(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061312
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ネジ打ち機
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20240425BHJP
B25C 1/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B25B21/00 K
B25B21/00 530Z
B25C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169174
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 一哉
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB02
3C068CC02
3C068DD13
3C068JJ13
(57)【要約】
【課題】ネジの打ち込み深さを調整できる構成で、全高が高くなることを抑制したネジ打ち機を提供する。
【解決手段】ネジ打ち機1Aは、圧縮空気で駆動され、ドライバビット2を軸方向に移動させる打撃ピストン30aを有した打撃シリンダ30と、圧縮空気で駆動され、ドライバビット2を回転させるエアモータ31と、外部より圧縮空気が供給されるメインチャンバ13と、メインチャンバ13と打撃シリンダ30及びエアモータ31をつなぐ空気流路54を開閉するメインバルブ5と、メインバルブ5の下流側で空気流路54と打撃シリンダ30をつなぐ供給口34と、打撃シリンダ30の外周に設けられ、供給口34の開口面積を切り替える絞り部35を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバビットが取付け可能な打撃ピストンと、
前記打撃ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、前記第2室に圧縮空気が供給されることで前記ドライバビットを軸方向に移動させる打撃シリンダと、
圧縮空気が供給されることで前記打撃ピストンを介して前記ドライバビットを軸回りに回転させるエアモータと、
前記第2室と前記エアモータとを連通する空気流路と、
圧縮空気を貯留し、前記空気流路と連通するメインチャンバと、
前記空気流路と前記メインチャンバとの連通を開閉するメインバルブとを備え、
前記打撃シリンダには、前記空気流路と前記第2室とを連通する供給口が形成され、
前記打撃シリンダの外周に変位可能に配置され、変位することで前記供給口の開口面積を切り替える絞り部を備える
ネジ打ち機。
【請求項2】
前記エアモータは、前記打撃シリンダに対して、前記第2室側、かつ同軸上に設けられる
請求項1に記載のネジ打ち機。
【請求項3】
前記絞り部と係合する流量切替部を備え、
前記流量切替部は、前記ドライバビットの軸方向と同軸な前記打撃シリンダの軸を中心に回転可能に構成され、
前記絞り部は、前記流量切替部の回転に連動して、前記供給口の開口面積を切り替える
請求項1に記載のネジ打ち機。
【請求項4】
前記絞り部は、前記打撃シリンダの軸方向に沿って移動して、前記供給口の開口面積を切り替える
請求項3に記載のネジ打ち機。
【請求項5】
前記絞り部と前記流量切替部はそれぞれ、前記流量切替部の回転を、前記絞り部の前記打撃シリンダの軸方向の移動に変換するカム部を備え、
前記絞り部は、前記流量切替部が回転することで、前記流量切替部のカム部と前記絞り部のカム部とが係合して前記打撃シリンダの軸方向に沿って移動する
請求項4に記載のネジ打ち機。
【請求項6】
前記流量切替部を回転させる操作部を備え、
前記操作部は、少なくとも一部が本体部の外部に露出する
請求項5に記載のネジ打ち機。
【請求項7】
前記絞り部は、前記打撃シリンダの軸方向において、前記流量切替部と重ねて配置され、
前記絞り部と前記流量切替部は、それぞれ板状の部材で構成される
請求項6に記載のネジ打ち機。
【請求項8】
ドライバビットが取付け可能な打撃ピストンと、
前記打撃ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、前記第2室に圧縮空気が供給されることで前記ドライバビットを軸方向に移動させる打撃シリンダと、
圧縮空気が供給されることで前記打撃ピストンを介して前記ドライバビットを軸回りに回転させるエアモータと、
前記第2室と前記エアモータとを連通する第1の空気流路と、
圧縮空気を貯留し、前記第1の空気流路と連通するメインチャンバと、
前記第1の空気流路と前記メインチャンバとの連通を開閉するメインバルブと、
前記第1の空気流路と前記エアモータをつなぐ第2の空気流路を開閉する開閉弁とを備え、
前記エアモータは、前記打撃シリンダに対して、前記第2室側、かつ同軸上に設けられ、
前記メインバルブは、前記打撃シリンダの軸方向に沿って前記エアモータより前記打撃シリンダの側で前記打撃シリンダの外周に設けられ、
前記開閉弁は、前記エアモータの側部に設けられる
ネジ打ち機。
【請求項9】
前記打撃シリンダには、前記第1の空気流路と前記第2室とを連通する供給口が形成され、
前記打撃シリンダの外周に変位可能に配置され、変位することで前記供給口の開口面積を切り替える絞り部を備えた
請求項8に記載のネジ打ち機。
【請求項10】
前記打撃ピストンは、前記第1室側に前記ドライバビットが接続されると共に、前記ドライバビットと反対側に前記エアモータに駆動されるモータシャフトが取り付けられ、
前記エアモータは、圧縮空気が供給されることで回転するロータを有し、
前記ロータは、前記モータシャフトの軸方向に沿って延伸し、前記モータシャフトが軸方向に移動可能に挿入される穴部を有し、
前記モータシャフトを、軸方向に移動可能に支持すると共に、前記ロータの回転を前記モータシャフトに伝達して前記モータシャフトを回転させる駆動力伝達部を備えた
請求項2または請求項8に記載のネジ打ち機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジを被打ち込み材に打ち込んだ後、締め込みを行うネジ打ち機に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジ打ち機は、圧縮空気を動力源として作動し、打撃シリンダでドライバビットを軸方向に移動させてネジの頭部が被打ち込み材から浮く程度にネジを打ち込んだ後、エアモータでドライバビットを回転させてネジを被打ち込み材に締め込む工具である。
【0003】
このようなネジ打ち機では、ネジの打ち込み時にネジの先端が被打ち込み材の上材を貫通して下材の途中まで打ち込まれる必要がある。しかし、ネジの打ち込み過ぎは、下材にねじ径より大きい穴が深くあいてしまうため、ねじの掛かり量が短くて締結力が弱くなる可能性がある。
【0004】
そこで、ネジの打ち込み力を調整して被打ち込み材に対するネジの打込み深さを常に適正にすることができるようにした打ち込み力調整機構を備えた空気圧工具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の空気圧工具では、打撃シリンダのシリンダキャップの上部に、メインエアチャンバから打撃シリンダに供給される圧縮空気の量を調整することによって打ち込み力を調整できる打ち込み力調整機構が設けられている。このため、空気圧工具の全高が高くなる要因となっていた。また、ドライバビットを回転させるエアモータが、打撃シリンダの上側に設けられる空気圧工具が提案されている。しかし、打撃シリンダの上側にエアモータが設けられる構成では、メインバルブの配置や、エアモータの回転を制御する弁の配置が、空気圧工具の全高がさらに高くなる要因となっていた。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、全高が高くなることを抑制したネジ打ち機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、ドライバビットが取付け可能な打撃ピストンと、打撃ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、第2室に圧縮空気が供給されることでドライバビットを移動させる打撃シリンダと、圧縮空気が供給されることでドライバビットを軸回りに回転させるエアモータと、打撃シリンダの第2室と連通する空気流路と、圧縮空気を貯留し、空気流路と連通するメインチャンバと、空気流路とメインチャンバとの連通を開閉するメインバルブとを備え、打撃シリンダには、空気流路と第2室とを連通する供給口が形成され、打撃シリンダの外周に変位可能に配置され、変位することで供給口の開口面積を切り替える絞り部を備えるネジ打ち機である。
【0009】
本発明では、供給口の開口面積を切り替える絞り部を備えることで、ドライバビットが軸方向に移動してネジを被打ち込み材に打ち込む力が調整される。この供給口の開口面積を切り替える絞り部が、打撃シリンダの外周に設けられることで、ドライバビットの軸方向に沿ったネジ打ち機の長さが増加することが抑制される。
【0010】
また、本発明は、ドライバビットが取付け可能な打撃ピストンと、打撃ピストンによって第1室と第2室に仕切られ、第2室に圧縮空気が供給されることでドライバビットを移動させる打撃シリンダと、圧縮空気が供給されることでドライバビットを軸回りに回転させるエアモータと、打撃シリンダの第2室と連通する第1の空気流路と、圧縮空気を貯留し、第1の空気流路と連通するメインチャンバと、第1の空気流路とメインチャンバとの連通を開閉するメインバルブと、第1の空気流路とエアモータをつなぐ第2の空気流路を開閉する開閉弁とを備え、エアモータは、打撃シリンダに対して、第2室側、かつ同軸上に設けられ、メインバルブは、ドライバビットの軸方向と同軸な打撃シリンダの軸方向に沿ってエアモータより打撃シリンダの側で打撃シリンダの外周に設けられ、開閉弁は、前記エアモータの側部に設けられるネジ打ち機である。
【0011】
本発明では、メインバルブが打撃シリンダの外周に設けられ、開閉弁がエアモータの側部に設けられることで、ドライバビットの軸方向に沿ったネジ打ち機の長さが増加することが抑制される。また、開閉弁がエアモータの側部に設けられることで、第2の空気流路の長さを短くできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ネジを被打ち込み材に打ち込む力を調整する機構を備えた構成で、ドライバビットの軸方向に沿ったネジ打ち機の長さが増加することを抑制できる。
【0013】
