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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061260
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】光ファイバー集束スリーブ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/04 20060101AFI20240425BHJP
   D03D 15/547 20210101ALI20240425BHJP
   D03D 3/02 20060101ALI20240425BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G02B6/04 D
D03D15/547
D03D3/02
D03D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169100
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 彰伸
(72)【発明者】
【氏名】石津 陽平
(72)【発明者】
【氏名】藤森 健太
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
【テーマコード(参考)】
2H250
4L048
【Fターム(参考)】
2H250CA02
2H250CA03
2H250CA26
2H250CA48
2H250CA62
2H250CA69
2H250CC08
2H250CD13
2H250CZ11
4L048AC02
4L048BB04
4L048DA24
(57)【要約】
【課題】光ファイバーに対する取付作業性に優れる光ファイバー集束スリーブを提供する。
【解決手段】複数本の光ファイバー31の端部を集束させる光ファイバー集束スリーブ10であって、前記複数本の光ファイバー31の束の周囲を被覆する筒状をなすとともに、その軸方向に沿って分割可能とされた筒状の内筒部11と、前記内筒部11に外嵌された外筒部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバーの端部を集束させる光ファイバー集束スリーブであって、
前記複数本の光ファイバーの束の周囲を被覆する筒状をなすとともに、その軸方向に沿って分割可能とされた内筒部と、
前記内筒部に外嵌された外筒部と、を備える光ファイバー集束スリーブ。
【請求項2】
前記内筒部は、前記光ファイバーの端末側に配される径小部と、前記径小部に連なるとともにその外径が前記径小部の外径よりも径大とされた径大部と、を備え、
前記外筒部は前記径小部に外嵌されている請求項1に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【請求項3】
前記外筒部が前記径小部に外嵌された状態において、前記外筒部の外面は前記径大部の外面と面一に連なっている請求項2に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【請求項4】
前記内筒部は、前記光ファイバーの端末側に配置される一端部から当該内筒部の軸方向に沿って延びる複数のスリットを備えており、
前記外筒部は、前記一端部の反対側に配される他端部側から前記一端部側にかけてその内径が縮径されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【請求項5】
前記複数のスリットのうち少なくとも一部は、前記他端部側の端部から前記内筒部の周方向に沿って延びるスリット状の被係止部を備えており、
前記外筒部は、その内周面に、前記スリットに案内されるとともに前記被係止部に係止可能な係止突部を備えている請求項4に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【請求項6】
前記内筒部は、その軸方向に沿って開閉可能に2分割された第1分割体および第2分割体を備え、
前記第1分割体および前記第2分割体の互いに対向する対向端面のうちの一方に、相手側の分割体に向けて前記内筒部の周方向に沿って延びる片状の突片を備え、他方に、前記突片を嵌め入れる凹部を備えている請求項1または請求項2に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【請求項7】
