(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061221
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】物品識別システム、物品識別装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240425BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240425BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06Q30/06
G07G1/00 311D
G07G1/01 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169024
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】伴野 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】吉村 千里
【テーマコード(参考)】
3E142
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E142AA01
3E142BA01
3E142CA20
3E142DA08
3E142GA02
3E142GA03
3E142JA01
5L030BB56
5L030BB72
5L049BB56
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】複数の商品のうち識別できていない商品の存在を認識できる物品識別システム、物品識別装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】物品識別システムでは、複数の商品には、ARマーカよりも大きな標識部が夫々付される。物品識別システムの制御部は、撮影部により撮影された撮影画像から、複数の商品に付されたARマーカを検出する。制御部は、撮影部により撮影された撮影画像から、複数の商品に付された標識部を検出する。制御部は、検出されたARマーカの第1個数と、第2検出処理により検出された標識部の第2個数とを比較する(S45)。制御部は、比較結果を出力する(S47、S53)。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスターに連結可能な物品識別システムであって、
複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部と、
前記レジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部と、
前記撮影部と前記表示部と前記通信部とを制御する制御部と
を備え、
前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、
前記制御部は、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出処理と、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出処理と、
前記第1検出処理により検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出処理により検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較処理と、
前記第1比較処理による比較結果を出力する第1出力処理と
を実行することを特徴とする物品識別システム。
【請求項2】
前記ARマーカと前記商品に関する情報とを対応付けて記憶するデータベースを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記第1検出処理により前記ARマーカが検出された場合、前記記憶部に記憶された前記データベースを参照し、前記ARマーカに対応付けられた前記商品に関する情報を読み出して、前記表示部に表示させる第1表示処理と、
前記第2検出処理により前記標識部が検出された場合、前記標識部に対応する標識情報を前記表示部に表示させる第2表示処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項3】
前記第1表示処理は、
前記第2表示処理により前記表示部に前記標識情報が表示される場合、前記標識情報に重ねて前記ARマーカに対応付けられた前記商品に関する情報を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の物品識別システム。
【請求項4】
前記商品に関する情報の大きさは、前記標識情報の大きさと同じであり、
前記商品に関する情報の中心は、前記標識情報の中心と重なる
ことを特徴とする請求項3に記載の物品識別システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1検出処理により前記ARマーカが検出されず、且つ前記第2検出処理により前記標識部が検出された場合、前記標識部に関する標識情報を前記表示部に表示させる第3表示処理
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項6】
前記標識情報は警告を表示する警告情報であること
を特徴とする請求項5に記載の物品識別システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1検出処理により前記ARマーカが検出された場合、前記撮影画像に表示された前記ARマーカの表示態様を変更する変更処理
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項8】
前記第1出力処理は、
前記第1検出処理により検出した前記ARマーカの前記第1個数、及び前記第2検出処理により検出した前記標識部の前記第2個数を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項9】
前記第1出力処理は、
前記比較結果のうち前記第1個数と前記第2個数とが一致したか否かの情報を、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項10】
前記商品に貼り付けられるラベルを印刷する印刷部と、
前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と
を備え、
前記複数の商品には、前記標識部と前記ARマーカが印刷された前記ラベルが夫々貼りつけられ、
前記印刷制御部は、
前記ラベルの縁に沿った領域に前記標識部が予め印刷された前記ラベルに対して、前記ARマーカを印刷する第1印刷処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項11】
前記商品に貼り付けられるラベルを印刷する印刷部と、
前記印刷部の動作を制御する印刷制御部と
を備え、
前記複数の商品には、前記標識部と前記ARマーカが印刷された前記ラベルが夫々貼りつけられ、
