒、発泡剤、整泡剤等と一緒に混合して、樹脂化反応、及び泡化反応等が進行することにより得られるが、用いるイソシアネートやポリオールの種類によって、製造時や製造後の特性が異なることが分かっている。例えば、脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートは、分解性が高いといった特徴を有するため、環境面を重要視するような場面においては、難分解性の芳香族イソシアネートよりも、好んで用いられることが多い。一方で、脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造する場合、芳香族イソシアネートを用いる場合と比べて、製造時の反応性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、本技術では、脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造する場合においても、製造時の反応性を向上しうる技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術では、まず、ポリオールと、
脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートと、
第1級アミンと、
を含有する、ポリウレタンフォーム製造用組成物を提供する。
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物では、前記ポリオールと前記第1級アミンの合計100質量部に対して、前記第1級アミンを1~20質量部含有させることができる。
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる前記ポリオールとしては、生分解性ポリオールを用いることができる。
【0009】
本技術では、次に、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物から製造されるポリウレタンフォームを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例におけるクリームタイムとライズタイムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0012】
1.ポリウレタンフォーム製造用組成物
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物は、ポリオールと、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートと、第1級アミンと、を含有する。また、必要に応じて、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、発泡剤、触媒、整泡剤等を含有させることもできる。以下、各成分について、詳細に説明する。
【0013】
(1)ポリオール
本技術に用いることができるポリオールとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができるポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール等を挙げることができる。例えば、官能基数2~4、分子量800~8000のポリオールが例示できる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;リシノレイン酸等の脂肪族カルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール等、もしくは、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリプロピレングリコールなどのポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を挙げることができる。
【0015】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものを挙げることができる。
【0016】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
【0017】
ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等、又は、これらの混合物との脱水縮合反応で得られるものを挙げることができる。
【0018】
本技術では、環境に考慮して、生分解性ポリオールを用いることが好ましい。生分解性ポリオールを用いてポリウレタンフォームを製造する場合、その反応性の低さが問題となる場合があった。しかし、本技術では、後述する第1級アミンを用いることで、生分解性ポリオールを用いた場合であっても、ポリウレタンフォーム製造時の反応性を向上させることができる。
【0019】
本技術に用いることができる生分解性ポリオールとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる生分解性ポリオールを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、澱粉、加工澱粉、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ヒマシ油系ポリオール等の天然由来エステル等が挙げられる。この中でも、本技術では、下記の化学式(1)で表されるポリカプロラクトン(PCL)や、下記の化学式(2)で表されるヒマシ油系ポリオール等の天然由来エステルを選択することが好ましい。
【0020】
【0021】
【0022】
(2)脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート
本技術では、イソシアネートとして、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートを用いることを特徴とする。脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造する場合、芳香族イソシアネートを用いる場合に比べて、製造時の反応性の低さが問題となる場合があった。しかし、本技術では、後述する第1級アミンを用いることで、脂肪族イソシアネートや脂環族イソシアネートを用いた場合であっても、ポリウレタンフォーム製造時の反応性を向上させることができる。
【0023】
本技術に用いることができる脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートとしては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートを、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0024】
脂肪族イソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネ-ト、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、デカメチレンジイソシアネート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0025】
脂環族イソシアネートとしては、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロペンテンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(1,4-シクロヘキサンジイソシアネ-ト、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート)、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ダイマー酸ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート(水添TDI)、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート(水加TMXDI)等の単環式脂環族イソシアネート;ノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シイソシアナートメチルビシクロヘプタン、ジ(ジイソシアナートメチル)トリシクロデカン等の架橋環式脂環族イソシアネート、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0026】
