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特開2024-61305ルーフモールの製造方法とルーフモールの切断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061305
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ルーフモールの製造方法とルーフモールの切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/09 20060101AFI20240425BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240425BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20240425BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20240425BHJP
   B23D 15/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B26D1/09
B26D7/06 F
B26D3/00 601A
B26D3/00 601E
B23D15/00 A
B23D15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169163
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219705
【氏名又は名称】東海興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】浜口 英作
(72)【発明者】
【氏名】國近 孝彰
【テーマコード(参考)】
3C021
3C039
【Fターム(参考)】
3C021DC01
3C039AA02
3C039AA25
3C039AA32
3C039AA42
(57)【要約】
【課題】フランジ部を有するルーフモールにおいて、脚部用切断刃がフランジ部と当たることなく脚部を切断することができるルーフモールの製造方法を提供する。
【解決手段】ルーフモール10の前駆体である連続成形体100は、頭部11と、脚部12と、フランジ部13と、リップ部14とを含む。切断装置は、脚部用切断刃21とリップ部用切断刃22を備える第1・第2の切断具25L・25Rを有する。脚部用切断刃21の間に脚部12が配され、外側にフランジ部13が配されるように、連続成形体100を供給する連続成形体供給工程と、第1・第2の切断具25L・25Rを前進させて脚部12を切断する脚部切断工程と、脚部切断工程の状態のまま、第1・第2の切断具25L・Rを下降させてリップ部14を切断するリップ部切断工程とを有する。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに設けられたルーフ溝に装着されるルーフモールの製造方法であって、
前記ルーフモールは、前記ルーフ溝を覆う頭部と、前記頭部の幅方向中央部裏面に設けられた脚部と、前記頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部と、前記脚部の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部とを含み、押出成形された連続成形体を所定寸法毎に切断装置により切断することで製造され、
前記切断装置は、それぞれ脚部用切断刃とリップ部用切断刃を備える第1切断具及び第2切断具を有し、
前記第1切断具及び前記第2切断具は、それぞれ水平方向及び上下方向へ進退可能であり、
前記脚部用切断刃は、水平方向に互いに向き合って配され、前記頭部、前記脚部、前記フランジ部、及び前記リップ部で囲まれた空間内に存在可能に形成されており、
前記リップ部用切断刃は、下側に向けて配されており、
前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように、前記切断装置へ前記連続成形体を長手方向に供給する連続成形体供給工程と、
前記連続成形体の所定箇所で前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ互いに水平方向に前進させて、前記脚部用切断刃で前記脚部を切断する脚部切断工程と、
前記脚部切断工程の状態のまま、前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ下方へ移動させて、前記リップ部用切断刃で前記リップ部を切断するリップ部切断工程とを有する、ルーフモールの製造方法。
【請求項2】
前記切断装置は、前記第1切断具及び第2切断具の上方に、頭部用切断刃を備える第3切断具を有し、
前記連続成形体供給工程の後、前記第3切断具を下方へ移動させて、前記頭部用切断刃で少なくとも前記頭部及び前記フランジ部を切断する頭部切断工程も有する、請求項1に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項3】
