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特開2024-61265蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061265
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/78 20060101AFI20240425BHJP
   H01S 3/16 20060101ALI20240425BHJP
   C04B 35/50 20060101ALI20240425BHJP
   C04B 35/645 20060101ALI20240425BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20240425BHJP
   C09K 11/02 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
C09K11/78
H01S3/16
C04B35/50
C04B35/645
C09K11/08 B
C09K11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169111
(22)【出願日】2022-10-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、創発的研究支援事業「革新的異方性透明多結晶セラミック材料の創出」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 裕章
【テーマコード(参考)】
4H001
5F172
【Fターム(参考)】
4H001CA02
4H001CF02
4H001XA08
4H001XA57
4H001YA68
4H001YA70
4H001YA90
5F172AE01
5F172AF03
5F172AF06
(57)【要約】
【課題】酸化ランタンを母材としても透明なバルク体としての形態を維持できる蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法を提供する。
【解決手段】蛍光体2は、酸化ランタンからなる母材と、希土類元素から選択され、母材に固溶している活性元素と、を含む多数の結晶粒で構成され、蛍光波長域において透明性を有する透明多結晶体からなる。母材及び活性元素を含む各結晶粒の大きさは、蛍光体2から放出される蛍光の波長よりも小さくなるように構成されてもよい。母材及び活性元素を含む各結晶粒は、一定方向に配向されてもよい。また、光学素子1は、蛍光体2と、光を透過可能な材料で形成され、蛍光体2の表面全体を覆って蛍光体2を封止する封止部材3と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ランタンからなる母材と、希土類元素から選択され、前記母材に固溶している活性元素と、を含む多数の結晶粒で構成され、蛍光波長域において透明性を有する透明多結晶体からなる蛍光体。
【請求項2】
前記母材及び前記活性元素を含む各結晶粒の大きさは、前記蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくなるように構成されている、
請求項1に記載の蛍光体。
【請求項3】
前記母材及び前記活性元素を含む各結晶粒は、一定方向に配向されている、
請求項1に記載の蛍光体。
【請求項4】
前記活性元素は、原子番号が58番から70番までのランタノイドの少なくとも1つである、
請求項1に記載の蛍光体。
【請求項5】
前記活性元素は、イッテルビウム及びエルビウムの少なくとも1つである、
請求項1に記載の蛍光体。
【請求項6】
前記母材には複数の希土類元素が共添加されている、
請求項1に記載の蛍光体。
【請求項7】
請求項1に記載の蛍光体と、
光を透過可能な材料で形成され、前記蛍光体の表面全体を覆って前記蛍光体を封止する封止部材と、
を備える光学素子。
【請求項8】
前記封止部材は、
前記蛍光体において光を吸収又は放出する互いに対向する表面に封着された一対の板状部材と、
前記蛍光体の側面に封着し、塗布後に硬化したシール材で形成されている側面部材と、を備える、
請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記板状部材は、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム又はYAGの透明体で形成されている、
請求項8に記載の光学素子。
【請求項10】
請求項1に記載の蛍光体又は請求項7に記載の光学素子で構成されるレーザ媒質と、
前記レーザ媒質を挟み込むように配置され、前記レーザ媒質で励起された光を共振させる共振器と、
