(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061246
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240425BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20240425BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B19/18 W
G05B19/418 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169073
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】茂知野 英子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英幸
(72)【発明者】
【氏名】荒井 正幸
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA38
3C100AA62
3C100AA63
3C100BB13
3C100BB17
3C100CC02
3C269AB01
3C269AB26
3C269BB11
3C269QB03
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】工作機械を適切に点検するよう管理することができる工作機械の点検管理装置を提供する。
【解決手段】制御部21は、工作機械10を点検しようとする第1の点検者を認証すると、点検者情報ファイル251を参照することにより第1の点検者の点検者レベルを取得する。制御部21は、機械点検データベース252を参照して、点検が必要な点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを表示部22に表示するよう制御する。制御部21は、第1の点検者が選択した選択点検項目の点検レベルと第1の点検者の点検者レベルとを比較する。制御部21は、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されないとき、表示部22に選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、表示部22に表示されている画像を選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記記憶部は、
工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、
前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御する
工作機械の点検管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させるよう制御する請求項1に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項3】
前記工作機械を点検する点検者を撮影する第1のカメラをさらに備え、
前記点検者情報ファイルは、前記各点検者を顔認証するための点検者顔画像をさらに含み、
前記制御部は、前記第1のカメラが撮影する点検者を、前記点検者情報ファイルの前記点検者顔画像を用いて顔認証する
請求項1または2に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記工作機械の点検管理装置のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示するよう制御する請求項1または2に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項5】
前記コードを読み取った前記携帯端末は、前記IPアドレスに基づいて前記工作機械の点検管理装置と無線にて接続し、
前記携帯端末は、
前記選択点検項目の点検レベルと前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されるとき、前記携帯端末が備える第2の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させ、
前記選択点検項目の点検結果が入力されると、入力された点検結果を前記機械点検データベースの前記選択点検項目に対応する前記点検履歴情報に追記するよう制御する
請求項4に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記携帯端末が備える第2のカメラが撮影した前記工作機械における所定の箇所の写真データを前記点検結果に含ませて前記点検履歴情報に追記するよう制御する請求項5に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項7】
コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、
前記コンピュータ機器が備える制御部が、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定し、
前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる
工作機械の点検管理方法。
【請求項8】
前記制御部が、前記表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させる請求項7に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項9】
前記点検者情報ファイルは、前記各点検者を顔認証するための点検者顔画像をさらに含み、
前記制御部が、前記工作機械を点検する点検者を撮影する第1のカメラによって撮影された点検者を、前記点検者情報ファイルの前記点検者顔画像を用いて顔認証する
請求項7または8に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項10】
前記制御部が、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記コンピュータ機器のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示する請求項7または8に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項11】
前記コードを読み取った前記携帯端末は、前記IPアドレスに基づいて前記コンピュータ機器と無線にて接続し、
前記携帯端末が、
前記選択点検項目の点検レベルと前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されるとき、前記携帯端末が備える第2の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させ、
前記選択点検項目の点検結果が入力されると、入力された点検結果を前記機械点検データベースの前記選択点検項目に対応する前記点検履歴情報に追記する
請求項10に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項12】
