(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061274
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫用扉、及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
F25D23/02 304B
F25D23/02 304Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169125
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】尾渡 謙児
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA01
3L102KB04
3L102KE05
3L102MA01
3L102MA02
3L102MB01
3L102MB05
3L102MB22
3L102MB30
(57)【要約】
【課題】剛性の向上を図った冷蔵庫用扉、及び冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫用扉は、貯蔵室の前側の開口に設けられる扉の前側の面を構成する前面板と、扉の後側の面を構成する庫内部材と、前面板と庫内部材との間に充填される発泡断熱材と、扉の内部において庫内部材に取付けられる補強板と、を備え、補強板は、補強板と庫内部材との間に発泡断熱材が侵入することを抑制するための侵入抑制部と、侵入抑制部よりも内側に設けられ侵入抑制部とは補強板の前後方向において高さが異なる突出部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室の前側の開口に設けられる扉の前側の面を構成する前面板と、
前記扉の後側の面を構成する庫内部材と、
前記前面板と前記庫内部材との間に充填される発泡断熱材と、
前記扉の内部において前記庫内部材に取付けられる補強板と、を備え、
前記補強板は、前記補強板と前記庫内部材との間に前記発泡断熱材が侵入することを抑制するための侵入抑制部と、前記侵入抑制部よりも内側に設けられ前記侵入抑制部とは前記補強板の前後方向において高さが異なる突出部と、を有する、
冷蔵庫用扉。
【請求項2】
前記突出部は、前記補強板の幅方向に沿って延びる第1突出部と、前記補強板の長手方向に沿って延びる第2突出部と、を含んでいる、
請求項1に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項3】
前記第1突出部は、前記補強板の長手方向に間隔をあけて複数設けられており、
前記第2突出部は、前記補強板の幅方向に間隔をあけて複数設けられている、
請求項2に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項4】
前記庫内部材は、前記貯蔵室側に向かって突出するように形成された複数の膨出部を前記扉の外周部に有し、
前記補強板は、前記補強板の幅方向の端部に前記貯蔵室側に向かって折り曲げられて形成された第1折り曲げ部を更に有し、
前記第1折り曲げ部の一部は、前記膨出部内に収められている、
請求項3に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項5】
前記補強板は、前記補強板の長手方向の端部に前記貯蔵室側に向かって折り曲げられて形成された第2折り曲げ部を更に有する、
請求項4に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項6】
前記第1折り曲げ部と前記第2折り曲げ部とは、隣り合う部分において互いに接続されている、
請求項5に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項7】
前記補強板は、前記補強板の幅方向の端部に前記補強板を厚み方向に貫通して形成された貫通孔を更に有する、
請求項6に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項8】
前記庫内部材は、複数の前記膨出部の間に設けられ前記貯蔵室側に向かって突出するように形成された仕切部を更に有し、
前記補強板は、複数の前記第1突出部及び複数の前記第2突出部に囲まれた位置であってかつ前記仕切部に対応した位置に設けられ、前記補強板を厚み方向に貫通して形成された開口部を更に有する、
