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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061209
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】情報処理装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3206 20190101AFI20240425BHJP
   G06F 1/3287 20190101ALI20240425BHJP
【FI】
G06F1/3206
G06F1/3287
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022168998
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】田 達到
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA06
5B011DB12
5B011DC07
5B011EA04
5B011LL11
(57)【要約】
【課題】所望の時点で使用を開始可能としながら消費電力を低減する。
【解決手段】形態が可変な筐体と、システムデバイスと、生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、前記システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部と、電源回路と、を備え、前記ユーザ認証部が前記筐体に配置され、前記電源回路は、前記形態に基づいて、前記ユーザ認証部への電力の供給を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形態が可変な筐体と、
システムデバイスと、
生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、前記システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部と、
電源回路と、を備え、
前記ユーザ認証部が前記筐体に配置された情報処理装置であって、
前記電源回路は、
前記形態に基づいて、前記ユーザ認証部への電力の供給を制御する
情報処理装置。
【請求項2】
前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有するか否かを検出する検出部を備え、
前記電源回路は、
前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有しないとき、前記ユーザ認証部への電力の供給を停止し、
前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有するとき、前記ユーザ認証部に電力を供給する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電源回路は、前記検出部からの検出信号を入力する端子を備え、
前記検出信号は、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有することを示す電圧値として、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有しないことを示す電圧値よりも高い電圧値を有し、
前記端子には、電圧源からの電圧が印加される
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記筐体は、第1筐体と第2筐体を備え、
前記第1筐体は前記第2筐体に対して相対的に回動可能とし、
前記ユーザ認証部は、前記第1筐体の主面に設置され、
前記検出部は、前記第1筐体が前記第2筐体から所定の範囲内に近接しているか否かを検出するセンサを有する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記システムデバイスは、
前記第1筐体が前記第2筐体から所定の範囲内に近接しているとき、動作モードを前記省電力モードとする
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ認証部は、
指紋を表す指紋画像を取得する指紋センサと、
前記指紋画像が前記登録ユーザの指紋画像であるか否かを判定する指紋認識部と、を備える
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
形態が可変な筐体と、
システムデバイスと、
生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、前記システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、
前記ユーザ認証部が前記筐体に配置された情報処理装置における制御方法であって、
前記情報処理装置は、
前記形態に基づいて、前記ユーザ認証部への電力の供給を制御するステップを実行する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および制御方法、例えば、ユーザ認証モジュールの出力制御に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(Personal Computer)、スマートフォンなどの情報処理装置には、セキュリティを確保するためにユーザ認証モジュールを備えるものがある。ユーザ認証モジュールには、生体情報を取得し、取得した生体情報が予め登録されたユーザの生体情報であると判定するとき、情報処理装置を稼働させるものがある。生体情報として、例えば、ユーザの指紋が用いられる。生体情報の提示(例えば、指先の接触による起動ボタンの押下)によりユーザによる使用の意図を検出したうえで、生体情報の個人性によりユーザ個人が特定される。そのため、利便性を損なわずに情報処理装置のセキュリティが確保される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像処理装置は、通常モードと省電力モードとの間で切り替え可能とし、画像処理装置を利用する利用者の識別情報を識別し、識別情報と予め登録された識別情報とを照合することで利用者を特定し、その使用を許可または非許可とする。また、画像処理装置は、画像処理装置自体および携帯端末装置が使用中でない場合、検出した利用者が直前の利用者であると判断したとき個人認証を実行せずに初期画面を表示する。