前記携帯端末が、前記携帯端末が備える第2のカメラが撮影した前記工作機械における所定の箇所の写真データを前記点検結果に含ませて前記点検履歴情報に追記する請求項11に記載の工作機械の点検管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、工作機械を使用するには定期的な点検が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械の点検には、工作機械の使用経験の浅い非習熟者でも点検可能な点検項目と、工作機械の使用経験が豊富な習熟者でないと点検が難しい点検項目とが存在する。工作機械を非習熟者が点検する場合、習熟者が点検する場合のいずれであっても、工作機械を適切に点検するよう管理することができる工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法の登場が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様は、記憶部と、制御部とを備え、前記記憶部は、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、前記制御部は、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御する工作機械の点検管理装置を提供する。
【0006】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されていなければ、第1の点検者は、選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報によって自分自身は選択点検項目を点検する権限を有していないことを認識する。1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、選択点検項目の点検結果を入力することができないので、第1の点検者が誤って択点検項目を点検することを回避することができる。
【0007】
1またはそれ以上の実施形態の第2の態様は、コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、前記コンピュータ機器が備える制御部が、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定し、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる工作機械の点検管理方法を提供する。
【0008】
1またはそれ以上の実施形態の第2の態様によれば、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されていなければ、第1の点検者は、選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報によって自分自身は選択点検項目を点検する権限を有していないことを認識する。1またはそれ以上の実施形態の第1の態様によれば、選択点検項目の点検結果を入力することができないので、第1の点検者が誤って択点検項目を点検することを回避することができる。
【発明の効果】
【0009】
1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法によれば、工作機械を非習熟者が点検する場合、習熟者が点検する場合のいずれであっても、工作機械を適切に点検するよう管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置の記憶部に記憶されている点検者情報ファイルを示す概念図である。
【
図3】
図3は、
図2は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置の記憶部に記憶されている機械点検データベースを示す概念図である。
【
図4】
図4は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置の制御部が点検者を顔認証した後に表示部に表示する点検管理画像の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す点検管理画像における集塵装置のダストボックスの清掃の点検項目が選択されて、点検動画の動画ファイルが表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、集塵装置のダストボックスの清掃を完了して、点検結果の入力欄が表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す点検管理画像における二次元コード表示ボタンが押されて、二次元コードが表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す二次元コードが含む二次元コード情報を示す概念図である。
【
図9】
図9は、集塵装置のダストボックスの清掃の点検項目が選択されている状態で、携帯端末が点検動画の動画ファイルを表示している状態の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、集塵装置のダストボックスの清掃を完了して、携帯端末が点検結果の入力欄を表示している状態の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、レンズ点検を実施する権限がない点検者がレンズ点検の点検項目を選択した場合の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、点検者を、レンズ点検を実施する権限がない点検者からレンズ点検を実施する権限がある点検者へと切り替えた場合の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す点検管理画像の開始ボタンが押されて、点検説明文が表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、レンズ点検を完了して、点検結果の入力欄が表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、
図13に示す点検管理画像における二次元コード表示ボタンが押されて、二次元コードが表示されている状態の点検管理画像の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置動作または工作機械の点検管理方法を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置の動作または工作機械の点検管理方法のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、携帯端末の動作または携帯端末が実行する点検管理方法を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、携帯端末の動作または携帯端末が実行する点検管理方法のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置は、記憶部と、制御部とを備える。前記記憶部は、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶する。