また、本発明では、エアモータが打撃シリンダに対して、第2室側、かつ同軸上に設けられる構成で、ドライバビットの軸方向に沿ったネジ打ち機の長さが増加することを抑制できる。また、エアモータとつながる空気流路の長さを短くできることで、エアモータに供給される圧縮空気の損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す側断面図である。
【
図1B】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。
【
図1C】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図1D】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図1E】本実施の形態のネジ打ち機におけるエアモータとドライバビットの連結構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図1F】本実施の形態のネジ打ち機におけるエアモータとドライバビットの連結構造の一例を示す分解斜視図である。
【
図2A】切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図2B】切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図3A】切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図3B】切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図4A】ネジの打ち込み力を調整する機構の一例を示す斜視図である。
【
図4B】ネジの打ち込み力を調整する機構の一例を示す斜視図である。
【
図5A】ネジの打ち込み力を調整する機構の操作例を示すネジ打ち機の側面図である。
【
図5B】ネジの打ち込み力を調整する機構の操作例を示すネジ打ち機の側面図である。
【
図7】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の側断面図である。
【
図8A】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8B】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8C】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8D】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8E】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8F】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8G】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図9A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図9B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図10A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図10B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図11A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図11B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図12A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図12B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図13A】ネジの打ち込み深さを切り替える切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図13B】ネジの打ち込み深さを切り替える切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図14A】切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図14B】切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図15A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図15B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図16A】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図16B】第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図17A】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図17B】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図である。
【
図18A】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図18B】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【
図19A】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図19B】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図19C】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【
図20A】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図20B】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図20C】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【
図21A】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図21B】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図21C】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【
図22A】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図22B】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図23A】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図23B】第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図24A】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図である。
【
図24B】第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【
図25A】本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す断面図である。
【
図25B】本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す断面図である。
【
図26A】本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す要部斜視図である。
【
図26B】本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明のネジ打ち機の実施の形態について説明する。
【0016】
<本実施の形態のネジ打ち機の構成例>
図1Aは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す側断面図、
図1Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。また、
図1C及び
図1Dは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。さらに、
図1E、
図1Fは、本実施の形態のネジ打ち機におけるエアモータとドライバビットの連結構造の一例を示す分解斜視図である。また、
図2A、
図2Bは、ネジの打ち込み深さを切り替える切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図、
図3A、
図3Bは、切替部の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0017】
図2A及び
図3Aは、ネジの打ち込み深さを第1の打ち込み深さとする第1のモードが選択された各部の状態を示す。また、
図2B及び
図3Bは、ネジの打ち込み深さを第1の打ち込み深さより深い第2の打ち込み深さとする第2のモードが選択された各部の状態を示す。
【0018】
ネジ打ち機1Aは、圧縮空気で駆動され、ドライバビット2を軸方向に移動させて、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込んだ後、ドライバビット2を回転させてネジ200の締め込みを行う締結部3を備える。締結部3は、ドライバビット2を軸方向に移動させる打撃シリンダ30と、ドライバビット2を軸回りに回転させるエアモータ31を備える。
【0019】
また、ネジ打ち機1Aは、打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給の有無を切り替えるメインバルブ5と、メインバルブ5を作動させる始動バルブ6と、始動バルブ6を作動させるトリガ60を備える。
【0020】
