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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006128
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】アーク溶接品質検査装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 29/14 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B23K9/095 515Z
G01N29/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106736
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】507377791
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・シー・シー
(71)【出願人】
【識別番号】516356697
【氏名又は名称】信和産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519118337
【氏名又は名称】愛電株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391046584
【氏名又は名称】株式会社トーキン
(74)【代理人】
【識別番号】100115716
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】菊竹 慎強
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 生
(72)【発明者】
【氏名】清田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】勝又 直路
(72)【発明者】
【氏名】北村 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】シララヒ サティア トゥタマナ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 克則
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AB07
2G047BA05
2G047BC09
2G047EA10
2G047GG28
(57)【要約】
【課題】アーク溶接の品質を迅速かつ高精度に検査することできるアーク溶接品質検査装置を提供する。
【解決手段】アーク溶接品質検査装置10は、アーク溶接用トーチの側面に取り付けられた状態でAE信号を検出するAEセンサ11と、アーク溶接用トーチを用いたアーク溶接時に、AEセンサ11により検出されるAE信号を用いて、単位時間毎に、溶接部分の状態を示すパラメータである最大振幅値を演算する最大振幅演算器13と、最大振幅演算器13により演算された最大振幅値を表示する表示部18と、を備えている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接用トーチの側面に取り付けられた状態でAE信号を検出するAEセンサと、
前記アーク溶接用トーチを用いたアーク溶接時に、前記AEセンサにより検出されるAE信号を用いて、単位時間毎に、溶接部分の状態を示すパラメータを演算するパラメータ演算部と、
前記パラメータ演算部により演算されたパラメータを表示する表示部と、
を備えたアーク溶接品質検査装置。
【請求項2】
前記AEセンサは、溶接部分から発生した音響であって、アーク放電を発生させるための電極及び前記アーク溶接用トーチを伝搬した前記音響に基づいて前記AE信号を検出する
請求項1に記載のアーク溶接品質検査装置。
【請求項3】
前記パラメータ演算部は、前記パラメータとして、前記AE信号の最大振幅、前記AE信号の積分値、前記AE信号の2乗平均平方根の少なくとも1つを演算する
請求項1又は請求項2に記載のアーク溶接品質検査装置。
【請求項4】
正常溶接時の前記パラメータを基準データとして記憶するデータ記憶部を更に備え、
前記表示部は、前記パラメータ演算部により演算されたパラメータと、前記データ記憶部に記憶された基準データと、を表示する
請求項3のいずれか1項に記載のアーク溶接品質検査装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記パラメータ演算部により演算されたパラメータと、前記データ記憶部に記憶された基準データと、の差が所定の閾値を超えた場合に、異常溶接を示す情報を表示する
請求項4に記載のアーク溶接品質検査装置。
【請求項6】
前記AEセンサを冷却する冷却機構を更に備えた
