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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061215
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】搬送装置および印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/032 20060101AFI20240425BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240425BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20240425BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65H23/032
B41J15/04
B65H5/36
B65H9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169014
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】戸松 義也
【テーマコード(参考)】
2C060
3F101
3F102
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BC03
2C060BC14
2C060BC62
3F101FE06
3F101LA01
3F101LB03
3F102AA01
3F102EA06
3F104AA01
3F104CA03
3F104FA07
3F104FA09
3F104FA14
(57)【要約】
【課題】シート幅が大きくても安定してシートを案内できる手段を提供すること。
【解決手段】シートSを搬送向きに搬送する搬送部と、左右方向9の軸線周りに回転可能なシートホルダ21と、シートSを湾曲させつつテンションを付与するテンショナ22と、テンショナ22に取り付けられ第1ガイド面147を有する第1サイドガイド145と、テンショナに取り付けられサブガイド面を有するサブガイドと、テンショナに取り付けられ第1ガイド面147にシートSを案内する案内部160とを備える。案内部160は、第1ローラ142と、第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化する支持部162とを有しており、第2連動機構181が、第1ガイド面147とサブガイド面155との左右方向9に沿った離間距離が第1距離より長い第2距離であるときに支持部162を第2姿勢とする搬送装置。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、
上記搬送部よりも上記搬送向きの上流に位置しており、上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、
上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間に位置しており、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面と対向するサブガイド面を有するサブガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、シートと当接して上記第1ガイド面にシートを案内する案内部と、を備えており、
上記第1サイドガイドは、上記第1方向に沿って移動可能であり、
上記案内部は、
軸線周りに回転する第1ローラと、
上記第1ローラを支持しており、上記第1ローラの軸線と上記搬送向きに沿った仮想線との交差角度であって鋭角になる角度を第1角度とする第1姿勢と、上記交差角度を上記第1角度より小さい第2角度とする第2姿勢に姿勢変化する支持部と、を有しており、
上記第1サイドガイドの移動と上記支持部の姿勢変化とを連動する連動機構を更に備えており、
上記連動機構は、上記第1ガイド面と上記サブガイド面との上記第1方向に沿った離間距離が第1距離であるときに上記支持部を第1姿勢とし、上記離間距離が上記第1距離より長い第2距離であるときに上記支持部を第2姿勢とする搬送装置。
【請求項2】
上記連動機構は、上記第1サイドガイドに取り付けられた凸片を有しており、
上記支持部は、上記第2姿勢へ向けて付勢されており、
上記凸片は、上記離間距離が上記第1距離のとき、上記支持部に当接して上記支持部を上記第1姿勢とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記連動機構は、上記テンショナにおいて上記支持部を第2姿勢に付勢する付勢部材を有している請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記テンショナは、搬送されるシートが沿いつつ湾曲する湾曲面を有しており、
上記支持部は、上記第1姿勢において、上記第1ローラが上記湾曲面から突出する突出距離を第3距離とし、上記第2姿勢において、上記突出距離を上記第3距離より長い第4距離とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記支持部は、上記第1ローラから上記第1方向に沿って延び、上記テンショナにおいて回動可能に支持されるアームを有しており、
上記アームは、上記第1姿勢において上記第1方向に沿い、上記第2姿勢において上記第1方向と交差する請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
上記連動機構は、上記支持部に位置しており、上記第1方向に沿って上記第1ローラから離れるにつれて上記第1サイドガイドとの距離が大きくなる傾斜面を有しており、
上記支持部は、上記第2姿勢へ向けて付勢されており、
上記第1サイドガイドは、上記第1方向の移動において上記傾斜面と当接して上記支持部を上記第1姿勢へ向けて移動させる請求項4に記載の搬送装置。