画像処理装置自体および携帯端末装置が使用中でない場合、検出した利用者が個人認証手段により直前の利用者ではないと判断したとき個人認証を実行した後、初期画面を表示する。また、画像処理装置自体および携帯端末装置が使用中でなく、かつ、利用者を検出しないときに省電力モードに移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-108369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが情報処理装置を使用したいと考えるとき、ユーザ認証モジュールが動作し、ユーザの生体情報を取得できる状態とすることを要する。他方、情報処理装置の使用に備えるには、ユーザ認証モジュールを常に動作させる必要がある。そのため、必要以上に消費電力が大きくなることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記の課題を解決するためになされたものであり、本願の一態様に係る情報処理装置は、形態が可変な筐体と、システムデバイスと、生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、前記システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部と、電源回路と、を備え、前記ユーザ認証部が前記筐体に配置された情報処理装置であって、前記電源回路は、前記形態に基づいて、前記ユーザ認証部への電力の供給を制御する。
【0007】
上記の情報処理装置は、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有するか否かを検出する検出部を備え、前記電源回路は、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有しないとき、前記ユーザ認証部への電力の供給を停止し、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有するとき、前記ユーザ認証部に電力を供給してもよい。
【0008】
上記の情報処理装置において、前記電源回路は、前記検出部からの検出信号を入力する端子を備え、前記検出信号は、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有することを示す電圧値として、前記筐体が前記ユーザ認証部を開放する形態を有しないことを示す電圧値よりも高い電圧値を有し、前記端子には、電圧源からの電圧が印加されてもよい。
【0009】
上記の情報処理装置において、前記筐体は、第1筐体と第2筐体を備え、前記第1筐体は前記第2筐体に対して相対的に回動可能とし、前記ユーザ認証部は、前記第1筐体の主面に設置され、前記検出部は、前記第1筐体が前記第2筐体から所定の範囲内に近接しているか否かを検出するセンサを有してもよい。
【0010】
上記の情報処理装置において、前記システムデバイスは、前記第1筐体が前記第2筐体から所定の範囲内に近接しているとき、動作モードを前記省電力モードとしてもよい。
【0011】
上記の情報処理装置において、前記ユーザ認証部は、指紋を表す指紋画像を取得する指紋センサと、前記指紋画像が前記登録ユーザの指紋画像であるか否かを判定する指紋認識部と、を備えてもよい。
【0012】
本願の第2態様に係る制御方法は、形態が可変な筐体と、システムデバイスと、生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、前記システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部と、を備える情報処理装置の制御方法であって、前記ユーザ認証部が前記筐体に配置された情報処理装置における制御方法であって、前記情報処理装置は、前記形態に基づいて、前記ユーザ認証部への電力の供給を制御するステップを実行する。
【発明の効果】
【0013】
本願の実施形態によれば、所望の時点で情報処理装置の使用を開始可能としながら消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る情報処理装置の外観構成の一例を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る情報処理装置の一例を示す断面図である。
図3】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
図4】本実施形態に係る電力供給例を説明するための説明図である。
図5】本実施形態に係る給電回路の構成例を示す回路図である。
図6】本実施形態に係る動作制御例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る情報処理装置の一変形例を示す斜視図である。
図8】本実施形態に係る情報処理装置の一変形例を示す断面図である。
図9】本実施形態に係る情報処理装置の他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る情報処理装置1の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の外観構成の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の断面を示す断面図である。図1図2の例では、情報処理装置1は、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC:Personal Computer)として構成されている。
【0016】
情報処理装置1は、第1筐体101と第2筐体105とを備え、それらがヒンジ機構121a、121bを用いて結合される。ヒンジ機構121a、121bは、それぞれ第1筐体101の一辺と第2筐体105の一辺に固定される。第1筐体101と第2筐体105の一辺を回転軸として第1筐体101と第2筐体105の一方は、他方に対して相対的に回動可能とする。即ち、第1筐体101の主面と第2筐体105の主面とのなす角度θ(本願では、「開き角」と呼ぶ)が可変となる。
【0017】
第1筐体101の主面には、ディスプレイ103が配置され、その大部分を占める。第2筐体105の主面には、キーボード107と、タッチパッド109と、電源ボタン113が配置される。かかる配置により、情報処理装置1は、第1筐体101と第2筐体105が開いた状態で使用される。開いた状態とは、第1筐体101の主面と第2筐体105の主面の一方が他方に遮蔽されずに開放する状態である。開いた状態では、開き角θは、典型的には90°~180°の範囲内となる。