前記レーザ媒質を励起させるように前記レーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、
を備えるレーザ発振器。
【請求項11】
請求項1に記載の蛍光体又は請求項7に記載の光学素子で構成されるレーザ媒質と、
前記レーザ媒質を励起させるように前記レーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、
前記レーザ媒質で光が増幅されるように前記レーザ媒質に増幅用の光を供給する被増幅光源と、
を備えるレーザ増幅器。
【請求項12】
酸化ランタンからなる母材に希土類元素を固溶させた蛍光体の元となる微粉体を合成する合成工程と、
前記合成工程で得られた前記微粉体を成形型にセットし、一軸方向に加圧しながら加熱することで、前記合成工程で合成された前記微粉体を焼結させる焼結工程と、
を含む製造方法。
【請求項13】
前記焼結工程では、前記成形型内において前記合成工程で合成された前記微粉体を、蛍光体を封止する封止部材の元となる微粉体又は透明体で挟むようにセットする、
請求項12に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外部から光を吸収し、異なる波長の光に変換して放出する蛍光体が白色照明、レーザ材料、シンチレータ材料といった幅広い分野で利用されている。蛍光体における高効率な蛍光を実現するため、長年、蛍光体の母材として最適な材料の探索が行われ、フォノンエネルギーが低い材料に注目が集まっている。例えば、非特許文献1には、酸化物系材料の中でもフォノンエネルギーが低いものの1つである酸化ランタンを蛍光体の母材として用いる点が開示されている。なお、フォノンエネルギーは、赤外透過特性や蛍光特性に関連する物性値である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】R.H.Hoskins and B.H.Soffer,Fluorescence and Stimulated Emission from La2O3:Nd3+,Journal of Applied Physics 36,323,1965年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示された蛍光体には、数日で崩壊してしまいバルク体としての形態を長時間維持できない、酸化ランタンが高融点材料であるために単結晶の育成が困難である、酸化ランタンの結晶構造が六方晶系であるため、多結晶体を作成した場合に入射光が複屈折により結晶粒界で屈折し、蛍光波長域に対して透明なバルク体を得ることが困難である、といった問題がある。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、酸化ランタンを母材としても透明なバルク体としての形態を維持できる蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る蛍光体は、
酸化ランタンからなる母材と、希土類元素から選択され、前記母材に固溶している活性元素と、を含む多数の結晶粒で構成され、蛍光波長域において透明性を有する透明多結晶体からなる。
【0007】
前記母材及び前記活性元素を含む各結晶粒の大きさは、前記蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくなるように構成されてもよい。
【0008】
前記母材及び前記活性元素を含む各結晶粒は、一定方向に配向されてもよい。
【0009】
前記活性元素は、原子番号が58番から70番までのランタノイドの少なくとも1つであってもよい。
【0010】
前記活性元素は、イッテルビウム及びエルビウムの少なくとも1つであってもよい。
【0011】
前記母材には複数の希土類元素が共添加されてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る光学素子は、
前記蛍光体と、
光を透過可能な材料で形成され、前記蛍光体の表面全体を覆って前記蛍光体を封止する封止部材と、
を備える。
【0013】
前記封止部材は、
前記蛍光体において光を吸収又は放出する互いに対向する表面に封着された一対の板状部材と、
前記蛍光体の側面に封着し、塗布後に硬化したシール材で形成されている側面部材と、を備えてもよい。
【0014】
前記板状部材は、酸化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化ルテチウム又はYAGの透明体で形成されてもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係るレーザ発振器は、
前記蛍光体又は前記光学素子で構成されるレーザ媒質と、