更に、上記脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートの三量体(ヌレート)が挙げられる。
【0027】
この中でも、本技術では、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の誘導体である下記化学式(3)で表されるHDIイソシアヌレート(HDIトリマー、2,4,6-トリオキソ-1,3,5-トリアジン-1,3,5-トリイルトリス(6,1-ヘキサンジイル)トリイソシアナート)や、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)の誘導体である下記化学式(4)で表される1,5-PDIイソシアヌレートを選択することが好ましい。
【0028】
【0029】
【0030】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の含有量の下限値は、ポリオール及び後述する第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。なお、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の量が、前記ポリオールの量に対して、少なすぎる場合は、製造されたポリウレタンフォームの強度が低下し、また、ポリウレタンフォームにブリードや変色を引き起こす場合がある。
【0031】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の含有量の上限値は、ポリオール及び後述する第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、200質量部以下、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、コスト削減のメリットがある。なお、前記の通り、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネート、又はこれらの三量体の量が、前記ポリオールの量に対して、多すぎる場合は、ポリウレタンフォームの硬度が硬くなりすぎて脆くなり柔軟性が損なわれ、軟質ポリウレタンフォームの弾性を確保できなくなる場合がある。
【0032】
なお、本技術では、芳香族イソシアネートを用いることもでき、本技術の目的や作用効果を損なわない範囲内において、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる芳香族イソシアネートを、1種又は2種以上自由に選択して、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートと併用することも可能である。
【0033】
(3)第1級アミン
本技術では、第1級アミンを用いることを特徴とする。特に、本技術では、少なくとも1個の第1級アミノ基を有し、水酸基等の活性水素基を含んだ官能基数が2~4官能の第1級アミンを用いることができる。
【0034】
ポリウレタンフォームを製造する際は、樹脂化反応と泡化反応のバランスが非常に重要である。例えば、泡化反応に比べて樹脂化反応が遅いと、ポリウレタンフォーム製造用組成物の増粘も遅いため、泡化反応で発生したガスが抜けやすくなってしまい、発泡挙動が安定しないといった問題があった。また、キュアタイム(硬化時間)も長くなり、一般的なモールド成型に合わなくなり、量産性が悪く、製造されたポリウレタンフォームの意匠性も悪くなるといった問題があった。しかし、本技術では、第1級アミンを用いることで、初期の増粘(クリームタイム)を早め、内部発熱を促進し、樹脂化反応の反応性を向上させると共に、泡化反応の反応性を高めてライズタイムも短縮することができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、製造時の反応性が低い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができる。
【0035】
また、製造時の反応性が低い原料を用いてポリウレタンフォームを製造する場合、反応性を高めるために、触媒を増量する手法があるが、触媒を増量すると樹脂化反応や泡化反応が不安定化するといった問題があった。また、予めポリオール及び/又はイソシアネートの一部を反応させたプレポリマーを原料として用いることにより、反応時間の短縮を図る手法もあるが、プレポリマーは粘度が高いため、原料混合物の粘度上昇によって撹拌性が低下する問題があった。しかし、本技術では、第1級アミンを用いることで、触媒を増量する必要がないため、樹脂化反応や泡化反応が安定化する。また、プレポリマーを用いなくても反応性が高いため、原料混合物の粘度上昇を抑制して撹拌性低下を防止することができる。
【0036】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる第1級アミンの量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の第1級アミンの含有量の下限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の第1級アミンの含有量の下限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応及び泡化反応の反応性を向上させることができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、製造の反応性が悪い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、ひいては、機械的特性、及び意匠性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0037】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の第1級アミンの含有量の上限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の第1級アミンの含有量の上限値を、この範囲とすることにより、製造時の反応性が高すぎることによる樹脂化反応及び泡化反応の不安定化を防止し、また、プレポリマー化の粘度上昇による撹拌性低下を防止することができる。また、泡化反応に比べて樹脂化反応が早すぎると、泡化反応が進行する前に、硬化が進んでしまうため、発泡ムラや硬度ムラができたり、発泡不良となる場合があるが、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の第1級アミンの含有量の上限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、発泡ムラや硬度ムラ、及び発泡不良等を防止することができる。
【0038】
本技術に用いることができる第1級アミンの数平均分子量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。本技術に用いることができる第1級アミンの数平均分子量の下限値としては、例えば、800以上、好ましくは1800以上、より好ましくは2400以上である。また、本技術に用いることができる第1級アミンの重量平均分子量は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。本技術に用いることができる第1級アミンの重量平均分子量の下限値としては、例えば、800以上、好ましくは1800以上、より好ましくは2400以上である。本技術に用いることができる第1級アミンの数平均分子量及び/又は重量平均分子量の下限値を、この範囲とすることにより、製造時の反応性が高すぎることによる樹脂化反応及び泡化反応の不安定化を防止し、また、プレポリマー化の粘度上昇による撹拌性低下を防止することができる。また、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、発泡ムラや硬度ムラ、及び発泡不良等を防止することができる。