前記連続成形体を押出成形する押出成形ラインと同一ライン上で連続するように前記切断装置が配置されている、請求項1または請求項2に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項4】
前記リップ部切断工程の後、前記連続成形体供給工程に戻る前に、前記第1切断具と前記第2切断具の前記脚部用切断刃同士を互いに離間させる、請求項1または請求項2に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項5】
車両のルーフに設けられたルーフ溝に装着されるルーフモールの切断装置であって、
前記ルーフモールは、前記ルーフ溝を覆う頭部と、前記頭部の幅方向中央部裏面に設けられた脚部と、前記頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部と、前記脚部の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部とを含み、押出成形された連続成形体を所定寸法毎に前記切断装置により切断することで製造され、
前記切断装置は、それぞれ脚部用切断刃とリップ部用切断刃を備える第1切断具及び第2切断具を有し、
前記第1切断具及び第2切断具は、それぞれ水平方向及び上下方向へ進退可能であり、
前記脚部用切断刃は、水平方向に互いに向き合って配され、前記頭部、前記脚部、前記フランジ部及び前記リップ部で囲まれた空間内に存在可能に形成されており、
前記リップ部用切断刃は、下側に向けて配されており、
前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように、前記連続成形体を長手方向に受け入れ可能な、ルーフモールの切断装置。
【請求項6】
前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように前記連続成形体を受け入れた状態で、
前記連続成形体の所定箇所で前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ互いに水平方向に前進させて、前記脚部用切断刃で前記脚部を切断し、
前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ前進させた状態のまま、前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ下方へ移動させて、前記リップ部用切断刃で前記リップ部を切断する、請求項5に記載のルーフモールの切断装置。
【請求項7】
前記第1切断具及び第2切断具の上方に、少なくとも前記頭部及び前記フランジ部を切断するための頭部用切断刃を備える第3切断具を有する、請求項5または請求項6に記載のルーフモールの切断装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部を有するルーフモールに対して好適な、ルーフモールの製造方法とルーフモールの切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のルーフは、車両幅方向中央部に配されるセンタールーフパネルと、その両サイドに配されるサイドルーフパネルとをスポット溶接等により接合することで構成される。このとき、両ルーフパネルの接合部を隠すため接合部に沿ってルーフ溝を形成し、そのルーフ溝にルーフモールを装着することで意匠性を向上している。
【0003】
一般的にルーフモールは、ルーフ溝を覆う頭部と、頭部の幅方向中央部裏面に設けられた脚部と、脚部の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部とを含み、押出成形された連続成形体を所定寸法毎に切断装置により切断することで製造される。なお、ルーフ溝は、ルーフパネルのプレス成型時の破損等を回避するため、車両前後方向両端部は浅くなっている。これに伴い、ルーフモールの長手方向両端部では、脚部及びリップ部をルーフ溝の深さに対応させて切除されている。
【0004】
このような脚部及びリップ部を含むルーフモールの切断方法と、そのための切断装置として、例えば下記特許文献1が開示されている。特許文献1に記載の切断方法は、刃先を互いに対向させた第一切断刃と第二切断刃間にルーフモールの脚部を配置する脚部配置工程と、脚部の両側から第一及び第二切断刃を脚部に向けて互いに前進させ、脚部を挟むように脚部に刃先を食い込ませる両切断刃対向前進工程と、頭部を位置固定し、第一及び第二切断刃が脚部に食い込んだ状態で、一方の切断刃側へ移動させる両切断刃同一方向スライド工程とを有する。
【0005】