前記レーザ媒質を挟み込むように配置され、前記レーザ媒質で励起された光を共振させる共振器と、
前記レーザ媒質を励起させるように前記レーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、
を備える。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係るレーザ増幅器は、
前記蛍光体又は前記光学素子で構成されるレーザ媒質と、
前記レーザ媒質を励起させるように前記レーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、
前記レーザ媒質で光が増幅されるように前記レーザ媒質に増幅用の光を供給する被増幅光源と、
を備える。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の第5の観点に係る製造方法は、
酸化ランタンからなる母材に希土類元素を固溶させた蛍光体の元となる微粉体を合成する合成工程と、
前記合成工程で得られた前記微粉体を成形型にセットし、一軸方向に加圧しながら加熱することで、前記合成工程で合成された前記微粉体を焼結させる焼結工程と、
を含む。
【0018】
前記焼結工程では、前記成形型内において前記合成工程で合成された前記微粉体を、蛍光体を封止する封止部材の元となる微粉体又は透明体で挟むようにセットしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、酸化ランタンを母材としても透明なバルク体としての形態を維持できる蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る光学素子の構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係る蛍光体及び板状部材の組立体にシール材を塗布する様子を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る光学素子の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態に係る焼結処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る焼結装置の構成を示す概略図である。
図6】実施例1におけるエタノール中のYb:La試料(焼結体、Yb濃度10at%)の外観の変化を撮影した図である。
図7】実施例1におけるYb:La試料(微粉体、Yb濃度1at%)を対象とするX線分析の結果を示すグラフである。
図8】実施例1における大気中のYb:La試料(焼結体、Yb濃度20at%)の外観の変化を撮影した図である。
図9】(a)は、実施例2における封止部材で封止されたYb:La試料(焼結体、Yb濃度1at%)の外観を撮影した図であり、(b)は、(a)の試料にレーザ光を照射して蛍光を生じさせた様子を示す図である。
図10】実施例3におけるYb:La試料(微粉体、Yb濃度10at%)の蛍光スペクトルを示すグラフである。
図11】実施例4における大気中のEr:La試料(焼結体、Er濃度10at%)の外観の変化を撮影した図である。
図12】実施例4におけるEr:La試料(微粉体、Er濃度10at%)を対象とするX線分析の結果を示すグラフである。
図13】実施例5におけるEr:La試料(微粉体、Er濃度10at%)の蛍光スペクトルとEr:Y試料(微粉体、Er濃度10at%)の蛍光スペクトルと比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る蛍光体、光学素子、レーザ発振器、レーザ増幅器及び製造方法を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
実施の形態に係る蛍光体は、酸化ランタンLaからなる母材と、希土類元素から選択され、母材に固溶している活性元素と、を含む多数の結晶粒で構成され、蛍光波長域において透明性を有する透明多結晶体からなる。実施の形態に係る蛍光体の母材として用いるLaは、酸化物系材料の中でもフォノンエネルギーが低い材料である。酸化物系材料は、フッ化物系材料などの他の材料と比べて希土類元素の添加が容易である。実施の形態に係る蛍光体の母材としてLaを用いることで、蛍光を高効率で発生させると共に、 蛍光スペクトルを広げることができる。
【0023】
より詳細に説明すると、フォトンエネルギーに対するフォノンエネルギーの割合が大きいと、励起された電子の多フォノン緩和が生じやすく、非輻射遷移として緩和してしまう。対照的にフォトンエネルギーに対するフォノンエネルギーの割合を小さくできれば、蛍光体において蛍光を高効率で発生させることができる。また、長波長域では、可視域と比べてフォトンエネルギーが小さいため、フォノンエネルギーが低い材料を選択することで、長波長域にも蛍光スペクトルを広げることができる。