【0012】
前記制御部は、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得する。前記制御部は、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示する。
【0013】
前記制御部は、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御する。
【0014】
1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法において、コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶する。
【0015】
1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法において、前記コンピュータ機器が備える制御部が、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得する。前記制御部が、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示する。
【0016】
前記制御部が、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定する。前記制御部が、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる。
【0017】
以下、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図1は、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置である点検管理装置20を示す。
図1において、工作機械10と点検管理装置20とがネットワークで接続されている。ここでのネットワークとは、工作機械10が設置されている工場等のローカルネットワークである。工作機械10は、レーザ加工機、パンチングマシン、パンチングマシンとレーザ加工機との複合機、プレスブレーキ、レーザ溶接機等の任意の機械である。後述する1またはそれ以上の実施形態においては、工作機械10はレーザ加工機であるとする。
【0018】
工作機械10は、NC(Numerical Control)装置11及び工作機械本体12を備える。NC装置11は、工作機械本体12による板金等の被加工材の加工を制御する。点検管理装置20は、制御部21、表示部22(第1の表示部)、カメラ23(第1のカメラ)、非一時的な記憶媒体24、記憶部25を備える。制御部21には、表示部22、カメラ23、記憶媒体24、記憶部25、操作部26が接続されている。
【0019】
点検管理装置20は、コンピュータ機器によって構成することができる。制御部21は、コンピュータ機器の中央処理装置で構成することができる。表示部22は例えば液晶パネルである。記憶媒体24はROMによって構成することができ、記憶部25はRAMによって構成することができる。操作部26は、点検管理装置20の一部の構成であってもよい。操作部26は、キーボードもしくはマウス、またはキーボード及びマウスであってもよく、表示部22と一体化されたタッチパネルであってもよい。
【0020】
記憶媒体24には、工作機械の点検管理を実行するためのコンピュータプログラム(点検管理プログラム)が記憶されている。制御部21は点検管理プログラムを実行して、後述するように、点検者が工作機械10を点検することを補助し、点検者が工作機械10を点検した後の点検履歴を管理する。制御部21には、スマートフォンまたはタブレット端末である携帯端末30が無線で接続されることがある。携帯端末30は、点検者が工作機械10を点検することを補助し、点検履歴を管理するために点検管理装置20と連携する。
【0021】
点検管理装置20の電源が投入されて点検管理装置20が立ち上がっている状態で、カメラ23は常時動作している。工作機械10を点検する点検者がカメラ23の前に立てば、カメラ23は点検者を撮影する。
【0022】
記憶部25には、工作機械10を点検する複数の点検者における各点検者の点検者情報ファイル251と、機械点検データベース(以下、機械点検DB)252とが記憶されている。
図2は点検者情報ファイル251を示す概念図であり、
図3は機械点検DB252を示す概念図である。
【0023】
図2に示すように、点検者情報ファイル251は、各点検者を識別する点検者IDに対応付けて、点検者名、点検者顔画像、表示言語、点検者レベルを記憶している。点検者顔画像は、各点検者を顔認証するための、例えばJPEGフォーマットの写真データである。表示言語とは、表示部22または携帯端末30に文字情報を表示するときの使用言語である。JPは日本語を示す。表示言語を1つの言語のみとする場合には、点検者情報ファイル251は表示言語を含まなくてもよい。
【0024】
点検者レベルとは、点検者が工作機械10を使用する上での点検者の工作機械10の習熟度、または工作機械10を点検する作業の点検者の習熟度を示す。点検者レベル2は習熟度が高い点検者(習熟者)を示し、点検者レベル1は習熟度が低い点検者(非習熟者)を示す。点検者レベル1が設定されている点検者は、複数の点検項目のうちの一部の点検項目を点検することができない点検権限が制限されている点検者である。点検者レベル2が設定されている点検者は、全ての点検項目を点検することができる点検権限が制限されていない点検者である。ここでは、点検者レベルを2段階としているが、点検者レベルを3段階以上としてもよい。
【0025】
図2に示す例では、点検者IDが0001である点検者John Doe氏は、点検者レベルが2であるから、全ての点検項目を点検することができる。点検者IDが0003である点検者Jane Doe氏は、点検者レベルが1であるから、一部の点検項目を点検することができない。
【0026】
図3に示すように、機械点検DB252は、各点検項目を特定する点検項目IDに対応付けて、点検項目名、点検説明文、点検動画、点検頻度、点検レベル、点検履歴情報を記憶している。点検説明文は各点検項目の点検の仕方を説明する文章であり、点検動画は各点検項目の点検の仕方を説明する例えばMP4フォーマットの動画像データである。点検頻度とは、各点検項目を点検すべきタイミングを決める設定情報である。毎日とは、対応する点検項目を毎日点検することが必要ということであり、毎月とは、対応する点検項目を1か月に1回点検することが必要ということである。点検頻度が、30日のように日数で設定されていてもよい。30日とは、対応する点検項目を30日ごとに点検することが必要ということである。
【0027】
点検レベルは、各点検項目を点検するために必要な点検者の点検者レベルを示す。点検レベル1は、点検者レベルが1である点検者が点検可能であることを示す。即ち、点検レベル1が設定されている点検項目は、点検者レベルが1または2である点検者が点検可能である。点検レベル2は、点検者レベルが2である点検者しか点検できないことを示す。即ち、点検レベル2が設定されている点検項目は、点検者レベルが1である点検者は点検できず、点検者レベルが2である点検者のみ点検可能である。