また、特許文献1に記載の切断装置は、第一切断刃及び第二切断刃が、互いの刃先を対向させてほぼ水平方向へ前進後退可能に基台上に設けられ、第一切断刃及び第二切断刃の上方には、脚部の両側で頭部裏面を支持し脚部を両刃先間に垂下させるモール受け部が設けられた切断刃側型と、第一切断刃の第一後部被押圧面と接触する第一接触面の形成された第一カムと、第二切断刃の第二後部被押圧面と接触する第二接触面の形成された第二カムとを備え、第一及び第二切断刃の移動方向と直交する方向へ第一及び第二カムと共に移動可能とされた作動側型とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-300887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ルーフモールには、頭部、脚部、リップ部を有する一般形状に加えて、頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部を有する形態のものもある。この場合、特許文献1の切断方法及び切断装置では、このようなフランジ部を有するルーフモールには適用できない。すなわち、特許文献1では、脚部の幅方向外方から水平方向に第一切断刃及び第二切断刃を前進させて脚部を挟むようになっているが、このとき脚部の幅方向外方に存在するフランジ部が第一切断刃及び第二切断刃に当たってしまう。そのため、強引に第一切断刃及び第二切断刃を前進させると、フランジ部が破損したり不必要に切断されてしまう。また、フランジ部と当たらない位置へ第一切断刃及び第二切断刃を配せば、第一切断刃及び第二切断刃の配置位置が制限されるので、脚部を所望の形状に切断することができなくなる。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部を有するルーフモールにおいて、脚部用切断刃がフランジ部と当たることなく脚部を切断することができるルーフモールの製造方法と、そのためのルーフモールの切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段として、本発明は次の手段を採る。
(1)車両のルーフに設けられたルーフ溝に装着されるルーフモールの製造方法であって、
前記ルーフモールは、前記ルーフ溝を覆う頭部と、前記頭部の幅方向中央部裏面に設けられた脚部と、前記頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部と、前記脚部の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部とを含み、押出成形された連続成形体を所定寸法毎に切断装置により切断することで製造され、
前記切断装置は、それぞれ脚部用切断刃とリップ部用切断刃を備える第1切断具及び第2切断具を有し、
前記第1切断具及び前記第2切断具は、それぞれ水平方向及び上下方向へ進退可能であり、
前記脚部用切断刃は、水平方向に互いに向き合って配され、前記頭部、前記脚部、前記フランジ部、及び前記リップ部で囲まれた空間内に存在可能に形成されており、
前記リップ部用切断刃は、下側に向けて配されており、
前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように、前記切断装置へ前記連続成形体を長手方向に供給する連続成形体供給工程と、
前記連続成形体の所定箇所で前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ互いに水平方向に前進させて、前記脚部用切断刃で前記脚部を切断する脚部切断工程と、
前記脚部切断工程の状態のまま、前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ下方へ移動させて、前記リップ部用切断刃で前記リップ部を切断するリップ部切断工程とを有する、ルーフモールの製造方法。
(2)前記切断装置は、前記第1切断具及び第2切断具の上方に、頭部用切断刃を備える第3切断具を有し、
前記連続成形体供給工程の後、前記第3切断具を下方へ移動させて、前記頭部用切断刃で少なくとも前記頭部及び前記フランジ部を切断する頭部切断工程も有する、(1)に記載のルーフモールの製造方法。
(3)前記連続成形体を押出成形する押出成形ラインと同一ライン上で連続するように前記切断装置が配置されている、(1)または(2)に記載のルーフモールの製造方法。
(4)前記リップ部切断工程の後、前記連続成形体供給工程に戻る前に、前記第1切断具と前記第2切断具の前記脚部用切断刃同士を互いに離間させる、(1)または(2)に記載のルーフモールの製造方法。
(5)車両のルーフに設けられたルーフ溝に装着されるルーフモールの切断装置であって、
前記ルーフモールは、前記ルーフ溝を覆う頭部と、前記頭部の幅方向中央部裏面に設けられた脚部と、前記頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部と、前記脚部の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部とを含み、押出成形された連続成形体を所定寸法毎に前記切断装置により切断することで製造され、
前記切断装置は、それぞれ脚部用切断刃とリップ部用切断刃を備える第1切断具及び第2切断具を有し、
前記第1切断具及び第2切断具は、それぞれ水平方向及び上下方向へ進退可能であり、
前記脚部用切断刃は、水平方向に互いに向き合って配され、前記頭部、前記脚部、前記フランジ部及び前記リップ部で囲まれた空間内に存在可能に形成されており、
前記リップ部用切断刃は、下側に向けて配されており、
前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように、前記連続成形体を長手方向に受け入れ可能な、ルーフモールの切断装置。
(6)前記脚部用切断刃の間に前記脚部が配され、前記脚部用切断刃の外側に前記フランジ部が配されるように前記連続成形体を受け入れた状態で、