【0024】
従来、Laを母材とした蛍光体については、簡単に崩壊してしまうという弱点が存在していた。しかしながら、発明者が鋭意検討した結果、母材及び活性元素を含む各結晶粒の大きさを蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくするか、各結晶粒が一定方向に配向するように制御することで、長期にわたって形態を維持できると共に、蛍光波長域において透明性を有する蛍光体が得られることが判明した。なお、実施の形態において蛍光体が「透明」であるとは、対象となる波長の光の散乱が小さく、応用可能な程度に光が透過可能であることを意味する。また、各結晶粒が一定方向に配向するとは、各結晶粒の結晶方位が一定方向に揃うことを意味する。各結晶粒を一定方向に配向させるには、例えば、母材に活性元素が固溶された微粉体の成形を高磁場中で行うことで配向した成形体を作成した後に、焼結を行えばよい。
【0025】
実施の形態に係る蛍光体において蛍光波長域に対する透明性を得るには、結晶粒の結晶粒径が、例えば、50nm~500nmの範囲内であり、好ましくは50nm~300nmの範囲内であり、さらに好ましくは50nm~200nmの範囲内であればよい。このとき、蛍光波長域は、例えば、紫外線、可視光線、及び赤外線の領域のいずれであってもよい。赤外線は、近赤外線、中間赤外線及び遠赤外線のいずれか少なくとも1つを含んでいる。結晶粒径は、例えば、粒状体の大きさとして直接測定できる量(例えば、投影面積)に基づいて不規則な形状の粒状体を規則的な形状(例えば、円)に変換し、変換された規則的な形状における粒状体の直径として算出すればよい。
【0026】
以下、透明なバルク体を得るために各結晶粒の大きさを光の波長より小さくするか、各結晶粒を一定方向に配向させる理由を、散乱係数を用いて説明する。散乱係数は、媒質中における光の散乱の強さを示す指標である。散乱係数が小さいほど、媒質中の結晶粒界での光の散乱が抑制される。散乱係数δは、以下の式(1)で表される。
δ(λ)=3π*d*Δn/2λ …(1)
ただし、λは光の波長であり、dは結晶粒径であり、Δnは方位の異なる結晶粒間の屈折率の差である。
【0027】
式(1)から理解できるように、散乱係数δを小さくするには、結晶粒径d及び屈折率の差Δnの少なくとも一方を小さくするか、波長λを長くする必要がある。波長λは予め決まっているため、散乱係数δを小さくして透明なバルク体を得るには、蛍光体の製造条件を工夫することで結晶粒を微細化するか、微粉体の成形時に配向を制御することで屈折率の差Δnを低減すればよい。
【0028】
次に、実施の形態に係る蛍光体の活性元素を説明する。実施の形態に係る蛍光体では、活性元素として希土類元素を用いる。活性元素として希土類元素を添加することで、母材であるLaに起因する吸湿性及び潮解性を抑制し、バルク体としての形態を長時間維持できる。また、希土類元素は、4f軌道間の電子遷移による発光が強く、レーザ媒質の高出力化にも好適である。
【0029】
実施の形態に係る蛍光体では、母材に添加する活性元素の種類及び濃度を調整することで、母材であるLaに起因する吸湿性及び潮解性を一層抑制することができる。母材であるLaに起因する吸湿性及び潮解性を抑制する活性元素としては、希土類元素のうち原子番号が58番から70番までのランタノイドのいずれかが好ましく、イッテルビウムYb、エルビウムEr、プラセオジウムPr、ジスプロシウムDy、テルビウムTb、ホルミウムHoがより好ましく、セリウムCe、ネオジムNd、ユーロピウムEuであってもよい。なお、母材には複数種類の希土類元素が共添加されてもよい。
【0030】
母材に添加される活性元素の種類により蛍光体が発する光の波長を変化させることができる。例えば、活性元素の一例であるYbは、近赤外波長域に蛍光を有する元素であり、Er、Dyなどは、中赤外波長域に蛍光を有する元素である。中赤外波長域は、おおよそ2μm~10μmの範囲内の波長領域であり、この波長領域には、分子振動による吸収線が多数存在しているため、分子構造解析、同位体計測、医療診断、呼気分析といった幅広い分野での活用が期待されている。Laは、フォノンエネルギーが小さいため、Er、Dyなどが添加された蛍光体はそのまま中赤外レーザ媒質として用いることができる。このレーザ媒質は、波長変換素子が不要であるため、中赤外レーザ光源の高出力化及び小型化に寄与する。
【0031】