【0028】
点検履歴情報は、各点検項目が点検されるたびに追記されていく。点検履歴情報は、工作機械10を点検した点検日、点検者の点検者ID、点検者名、点検結果を含む。点検結果は、点検者が入力した後述するコメントを含むことがある。点検結果は、点検者が携帯端末30で撮影した写真データを含むことがある。
【0029】
制御部21は、点検管理装置20が立ち上がると、機械点検DB252を参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出する。カメラ23が点検者を撮影すると、制御部21は、点検者情報ファイル251の点検者顔画像を用いて点検者を顔認証する。制御部21が点検者を顔認証すると、点検者情報ファイル251を参照して、点検者の点検者名、表示言語、及び点検者レベルを取得する。
【0030】
顔認証の代わりに、指紋認証または虹彩認証等が採用されてもよい。パスワードを用いる認証と比較して生体認証は不正アクセスが困難であるため、点検者の認証方法として生体認証を採用するのがよい。カメラ23を用いる顔認証は、不正アクセスが困難であり、かつ導入が比較的に容易であるため、生体認証の中でも顔認証が最も好ましい。
【0031】
図4は、制御部21が点検者を顔認証した後に表示部22に表示する点検管理画像40Aの一例を示している。制御部21が最初に顔認証した第1の点検者はJane Doe氏であるとする。第1の点検者の点検者レベルは1である。
図4に示すように、制御部21は、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リスト401を含む点検管理画像40Aを表示部22に表示するよう制御する。点検管理画像40A(及び後述する40B~40I)は、点検項目を点検するのに必要な各種の情報を表示するウインドウ402を含む。
【0032】
点検管理画像40Aにおけるウインドウ402には、二次元コードの表示を指示する二次元コード表示ボタン403及び点検の開始を指示する開始ボタン404が非アクティブの状態で表示されている。
【0033】
図4に示す例では、点検項目リスト401には、集塵装置のダストボックスの清掃、アシストガスの残量点検、アシストガスの残圧点検、及びレンズ点検が、点検すべき点検項目として列挙されている。マークM1は、本来点検すべきタイミングから第1の超過時間が超過していることを示し、マークM2は、本来点検すべきタイミングから第1の超過時間よりも長い第2の超過時間が超過していることを示す。マークM1またはM2が表示されていない点検項目は、ちょうどその日が点検すべきタイミングであることを示す。マークM1が付されている点検項目を黄色で表示したり、マークM2が付されている点検項目を赤色で表示したりしてもよい。
【0034】
点検管理画像40Aには、例えばウインドウ402の上方に、第1の点検者の名前Jane Doeを示す点検者名405が表示されている。なお、点検管理画像40Aでは、点検項目リスト401のうちのいずれかの点検項目が選択されていないので、ウインドウ402内には例えば工作機械10の全体写真が表示されている。
【0035】
制御部21は、点検項目リスト401に列挙されている点検項目のうちのいずれかの点検項目が選択されると、二次元コード表示ボタン403及び開始ボタン404をアクティブの状態とする。制御部21は、選択された点検項目(選択点検項目)の点検レベルと第1の点検者の点検者レベルとを比較して、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されるか否かを判定する。制御部21は、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されるとき、表示部22に選択点検項目に対応する点検説明文及び点検動画を表示して、表示部22に表示されている画像を選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させる。
【0036】
制御部21は、開始ボタン404が押されると、機械点検DB252より選択点検項目に対応する点検説明文を読み出して、ウインドウ402内に表示するよう制御する。また、制御部21は、選択点検項目に対応する点検動画の動画ファイルを読み出して、ウインドウ402内の動画再生ウインドウ406に点検動画を表示するよう制御する。なお、開始ボタン404及びその他のボタンを押すとは、マウスによってクリックすること、及びタッチパネルによって触れることが含まれる。拡大ボタン4061が押されると、制御部21は動画再生ウインドウ406を拡大して表示する。
【0037】
図5は、第1の点検者が集塵装置のダストボックスの清掃の点検項目を選択して開始ボタン404が押されて、対応する点検動画の動画ファイルが表示されている状態の点検管理画像40Bの一例を示している。第1の点検者は、点検動画を見て、集塵装置のダストボックスの清掃の仕方を確認して、実際に、集塵装置のダストボックスを清掃することができる。点検管理画像40Bに点検動画を表示することにより、点検者レベルが1である第1の点検者であっても、工作機械10を間違いなく点検することができる。
【0038】
制御部21は、開始ボタン404が押された後、開始ボタン404に代えて点検終了ボタン407を表示する。
【0039】
図6は、第1の点検者が集塵装置のダストボックスの清掃を完了して、点検終了ボタン407が押された後に、ウインドウ402内に点検結果の入力欄が表示されている状態の点検管理画像40Cの一例を示している。第1の点検者は清掃が完了したことをチェックするチェック欄408にチェックし、必要に応じて、操作部26を操作してコメント入力欄409に所定のコメントを記入する。第1の点検者が保存ボタン410を押すと、制御部21は、点検日、点検者名、清掃が完了したこと、及びコメントを、機械点検DB252の対応する点検履歴情報に追記するよう制御する。
【0040】
図7は、
図5に示す点検管理画像40Bにおける二次元コード表示ボタン403が押されて、ウインドウ402内に二次元コード413が表示されている状態の点検管理画像40Dの一例を示している。二次元コード413は、
図8に示す二次元コード情報413iを含む。
図8に示すように、二次元コード情報413iは、点検者名、表示言語、点検者レベル、機械名、機械サイズ、選択点検項目の点検項目ID、点検管理装置20のIPアドレス、機械点検DB252の位置を示すパスを含む。二次元コード以外のコードで、
図8に示す情報を表現してもよい。コードは携帯端末30で読み取り可能な任意のコードでよい。
【0041】
図5に示す点検管理画像40Bにおける二次元コード表示ボタン403が押されたときに表示される二次元コード413の二次元コード情報413iにおける点検者名はJane Doeであり、表示言語はJPであり、点検者レベルは1である。機械名及び機械サイズは、制御部21がNC装置11から取得することができる。選択点検項目は集塵装置のダストボックスの清掃であるから、点検項目IDはD001である。IPアドレスは点検管理装置20に予め付与されており、制御部21は機械点検DB252のパスを認識している。
【0042】