【請求項7】
上記第1サイドガイドから上記第1方向に沿って延出する第1ラックギヤと、
上記サブガイドから上記第1方向に沿って延出する第2ラックギヤと、
上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤと噛合するピニオンギヤと、を更に備える請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項8】
搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、
上記搬送部よりも上記搬送向きの上流に位置しており、上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、
上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面と対向するサブガイド面を有するサブガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、シートと当接して上記第1ガイド面にシートを案内する案内部と、を備えており、
上記第1サイドガイドは、上記第1方向に沿って移動可能であり、
上記案内部は、
軸線周りに回転する第1ローラと、
上記第1ローラを支持する支持部と、を有しており、
上記第1サイドガイドの移動と上記支持部の姿勢変化とを連動する連動機構を更に備えており、
上記テンショナは、搬送されるシートが沿いつつ湾曲する湾曲面を有しており、
上記支持部は、上記第1ガイド面と上記サブガイド面との上記第1方向に沿った離間距離が第1距離であるときに、上記第1ローラが上記湾曲面から突出する突出距離を第3距離とし、上記離間距離が上記第1距離より長い第2距離であるときに、上記突出距離を上記第3距離より長い第4距離とする搬送装置。
【請求項9】
上記第1ローラは、軸線が上記搬送向きに沿った仮想線と交差する請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
請求項1または8に記載の上記搬送装置と、上記搬送部により送られたシートに画像を記録する記録ヘッドと、を有する印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンショナを有する搬送装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、特許文献1には、テンションガイドを備えるプリンタが開示されている。テンションガイドは、凸円弧状のガイド面を有する。ロール紙から上方に搬送された記録紙は、テンションガイドのガイド面を摺動しつつ紙送りローラによって印刷位置に向けて搬送される。テンションガイドには、着脱式ガイドが取付られている。着脱式ガイドの紙幅ガイド片により記録紙の幅方向の位置が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-40735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、着脱式ガイドに紙幅ガイド面を有するローラが設けられており、紙幅ガイド面において記録紙が案内される。しかしながら、紙幅ガイド面の幅に対して記録紙の幅が大きい場合に記録紙の腰が折れ易くなり、その結果、記録紙が紙幅ガイド片と接触したとき、記録紙が座屈し易くなる。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート幅が大きくても安定してシートを案内できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る搬送装置は、搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、上記搬送部よりも上記搬送向きの上流に位置しており、上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間に位置しており、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面と対向するサブガイド面を有するサブガイドと、上記テンショナに取り付けられており、シートと当接して上記第1ガイド面にシートを案内する案内部と、を備えており、上記第1サイドガイドは、上記第1方向に沿って移動可能であり、上記案内部は、軸線周りに回転する第1ローラと、上記第1ローラを支持しており、上記第1ローラの軸線と上記搬送向きに沿った仮想線との交差角度であって鋭角になる角度を第1角度とする第1姿勢と、上記交差角度を上記第1角度より小さい第2角度とする第2姿勢に姿勢変化する支持部と、を有しており、上記第1サイドガイドの移動と上記支持部の姿勢変化とを連動する連動機構を更に備えており、上記連動機構は、上記第1ガイド面と上記サブガイド面との上記第1方向に沿った離間距離が第1距離であるときに上記支持部を第1姿勢とし、上記離間距離が上記第1距離より長い第2距離であるときに上記支持部を第2姿勢とする。
【0007】
第1サイドガイドの移動に連動して支持部が姿勢変化するので、比較的幅が広いシートを第1サイドガイドおよびサブガイドがガイドする状態において交差角度が小さくなり、比較的幅が狭いシートを第1サイドガイドおよびサブガイドがガイドする状態において交差角度が大きくなる。
【0008】
(2) 上記連動機構は、上記第1サイドガイドに取り付けられた凸片を有しており、上記支持部は、上記第2姿勢へ向けて付勢されており、上記凸片は、上記離間距離が上記第1距離のとき、上記支持部に当接して上記支持部を上記第1姿勢とする。
【0009】
(3) 上記連動機構は、上記テンショナにおいて上記支持部を第2姿勢に付勢する付勢部材を有している。
【0010】
(4) 上記テンショナは、搬送されるシートが沿いつつ湾曲する湾曲面を有しており、上記支持部は、上記第1姿勢において、上記第1ローラが上記湾曲面から突出する突出距離を第3距離とし、上記第2姿勢において、上記突出距離を上記第3距離より長い第4距離とする。