母材であるLaに起因する吸湿性及び潮解性を抑制するには、できるだけ高濃度の活性元素を添加することが好ましい。他方で、活性元素の濃度が高くなると、液相法により活性元素が固溶された母材を単相として析出させることが困難になる。実験により繰り返し検証した結果、Yb濃度については、例えば、1at%~50at%であり、1at%~20at%の範囲内であることが好ましく、10at%~20at%の範囲内であることがより好ましい。Er濃度については、例えば、1at%~50at%であり、1at%~10at%の範囲内であることが好ましく、5at%~10at%の範囲内であることが好ましい。なお、at%は、原子パーセントのことであり、各原子がどのくらいの割合で混合されているかを表す指標である。
【0032】
実施の形態に係る蛍光体は、上記の構成を備えるため、励起光により励起されると、幅広い蛍光スペクトルを有する強い蛍光を生じさせることができ、超短パルスレーザ媒質や波長可変レーザ媒質として用いるのに好適である。また、母材であるLaのフォノンエネルギーが小さいため、活性元素としてEr、Dyを添加した場合には、中赤外レーザ媒質として用いることもできる。加えて、実施の形態に係る蛍光体では、Laの母材に高濃度の希土類元素を添加しているため、Laに起因する吸湿性及び潮解性を一層効果的に抑制することが期待できる。
【0033】
次に、図1及び図2を参照して、実施の形態に係る光学素子1の構成を説明する。図1に示すように、光学素子1は、蛍光体2と、光を透過可能であり、蛍光体2が大気と接触しないように蛍光体2の表面全体を覆って封止する封止部材3と、を備える。光学素子1及び蛍光体2は、それぞれ任意の形状であってよいが、例えば、円盤形状に形成されている。封止部材3は、例えば、蛍光体2との境界面に空気を含まないように蛍光体2に対して封着され、Laの母材とする蛍光体2に水分が付着して崩壊することを一層防止する。封止部材3は、光を透過可能な材料であれば、単結晶、多結晶及び非晶質のいずれであってもよい。
【0034】
封止部材3は、蛍光体2を上下から挟み込むように蛍光体2に封着される板状部材3aと、少なくとも蛍光体2の側面に形成される側面部材3bと、を備える。封止部材3は、蛍光体2を封止できる範囲で、できるだけ薄く形成することが好ましいが、蛍光体2を補強するためにある程度の厚みを有していてもよい。
【0035】
板状部材3aは、蛍光体2の上面部及び下面部の形状に合わせて形成され、吸湿性及び潮解性が低く、かつ蛍光波長域に対する透明性を有する透明体、例えば、酸化アルミニウムAl、酸化イットリウムY、酸化ルテチウムLu、又はYAG(Yttrium Aluminum Garnet)で形成されている。酸化アルミニウムAlは、例えば、単結晶サファイアであってもよい。
【0036】
側面部材3bは、常温で流動性があり、加熱して硬化させることができ、硬化した状態で透光性を有するシール材で形成されている。シール材は、例えば、低融点ガラス又は熱可塑性樹脂であり、図2に示すように塗布具4、例えば、ハケ、ローラを用いて蛍光体2の側面に塗布されてもよい。シール材の塗布は、蛍光体2及び板状部材3aの組立体が焼結された後に実施するとよい。その理由は、光学素子1の側面では、光の吸収及び放出が行われず、光学品質を確保する必要が無いためである。また、後述する成形型の内部において、蛍光体2の元となる微粉体と封止部材3の元となる微粉体を区別して配置するのに手間を要するためでもある。
【0037】
実施の形態に係る蛍光体及び光学素子1は、レーザ発振器又はレーザ増幅器のレーザ媒質として用いることができる。レーザ媒質は、励起用光源から放射された光を吸収して誘導放出を起こすことで光を増幅する。
【0038】
実施の形態に係るレーザ発振器は、レーザ光を外部に放出する装置である。レーザ発振器は、レーザ媒質と、レーザ媒質を挟み込むように配置され、レーザ媒質で励起された光を共振させる共振器と、レーザ媒質を励起させるようにレーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、を備える。
【0039】
実施の形態に係るレーザ増幅器は、外部から入射したレーザ光を直接光の状態で増幅して外部に放出する装置である。レーザ増幅器は、レーザ媒質と、レーザ媒質を励起させるようにレーザ媒質に励起用の光を供給する励起用光源と、レーザ媒質で光が増幅されるようにレーザ媒質に増幅用の光を供給する被増幅光源と、を備える。
【0040】
(製造方法)
次に、図3を参照して、実施の形態に係る光学素子1の製造方法の流れを説明する。以下、Laからなる母材に希土類元素を固溶させた微粉体を焼結させることで、各結晶粒の大きさを蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくした透明なバルク体を製造する場合を例に説明する。
【0041】
まず、蛍光体2の元となる活性元素が添加されたLaの微粉体と、封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体と、を準備する(ステップS1)。活性元素が添加されたLaの微粉体は、例えば、液相法を用いて合成されたものである。封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体は、例えば、Y、Lu、YAG及びAlのいずれかで構成されている。