さらに、ネジ打ち機1Aは、エアモータ31への圧縮空気の供給の有無を切り替える開閉弁7と、開閉弁7を作動させる制御部70を備える。また、ネジ打ち機1Aは、被打ち込み材300と接触し、ネジ200の打ち込み方向に沿った軸方向に移動可能に構成され、トリガ60の操作と協動で始動バルブ6を作動可能とすると共に、制御部70を作動させるコンタクトアーム8を備える。
【0021】
さらに、ネジ打ち機1Aは、打撃シリンダ30がドライバビット2を軸方向に移動させる打ち込み動作時に、コンタクトアーム8の下死点位置からの移動量を規制する打ち込み深さ規制部4aと、打ち込み深さ規制部4aによるコンタクトアーム8の移動量の規制の有無を切り替える打ち込み深さ切替部4bを備える。
【0022】
また、ネジ打ち機1Aは、ネジ200を後述するノーズ部12に送るネジ送り部9と、ネジ送り部9で送られるネジ200を収容するマガジン90を備える。
【0023】
ネジ打ち機1Aは、本体部10と、本体部10と交差する方向に延伸するハンドル部11を備える。ネジ打ち機1Aは、ドライバビット2の軸方向に沿って延伸する本体部10の延伸方向に沿った一方の側に、ネジ送り部9によりネジ200が供給されると共にドライバビット2が通るノーズ部12が設けられる。ネジ打ち機1Aは、ノーズ部12が設けられる本体部10の延伸方向に沿った一方の側を下側とし、本体部10の延伸方向に沿った他方の側を上側とする。
【0024】
ネジ打ち機1Aは、ハンドル部11の下側、ネジ打ち機1Aを横向きの形態で使用する場合はハンドル部11の前側にマガジン90が設けられる。また、ネジ打ち機1Aは、ハンドル部11の上側、ネジ打ち機1Aを横向きの形態で使用する場合はハンドル部11の後側にエアモータ31が設けられる。
【0025】
ノーズ部12は、連結帯201で連結されたネジ200が供給される射出通路12aと、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿った一方の端部に形成され、連結帯201から外れたネジ200が射出される射出口12bを備える。
【0026】
ネジ打ち機1Aは、図示しない外部のエアコンプレッサから圧縮空気が供給されるメインチャンバ13を備える。メインチャンバ13は、ハンドル部11内及び本体部10内でハンドル部11内とつながった打撃シリンダ30の外周に設けられ、減圧弁13aで減圧された圧縮空気が供給される。また、ネジ打ち機1Aは、打撃シリンダ30及びエアモータ31などに供給された圧縮空気を排気する排気パイプ14を備える。排気パイプ14は、ハンドル部11に設けられ、排気フィルタ14aを介して圧縮空気を排気する。
【0027】
打撃シリンダ30は打ち込み部の一例で、上下に延伸する形態で、本体部10の内部に設けられる。打撃シリンダ30は、円筒状の内部の空間に、打撃ピストン30aが擦動可能に設けられる。打撃ピストン30aは、外周にシール部30bを備え、打撃シリンダ30に収容される。打撃ピストン30aは、打撃シリンダ30内を打撃シリンダ下室である第1室30cと打撃シリンダ上室である第2室30dとに仕切る。打撃ピストン30aは、エアモータ31に駆動されるモータシャフト31aが取り付けられる。打撃ピストン30aは、上死点位置にある状態で、第1室30c側にドライバビット2が接続される。すなわち、ドライバビット2は、打撃ピストン30aから下側に突出する形態で、モータシャフト31aを介して打撃ピストン30aに着脱可能に取り付けられる。また、モータシャフト31aは、打撃ピストン30aに対してドライバビット2の反対側に設けられ、打撃ピストン30aから上側に突出する形態で、打撃ピストン30aに取り付けられる。
【0028】
打撃シリンダ30は、メインチャンバ13から第2室30dに圧縮空気が供給される。打撃ピストン30aは、打撃シリンダ30の第2室30dに供給された圧縮空気の空気圧で押圧され、第1の方向である矢印Dで示す下方向に移動して、ドライバビット2を軸方向に沿って下方向に移動させる。ドライバビット2及びモータシャフト31aは、打撃ピストン30aと一体に移動する。下方向に移動するドライバビット2は、ノーズ部12の射出通路12aに案内されることで、マガジン90からノーズ部12の射出通路12aに供給されたネジ200を被打ち込み材300に打ち込む。また、ドライバビット2は、モータシャフト31aが回転することで、モータシャフト31aと一体に回転し、被打ち込み材300に打ち込まれたネジ200を締め込む。
【0029】
ネジ打ち機1Aは、制御部70を作動させる圧縮空気が供給されるタイマチャンバ32と、下死点位置に移動した打撃ピストン30aを上死点位置に復帰させると共に、ネジ送り部9を作動させる圧縮空気が供給されるブローバックチャンバ33を備える。
【0030】
タイマチャンバ32とブローバックチャンバ33は、本体部10の内部で打撃シリンダ30の外周側に設けられる。タイマチャンバ32は、打撃シリンダ30の側面穴流路32aを介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。また、ブローバックチャンバ33は、打撃シリンダ30の側面穴流路33aを介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。タイマチャンバ32とブローバックチャンバ33は、打撃ピストン30aが上死点位置から下死点位置に移動する動作で圧縮空気が供給され、打撃ピストン30aの位置に応じて圧力が上昇する。
【0031】
エアモータ31は締め込み部の一例で、圧縮空気が供給されることで回転するロータ31b1と、ロータ31b1を回転させる空気の流れを受けるブレード31b2と、ロータ31b1を回転可能に支持すると共に、ロータ31b1を回転させる空気の流れを生成するモータハウジング31cを備える。エアモータ31は、ロータ31b1の回転が減速機31dを介してモータシャフト31aに伝達される。減速機31dは、打撃シリンダ30とエアモータ31の間に設けられる。減速機31dは、遊星歯車機構で構成され、ロータ31b1と接続される太陽歯車31eと、太陽歯車31eと噛み合う複数の遊星歯車31fと、遊星歯車31fと噛み合う内歯車31gと、遊星歯車31fを回転可能に支持するキャリア31hを備える。減速機31dは、太陽歯車31eと遊星歯車31f及び内歯車31gが、ドライバビット2の軸方向に対して同一面に設けられる。また、減速機31dは、太陽歯車31eと遊星歯車31f及び内歯車31gの下側にキャリア31hが設けられる。
【0032】
ロータ31b1は、矢印Uで示す上方向及び矢印Dで示す下方向に沿った軸方向に、上端から下端まで貫通して穴部31b3が設けられた中空構造で、穴部31b3にモータシャフト31aが軸方向に移動可能に挿入される。穴部31b3は、ロータ31b1の回転の中心と同軸上に設けられる。ロータ31b1は、太陽歯車31eと接続される係合箇所が下端に設けられる。太陽歯車31eと接続される係合箇所が多角形、例えば六角形の軸で構成され、太陽歯車31eは、ロータ31b1と接続される係合箇所が多角形、例えば六角形の穴で構成される。内歯車31gは、環状の部材の内周面に歯部が形成され、太陽歯車31eと同心で回転不可に固定される。遊星歯車31fは、キャリア31hに設けた軸31jに回転可能に支持され、太陽歯車31eと内歯車31gの間に入る形態で、太陽歯車31e及び内歯車31gと噛み合う。これにより、減速機31dは、ロータ31b1が回転することで太陽歯車31eが回転すると、遊星歯車31fが回転しながら、所定の減速比でキャリア31hが回転する。
【0033】
キャリア31hは駆動力伝達部の一例で、モータシャフト31aを軸方向に移動可能に支持すると共に、ロータ31b1の回転をモータシャフト31aに伝達する。キャリア31hは、モータシャフト31aを軸方向に移動可能に支持する複数のギアローラ31iを備える。ギアローラ31iは、キャリア31hの回転の中心を囲む多角形、例えば三角形の辺上に外周面が位置する配置で、キャリア31hに回転可能に支持される。モータシャフト31aは、ギアローラ31iと接触する箇所が平面で構成され、ギアローラ31iの配置に合わせて3つの平面が設けられる。これにより、モータシャフト31aは、複数のギアローラ31iによりキャリア31hの回転の中心に支持され、ギアローラ31iが回転することで、軸方向に移動可能である。よって、モータシャフト31aは、打撃シリンダ30において圧縮空気の空気圧により打撃ピストン30aが下方に移動すると、打撃ピストン30a及びドライバビット2と一体的に下方に移動する。
【0034】
また、モータシャフト31aの平面とギアローラ31iが接することで、モータシャフト31aは、キャリア31hと一緒に回転する。よって、モータシャフト31aは、圧縮空気の空気圧によりエアモータ31のロータ31b1が回転すると、所定の減速比で回転するキャリア31hと一緒に回転する。減速機31bは、内歯車31gがシール材31m1を介してケース31kに回転不可に取り付けられる。また、減速機31bは、ケース31kを塞ぐケースカバー31nに、キャリア31hがシール材31m2を介して回転可能に入れられ、キャリア31hの軸31jに回転可能に取り付けられた遊星歯車31fが内歯車31gと噛み合う。また、減速機31bは、ロータ31b1に係合する太陽歯車31eが、キャリア31hとの間にシール材31m3を介して内歯車31gに入れられ、遊星歯車31fと噛み合う。減速機31bは、ケース31kで、後述する空気流路74の一部を構成する。
【0035】
エアモータ31は、本体部10の上側に設けられる。エアモータ31は、モータシャフト31aがドライバビット2と同軸上に設けられる。これにより、エアモータ31は、打撃シリンダ30に対して第2室30d側、すなわち、本体部10においてノーズ部12が設けられる下側と反対側で、ドライバビット2の軸方向に沿った打撃シリンダ30の上側に、打撃シリンダ30と同軸上に設けられる。また、エアモータ31は、ロータ31b1に設けた穴部31b3にモータシャフト31aが挿入される構成で、打撃シリンダ30の上側にエアモータ31を設けた構成で、上下方向に移動するモータシャフト31aが作動する空間が確保される。
【0036】
メインバルブ5は、打撃シリンダ30の外周側に上下動可能に設けられる。また、メインバルブ5は、メインバルブスプリング51で空気流路54を閉じる方向である下方向に付勢される。さらに、メインバルブ5は、メインバルブスプリング51が設けられたメインバルブ上室52に、メインチャンバ13から始動バルブ6を介して圧縮空気が供給され、圧縮空気の空気圧で下方向に押される。また、メインバルブ5は、メインバルブ下室53にメインチャンバ13から圧縮空気が供給され、圧縮空気の空気圧で上方向に押される。
【0037】