請求項7に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の冷蔵庫用扉を備える冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫用扉、及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫における貯蔵室を開閉する回転式の扉及び引き出し式の扉は、扉の前側の面を構成する前面板と、扉の後側の面を構成する庫内部材と、前面板と庫内部材との間に発泡充填された断熱材と、を有する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は冷蔵庫の外形寸法を維持したまま貯蔵室内の大容量化を図る要望が高まってきており、例えば扉の厚み方向の寸法を小さくすることが検討されている。しかしながら、従来構成では、貯蔵室内の大容量化を図るために、扉の厚み方向の寸法を小さくしようとすると、扉の剛性の低下を招くおそれがある。そのため、従来構成では、扉の剛性を向上させる点について課題があった。また、扉内部の断熱材の熱収縮等による庫内部材の変形を防止する点も考慮することが望ましい。
【0005】
そこで、剛性の向上を図った冷蔵庫用扉、及び冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫用扉は、貯蔵室の前側の開口に設けられる扉の前側の面を構成する前面板と、前記扉の後側の面を構成する庫内部材と、前記前面板と前記庫内部材との間に充填される発泡断熱材と、前記扉の内部において前記庫内部材に取付けられる補強板と、を備え、前記補強板は、前記補強板と前記庫内部材との間に前記発泡断熱材が侵入することを抑制するための侵入抑制部と、前記侵入抑制部よりも内側に設けられ前記侵入抑制部とは補強板の前後方向において高さが異なる突出部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による冷蔵庫の一例の外観を示す正面図
【
図2】一実施形態による冷蔵室扉の一例を概略的に示す断面図
【
図3】一実施形態による冷蔵室扉の一例を背面から見た場合の斜視図
【
図4】一実施形態による冷蔵室扉の一例について、前面板及び断熱部材を取り外した状態を示す背面図
【
図5】一実施形態による冷蔵室扉の一例について、庫内部材から補強板を取り外した状態を示す分解斜視図
【
図6】一実施形態による冷蔵室扉の一例について、上部膨出部に第2折り曲げ部が収められた状態を示す断面図
【
図7】一実施形態による冷蔵室扉の一例について、下部膨出部に第2折り曲げ部が収められた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図においては、図面を見やすくするために、一部の符号を省略している場合がある。また、以下の実施形態において、構成要素等に付された第1及び第2との語句は、類似した構成要素を単に区別するためのものであり、構成要素間の優劣や時間的要素を意味するものではない。
【0009】
図1に示す冷蔵庫10は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体20内に複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、冷蔵庫本体20の開口側つまりユーザが貯蔵物等の出し入れに使用する側を冷蔵庫10の前側とし、当該開口とは反対側を冷蔵庫10の後側とする。また、冷蔵庫10を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向つまり長手方向とする。冷蔵庫10を前方から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向つまり幅方向とし、冷蔵庫10の前後方向を、冷蔵庫10の奥行方向とする。
【0010】