請求項1に記載のアーク溶接品質検査装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク溶接品質検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、溶接部分の上方からアーク光の形状を撮像し、開先部の溶け落ちにより、アーク光の中に溶け落ちた部分が穴として表れる個所を解析することにより、アーク溶接における溶け落ちを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-252674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、溶け落ちが発生した場合の特徴的な画像パターンを予め設定する必要がある。しかし、アークは、溶接の条件、あるいはワークの状態等に応じて、揺らぐことがある。このため、様々な要因で発生する溶け落ちを精度良く検出することが困難である。
【0005】
本発明は、このような実情を鑑みて提案されたものであり、アーク溶接の品質を迅速かつ高精度に検査することできるアーク溶接品質検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアーク溶接品質検査装置は、アーク溶接用トーチの側面に取り付けられた状態でAE信号を検出するAEセンサと、前記アーク溶接用トーチを用いたアーク溶接時に、前記AEセンサにより検出されるAE信号を用いて、単位時間毎に、溶接部分の状態を示すパラメータを演算するパラメータ演算部と、前記パラメータ演算部により演算されたパラメータを表示する表示部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、アーク溶接の品質を迅速かつ高精度に検査することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るアーク溶接品質検査装置の構成を示すブロック図である。
図2】アーク溶接ロボット装置のワイヤ溶接用トーチに取り付けられたAEセンサ11を示す図である。
図3】ワイヤ溶接用トーチに取り付けられたAEセンサを示す図である。
図4】他のワイヤ溶接用トーチに取り付けられたAEセンサを示す図である。
図5】AE信号の概念図である。
図6】表示部に表示されたグラフを示す図である。
図7】表示部に表示されたグラフを示す図である。
図8】表示部に表示されたグラフを示す図である。
図9】表示部に表示されたグラフを示す図である。
図10】正常溶接時及び異常溶接時の最大振幅値(Amplitude)を示す図である。
図11】正常溶接時及び異常溶接時の積分値(Energy)を示す図である
図12】積分値(Energy)の総計を類似比較する図である。
図13】ワイヤ溶接用トーチの他の例を示す図である。
図14】冷却機構を示す分解斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアーク溶接品質検査装置10の構成を示すブロック図である。
【0010】
アーク溶接品質検査装置10は、入力される音響に応じてAE信号を検出するAEセンサ11と、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータ12と、AE信号の最大振幅値を演算する最大振幅演算器13と、を備えている。
【0011】
さらに、アーク溶接品質検査装置10は、AE信号の積分値を演算する積分器14と、AE信号の実効値を演算する実効値演算器15と、正常溶接時の基準データが予め記憶されているデータ記憶部16と、データを合成するデータ合成部17と、合成されたデータに基づいてアーク溶接の品質状態を表示する表示部18と、を備えている。
【0012】
図2は、アーク溶接ロボット装置100のワイヤ溶接用トーチ110に取り付けられたAEセンサ11を示す図である。
【0013】
アーク溶接ロボット装置100は、鉄骨フレーム、建設機械、自動車、鉄道車両、航空機、船舶といった大型機械の溶接を行う機械工場で使用される。機械工場では、アーク溶接ロボット装置100は、鉄鋼同士、アルミニウム、チタンといった金属を接合するためのアーク溶接を行う。
【0014】
アーク溶接ロボット装置100は、空気中の放電を利用して、アーク溶接を行う。具体的には、アーク溶接は、次の手順で行われる。
【0015】
(a)ワイヤ供給装置から、電極となるワイヤが、ワイヤ溶接用トーチ110を経由して所定速度で送り出される。
(b)ワイヤに電流が流れる。
(c)ワイヤが母材(溶接対象の金属)に接触する。
(d)ワイヤが金属から引き離され、その瞬間に、アーク放電が発生する。
(e)高温(最高2万度)のアークによって、ワイヤ及び母材が溶けて、母材が接合する。
(f)アーク放電の発生時、溶接周辺部には、シールドガスが供給される。シールドガスは、アークや溶融地の周辺を大気からシールドする役割がある。
【0016】
図3は、ワイヤ溶接用トーチ110に取り付けられたAEセンサ11を示す図である。ワイヤ溶接用トーチ110は、トーチ本体部111と、トーチ本体部111の先端部に設けられたノズル112と、を有する。ワイヤは、ワイヤ供給装置によって、トーチ本体部111、ノズル112を経由して、母材上へ送り出される。
【0017】
AEセンサ11は、トーチ本体部111の側面に固定されている。そして、AEセンサ11は、溶接部分から、ワイヤ及びノズル112を伝搬する音響に基づいてAE信号を検出する。
【0018】
図4は、他のワイヤ溶接用トーチ110に取り付けられたAEセンサ11を示す図である。AEセンサ11は、トーチ本体部111の側面に固定されており、トーチ本体部111を伝搬する音響に基づいてAE信号を検出する。