【0042】
次に、ステップS1の工程で得られた蛍光体2の元となる微粉体及び封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を焼結装置にセットして焼結処理を施す(ステップS2)。焼結処理は、蛍光体2の元となる微粉体の吸湿を防ぐため、蛍光体2の元となる微粉体を合成した時点から10時間以内に実施することが好ましい。焼結処理では、微粉体を加圧しながら加熱できる方法であればいかなる手法を用いてもよく、例えば、放電プラズマ焼結法(spark plasma sintering:SPS)を用いる。以下、SPSを用いて微粉体を焼結する場合を例に説明する。
【0043】
(焼結処理)
以下、図4を参照して、実施の形態に係る微粉体の焼結処理(ステップS2)の流れを説明する。まず、蛍光体2の元となる微粉体及び封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を図5に示す焼結装置10のダイス11及び一対のパンチ12、13にセットする(ステップS11)。ダイス11及び一対のパンチ12、13では、蛍光体2の元となる微粉体を封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体でサンドする。
【0044】
図5に示すように、焼結装置10は、微粉体を収容する円筒形状のダイス11と、ダイス11の両側に配置され、内部に収容された微粉体を一軸方向に加圧する一対のパンチ12、13と、一対のパンチ12、13に電気的に接続され、一対のパンチ12、13にパルス電流を供給するパルス電源14と、を備える。ダイス11及び一対のパンチ12、13は、成形型の一例であり、導電性材料、例えば、グラファイトで形成されている。また、ダイス11及び一対のパンチ12、13は、酸素の影響を排除するため、いずれも真空チャンバ15内に配置されている。
【0045】
次に、成形型内の微粉体を予め設定された圧力で一軸方向に加圧しながら、予め設定された加熱温度での加熱を一定時間継続させる(ステップS12)。微粉体への加圧は、一対のパンチ12、13を互いに接近させることで行い、微粉体への加熱は、ダイス11及び一対のパンチ12、13にパルス電流を印加することで行う。一対のパンチ12、13は、図示しない加圧シリンダによりダイス11内に収容された微粉体を加圧するように動作する。なお、各パンチ12、13と加圧シリンダとの間には、スペーサを介在させることが好ましい。
【0046】
焼結処理で設定される加熱温度及び圧力は、微粉体の種類や状態に応じて適宜設定する。加熱温度は、微粉体を構成する各粒子が融解せず、かつ互いに接合する程度に設定され、例えば、800℃~1500℃の範囲内である。加熱温度が高すぎると、結晶粒が成長するため、蛍光体2の蛍光波長域に対する透明性が失われ、加熱温度が小さすぎると、蛍光体2及び封止部材3に空気の気孔が残留する。圧力は、例えば、10MPa~500MPaの範囲内であり、好ましくは80MPa~300MPaである。
以上が、焼結処理(ステップS2)の流れである。
【0047】
図3に戻り、ステップS2の工程で得られた焼結体を冷却する(ステップS3)。例えば、加圧及び加熱を停止した成形型内に焼結体を放置したまま、自然放熱により冷却すればよい。これにより蛍光体2の上面部及び下面部に一対の透明な板状部材3aが封着された焼結体が得られる。
【0048】
次に、ステップ3の工程で得られた焼結体の側面を側面部材3bで封止する(ステップS4)。側面部材3bは、常温で流動性があり、加熱すると硬化するシール材で形成される。シール材は、例えば、低融点ガラスである。このシール材を図2に示すように焼結体の側面に塗布し、電気炉で熱処理を施すことで蛍光体2の側面を封止できる。こうして得られた光学素子1では、蛍光体2が封止部材3により被覆され、蛍光体2が大気に触れて崩壊することを防止できる。
以上が、光学素子1の製造方法の流れである。
【0049】
以上説明したように、実施の形態に係る蛍光体は、Laからなる母材と、希土類元素から選択され、母材に固溶している活性元素と、を含む多数の結晶粒で構成され、蛍光波長域において透明性を有する透明多結晶体からなる。このため、蛍光体の母材としてLaを用いたとしても蛍光波長域に対して透明なバルク体を得ることができると共に、崩壊することなく長期間にわたってバルク体としての形態を維持できる。
【0050】