【0018】
第2筐体105には、回転軸とする一辺よりも、その一辺に対向する対辺に近い位置にはリッドセンサ181が設置されている。リッドセンサ181は、周囲の磁場を検出する磁気センサである。第1筐体101の一辺よりも対辺に近い位置には永久磁石183が設置されている。第1筐体101が第2筐体105に対して完全に閉じた状態、即ち、開き角θが0°となる状態では、永久磁石183の位置は、リッドセンサ181の位置に対面する。よって、リッドセンサ181が検出した磁場は、永久磁石183がリッドセンサ181に近接しているか否かを判定するための手がかりとなる。かかる形態のもとでは、永久磁石183がリッドセンサ181に近接しているか否かは、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態か否かに相当する。
【0019】
後述するように、情報処理装置1は、ユーザ認証モジュール38(図3)を備える。電源ボタン113は、指紋センサ(図示せず)を備える。指紋センサは、自部に接触したユーザの指先の指紋を取得する。ユーザ認証モジュール38は、取得した指紋を用いてユーザ認証を実行する。ユーザ認証モジュール38は、ユーザ認証において、取得した指紋と予め登録された登録ユーザの指紋と照合し、公知の指紋認証方式を用いて取得したユーザが登録ユーザであるか否かを判定することができる。
【0020】
情報処理装置1は、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態から閉じた状態に変化するとき、動作モードを通常モードから省電力モードに変更する。通常モードは、消費電力が標準的な動作モードである。省電力モードは、通常モードにおける消費電力よりも消費電力が少ない動作モードである。省電力モードでは、原則としてユーザ認証モジュール38への電力供給が停止される。
【0021】
情報処理装置1は、電源回路33(図3)を備える。電源回路33は、各デバイスに必要とされる電力を供給可能とする。電源回路33は、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態から開いた状態に変化するとき、ユーザ認証モジュール38に通電し、動作を開始させる。ユーザ認証部38は、登録ユーザの識別に成功するとき、情報処理装置1の動作モードを省電力モードから通常モードに変更させる。
【0022】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。情報処理装置1は、CPU11、メインメモリ12、GPU(Graphic Processing Unit;グラフィック処理装置)13、ディスプレイ103、PCH(Platform Controller Hub)21、BIOS(Basic Input Output System;基本入出力システム)メモリ22、補助記憶装置23、オーディオシステム24、WLAN(Wireless Local Area Network;無線構内ネットワーク)カード25、USB(Universal Serial Bus)コネクタ26、EC(Embedded Controller、エンベデッドコントローラ)31、入力部32、電源回路33、バッテリ34、AC(Alternating Current)アダプタ37、電源ボタン113、および、リッドセンサ181を備える。
【0023】
CPU11は、情報処理装置1に備わるシステムデバイスの中核をなすプロセッサである。CPU11は、各種のプログラムに記述された命令で指示される種々の演算処理を実行可能とするプロセッサである。CPU11は、例えば、OS(Operating System)、BIOS、ファームウェア、アプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶ)など、各種のプログラムで指示される処理を実行する。
CPU11は、OSを実行し、情報処理装置1の中核をなすコンピュータシステム、即ち、ホストシステムにおけるリソース管理、各種プログラムの実行管理、入出力制御、ファイル管理などの機能を提供する。なお、プログラムに記述された指令(コマンド)で指示される処理を実行することを、「プログラムの実行」または「プログラムを実行する」と呼ぶことがある。
【0024】
メインメモリ12は、プロセッサの実行プログラムの読み込み領域として、または、実行プログラムの処理データを書き込むための作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。実行プログラムには、OS、周辺機器などのハードウェアを操作するための各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ等が含まれる。
【0025】
GPU13は、主に実時間画像処理を実行するプロセッサである。GPU13は、CPU11からの描画命令を処理し、処理により得られる描画情報をビデオメモリ(図示せず)に書き込む。GPU13は、ビデオメモリから描画情報を読み出して、CPU11を経由し、ディスプレイ103に描画情報を示す表示データとして出力する(画像処理)。ディスプレイ103に通知される描画情報が表示画面を構成する。
【0026】
CPU11は、OS上でグラフィックドライバを実行して、GPU13の動作を制御し、OS、アプリ、その他のプログラムで指示される画像処理を実現する。GPU13の個数は、1個に限られず、複数個でもよい。GPU13は、CPU11と一部の処理を分担し、画像処理以外の並列演算処理を実行してもよい。
CPU11、メインメモリ12、および、GPU13は、情報処理装置1の中核となるコンピュータシステム、つまり、ホストシステムをなすシステムデバイスとして機能する。言い換えれば、情報処理装置1のコンピュータシステムは、ハードウェアとしてのシステムデバイスと、OS、スケジュール・タスクなどのソフトウェアと、を含んで構成される。
【0027】
ディスプレイ103は、CPU11から出力された表示データに基づく表示画面を表示する。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode、有機発光ダイオード)ディスプレイなどのいずれであってもよい。
【0028】
PCH21は、1個または複数のバスコントローラを備え、複数のデバイスと各種のデータを入出力できるように接続可能とする。バスコントローラは、例えば、USB、シリアルATA(Advanced Technology Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、および、LPC(Low Pin Count)などのいずれか1個、または、いずれかの組み合わせであってもよい。接続先となる複数のデバイスは、例えば、BIOSメモリ22、補助記憶装置23、WLANカード25、USBコネクタ26、および、EC31が該当する。