冷蔵庫10は、冷蔵庫本体20を主体に構成されている。冷蔵庫本体20は、前面が開口した断熱性を有する矩形の箱体で構成されている。冷蔵庫本体20は、詳細は図示しないが、周知の冷凍サイクル装置や制御装置等を有している。冷蔵庫本体20は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室で区分されている。冷蔵庫10は、貯蔵室として、例えば冷蔵室21、野菜室22、製氷室23、小冷凍室24、及び冷凍室25を備えている。冷蔵室21及び野菜室22は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、例えば3~5℃程度に冷却される。一方、製氷室23、小冷凍室24、及び冷凍室25は、冷凍温度帯の貯蔵室であり、例えば-18℃以下に冷却される。冷蔵温度帯及び冷凍温度帯は、貯蔵物を冷蔵や冷凍して収容するのに適した温度帯である。なお、
図1に示す冷蔵庫10の構成は一例であり、各貯蔵室の配置順が異なっていても良い。
【0011】
冷蔵室21は、冷蔵庫本体20の最上段に設けられている。野菜室22は、冷蔵室21の下方に設けられている。製氷室23及び小冷凍室24は、野菜室22の下方にあって、左右方向に並べて設けられている。そして、冷凍室25は、製氷室23及び小冷凍室24の下方、つまり冷蔵庫本体20の最下段に設けられている。また、冷蔵室21には、特別室26が設けられている。特別室26は、冷蔵室21内において、冷蔵室21内の大部分の温度帯である冷蔵温度帯とは異なる温度帯に維持可能に構成されている。特別室26は、例えば内部を例えば0℃前後のいわゆるチルド温度帯に維持可能なチルド室や、内部の温度を冷凍温度帯と冷蔵温度帯との間で切り替え可能な切り替え室、若しくは冷蔵温度帯よりもさらに高い温度帯に維持可能な高温室として構成することができる。
【0012】
冷蔵庫10は、冷蔵室扉30、野菜室扉41、製氷室扉42、小冷凍室扉43、冷凍室扉44、及び扉操作検知部51を備えている。冷蔵室扉30は、冷蔵庫用扉の一例である。冷蔵室扉30は、例えば片開きのヒンジ開閉式扉であって、冷蔵室21の前側の開口を開閉する。冷蔵庫10は、片開き式の扉41を備える構成に限らず、右側と左側との2枚の扉で構成された観音式の扉を備える構成であっても良い。
【0013】
野菜室扉41、製氷室扉42、小冷凍室扉43、及び冷凍室扉44は、いずれも引出し式であって、それぞれ野菜室22、製氷室23、小冷凍室24、及び冷凍室25の前側の開口を開閉する。各扉41、42、43、44は、例えば金属製又は合成樹脂製の枠部材の内部に断熱材を充填して構成されている。また、野菜室扉41は、図示しない野菜室容器が取り付けられている。野菜室容器は、貯蔵物を収容可能であり、野菜室扉41と一体的に出し入れ可能である。
【0014】
扉操作検知部51は、例えば静電容量式のタッチセンサ等の電気部品で構成され、冷蔵室扉30が閉じた状態でユーザによる接触又は近接、つまりタッチ操作を静電容量の変化に基づき検知する。扉操作検知部51は、
図1に示すように、冷蔵室扉30の内部であって、例えば冷蔵室扉30の下辺付近の左端に設けられている。扉操作検知部51は、例えばソレノイド式のアクチュエータで構成された図示しない扉開装置に電気的に接続されている。扉開装置は、冷蔵庫本体20の冷蔵室扉30の上部に対応する位置に設けられている。扉開装置は、冷蔵室扉30が閉じた状態で、扉操作検知部51に対するユーザによるタッチ操作が検知されると、図示しないプランジャを前方に押し出して冷蔵室扉30を自動で開く。
【0015】
次に、冷蔵室扉30の具体的な構成について説明する。以下の説明では、冷蔵室扉30を単に扉30と称する場合がある。扉30は、
図2に示すように、前面板31、庫内部材32、枠体33、枠内補強部材34、補強板35、断熱部材36、及び発泡断熱材37を有している。前面板31は、扉30の前側の面つまり表面を構成する。前面板31は、例えばガラス製又は合成樹脂製の板材で構成されている。前面板31の幅方向及び長手方向の寸法は、扉30の幅方向及び長手方向の寸法に相当している。
【0016】
庫内部材32は、扉30の後側の面つまり裏面を構成する。庫内部材32は、例えば合成樹脂製で形成されている。庫内部材32は、
図2及び
図3に示すように、壁部321、膨出部322、窪み部323、仕切部324、及び形状部325を有している。壁部321は、庫内部材32の背面を構成しており、例えば略平板状に形成されている。膨出部322は、例えば扉30の外周部に枠状に形成されており、冷蔵室21側に向かって突出するように設けられている。膨出部322は、例えば壁部321から連続した形状で設けられている。膨出部322は、扉30が閉じた状態で冷蔵室21の内側に位置することで、冷気の流出を抑制する機能を有する。
【0017】