また、実施の形態に係る光学素子1は、光を透過可能な材料で形成され、蛍光体2の表面全体を覆うように蛍光体2を封止する封止部材3を備える。このため、蛍光体2への水分の付着を防ぐことができ、結果として吸湿性及び潮解性の強いLaを母材にしても蛍光体2の崩壊を一層効果的に抑制できる。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0052】
(変形例)
上記実施の形態では、母材及び活性元素を含む結晶粒の大きさが蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくなるように構成していたが、本発明はこれに限られない。例えば、結晶粒の大きさが、蛍光体が吸収する励起光の波長よりも小さくなるように構成してもよい。
【0053】
上記実施の形態では、蛍光体2の元となる微粉体及び封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を成形型にセットして焼結していたが、本発明はこれに限られない。蛍光体2の元となる透明体及び封止部材3の板状部材3aの元となる透明体を成形型にセットして焼結してもよい。このとき、蛍光体2の元となる透明体は、実施の形態に係る蛍光体2と同一又は同等の成分を含むものとする。なお、蛍光体2の元となる微粉体のみを透明体に置き換えてもよく、封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体のみを透明体に置き換えてもよい。
【0054】
上記実施の形態では、パンチ12、13を用いて微粉体を一軸方向に加圧していたが、本発明はこれに限られない。例えば、パンチ12、13の代わりに封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体をパンチとして用い、封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を、スペーサを介して加圧シリンダで加圧してもよい。
【0055】
上記実施の形態では、蛍光体2の元となる微粉体及び封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を焼結して得られた焼結体の側面を、例えば低融点ガラスからなる側面部材3bで封止していたが、本発明はこれに限られない。例えば、蛍光体2の元になる微粉体の周囲全体を封止部材3の元になる微粉体で覆った状態で焼結処理を施すことで、蛍光体2の周囲全体に封止部材3が覆われた状態の焼結体を作成してもよい。また、蛍光体2の元となる透明体の上面及び下面を封止部材3の元となる透明体で、蛍光体2の元となる透明体の側面を封止部材3の元となる微粉体で覆った状態で、焼結処理を施してもよい。
【0056】
上記実施の形態では、蛍光体2の周囲に封止部材3を形成する製造方法を一例として説明していたが、本発明はこれに限られない。封止部材3が不要であれば、蛍光体2の元となる微粉体のみを図5に示す焼結装置にセットし、同様の手順で焼結処理を実施すればよい。
【0057】
上記実施の形態では、蛍光体2の元となる微粉体及び封止部材3の板状部材3aの元となる微粉体を一定温度で加熱することで、微粉体を焼結させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、微粉体を加熱する加熱温度は、一定の範囲内で変動してもよい。
【0058】
上記実施の形態では、各結晶粒の大きさを蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくした透明なバルク体を製造していたが、本発明はこれに限られない。例えば、微粉体の成形を高磁場中で行うことで、各結晶粒が一定方向に配向した成形体を作成した後に焼結を行い、透明なバルク体を製造してもよい。このとき、各結晶粒の大きさは必ずしも蛍光体から放出される蛍光の波長よりも小さくしなくてもよい。
【0059】
上記実施の形態では、例えば、SPSを用いて焼結処理を実施していたが、本発明はこれに限られない。焼結処理は、微粉体を加圧しながら加熱できれば、いかなる手法であってもよく、例えば、ホットプレス法を用いてもよい。
【0060】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【0061】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
実施例1では、Yb:Laの試料を作成し、その吸湿特性を検証した。具体的には、まず、液相法によりYb:Laの微粉体を作成し、SPSを用いて微粉体から円盤状に形成された焼結体の試料を作成した。微粉体の焼結では、微粉体を構成する各粒子が融解せず、かつ互いに接合する程度に加熱温度を設定し、焼結体を構成する結晶粒が成長しないように制御した。この試料のYb濃度は10at%であり、表面は透明体で覆われておらず、剥き出しのままである。この試料をエタノール中で保管して時間的な変化を観察した。