【0039】
本技術に用いることができる第1級アミンの数平均分子量の上限値としては、例えば、12000以下、好ましくは8000以下、より好ましくは6000以下である。また、本技術に用いることができる第1級アミンの重量平均分子量の上限値としては、例えば、12000以下、好ましくは8000以下、より好ましくは6000以下である。本技術に用いることができる第1級アミンの数平均分子量及び/又は重量平均分子量の上限値を、この範囲とすることにより、製造時の反応性を向上させることができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、製造時の反応性が低い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、ひいては、機械的特性、及び意匠性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0040】
本技術に用いることができる第1級アミンにおけるオキシアルキレン繰り返し単位の数も、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。本技術に用いることができる第1級アミンにおけるオキシアルキレン繰り返し単位の数の下限値としては、例えば、10以上、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは40以上である。本技術に用いることができる第1級アミンにおけるオキシアルキレン繰り返し単位の数の下限値を、この範囲とすることにより、製造時の反応性が高すぎることによる樹脂化反応及び泡化反応の不安定化を防止し、また、プレポリマー化の粘度上昇による撹拌性低下を防止することができる。また、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、発泡ムラや硬度ムラ、及び発泡不良等を防止することができる。
【0041】
本技術に用いることができる第1級アミンにおけるオキシアルキレン繰り返し単位の数の上限値としては、例えば、200以下、好ましくは160以下、より好ましくは120以下、更に好ましくは100以下である。本技術に用いることができる第1級アミンにおけるオキシアルキレン繰り返し単位の数の上限値を、この範囲とすることにより、製造時の反応性を向上させることができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、製造時の反応性が悪い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、ひいては、機械的特性、及び意匠性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0042】
本技術に用いることができる第1級アミンの動粘度も、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。本技術に用いることができる第1級アミンの動粘度の下限値は、例えば、25℃において、100cSt以上、好ましくは200cSt以上、より好ましくは300cSt以上である。
【0043】
本技術に用いることができる第1級アミンの動粘度の上限値は、例えば、25℃において、2000cSt以下、好ましくは1500cSt以下、より好ましくは1000cSt以下である。
【0044】
本技術に用いることができる第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)は、本技術の目的や作用効果を損なわない限り特に限定されない。本技術に用いることができる第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)の下限値としては、例えば、100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。本技術に用いることができる第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)の下限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応時の反応性が高すぎることによる樹脂化反応の不安定化を防止し、また、プレポリマー化の粘度上昇による撹拌性低下を防止することができる。また、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、発泡ムラや硬度ムラ、及び発泡不良等を防止することができる。
【0045】
本技術に用いることができる第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)の上限値としては、例えば、2000以下、好ましくは1500以下、より好ましくは1000以下である。本技術に用いることができる第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)の上限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応の反応性を向上させることができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、樹脂化反応時の反応性が低い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、ひいては、機械的特性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0046】
なお、本技術において、第1級アミンのアミン水素当量(AHEW:Amine Hydrogen Equivalent Weight)とは、1分子当りの活性アミン水素の数で除されたポリエーテルアミンの分子量として定義される。第1級アミンのアミン水素当量(AHEW)は、当業者に既知且つ従来の技術に従い算出することができるが、好ましくは、ISO9702に記載の手順を用いてアミン基窒素の含量を決定することにより算出することができる。
【0047】
本技術に用いることができる第1級アミンの具体例としては、例えば、ポリエステル第1級アミン及び下記の化学式(5)で表されるオキシアルキレンを付加重合したポリエーテルトリアミン、ポリ(プロピレングリコール)トリアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、等のポリエーテル第1級アミン等から選択される1以上の第1級アミンが挙げられ、これらの第1級アミンを1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0048】
【0049】
なお、本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、第1級アミンの他に、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、第2級アミンや第3級アミンを用いることも可能である。この場合、全アミンにおける第1級アミンの割合としては、90%以上が好ましく、94%以上がより好ましい。全アミンにおける第1級アミンの割合をこの範囲とすることで、樹脂化反応の反応性を向上させることができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、樹脂化反応時の反応性が悪い原料を用いた場合であっても、樹脂化反応と泡化反応とのバランスを良好に保つことができ、ひいては、機械的特性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0050】