【0029】
BIOSメモリ22は、BIOS、EC31その他のデバイスの動作を制御するためのファームウェアなどを記憶する。BIOSは、システムデバイスの基本的な入出力を行うためのファームウェアである。本願では、BIOSとは、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)に規定された仕様に従って定義されたファームウェアも含まれうる。BIOSメモリ22は、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを含んで構成される。かかる不揮発メモリとして、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、および、フラッシュROM(Read Only Memory)などが利用可能である。
【0030】
補助記憶装置23は、各種のデータを継続的に記憶する。記憶されるデータは、CPU11およびGPU13により実行されうる各種のプログラム、パラメータ、各種処理に用いられるデータ、各種処理により取得されるデータが含まれる。補助記憶装置23は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、および、SSD(Solid State Drive)などのいずれであってもよい。補助記憶装置23は、各種の不揮発性メモリを含んで構成される。不揮発性メモリとして、例えば、フラッシュメモリが用いられる。各種のプログラムには、例えば、OS、ドライバ、ファームウェア、アプリ、などのいずれかれか1個、または、いずれかの組み合わせが含まれうる。
【0031】
オーディオシステム24は、マイクロホン(図示せず)とスピーカ(図示せず)が接続され、音声データの記録、再生および出力を実行可能とする。なお、マイクロホンとスピーカは、例えば、情報処理装置1に内蔵されてもよいし、情報処理装置1とは別体であってもよい。
WLANカード25は、ワイヤレス(無線)LAN、または、ワイヤレスLANを経由して他のネットワークに接続して、接続先との機器との間で、各種のデータを送受信可能とする。
USBコネクタ26は、USBを利用して各種の周辺機器を接続するためのコネクタである。
【0032】
EC31は、情報処理装置1の中核をなすホストシステムの動作状態に関わらず、各種デバイス(周辺装置やセンサ等)の状況を監視して制御するワンチップマイコン(One-Chip Microcomputer)である。EC31は、CPU11とは別個のプロセッサ、メインメモリ12とは別個のRAMの他、ROM、複数チャネルのA/D(Analog-to-Digital)入力端子、D/A(Digital-to-Analog)出力端子、タイマおよび入出力インタフェース(図示せず)を備える。EC31は、所定のファームウェアを実行して、その機能を奏する。
【0033】
EC31の入出力インタフェースには、入力部32、電源回路33、ユーザ認証モジュール38、および、リッドセンサ181などのデバイスが有線で接続される。EC31は、これらのデバイスの動作を制御可能とする。入出力インタフェースは、各種のデバイスと無線でデータを送受信可能に接続してもよい。入力部32は、入出力インタフェースを用いてEC31と無線で接続されてもよい。入出力インタフェースは、例えば、IEEE802.15.1に規定された短距離無線通信方式を用いた無線接続を実現してもよい。
【0034】
入力部32は、ユーザの操作を検出し、検出した操作に応じて生成される操作信号をEC31に出力する入力デバイスを備える。入力部32を構成する入力デバイスとして、例えば、キーボード107およびタッチパッド109が該当する。入力部32には、さらにタッチセンサが含まれてもよい。このタッチセンサは、表示部をなすディスプレイ103と重なり合い、タッチパネルとして構成されてもよい。
【0035】
電源回路33は、EC31の制御に従って情報処理装置1に備わる各デバイスの動作に要求される電力を供給する。電力の供給先となるデバイスは、システムデバイスとユーザ認証モジュール38の他、周辺デバイスも含まれる。また、USBコネクタ26に接続される周辺デバイスも、電力の供給先となりうる。デバイスの動作電圧は、個々のデバイスごとに異なりうる。各種のデバイスには、複数段階の電圧を要求するデバイスも含まれうる。複数段階の電圧には、動作電圧の他、基準電圧が含まれることがある。
【0036】
電源回路33は、自部に供給される電力の電圧を変換する変換器と、電圧が変換された電力をバッテリ34に給電する給電器を備える。給電器は、ACアダプタ37から電力が供給されている場合、各デバイスにおいて消費されずに残された電力をバッテリ34に供給する。ACアダプタ37から電力が供給されない場合、または、ACアダプタ37から供給される電力が各デバイスで消費される消費電力に不足する場合には、バッテリ34から放電される電力を、動作電力として各デバイスに供給する。
【0037】
変換器として、例えば、1個または複数のDC/DCコンバータが用いられる。複数のDC/DCコンバータは、変換後の電圧ごとに使い分けられてもよい。また、複数のDC/DCコンバータの一部である第1種の変換器は、システムデバイスまたはシステムデバイスの動作モードに応じて動作状態が異なりうるデバイスに接続されてもよい。第1種の変換器は、EC31から通知される動作モードに基づいて供給する電力を制御してもよい。数のDC/DCコンバータの他の一部である第2種の変換器は、システムデバイスの動作モードに関わらず動作するデバイスに接続されてもよい。第2種の変換器は、定常的に一定の電力を供給可能としてもよい。
【0038】
電源回路33は、例えば、VCC3M電源、VCC5M電源、および、VCC3UC電源を備える。VCC3M電源とVCC5M電源は、第1種の変換器に該当する。VCC3M電源、VCC5M電源は、それぞれ変換後の電圧が3V、5Vであり、それぞれ3V、5Vの電力を要するデバイスに電力を供給する。VCC3UC電源は、第2種の変換器に該当する。VCC3UC電源は、変換後の電圧が3Vであり、3Vの電力を要し、かつ、システムデバイスの動作モードに関わらず動作させるデバイスに電力を供給する。システムデバイスの動作モードに関わらず動作させるデバイスとして、例えば、EC31、オーディオシステム24、WLANカード25、USBコネクタ26に接続されるUSB機器などがある。