前記外筒部の外面に、相手側ハウジングに取り付けるための取付部が設けられている請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の光ファイバー集束スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、光ファイバー集束スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の光ファイバーの端部を束ねるスリーブとして、下記特許文献1のものが知られている。このスリーブは、長手方向の全体に亘って切込状の欠損部を有する内筒と、該内筒を内側に挿入する外筒とからなる。内筒の外面と外筒の内面には、互いに螺合可能なねじが設けられている。光ファイバーの端部にこのスリーブを取り付ける際には、光ファイバーの束をまず外筒に挿入した後、内筒に挿入し、内筒を外筒にねじ込む。この時、外筒の内面に光ファイバーの端面に向かって内径が拡大するテーパを設けておくことで、内筒を外筒にねじ込むに従って欠損部が狭まり、光ファイバー束の充填率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-165003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記構成のスリーブは、光ファイバーの束を外筒と内筒の双方に貫通させる必要があり、作業性が良くない。また、内筒は上述したようにねじ切り部分に欠損部が設けられているため、ねじ込みの際に欠損部が引っ掛かって回転が妨げられることが懸念される。
【0005】
本明細書に開示される技術は上記事情に鑑みてなされたものであって、光ファイバーに対する取付作業性に優れる光ファイバー集束スリーブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、複数本の光ファイバーの端部を集束させる光ファイバー集束スリーブであって、前記複数本の光ファイバーの束の周囲を被覆する筒状をなすとともに、その軸方向に沿って分割可能とされた筒状の内筒部と、前記内筒部に外嵌された外筒部と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、複数本の光ファイバーを束ねた光ファイバー束の端部に集束スリーブを取り付ける際には、内筒部を分割し、その分割された状態の内筒部の内側に光ファイバー束を挟み込むように内筒部を組み付けて、閉じた状態とする。そしてその後、閉じた状態の内筒部に対して外筒部を外嵌させればよい。つまり、光ファイバー束を筒状の外筒部および内筒部の双方に貫通させる従来の構成と比較して、光ファイバーに対する集束スリーブの取付作業性が向上する。
【0008】
前記内筒部は、前記光ファイバーの端末側に配される径小部と、前記径小部に連なるとともにその外径が前記径小部の外径よりも径大とされた径大部と、を備え、前記外筒部は前記径小部に外嵌されていてもよい。
【0009】
上記構成によれば、外筒部を内筒部に対して外嵌する際に、内筒部の径小部と径大部との間に形成される段差に突き当たる位置まで外筒部を光ファイバーの端末側から押し込めばよいから、外筒部を内筒部の一端側(光ファイバーの端末側)の決められた位置まで確実かつ簡単に外嵌することができる。
【0010】
前記外筒部が前記径小部に外嵌された状態において、前記外筒部の外面は前記径大部の外面と面一に連なっていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、光ファイバー集束スリーブの外面を全体として面一にすることができる。従って、光ファイバー集束スリーブを例えば光源装置等に接続する際に、その接続構成を簡易化することができる。
【0012】
前記内筒部は、前記光ファイバーの端末側に配置される一端部から当該内筒部の軸方向に沿って延びる複数のスリットを備えており、前記外筒部は、前記一端部の反対側に配される他端部側から前記一端部側にかけてその内径が縮径されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、外筒部を内筒部に外嵌した際には、外筒部の内周面に押されて一端部側のスリットの幅が縮小され、内筒部の一端部側が縮径されるから、光ファイバー束の端末側の密度を高めることができる。
【0014】
前記複数のスリットのうち少なくとも一部は、前記他端部側の端部から前記内筒部の周方向に沿って延びるスリット状の被係止部を備えており、前記外筒部は、その内周面に、前記スリットに案内されるとともに前記被係止部に係止可能な係止突部を備えていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、外筒部を内筒部に外嵌させて所定の位置まで押し込んだ後、外筒部を内筒部に対して周方向に回して係止突部を被係止部に係止させることにより、外筒部が意図せず内筒部から外れることが抑制される。
【0016】