これにより、メインバルブ5は、メインチャンバ13と打撃シリンダ30及びエアモータ31をつなぐ空気流路54を開閉する。空気流路54は第1の空気流路の一例で、打撃シリンダ30の外周側でメインバルブ5の内周側である打撃シリンダ30とメインバルブ5の間に設けられ、メインバルブ5を介してメインバルブ下室53とつながる。メインバルブ5は、非作動時はメインバルブ上室52に供給される圧縮空気の空気圧及びメインバルブ下室53に供給される圧縮空気の空気圧のバランスと、メインバルブスプリング51の力の関係から下方向に付勢されて下死点位置にあり、メインバルブ下室53と打撃シリンダ30との間の空気流路54を遮断している。これに対し、メインバルブ5は、作動時はメインバルブ上室52が始動バルブ6を介して大気と連通することで、メインチャンバ13からメインバルブ下室53に供給される圧縮空気の空気圧で上方向に押され、メインバルブ下室53と打撃シリンダ30との間の空気流路54を開く。
【0038】
図4A及び
図4Bは、ネジの打ち込み力を調整する機構の一例を示す斜視図、
図5A及び
図5Bは、ネジの打ち込み力を調整する機構の操作例を示すネジ打ち機の側面図である。
【0039】
ネジ打ち機1Aは、メインバルブ5の下流側で空気流路54と打撃シリンダ30をつなぐ供給口34と、供給口34の開口面積を切り替える絞り部35を備える。供給口34は、打撃シリンダ30の上部の側面に設けられ、打撃シリンダ30の側壁を貫通し、打撃シリンダ30の外側と内側をつなぐ開口で構成される。
【0040】
絞り部35は、打撃シリンダ30の外周と接する筒部35aと、筒部35aから外側方向に突出する板状のフランジ部35bを備える。絞り部35は、供給口34が設けられた部位の打撃シリンダ30の外周に沿って上下動可能に設けられる。
【0041】
また、ネジ打ち機1Aは、絞り部35と係合する流量切替部材36を備える。流量切替部材36は流量切替部の一例で、板状の部材で構成され、打撃シリンダ30の外周で、絞り部35のフランジ部35bの上側に重ねて設けられる。流量切替部材36は、ドライバビット2の軸方向と同軸な打撃シリンダ30の軸を中心に回転可能に構成される。
【0042】
絞り部35は、流量切替部材36の回転を、絞り部35の打撃シリンダ30の軸方向の移動に変換するカム面37aを備える。また、流量切替部材36は、カム面37aに倣う係合部37bを備える。カム面37aはカム部の一例で、流量切替部材36の回転方向に沿って、打撃シリンダ30の軸方向に傾斜する面で構成される。係合部37bはカム部の一例で、流量切替部材36から絞り部35の方向に突出し、カム面37aに接する凸部で構成される。
【0043】
絞り部35は、フランジ部35bが流量切替部材36に近づく方向に、コイルバネ等の付勢部材35cにより付勢される。これにより、絞り部35と流量切替部材36は、カム面37aに係合部37bが接する形態で、カム面37aと係合部37bを介して係合する。
【0044】
絞り部35は、打撃シリンダ30に対して非回転であり、流量切替部材36が回転することにより、カム面37aにおいて流量切替部材36の係合部37bが接する部位が変化する。これにより、絞り部35は、流量切替部材36の回転方向に応じて、流量切替部材36に対して近づく方向及び離れる方向に移動することにより、流量切替部材36の回転に連動して、打撃シリンダ30の軸方向に沿って移動し、供給口34の開口面積の大小を切り替える。
【0045】
ネジ打ち機1Aは、流量切替部材36を回転させる操作部材38を備える。操作部材38は、流量切替部材36を回転させる操作を受ける操作部38aと、操作部38aから突出する軸部38bと、軸部38bに設けられるギア38cを備える。操作部材38は、操作部38aが本体部10の外部に露出し、本体部10の外部から操作部38aの操作が可能である。
【0046】
操作部材38は、操作部38aが操作されることで、軸部38bを支点にギア38cが回転する。ギア38cは、流量切替部材36の外周に設けられたギア36aと噛み合う。これにより、操作部材38は、操作部38aが操作されることで、軸部38bを支点にギア38cが回転することで、ギア38cとギア36aがかみ合った流量切替部材36が回転する。
【0047】
操作部材38は、ネジ200の打ち込み力を選択する目安として、被打ち込み材300の材質などが操作部38aに表記される。操作部材38は、ネジ200の打ち込み及び締め込みを行う被打ち込み材300の材質に応じて、
図5A及び
図5Bに示すように、所望の材質の表記が見える向きに操作部38aを操作することで、被打ち込み材300の材質などに合わせて供給口34の開口面積の大小が切り替えられるよう構成される。
【0048】
始動バルブ6は、メインバルブ上室52を開閉するパイロットバルブ61と、パイロットバルブ61を作動させるバルブステム62と、パイロットバルブ61を上方向に付勢すると共にバルブステム62を下方向に付勢するバルブステムスプリング63を備える。
【0049】
始動バルブ6は、メインチャンバ13から供給された圧縮空気の空気圧で、パイロットバルブ61が下方向に押される。また、始動バルブ6は、メインチャンバ13からバルブ下室64に供給された圧縮空気の空気圧で、パイロットバルブ61が上方向に押される。
【0050】
これにより、始動バルブ6は、圧縮空気の空気圧のバランスと、バルブステムスプリング63の力の関係から、パイロットバルブ61が上方位置で保持される。これに対し、始動バルブ6は、バルブステム62が上方向に移動すると、バルブ下室64が大気と連通することで、パイロットバルブ61が圧縮空気の空気圧で下方向に移動する。そして、パイロットバルブ61が下方向に移動することで、メインバルブ上室52と大気が連通する通路が開く。
【0051】
トリガ60は、ハンドル部11の下側に設けられ、作業者の操作を受けて60cを支点に回転する。トリガ60は、トリガスプリング60dにより始動バルブ6のバルブステム62から離れる方向に付勢される。
【0052】
トリガ60は、始動バルブ6のバルブステム62を作動させるコンタクトレバー60aを備える。コンタクトレバー60aは、軸60bを支点にして回転可能にトリガ60に支持される。コンタクトレバー60aは、トリガ60が引かれる操作が行われた状態のみでは、バルブステム62に接しない。これに対し、コンタクトレバー60aは、トリガ60が引かれる操作が行われた状態で、コンタクトアーム8の後述する上方アーム81に押されると、バルブステム62を上方向に移動させる。なお、コンタクトレバー60aは、上方アーム81に押された状態で、トリガ60が引かれる操作が行われると、バルブステム62を上方向に移動させる。これにより、始動バルブ6は、トリガ60の操作と、コンタクトアーム8が押される操作の組み合わせで作動する。トリガ60の操作と、コンタクトアーム8が押される操作の順番は任意である。
【0053】
開閉弁7は、モータハウジング31cに設けられた開閉弁シリンダ73に上下動可能に支持される。開閉弁シリンダ73は、矢印Dで示す開閉弁7の下側に開閉弁下室73aが設けられ、矢印Uで示す開閉弁7の上側に開閉弁上室73bが設けられる。開閉弁7は、メインチャンバ13から供給される圧縮空気で作動し、開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されない状態では、開閉弁下室73aに供給される圧縮空気で、矢印Uで示す上方向に移動する。また、開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されると、矢印Dで示す下方向に移動する。
【0054】
開閉弁7は、上下方向に移動することで、エアモータ31とつながる空気流路74を開閉する。空気流路74は第2の空気流路の一例で、メインバルブ5の下流側かつ供給口34の上流側で空気流路54と導通する。空気流路74は、開閉弁7が下方向に移動して閉じられることで、メインチャンバ13とエアモータ31との間の空気の流れが遮断される。また、空気流路74は、開閉弁7が上方向に移動して開くことで、メインチャンバ13とエアモータ31との間を導通させる。開閉弁7は、エアモータ31の側部に設けられる。開閉弁7及び制御部70などを覆う制御部カバー77は、ネジ77aで本体部10に固定される。
【0055】
制御部70は、制御弁シリンダ75と、制御弁シリンダ75に収容され、制御弁シリンダ75内を第3室75aと第4室75bとに仕切る第1の制御弁72と、打撃シリンダ30内と制御弁シリンダ75内の第3室75aとを、タイマチャンバ32を介して連通させる連通路75cと、第1の制御弁72よりも矢印U方向側に位置し、第1の制御弁72と離間して配置される第2の制御弁71を備える。
【0056】
また、制御部70は、第1の制御弁72を矢印D方向に付勢する第1の付勢部である第1の付勢部材72bと、第2の制御弁71を矢印D方向に付勢する第2の付勢部である第2の付勢部材71aを備える。
【0057】
制御弁シリンダ75は、矢印Dで示す第1の制御弁72の下側に第3室75aが設けられ、矢印Uで示す第1の制御弁72の上側に第4室75bが設けられる。制御弁シリンダ75は、第3室75aが連通路75cを介してタイマチャンバ32と導通し、タイマチャンバ32を介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。また、制御弁シリンダ75は、第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。
【0058】
第1の制御弁72は、制御弁シリンダ75に矢印Uで示す上方向及び矢印Dで示す下方向に沿って上下動可能に支持される。また、第1の制御弁72は、上下方向に延伸する棒状の連結部72aが、矢印Uで示す上方向に突出する形態で連結される。さらに、第1の制御弁72は、コイルバネなどの第1の付勢部材72bで矢印D方向に付勢される。
【0059】
第1の制御弁72は、矢印Dで示す下方向に移動することで、下死点位置である待機位置P100まで移動可能に構成され、矢印Uで示す上方向に移動することで、上死点位置である後述する作動終了位置まで移動可能に構成される。
【0060】
第1の制御弁72は、第1の付勢部材72bで矢印D方向に付勢されることで、待機位置P100に移動する。
【0061】
第1の制御弁72は、排気路75dを開閉するシール部72cを備える。第1の制御弁72は、待機位置P100に待機している状態では、シール部72cが排気路75dを開く位置に移動しており、制御弁シリンダ75の第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。第1の制御弁72は、待機位置P100から作動終了位置まで移動する過程で、待機位置P100と作動終了位置との間の後述する圧力制御開始位置に移動すると、シール部72cが排気路75dを閉じる位置に移動する。