【0039】
電源回路33は、給電回路331(図4図5)を備える。給電回路331は、後述するようにリッドセンサ181から入力される検出信号に基づいてユーザ認証モジュール38の電力供給を制御する。
【0040】
なお、システムデバイスの消費電力は、情報処理装置1の消費電力の大部分を占める。システムデバイスの消費電力は、動作モードにより顕著に異なる。動作モードには、少なくとも標準モードと省電力モードがある。標準モードは、CPU11の消費電力が標準的な動作モードである。省電力モードは、消費電力が標準モードよりも少ない動作モードである。省電力モードでは、一部の周辺デバイスの動作が停止される。省電力モードにおいて、動作を停止する周辺デバイスには、例えば、ディスプレイ103が含まれる。
【0041】
EC31は、リッドセンサ181から入力される検出信号に基づいて第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態(以下の説明では、単に「閉じた状態」と呼ぶことがある)であるか、または、開いた状態(以下の説明では、単に「開いた状態」と呼ぶことがある)であるかを検出する。EC31は、開いた状態から閉じた状態への変化を検出するとき、その変化を示す開閉情報をCPU11に通知する。CPU11は、EC31から開閉情報が入力されるとき、動作モードを標準モードから省電力モードに変更する。
【0042】
本実施形態では、標準モードとして、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されたS0モードが用いられる。省電力モードとして、S5モードが用いられる。S5モードは、OSをシャットダウンして電源断とした状態である。S0モードからS5モードへの遷移において、特定のデバイスを除く周辺デバイスとの入出力を停止する過程、OS以外のプログラムの実行を停止する過程、周辺デバイスの動作を停止する過程、メインメモリ12に記憶されたデータを補助記憶装置23にバックアップデータとして移行する過程、および、CPU11によるOSの実行を停止する過程、を伴う。
【0043】
本実施形態では、省電力モードにおいてユーザ認証モジュール38の動作が停止される。このとき、電源回路33は、ユーザ認証モジュールへの電力供給を停止する。但し、電源回路33は、リッドセンサ181から入力される検出信号を待ち受ける。電源回路33は、リッドセンサ181から入力される検出信号に基づいて第1筐体101が第2筐体に対して閉じた状態であるか、開いた状態であるかを検出する。電源回路33は、第1筐体101が第2筐体に対して閉じた状態から開いた状態への変化を検出するとき、ユーザ認証モジュール38への電力供給を再開する。
【0044】
EC31は、ユーザ認証モジュール38からユーザ認証の成功を示す認証結果情報が入力されるとき、動作モードとして標準モードを電源回路33に通知する。
電源回路33は、EC31から通知された動作モードとして標準モードに対応する電力供給を再開する。S5モードからS0モードへの遷移は、CPU11がOSの実行を再開する過程、補助記憶装置23からバックアップデータのメインメモリ12へ移行する過程、周辺デバイスを認識する過程、周辺デバイスの動作を再開する過程、OS以外のプログラムの実行を再開する過程を伴う。その後、CPU11は、動作モードとして標準モードを示す動作モード通知をユーザ認証モジュール38に出力する。CPU11には、ユーザ認証モジュール38からユーザ認証情報が入力され、入力されたユーザ認証情報を用いてログイン処理を行う。CPU11は、ログイン処理の完了後、ユーザからのアクセスを再開する(ワンタッチ認証(single press recognition))。
【0045】
バッテリ34は、電源回路33の制御に基づいて、電源回路33から供給される電力を蓄電する。バッテリ34は、蓄電された電力の一部を電源回路33に放電する。バッテリ34として、二次電池が用いられる。二次電池は、充電および放電とも可能な蓄電池である。二次電池は、例えば、リチウムイオン電池である。
【0046】
ACアダプタ37は、外部電源から供給される交流電力を電圧が一定となる直流電力に変換し、変換された電力を電源回路33に供給する。ACアダプタ37は、電源回路33を含む情報処理装置1の筐体と着脱可能とする装着具を備える。装着具は、電力とデータの両方を所定の規格に従って伝送することができるインタフェースを備える。所定の規格として、例えば、USB Type-Cを用いることができる。
【0047】
ユーザ認証モジュール38は、ユーザの生体情報を取得し、取得した生体情報を用いてユーザ認証を行い、生体情報の取得元のユーザが予め登録された正当な登録ユーザであるか否かによりユーザ認証の成否を判定する。ユーザ認証モジュール38は、ユーザ認証に成功するとき、ユーザ認証の成功を示す認証結果情報をEC31に出力する。ユーザ認証モジュール38には、登録ユーザの生体情報と関連付けて、その登録ユーザのユーザ認証情報(例えば、ログインパスワード)を予め設定しておく。ユーザ認証モジュール38には、CPU11から動作モード通知が入力されるとき、その登録ユーザに対して設定されたユーザ認証情報をCPU11に出力する。CPU11は、ユーザ認証モジュール38から入力されるユーザ認証情報を用いてログイン処理を行う。
【0048】
図1図3の例では、ユーザ認証モジュール38は、指紋認識モジュール(FPR(Fingerprint Recognition))モジュールである。指紋認識モジュールは、ユーザの生体情報として指紋を用いる。指紋認識モジュールは、例えば、指紋センサ、指紋認識部、および、認識情報処理部を備える。指紋センサは、自部に接触した指の指紋を表す指紋画像を取得するセンサである。指紋認識部は、公知の指紋認識方法を用い、取得された指紋画像を予め登録された登録ユーザの指紋画像と照合し、取得された指紋画像が登録ユーザの指紋画像であるか否かを判定する。指紋認識部は、取得された指紋画像が登録ユーザの指紋画像であるときユーザ認証に成功したと判定し、その登録ユーザを識別することができる。指紋認識部には、登録ユーザの指紋画像とユーザ認証情報(例えば、ログインパスワード)とを予め登録しておく。指紋認証部は、識別した登録ユーザのユーザ認証情報を特定することができる。
【0049】