前記内筒部は、その軸方向に沿って開閉可能に2分割された第1分割体および第2分割体を備え、前記第1分割体および前記第2分割体の互いに対向する対向端面のうちの一方に、相手側の分割体に向けて前記内筒部の周方向に沿って延びる片状の突片を備え、他方に、前記突片を嵌め入れる凹部を備えていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1分割体と第2分割体とを組み付けて閉じた状態とする際に、突片と凹部とにより位置決めすることができる。
【0018】
前記外筒部の外面に、相手側ハウジングに取り付けるための取付部が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本明細書に開示される技術によれば、光ファイバーに対する取付作業性に優れる光ファイバー集束スリーブが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態のスリーブと光源装置の一部を示す分解斜視図
図2】内筒部を分割した状態を示す斜視図
図3】スリーブを取り付けた光ファイバーを光源装置に接続した状態を示す断面図
図4】織物から延出された複数本の光ファイバーにスリーブを取り付ける方法を示す図であって、一対の分割体により光ファイバー束を挟み込む工程を示す模式図
図5】内筒部に外筒部を外嵌させる工程を示す断面図
図6】内筒部に外筒部を外嵌させた状態を示す断面図
図7】スリーブからはみ出した光ファイバーの端末を切り揃える工程を示す断面図
図8】他の実施形態のスリーブの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施形態を図1から図7によって説明する。本実施形態に係るスリーブ(光ファイバー集束スリーブの一例)10は、複数本の光ファイバー31の端部を集束させるものであって、複数本の光ファイバー31が束ねられた光ファイバー束32の延び方向に沿って延びて光ファイバー束32の周囲を被覆する筒状をなす内筒部11と、内筒部11の一端側に外嵌される外筒部20と、を備えて構成されている(図1および図3参照)。本実施形態において、内筒部11、および、外筒部20は、いずれもポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカABS樹脂等の合成樹脂製とされている。
【0022】
図2に示すように、内筒部11は、その軸方向(光ファイバー束32の延び方向)に沿って開閉可能に2分割されている。以下、2分割された内筒部11の一方を第1分割体11Aとし、他方を第2分割体11Bとして説明する。また第1分割体11Aのうち第2分割体11Bと付き合わされる端面を第1分割端面110A(対向端面の一例)、第2分割体11Bのうち第1分割体11Aと付き合わされる端面を第2分割端面110B(対向端面の一例)と称することとする。第1分割体11Aおよび第2分割体11Bは、内筒部11の軸に対して線対称形とされている。
【0023】
図1から図3に示すように、内筒部11は、全体として、一端側が外径が細い径小部12とされ、他端側が径小部12と比較して外径が太い径大部15とされている。径小部12の内径と径大部15の内径は、同等とされている。つまり、内筒部11の内周面は面一に連なっている。一方、外周面は、径小部12と径大部15との境界部において段差16を有している。換言すると、外筒部20の肉厚は、内筒部11の肉厚と比較して大とされている。
【0024】
径小部12には、一端側(径大部15の反対側、図1および図2の右下側)から内筒部11の軸に沿って延びる複数のスリット13,14が設けられている。本実施形態において、スリット13,14は、等間隔に合計4本設けられている。
【0025】
これら4本のスリット13,14うち、互いに対向する2つの第1スリット13は、径小部12の一端側から径大部15に到達する位置まで延びている。すなわち、2つの第1スリット13は、内筒部11の軸方向において径小部12と同等の長さ寸法とされている(図1参照)。
【0026】
また、これら4本のスリット13,14のうち、互いに対向する他の2つの第2スリット14は、径小部12の一端側から径大部15に到達する手前まで延びるとともに、周方向に屈曲した全体としてL字形状とされている。より詳細には、2本の第2スリット14は、図2に示すように、内筒部11の軸方向に沿って延びる第1部分14Aと、第1部分14Aと連なって内筒部11の周方向に沿って延びる第2部分14B(被係止部の一例)と、を有して構成されている。第1部分14Aは、径小部12の長さ寸法よりもやや短い寸法とされている。一方第2部分14Bは、第1部分14Aから同方向(図2の右下から視て反時計回りの方向)に屈曲しており、隣り合って配された第1スリット13に到達しない長さ寸法とされている。
【0027】