前記連続成形体の所定箇所で前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ互いに水平方向に前進させて、前記脚部用切断刃で前記脚部を切断し、
前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ前進させた状態のまま、前記第1切断具及び前記第2切断具をそれぞれ下方へ移動させて、前記リップ部用切断刃で前記リップ部を切断する、(5)に記載のルーフモールの切断装置。
(7)前記第1切断具及び第2切断具の上方に、少なくとも前記頭部及び前記フランジ部を切断するための頭部用切断刃を備える第3切断具を有する、(5)または(6)に記載のルーフモールの切断装置。
【発明の効果】
【0010】
(1)・(5)・(6)の手段によれば、頭部の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部を有するルーフモールに対して、脚部用切断刃が、頭部、脚部、フランジ部、及びリップ部で囲まれた空間内に存在可能に形成されている。そして、脚部用切断刃の間に脚部が配され、脚部用切断刃の外側にフランジ部が配されるように切断装置へ連続成形体を長手方向に供給したうえで、第1切断具及び第2切断具を互いに前進させて脚部用切断刃で脚部が切断されるようになっている。これによれば、脚部用切断刃がフランジ部の内側に存在した状態から脚部が切断されるので、第1切断具及び第2切断具を前進させる際にフランジ部と当たることがない。また、リップ部切断工程では、脚部切断工程の状態のままリップ部用切断刃を下方へ移動させるだけなので、リップ部切断工程においても、リップ部用切断刃がフランジ部と当たることがない。したがって、脚部切断工程及びリップ部切断工程においてフランジ部が破損したり不必要に切断されることがなく、且つ脚部用切断刃による切断位置や切断形状がフランジ部の存在によって制約を受けることもない。
【0011】
(2)・(7)の手段によれば、頭部用切断刃を備える第3切断具によって頭部及びフランジ部を切断することで、連続成形体を所定長さのルーフモールとして切断することができる。
【0012】
(3)の手段によれば、押出成形ラインと連続成形体切断ラインとが同一ライン上にあることで、押出成形された連続成形体をわざわざ切断装置へ移動させる必要がなく、生産性を向上することができる。
【0013】
(4)の手段によれば、脚部用切断刃とリップ部用切断刃によって切除された端材(脚部及びリップ部から切除された不要な部分)が対向する脚部用切断刃の間に挟まり留まっていたとしても、次のサイクル工程へ戻る前に脚部用切断刃同士を互いに離間させることで、端材を確実に下方へ落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動車の上方斜視図である。
図2】ルーフモールの斜視図である。
図3】ルーフモールの正面図である。
図4図1のA-A線断面図である。
図5】切断装置の斜視図である。
図6】第1切断具及び第2切断具の斜視図である。
図7】連続成形体供給工程の正面図である。
図8】連続成形体供給工程の側面図である。
図9】脚部切断工程及び頭部切断工程の図8におけるB-B線相当断面図である。
図10】リップ部切断工程の側面図である。
図11図10のC-C線断面図である。
図12】連続成形体からルーフモールと端材が生じた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の代表的な実施例を挙げて具体的に説明する。
(ルーフモール)
本発明の適用対象であるルーフモール10は、図1に示すように、自動車1等の車両のルーフに装着される。自動車1のルーフパネルは、車幅方向中央部のセンタールーフパネル2と、センタールーフパネル2の車幅方向両外方に配されるサイドルーフパネル3とによって構成されるが、センタールーフパネル2とサイドルーフパネル3とは、スポット溶接等によって接合されている。そのため、ルーフパネルの両側縁部には、車両前後方向に延びるライン状の接合部が延在しており、そのままでは見栄えが悪い。そこで、センタールーフパネル2とサイドルーフパネル3との接合部に沿ってルーフ溝4を設けたうえで、ルーフモール10をルーフ溝4へ装着することで、接合部を覆い隠している。
【0016】
図2,3に、本実施形態のルーフモール10を示す。本実施形態のルーフモール10は、頭部11と、頭部11の幅方向中央部裏面に設けられた脚部12と、頭部11の幅方向側縁から裏面側へ突出するフランジ部13と、脚部12の下端部から幅方向外方へ突出するリップ部14とを含む。
【0017】
ルーフモール10は、オレフィン系エラストマー(TPO)やポリ塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)等の熱可塑性樹脂、又はエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等のゴム製であって、押出成形により成形された連続成形体100(図8図12等参照)を所定寸法毎に切断することで製造された、長手方向にほぼ一様な形状の長尺部材である。その長さは、ルーフ溝4の長さと一致している。なお、ルーフモール10の長手方向両端部では、ルーフ溝4の深さ(他の部位より浅く形成されている)に応じて、脚部12及びリップ部14の一部が切除されている。ルーフモール10は、図外の装着部材を介してルーフ溝4へ装着固定される。