リッドセンサ181は、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態か否かを検出し、閉じた状態であるか否かを示す検出信号を電源回路33に出力する。図1図3の例では、リッドセンサ181は、磁気センサを備え、永久磁石183が生じる磁場の強度を検出する。リッドセンサ181は、例えば、磁場の強度を電圧に変換するホール素子を備える。リッドセンサ181は、検出される磁場の強度に対応する電圧が所定の検出閾値よりも高いか否かにより、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態か開いた状態かを示す検出信号を生成する。検出閾値として、第1筐体101と第2筐体105がなす開き角θが、例えば、30°~60°となるときに検出される電圧が設定される。
【0050】
次に、本実施形態に係る給電回路331の構成例について、ユーザ認証モジュール38への電力供給を主として説明する。図4は、本実施形態に係る給電回路331の構成例を示す。
給電回路331は、低ドロップアウトレギュレータ(LDO:Low-Dropout regulator)333を備える。LDO333は、検出信号が開いた状態を示すとき、システム電源であるバッテリ34またはACアダプタ37から供給される電力の電圧VSYSをユーザ認証モジュール38の動作電圧VCC3_FPRに変換し、変換された動作電圧VCC3_FPRを有する電力をユーザ認証モジュール38に供給する。図4の例では、ACアダプタ37の図示が省略されている。検出信号が閉じた状態を示すとき、LDO333は、ユーザ認証モジュール38に電力を供給しない。
【0051】
LDO333は、検出信号に基づいてユーザ認証モジュール38に電力を供給するか否かを制御する。検出信号は、図4の例では、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態を示す電圧値よりも、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態を示す電圧値-LID_CLOSEの方が高い正の電圧値を有する。検出信号は、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態か否かを示す二値の論理信号とみなすこともできる。電圧値-LID_CLOSEは、閉じた状態を示す電圧値LID_CLOSEの論理否定に相当する。閉じた状態を示す電圧値LID_CLOSEは、接地電位となる0Vまたは0Vに近似していてもよい。また、LDO333は、接地される。
【0052】
検出信号が入力される制御端には抵抗素子R1の一端が接続され、抵抗素子R1の一端には電圧源が接続される。図4の例では、電圧源として、VCC3M電源が適用されている。抵抗素子R1の一端には3Vの電圧が印加される。抵抗素子R1は、印加される電圧を分圧して制御端に印加することでプルアップ抵抗として機能する。そのため、制御端において0Vよりも有意に高い正の電位が保持される。制御端では、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態を示す検出信号の電圧値-LID_CLOSEが、閉じた状態を示す検出信号の電圧値よりも有意に高くなる。制御端における電位に対しノイズに対する影響が低減するので、供給電圧VSYSと検出信号の電圧との電位差に基づくユーザ認証モジュール38への電力供給の有無の制御が確実になされる。
【0053】
なお、CPU11は、デバイス管理機能(デバイスマネジャ)を有する。デバイス管理機能は、個々のデバイスの接続状態を検出する過程を含む。CPU11には、ユーザ認証モジュール38の動作状態の参照先として、LDO333の入力端を設定しておき、その入力端における電圧を監視する。上記の構成により、ユーザ認証モジュール38への電力供給の有無に関わらず参照先となる電圧が有意に0Vよりも高くなる。そのため、ユーザ認証モジュール38への電力供給が停止しても、ユーザ認証モジュール38は見失われずに済む。
【0054】
次に、本実施形態に係る給電回路331の構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る給電回路331の構成例を示す回路図である。
給電回路331は、LDO333、抵抗素子R1、R2、整流素子D1、および、容量素子C1、C2を備える。
LDO333は、入力端IN、制御端EN、出力端OUT、および、接地端GNDを備える。LDO333は、制御端ENに入力される検出信号の電圧が有意に正値であるとき、入力端INに供給される電力の供給電圧VSYSを動作電圧VCC3_FPRに変換し、動作電圧VCC3_FPRを有する電力を出力端OUTからユーザ認証モジュール38に供給する。LDO333は、制御端ENに入力される検出信号の電圧が0Vまたは0Vに近似するとき、出力端OUTから電力を供給しない。
【0055】
入力端INは容量素子C1の一端が接続され、容量素子C1の他端が接地される。そのため、入力端INにおける電位が0Vよりも有意に高い正値となるように保持される。
制御端ENは抵抗素子R2の他端と整流素子D1の負極端子に接続される。整流素子D1の正極端子は抵抗素子R1の他端が接続され、抵抗素子R1の一端には電圧源から電源電圧VCC3Mが印加される。電源電圧VCC3Mは、さらに整流素子D1を経て制御端ENに印加されるため、検出信号の電圧値の変化により生じうる制御端ENから電圧源への電流の逆流が阻止される。そのため、制御端ENにおける電位が安定する。
【0056】
抵抗素子R1の一端には、リッドセンサ181から検出信号が入力される。検出信号の電圧値は、抵抗素子R1における分圧により調整され、調整後の電圧値が制御端ENに印加される。
出力端OUTには、容量素子C1の一端が接続され、容量素子C2の他端は接地される。そのため、出力端における電位が0Vよりも有意に高い正値となるように保持される。
また、接地端GNDは、接地される。
【0057】
なお、図4図5の例では、電圧源としてVCC3M電源を用いる場合を掲げたが、VCC3M電源以外にシステム入力VCC_INを与えうる電源、例えは、VCC5M電源、VCC3US電源などが用いられてもよい。
電圧源は、必ずしも電源回路33の構成要素でなくてもよい。電圧源として、EC31またはCPU11が有する入出力端(I/Oポート(Input-output port))のうち、電位が0Vよりも有意に高い結節点に電気的に接続された入出力端が用いられてもよい。EC31は、ホストシステムの動作モードに関わらず動作する。CPU11は、省電力モードであっても、少なくとも動作モードの変更に係る処理を開始できる程度の電力が供給される。
【0058】