径大部15には、各分割端面110A,110Bから周方向に延出された突片17が設けられている。具体的には、第1分割体11Aの径大部15の軸方向における中央部には、一方の第1分割端面110Aから内筒部11(径大部15)の周方向に沿って延出された片状の第1突片17Aが設けられている。一方、第2分割体11Bのうち、第1分割体11Aの第1突片17Aに対応する一方の第2分割端面110Bには、第1分割体11Aと第2分割体11Bの組付け状態において第1突片17Aを嵌め入れるための第2凹部18Bが設けられている。
【0028】
さらに、第2分割体11Bの径大部15の軸方向における中央部には、他方の第2分割端面110Bから内筒部11の周方向に沿って延出された片状の第2突片17Bが設けられており、第1分割体11Aのうち、第2分割体11Bの第2突片17Bに対応する他方の第1分割端面110Aには、第1分割体11Aと第2分割体11Bの組付け状態において第2突片17Bを嵌め入れるための第1凹部(図示せず)が設けられている。
【0029】
このような構成により、内筒部11において第1分割体11Aと第2分割体11Bとが組付けられる際には、第1突片17Aを第2凹部18Bに嵌め入れるとともに、第2突片17Bを第1凹部に嵌め入れることにより、両分割体11A,11Bを正規の姿勢で正しい位置に組付けることが可能となる。
【0030】
なお、上述した4本のスリット13,14は、第1分割体11Aに2本、第2分割体11Bに2本設けられている。
【0031】
上述したように、内筒部11の一端側である径小部12には、外筒部20が外嵌される。外筒部20は、軸方向において内筒部11の径小部12と同じ長さ寸法の筒状をなしている。外筒部20は、ほぼ全体が一定の肉厚とされており、光ファイバー束32の先端側に配される一端側(図1の右下側)の径が、その反対側に配される基端側(径大部15側)の径よりもやや縮径された、側面視台形状とされている。外筒部20の基端側の内径は、内筒部11の径小部12の外径と同等あるいは径小部12の外径より僅かに大きい寸法に設定されている。また、外筒部20の基端側の外径は、内筒部11の径大部15の外径と同等とされている。
【0032】
外筒部20の内周面の基端側寄りの位置には、2つの係止突部21が互いに対向する位置に設けられている。係止突部21は、内筒部11の第2スリット14に挿入可能な寸法に設定されている。内筒部11の第1分割体11Aおよび第2分割体11Bが互いに組付けられた状態において、外筒部20は径小部12に対して外嵌可能とされており、その組付け作業の際には、係止突部21を互いに対向する2つの第2スリット14に挿入することにより、当該外筒部20を内筒部11に対して正規の姿勢に案内する。
【0033】
また、外筒部20が段差16に突き当たり、外筒部20が内筒部11に対して軸方向における正規の位置まで外嵌されると、係止突部21は第2スリット14の第1部分14Aの奥側の壁に突き当たるように設定されており、この状態で外筒部20を内筒部11に対して周方向(図1の右下側から視て反時計回り)に回すことにより、係止突部21が第2部分14Bに沿って進んでその縁部に係止し、もって、内筒部11に対して抜け止めされた状態とされる。
【0034】
またこの組付け作業の際、外筒部20は先端側が縮径されているから、内筒部11の径小部12の先端側は外筒部20の内面に沿うように徐々に締め付けられ、つまり、スリット13,14の幅が狭められ、もって、先端側が縮径される(図6参照)。
【0035】
なお、外筒部20が内筒部11に外嵌された状態において、外筒部20の外面は内筒部11の径大部15の外面と面一に連なっている(図6参照)。
【0036】
また、外筒部20の周方向において係止突部21が設けられた角度からややずれた位置であって、外筒部20の先端部には、外筒部20の外面から径方向の外側に向けて突出する一対の案内突部22(取付部の一例)が設けられている。これら案内突部22は、後述する光源装置40に対してスリーブ10を取り付けるためのものである。
【0037】
上述した本実施形態のスリーブ10は、例えば以下のように使用される。スリーブ10は、例えば、構成糸として光ファイバー31を含む織物30の端部から延び出した複数本の光ファイバー31の端末を集束させるものとされる(図4参照)。織物30の構成、用途、形状等は特に問わないが、例えば車両(自動車)の内装材であるドアトリムを構成する部材に利用される表皮材である。スリーブ10によって結束された複数本の光ファイバー31は、スリーブ10を光源装置40に取り付けることにより、光源装置40から光が入射可能とされる。
【0038】
光源装置40は、図3に示すように、一端が閉じられた筒状のLEDハウジング(相手側ハウジングの一例)41と、LEDハウジング41の一端側の内側に設けられたLED43(光源)と、LED43から発光された光を導光しつつ集光する集光レンズ44と、を備える。集光レンズ44はガラス等の光透過材からなり、LED43から出射された光を光ファイバー束32の端末に向けて集光する。