【0062】
待機位置P100に待機している第1の制御弁72は、コンタクトアーム8の後述する下方アーム80に締め込み深さ調整部86を介して押されて作動し、待機位置P100から圧力制御開始位置まで移動する。また、第1の制御弁72は、圧力制御開始位置に移動すると、タイマチャンバ32から供給される圧縮空気で作動し、圧力制御開始位置から作動終了位置まで移動する。第1の制御弁72は、圧力制御開始位置から作動終了位置まで移動する過程で、連結部72aを介して第2の制御弁71を押し、第2の制御弁71を作動させる。
【0063】
第2の制御弁71は、上下方向に延伸する棒状の部材で構成され、開閉弁7に対して上下動可能に支持される。第2の制御弁71は、第2の付勢部材71aで矢印D方向に付勢されることで、待機位置P110に移動する。また、第2の制御弁71は、第1の制御弁72に押されて作動する。第2の制御弁71は、待機位置P110から後述する作動終了位置まで移動して、開閉弁シリンダ73の開閉弁上室73bに対する圧縮空気の供給の有無を切り替えることで、開閉弁7を作動させる。
【0064】
制御部70は、第1の制御弁72と第2の制御弁71が独立した部材で構成される。制御部70は、待機位置P100に移動した第1の制御弁72と、待機位置P110に移動した第2の制御弁71との間が離間して分離部76が形成される。分離部76は、第1の制御弁72の上端である連結部72aの上端と、第2の制御弁71の下端との間に空間を設けて構成される。
【0065】
制御部70は、下方アーム80が下死点位置に移動した状態では、下方アーム80が締め込み深さ調整部86に接しないことで、締め込み深さ調整部86が第1の制御弁72に接しない。第1の制御弁72に締め込み深さ調整部86が接していない状態では、第1の制御弁72が第1の付勢部材72bに付勢されて待機位置P100に移動し、第2の制御弁71が第2の付勢部材71aに付勢されて待機位置P110に移動する。そして、第1の制御弁72と第2の制御弁71との間が分離部76により離間する。
【0066】
また、制御部70は、下方アーム80が上死点位置に移動することで、第1の制御弁72が締め込み深さ調整部86を介して上方向に押されて待機位置P100から圧力制御開始位置に移動する。第1の制御弁72が待機位置P100から圧力制御開始位置に移動するまでの間、待機位置P110に待機している第2の制御弁71と、圧力制御開始位置に移動する第1の制御弁72との間が、分離部76により離間した状態で維持される。これにより、下方アーム80が下死点位置から上死点位置まで移動することによる第1の制御弁72の移動量では、第1の制御弁72の上端と、第2の制御弁71の下端が接しないように構成される。
【0067】
そして、制御部70は、第1の制御弁72が圧力制御開始位置に移動することにより、タイマチャンバ32から供給される圧縮空気で第1の制御弁72が作動して、第1の制御弁72が圧力制御開始位置から上方向に移動すると、第1の制御弁72が締め込み深さ調整部86から離れる。さらに、第1の制御弁72が圧力制御開始位置から作動終了位置に移動する過程で、圧力制御開始位置と作動終了位置の間の第2の制御弁作動開始位置に移動すると、第1の制御弁72の上端と、第2の制御弁71の下端が接し、第1の制御弁72で第2の制御弁71が上方向に押される。第1の制御弁72が作動終了位置に移動し、第2の制御弁71が作動終了位置に移動した状態では、第1の制御弁72と第2の制御弁71が離間していない。
【0068】
ネジ送り部9は、ネジ200を送る送り部材91と、送り部材91を作動させるフィードピストン92を備える。送り部材91は、ノーズ部12に対して近づく方向及び離れる方向に移動可能に支持され、連結帯201で連結されたネジ200を図示しない爪部で係止してノーズ部12の射出通路12aに送る。
【0069】
フィードピストン92は、送り部材91と連結され、フィードシリンダ93内に擦動可能に設けられる。フィードシリンダ93は、フィード流路94を介してブローバックチャンバ33とつながり、ブローバックチャンバ33から圧縮空気が供給される。
【0070】
フィードピストン92は、ブローバックチャンバ33から供給された圧縮空気の空気圧で作動して、送り部材91をノーズ部12に対して離れる方向に移動させる。また、フィードピストン92は、コイルバネ等の付勢部材95により送り部材91がノーズ部12に対して近づく方向に付勢され、フィードシリンダ93内の空気圧が低下すると、付勢部材95による付勢で送り部材91をノーズ部12に対して近づく方向に移動させる。
【0071】
マガジン90は、ハンドル部11の下側に設けられ、ノーズ部12と連結される。マガジン90は、複数本のネジ200が連結帯201で連結され、例えば渦巻き状に巻かれた形態のネジ連結体が収納される。
【0072】
コンタクトアーム8はコンタクト部の一例で、被打ち込み材300と接触する下方アーム80と、トリガ60のコンタクトレバー60aを押す押圧部材87を作動させる上方アーム81を備える。また、コンタクトアーム8は、下方アーム80の動きを上方アーム81に伝達するローラ82を備える。コンタクトアーム8は、第1の方向である矢印Dで示す下方向、第1の方向と反対方向の第2の方向である矢印Uで示す上方向に移動可能に構成され、矢印U、Dで示す下方アーム80の移動方向に沿って、下方アーム80と上方アーム81が連動して移動可能に構成される。また、コンタクトアーム8は、下方アーム80と上方アーム81の連動が解除されて、下方アーム80が上方アーム81と独立して移動可能に構成される。コンタクトアーム8は、下方アーム80の下死点位置である第1の位置から、下方アーム80の上死点位置である第2の位置まで、ドライバビット2を軸方向に移動させてネジ200の打ち込みを行う動作の起点となるサインイン位置である第3の位置を経由して移動可能である。
【0073】
下方アーム80は第1のアームの一例で、ネジ打ち機1Aのノーズ部12に上下方向に移動可能に支持され、コイルバネなどで構成される付勢部材83aによって、下方向に付勢される。
【0074】
図6Aは、下方アームの一例を示す側面図である。下方アーム80は、下方アーム80と上方アーム81との連動の有無を切り替えると共に、下方アーム80の移動方向に沿った下方アーム80と上方アーム81との相対位置を切り替えるカム溝84を備える。また、下方アーム80は、下方アーム80と上方アーム81との相対位置を切り替える際に、本体部10に対する相対的な動きによって上方向に下方アーム80を移動させる力を受ける下死点位置切替被作用部85を備える。
【0075】
カム溝84は、ローラ82を介して下方アーム80と上方アーム81とを連動可能に係合させる第1の係合部84aと、ローラ82を介した第1の係合部84aによる下方アーム80と上方アーム81との連動可能な係合を解除して、上方アーム81に対して下方アーム80を独立して移動可能とする第1の係合解除部84bを備える。また、カム溝84は、ローラ82を介して下方アーム80と上方アーム81とを連動可能に係合させる第2の係合部84cと、ローラ82を介した第2の係合部84cによる下方アーム80と上方アーム81との連動可能な係合を解除して、上方アーム81に対して下方アーム80を独立して移動可能とする第2の係合解除部84dを備える。
【0076】
第1の係合部84aは、上下方向に延伸するカム溝84の上方の部位であって、カム溝84の上下に対向する面のうちの下側に位置する面に設けられる。第1の係合部84aは、矢印U、Dで示す下方アーム80の移動方向に対して交差し、下方アーム80が矢印U方向に移動する動作で、ローラ82を矢印Uで示す上方向に押すことが可能な面で構成される。第1の係合解除部84bは、第1の係合部84aから斜め下方向に向けて延伸し、下方アーム80の移動方向に対して交差する横方向にローラ82を誘導する面で構成される。
【0077】
第2の係合部84cは、カム溝84において第1の係合解除部84bの下端とつながる部位であって、カム溝84の上下に対向する面のうちの下側に位置する面に設けられる。第2の係合部84cは、矢印U、Dで示す下方アーム80の移動方向に対して交差し、下方アーム80が矢印U方向に移動する動作で、ローラ82を矢印Uで示す上方向に押すことが可能な面で構成される。第2の係合解除部84dは、第2の係合部84cから斜め下方向に向けて延伸し、下方アーム80の移動方向に対して交差する横方向にローラ82を誘導する面で構成される。
【0078】
これにより、カム溝84は、第1の係合部84a、第1の係合解除部84b、第2の係合部84c及び第2の係合解除部84dが、略クランク状につながる面となり、ローラ82が接する位置が変化することで、ローラ82を介した下方アーム80と上方アーム81との連動可能に係合と、下方アーム80と上方アーム81との連動可能な係合の解除が切り替えられる。
【0079】
上方アーム81は第2のアームの一例で、ネジ打ち機1Aの本体部10の側部に上下方向に移動可能に支持され、コイルバネなどで構成される付勢部材83bによって、下方向に付勢される。
【0080】
図6Bは、上方アームの一例を示す側面図である。上方アーム81は、ローラ82を介して下方アーム80の動きが伝達されるガイド溝81aを備える。ガイド溝81aは、短手方向の長さが、ローラ82の直径より若干長く、長手方向が、上方アーム81の移動方向及び
図6Bなどに示す下方アーム80の移動方向に対して交差する方向に延伸する。
【0081】
ローラ82は伝達部材の一例で、下方アーム80のカム溝84及び上方アーム81のガイド溝81aに入れられる。ローラ82は、カム溝84及びガイド溝81aに倣って回転可能な円柱形状で構成され、捩じりコイルバネ等の付勢部材82aにより、第1の係合部84a、第1の係合解除部84b、第2の係合部84c及び第2の係合解除部84dに押し付けられる方向に付勢される。
【0082】
第1の係合部84aは、下方アーム80の移動方向に対して交差する方向の面である。このため、ローラ82が第1の係合部84aと対向する位置にある状態で、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、下方アーム80に設けられたカム溝84が上方向に移動し、第1の係合部84aは、ローラ82に下側から接して、ローラ82を上方向に押す。また、カム溝84の第1の係合部84aにより上方向に押されたローラ82は、ガイド溝81aの上側の面を上方向に押す。これにより、ローラ82が第1の係合部84aに接した状態では、下方アーム80の動きが、第1の係合部84a及びローラ82を介して上方アーム81に伝達可能な状態となり、第1の係合部84aは、下方アーム80と上方アーム81を、ローラ82を介して連動可能に係合する。