携帯端末30が備える非一時的な記憶媒体には、点検管理装置20が実行する点検管理方法とほぼ同様の点検管理方法を実行するアプリケーションプログラム(点検管理プログラム)が記憶されている。携帯端末30は、点検管理プログラムを実行して、二次元コード413を読み取って取得する二次元コード情報413iを用いて工作機械10の点検を管理することができる。
【0043】
Jane Doe氏が、携帯端末30が備えるカメラ(第2のカメラ)によって表示部22に表示されている二次元コード413を読み込むと、携帯端末30は二次元コード情報413iに含まれている上記の各種の情報を取得する。携帯端末30は、取得したIPアドレスに基づいて点検管理装置20と無線LANによって接続する。典型的には、無線LANはIEEE 802.11規格に準拠するいわゆるWi-Fiである。
【0044】
図9は、携帯端末30が、
図5と同様に、選択点検項目である集塵装置のダストボックスの清掃の点検項目の点検動画の動画ファイルを、携帯端末30が備える表示部301(第2の表示部)に表示している状態の一例を示している。携帯端末30内の中央処理装置(以下、CPU)は、機械点検DB252のパス及び点検項目IDに基づいて、記憶部25に記憶されている機械点検DB252から動画ファイルを読み出す。CPUは、表示部301のウインドウ302内の動画再生ウインドウ306に点検動画を表示するよう制御する。
【0045】
図10は、集塵装置のダストボックスの清掃を完了して、
図6と同様に、CPUがウインドウ302内に点検結果の入力欄を表示している状態の一例を示している。ウインドウ302内には、清掃が完了したことをチェックするチェック欄308及びコメント入力欄309が表示されている。ウインドウ302内には、写真を撮影するためのアイコン311が表示されている。第1の点検者がアイコン311を押すと、携帯端末30が備えるカメラが工作機械10における所定の箇所を撮影する。写真データ表示欄312には、撮影した写真のファイル名が表示されている。写真データはJPEGフォーマットである。
【0046】
第1の点検者が保存ボタン310を押すと、CPUは、点検日、点検者名、清掃が完了したこと、コメント、及び写真データを、点検管理装置20に送信して機械点検DB252の対応する点検履歴情報に追記するよう制御する。点検履歴情報が工作機械10を点検したときの写真データを含めば、より適切に工作機械10の点検結果を保存することができる。
【0047】
二次元コード情報413iは、表示言語、第1の点検者の点検者レベル、選択点検項目を特定する点検項目ID、点検管理装置20のIPアドレス、機械点検DB252のパスを含む。上記のように表示言語を1つの言語のみとする場合には、二次元コード情報413iは表示言語を含まなくてもよい。二次元コード情報413iは、少なくとも、第1の点検者の点検者レベル、選択点検項目を特定する点検項目ID、点検管理装置20のIPアドレス、機械点検DB252のパスを含めばよい。
【0048】
携帯端末30のCPUは、点検管理装置20の制御部21による制御と同様に、選択点検項目の点検レベルと第1の点検者の点検者レベルとを比較して、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されるとき、表示部301に表示されている点検管理画像を選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させる。携帯端末30のCPUは、選択点検項目の点検結果が入力されると、入力された点検結果を機械点検DB252の選択点検項目に対応する点検履歴情報に追記するよう制御する。
【0049】
図11は、レンズ点検を実施する権限がない第1の点検者がレンズ点検の点検項目を選択した場合の点検管理画像40Eの一例を示している。第1の点検者の点検者レベルは1であるので、第1の点検者は点検レベルが2であるレンズ点検を実施する権限を有していない。なお、点検の対象のレンズは、レーザビームを集束させて被加工材に照射する集束レンズである。制御部21は、第1の点検者がレンズ点検を実施する権限を有していないので、ウインドウ402内に例えば「点検権限がありません。」と記述された警告文414を表示する。警告文414は、選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報の一例である。警告文414の代わりに、選択点検項目を点検することができないことを示す画像であってもよい。
【0050】
点検管理画像40Eにおいて、制御部21は、二次元コード表示ボタン403及び開始ボタン404を非アクティブの状態とする。制御部21が開始ボタン404を非アクティブの状態とすることにより、点検動画の動画ファイルを表示することができず、表示部22に表示されている点検管理画像を、点検結果を入力するための入力欄を含む点検管理画像に移行させることもできない。
【0051】
このように、制御部21は、第1の点検者が選択した選択点検項目の点検レベルと、第1の点検者の点検者レベルとを比較して、第1の点検者が選択点検項目を点検することが許可されないとき、表示部22に選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示する。これにより、第1の点検者は、自分自身は選択点検項目を点検する権限を有していないことを認識することができる。加えて、制御部21は、表示部22に表示されている点検管理画像を、選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる。これにより、点検者レベルが1である第1の点検者が、誤って習熟度が高い点検者でなければ点検することが難しいレンズ点検を実施することを回避することができる。
【0052】
警告文414を見た第1の点検者は、第2の点検者として、点検者レベルが2であるJohn Doe氏にレンズ点検の実施を依頼したとする。第2の点検者は、カメラ23が自分自身を撮影するようカメラ23の前に立つ。カメラ23が第2の点検者を撮影すると、制御部21は、点検者情報ファイル251の点検者顔画像を用いて第2の点検者を顔認証する。制御部21が第2の点検者を顔認証すると、点検者情報ファイル251を参照して、第2の点検者の点検者名、表示言語、及び点検者レベルを取得する。
【0053】
図12は、点検者を第1の点検者から第2の点検者へと切り替えた場合の点検管理画像40Fの一例を示している。制御部21は、顔認証した第2の点検者の点検者レベルが2であるから、
図12に示すように、警告文414を消去し、二次元コード表示ボタン403及び開始ボタン404をアクティブの状態とする。また、制御部21は、第1の点検者の名前Jane Doeを示す点検者名405に代えて、第2の点検者の名前John Doeを示す点検者名425を表示する。
【0054】
図13は、点検管理画像40Fの開始ボタン404が押されて、ウインドウ402内に点検説明文421を表示した点検管理画像40Gの一例を示している。制御部21は、開始ボタン404が押されると、機械点検DB252より対応する点検説明文のデータを読み出し、ウインドウ402内に点検説明文421として表示するよう制御する。制御部21は、ウインドウ402内に、動画再生ボタン422及び点検終了ボタン427を表示する。第2の点検者が動画再生ボタン422を押せば、
図5と同様に、制御部21は、ウインドウ402内に選択点検項目であるレンズ点検に対応する点検動画を表示する。