(4)発泡剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、発泡剤を用いることができる。本技術に用いることができる発泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる発泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0051】
発泡剤としては、例えば、水、炭化水素、ハロゲン系化合物等を挙げることができる。炭化水素としては、シクロペンタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等を挙げることができる。前記ハロゲン系化合物としては、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ノナフルオロブチルメチルエーテル、ノナフルオロブチルエチルエーテル、ペンタフルオロエチルメチルエーテル、ヘプタフルオロイソプロピルメチルエーテル等を挙げることができる。本技術では、これらの中でも発泡剤として水を用いることが好ましい。水は、イオン交換水、水道水、蒸留水等の何れでもよい。
【0052】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる発泡剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の下限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、発泡性を向上させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0053】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の上限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の発泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、発泡過剰による形成不良を抑制することができ、また、コスト削減に貢献することもできる。
【0054】
(5)触媒
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、触媒を用いることができる。本技術に用いることができる触媒としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる触媒を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0055】
触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の錫触媒や、フェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒)が挙げられる。また、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン(TEDA)、テトラメチルグアニジン、ジエタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″-ペンタメチルジエチレントリアミン、イミダゾール系化合物、ジメチルピペラジン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノ)エチルピペラジン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン系アミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等のモルホリン系アミン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ-[4,3,0]-ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ-[5,3,0]-デセン-7(DBD)、1,4-ジアザビシクロ-[3,3,0]オクテン-4(DBO)等のDBU同属体と称されるアミン等のアミン触媒も用いることができるが、これらのアミン触媒のうち、3級アミン触媒、2級アミン触媒が好ましく、さらに分子量700未満が好ましく、分子量500未満がより好ましく、分子量300未満がさらに好ましい。
【0056】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる触媒の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の下限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応や泡化反応を促進させることができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0057】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の上限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、20質量部以下、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、樹脂化反応や泡化反応の不安定化を防止し、樹脂化反応と泡化反応のバランスを良好に保つことができる。その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0058】
(6)整泡剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、整泡剤を用いることができる。本技術に用いることができる整泡剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームの製造に用いることができる整泡剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0059】
整泡剤としては、例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤、界面活性剤等を挙げることができる。シリコーン系整泡剤としては、シロキサン鎖主体からなるもの、シロキサン鎖とポリエーテル鎖が線状の構造をとるもの、分岐し枝分かれしたもの、ポリエーテル鎖がシロキサン鎖にペンダント状に変性されたもの等が挙げられる。
【0060】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる整泡剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の整泡剤の含有量の下限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の整泡剤の含有量の下限値を、この範囲とすることにより、発泡反応を安定化することができ、その結果、機械的特性や外観の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【0061】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の整泡剤の含有量の上限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中の整泡剤の含有量の上限値を、この範囲とすることにより、コスト削減に貢献することができる。
【0062】
(7)生分解促進剤
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、生分解促進剤を用いることができる。生分解促進剤を用いることで、本技術に係るポリウレタンフォームの原料として生分解性の原料を用いた場合に、生分解性を向上させることができる。
【0063】
本技術に用いることができる生分解促進剤としては、本技術の目的や作用効果を損なわない限り、ポリウレタンフォームに用いることができる生分解促進剤を、1種又は2種以上、自由に選択して用いることができる。
【0064】
生分解促進剤としては、例えば、グルコース、キシロース、ガラクトース、マルトース、スクロース、キチン、セルロース等の糖類;澱粉類;アミノ酸;ペプチド;タマリンドガム等のガム質;リグニン等を挙げることができる。