【0039】
図3では、スリーブ10の先端から露出した光ファイバー束32の端末が、集光レンズ44に押し当てられている。光ファイバー束32の端末は、LED43に対向する位置に配されている。LED43から出射した光は、集光レンズ44を通して光ファイバー束32の端末に入光し、スリーブ10の内側を通って各光ファイバー31から織物30へ導光される。織物30では、縦糸として織り込まれた光ファイバー31から光が出光することにより、意匠性に富んだ模様を呈することができる。
【0040】
続いて、光ファイバー31に対するスリーブ10の取付方法について説明する。まず、図2および図4に示すように、内筒部11を第1分割体11Aおよび第2分割体11Bに分割し、織物30の端部から延出された複数本の光ファイバー31を束ねて、各分割体11A,11Bの内側に挟み込む。この時、径小部12が光ファイバー31の先端側、径大部15がその反対側(基端側)となる向きとする。2つの分割体11A,11Bを組み付けることで、筒状の内筒部11の内側に光ファイバー束32が挿通された状態とする(図5参照)。
【0041】
次に、外筒部20を、その径が大きい側から内筒部11に近づけ、径小部12に外嵌させる。この時、外筒部20の係止突部21を内筒部11の第2スリット14に挿入することで、内筒部11に対する外筒部20の挿入姿勢が正規の姿勢に案内される。またこの時、外筒部20の内周は光ファイバー31の先端側が縮径するテーパ状とされているから、径小部12は外筒部20が外嵌されるのに従ってスリット13,14の幅が狭められ、先端側の径が徐々に縮径される。つまり、光ファイバー束32の先端側の密度が徐々に高められる(図6参照)。
【0042】
そして、外筒部20の基端側(進行方向側)の端部が内筒部11の段差16に当接したら、次に、外筒部20を内筒部11に対して周方向に旋回させる。これにより、係止突部21が第2スリット14の第2部分14B内に進入してその縁部に係止され、もって、外筒部20が内筒部11から意図せず外れることが抑制される。
【0043】
この状態においては、複数本の光ファイバー31はスリーブ10の端部から長さが不均一になった状態で延び出している(図6参照)。そこで、次に、スリーブ10から延び出した光ファイバー束32の端部をカッター等の切断装置(不図示)で切断し、切り揃える(図7参照)。これにより、スリーブ10の端部において複数の光ファイバー31(光ファイバー束32)の端末が揃った状態とされる。その後、切断面を研磨する。
【0044】
このように端末が切り揃えられた光ファイバー束32は、スリーブ10をLEDハウジング41の内部に所定位置まで挿入することにより、集光レンズ44に押し当てられる(図3参照)。この時、スリーブ10の外筒部20に設けられた案内突部22を、LEDハウジング41の案内溝42内に進入させることにより、LEDハウジング41に対するスリーブ10の挿入姿勢が正規の姿勢に案内され、光ファイバー束32の端末を集光レンズ44に対して確実に押し当てることができる。
【0045】
次に、作用効果について説明する。本実施形態のスリーブ10は、複数本の光ファイバー31の束の周囲を被覆する筒状をなすとともに、その軸方向に沿って分割可能とされた筒状の内筒部11と、内筒部11に外嵌された外筒部20と、を備える。
【0046】
上記構成によれば、複数本の光ファイバー31を束ねた光ファイバー束32の端部にスリーブ10を取り付ける際には、内筒部11を分割し、その分割された状態の内筒部11の内側に光ファイバー束32を挟み込むように内筒部11を組み付けて、閉じた状態とする。そしてその後、閉じた状態の内筒部11に対して外筒部20を外嵌させればよい。つまり、光ファイバー束32を筒状の外筒および内筒の双方に貫通させる従来の構成と比較して、光ファイバー31に対するスリーブ10の取付作業性が向上する。
【0047】
また、内筒部11は、光ファイバー31の端末側に配される径小部12と、径小部12に連なるとともにその外径が径小部12の外径よりも径大とされた径大部15と、を備え、外筒部20は径小部12に外嵌されている。
【0048】
上記構成によれば、外筒部20を内筒部11に対して外嵌する際に、内筒部11の径小部12と径大部15との間に形成される段差16に突き当たる位置まで外筒部20を光ファイバー31の端末側から押し込めばよいから、外筒部20を内筒部11の一端側(光ファイバー31の端末側)の決められた位置まで確実かつ簡単に外嵌することができる。
【0049】
また、外筒部20が径小部12に外嵌された状態において、外筒部20の外面は径大部15の外面と面一に連なっている。
【0050】