【0055】
第2の点検者は習熟度が高い点検者であるので、点検動画を見なくてもレンズ点検を実施できる可能性が高い。そこで、制御部21は、点検者レベルが2である点検者を顔認証している状態においては、
図5のように自動的に点検動画の表示に移行させるのではなく、動画再生ボタン422が押されて点検動画が指示されたときに点検動画の表示に移行させる。
【0056】
図14は、第2の点検者がレンズ点検を完了して、点検終了ボタン427が押された後に、ウインドウ402内に点検結果の入力欄が表示されている状態の点検管理画像40Hの一例を示している。第2の点検者はレンズ点検が完了したことをチェックするチェック欄428にチェックし、必要に応じて、操作部26を操作してコメント入力欄429に所定のコメントを記入する。第2の点検者が保存ボタン430を押すと、制御部21は、点検日、点検者名、清掃が完了したこと、及びコメントを、機械点検DB252の対応する点検履歴情報に追記するよう制御する。
【0057】
図15は、
図13に示す点検管理画像40Gにおける二次元コード表示ボタン423が押されて、ウインドウ402内に二次元コード433が表示されている状態の点検管理画像40Iの一例を示している。二次元コード433は、
図16に示す二次元コード情報433iを含む。
図16に示すように、二次元コード情報433iは、点検者情報として、点検者名、表示言語、点検者レベルを含む。二次元コード情報433iが含む情報は、二次元コード情報413iが含む情報と同様に、点検者名、表示言語、点検者レベル、機械名、機械サイズ、選択点検項目の点検項目ID、点検管理装置20のIPアドレス、機械点検DB252の位置を示すパスである。
【0058】
二次元コード情報433iにおいては、点検者名はJohn Doe、点検者レベルは2である。選択点検項目はレンズ点検であるから、点検項目IDはRD005である。Jane Doe氏に設定されている表示言語とJohn Doe氏に設定されている表示言語はいずれもJPであるので、表示言語は変更されずJPのままである。
【0059】
John Doe氏が携帯端末30のカメラによって二次元コード433を読み込むと、
図9及び
図10と同様に、John Doe氏は携帯端末30によって工作機械10の点検結果を点検管理装置20に送信して、機械点検DB252の選択点検項目に対応する点検履歴情報に追記することができる。なお、Jane Doeが使用する携帯端末30とJohn Doe氏が使用する携帯端末30とは異なる携帯端末であってよい。
【0060】
以上のように、点検管理装置20によれば、工作機械10を非習熟者が点検する場合、習熟者が点検する場合のいずれであっても、工作機械10を適切に点検するよう管理することができる。点検管理装置20によれば、携帯端末30によって工作機械10を管理することも可能である。
【0061】
図17を用いて、点検管理装置20の動作、または点検管理装置20が実行する点検管理方法を説明する。
図17において、点検管理装置20が動作を開始すると、制御部21は、ステップS1にて、点検日に到達または超過している点検が必要な点検項目を検索して抽出する。制御部21は、ステップS2にて、顔認証により点検者を特定したか否かを判定する。点検者を特定しなければ(NO)、制御部21はステップS2の処理を繰り返す。点検者を特定すれば(YES)、制御部21は、ステップS3にて、点検者情報ファイル251より特定した点検者の情報を取得する。
【0062】
制御部21は、ステップS4にて、点検が必要な点検項目があるか否かを判定する。点検が必要な点検項目があれば(YES)、制御部21は、ステップS5にて、点検が必要な点検項目のリスト(例えば、
図4の点検項目リスト401)を表示部22に表示する。制御部21は、ステップS6にて、いずれかの点検項目が選択されたか否かを判定する。いずれかの点検項目が選択されなければ(NO)、制御部21はステップS4及びS5の処理を繰り返す。
【0063】
ステップS6にていずれかの点検項目が選択されれば(YES)、制御部21は、ステップS7にて、点検者レベルが2であるか否かを判定する。点検者レベルが2であれば(YES)、制御部21は、ステップS8にて、選択点検項目の点検を促す案内を表示する。
図13の点検説明文421は点検項目の点検を促す案内の一例である。制御部21は、ステップS9にて、点検動画の再生指示がなされたか否かを判定する。点検動画の再生指示がなされれば(YES)、制御部21は、ステップS10にて、選択された点検項目に対応する点検動画を再生して、処理をステップS11に移行させる。点検動画の再生指示がなされなければ(NO)、制御部21は処理をステップS11に移行させる。
【0064】
制御部21は、ステップS11にて、点検結果が入力されて点検履歴への保存が指示されたか否かを判定する。点検履歴への保存が指示されなければ(NO)、制御部21はステップS11の処理を繰り返す。点検履歴への保存が指示されれば(YES)、制御部21は、ステップS12にて、機械点検DB252の選択点検項目に対応する点検履歴情報に点検結果を追記して、処理をステップS13に移行させる。
【0065】
ステップS7にて点検者レベルが2でなければ(NO)、点検者は点検者レベルが1であるから、制御部21は、ステップS10にて、選択された点検項目に対応する点検動画を再生して、処理をステップS11に移行させる。この場合も、制御部21は、ステップS11及びS12を実行させて、処理をステップS13に移行させる。
【0066】
制御部21は、ステップS13にて、点検日に到達または超過している点検が必要な点検項目を再検索して、処理をステップS4に戻し、ステップS4以降の処理を繰り返す。ステップS13においては、ステップS1にて検索されて既に抽出されている点検項目から点検が必要な点検項目を再検索すればよい。
【0067】
ステップS4にて点検が必要な点検項目がなければ(NO)、制御部21は、ステップS14にて、表示部22に点検履歴の一覧を表示して、処理をステップS15に移行させる。点検履歴は過去の点検実績だけでなく、将来の点検予定日を含んでもよい。点検者は、表示部22に表示されている点検履歴の一覧を見て、工作機械10の各種の点検項目の点検実績を確認することができ、将来の点検予定日を確認することができる。
【0068】
制御部21は、ステップS15にて、点検履歴の一覧の表示を終了する指示がなされたか否かを判定する。点検履歴の一覧の表示を終了する指示がなされなければ(NO)、制御部21はステップS14及びS15の処理を繰り返す。点検履歴の一覧の表示を終了する指示がなされば(YES)、制御部21は処理を終了させる。制御部21は、ステップS14を省略して、ステップS4にて点検が必要な点検項目がなければそのままステップS15に移行させてもよい。
【0069】
図17に示す点検管理装置20の動作、または点検管理装置20が実行する点検管理方法において、制御部21は、
図18に示すサブルーチンを実行する。
図18において、制御部21は、ステップS21にて、二次元コードを表示する指示がなされたか否かを判定する。二次元コードを表示する指示がなされなければ(NO)、制御部21はステップS21の処理を繰り返す。二次元コードを表示する指示がなされれば(YES)、制御部21は、ステップS22にて、表示部22に二次元コードを表示する。