【0019】
AEセンサ11は、トーチ本体部111の側面に固定されている。このため、溶接部分から出る音響周波数は、ワイヤ及びトーチ本体部111内のワイヤ供給管を伝搬することによって、ほとんど減衰することなく、AEセンサ11で検出される。ここで、物質が塑性変形時(ワイヤ溶接時)に出す音響周波数は、固有の特徴がある。そのため、AEセンサ11で得られるAE信号は、ワイヤ溶接時の溶接部分の状態(正常溶接/異常溶接)の影響を受けている。
【0020】
ADコンバータ12は、AEセンサ11で検出されたAE信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。そして、ADコンバータ12は、デジタル信号となったAE信号を最大振幅演算器13、積分器14及び実効値演算器15にそれぞれ供給する。
【0021】
図5は、AE信号の概念図である。最大振幅演算器13は、所定時間(例えば10msec)毎に、AE信号の最大振幅値(中心から最大振幅値までの電圧をdB換算)を演算する。最大振幅値は、溶接部の亀裂の深さ及び長さ、ワイヤの摩耗量と相関関係がある。
【0022】
積分器14は、所定時間毎に、AE信号の積分値を演算する。積分値は、エネルギーに相当するものであり、溶接部の亀裂の大きさ(面積)、ワイヤの摩耗量と相関関係がある。実効値演算器15は、所定時間毎に、AE信号の2乗平均平方根(RMS)である実効値を演算する。実効値は、ワイヤの摩擦係数と相関関係がある。よって、AE信号の所定時間毎の最大振幅値、積分値、実効値を調べることによって、溶接部の品質が分かる。
【0023】
データ記憶部16には、正常溶接時の基準データとして、AE信号の最大振幅値、AE信号の積分値、AE信号の実効値がそれぞれ記憶されている。
【0024】
データ合成部17は、最大振幅演算器13、積分器14及び実効値演算器15で演算された演算値と、データ記憶部16に記憶されている正常溶接時の基準データと、を比較して、合成する。
【0025】
具体的には、データ合成部17は、最大振幅演算器13から最大振幅値が供給された場合は、当該最大振幅値と正常溶接時の最大振幅値とを合成して、所定の信号処理(例えば、最大振幅に対するエラー頻度の演算)を行って出力する。
データ合成部17は、積分器14から積分値が供給された場合は、当該積分値と正常溶接時の積分値とを合成して、所定の信号処理(例えば、積分値に対するエラー頻度の演算)を行って出力する。
データ合成部17は、実効値演算器15から実効値が供給された場合は、当該実効値と正常溶接時の実効値とを合成して、所定の信号処理(例えば、実効値に対するエラー頻度の演算)を行って出力する。
【0026】
表示部18は、データ合成部17から出力される信号に基づいてワイヤ溶接の品質状態を表す波形図を表示する。
図6から図9は、表示部18に表示されたグラフを示す図である。図6及び図7は、最大振幅[mV]に対するエラー頻度[回数]を示している。図8及び図9は、積分値(エネルギー)に対するエラー頻度[回数]を示している。
【0027】
図6から図9に示すように、正常品(正常溶接)、過電流及び過電圧(異常溶接)の違いが明らかになっている。また、正常品、芯ずれ及びガス流量減(異常溶接)の違いも明らかになっている。
【0028】
つぎに、アーク溶接の品質を示す最大振幅値(Amplitude)及び積分値(Energy)の他の検査結果を説明する。
図10は、正常溶接時及び異常溶接時の最大振幅値(Amplitude)を示す図である。同図において、左端の棒グラフは正常溶接を示し、その他の棒グラフは異常溶接を示している。
【0029】
異常溶接時の最大振幅値は、正常時に比べて、大きな値又は小さな値になる。このため、検査時の最大振幅値と正常時の最大振幅値との差が、所定の閾値を超えた場合、異常溶接が発生したと考えられる。
【0030】
そこで、アーク溶接品質検査装置10は、次のようにして、正常溶接/異常溶接を自動的に判定してもよい。例えば、アーク溶接品質検査装置10のデータ合成部17は、最大振幅演算器13で演算された最大振幅値と、正常溶接時の最大振幅値の基準データと、の差が所定の閾値を超えた場合、異常溶接が発生したことを示すトリガー信号を発生してもよい。
【0031】
トリガー信号が発生した場合、表示部18又はスピーカーが、異常溶接を示す情報を出力する。これにより、オペレータの主観を排除して、アーク溶接の品質を高精度に検査することができる。なお、上記の自動判定は、最大振幅値を用いた方法に限らず、積分値及び実効値を用いた方法にも適用可能である。
【0032】
図11は、正常溶接時及び異常溶接時の積分値(Energy)を示す図である。同図において、左端の棒グラフは正常溶接を示し、その他の棒グラフは異常溶接を示している。
【0033】
異常溶接時の積分値は、正常時に比べて、大きな値又は小さな値になる。このため、データ合成部17は、検査時の積分値と正常時の積分値との差が、所定の閾値を超えた場合、上述したトリガー信号を発生してもよい。
【0034】