前記印刷制御部は、
前記標識部と前記ARマーカとを前記ラベルに同時に印刷する第2印刷処理
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項12】
前記複数の商品には、前記標識部と前記ARマーカが印刷されたラベルが夫々貼りつけられ、
前記標識部は、前記ラベルに印刷された枠である
ことを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項13】
前記枠の内側に前記ARマーカが印刷される
ことを特徴とする請求項12に記載の物品識別システム。
【請求項14】
前記枠は、前記ラベルの縁に沿って印刷される
ことを特徴とする請求項12に記載の物品識別システム。
【請求項15】
前記ARマーカは、前記ラベル内で、且つ前記枠の外側に配置される
ことを特徴とする請求項12に記載の物品識別システム。
【請求項16】
前記枠は、矩形状である
ことを特徴とする請求項12に記載の物品識別システム。
【請求項17】
前記制御部は、
前記撮影部により撮影された前記複数の商品の総数を入力する操作を受け付ける受付処理と、
前記受付処理により受け付けられた前記操作により入力された前記総数と、前記第2検出処理により検出された前記標識部の前記第2個数とを比較する第2比較処理と、
前記第2比較処理による比較結果を出力する第2出力処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の物品識別システム。
【請求項18】
複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部、前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部、及びレジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部を制御する制御部を備えた物品識別装置であって、
前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、
前記制御部は、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出処理と、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出処理と、
前記第1検出処理により検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出処理により検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較処理と、
前記第1比較処理による比較結果を出力する第1出力処理と
を実行することを特徴とする物品識別装置。
【請求項19】
複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部、前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部、及びレジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部を制御するコンピュータに実行させる為のプログラムであって、
前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、
前記プログラムは、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出ステップと、
前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出ステップと、
前記第1検出ステップにより検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出ステップにより検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較ステップと、
前記第1比較ステップによる比較結果を出力する第1出力ステップと
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品識別システム、物品識別装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の商品の情報を一括で認識できる装置が知られている。特許文献1に記載の商品登録装置は、トレー上の複数の商品を撮影し、撮影画像中の商品のバーコードを一括で読み取ることで、複数の商品をまとめて認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、トレー上で商品と他の商品のバーコードの位置が重なった場合、商品登録装置は、商品のバーコードを読み取りできない。従って、商品登録装置は、トレー上の複数の商品を正しく識別できない。この場合、ユーザは、商品登録装置により識別できていない商品の存在を認識できない可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、複数の商品のうち識別できていない商品の存在を認識できる物品識別システム、物品識別装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る物品識別システムは、レジスターに連結可能な物品識別システムであって、複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部と、前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部と、前記レジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部と、前記撮影部と前記表示部と前記通信部とを制御する制御部とを備え、前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、前記制御部は、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出処理と、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出処理と、前記第1検出処理により検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出処理により検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較処理と、前記第1比較処理による比較結果を出力する第1出力処理とを実行することを特徴とする。
【0007】
第1態様によれば、物品識別システムは、比較結果を出力する。比較結果を確認することで、ユーザは、複数の商品のうち識別できていない商品の存在を認識できる。
【0008】