【0018】
頭部11は、ほぼ平板状(若干湾曲している)であって、ルーフ溝4の上面開口を覆う幅寸法を有する。脚部12は頭部11の裏面から下方に向けて延在しており、その内部には補強用の金属製芯材15が埋設されている。フランジ部13も頭部11の裏面から下方へ向けて延在しているが、脚部12よりも短寸である(本実施形態では脚部12の約1/2)。図4に示すように、フランジ部13はセンタールーフパネル2とサイドルーフパネル3の上面に当接しており、ルーフモール10及び溝4の内部に雨水等の水分が侵入することを防止する。また、本実施形態ではセンタールーフパネル2はサイドルーフパネル3よりも低く設計されており、車幅方向車内側のフランジ部13に沿って水分を後方へ流し、車幅方向車外側のサイドウインドウへ雨水等が垂れ流れることも防止する。リップ部14は、ルーフモール10をルーフ溝4内へ装着したとき、ルーフ溝4の側壁と弾接している。
【0019】
(切断装置)
図5,6に、連続成形体100を所定長さで切断してルーフモール10を得るための切断装置20を示す。切断装置20は、それぞれ脚部用切断刃21とリップ部用切断刃22を備える第1切断具25L及び第2切断具25Rと、頭部用切断刃23を備える第3切断具26とを有する。第1切断具25L及び第2切断具25Rは、図外のシリンダ装置に連結されており、それぞれ水平方向及び上下方向へ進退可能となっている。第1切断具25Lと第2切断具25Rは、常に同じ高さ位置で同時に昇降し、後述する連続成形体100の供給ラインを挟んで連続成形体100(ルーフモール10)の幅方向に並設されている。第1切断具25L及び第2切断具25Rは金属製のブロック体であって、互いの対向面上縁が幅方向内側へ所定量張り出すように脚部用切断刃21とリップ部用切断刃22がそれぞれワイヤーカット加工と切削加工により形成されている。
【0020】
脚部用切断刃21は、水平方向に互いに対向するように幅方向内方へ向けて形成されている。脚部用切断刃21の第1切断具25L及び第2切断具25R上縁からの張り出し寸法は、両脚部用切断刃21同士を突合せた状態において、その下方にリップ部14が第1切断具25Lと第2切断具25Rとの間に収まる寸法であればよい。換言すれば、両脚部用切断刃21同士を突合せた状態において、その下方にリップ部14が収まる空間が形成されている。
【0021】
脚部用切断刃21は、連続成形体100から不要な部分の脚部12を所定形状で切除するためのものである。そのため、特殊な形状に形成されている。本実施形態の脚部用切断刃21は、第1切断具25L及び第2切断具25Rの中流部から下流部にかけては平刃部21aとなっており、上流部では上方に膨出した膨出刃部21bとなっている。膨出刃部21bは、金属板をワイヤーカット加工及び切削加工して第1切断具25L及び第2切断具25Rと一体に形成されている。膨出刃部21bの大きさは、切断装置20へ連続成形体100を受け入れた状態において、ルーフモール10の頭部11、脚部12、フランジ部13、及びリップ部14で囲まれた空間内に存在可能な大きさに形成されている。符号24は、頭部用切断刃23を受け入れるスリットである。
【0022】
リップ部用切断刃22は、連続成形体100から不要な部分のリップ部12を所定寸法切除するためのものである。リップ部用切断刃22は、脚部用切断刃21の上流縁と下流縁の両縁において、下方に向けて形成されている。
【0023】
第3切断具26は、第1切断具25L及び第2切断具25Rの上方に配されており、頭部用切断刃23が、第3切断具26の下面から下方に向けて設けられている。第3切断具26は、図外のシリンダ装置に連結されて上下方向へ昇降可能となっている。第3切断具26は切断装置20の幅方向中央に配されており、頭部用切断刃23の幅方向中央線と供給されてくる連続成形体100の幅方向中央線とは一致する。本実施形態の頭部用切断刃23は、幅方向に並設された形状の一枚刃からなる。また、連続成形体100の供給ライン方向(長手方向)基準で、頭部用切断刃23は膨出刃部21bに形成されたスリット24上に位置している。
【0024】
第1切断具25L、第2切断具25R、及び第3切断具26の上流側には、連続成形体100が供給されてくる上流台座30が設けられている。この上流台座30は、図外の押出成形機から供給されてくる連続成形体100の押出成形ラインと同一ライン上で連続して設置されている。すなわち、切断装置20は、連続成形体100の押出成形ラインと同一ライン上で連続するように設置されている。そのため、連続成形体100を押出成形機から切断装置20へ移動ないし運搬する必要はない。
【0025】
第1切断具25L、第2切断具25R、及び第3切断具26の下流側には、切断製造されたルーフモール10を流す下流台座31が設けられている。上流台座30及び下流台座31の上面幅方向中央部には、リップ部14の下面形状と一致する溝32がそれぞれ形成されている。上流台座30の溝32と下流台座31の溝32も、同一ライン上にある。上流台座30及び下流台座31は不動である。
【0026】
(製造方法)