膨出部322は、上部膨出部322a、下部膨出部322b、及び側部膨出部322cを含む。上部膨出部322aは、庫内部材32の上部に設けられる。下部膨出部322bは、庫内部材32の下部に設けられる。そして、側部膨出部322cは、庫内部材32の左右に設けられる。窪み部323は、
図2に示すように、壁部321と側部膨出部322cとが交わる部分に形成されている。窪み部323は、庫内部材32の内方に向かって窪んで形成されており、庫内部材32の長手方向に連続的又は断続的に延びている。
【0018】
仕切部324は、
図3に示すように、側部膨出部322cの間に位置し、壁部321から貯蔵室21側に向かって突出するように設けられている。仕切部324は、例えば庫内部材32の上部寄りに位置し、庫内部材32の長手方向に延びている。また、側部膨出部322cの内側及び側部膨出部322cと仕切部323との内側には、詳細は図示しないが、複数のドアポケットが取付けられている。ドアポケットは、例えば容器状に形成され、貯蔵物や飲料容器等を収容することができる。
【0019】
形状部325は、
図3に示すように、上部膨出部322aと下部膨出部322bとの間に位置し、壁部321から貯蔵室21側に向かって突出するように設けられている。形状部325は、例えば仕切部324の下方に設けられ、庫内部材32の幅方向に延びている。形状部325の後方への突出寸法は、例えば上部膨出部322a及び下部膨出部322bの後方への突出寸法よりも小さく設定されている。
【0020】
枠体33は、前面板31と庫内部材32との間に設けられ、扉30の外郭を構成する。つまり、前面板31は枠体33の前面側に設けられ、庫内部材32は、枠体33の後面側に設けられる。そして、前面板31、庫内部材32、及び枠体33によって内部空間Sが形成される。枠体33は、例えば合成樹脂製又は金属製で、全体として略矩形状に構成されている。枠体33は、上枠331、下枠332、及び側枠333を有している。上枠331、下枠332、及び側枠333の奥行方向の寸法は、略同一に設定されている。上枠331は、枠体33の上部に設けられ、枠体33の上面を構成する。下枠332は、枠体33の下部に設けられ、枠体33の下面を構成する。
【0021】
側枠333は、上枠331と下枠332との間に延びて形成され、枠体33の側面を構成する。上枠331、下枠332、及び側枠333は、例えばそれぞれ別部材で形成されており、一体となるように組み立てられる。上枠331、下枠332、及び側枠333の全部又は一部は、同一部材で構成しても良い。また、扉操作検知部51は、例えば前面板31及び側枠333に対して、例えば両面テープや接着剤又はネジ部材等によって取り付けられる。
【0022】
枠内補強部材34は、例えば合成樹脂製又は金属製で、側枠333の内側に設けられており、側枠333に沿って延びて形成されている。枠内補強部材34は、左右一対に構成されている。枠内補強部材34は、枠体33の変形を抑制し補強する機能を有する。枠内補強部材34は、例えば断面略Z形状に形成されている。枠内補強部材34は、断面略Z形状に限らず、断面略L形状や断面略T形状等の他の形状であっても良い。枠内補強部材34は、例えば両面テープや接着剤等によって側枠333の内側に取り付けられている。枠内補強部材34は、図示しない複数の充填用孔が形成されている。複数の充填用孔は、枠内補強部材34を厚み方向に貫通して形成されており、枠内補強部材34の上下方向に間隔をあけて設けられている。
【0023】
補強板35は、例えば合成樹脂製又は金属製で、扉30の内部において庫内部材32に取付けられる。補強板35は、庫内部材32を補強するためのものである。補強板35は、例えば両面テープ又は接着剤等で構成された接着部材38によって庫内部材32に貼り付けられる。接着部材38は、補強板35の中央寄りの位置に配置される。補強板35は、背面から見た場合に、例えば略矩形状に形成されている。
【0024】
断熱部材36は、例えば真空断熱パネルや発泡スチロール等の板状に成型された断熱材で構成されており、枠体33の内側に設けられる。断熱部材36の厚み方向の寸法は、枠体33の側枠333の奥行方向の寸法よりも小さく設定されている。断熱部材36は、補強板35の前方に位置している。断熱部材36の幅方向の寸法は、補強板35の幅方向の寸法よりもやや大きく設定されている。また、断熱部材36は、前後方向において側部膨出部322cの一部と重なるように配置されている。つまり、側部膨出部322cの前方の一部には、断熱部材36が位置している。断熱部材36は、例えば両面テープや接着剤等によって、前面板31の裏面側に取り付けられる。