本発明の第2態様に係る物品識別装置は、複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部、前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部、及びレジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部を制御する制御部を備えた物品識別装置であって、前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、前記制御部は、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出処理と、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出処理と、前記第1検出処理により検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出処理により検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較処理と、前記第1比較処理による比較結果を出力する第1出力処理とを実行することを特徴とする。
【0009】
第2態様によれば、物品識別装置では、第1態様の物品識別システムと同様の効果を得る。
【0010】
本発明の第3態様に係るプログラムは、複数の商品、及び、前記複数の商品ごとに付されたARマーカを撮影する撮影部、前記撮影部により撮影された前記複数の商品の撮影画像と、前記ARマーカに紐づけられた前記商品に関する情報とを表示可能な表示部、及びレジスターと通信を行い、前記撮影部により撮影された前記商品に関する情報を前記レジスターに送信する通信部を制御するコンピュータに実行させる為のプログラムであって、前記複数の商品には、前記ARマーカよりも大きな標識部が夫々付され、前記プログラムは、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記ARマーカを検出する第1検出ステップと、前記撮影部により撮影された前記撮影画像から、前記複数の商品に付された前記標識部を検出する第2検出ステップと、前記第1検出ステップにより検出された前記ARマーカの第1個数と、前記第2検出ステップにより検出された前記標識部の第2個数とを比較する第1比較ステップと、前記第1比較ステップによる比較結果を出力する第1出力ステップとを前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
第3態様によれば、プログラムは、第1態様に係る物品識別システムと同様の効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】物品識別システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】ARマーカ28を強調して表示する場合の表示部43を示す図である。
【
図6】標識情報113に商品名が表示される場合の表示部43を示す図である。
【
図7】ARマーカ28を検出できなかった商品がある場合の表示部43を示す図である。
【
図10】物品識別処理のフローチャートであって、
図9の続きである。
【
図11】物品識別処理のフローチャートであって、
図10の続きである。
【
図13】ARマーカ28を読み取れなかった商品がある場合の表示部43を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照し、本発明の一実施形態に係る物品識別システム1を説明する。物品識別システム1は、識別用のARマーカ28(
図3参照)が夫々に設けられた複数の物品を撮影し、撮影画像内のARマーカ28の情報に基づき物品の価格を会計し、公知のレジスター7(
図1参照)に出力するシステムである。物品識別システム1は、例えば物品を商品として販売する店舗において、会計時に複数の商品を一括して識別し、会計するシステムとして用いられる。
【0014】
図1に示すように、物品識別システム1は、撮影台2、撮影装置3、識別端末4、及び印刷装置6を有する。撮影台2は、撮影対象の複数の商品を配置する為の台である。撮影台2には、撮影装置3による撮影範囲Sが設定されている。複数の商品を載せたトレー25が撮影台2に配置されると、複数の商品は撮影範囲S内に配置される。夫々の商品は、後述のARマーカ28が付されたラベル11が貼り付けられた袋に包装されている。
【0015】
撮影装置3は、撮影範囲Sを撮影台2の上方から撮影する装置である。撮影装置3は、撮影台2の側方に固定されて上方に延びる柱部3Aと、柱部3Aの上端において撮影台2の中央上方に向けて延びる腕部3Bと、腕部3Bの先端部に設けられる撮影部31とを有する。撮影部31は、下方に位置する撮影台2の撮影範囲Sを撮影するように、撮影方向及び画角が調整されている。撮影部31は、撮影範囲Sの静止画又は動画を撮影する。以下説明では、静止画と動画とを特に区別しない場合、撮影画像という。
【0016】
識別端末4は、例えば周知のタブレット端末であり、物品識別システム1を統括制御する。識別端末4は、例えば公知のUSB(Universal Serial Bus)ケーブルにより、撮影装置3及びレジスター7と接続する。識別端末4に対する、撮影装置3、レジスター7の接続方式は適宜変更してもよい。例えば、識別端末4とレジスター7とは、公知のCOMポートにより接続されてもよい。識別端末4に対する、撮影装置3、レジスター7の接続方式は、同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。識別端末4は、図示しない販売時点情報管理(POS)システムの端末として使用してもよい。
【0017】
印刷装置6は、例えば公知の感熱ラベル用の印刷装置である。印刷装置6は、USBケーブルを用いて識別端末4と接続する。識別端末4から受信する印刷データに基づいて、印刷装置6は、後述のラベル11を印刷する。
【0018】
図2を参照して物品識別システム1の電気的構成について説明する。撮影装置3は、撮影部31、制御部32、及びUSBインターフェース(以下、USBI/F)33を有する。撮影部31は、公知のCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサである。制御部32は、撮影部31が撮影した撮影画像の画像データを生成する。USBI/F33は、USB規格によるデータ通信を行う。
【0019】
識別端末4は、制御部41、記憶部42、表示部43、及びUSBI/F46を有する。制御部41は、CPU、ROM、RAMを有する。CPUは、識別端末4の制御を司る。ROMには、ブートプログラム、初期設定情報等が記憶される。RAMには、CPUが演算したデータが一時的に記憶される。記憶部42は、例えばフラッシュメモリであり、後述の物品識別プログラム、後述のデータベース9等が記憶される。
【0020】
表示部43は、タッチパネル式の液晶ディスプレイである。表示部43は、後述の各種情報を表示する。USBI/F46は、撮影装置3、印刷装置6、及びレジスター7との間でUSB規格によるデータ通信を行う。
【0021】
USBI/F46は、撮影装置3及びレジスター7との間でUSB規格によるデータ通信を行う。例えば、USBI/F46は、レジスター7と通信を行い、後述の会計情報をレジスター7に送信する。会計情報に基づき、レジスター7はレシート8(
図1参照)を発行する。