次に、ルーフモール10の製造方法について説明する。切断装置20の初期状態では、第1切断具25L、第2切断具25R、及び第3切断具26は、それぞれ上限位置にある。また、第1切断具25L及び第2切断具25Rは後退位置にあり、両脚部用切断刃21同士は離間している。
【0027】
<連続成形体供給工程>
この初期状態において、図7に示すように、両脚部用切断刃21の間に脚部12が配されるように、上流台座30の溝32に沿って連続成形体100が図外の押出成形機から長手方向に連続して供給されて来る。このとき、脚部用切断刃21の膨出刃部21bは、連続成形体100の頭部11、脚部12、フランジ部13、及びリップ部14で囲まれた空間内に存在している。すなわち、脚部用切断刃21の膨出刃部21bの幅方向外方にフランジ部13が位置している。また、上下方向において、脚部用切断刃21の平刃部21aはフランジ部13とリップ部14の間に位置している。なお、図7に示す連続成形体100の正面図は切断前の状態であり、長手方向先端面は平坦面である。
【0028】
<脚部切断工程>
切断装置20へ連続成形体100が供給され、頭部用切断刃23より下流側の連続成形体100の寸法が図8に示すように規定寸法になると、図9に示すように、第1切断具25L及び第2切断具25Rがそれぞれ互いに水平方向、すなわち幅方向内方側へ前進する。そして、両脚部用切断刃21同士が当接することで、不要な部分を切除する形状で脚部12が切断される。このとき、膨出刃部21bの幅方向外方にフランジ部13が位置しているので、脚部12の切断に際して脚部用切断刃21がフランジ部13と当たることはない。第1切断具25L及び第2切断具25Rを前進させるタイミングは、連続成形体100を供給してから規定時間経過後としてもよいし、切断装置20に近接センサを設置する等によって連続成形体100が切断装置20を所定量通過したタイミングとしたりすればよい。
【0029】
<頭部切断工程>
また、脚部切断工程において第1切断具25L及び第2切断具25Rを前進させると同時に、図9に示すように、第3切断具26が下降する。すると、頭部用切断刃26が脚部用切断刃21のスリット24に入り込んで、頭部用切断刃26によって連続成形体100の頭部11及びフランジ部13が切断される。これにより、頭部切断刃26より下流側が所定寸法のルーフモール10となる。第3切断具23の下降量は、頭部切断刃26によって連続成形体100の頭部11及びフランジ部13が切断される程度であればよく、他の部位よりも硬い芯材15は両脚部用切断刃21同士を突き合わせて切断する。また、第3切断具23を芯材15に至るまで下降させて、芯材15を頭部切断刃26で切断してもよい。
【0030】
頭部切断工程は、脚部切断工程と同時に行うほか、脚部切断工程の直前又は直後(後述のリップ部切断工程と同時)に連続して行ってもよいし、リップ部切断工程の直後に連続して行ってもよい。また、頭部切断工程は、脚部切断工程と連続せず、脚部切断工程の前やリップ部切断工程の後に行っても良い。
【0031】
<リップ部切断工程>
続いて、図10,11に示すように、両脚部用切断刃21同士を突合せた脚部切断工程の状態のまま、第1切断具25L及び第2切断具25Rを下降させることで、リップ部切断用刃22によってリップ部14が切断され、不要な部分の脚部12及びリップ部14が所定形状で切除される。
【0032】
リップ部切断工程において不要な部分の脚部12及びリップ部14を切除できたら、図7に示す初期状態へ戻る。この一連の工程を繰り返すことで、図12に示すように、連続成形体100から不要な部分の脚部12及びリップ部14を切除すると同時に、所定長さのルーフモール10を連続して製造することができる。なお、押出成形ラインと切断装置20との間に複数のダンサーローラーを設けて切断装置20への供給の一時静止ルートを設けておくと、切断装置20による切断工程を滞りなく行うことができる。
【0033】
リップ部切断工程から初期状態へ戻る際、両脚部用切断刃21同士を突合せた状態のまま第1切断具25L及び第2切断具25Rを上昇させてから第1切断具25L及び第2切断具25Rを後退させることもできるが、第1切断具25L及び第2切断具25Rを後退させて両脚部用切断刃21同士を離間させてから第1切断具25L及び第2切断具25Rを上昇させることが好ましい。後者の方法によれば、切除により生じた不要な端材101を確実に下方へ落とすことができる。
【0034】
上記実施例では、連続成形体100が押出成形機から長手方向に連続して供給されるようにしたが、押出成形ラインと同一ライン上に切断装置が配置されていなくても良い。例えば、連続成形体100を押出成形して定尺切断したものを切断装置20に供給しても良い。この場合、切断装置20では、頭部切断工程を行わなくても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 自動車
2 センタールーフパネル
3 サイドルーフパネル
4 ルーフ溝
10 ルーフモール
11 頭部
12 脚部
13 フランジ部
14 リップ部
15 芯材
20 切断装置
21 脚部用切断刃
21a 平刃部
21b 膨出刃部
22 リップ部用切断刃
23 頭部用切断刃
24 スリット
25L 第1切断具
25R 第2切断具
26 第3切断具

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12