【0070】
制御部21は、ステップS23にて、点検管理装置20と携帯端末30とが無線接続されたか否かを判定する。点検管理装置20と携帯端末30とが無線接続されれば(YES)、制御部21は、ステップS253にて、二次元コードを消去して、処理をステップS21に戻す。点検管理装置20と携帯端末30とが無線接続されなければ(NO)、制御部21は、ステップS24にて、二次元コードを消去する指示がなされたか否かを判定する。二次元コードを消去する指示がなされなければ(NO)、制御部21は処理をステップS22に戻す。二次元コードを消去する指示がなされれば(YES)、制御部21は、ステップS25にて、二次元コードを消去して、処理をステップS21に戻す。
【0071】
図19を用いて、携帯端末30の動作、または携帯端末30が実行する点検管理方法を説明する。
図19において、携帯端末30のカメラが二次元コードを撮影すると、携帯端末30が備える中央処理装置(以下、CPU)は、ステップS31にて、二次元コードを読み込み、ステップS32にて、点検管理装置20と無線接続する。
【0072】
CPUは、ステップS33にて、点検者レベルが2であるか否かを判定する。点検者レベルが2であれば(YES)、CPUは、ステップS34にて、選択点検項目の点検を促す案内を表示する。CPUは、ステップS35にて、点検動画の再生指示がなされたか否かを判定する。点検動画の再生指示がなされれば(YES)、CPUは、ステップS36にて、選択された点検項目に対応する点検動画を再生して、処理をステップS37に移行させる。点検動画の再生指示がなされなければ(NO)、CPUは処理をステップS35からステップS37に移行させる。
【0073】
CPUは、ステップS37にて、点検結果が入力されて点検履歴への保存が指示されたか否かを判定する。点検履歴への保存が指示されなければ(NO)、CPUはステップS37の処理を繰り返す。点検履歴への保存が指示されれば(YES)、CPUは、ステップS38にて、入力された点検結果を点検管理装置20に送信して機械点検DB252の選択点検項目に対応する点検履歴情報に追記して、処理を終了させる。
【0074】
ステップS33にて点検者レベルが2でなければ(NO)、点検者は点検者レベルが1であるから、CPUは、ステップS36にて、選択された点検項目に対応する点検動画を再生して、処理をステップS37に移行させる。この場合も、CPUは、ステップS37及びS38を実行させて、処理を終了させる。
【0075】
図19に示す携帯端末30の動作、または携帯端末30が実行する点検管理方法において、CPUは、
図20に示すサブルーチンを実行する。CPUは、ステップS41にて、写真撮影の指示がなされたか否かを判定する。写真撮影の指示がなされなければ(NO)、CPUはステップS51の処理を繰り返す。写真撮影の指示がなされれば(YES)、CPUは、ステップS42にて、カメラによって所定の被写体を写真撮影するよう制御する。所定の被写体とは、点検履歴に残しておきたい工作機械10の所定の箇所である。CPUは、ステップS43にて、点検履歴に写真データを添付して、処理をステップS41に戻す。
【0076】
点検者が工作機械10の所定の箇所を写真撮影すれば、CPUは、
図19のステップS38にて、写真データを含む点検結果を点検管理装置20に送信して、機械点検DB252の選択点検項目に対応する点検履歴情報に追記する。
【0077】
以上のように、1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法によれば、点検管理装置20によって、または携帯端末30によって、工作機械10の点検を管理することができる。1またはそれ以上の実施形態に係る工作機械の点検管理装置及び工作機械の点検管理方法によれば、工作機械10を非習熟者の点検者が点検する場合、習熟者の点検者が点検する場合のいずれであっても、工作機械10を適切に点検するよう管理することができる。
【0078】
本発明は以上説明した1またはそれ以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 工作機械
11 NC装置
12 工作機械本体
20 点検管理装置
21 制御部
22 表示部(第1の表示部)
23 カメラ(第1のカメラ)
24 記憶媒体
25 記憶部
26 操作部
30 携帯端末
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記記憶部は、
工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、
前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御し、
前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させるよう制御する
工作機械の点検管理装置。
【請求項2】
記憶部と、
制御部と、
を備え、
前記記憶部は、
工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、
前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースと、
を記憶し、
前記制御部は、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御し、
携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記工作機械の点検管理装置のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示するよう制御する
工作機械の点検管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記工作機械の点検管理装置のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示するよう制御する請求項1に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項4】
前記工作機械を点検する点検者を撮影する第1のカメラをさらに備え、
前記点検者情報ファイルは、前記各点検者を顔認証するための点検者顔画像をさらに含み、
前記制御部は、前記第1のカメラが撮影する点検者を、前記点検者情報ファイルの前記点検者顔画像を用いて顔認証する
請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項5】
前記コードを読み取った前記携帯端末は、前記IPアドレスに基づいて前記工作機械の点検管理装置と無線にて接続し、
前記携帯端末は、
前記選択点検項目の点検レベルと前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されるとき、前記携帯端末が備える第2の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させ、
前記選択点検項目の点検結果が入力されると、入力された点検結果を前記機械点検データベースの前記選択点検項目に対応する前記点検履歴情報に追記するよう制御する