【0022】
印刷装置6は、制御部61、印刷部62、記憶部63、及びUSBI/F65を有する。制御部61は、印刷装置6の制御を司る。制御部61は、印刷部62の動作を制御する。印刷部62は、商品に貼り付けられるラベル11(
図4参照)を印刷する。記憶部63は、例えばフラッシュメモリであり、後述の印刷プログラム等が記憶される。USBI/F65は、USB規格によるデータ通信を行う。
【0023】
図3を参照し、記憶部42に記憶されるデータベース9について説明する。データベース9には、識別テーブル90が含まれる。識別テーブル90では、ARマーカ28と商品に関する情報とが紐づけられる。例えば識別テーブル90には、ARマーカ28の夫々に対して、商品名、ID(識別子)、消費期限、標識情報113等が個別に紐づけられる。標識情報113は、後述の標識部13に関する情報である。標識情報113は、形状、及び大きさの情報を含む。一例として、標識情報113は、縦8mm、横30mmの矩形状の枠である。なお、標識情報113の大きさは、商品ごとに同じであるが、異なっていてもよい。
【0024】
図4を参照して、各商品に付されるラベル11について説明する。ラベル11は、例えば感熱紙である。ラベル11の形状は矩形状である。ラベル11には、商品名、及び商品毎に異なるARマーカ28、消費期限、標識部13、ロゴ等が印刷される。なお、ラベル11には、商品名、ARマーカ28、消費期限、及びロゴ以外にも、商品の販売額、商品の型番、アレルギー情報等、その他の情報が印刷されてもよい。複数の商品には、少なくとも標識部13とARマーカ28が印刷されたラベル11が夫々貼りつけられればよい。
【0025】
ここで、標識部13は、ラベル11に印刷された矩形状の枠である。以下、標識部13を単に枠ともいう場合もある。複数の商品には、ARマーカ28よりも大きな標識部13が夫々付される。なお、「ARマーカ28よりも大きな標識部13」とは、例えば、標識部13とARマーカ28を重ねた場合、標識部13によりARマーカ28が全て覆われることをいう。
【0026】
図4(A)に示すラベル11Aでは、標識部13は、ラベル11Aの縁に沿った領域に印刷される。ここで、「縁に沿った領域」とは、ラベル11Aの上下左右の四辺に近接する領域であり、且つ一点鎖線で示す境界Aの外側の領域である。この領域に印刷されることで、標識部13は、ラベル11Aの縁に沿って印刷される。ARマーカ28は、境界Aの内側の領域に印刷される。商品名、ロゴ、及び消費期限等も境界Aの内側の領域に印刷される。つまり、標識部13である枠の内側にARマーカ28等が印刷される。ARマーカ28は、ラベル11Aの左上部に印刷される。ロゴは、ラベル11Aの右上部に印刷される。消費期限は、ラベル11Aの左下部に印刷される。商品名「フランスパン」は、中央部に印刷される。
【0027】
ここで、標識部13とロゴは、後から内容が変更されない画像である。例えば、ラベル11Aの作成では、標識部13とロゴとが予め印刷されたラベル11Aに対して、ARマーカ28等が印刷される。標識部13とロゴとは、生産性向上の為、例えば、感熱式よりも印刷処理能力に優れたフレキソ印刷、及びグラビア印刷等が可能な印刷装置で印刷される。またARマーカ28等は、ラベル用の印刷装置6により印刷される。
【0028】
ユーザは、標識部13とロゴとが予め印刷されたラベル11Aを、自ら印刷して用意してもよいし、業者から仕入れて用意してもよい。業者からラベル11Aを仕入れた場合には、ARマーカ28、商品名、消費期限等の印刷のみでよいので、ユーザは、印刷に必要な時間を短縮できる。
【0029】
なお、印刷装置6は、感熱式であるため、一般的にラベル11Aよりも小さい印字領域が設定されることがある。例えば、印刷装置6の印字領域がラベル11の境界Aの内側に設定されている場合、印刷装置6は、ラベル11のうち、境界Aの外側に印刷できない。この印刷できない領域に標識部13の印刷を予め行うことで、ユーザは、ラベル11の領域を有効活用でき、且つ標識部13を大きく印刷できる。
【0030】
図4(B)に示すラベル11Bでは、例えば、印刷装置6により、ARマーカ28、標識部13、商品名、消費期限、及びロゴ等が境界Aの内側に同時に印刷される。ラベル11Aでは、標識部13がラベル11Bの縁に沿って印刷されているのに対して、ラベル11Bは、標識部13がARマーカ28に近接して印刷される。つまり、ARマーカ28は、ラベル11B内で、且つ標識部13の外側に配置される。ARマーカ28と標識部13は上下に並ぶ。
【0031】
ARマーカ28は、ラベル11Bの上部且つ左右方向の中央部に印刷される。消費期限は、ラベル11Bの左上部に印刷される。ロゴは、ラベル11Bの右上部に印刷される。標識部13は、ラベル11Bの下部に印刷される。商品名「フランスパン」は、標識部13の内部に印刷される。
【0032】
図5、
図6を参照して、表示部43について説明する。物品識別システム1の起動時、例えば、待機画面(
図5(A)参照)が表示部43に表示される。表示部43には、表示領域46が表示される。表示領域46の左上部には、総数表示領域44が設けられる。総数表示領域44には、「1」~「10」までの数字が表示される。表示領域46の中央部には、撮影画像領域52が設けられる。撮影画像領域52には、撮影画像が表示される。表示領域46の左下部には、OKボタン84A、NGボタン85Aが表示される。表示領域46の右部には、情報表示領域45が表示される。情報表示領域45には、例えば後述の会計情報が表示される。
【0033】
例えば、商品を載せたトレー25が撮影台2に載置され、待機画面(
図5(A)参照)が表示された状態で、ユーザは、トレー25上の「クロワッサン」、「メロンパン」、「フランスパン」、「ピザ」を目視して、表示部43の総数表示領域44に配置された「4」の周辺を選択する。これにより、表示部43の「4」が〇で囲われる(
図5(A)参照)。つまり、表示部43は、ユーザの目視による商品の総数を総数表示領域44に表示できる。
【0034】
その後、撮影装置3は、撮影部31による撮影を開始し、撮影した撮影画像を撮影画像領域52に出力する(
図5(B)参照)。
図5(B)に示す画像では、撮影画像領域52が表示部43の中央に配置され、且つ比較領域47が撮影画像領域52の上側に表示される。この場合、トレー25上の商品が撮影画像領域52に表示される。比較領域47には、標識部13の個数として「1」~「10」が表示され、且つARマーカ28の個数として「1」~「10」が表示される。以下、ARマーカ28が検出された個数を「第1個数」といい、標識部13が検出された個数を「第2個数」という。
【0035】
識別端末4は、撮影画像の画像解析を行い、商品に付帯されたARマーカ28を抽出する。識別端末4は、検出されたARマーカ28に基づき、データベース9を参照して商品のIDを特定する。これにより、識別端末4は、特定したIDに基づき、対応する商品名を特定可能となる。
【0036】
識別端末4は、商品のラベル11に重畳して、抽出されたARマーカ28を強調表示する(
図5(C)参照)。この場合、ARマーカ28は、