【0025】
発泡断熱材37は、例えば硬質発泡ウレタン等の発泡断熱材で構成されており、扉30の内部空間Sに充填されている。扉30の内部空間S内に注入された発泡断熱材37を形成する発泡液は、発泡によって前面板31、庫内部材32、枠体33、枠内補強部材34、及び補強板35に接着する。側枠333と枠内補強部材34との間には、枠内補強部材34の複数の充填用孔を介して発泡液が充填される。そして、発泡後の発泡体が硬化することによって発泡断熱材37が形成される。
【0026】
扉30の組立においては、断熱部材36が取り付けられた前面板31を枠体33に取付けた後、扉30の後方側が上方を向くように載置される。このとき、側枠333内には枠内補強部材34が予め設置されている。そして、発泡断熱材37が充填された後に、補強板35が取り付けられた庫内部材32が枠体33に上方から設置されて扉30が完成する。
【0027】
次に、本実施形態における補強板35の具体的な構成について説明する。補強板35は、
図4及び
図5に示すように、侵入抑制部351、突出部352、折り曲げ部353、貫通孔354、及び開口部355を有している。侵入抑制部351は、例えば補強板35の周縁付近に補強板35の全周にわたって、平坦な面で形成されている。侵入抑制部351は、庫内部材32の前面側に接触している。侵入抑制部351は、補強板35と庫内部材32との間に発泡断熱材37が侵入することを抑制するためのものである。侵入抑制部351は、庫内部材32と補強板35とが平坦な面で接触する部分によって囲い、その内側領域への発泡断熱材37の侵入を防ぐ。例えば庫内部材32と補強板35とが曲面で接触する部分によって侵入抑制部351を形成することもできるが、侵入抑制部351を平坦な面とすることで、部品加工や取付けの精度の影響を抑えて発泡断熱材37の侵入抑制をより確実なものにできる。なお、侵入抑制部351は、接着部材38を介して庫内部材32と接触する構成としても良い。この場合、接着部材38は、侵入抑制部351の全体つまり補強板35の全周に設けることが好ましい。
【0028】
突出部352は、侵入抑制部351よりも幅方向及び長手方向で中央寄りつまり内側に設けられている。突出部352は、侵入抑制部351と連続して形成されている。突出部352は、侵入抑制部351とは補強板35の前後方向において部分的に高さが異なるように形成されている。本実施形態では、突出部352は、前面板31側つまり庫内部材32から離れる方向に突出して形成されている。突出部352は、例えば断面略台形状で、後方を開口させた中空状に形成されている。このため、庫内部材32の突出部352に対応した位置には、突出部352を収容するための形状を設ける必要がない。よって、庫内部材32の貯蔵室21側の外観への影響を回避できる。なお、突出部352は、前方を開口させた形状で構成し、庫内部材32に近づく方向に突出して形成しても良い。
【0029】
突出部352は、第1突出部352a及び第2突出部352bを含む。第1突出部352aは、補強板35の幅方向に沿って延びる。第2突出部352bは、補強板35の長手方向に沿って延びる。本実施形態では、第1突出部352aと第2突出部352bとは、互いに交わるように設けられている。
【0030】
第1突出部352aは、補強板35の長手方向に間隔をあけて複数例えば3つ設けられている。この場合、第1突出部352aは、補強板35の上部、中央部、及び下部のそれぞれに設けられている。一方、第2突出部352bは、補強板35の長手方向に間隔をあけて複数例えば4つ設けられている。この場合、第2突出部352bは、補強板35の幅方向の中心を挟んで左右対称に複数例えば2つずつ設けられている。複数の第1突出部352a及び第2突出部352bの間隔は、等間隔であっても良いし、不等間隔であっても良い。
【0031】
折り曲げ部353は、補強板35の端部を貯蔵室21側に向かって折り曲げて形成されている。折り曲げ部353は、補強板35を折り曲げた部分自体及び補強板35を折り曲げた先の部分を含む。また、折り曲げ部353は、第1折り曲げ部353a及び第2折り曲げ部353bを含む。第1折り曲げ部353aは、補強板35の幅方向の端部に全長にわたって設けられ、一方、第2折り曲げ部353bは、補強板35の長手方向の端部に全長にわたって設けられる。第1折り曲げ部353aの一部つまり先端側は、