【0083】
これに対し、第1の係合解除部84bは、第1の係合部84aから斜め下方向に向けて延伸する。このため、ローラ82が第1の係合解除部84bと対向する位置にある状態で、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、第1の係合解除部84bがローラ82を横方向に押す力が生じる。よって、第1の係合解除部84bは、下方アーム80の移動方向に対して交差する方向に、上方アーム81のガイド溝81aに沿ってローラ82を誘導する。これにより、ローラ82が第1の係合解除部84bに接した状態では、下方アーム80の動きが、第1の係合解除部84b及びローラ82を介して上方アーム81に伝達されない非伝達な状態となり、第1の係合解除部84bは、下方アーム80と上方アーム81とのローラ82を介した連動可能な係合を解除する。
【0084】
同様に、第2の係合部84cは、下方アーム80の移動方向に対して交差する方向の面である。このため、ローラ82が第2の係合部84cと対向する位置にある状態で、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、下方アーム80に設けられたカム溝84が上方向に移動し、第2の係合部84cは、ローラ82に下側から接して、ローラ82を上方向に押す。また、カム溝84の第2の係合部84cにより上方向に押されたローラ82は、ガイド溝81aの上側の面を上方向に押す。これにより、ローラ82が第2の係合部84cに接した状態では、下方アーム80の動きが、第2の係合部84c及びローラ82を介して上方アーム81に伝達可能な状態となり、第2の係合部84cは、下方アーム80と上方アーム81を、ローラ82を介して連動可能に係合する。
【0085】
これに対し、第2の係合解除部84dは、第2の係合部84cから斜め下方向に向けて延伸する。このため、ローラ82が第2の係合解除部84dと対向する位置にある状態で、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、第2の係合解除部84dがローラ82を横方向に押す力が生じる。よって、第2の係合解除部84dは、下方アーム80の移動方向に対して交差する方向に、上方アーム81のガイド溝81aに沿ってローラ82を誘導する。これにより、ローラ82が第2の係合解除部84dに接した状態では、下方アーム80の動きが、第2の係合解除部84d及びローラ82を介して上方アーム81に伝達されない非伝達な状態となり、第2の係合解除部84dは、下方アーム80と上方アーム81とのローラ82を介した連動可能な係合を解除する。
【0086】
下方アーム80は、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、本体部10に対する相対的な動きによって上方向に移動する。上方アーム81は、ローラ82を介して下方アーム80と連動可能に係合した状態では、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動すると、ガイド溝81aの上側の面がローラ82に押されることにより、下方アーム80と連動して上方向に移動する。また、下方アーム80と連動して上方向に移動した上方アーム81は、付勢部材83bによって下方向に付勢されることにより、ガイド溝81aの上側の面がローラ82に接し、ローラ82を下方向に押す。但し、下方アーム80が被打ち込み材300に押し付けられ、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が下方向に移動しない状態では、上方アーム81が下方アーム80と独立して、下方へ移動することが規制される。さらに、上方アーム81は、ローラ82を介した下方アーム80との連動可能な係合が解除された状態では、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動しても、下方アーム80の動きがローラ82を介して伝達されず、上方向に移動しない。
【0087】
ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作により、本体部10に対する相対的な動きで、下方アーム80が下死点位置から上方向に移動すると共に、下方アーム80が下死点位置から上方向に移動する所定の範囲内では、下方アーム80と連動して上方アーム81が上方向に移動する。ネジ打ち機1Aは、下方アーム80が下死点位置から上方向に移動することで、本体部10と被打ち込み材300が相対的に近づく。また、ネジ打ち機1Aは、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む打ち込み時に、下方アーム80の下死点位置からの移動量を、打ち込み深さ規制部4aがサインイン位置と上死点位置との間で規制する。サインイン位置は第3の位置であり、下方アーム80の下死点位置から規定量上方向に移動した位置から上死点位置の間である。また、下方アーム80がサインイン位置と上死点位置との間に位置していると、サインインが可能である。そして、ネジ打ち機1Aは、打ち込み深さ切替部4bが、打ち込み深さ規制部4aによる下方アーム80の下死点位置からの移動量を規制するか否かの切り替えを操作可能とすることにより、被打ち込み材300に対するネジ200の打ち込み深さが切り替えられる。
【0088】
また、ネジ打ち機1Aは、下方アーム80の下死点位置を切り替え可能とすることにより、ネジ200の打ち込み深さを深くする際には、コンタクトアーム8の移動量を減少させる。
【0089】
そこで、打ち込み深さ規制部4aは、
図2Aに示す下方アーム80の第1の下死点位置P1からの移動量を規制する係止部材40を備える。また、打ち込み深さ切替部4bは、係止部材40による下方アーム80の移動量の規制の有無を切り替える切替部材41を備える。切替部材41は、下方アーム80及び上方アーム81と一緒に移動するローラ82の移動経路を誘導して、下方アーム80と上方アーム81との連動の有無を切り替える機能も持つ。さらに、打ち込み深さ切替部4bは、切替部材41を作動させると共に、下方アーム80の下死点位置を、
図2Aに示す第1の下死点位置P1か、
図2Bに示す第2の下死点位置P2かに切り替える切替操作部材42を備える。
【0090】
係止部材40は、ネジ200の送り部材91に、軸40aを支点に回転可能に支持される。係止部材40は、軸40aを挟んだ一方の端部に、下方アーム80に係止される係止部40bが形成される。また、係止部材40は、軸40aを挟んだ他方の端部に、切替部材41により係止部材40を回転させる力を受ける被作用部40cが形成される。係止部材40は、コイルバネなどで構成される付勢部材40dによって、軸40aを支点とした回転動作で係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する方向に付勢される。
【0091】
係止部材40は、付勢部材40dによって係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する方向に付勢された状態で、送り部材91の移動により、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する
図3Aなどに示す係止位置と、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第2の退避位置との間を移動する。
【0092】
また、係止部材40は、送り部材91の移動により係止部40bが係止位置に移動可能な状態で、係止位置と、軸40aを支点とした回転動作により係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した
図3Bなどに示す第1の退避位置との間を移動する。
【0093】
切替部材41は、ネジ打ち機1Aのノーズ部12の側部に、上下方向に交差した矢印L、矢印R方向に移動可能に支持される。
【0094】
図6Cは、切替部材の一例を示す側面図である。切替部材41は、ローラ82をガイドして所定の位置に移動させるガイド溝41aを備える。また、切替部材41は、係止部材40を作動させる作動部41bを備える。さらに、切替部材41は、切替部材41を上下方向に交差した矢印L、矢印R方向に移動させる力を受ける被作用部41cを備える。
【0095】
ガイド溝41aは、カム溝84の第1の係合部84aに係合するローラ82を、第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導すると共に、カム溝84の第2の係合部84cに係合するローラ82を、第2の係合部84cから第2の係合解除部84dに誘導する第1のガイド溝41a1を備える。
【0096】
第1のガイド溝41a1は、斜め上方向に向けて延伸し、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動する動作により、下方アーム80に追従して矢印U方向に移動するローラ82を、第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに向けて矢印L方向に移動させる。また、第1のガイド溝41a1は、ローラ82がカム溝84の第2の係合部84cに係合している場合、ローラ82を第2の係合部84cから第2の係合解除部84dに誘導する。
【0097】
また、ガイド溝41aは、ローラ82の下方向の移動を規制する第2のガイド溝41a2を備える。
【0098】
第2のガイド溝41a2は、第1のガイド溝41a1から上下方向に交差した横方向に延伸した部位であって、上下に対向する面のうちの下側に位置する面で構成される。第2のガイド溝41a2は、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動する動作により、ローラ82が第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導されると、ローラ82に下側から接して、ローラ82の矢印Dで示す下方向の移動を規制する。これにより、ローラ82が第2のガイド溝41a2に位置している間、上方アーム81の上下方向の位置が保持される。よって、下方アーム80が上方向に移動する動作に連動して作動可能位置に移動し、付勢部材83bによって下方向に付勢される上方アーム81は、作動可能位置で保持される。
【0099】
切替操作部材42は切替操作部の一例で、
図2A、
図2B、
図3A及び