【0011】
支持部の姿勢変化により突出距離が変化するので、比較的幅が広いシートに対して、第1ローラが確実に接触する。
【0012】
(5) 上記支持部は、上記第1ローラから第1方向に沿って延び、上記テンショナにおいて回動可能に支持されるアームを有しており、上記アームは、第1姿勢において上記第1方向に沿い、第2姿勢において上記第1方向と交差する。
【0013】
(6) 上記連動機構は、上記支持部に位置しており、上記第1方向に沿って上記第1ローラから離れるにつれて上記第1サイドガイドとの距離が大きくなる傾斜面を有しており、
上記支持部は、上記第2姿勢へ向けて付勢されており、上記第1サイドガイドは、上記第1方向の移動において上記傾斜面と当接して上記支持部を上記第1姿勢へ向けて移動させる。
【0014】
(7) 上記第1サイドガイドから上記第1方向に沿って延出する第1ラックギヤと、上記サブガイドから上記第1方向に沿って延出する第2ラックギヤと、上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤと噛合するピニオンギヤと、を更に備える。
【0015】
第1サイドガイドとサブガイドとが連動して移動する。
【0016】
(8) 搬送装置は、搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、上記搬送部よりも上記搬送向きの上流に位置しており、上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面と対向するサブガイド面を有するサブガイドと、上記テンショナに取り付けられており、シートと当接して上記第1ガイド面にシートを案内する案内部と、を備えており、上記第1サイドガイドは、上記第1方向に沿って移動可能であり、上記案内部は、軸線周りに回転する第1ローラと、上記第1ローラを支持する支持部と、を有しており、上記第1サイドガイドの移動と上記支持部の姿勢変化とを連動する連動機構を更に備えており、上記テンショナは、搬送されるシートが沿いつつ湾曲する湾曲面を有しており、上記支持部は、上記第1ガイド面と上記サブガイド面との上記第1方向に沿った離間距離が第1距離であるときに、上記第1ローラが上記湾曲面から突出する突出距離を第3距離とし、上記離間距離が上記第1距離より長い第2距離であるときに、上記突出距離を上記第3距離より長い第4距離とする。
【0017】
(9) 上記第1ローラは、軸線が上記搬送向きに沿った仮想線と交差する。
【0018】
(10) 搬送装置と、上記搬送部により送られたシートに画像を記録する記録ヘッドと、を有する印刷装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、シート幅が大きくても安定してシートを案内できる手段を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1(A)は、プリンタ10の外観を模式的に示す斜視図、図1(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ10を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1(a)の線II-IIに沿うプリンタ10の縦断面を示す模式図である。
図3図3は、第1サイドガイド145、サブガイド146および案内部160を示す斜視図である。
図4図4は、テンショナ22を前方から視た図である。
図5図5は、第1連動機構200をロック機構270とともに示す一部断面図である。
図6図6は、第1姿勢の案内部160を後方から視た図である。
図7図7は、第2姿勢の案内部160を後方から視た図である。
図8図8は、第1姿勢の案内部160を下方から視た一部断面図である。
図9図9は、第2姿勢の案内部160を下方から視た一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
実施形態では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。プリンタ10が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ10において排出口16が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ10を前方から見て左右方向9が定義される。
【0023】
[プリンタ10の筐体1]
図1図2に示されるように、プリンタ10(印刷装置の一例)は、外部情報機器に接続されており、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0024】
プリンタ10において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ10の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12および筐体カバー13からなる。
【0025】
筐体ケース12の前壁15においては、排出口16を有する。排出口16は、左右方向9に沿って細長い長方形の貫通孔である。筐体カバー13には、操作部31が設けられている。操作部31は、画像記録の指示や各種設定のために操作されるボタンや、各種情報が表示される液晶ディスプレイなどによって構成されている。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁17に、軸受およびシャフト(不図示)により取り付けられる。
【0026】
筐体カバー13は、シャフトの回転軸18(図1(B)参照)の周方向に閉位置(図1(A)に示される位置)および開位置(図1(B)に示される位置)の間で回動する。回転軸18は、左右方向9と平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口19を閉塞する。開位置の筐体カバー13は、開口19を開放する。なお、図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0027】