【0063】
その結果、図6に示すように試料は20日目にはほとんど崩壊した。大気中でも同様の実験を実施したところ試料は3日ほどで崩壊した。なお、図6の1日目、3日目の試料が欠けているのは作成時に欠けてしまったためであり、吸湿による試料の崩壊とは無関係である。
【0064】
試料が崩壊した原因を探るため、新たにYb濃度1at%のLaの微粉体を作成してX線分析を実施した。その結果、図7に示すように、25時間後には水酸化ランタンLa(OH)のピークが出現し、49時間後にはLa(OH)のピークが優勢となっていた。以上から、試料が崩壊したのは、吸湿により母材であるLaが水酸化物であるLa(OH)に変化したためであると理解できる。
【0065】
次に、Yb濃度を20at%に変更して同様の手順で試料を作成し、この試料を大気中に保管しながら外観の変化を観察した。その結果、図8に示すように時間の経過に伴い試料の縁が白っぽく変色したが、大気中であるにもかかわらず14日目の時点でもバルク体として形状を維持できていた。以上から、母材であるLaに添加するYbの濃度を高くすると、Laの吸湿性及び潮解性を抑制できることが理解できる。
【0066】
(実施例2)
実施例2では、Yb:Laの蛍光体2をYの封止部材3で被覆することで、Laでの吸湿を防止できるかどうかを検証した。蛍光体2の表面はYで形成された封止部材3で被覆され、蛍光体2のYb濃度は1at%である。それ以外の条件は実施例1の場合と同一である。
【0067】
その結果、Yの封止部材3で被覆した試料では、図9(a)に示すように試料が崩壊しない状態を1年間も維持できた。また、作成から1年後の試料にレーザ光を照射すると、図9(b)に示すように強い蛍光が発生した。以上から、Yb:Laの蛍光体2をYの封止部材3で被覆することで、Laの吸湿性及び潮解性が抑制され、蛍光体としての性能を維持できることが理解できる。
【0068】
(実施例3)
実施例3では、Yb:La試料の蛍光特性を検証した。試料のYb濃度は10at%である。Yb:La試料の蛍光を励起するのに波長940nmの連続波を出力する半導体レーザ(Laser Diode:LD)を用いた。
【0069】
その結果、図10に示すようにYb:Laでは、近赤外光領域の波長の光が発生し、波長900nm~1100nmの蛍光波長域で広がるブロードな蛍光スペクトルが得られた。なお、図10に見られる波長940nm付近の鋭いピークは、蛍光励起用の半導体レーザに起因するものである。
【0070】
(実施例4)
実施例4では、活性元素をYbからErに置き換え、Er:La試料の吸湿特性を検証した。具体的には、まず、液相法によりEr:Laの微粉体を作成し、SPSを用いて微粉体からバルク体の試料を作成した。Er濃度は10at%である。次に、この試料を大気中に保管して時間的な変化を観察した。
【0071】
その結果、図11に示すように、バルク体では、4ヶ月を経過した時点でも崩壊が進行していなかった。なお、1日目、4ヶ月後の試料が欠けているのは作成時に欠けてしまったためであり、試料の崩壊とは無関係である。その後、5ヶ月後に試料表面に白い粉が付着していた。その理由は、5ヶ月後に外気温が変化したためと考えられる。
【0072】
この試料と同一の成分を有する微粉体を対象にしてX線分析を実施した。その結果、図12の点線で囲んだ領域で示すように、48時間後に試料の一部がLa(OH)に変化していた。とはいえ、この時点でもLaのピークが優勢であり、La(OH)の量は僅かである。以上から、活性元素の濃度が同一であるYb:Laと比較すると、Er:Laの方が吸湿性及び潮解性を抑制できると理解できる。
【0073】
(実施例5)
実施例5では、Er:La試料の蛍光特性を検証した。比較のためEr:Y試料の蛍光スペクトルも測定した。いずれも試料もEr濃度は10at%である。Er:La試料は、実施例4の場合と同一である。
【0074】
その結果、図13に示すように、Er:La試料では、中赤外光領域である波長2.7μmで強い蛍光を発していた。波長2.7μmの蛍光は、11/213/2のエネルギー準位の遷移により発生していると考えられる。また、Er:La試料の蛍光スペクトルとEr:Y試料の蛍光スペクトルとを比較すると、Er:Laの方が、蛍光スペクトルがブロードであった。Er:Laの蛍光スペクトルは、CaFと同等程度にブロードであり、超短パルスレーザ媒質や波長可変レーザ媒質に適していることが理解できる。
【符号の説明】
【0075】
1 光学素子
2 蛍光体
3 封止部材
3a 板状部材
3b 側面部材
10 焼結装置
11 ダイス
12,13 パンチ
14 パルス電源
15 真空チャンバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13