図3Bなどに示すように、下方アーム80と切替部材41を連動させて移動させる作用部42aと、人の操作を受ける操作部42bを備える。
【0100】
作用部42aは、下方アーム80の下死点位置切替被作用部85に接し、下方アーム80を上方向に移動させる第1のカム面42a1を備える。また、作用部42aは、切替部材41の被作用部41cに接し、切替部材41を矢印L、矢印Rで示す方向に移動させる第2のカム面42a2を備える。作用部42aは、軸42cを支点とした回転動作で、第1のカム面42a1及び第2のカム面42a2が変位する。
【0101】
操作部42bは、軸42cと連結され、軸42cを支点として作用部42aを回転させる。切替操作部材42は、操作部42bが操作されることで、作用部42aが軸42cを支点として回転すると、切替部材41を矢印L、矢印Rで示す方向に移動させる。また、下方アーム80を上下方向に移動させる。
【0102】
下方アーム80が上下方向に移動する動作で、ローラ82が切替部材41のガイド溝41aで誘導されることにより、カム溝84の第1の係合部84aに係合するローラ82が、第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導される。また、カム溝84の第2の係合部84cにローラ82が係合している場合、ローラ82が第2の係合部84cから第2の係合解除部84dに誘導される。これにより、操作部42bの操作で、下方アーム80が上方アーム81と独立して上下方向に移動する。
【0103】
ネジ打ち機1Aは、下方アーム80の上支点位置を規定することで、ネジ200の締め込み深さを調整すると共に、下方アーム80が上支点位置に移動すると、第1の制御弁72を作動させる締め込み深さ調整部86を備える。
【0104】
締め込み深さ調整部86は締め込み深さ切替部の一例で、調整部本体86aと、調整部本体86aに対する突出高さが調整可能な突き当て部86bを備える。締め込み深さ調整部86は、矢印U、Dで示す下方アーム80の移動方向に沿って移動可能に支持され、コイルバネなどの付勢部材86cによって、矢印Uで示す下方向に付勢される。
【0105】
締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aと突き当て部86bが、例えば雄ネジと雌ネジが螺合して結合した構成である。締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aを回転させるダイヤル部86dが本体部10の外部に露出し、ダイヤル部86dの操作で調整部本体86aを回転させることで、調整部本体86aに対する突き当て部86bの突出量が切り替えられ、締め込み深さ調整部86の全長が変化する。
【0106】
締め込み深さ調整部86は、突き当て部86bが下方アーム80と対向する。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80が下死点位置に移動している状態では、突き当て部86bと下方アーム80が離間している。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80が下死点位置から上方向に移動することで、突き当て部86bに下方アーム80が接する。
【0107】
また、締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aが第1の制御弁72と対向する。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80に押されて移動する前の状態では、調整部本体86aと第1の制御弁72が離間している。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80が下死点位置から矢印Uで示す上方向に移動することで、突き当て部86bに下方アーム80が接し、下方アーム80に押されて上方向に移動すると、調整部本体86aが第1の制御弁72に接する。
【0108】
そして、締め込み深さ調整部86は、矢印U方向に移動する下方アーム80により押し上げられ、調整部本体86aが移動規制部86eに接する位置まで移動すると、下方アーム80がさらに上方向に移動することを規制する。
【0109】
これにより、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動することで規制された下方アーム80の位置が、下方アーム80の上支点位置となる。
【0110】
また、締め込み深さ調整部86は、ダイヤル部86dの操作で調整部本体86aに対する突き当て部86bの突出量が切り替えられ、締め込み深さ調整部86の全長が変化する。締め込み深さ調整部86の全長が変化すると、下方アーム80の上死点位置が移動する。下方アーム80の上死点位置が移動すると、下方アーム80の下端面に対する下死点位置に移動したドライバビット2の下方アーム80の下端面に対する出量が変化し、被打ち込み材300に対するネジ200の締め込み深さが変化する。
【0111】
なお、ネジ打ち機1Aは、締め込み深さ調整部86を備えず、下方アーム80が直接第1の制御弁72に接し、第1の制御弁72を作動させると共に、下方アーム80の上支点位置を規定するようにしてもよい。
【0112】
<ネジの打ち込み深さの切り替え動作の一例>
ネジ打ち機1Aは、切替操作部材42を操作することで、ネジ200の打ち込み深さを第1の打ち込み深さとする第1のモードと、ネジ200の打ち込み深さを第1の打ち込み深さより深くする第2のモードが切り替えられる。第1のモードと第2のモードの切り替えは、ネジ200の打ち込み及び締め込み動作の終了後で、次のネジ200の打ち込み及び締め込み動作の開始前など、ネジ200の打ち込み及び締め込み動作を実行していないタイミングで行われる。
【0113】
第1のモードでは、下方アーム80の下死点位置を
図2Aに示す第1の下死点位置P1とし、下方アーム80の第1の下死点位置P1からの移動量を規制した状態で、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込んだ後、下方アーム80の移動量の規制を解除して、ネジ200の締め込みを行う。
【0114】
そこで、第1のモードでは、下方アーム80の下死点位置が第1の下死点位置P1に下げられている。また、係止部材40の係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出した係止位置に、係止部材40が移動している。
【0115】
このため、第1のモードでは、操作部42bの操作により、作用部42aが矢印C1で示す反時計回りに回転した状態となっている。作用部42aが矢印C1で示す反時計回りに回転した状態では、第1のカム面42a1が下方アーム80の下死点位置切替被作用部85から離れている。これにより、下方アーム80は、付勢部材83aによって下方向に付勢され、
図2Aに示すように第1の下死点位置P1に移動した状態で待機している。
【0116】
また、作用部42aが矢印C1で示す反時計回りに回転した状態では、第2のカム面42a2が切替部材41の被作用部41cを矢印R方向に押している。これにより、切替部材41が矢印R方向に移動している。
【0117】
下方アーム80が第1の下死点位置P1に待機しており、切替部材41が矢印R方向に移動している状態では、ローラ82が、切替部材41のガイド溝41aの第1のガイド溝41a1で所定の位置に誘導されている。これにより、ローラ82がカム溝84の第1の係合部84aに係合している。
【0118】
また、切替部材41が矢印R方向に移動している状態では、作動部41bが係止部材40の被作用部40cから離れる方向に移動している。これにより、係止部材40は、付勢部材40dによって、軸40aを支点とした回転動作で係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する方向に付勢されていることで、
図3Aに示すように、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する係止位置に移動している。
【0119】
第2のモードでは、下方アーム80の下死点位置を
図2Bに示す第2の下死点位置P2とし、下方アーム80の第2の下死点位置P2からの移動量の規制を解除した状態で、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込んだ後、ネジ200の締め込みを行う。
【0120】
そこで、第1のモードから第2のモードに切り替えるには、下方アーム80の下死点位置を第2の下死点位置P2に上げると共に、係止部材40の係止部40bを下方アーム80の移動経路から退避した退避位置に移動させる。
【0121】
このため、第2のモードでは、操作部42bの操作により、作用部42aを矢印C2で示す時計回りに回転させる。作用部42aが矢印C2で示す時計回りに回転すると、第1のカム面42a1が下方アーム80の下死点位置切替被作用部85に接し、下死点位置切替被作用部85を押し上げる。これにより、下方アーム80は上方向に移動し、
図2Bに示すように第2の下死点位置P2に移動する。
【0122】
また、作用部42aが矢印C2で示す時計回りに回転すると、第2のカム面42a2が切替部材41の被作用部41cを矢印L方向に押す。これにより、切替部材41が矢印L方向に移動する。
【0123】
下方アーム80が第1の下死点位置P1から第2の下死点位置P2に移動し、切替部材41が矢印L方向に移動すると、ローラ82が、切替部材41のガイド溝41aで誘導される。これにより、ローラ82がカム溝84の第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導され、第1の係合解除部84bから第2の係合部84cに誘導されて、第2の係合部84cに係合する。下方アーム80が第1の下死点位置P1から第2の下死点位置P2に移動する間に、ローラ82が第1の係合解除部84bに接する位置に誘導されると、下方アーム80が上方向に移動する動作で、第1の係合解除部84bがローラ82を上方向に押す力より、第1の係合解除部84bがローラ82を横方向に押す力が大きくなる。よって、ローラ82は、上方アーム81のガイド溝81aに沿って横方向に移動する。これにより、下方アーム80が第1の下死点位置P1から第2の下死点位置P2に移動しても、上方アーム81の位置が保持される。
【0124】
また、切替部材41が矢印L方向に移動すると、作動部41bが係止部材40の被作用部40cを押す。これにより、係止部材40は、軸40aを支点とした回転動作により、