[プリンタ10の内部構成]
プリンタ10は、搬送装置2を搬送されるシートSに画像を記録する。具体的には、図2に示されるように、プリンタ10は、内部空間11に、シートホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対41(搬送部の一例)、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ26、ヒータカバー27、排出ローラ対51、カッタ28を備える。なお、プリンタ10は、さらに記録した画像を読取るCISユニット、およびその他の装置を有するものであってもよい。
【0028】
[シートホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁36により収容空間37が区画される。シートホルダ21は、内部空間11内の収容空間37内で左右両端付近に位置するフレーム29,30(図3参照)により支持される。シートホルダ21には、ロール体38が装着され、シートSが芯管に巻回される。ロール体38は、芯管を有さないロール状に巻回されたシートSでもよい。
【0029】
また、収容空間37には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。隔壁36の後端と、後壁17との間には、シートSが通過する隙間39が形成されている。シートSは、ロール体38から引き出されて隙間39を通ってテンショナ22に向かって延びる。
【0030】
[テンショナ22]
テンショナ22は、シートSを湾曲させつつテンションを付与する。図3に示されるように、テンショナ22は、筐体1に固定された左右一対のフレーム29,30に連結されている。テンショナ22は、支持部材60と、支持部材60の下方に位置する支持板61と、第1バネ62(図2参照)と、円弧部材63と、平坦部材64とを有している。
【0031】
支持部材60は、軸心が左右方向9に延びる支持軸96と、回動軸97と、一対の連結部材98A,98Bとを有している。支持部材60は、円弧部材63の上寄りにおける前方に位置する。支持部材60は、テンショナ22をフレーム29,30に対して支持する。支持軸96は、一対の連結部材98A,98Bを回動可能に支持する。連結部材98Bは、サブガイド146の右方に位置している。一対の連結部材98A,98Bには、回動軸97が挿通されている。回動軸97は、一対の連結部材98A,98Bに対して円弧部材63を回動可能に支持する。
【0032】
支持板61は、一対のフレーム29,30に連結された平板であり、主面が上下方向7および左右方向9に拡がる。第1バネ62は、前後方向8に延びるコイルバネであり、一端が支持板61に固定され、他端が平坦部材64に固定されている。
【0033】
円弧部材63は、回動軸97の軸心周りに回動可能に支持されている。円弧部材63は、湾曲するシートSの面に対して交差する方向、すなわち湾曲外向きおよび湾曲内向きへ移動可能である。円弧部材63は、湾曲外向きの第1湾曲面(湾曲面の一例)143を有している。第1湾曲面143は、左右方向9に沿って拡がる湾曲面であり、左右方向9から視て円弧形状である。平坦部材64は、円弧部材63の下端から下方へ延びる。平坦部材64は、後方を向く第1平坦面144を有している。第1平坦面144の上端は、第1湾曲面143の下端と連続している。第1平坦面144には、左右方向9における中央に位置する溝状の第1凹部171と、第1凹部171から左方に向けて延びる溝状の第2凹部182とを有している。第1凹部171は、左右方向9よりも上下方向7に長い長方形の溝である。第2凹部182は、上下方向7よりも左右方向9に長い長方形の溝である。第1凹部171と第2凹部182とは、左右方向9において繋がる溝である。
【0034】
テンショナ22には、第1サイドガイド145と、サブガイド146と、案内部160とが取り付けられている。第1サイドガイド145は、第1平坦面144から第1湾曲面143に渡って位置する。第1サイドガイド145は、第1湾曲面143および第1平坦面144上において左右方向9に沿って移動可能である。第1サイドガイド145は、第1平坦面144に対向する前方を向く対向面151上において凸片161を有している。凸片161については後述する。第1サイドガイド145は、第1ガイド面147と、第1延出片148と、第2延出片149とを有する。
【0035】
第1ガイド面147は、第1サイドガイド145において左方を向く面である。第1ガイド面147は、上下方向7および前後方向8に拡がり且つシートSの搬送向きに沿って拡がる。
【0036】
第1延出片148は、第1ガイド面147の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第1延出片148は、湾曲外向きの第2湾曲面150を有している。第2延出片149は、第1延出片148の下端から下方へ延びている。第2延出片149は、第1ガイド面147の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第1延出片148および第2延出片149は、一体の部材である。
【0037】
サブガイド146は、テンショナ22の左右方向9における中央に対して第1サイドガイド145と対称な形状である。サブガイド146は、第1平坦面144から第1湾曲面143に渡って位置する。サブガイド146は、第1湾曲面143上において左右方向9に沿って移動可能である。サブガイド146は、第1連動機構200によって第1サイドガイド145の移動に連動している。第1サイドガイド145とサブガイド146とは、第1ガイド面147とサブガイド面155とが左右方向9に沿った離間距離が最も近づく第1距離D1(図6参照)と、第1ガイド面147とサブガイド面155とが左右方向9に沿った離間距離が最も遠ざかる第2距離D2(図7参照)とに移動可能である。サブガイド146は、サブガイド面155と、第3延出片156と、第4延出片157とを有する