図5(B)に示す撮影画像のラベル11より大きく表示される。また、強調表示されたARマーカ28によりラベル11が覆われる。強調されたARマーカ28の色は、例えば黒色であるが、他の色でもよい。この場合、例えば比較領域47では、マーカ数「4」が黒の背景に白抜きで表示される(
図5(C)参照)。
【0037】
次いで、識別端末4は、商品のラベル11に印刷された標識部13を抽出する。この場合、標識部13の形状が枠であり、且つARマーカ28の形状も枠なので、識別端末4は、標識部13の抽出をより確実に行える。識別端末4は、データベース9を参照して標識部13に関連する標識情報113を、商品に重畳して表示部43に表示させる(
図6(A)参照)。つまり、制御部41は、標識部13が検出された場合、標識部13に対応する標識情報113を表示部43に表示させる。例えば
図6(B)に示すように、識別端末4は、強調表示されたARマーカ28に重ねて標識情報113が表示される。
【0038】
この場合、例えば比較領域47では、枠数「4」が黒の背景に白抜きで表示される(
図6(A)参照)。この場合、ARマーカ28の第1個数と、標識部13の第2個数が一致するので、比較結果表示領域51には、「一致」の文字が黒の背景に白抜きで表示される(
図6(A)参照)。
【0039】
識別端末4は、標識部13に関連する標識情報113に重畳して、特定された商品名を表示部43に表示する(
図6(B)参照)。つまり、表示部43に標識情報113が表示される場合、標識情報113に重ねてARマーカ28に対応付けられた商品名が表示される。この場合、標識情報113の内側に商品名が表示される。
【0040】
会計処理について説明する。例えば、
図6(B)に示す状態でOKボタン84Aが選択された場合、総数表示領域44、撮影画像領域52、情報表示領域45、OKボタン84A、及びNGボタン85Aが表示部43に表示される。情報表示領域45には、会計情報が表示される。会計情報は、例えば「商品名」「単価」「個数」「合計金額」である。
図6(C)に示すOKボタン84Aが選択されると、識別端末4は、会計情報をレジスター7に送信する。その後ユーザは、会計を実行する。
【0041】
図7を参照して、商品のARマーカ28を検出できなかった場合について説明する。以下の説明では、「ピザ」のARマーカ28を検出できなかった場合を例に説明する。例えば「ピザ」のARマーカ28に対して「フランスパン」の一部(例えば包装、ラベル11)が重なった場合、物品識別システム1は、「ピザ」のARマーカ28を読み込めない場合がある。
【0042】
識別端末4は、撮影画像の画像解析を行い、商品に付帯されたARマーカ28を抽出する。識別端末4は、特定したIDに基づき商品名を特定する。この場合、「クロワッサン」「メロンパン」「フランスパン」の商品名が特定される。
【0043】
「クロワッサン」「メロンパン」「フランスパン」のARマーカ28が商品のラベル11に重畳して強調表示される(
図7(A)参照)。一方、「ピザ」のARマーカ28は検出されていないので、「ピザ」のARマーカ28は強調表示されない。この場合、例えば比較領域47では、マーカ数「3」が黒の背景に白抜きで表示される(
図7(A)参照)。
【0044】
識別端末4は、商品に付帯された標識部13を抽出する。抽出された標識部13の標識情報113は、撮影画像のうち商品のラベル11に重畳して表示される(
図7(B)参照)。この場合、「クロワッサン」「メロンパン」「フランスパン」のARマーカ28に重畳して標識情報113が表示される。一方、「ピザ」のラベル11に重畳して標識情報113が表示される。この場合、例えば比較領域47では、枠数「4」が黒の背景に白抜きで表示される(
図7(B)参照)。また、ARマーカ28の第1個数と標識部13の第2個数が異なるので、比較結果表示領域51には、「不一致」の文字が黒の背景に白抜きで表示される(
図7(B)参照)。
【0045】
ARマーカ28に紐づけられた商品名は、標識部13に関連する標識情報113に重畳して表示部43に表示される(
図7(C)参照)。この場合、「クロワッサン」「メロンパン」「フランスパン」の文字列が、標識情報113の内側に表示される。
【0046】
一方、「ピザ」に関してはARマーカ28を検出できていない。このため、標識情報113の内側に、例えば「NG!!!」の文字列が表示される。これにより、ユーザは、識別端末4がARマーカ28を検出できなかったことを認識できる。ユーザは、トレー25上の商品を再配置させる。これにより、「ピザ」のARマーカ28の読み込みが可能となる。この場合、例えば
図6(B)に示す画像が表示部43に表示される。
【0047】
図8を参照し、ラベル印刷処理について説明する。店舗のユーザによって印刷装置6の電源が投入された場合、制御部61は、記憶部42に記憶された印刷プログラムを読み出して実行する。印刷プログラムが実行されると、ラベル印刷処理が開始される。例えば、ユーザは、ラベル11A又はラベル11Bを作成するためのラベル11を印刷装置6にセットする。なお、ラベル11Aを作成する場合、ユーザは、予め標識部13とロゴが印刷されたラベル11を用意しているものとする。
【0048】
ラベル印刷処理が開始されると、制御部61は、印刷データを受け付けたか否か判断する(S101)。この場合、例えばユーザは、識別端末4を使用して、印刷データを編集する。印刷データを受け付けていないと判断した場合(S101:NO)、制御部61は、処理を戻して待機する。印刷データを受け付けたと判断した場合(S101:YES)、制御部61は、印刷データに基づきラベル11の印刷を実行する(S103)。この場合、例えば
図4(A)、
図4(B)に示すラベル11A、又はラベル11Bが発行される。制御部61は、処理をS101に戻して待機する。
【0049】
図9~
図11を参照し、物品識別処理について説明する。店舗のユーザによって物品識別処理を実行する為の操作が行われた場合、制御部41は、記憶部42に記憶された物品識別プログラムを読み出して実行する。物品識別プログラムが実行されると、物品識別処理が開始される。なお、物品識別処理の開始時、商品を載せたトレー25が撮影台2に配置されている。
【0050】
物品識別処理が開始されると、制御部41は、レジアプリを起動して、待機画面(
図5(A)参照)を表示する(S1)。制御部41は、撮影部31により撮影された複数の商品の総数を入力する操作を受け付けたか否か判断する(S3)。
【0051】
例えば、ユーザは、識別端末4を操作し、撮影台2に配置された商品の総数を、総数表示領域44に入力する。撮影部31により撮影された複数の商品の総数を入力する操作を受け付けていないと判定した場合(S3:NO)、制御部41は処理を戻して待機する。撮影部31により撮影された複数の商品の総数を入力する操作を受け付けたと判定した場合(S3:YES)、制御部41は、総数表示領域44に総数を表示する(S5)。この場合、例えば総数表示領域44の文字「4」が「〇」で囲われる(
図5(A)参照)。制御部41は、入力された商品の総数を記憶部42に記憶する(S7)。
【0052】