図12は、積分値(Energy)の総計を類似比較する図である。同図(a)は正常溶接、同図(b)は芯ずれ下2mmの異常溶接、同図(c)はガス流量20%減の異常溶接を示している。なお、縦軸は積分値である。図12(a)~同図(c)に示すように、正常溶接時の積分値は、概ねまとまった集合体になっている。これに対して、異常溶接時の積分値は、少し散っている。このため、積分値(Energy)の総計から、異常溶接の状態が判定可能になる。
【0035】
以上のように、本発明の実施形態に係るアーク溶接品質検査装置10は、アーク溶接ロボット装置100のワイヤ溶接用トーチ110に取り付けられたAEセンサ11からAE信号を検出する。AE信号は、ワイヤ溶接時の溶接部分から伝搬された音響に基づく信号であることから、ワイヤ溶接の品質の影響を受けている。そこで、アーク溶接品質検査装置10は、AE信号に基づく所定の演算データと、正常溶接時の基準データと、を比較することによって、アーク溶接の品質を高精度に検査することができる。
【0036】
また、アーク溶接品質検査装置10は、アーク溶接を実行しながら、AE信号に基づく所定の演算データと、正常溶接時の基準データと、を比較することができるので、ほぼリアルタイムでアーク溶接の品質を検査することができる。
【0037】
なお、図2から図4に示したワイヤ溶接用トーチ110の代わりに、次のようなワイヤ溶接用トーチ110を用いることも可能である。
図13は、ワイヤ溶接用トーチ110の他の例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。ワイヤ溶接用トーチ110は、トーチ本体部111と、トーチ本体部111の先端部に設けられたノズル112と、を有する。ノズル112の内部であって、径の中心部には、ワイヤ案内管112aが設けられている。ワイヤは、不図示のワイヤ供給装置によって、トーチ本体部111、ノズル112(ワイヤ案内管112a)を経由して、母材上へ送り出される。
【0038】
また、ノズル112の内周面とワイヤ案内管112aの外周面の間から、シールドガスが噴射される。そして、ワイヤ溶接用トーチ110は、シールドガス中にアークを発生して、アーク熱で母材とワイヤを連続的に溶かしてワイヤ溶接する。
【0039】
AEセンサ11は、図13に示すように、トーチ本体部111上であって、ノズル112の取り付け部付近に設けられている。これにより、AEセンサ11は、溶接部分から、ワイヤ、ノズル112内のワイヤ案内管112を伝搬する音響に基づいて、AE信号を検出する。
【0040】
なお、ワイヤ溶接用トーチ110は、上述した形態に限定されるものではなく、その他の形態であってもよい。ワイヤ溶接用トーチ110は、例えば、空冷溶接トーチにも適用可能である。
【0041】
[第2の実施形態]
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部位には同じ符号を付け、重複する部分の詳細な説明は省略する。
【0042】
図1図3及び図4に示すAEセンサ11は、ワイヤ溶接の際に高温になった場合は、正確にAE信号を検出できない可能性がある。そこで、第2の実施形態では、空気を送ってAEセンサ11を冷却する冷却機構が設けられている。
【0043】
図14は、冷却機構200を示す分解斜視図である。冷却機構200は、AEセンサ11を側面から冷却するヒートシンク201と、AEセンサ11を覆うAEセンサシールドカバー202と、を備えている。
【0044】
AEセンサ11は、断熱プレート203を挟んで、ワイヤ溶接用トーチ110のトーチ本体部111上に固定される。ヒートシンク201は、AEセンサ11の側面を覆うように配置される。AEセンサシールドカバー202は、箱形に成型された部材であり、AEセンサ11及びヒートシンク201を上面側から覆い、トーチ本体部111上に固定される。
【0045】
AEセンサシールドカバー202には、空気供給口202in及び空気排出口202outが設けられている。AEセンサシールドカバー202は、空気供給口202inから空気が供給されると、その空気によってAEセンサ11及びヒートシンク201を冷却する。そして、AEセンサシールドカバー202は、AEセンサ11及びヒートシンク201の熱によって温められた空気を、空気排出口202outから排出する。
【0046】
AEセンサ11は、このように構成された冷却機構200によって効率よく放熱されるので、ワイヤ溶接の影響を受けることなく、正確にAE信号を検出することができる。なお、冷却機構200は、このような空冷式に限定されるものではなく、例えば水冷式であってもよい。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で設計変更されたものにも適用可能である。例えば、表示部18は、溶接時にリアルタイムで得られたデータと正常溶接時の基準データと同時に表示したが、いずれか一方のみを表示してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 アーク溶接品質検査装置
11 AEセンサ
12 ADコンバータ
13 最大振幅演算器
14 積分器
15 実効値演算器
16 データ記憶部
17 データ合成部
18 表示部
100 アーク溶接ロボット装置
110 ワイヤ溶接用トーチ
200 冷却機構

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14