【0038】
サブガイド面155は、サブガイド146において右方を向く面である。サブガイド面155は、左右方向9において第1ガイド面147に対向している。サブガイド面155は、上下方向7および前後方向8に拡がり且つ搬送方向Pに沿って拡がる。サブガイド面155は、左右方向9において第1サイドガイド145に対向している。
【0039】
第3延出片156は、サブガイド面155の湾曲内向きの端付近から右方に延びている。第3延出片156は、湾曲外向きの第3湾曲面158を有している。第4延出片157は、第3延出片156の下端から下方に延びている。第4延出片157は、サブガイド面155の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第3延出片156および第4延出片157は、一体の部材である。
【0040】
図4図5に示されるように、第1連動機構200は、円弧部材63よりも前後方向8における前方に位置する。第1連動機構200は、ラックピニオン機構であり、ピニオンギヤ251、第1ラックギヤ252、および第2ラックギヤ253を有している。ピニオンギヤ251は、円弧部材63の左右方向9の中央において、前後方向8に沿った支軸257に回転可能に支持されている。
【0041】
第1ラックギヤ252は、左右方向9に沿って上向きの歯が並んでおり、左端において第1サイドガイド145にネジ264によって固定されている。第1ラックギヤ252は、ピニオンギヤ251と噛合している。
【0042】
第2ラックギヤ253は、左右方向9に沿って下向きの歯が並んでおり、右端においてサブガイド146にネジ265によって固定されている。第2ラックギヤ253は、ピニオンギヤ251と噛合している。第2ラックギヤ253が左右方向9に移動すると、ピニオンギヤ251が支軸257周りに回転する。
【0043】
第1連動機構200によって第1サイドガイド145およびサブガイド146のうちの一方が左右方向9のうちいずれか一方へ移動されると、他方も連動して左右方向9のうちの逆方向へ移動する。第1サイドガイド145およびサブガイド146は、互いに近づく向き(内向き)への移動と、互いに遠ざかる向き(外向き)への移動が連動している。
【0044】
[ロック機構270]
ロック機構270は、ロック部材271と、レバー272とを有している。ロック部材271は、平坦部材64の中央部分においてネジ273によって連結されており、コイルバネ279によって付勢されている。ロック部材271は、レバー272の回動操作によってネジ273周りに回動可能である。プリンタ10のユーザは、レバー272を回動操作することでロック部材271を当接位置と離間位置とに回動可能である。ロック部材271が当接位置にあるとき当接片276が第1ラックギヤ252から前方に延びる下端延出片255をテンショナ22との間に挟み込んで第1連動機構200の動きをロックさせる。ロック部材271が離間位置にあるとき当接片276が下端延出片255から離間して第1連動機構200のロックが解除される。
【0045】
案内部160は、テンショナ22上において搬送されるシートSを第1ガイド面147に案内する。図6に示されるように、案内部160は、後述する第1凹部171および第2凹部182内に位置する。案内部160は、凸片161の動きに連動して移動し、凸片161とともに第2連動機構181を構成する。案内部160は、第1ローラ142と、支持部162とを有している。
【0046】
第1ローラ142は、搬送路33を搬送されるシートSに当接して従動する。第1ローラ142は、平坦部材64の左右方向9における中央に位置する。第1ローラ142は、左右方向9に対して上下方向7へ傾斜する第1軸線(軸線の一例)L1周りに回転する。第1ローラ142の第1軸線L1と直交する仮想平面PLが、搬送方向Pの下流へ向かうに従って第1ガイド面147に近づくように搬送方向Pに対して交差している。第1ローラ142は、支持部162によって第1平坦面144上に支持されている。
【0047】
支持部162は、支持枠165と、アーム166と、当接片167とを有している。支持枠165は、第1ローラ142の上下方向7および左右方向9の外方を囲む枠である。支持枠165は、第1凹部171内に位置している。支持枠165は、第1ローラ142を回動可能に支持する。支持枠165は、第1ローラ142の外周面163の一部を後方に突出させた状態で支持する。図4に示されるように、支持枠165は、第2バネ168の一端に連結されている。第2バネ168は、コイルバネであり、他端が第1平坦面144に連結されている。圧縮された状態の第2バネ168により、支持枠165は、テンショナ22に対して上方に向けて付勢されている。
【0048】
図6に示されるように、アーム166は、支持枠165から左方に延出している。アーム166は、基端部分が支持枠165に連結されており、先端部分がビス170によって第2凹部182に連結されている。アーム166は、第2凹部182の左右方向9における左方寄りに位置する連結位置185において、前後方向7周りに回動可能に支持されている。第2凹部182の上下方向7の寸法は、アーム166の上下方向7の寸法よりも大きく、左右方向9の寸法は、アーム166の左右方向9の寸法よりも大きい。第2凹部182は、アーム166の上方に位置する上面172と、アーム166の下方に位置する下面173と、アーム166の前方に位置する底面183とを有している。アーム166は、第2凹部182内において、連結位置185回りに時計回りに回動可能であり、また、反時計回りに回動可能である。アーム166は、下方に突出する突出片174を有する。アーム166が連結位置185回りに反時計回りに回動すると、突出片174が下面173に当接してアーム166の回動が規制される。図7に示されるように、アーム166が連結位置185回りに時計回りに回動すると、アーム166が上面172に当接して、アーム166の回動が規制される。