制御部41は、撮影装置3を制御して、撮影部31による複数の商品の撮影を開始する(S9)。撮影部31は、複数の商品、及び、複数の商品ごとにラベル11を撮影する。撮影装置3の制御部32は、撮影された撮影画像の画像データを生成し、識別端末4の制御部41に出力する。制御部41は、画像データを取得し、撮影画像領域52に撮影画像を表示する(S11)。この場合、例えば、
図5(B)に示す画面が表示部43に表示される。
【0053】
制御部41は、撮影部31により撮影された撮影画像から、複数の商品に付されたARマーカ28を検出する(S13)。制御部41は、画像解析を行い、撮影画像におけるARマーカ28としての特徴部を有するオブジェクトを、ARマーカ28として抽出する。
【0054】
制御部61は、識別テーブル90に基づき、抽出したARマーカ28のIDを特定し、特定したIDを記憶部42に記憶する(S15)。この場合、抽出された全てのARマーカ28に対してIDの特定が行われる。これにより、制御部61は、識別テーブル90に基づき、抽出したARマーカ28に対応する商品名を特定可能となる。
【0055】
制御部41は、ARマーカ28を計数する(S17)。制御部41は、計数されたARマーカ28の第1個数を、記憶部42に記憶する(S19)。制御部41は、計数されたARマーカ28の第1個数を、比較領域47に表示させる(S21)。この場合、例えば、
図5(C)に示す比較領域47が表示部43に表示される。
【0056】
制御部41は、撮影部31により撮影された撮影画像から、複数の商品に付された標識部13を検出する(S23)。制御部41は、画像解析を行い、撮影画像における標識部13としての特徴部を有するオブジェクトを、標識部13として抽出する。制御部41は、検出した標識部13の第2個数を計数する(S25)。制御部41は、計数された標識部13の第2個数を、記憶部42に記憶する(S27)。制御部41は、計数された標識部13の第2個数を比較領域47に表示させる(S29)。この場合、例えば、
図6(A)に示す比較領域47が表示される。
【0057】
制御部41は、ARマーカ28を強調表示する(S31)。これにより、撮影画像領域52のARマーカ28の表示態様が変更される。この場合、例えば
図5(C)、
図7(A)に示すARマーカ28が表示部43に表示される。
【0058】
制御部41は、撮影画像に表示された商品について、1の商品を特定する(S35)。制御部41は、特定した1の商品について、ARマーカ28を検出できたか否か判断する(S37)。ARマーカ28を検出できたと判断した場合(S37:YES)、撮影画像領域52の標識情報113の内側に商品名29を重畳して表示する(S39)。これにより、例えば
図6(B)、
図7(C)に示す「クロワッサン」の画像が表示部43に表示される。制御部61は、処理をS43に進める。
【0059】
一方、特定した1の商品について、ARマーカ28を検出できなかったと判断した場合(S37:NO)、制御部41は、標識情報113の内側に警告表示を行う(S41)。この場合、例えば、
図7(C)に示す「ピザ」の画像が表示される。ユーザは、ARマーカ28を検出できなかった情報を示す「NG!!!」を認識する。故に、ユーザは、ARマーカ28を認識できていない商品があることを認識できる。制御部41は、処理をS43に進める。
【0060】
制御部41は、全ての商品について表示が完了したか否か判断する(S43)。全ての商品の表示が完了していないと判断した場合(S43:NO)、制御部41は、処理をS35に戻す。S35~S41の処理を繰り返すことで、例えば
図6(B)、
図7(C)に示す撮影画像領域52が表示される。
【0061】
全ての処理が完了したと判断した場合(S43:YES)、制御部41は、検出されたARマーカ28の第1個数と、標識部13の第2個数とを比較する(S45)。第1個数と第2個数とが一致しないと判断した場合(S45:NO)、制御部41は、比較結果を出力する(S47)。この場合、第1個数と第2個数とが一致していない情報を、表示部43の比較結果表示領域51に表示させる。例えば
図7(B)に示すように、比較結果表示領域51に対して、「不一致」の文字が表示される。
【0062】
制御部41は、警告表示を行う(S49)。例えば、「ARマーカが読み取れませんでした」「商品の位置を再配置して下さい」等の文字列が表示部43に表示される。この場合、ユーザは、商品の再配置等を実行する。
【0063】
制御部41は、商品が再配置されたか否か判断する(S51)。商品が再配置されていないと判断した場合(S51:NO)、制御部41は、処理を戻して待機する。商品が再配置されたと判断した場合(S51:YES)、制御部41は、再配置された複数の商品を撮影部31に撮影させる為、処理をS9に戻す。
【0064】
一方、第1個数と第2個数とが一致したと判断した場合(S45:YES)、制御部41は、比較結果を出力する(S53)。この場合、第1個数と第2個数とが一致した情報を、表示部43に表示させる。この場合、
図6(B)に示すように、比較結果表示領域51に対して、「一致」の文字が表示される。
【0065】
制御部41は、ユーザが入力した商品の総数と標識部13の第2個数とが一致するか否か判断する(S55)。ユーザが入力した商品の総数と第2個数とが一致しないと判断した場合(S55:NO)、制御部41は、比較結果を出力する(S57)。これにより、例えば「商品を再配置して下さい」「商品の総数を確認してください」等の文字列が表示部43に表示される。制御部41は、処理をS3に戻す。一方、ユーザが入力した商品の総数と第2個数とが一致したと判断した場合(S55:YES)、制御部41は、
図12に示す会計処理を実行する(S59)。
【0066】
会計処理が実行されると、制御部41は、会計画面を表示部43に表示する(S201)。この場合、例えば
図6(C)に示す画面が表示部43に表示される。制御部41は、OKボタン84Aが選択されたか否か判断する(S203)。OKボタン84Aが選択されていないと判断した場合(S203:NO)、制御部41は、処理を戻して待機する。一方、OKボタン84Aが選択されたと判断した場合(S203:YES)、制御部41は、会計情報をレジスター7に出力する(S205)。制御部41は処理を物品識別処理に戻して、S1の処理を実行する。
【0067】
以上説明したように、物品識別システム1では、複数の商品には、ARマーカ28よりも大きな標識部13が夫々付される。制御部41は、撮影部31により撮影された撮影画像から、複数の商品に付されたARマーカ28を検出する。制御部41は、撮影部31により撮影された撮影画像から、複数の商品に付された標識部13を検出する。制御部41は、検出されたARマーカ28の第1個数と、検出された標識部13の第2個数とを比較する。制御部41は、比較結果を出力する。
【0068】
上記物品識別システム1は、比較結果を出力する。比較結果を確認することで、ユーザは、複数の商品のうち識別できていない商品の存在を認識できる。
【0069】
記憶部42は、ARマーカ28と商品に関する情報とを対応付けて記憶するデータベース9を記憶する。制御部41は、ARマーカ28が検出された場合、記憶部42に記憶されたデータベース9を参照し、ARマーカ28に対応付けられた商品名を読み出して、表示部43に表示させる。制御部41は、標識部13が検出された場合、標識部13に対応する標識情報113を表示部43に表示させる。物品識別システム1は、標識部13と商品に関する情報を確認できる。故に、ユーザは、標識部13が検出されたこと、及びARマーカ28が検出されたことを認識できる。