その他、電圧源として、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じている場合であっても動作する所定の動作デバイスの動作状態を示す動作状態信号(enable signal)が用いられてもよい。動作状態信号は、動作デバイスからの出力端から取得される。動作デバイスとして、例えば、オーディオシステム24、WLANカード25、USBコネクタ26に接続されるUSB機器などのいずれが適用されてもよい。
【0059】
次に、本実施形態に係る動作制御例について説明する。図6は、本実施形態に係る動作制御例を示すフローチャートである。
(ステップS102)給電回路331のLDO333は、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態であるか否かを示す検出信号を待ち受ける。第1筐体101が開いた状態を示す検出信号が入力されるとき(ステップS102 YES)、ステップS104の処理に進む。第1筐体101が開いた状態を示す検出信号が入力されないとき(ステップS102 NO)、ステップS102の処理を繰り返す。
(ステップS104)LDO333は、供給電圧をユーザ認証モジュール38に所定の動作電圧に変換し、ユーザ認証モジュール38への電力の給電を開始する。その後、ユーザ認証モジュール38の動作が開始する。
【0060】
(ステップS106)ユーザ認証モジュール38は、電源ボタン113に接触した指の指紋画像を待ち受け、指紋画像が取得されるとき、取得される指紋画像に対してユーザ認証処理を行う。ユーザ認証モジュール38は、取得された指紋画像が予め登録された登録ユーザの指紋画像であるか否かによりユーザ認証の成否を判定する。ユーザ認証に成功するとき(ステップS106 YES)、ステップS108の処理に進む。ユーザ認証に成功しないとき(ステップS106 NO)、ステップS102の処理に戻る。
(ステップS108)ユーザ認証モジュール38は、登録ユーザの認証情報をCPU11に出力する。CPU11は、ユーザ認証モジュール38から入力される認証情報を用いてログイン処理を行う。その後、図6の処理を終了する。
【0061】
情報処理装置1の筐体の形態はこれには限られず、ユーザ認証に係るユーザ認証部(上記の例では、ユーザ認証モジュール38と電源ボタン113に相当)が他の部位により遮られずに開放される形態から他の部位に遮られて開放されない形態に、ならびに、その逆に変動可能であればよい。情報処理装置1は、筐体がユーザ認証部を開放する形態を有するか否かを検出するための検出部を備えていればよい。
【0062】
例えば、図7図8に示される変形例では、第1筐体101は、第2筐体105から着脱可能に構成される。第2筐体105の対辺よりも一辺に近い位置にコネクタ123が設けられる。コネクタ123は、その長手方向を第2筐体105の一辺の方向に向けて設置される。コネクタ123の側面には、左右一対のガイド突起125a、125bを備える。第1筐体101の一辺に平行な側面には、左右一対のガイド凹部127a、127bが設けられる。ガイド凹部127a、127bには、ガイド突起125a、125b、または、ガイド突起125a、125bと同じ形状、かつ、同じピッチに構成された他の機器のガイド突起を着脱可能に嵌合する。また、電源ボタン113は、第1筐体101に設置されている。リッドセンサ181と永久磁石183の位置関係は、図1図2に例示されたものとは逆であるが、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態であるか否かが検出される。
【0063】
本変形例では、システムデバイスを含め、大部分のデバイスが第1筐体101に格納される。第1筐体101が第2筐体105に装着され、かつ、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態では、ユーザ認証部をなす電源ボタン113が第2筐体105に遮られ開放された状態にはならない。そのため、給電回路331は、ユーザ認証モジュール38に電力を給電しない。よって、ユーザ認証モジュール38は動作しない。
【0064】
第1筐体101が第2筐体105に装着され、かつ、第1筐体101が第2筐体105に対して開いた状態、または、第1筐体101が第2筐体105から離脱された状態では、ユーザ認証部をなす電源ボタン113が開放され外観に表れる。この状態では、ユーザ認証部をなすユーザ認証モジュール38は、ユーザの生体情報である指紋画像を取得し、取得した指紋画像を用いたユーザ認証を実行可能とする。この状態において、給電回路331は、ユーザ認証モジュール38に電力を給電する。
【0065】
そこで、ガイド突起125a、125bの一方とガイド凹部127a、127bの一方のそれぞれに第1電極と第2電極が設置されてもよい。給電回路331は、第1電極と第2電極との間の導通の有無を示す電気信号である導通信号の発生回路と、導通信号に対する論理否定を与える否定回路(NOT)と、その論理否定とリッドセンサ181からの検出信号との論理和を与える論理和回路(OR)を備えてもよい。その場合、論理和回路から出力される論理和信号が抵抗素子R2(図5)の一端に入力されればよい。
【0066】
また、図9に例示される変形例に係る情報処理装置1では、第1筐体101の第2筐体105に対する相対的な位置が、それぞれ主面の向きを維持しながら変動可能としてもよい。本変形例に係る情報処理装置1では、第2筐体105の側面には、第2筐体105の主面を覆いながら第1筐体101を奥行方向に移動可能に支持する支持具としてスライダ129a、129bが装着されている。第1筐体101の位置が第2筐体105を完全に重なる位置からの奥行方向の変位が一定距離以上となるとき第2筐体105の主面に配置された電源ボタン113が第1筐体101に遮られずに開放される。その変位が一定距離未満となるとき電源ボタン113は第1筐体101に遮られ開放されない。本変形例では、リッドセンサ181は第2筐体105の主面に設置され、永久磁石183は第1筐体101の裏面に設置される。第1筐体101と第2筐体105の位置関係が、電源ボタン113を開放する位置関係であるとき、リッドセンサ181と永久磁石183は相互に対面する位置に配置される。かかる構成により、電源ボタン113が開放される状態にあるか否かが検出可能となる。
【0067】
なお、本変形例において、第1筐体101は第2筐体105から着脱可能としてもよい。その場合には、図7図8に例示したように、さらに第1筐体101の着脱を検出可能とし、第1筐体101が装着され、かつ、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じている状態と、それ以外の状態とを識別可能としてもよい。それ以外の状態が、電源ボタン113が開放される状態に相当する。