【0049】
アーム166は、図8に示されるように、左方へ延びる先端部分の厚みが先細り形状である。アーム166は、先端部分において前方に向く面にテーパ面176を有している。アーム166は、右側である基端部分が、第3バネ177に連結されている。第3バネ177は、アーム166と第2凹部182の底面183との間に位置する。第3バネ177はコイルバネである。圧縮状態の第3バネ177により、アーム166の基端部分が後方に向けて付勢されている。その結果、アーム166のテーパ面176は、第2凹部182の底面183に圧接される。テーパ面176が底面183に圧接した状態において、図9に示されるように、第1ローラ142が第1湾曲面143から突出する。
【0050】
図6図8に示されるように、当接片167は、第1サイドガイド145および凸片161と当接する。当接片167は、アーム166において後方を向く後方面178上に位置している。当接片167は、後方面178から後方に突出しつつ左右方向9に延びている。当接片167は、上方を向く第1接面179と、後方を向く第2接面180とを有している。第1接面179は、第1サイドガイド145が移動範囲の右端に位置するときに凸片161と当接する。第2接面180は、支持枠165から左方へ遠ざかるにつれて対向面151から離間する向きに傾斜している。換言すれば、第2接面180は、支持枠165から左方へ遠ざかるにつれて後方面178に近づく向きに傾斜している。第2接面180は、第1サイドガイド145が移動範囲の右端に位置するときに対向面151に当接する。またこのとき、支持枠165の後端も対向面151に当接する。
【0051】
第1サイドガイド145が移動範囲の右端に位置するとき、第1ガイド面147とサブガイド面155との左右方向9に沿った距離が第1距離D1である(図6参照)。アーム166は、突出片174が下面173に当接し、且つ、対向面151が第2接面180に当接している。このとき、アーム166は、連結位置185回りの回動において第2バネ168に抗しており、また、前後方向8において第3バネ177に抗した第1姿勢となる。
【0052】
第1サイドガイド145が移動範囲の左端に位置するとき、第1ガイド面147とサブガイド面155との左右方向9に沿った距離が第2距離D2である(図7参照)。アーム166は、第2バネ168に付勢されて上面172に当接し、且つ第3バネ177に付勢されてテーパ面176が底面183に当接した第2姿勢となる。つまり、支持部162は、第1サイドガイド145の移動に連動して、第1接面179および第2接面180を介して第1ローラ142を第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化可能な第2連動機構(連動機構の一例)181を有する。
【0053】
図8図9に示されるように、第1ローラ142の第1平坦面144から突出する距離は、連結位置185を回動中心として時計回りおよび反時計回りに回動する。アーム166が第1姿勢にあるとき、第1ローラ142が第1湾曲面143から突出する距離が、第3距離D3である。アーム166が第1姿勢から時計回りに回動して第2姿勢にあるとき、第1ローラ142が第1湾曲面143から突出する距離は、第4距離D4である。第4距離D4は、第3距離D3よりも長い。つまり、アーム166が第1姿勢にあるときよりも第2姿勢にあるときの方が、第1ローラ142が第1湾曲面143から後方へ大きく突出する。
【0054】
アーム166が第1姿勢であるとき、第1ローラ142の第1軸線L1と搬送方向Pに沿った仮想線L2とが鋭角で交差する角度が第1角度Nである(図6参照)。アーム166が第2姿勢であるとき、第1ローラ142の第1軸線L1と搬送方向Pに沿った仮想線L2とが鋭角で交差する角度が第2角度Rである(図7参照)。第2角度Rは、第1角度Nよりも小さい。つまり、アーム166が第2姿勢にあるときよりも第1姿勢にあるときの方が第1軸線L1が仮想線L2に対して大きく傾く。
【0055】
[搬送ローラ対41]
搬送ローラ対41は、ロール体38から引き出したシートSを排出口16へと搬送する。搬送ローラ対41は、駆動ローラ42と、ピンチローラ43とを有する。駆動ローラ42およびピンチローラ43は、テンショナ22より搬送方向Pの下流であって記録ヘッド24より上流においてフレーム29,30に支持され、各々の軸線が左右方向9に沿って延びる。駆動ローラ42は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。ピンチローラ43は、駆動ローラ42の上端に上方から当接する。駆動ローラ42は、ピンチローラ43との間にシートSをニップしつつ前方または後方にシートSを搬送可能である。
【0056】
[排出ローラ対51]
排出ローラ対51は、ヒータ26から搬送されるシートSを排出口16へ排出する。排出ローラ対51は、カッタ28より搬送方向Pの上流であってヒータ26より搬送方向Pの下流に位置する。排出ローラ対51は、排出ローラ52と、ピンチローラ53とを有する。排出ローラ52およびピンチローラ53の各軸線は、左右方向9に沿って延びる。排出ローラ52は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。ピンチローラ53は、排出ローラ52の上端に上方から当接する。排出ローラ52は、ピンチローラ53との間にシートSをニップしつつ前方または後方にシートSを搬送可能である。
【0057】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、搬送ローラ対41より搬送方向Pの下流であってヒータ26より上流に位置する。記録ヘッド24は、支持機構25の上方に位置する。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル57が開口する面であるノズル面58と、圧電素子(不図示)とを有している。記録ヘッド24は、ノズル57から支持機構25によって支持されたシートSへ向かってインク滴を吐出する。記録ヘッド24は、インクタンク(不図示)からチューブ(不図示)を介してインクの供給を受ける。インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含有する。