【0070】
制御部41は、表示部43に標識情報113が表示される場合、標識情報113に重ねてARマーカ28に対応付けられた商品名を表示する。物品識別システム1では、ユーザは、標識画像と商品名とが何れの商品に関連するかを確認しやすい。
【0071】
制御部41は、ARマーカ28が検出された場合、撮影画像に表示されたARマーカ28の表示態様を変更する。物品識別システム1では、検出されたARマーカ28の表示態様が変更される。一方で、ARマーカ28を検出できていない商品の表示態様は変更されない。故に、ユーザは、ARマーカ28未検出の商品を特定しやすい。
【0072】
制御部41は、検出したARマーカ28の第1個数、及び検出した標識部13の第2個数を、表示部43に表示させる。ユーザは、表示部43を確認することで、ARマーカ28の第1個数と、標識部13の第2個数とを視覚的に認識できる。
【0073】
制御部41は、比較結果のうち第1個数と第2個数とが一致したか否かの情報を、表示部43に表示させる。ユーザは、ARマーカ28の第1個数と、標識部13の第2個数とが一致したかを視覚的に認識できる。
【0074】
複数の商品には、標識部13とARマーカ28が印刷されたラベル11が夫々貼りつけられる。標識部13は、ラベル11Aの縁に沿った領域に予め印刷される。制御部61は、標識部13が予め印刷されたラベル11Aに対して、ARマーカ28を印刷する。物品識別システム1は、ラベル11Aの縁に沿った領域に、標識部13を予め印刷する。故に、後から内容が変更されない標識部13を予め印刷しておくことで、ラベル11Aの生産性が高まる。例えば印刷装置6の印刷可能な領域がラベル11Aよりも小さく設定されている場合、物品識別システム1は、一度にラベル11の印刷を行う場合よりも、ラベル11に印刷される標識部13を大きくできる。故に、物品識別システム1は、標識部13の検出精度を向上できる。
【0075】
制御部61は、標識部13とARマーカ28とをラベル11に同時に印刷する。従って、ユーザは、複数回に亘ってラベル11を印刷しなくてもよい。故に、物品識別システム1は、ユーザの手間を省くことができる。
【0076】
標識部13は、ラベル11に印刷された枠である。物品識別システム1は、ARマーカ28の形状を識別しやすい。ARマーカ28が枠状であり、標識部13が枠で形状が類似しているので、物品識別システム1は、枠の形状を識別しやすい。故に、物品識別システム1は、枠の検出精度を向上できる。
【0077】
枠の内側にARマーカ28が印刷される。物品識別システム1は、枠の内側にARマーカ28が印刷されるので、枠を大きくできる。このため、物品識別システム1は、枠を識別しやすい。故に、物品識別システム1は、枠の検出精度を向上できる。
【0078】
枠は、ラベル11Aの縁に沿って印刷される。物品識別システム1は、ラベル11Aの縁に沿って枠が印刷されているので、枠を識別しやすい。故に、物品識別システム1は、枠の検出精度を向上できる。
【0079】
ARマーカ28は、ラベル11内で、且つ枠の外側に配置される。物品識別システム1は、例えば、撮影部31に対して傾斜してラベル11が配置されている場合にも、枠を識別しやすい。
【0080】
枠は、矩形状である。故に、物品識別システム1は、枠を識別しやすい。
【0081】
制御部41は、撮影部31により撮影された複数の商品の総数を入力する操作を受け付ける。制御部41は、受け付けられた操作により入力された総数と、検出された標識部13の第2個数とを比較する。制御部41は、比較結果を出力する。物品識別システム1は、受け付けられた商品の総数と、検出された標識部13の第2個数とを比較することで、商品の個数を正確に確認できる。
【0082】
上記実施形態において、商品名は「商品に関する情報」の一例である。USBI/F46は本発明の「通信部」に相当する。制御部61は本発明の「印刷制御部」の一例である。制御部41が実行するS13の処理は本発明の「第1検出処理」に相当する。制御部41が実行するS23の処理は本発明の「第2検出処理」に相当する。制御部41が実行するS45の処理は本発明の「第1比較処理」に相当する。制御部41が実行するS47、S53の処理は本発明の「第1出力処理」に相当する。制御部41が実行するS39の処理は本発明の「第1表示処理」に相当する。制御部41が実行するS33の処理は本発明の「第2表示処理」に相当する。制御部41が実行するS33の処理は本発明の「第3表示処理」に相当する。制御部41が実行するS31の処理は本発明の「変更処理」に相当する。制御部41が実行するS3の処理は本発明の「受付処理」に相当する。制御部41が実行するS55の処理は本発明の「第2比較処理」に相当する。制御部41が実行するS57の処理は本発明の「第2出力処理」に相当する。制御部41が実行するS103の処理は本発明の「第1印刷処理」に相当する。制御部41が実行するS103の処理は本発明の「第2印刷処理」に相当する。
【0083】
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記実施形態では、識別端末4は、タブレット端末としたが、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等、他のデバイスを用いてもよい。また、タブレット端末に搭載されたカメラ機能を、撮影装置3として用いてもよい。この場合、カメラ機能を有するタブレット端末は、物品識別装置として動作し、上記実施形態の物品識別システム1として単体で機能することができる。
【0084】
物品識別処理を実行させる為の指令を含むプログラムは、制御部41が、対応するプログラムを実行するまでに、記憶部42等に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。制御部41が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して他の装置から受信し、記憶部42に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0085】
物品識別処理は、識別端末4とは別体の専用又は汎用の装置により実行されてもよい。例えば、識別端末4を公知のパーソナルコンピュータとした場合、パーソナルコンピュータが制御部41、記憶部42、及びUSBI/F46を有し、パーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータに対して外付けされる表示部43との組み合わせも本発明の識別端末4に含まれる。識別端末4は、表示部43の代わりに、表示領域46として例えばモニタ、入力部として例えばキーボード、マウスを有してもよい。例えば、識別端末4の代わりに、レジスター7又はPOSシステムの識別端末に撮影装置3を接続し、レジスター7の制御部又はPOSシステムの識別端末が物品識別処理を実行してもよい。
【0086】