図2に示すように、側部膨出部322c内に収められる。また、第1折り曲げ部353aは、庫内部材32の窪み部323と対向している。
【0032】
図6及び
図7に示すように、上部側の第2折り曲げ部353bの一部つまり先端側は、上部膨出部322aに収められ、一方、下部側の第2折り曲げ部353bの一部つまり先端側は、形状部325に収められる。このように、折り曲げ部353を、庫内部材32の貯蔵室21側に突出する部分に収めるようにすることで、折り曲げ部353の長さを確保することができるため、補強板35の剛性を向上できる。
【0033】
補強板35は、角部353cを有している。角部353cは、第1折り曲げ部353aと第2折り曲げ部353bとが繋がる部分であり、補強板35の4隅に位置している。つまり、互いに異なる方向に折り曲げられた第1折り曲げ部353aと第2折り曲げ部353bとは、隣り合う部分において互いに接続されている。角部353cは、
図5に示すように、曲面状に形成されており、貯蔵室21側へ向かって延びている。第1折り曲げ部353aと第2折り曲げ部353bとを繋ぐ部分は、曲面状に形成されている。
【0034】
貫通孔354は、
図4及び
図5に示すように、補強板35の幅方向の端部に、補強板35を厚み方向に貫通して形成されている。貫通孔354は、発泡断熱材37を補強板35から側部膨出部322c側に通過させるためのものである。貫通孔354は、例えば円形状に形成されている。貫通孔354は、円形状に限らず、矩形状や楕円形状等の他の形状であっても良い。貫通孔354は、庫内部材32の窪み部322に連通するように構成できる。貫通孔354は、補強板35の長手方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の貫通孔354の間隔は、等間隔であっても良いし、不等間隔であっても良い。
【0035】
本実施形態では、貫通孔354は、侵入抑制部351又は第1折り曲げ部353aの一部又は両方に形成できる。本実施形態では、貫通孔354は、侵入抑制部351と第1折り曲げ部353aとを跨ぐように形成された貫通孔354aと、侵入抑制部351に形成された貫通孔354bと、を含む。貫通孔354aは、例えば貫通孔354bの上方に位置しており、貫通孔354bは、補強板35の下端部付近に設けられている。
【0036】
開口部355は、
図4及び
図5に示すように、複数の第1突出部352a及び複数の第2突出部352bに囲まれた位置であって、かつ、仕切り部323に対応した位置に設けられている。開口部355は、補強板35を厚み方向に貫通して形成されている。開口部355は、発泡断熱材37を補強板35から仕切部323側に通過させるためのものである。開口部355は、例えば円形状に形成されている。開口部355は、円形状に限らず、矩形状や楕円形状等の他の形状であっても良い。開口部355は、補強板35の長手方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の開口部355の間隔は、等間隔であっても良いし、不等間隔であっても良い。また、接着部材38は、詳細は図示しないが、開口部355に対応した位置に、例えば開口部355と略同一形状に形成された孔部を有している。
【0037】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵室扉30は、前面板31と、庫内部材32と、発泡断熱材37と、補強板35と、を備える。前面板31は、冷蔵室21の前側の開口に設けられる扉30の前側の面を構成する。庫内部材32は、扉30の後側の面を構成する。発泡断熱材37は、前面板31と庫内部材32との間に充填される。補強板35は、扉30の内部において庫内部材32に取付けられる。補強板35は、侵入抑制部351と、突出部352と、を有する。侵入抑制部351は、補強板35と庫内部材32との間に発泡断熱材37が侵入することを抑制する。突出部352は、侵入抑制部351よりも内側に設けられ、侵入抑制部351とは補強板35の前後方向において高さが異なる。
【0038】
これによれば、突出部352を設けることで剛性が向上した補強板35を、庫内部材32に取付けることで、扉30の剛性を向上するとともに、発泡断熱材37の熱収縮によって庫内部材32が変形してしまうといった不具合の発生を抑えることができる。また、突出部352は、補強板35において侵入抑制部351の内側に位置しているため、突出部352と庫内部材32との間の空間に発泡断熱材37の侵入が抑制される。そのため、庫内部材32における当該突出部352に対応した部分が発泡断熱材37の熱収縮によって変形してしまうことを防止できる。