【0058】
[支持機構25]
図2に示されるように、支持機構25は、搬送ローラ対41より搬送方向Pの下流であってヒータ26より上流に位置する。支持機構25は、記録ヘッド24の直下において、フレーム29,30により支持される。支持機構25は、プラテン74と、支持ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト70とを有する。
【0059】
支持ローラ71、従動ローラ72が、プラテン74に回転可能に支持されている。支持ローラ71は、モータ(不図示)で生成された動力よって左右方向9周りに回転する。従動ローラ72は、プラテン74に回転可能に支持されており、左右方向9周りに回転可能である。
【0060】
[ヒータ26]
ヒータ26は、支持機構25より前方でフレーム29,30に支持され、左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート46と、フィルムヒータ47とを有している。伝熱プレート46は、金属製であり、搬送ベルト70の搬送面75と概ね同じ上下位置に、前後方向8および左右方向9に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート46の支持面上で前方へと搬送される。伝熱プレート46の熱は、シートSに吐出されたインク、或いはシートSに吐出されてシートSに含浸したインクを加熱して水分を蒸発させる。ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置する。ヒータカバー27は、筐体カバー13の左壁14および右壁20(図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート46の支持面全域を覆っている。
【0061】
[カッタ28]
カッタ28は、排出ローラ対51の前方に位置する。カッタ28は、搬送方向Pの上流側で支持された状態のシートSの前方において左右方向9に移動してシートSを切断する。切断されたシートSは、排出口16から筐体1の外部へと排出される。
【0062】
[プリンタ10の動作における案内部160の作用]
プリンタ10において印刷を行うに際しては、ユーザによってロール体38から引き出されたシートSがテンショナ22の第1湾曲面143に沿わされつつ搬送ローラ対41にセットされる。このとき、ユーザは、第1サイドガイド145の左右方向9における位置を調整する。第1サイドガイド145の位置が調整されることによってサブガイド146の位置が第1連動機構200によって調整され、離間距離がシートSの左右方向9における幅に合わせられる。
【0063】
ユーザによって第1サイドガイド145が位置調整されたとき、凸片161の動きに連動してアーム166が回動し、第1ローラ142の姿勢が第1姿勢と第2姿勢の範囲で姿勢変化する。より具体的には、図6図8に示されるように、第1サイドガイド145が移動範囲の右端にあるとき、第1接面179が凸片161に隣接した状態で左右方向9に沿う。また、第2接面180が対向面151に当接してアーム166の基端部分が底面183に圧接される。
【0064】
第1サイドガイド145が左方に移動されると、凸片161が左方へ移動するにしたがって第2バネ168の復元力によりアーム166が連結位置185を基準に時計回りに回動する。また、このとき、対向面151が第2接面180に沿って左方へ移動するにしたがって第3バネ177の復元力によりアーム166の基端部分が底面183から遠ざかる。さらに、第1サイドガイド145が左方に移動されると、凸片161が当接片167から離間してアーム166が上面172に当接してアーム166の上下方向7沿う動きが止まり、対向面151が第2接面180から離間してテーパ面176が底面183に圧接してアーム166の前後方向8の動きが止まる。つまり、第1ローラ142の第1姿勢と第2姿勢との姿勢変化による上下方向7に沿う方向への移動および前後方向8に沿う方向への移動は一部の区間において連続的である。
【0065】
図7図9に示されるように、第1サイドガイド145が移動範囲の左端に位置すると、第1接面179が凸片161から離間した状態であり、第2接面180が対向面151から離間した状態であるため、アーム166が第2姿勢となる。
【0066】
図6に示されるように、第1サイドガイド145が移動範囲の右端にあるときは、第1ローラ142は、幅が比較的狭く腰が強いシートSを第1角度Nの状態で第1ガイド面147に向けて案内し、シートSを突出距離が第3距離D3の状態で支持できる。また、図7に示されるように、第1サイドガイド145が移動範囲の左端にあるときは、第1ローラ142は、幅が比較的広い腰が弱いシートSを第1角度Nよりも小さい第2角度Rの状態でより大きな負荷をかけて第1ガイド面147に向けて案内できる。そして、突出距離が第3距離D3よりも大きい第4距離D4の状態でシートSを第1ガイド面147に向けてより強く密着させて案内できる。第1サイドガイド145が移動範囲の右端から左端に移動する際には、第1ローラ142が徐々に第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化してシートSに大きな負荷をかけつつ強く密着させることが可能であり、第1サイドガイド145の左右方向9への微調整によって調整が可能である。
【0067】
[プリンタ10の作用効果]
実施形態では、第1サイドガイド145の移動に連動して支持部162が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化するので、比較的幅が広いシートSを第1サイドガイド145およびサブガイド146がガイドする状態において交差角度が第1角度Nから第2角度Rに小さくなる。また、比較的幅が狭いシートSを第1サイドガイド145およびサブガイド146がガイドする状態においては、第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化するので、交差角度が第2角度Rから第1角度Nに大きくなる。