【0068】
なお、上記の説明では、ユーザ認証モジュール38が、生体情報として指紋画像をユーザ認証処理に用いる場合を例にしたが、これには限られない。ユーザ認証モジュール38は、他の種類の生体情報、例えば、瞳孔画像、静脈パターン、など、ユーザの身体接触または接近により取得可能であって、ユーザ固有のパターンを有するものを用いることができる。
【0069】
筐体を構成する部材は、2個に限られず、1個または3個であってもよい。個々の部材は剛体に限られず、弾性体であってもよい。
筐体の形態を検出する検出部は、必ずしもリッドセンサ181、その他の磁気センサに限られない。筐体に設置されたユーザ認証部が開放されている形態を有するか否かを検出することができれば、他の検出原理に基づく検出手段(例えば、部材間の角度を検出する角度センサ、部材に生ずる応力を検出する応力センサ、など)が採用されてもよい。
省電力モードは、ACPIで規定されたS5モードに限らず、他のスリーピングモード、例えば、S3モードまたはS4モードであってもよい。
また、上記の説明では、情報処理装置1がノートPCとして構成される場合を例にしたが、これには限られない。情報処理装置1は、例えば、携帯電話機として構成されてもよい。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1は、形態が可変な筐体(例えば、第1筐体101、第2筐体105)と、システムデバイス(例えば、CPU11、メインメモリ12)と、生体情報を用いて予め登録されたユーザである登録ユーザが識別されるとき、システムデバイスの動作モードを省電力モードから、より消費電力が多い標準モードに変更させるユーザ認証部(例えば、ユーザ認証モジュール38、電源ボタン113)と、電源回路33と、を備え、ユーザ認証部が筐体に配置されている。電源回路33は、筐体の形態に基づいて、ユーザ認証部への電力の供給を制御する。
この構成により、筐体の形態に基づいてユーザ認証部の動作状態が制御され、筐体を変形することで生体情報に基づいて登録ユーザを識別可能とし、登録ユーザが識別されるときシステムデバイスの動作モードが省電力モードから標準モードに変更する。システムデバイスの動作モードが省電力モードであるときにユーザ認証部への電力の供給を停止することで、消費電力を低減できるとともに、ユーザ所望の時点で情報処理装置1の使用可能となる。
【0071】
情報処理装置1は、筐体がユーザ認証部を開放する形態を有するか否かを検出する検出部(例えば、リッドセンサ181)を備えてもよい。電源回路33は、筐体がユーザ認証部を開放する形態を有しないとき、ユーザ認証部への電力の供給を停止し、筐体がユーザ認証部を開放する形態を有するとき、ユーザ認証部に電力を供給してもよい。
この構成により、筐体の形態が、その筐体に備わるユーザ認証部を開放する形態を有しないとき、ユーザ認証部への電力の供給が停止され、筐体の形態が、ユーザ認証部を開放する形態を有するとき、ユーザ認証部に電力を供給する。筐体がユーザ認証部を開放する形態を有するとき、ユーザ認証部はユーザの生体情報を取得し、取得される生体情報に基づくユーザ認証処理を実行することができる。ユーザは、筐体がユーザ認証部を開放する形態とすることで、他の操作を行わずにユーザ認証部にユーザ認証処理を実行させ、正当な登録ユーザが識別されるときに、情報処理装置1の利用可能にすることができる。
【0072】
電源回路33は、検出部からの検出信号を入力する端子(例えば、制御端EN)を備えてもよい。検出信号は、筐体がユーザ認証部を開放する形態を有することを示す電圧値として、筐体はユーザ認証部を開放する形態を有しないことを示す電圧値よりも高い電圧値(例えば、-LID_CLOSE)を有し、端子には、電圧源(例えば、VCC3M電源)の電圧が印加されてもよい。
この構成により、検出信号が入力される端子の電位を高い状態に保つことができる。そのため、端子に対するノイズの影響を低減することができるので、より高い電圧値により筐体がユーザ認証部を開放する形態を有する状態を識別することができる。
【0073】
筐体は、第1筐体101と第2筐体105を備え、第1筐体101は第2筐体105に対して相対的に回動可能としてもよい。ユーザ認証部は、第1筐体の主面に設置され、検出部は、第1筐体101が第2筐体105から所定の範囲内に近接しているか否かを検出するセンサ(例えば、リッドセンサ181)を有してもよい。
この構成により、第1筐体101が第2筐体105に対して閉じた状態から開いた状態が検出されるとき、ユーザ認証部が開放されることでユーザ認証処理に用いられる生体情報が取得される。そのため、ユーザは第2筐体105に対する第1筐体101を開いた状態に操作し、ユーザ自身の生体情報を取得可能とすることで、情報処理装置1を利用可能にすることができる。
【0074】
システムデバイスは、第1筐体が第2筐体から所定の範囲内に近接しているとき、動作モードを省電力モードとしてもよい。
この構成により、第1筐体101が第2筐体に対して閉じた状態において、システムデバイスの動作モードが省電力モードとなる。そのため、ユーザが使用しないときに、消費電力が低減するため、利便性が損なわれずに済む。
【0075】
ユーザ認証部は、指紋を表す指紋画像を取得する指紋センサと、指紋画像が登録ユーザの指紋画像であるか否かを判定する指紋認識部と、を備えてもよい。
この構成により、ユーザの指紋画像に基づいて当該ユーザが登録ユーザであるか否かが識別される。そのため、ユーザは、情報処理装置1の筐体の形態を変形し、指紋センサに指先を接触させるだけで、情報処理装置1を利用可能とすることができる。
【0076】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0077】
1…情報処理装置、11…CPU、12…メインメモリ、13…GPU、21…PCH、22…BIOSメモリ、23…補助記憶装置、24…オーディオシステム、25…WLANカード、26…USBコネクタ、31…EC、32…入力部、33…電源回路、34…バッテリ、37…ACアダプタ、38…ユーザ認証モジュール、101…第1筐体、103…ディスプレイ、105…第2筐体、113…電源ボタン、123…コネクタ、125(125a、125b)…ガイド突起、127(127a、127b)…ガイド凹部、129(129a、129b)…スライダ、181…リッドセンサ、183…永久磁石、331…給電回路、333…LDO、C1、C2…容量素子、D1…整流素子、R1、R2…抵抗素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9