【0039】
突出部352は、第1突出部352a及び第2突出部352bを含む。第1突出部352aは、補強板35の幅方向に沿って延びる。第2突出部352bは、補強板35の長手方向に沿って延びる。これによれば、突出部352a、352bを補強板35の長手方向及び幅方向に沿って設けることで、補強板35の剛性を効果的に向上できる。これにより、扉30の剛性の向上及び発泡断熱材37の熱収縮による庫内部材32の変形をより一層抑制できる。
【0040】
第1突出部352aは、補強板35の長手方向に間隔をあけて複数設けられている。第2突出部352bは、補強板35の幅方向に間隔をあけて複数設けられている。これによれば、第1突出部352a及び第2突出部352bを複数設けることで、補強板の剛性を効果的に向上できる。これにより、扉30の剛性の向上及び発泡断熱材37の熱収縮による庫内部材32の変形を抑制できる。
【0041】
また、庫内部材32は、複数の膨出部322を有する。複数の膨出部322は、扉30の外周部に冷蔵室21側に向かって突出するように形成されている。補強板35は、第1折り曲げ部353aを更に有する。第1折り曲げ部353aは、補強板35の幅方向の端部に冷蔵室21側に向かって折り曲げられて形成されている。そして、第1折り曲げ部353aの一部は、膨出部322内に収められている。
【0042】
これによれば、第1折り曲げ部353aを設けることで、補強板35の長手方向の曲げ変形が抑制されるため、補強板35の剛性を向上できる。また、第1折り曲げ部353aを膨出部322内に収めることで、第1折り曲げ部353aの長さを確保できる上に、発泡断熱材37に十分接着させることができるため、補強板35の剛性をより一層向上できる。
【0043】
補強板35は、第2折り曲げ部353bを更に有する。第2折り曲げ部353bは、補強板35の長手方向の端部に冷蔵室21側に向かって折り曲げられて形成されている。これによれば、第2折り曲げ部353bを設けることで、補強板35の幅方向の曲げ変形が抑制されるため、結果として補強板35の剛性を更に向上できる。
【0044】
また、第1折り曲げ部353aと第2折り曲げ部353bとは、隣り合う部分において互いに接続されている。これによれば、補強板35の剛性をより一層高めることができる。これにより、扉30の剛性を向上できる。
【0045】
更に、補強板35は、貫通孔354を更に有する。貫通孔354は、補強板35の幅方向の端部に補強板35を厚み方向に貫通して形成されている。これによれば、貫通孔354を通して発泡断熱材37を庫内部材32の膨出部322内へ円滑に充填できる。これにより、扉30の断熱性能を確保できるとともに、扉30の剛性を向上できる。
【0046】
庫内部材32は、仕切部324を更に有する。仕切部324は、複数の膨出部322の間に設けられ、冷蔵室21側に向かって突出するように形成されている。補強板35は、開口部355を更に有する。開口部355は、複数の第1突出部352a及び複数の第2突出部352bに囲まれた位置であってかつ仕切り部324に対応した位置に設けられ、補強板35を厚み方向に貫通して形成されている。
【0047】
これによれば、開口部355を通して発泡断熱材37を庫内部材32の仕切部324内に充填できる。これにより、扉30の断熱性能を確保できるとともに、扉30の剛性を向上できる。
【0048】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0049】
例えば、上記した実施形態では、冷蔵庫用扉として冷蔵室扉30を例にした場合について説明したが、扉30以外の扉41~44にも本発明を適用することができる。また、補強板35は、突出部352によって十分に剛性を確保できる場合には、折り曲げ部353を備えない構成とすることができる。
【符号の説明】
【0050】
10…冷蔵庫、21…貯蔵室、30…冷蔵室扉(冷蔵庫用扉)、31…前面板、32…庫内部材、322…膨出部、324…仕切部、35…補強板、351…侵入抑制部、352…突出部、352a…第1突出部、352b…第2突出部、353a…第1折り曲げ部、353b…第2膨出部、354…貫通孔、355…開口部、37…発泡断熱材