上記構成によれば、スリーブ10の外面を全体として面一にすることができる。従って、スリーブ10が取り付けられた光ファイバー束32を光源装置40に接続する際に、その構成を簡易化することができる。
【0051】
また、内筒部11は、光ファイバー31の端末側に配置される先端部から当該内筒部11の軸方向に沿って延びる複数のスリット13,14を備えており、外筒部20は、基端側から先端側にかけてその内径が縮径されている。
【0052】
上記構成によれば、外筒部20を内筒部11に外嵌した際には、外筒部20の内周面に押されて先端側のスリット13,14の幅が縮小され、内筒部11の先端側が縮径されるから、光ファイバー束32の端末側(先端側)の密度を高めることができる。また、従来のようにスリットが入ったねじによる締め付けでなく、弾性を利用したスナップフィット構造とされているため、従来と比較して締め付け時の引っ掛かりがなく、取付作業性に優れる。
【0053】
また、第2スリット14は、基端側の端部から内筒部11の周方向に沿って延びるスリット状の被係止部(第2部分14B)を備えており、外筒部20は、その内周面に、第2スリット14の第1部分14Aに案内されるとともに第2部分14Bに係止可能な係止突部21を備えている。
【0054】
上記構成によれば、外筒部20を内筒部11に外嵌させて所定の位置まで押し込んだ後、外筒部20を内筒部11に対して周方向に回して係止突部21を第2部分14Bに係止させることにより、外筒部20が意図せず内筒部11から外れることが抑制される。
【0055】
また、内筒部11は、その軸方向に沿って開閉可能に2分割された第1分割体11Aおよび第2分割体11Bを備え、第1分割端面110Aに、第2分割体11Bに向けて内筒部11の周方向に沿って延びる第1突片17Aを備え、第2分割端面110Bに、第1突片17Aを嵌め入れる第2凹部18Bを備えている。また、第2分割端面110Bに、第1分割体11Aに向けて内筒部11の周方向に沿って延びる第2突片17Bを備え、第1分割端面110Aに、第2突片17Bを嵌め入れる第1凹部を備えている。
【0056】
上記構成によれば、第1分割体11Aと第2分割体11Bとを組み付けて閉じた状態とする際に、突片17A,17Bと凹部18Bとにより位置決めすることができる。
【0057】
さらに、外筒部20の外面に、LEDハウジング41に取り付けるための案内突部22が設けられている。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記スリーブ10の材質は特に問わない。スリーブ10は、例えば、合成樹脂以外の鉄、アルミニウム等の金属製であってもよい。また、内筒部および外筒部を合成樹脂と金属の組合せなど異なる材料で構成してもよい。
【0060】
(2)また、スリーブ10の形状も上記実施形態に限らず、例えば、図8に示すように、スリット114が被係止部(上記実施形態の第2部分14B)を備えず、内筒部111および外筒部120が、スリーブ100の外面に設けられた被係止部119および係止部123で互いに係止する構成とすることもできる。
【0061】
(3)上記実施形態では、内筒部11が径小部12と径大部15とを有する形態を示したが、内筒部11は全体が同じ外径であったり、一端側から他端側にかけて連続的に縮径あるいは拡径する構成であってもよい。
【0062】
(4)また、内筒部11が径小部12および径大部15を備える場合であっても、スリットは径小部だけでなく、径大部に跨って設けられる形態としてもよい。
【0063】
(5)また、内筒部11が径小部12および径大部15を備える場合であっても、外筒部が径小部に外嵌された状態において、外筒部の外面は径大部の外面と面一とされなくてもよい。
【0064】
(6)内筒部にスリットが設けられない形態や、外筒部の一端側が縮径されていない形態も、技術的範囲に含まれる。
【0065】
(7)また、第1分割体および第2分割体が互いに嵌合可能な突片や凹部を備えない構成も、技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
10:スリーブ(光ファイバー集束スリーブ)、11:内筒部、11A:第1分割体、11B:第2分割体、12:径小部、13:第1スリット、14:第2スリット、14A:第1部分、14B:第2部分(被係止部)、15:径大部、16:段差、17A:第1突片、17B:第2突片、18B:第2凹部、20:外筒部、21:係止突部、22:案内突部(取付部)、31:光ファイバー、32:光ファイバー束、41:LEDハウジング(相手側ハウジング)、110A:第1分割端面(対向端面)、110B:第2分割端面(対向端面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8