ラベル印刷処理、物品識別処理の各ステップは、制御部41、61によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。ラベル印刷処理、物品識別処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。物品識別処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。
【0087】
識別端末4にARマーカ28を登録可能にするアプリケーションソフトをインストールし、データベース9の設定を行ってもよい。
【0088】
商品には、ARマーカ28の他に、公知のコード(例えば、バーコード、QRコード(登録商標)等)、又は独自のマーカが別途付帯されてもよい。商品には、商品の価格以外の情報(例えば、製造年月日、アレルギー情報等)を識別する為の、ARマーカ28と異なるARマーカが別途付されてもよい。
【0089】
上記実施形態では、
図5(A)に示す待機画面が表示されたがこれに限らない。総数表示領域44、撮影画像領域52、情報表示領域45、OKボタン84A、NGボタン85Aのレイアウトは適宜変更してもよい。
【0090】
上記実施形態では、
図5(B)、
図6、
図7に示す画像が表示部43に表示されたがこれに限らない。例えば、比較領域47、比較結果表示領域51、撮影画像領域52、情報表示領域45、OKボタン84A、NGボタン85Aのレイアウトは、適宜変更してもよい。
【0091】
上記実施形態では、会計時、
図6(C)に示す画像が表示部43に表示されたがこれに限らない。総数表示領域44、情報表示領域45、OKボタン84A、NGボタン85Aのレイアウトは、適宜変更してもよい。
【0092】
上記実施形態では、ラベル11は、境界Aを基準に印刷されたがこれに限らない。例えば、ラベル11の印刷において、境界Aの大きさは、印刷装置6とラベル11の仕様に基づき適宜設定されればよい。ラベル11の全ての領域に同時に印刷可能な場合には、境界Aは設定されなくてもよい。
【0093】
上記実施形態では、ラベル11Aの作成では、標識部13とロゴとが予め印刷されたがこれに限らない。例えばラベル11Aの作成では、標識部13等に加えて、消費期限が予め印刷されてもよい。また、ラベル11Aの作成では標識部13のみが予め印刷され、ロゴは予め印刷されなくてもよい。予め印刷する画像については、ユーザが適宜選択すればよい。また、標識部13、及びARマーカ28等が一度に印刷されてラベル11Aが作成されてもよい。この場合でも、標識部13が大きく印刷されるので、標識部13の検出精度を維持できる。
【0094】
上記実施形態では、ラベル11Bの作成では、標識部13、ARマーカ28等が同時に印刷されていたがこれに限らない。例えば、標識部13及びロゴが予めラベル11Bに印刷されており、そのラベル11BにARマーカ28等が印刷されてもよい。予め印刷する画像については、ユーザが適宜選択すればよい。
【0095】
上記実施形態では、ラベル11にはARマーカ28、標識部13、商品名、消費期限、ロゴが印刷されたがこれに限らない。例えば、ARマーカ28と標識部13のみ印刷されてもよいし、他の画像が印刷されてもよい。ARマーカ28、標識部13、商品名、消費期限、ロゴの配置は、適宜変更してよい。
【0096】
上記実施形態では、標識部13は矩形状の枠であったがこれに限らない。例えば、標識部13は、丸等の他の形状でもよい。また、標識部13は枠でなくてもよい。標識部13は、制御部41により検出可能な形であればよい。
【0097】
上記実施形態では、第1個数と第2個数とが一致したか否かを表示部43に表示したがこれに限らない、例えば、識別端末4は、音声等の情報でユーザに一致したか否かの情報を出力してもよい。ユーザが比較結果を認識できればよい。
【0098】
上記実施形態では、第1個数と第2個数は、比較領域47に表示され、且つ第1個数と第2個数の一致、不一致が比較結果表示領域51に表示されたがこれに限らない。例えば、比較領域47と比較結果表示領域51の何れか一方が表示されるだけでもよい。
【0099】
また、比較領域47では、「1」~「10」の数字が強調して表示されたがこれ以外の方法で表示されてもよい。例えば、第1個数と第2個数のみ表示してもよい。また、比較結果表示領域51は、「一致」「不一致」の文字列が黒の背景に白抜きで表示されたがこれに限らない、例えば、「一致」「不一致」の文字列は、白の背景に黒色の文字で表示されてもよい。「一致」「不一致」の文字列は、他の文字列、記号等であってもよいし、音声等でユーザに報知してもよい。
【0100】
上記実施形態では、制御部41は、撮影画像領域52に表示された撮影画像の商品に重畳して、商品名を表示したがこれに限らない。例えば、撮影画像の商品に重畳して、商品名を重畳して表示しなくてもよい。撮影画像と、商品名とが撮影画像領域52に表示されていればよい。
【0101】
上記実施形態では、
図5(C)に示すようにARマーカ28を強調表示して表示態様を変更したがこれに限らない。例えば、各種の色で表示態様を変更してもよいし、点滅させる等してもよい。ユーザが認識しやすければよい。例えば、ARマーカ28の表示態様は変更しなくてもよい。
【0102】
上記実施形態では、商品名は標識情報113の内側に配置されたがこれに限らない。例えば、商品に関する情報の大きさは、標識情報113の大きさと同じであり、商品名の中心は、標識情報113の中心と重なってもよい。この場合、標識情報113の外枠は表示されなくてもよい。なお、「標識情報113の中心」とは、標識情報113の対角線が交わる交点の辺りをいう。物品識別システム1では、標識情報113が商品に関する情報で覆われるので、ユーザは、商品に関する情報を認識しやすい。
【0103】
上記実施形態では、「NG!!!」の文字列が標識情報113に重ねて配置されたがこれに限らない。例えば
図13に示すように。制御部41は、ARマーカ28が検出されず、且つ標識部13が検出された場合、標識部13に関する標識情報113を表示部43に表示させるだけでもよい。この場合、ARマーカ28を検出していない商品については商品名が表示されない。つまり、標識情報113は警告を表示する警告情報として機能する。故に、ユーザは、標識情報113を確認することで、ARマーカ28が未検出であることを認識できる。
【0104】
「NG!!!」」の文字列は、常時表示されたが、例えば点滅させてもよい。また、「NG!!!」の文字列は、これ以外の文字列であってもよい。ユーザによりARマーカ28を検出できなかったことを、ユーザが認識できれば他の文字列、マーク、記号、図形でもよい。
【0105】
上記実施形態の物品識別処理では、物品識別手段としてARマーカ28を使用したが、ARマーカ28に代えて、QRコード(登録商標)、カメレオンコード(登録商標)等の2次元コード、バーコード、RFIDタグ等を使用してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 物品識別システム
3 撮影装置
4 識別端末
7 レジスター
9 データベース
13 標識部
28 ARマーカ
31 撮影部
41 制御部
42 記憶部
43 表示部
46 USBI/F
62 印刷部
61 制御部