【0068】
実施形態では、支持部162の姿勢変化により第1ローラ142のテンショナ22からの突出距離D3,D4が変化する。このため、比較的幅が広いシートSに対して、第1ローラ142をテンショナ22から突出させて第1ローラ142を確実にシートSに接触させることができる。これにより、シートSを確実に第1ガイド面147に近づけることができる。
【0069】
実施形態では、サブガイド146の第2ラックギヤ254が、ピニオンギヤ251を介して第1サイドガイド145の第1ラックギヤ252と噛合する。このため、第1サイドガイド145とサブガイド146とが第1連動機構200によって連動して移動する。
【0070】
[変形例]
実施形態では、第2バネ168および第3バネ177の復元力を利用して、支持部162が第1サイドガイド145の移動によって第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変化可能である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。支持部162のアーム166が、第2バネ168によって連結位置185回りにのみ回動可能に支持されてもよい。つまり、第1ローラ142は連結位置185回りに時計回りおよび反時計回りに回動して姿勢変化可能であり、前後方向8に移動しなくてもよい。また、支持部162のアーム166が、第3バネ177によって基端部分が後方に向けて付勢されてもよく、第1ローラ142は前後方向8にのみ姿勢変化可能であり、連結位置185回りに時計回りおよび反時計回りに回動しなくてもよい。また、支持部162の第1姿勢と第2姿勢の姿勢変化は、第2バネ168、第3バネ177以外を用いた構成であってもよく、例えば、ソレノイド、モータの駆動力によって姿勢変化してもよい。
【0071】
実施形態では、サブガイド146が第1連動機構200によって第1サイドガイド145と連動して左右方向9に移動する所謂センターレジによってシートSが案内される場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。サブガイド146は、第1サイドガイド145に連動することなく所定の位置に固定されており、第1サイドガイド145のみ左右方向9に移動可能である所謂サイドレジであってもよい。
【0072】
実施形態では、第1サイドガイド145がテンショナ22における左方に位置し、サブガイド146が右方に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成にかぎらない。第1サイドガイド145とサブガイド146は左右逆に位置してもよい。このとき、案内部160が位置する第2凹部182は、第1平坦面144の左右方向9における右方に位置しており、連結位置185も第2凹部182における右方寄りに位置する。
【0073】
実施形態では、第1サイドガイド145の移動範囲のうち、左右方向9における一部の範囲に位置するときだけ、凸片161と当接片167とが接触し、また、対向面151と第2接面180とが接触する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。凸片161は、第1サイドガイド145が移動範囲において移動する間、常に当接片167に接触してもよい。また、第2接面180は、第1サイドガイド145が移動範囲を移動する間、常に対向面151に当接してもよい。
【0074】
実施形態では、第1姿勢と第2姿勢との姿勢変化において、第1サイドガイド145およびサブガイド146の動きに連動してアーム166が連結位置185を中心に時計回りおよび反時計回りに回動可能であるとともに第1ローラ142の突出距離が第3距離D3と第4距離D4とに移動可能である場合を例にあげて説明した。しかしながら、第1路ローラの移動は、この構成に限らない。第1姿勢と第2姿勢との移動は、例えば、第1サイドガイド145およびサブガイド146の動きに連動して、アーム166が連結位置185において時計回りおよび反時計回りに回動するものであってもよい。
【0075】
また、第1姿勢と第2姿勢の移動は、第1サイドガイド145およびサブガイド146の動きに連動して、第1ローラ142の交差角度が第1角度Nと第2角度Rとにのみ変位するものであってもよい。また、第1姿勢と第2姿勢の移動は、第1サイドガイド145およびサブガイド146の動きに連動して、第1ローラ142の第1平坦面144からの突出距離が第3距離D3と第4距離D4とにのみ変位するものであってもよい。このとき、第1ローラ142の第3距離D3と第4距離D4との移動は、連結位置185を中心として時計回りおよび反時計回りに回動するアーム166に支持されて行われてもよいし、第1平坦面144に対して前後方向8に移動する他の支持機構により支持されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
2・・・搬送装置
10・・・プリンタ(印刷装置)
21・・・シートホルダ
22・・・テンショナ
24・・・記録ヘッド
33・・・搬送路
41・・・搬送ローラ対(搬送部)
142・・・第1ローラ
143・・・第1湾曲面(湾曲面)
145・・・第1サイドガイド
146・・・サブガイド
147・・・第1ガイド面
155・・・サブガイド面
160・・・案内部
161・・・凸片
162・・・支持部
168・・・第2バネ(付勢部材)
172・・・上面(傾斜面)
181・・・第2連動機構(連動機構)
251・・・ピニオンギヤ
252・・・第1ラックギヤ
253・・・第2ラックギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9