請求項2または3に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記携帯端末が備える第2のカメラが撮影した前記工作機械における所定の箇所の写真データを前記点検結果に含ませて前記点検履歴情報に追記するよう制御する請求項5に記載の工作機械の点検管理装置。
【請求項7】
コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、
前記コンピュータ機器が備える制御部が、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定し、
前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させ、
前記表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させる
工作機械の点検管理方法。
【請求項8】
コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、
前記コンピュータ機器が備える制御部が、
前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、
前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、
前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定し、
前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させ、
携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記コンピュータ機器のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示する
工作機械の点検管理方法。
【請求項9】
前記制御部が、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記コンピュータ機器のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示する請求項7に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項10】
前記点検者情報ファイルは、前記各点検者を顔認証するための点検者顔画像をさらに含み、
前記制御部が、前記工作機械を点検する点検者を撮影する第1のカメラによって撮影された点検者を、前記点検者情報ファイルの前記点検者顔画像を用いて顔認証する
請求項7~9のいずれか1項に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項11】
前記コードを読み取った前記携帯端末は、前記IPアドレスに基づいて前記コンピュータ機器と無線にて接続し、
前記携帯端末が、
前記選択点検項目の点検レベルと前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されるとき、前記携帯端末が備える第2の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させ、
前記選択点検項目の点検結果が入力されると、入力された点検結果を前記機械点検データベースの前記選択点検項目に対応する前記点検履歴情報に追記する
請求項8または9に記載の工作機械の点検管理方法。
【請求項12】
前記携帯端末が、前記携帯端末が備える第2のカメラが撮影した前記工作機械における所定の箇所の写真データを前記点検結果に含ませて前記点検履歴情報に追記する請求項11に記載の工作機械の点検管理方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
1またはそれ以上の実施形態の第1の態様は、記憶部と、制御部とを備え、前記記憶部は、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、前記制御部は、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させるよう制御する工作機械の点検管理装置を提供する。
上記の工作機械の点検管理装置において、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させるよう制御することが好ましい。また、上記の工作機械の点検管理装置において、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記工作機械の点検管理装置のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示するよう制御することが好ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
1またはそれ以上の実施形態の第2の態様は、コンピュータ機器が備える記憶部が、工作機械を点検する複数の点検者における各点検者の点検者レベルを含む点検者情報を示す点検者情報ファイルと、前記工作機械の複数の点検項目における各点検項目を点検すべきタイミングを決める点検頻度と、前記各点検項目を点検するために必要な点検者レベルを示す点検レベルと、前記各点検項目の点検履歴情報とを含む機械点検データベースとを記憶し、前記コンピュータ機器が備える制御部が、前記工作機械を点検しようとする第1の点検者を認証すると、前記点検者情報ファイルを参照することにより前記第1の点検者の点検者レベルを取得し、前記機械点検データベースを参照して、点検が必要なタイミングに到達しているか点検が必要なタイミングを超過している点検項目を抽出して、抽出した点検項目をリスト化した点検項目リストを第1の表示部に表示し、前記第1の点検者が選択した前記点検項目リストのうちのいずれかの選択点検項目の点検レベルと、取得された前記第1の点検者の点検者レベルとを比較して、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されているかいないかを判定し、前記第1の点検者が前記選択点検項目を点検することが許可されていないとき、前記第1の表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示して、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を不可とする状態に移行させる工作機械の点検管理方法を提供する。
上記の工作機械の点検管理方法において、前記表示部に前記選択点検項目を点検することができないことを示す視覚情報を表示している状態で、前記選択点検項目を点検することが許可される点検者レベルが設定されている第2の点検者を認証すると、前記視覚情報を消去し、前記第1の表示部に表示されている画像を前記選択点検項目の点検結果の入力を可とする状態に移行させることが好ましい。また、上記の工作機械の点検管理方法において、携帯端末で前記工作機械を点検するためのコードを表示するよう指示されると、少なくとも、前記第1の点検者の点検者レベル、前記選択点検項目を特定する点検項目ID、前記コンピュータ機器のIPアドレス、前記機械点検データベースのパスを含むコード情報を示すコードを前記第1の表示部に表示することが好ましい。