【0065】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる生分解促進剤の量は、本技術の目的や効果を損なわない限り、自由に設定することができる。本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の生分解促進剤の含有量の下限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。
【0066】
本技術では、ポリウレタンフォーム製造用組成物中の生分解促進剤の含有量の上限値は、ポリオール及び第1級アミンの合計100質量部に対して、例えば、10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0067】
(8)その他
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物には、本技術の目的や効果を損なわない限り、その他の成分として、ポリウレタンフォーム製造用組成物に用いることができる各種成分を、目的に応じて1種又は2種以上自由に選択して用いることができる。
【0068】
本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いることができる成分としては、例えば、難燃剤、安定剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、架橋剤、抗菌剤、分散剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
【0069】
2.ポリウレタンフォーム
本技術に係るポリウレタンフォームは、前述した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物を用いて製造される。
【0070】
本技術に係るポリウレタンフォームは、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォームのいずれであっても良いが、特に、軟質ポリウレタンフォームとすることが好ましい。具体的には、伸びが50%以上のものが好ましく、伸びが90%以上のものがより好ましい。この範囲の伸びを有するポリウレタンフォームは、半硬質、硬質ポリウレタンフォームに比べ、十分に柔軟であり、軟質ポリウレタンフォームといえる。
【0071】
例えば、前述した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物に用いる第1級アミンとして、平均分子量が1000~20000の第1級アミンを用いることで、樹脂化反応を適度に高めることができ、製造初期における硬化を抑制することができる。その結果、良好な軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0072】
3.ポリウレタンフォームの用途
本技術に係るポリウレタンフォームは、その品質の高さを利用して、あらゆる分野であらゆる用途に用いることができる。例えば、ソファーや椅子等の家具、マットレスや枕等の寝具、下着等の衣類、食器や掃除用スポンジ等の生活必需品、車内シート等の車両・航空機内装用製品、建築目地材、建築用緩衝材、建築用シール材、家電用シール材、防音材、梱包材、車両用断熱材、結露防止材、内装材、家電断熱材、配管断熱材、各種カバー、クッション材、玩具、雑貨、等に好適に用いることができる。
【0073】
4.ポリウレタンフォームの製造方法
本技術に係るポリウレタンフォームは、前述した本技術に係るポリウレタンフォーム製造用組成物の各成分を混合して組成物を調製し、樹脂化反応及び泡化反応を進行させることにより製造することができる。樹脂化反応及び泡化反応の方法は、本技術の目的や効果を損なわない限り、一般的は方法を自由に組み合わせて採用することができる。
【0074】
本技術に係るポリウレタンフォームの製造方法における発泡は、スラブ発泡及びモールド発泡のいずれを採用することもできる。スラブ発泡は、ポリウレタンフォーム製造用組成物(ポリウレタンフォームの原料)を混合してベルトコンベア上に吐出し、大気圧下、常温で発泡させる方法である。一方、モールド発泡は、モールド(金型)のキャビティにポリウレタンフォーム製造用組成物(ポリウレタンフォームの原料)を混合して注入し、キャビティ形状に発泡させる方法である。
【0075】
脂肪族イソシアネートを用いてポリウレタンフォームを製造する場合、芳香族イソシアネートを用いる場合に比べて、製造時の反応性が悪いため、キュアタイム(硬化時間)も長くなり、一般的なモールド成型が難しかった。そのため、量産性が悪く、製造されたポリウレタンフォームの意匠性も悪くなるといった問題があった。しかし、本技術では、第1級アミンを用いることで、初期の増粘(クリームタイム)を早め、内部発熱を促進し、樹脂化反応の反応性を向上させると共に、泡化反応の反応性を高めてライズタイムも短縮することができる。その結果、例えば、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環族イソシアネートや、生分解性ポリオール等、製造時の反応性が悪い原料を用いた場合であっても、キュアタイム(クリームタイム+ライズタイム)を短縮することができる。このように、本技術を用いれば、環境に配慮した原料を用いた場合であっても、量産性が高く、機械的特定、及び意匠性の優れたポリウレタンフォームを得ることができる。
【実施例0076】
以下、実施例に基づいて本技術を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本技術の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0077】
(1)原料
ポリオール:天然由来エステル系ポリオール(精製ヒマシ油:分子量950、官能基数2.7、水酸基価160mg/g)50部、セバシン酸エステルポリオール(分子量2000、官能基数2、水酸基価56mg/g)50部の混合物
第1級アミン:ポリエーテル第1級アミン(重量平均分子量(Mw):5000、官能基数3,粘度819cSt(25℃)、アミン水素当量(AHEW)952g/eq、全アミンに対する1級アミンの比率97%以上、前記化学式(5)におけるx+y+z=85)
整泡剤:シリコーン系整泡剤
生分解促進剤:マルトース
発泡剤:水
イソシアネート:HDIイソシアヌレート(HDIトリマー)
【0078】
(2)ポリウレタンフォームの製造
下記表1に示す各原料と、触媒(スズ触媒2質量部、三級アミン触媒(分子量96~152の混合物)4質量部)とを混合して組成物を調製後した後、モールドに移して発泡させることにより、各ポリウレタンフォームを製造した。
【0079】
(3)評価
製造時の反応性について、クリームタイムおよびライズタイムを測定することで評価した。また、製造したポリウレタンフォームのフォームの状態について観察を行った。更に、製造したポリウレタンフォームについて、下記の方法を用いて各物性の評価を行った。
【0080】
[引っ張り強度][伸び]
引っ張り強度、及び伸びは、JIS K6400-5に従って測定した。
【0081】
[反発弾性率]
反発弾性率は、JIS K6255に従って測定した。
【0082】
(4)結果
結果を下記の表1に示す。また、クリームタイムとライズタイムを
図1のグラフに示す。
【表1】
【0083】
(5)考察
表1及び
図1に示す通り、第1級アミンを用いた実施例1~4は、クリームタイム及びライズタイム共に、第1級アミンを用いなかった比較例1に比べて短縮されていた。また、実施例1~4は、伸びが50%を超える柔軟性を示していた。引っ張り強度についても、第1級アミンを用いた実施例1~3は、第1級アミンを用いなかった比較例1に比べて良好であった。更に、表には示していないが、フォームの状態も第1級アミンを用いた実施例1~3は、第1級アミンを用いなかった比較例1に比べて良好であった。なお、実施例4は、反応性が高く、良好なセル形成を阻害し、引っ張り強度や伸びが低くなったものの、反応性の向上という本技術の効果は十分に発揮されていた。