図3Bに示すように、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第1の退避位置に移動する。
【0125】
<本実施の形態のネジ打ち機の動作例>
図7は、ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の側断面図、
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8E、
図8F及び
図8Gは、ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。また、
図9A、
図9Bは、第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図、
図10A、
図10Bは、第1のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0126】
次に、第1のモードを選択してネジ200の打ち込み及び締め込みを行うネジ打ち機1Aの動作の一例について説明する。
【0127】
ネジ打ち機1Aは、上述した第1のモードが選択された場合、
図2Aに示すように、下方アーム80は第1の下死点位置P1に移動している。また、
図3Aに示すように、係止部材40は、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する係止位置に移動している。下方アーム80の第1の下死点位置P1は第1の位置とも称す。
【0128】
このように第1のモードが選択された状態で、作業者はネジ打ち機1Aのハンドル部11を持ち、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける。ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられると、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動する。
【0129】
下方アーム80が本体部10に対する相対的な動きで第1の下死点位置P1から上方向に移動すると、ローラ82がカム溝84の第1の係合部84aに係合し、下方アーム80と上方アーム81が、ローラ82を介して連動可能に係合しているので、下方アーム80と連動して上方アーム81が上方向に移動する。
【0130】
図9Aに示すように、下方アーム80が係止部材40の係止部40bに接する第1の打ち込み深さ規定位置P10まで移動すると、
図8Aに示すように、被打ち込み材300と本体部10との距離が、ネジ200の打ち込み深さが第1の打ち込み深さとなるような所定の距離L10で保持される。本例では、下方アーム80の第1の打ち込み深さ規定位置P10は第3の位置と同じであるが、第1の打ち込み深さ規定位置P10と第3の位置は異なる位置でもよい。第3の位置は、第1の打ち込み深さ規定位置P10と同じ位置、または、下方アーム80の下死点位置より上方で、第1の打ち込み深さ規定位置P10より下方に設定されていればよい。また、上方アーム81が、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる作動可能位置まで移動する。これにより、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が引かれる操作が行われた状態であると、
図7A、
図9Aに示すように、コンタクトレバー60aが始動バルブ6のバルブステム62を押し、始動バルブ6が作動する。このように、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が操作されることでコンタクトレバー60aにバルブステム62が押される状態を、第1のモードでのサインインと称す。
【0131】
第1のモードでのサインインの状態となり、始動バルブ6が作動すると、
図8Bに示すようにメインバルブ5が作動し、圧縮空気が打撃シリンダ30と開閉弁7に供給される。圧縮空気が打撃シリンダ30に供給されると、ドライバビット2が取り付けられた打撃ピストン30aが空気圧で押され、
図8Cに示すように、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下死点位置まで下方向に移動し、ネジ200が被打ち込み材300に打ち込まれる。
【0132】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下方向に移動すると、打撃ピストン30aの下側の空気がブローバックチャンバ33に供給され、ブローバックチャンバ33内の圧力が上昇する。
【0133】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が下死点位置まで移動すると、ブローバックチャンバ33内の圧縮空気がネジ送り部9のフィード流路94からフィードピストン92に供給される。これにより、
図9B、
図10Bに示すように、フィードピストン92と連結された送り部材91が矢印L方向に移動する。
【0134】
送り部材91が矢印L方向に移動すると、送り部材91に取り付けられた係止部材40が矢印L方向に移動する。これにより、係止部材40は、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第2の退避位置に移動する。係止部材40が第2の退避位置に移動すると、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10を超えて本体部10に対する相対的な動きにより上方向に移動可能になる。
【0135】
また、メインバルブ5が作動し、開閉弁7の下側の空間である開閉弁シリンダ73の開閉弁下室73aに圧縮空気が供給されると、
図8Cに示すように、空気圧で開閉弁7が作動し、圧縮空気がエアモータ31に供給される。
【0136】
圧縮空気がエアモータ31に供給されると、ドライバビット2が回転し、
図8Dに示すように、被打ち込み材300に打ち込まれたネジ200が締め込まれる。また、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、ネジ200の締め込みに追従して、本体部10がさらに下方向に移動する。
【0137】
本体部10と下方アーム80の相対的な移動で、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10を超えて上方向に移動すると、ローラ82が切替部材41のガイド溝41aで誘導されることにより、カム溝84の第1の係合部84aに係合するローラ82が、ガイド溝41aの第1のガイド溝41a1で第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導される。ローラ82が第1の係合解除部84bに誘導されると、下方アーム80と上方アーム81とのローラ82を介した連動可能な係合が解除される。
【0138】
また、下方アーム80が上方向に移動する動作で、カム溝84の第1の係合部84aから第1の係合解除部84bに誘導されたローラ82が、ガイド溝41aの第1のガイド溝41a1から第2のガイド溝41a2に誘導される。これにより、上方アーム81が作動可能位置に移動してローラ82が第2のガイド溝41a2に位置している間、上方アーム81の位置が作動可能位置で保持される。
【0139】
コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、ネジ200の締め込みに追従して本体部10がさらに下方向に移動し、下方アーム80が相対的に上方向に移動する。下方アーム80が相対的に上方向に移動すると、下方アーム80が締め込み深さ調整部86に接し、締め込み深さ調整部86を上方向に押す。上方向に移動する下方アーム80により締め込み深さ調整部86が押し上げられ、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動すると、下方アーム80がさらに上方向の移動することが規制される。これにより、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動することで規制された下方アーム80の位置が、下方アーム80の上支点位置となる。下方アーム80が上死点位置まで移動すると、
図8Eに示すように、下方アーム80が締め込み深さ調整部86を介して第1の制御弁72を上方向に押し、第1の制御弁72が
図8Aなどに示す待機位置P100から圧力制御開始位置P101に移動する。圧力制御開始位置P101は第1の制御弁72の第2の位置とも称す。
【0140】
下方アーム80が締め込み深さ調整部86に接し、締め込み深さ調整部86が第1の制御弁72に接して、第1の制御弁72が待機位置P100から圧力制御開始位置P101に移動するまでの間、
図8Dなどの示す待機位置P110に待機している第2の制御弁71と、第1の制御弁72との間は、分離部76により離間している。また、第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101に移動しても、待機位置P110に待機している第2の制御弁71と、第1の制御弁72との間は分離部76により離間している。第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101に移動した状態では、下方アーム80が締め込み深さ調整部86に接し、締め込み深さ調整部86が第1の制御弁72に接する。この状態で、第1の制御弁72が第2の制御弁71に接すると、第2の制御弁71を押し上げる負荷が下方アーム80に掛かる。そうすると、作業者は、ネジ打ち機1Aを被打ち込み材300に押し付ける力を弱めてしまうことがあり、締め込み不良が発生する可能性がある。このため、第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101に移動しても、待機位置P110に待機している第2の制御弁71と、第1の制御弁72との間は分離部76により離間するように構成している。
【0141】
制御弁シリンダ75は、連通路75c及び打撃シリンダ30の側面穴流路32aを介して、第3室75aが打撃シリンダ30内の空間と常に導通している。メインバルブ5が作動し、打撃ピストン30aが下方向に所定距離移動して、シール部30bが側面穴流路32aを通過すると、打撃シリンダ上室である打撃シリンダ30内の第2室30dと、制御弁シリンダ75の第3室75aが連通する。また、第2室30dからタイマチャンバ32に圧縮空気が供給される。第1の制御弁72が待機位置P100に待機している状態から、圧力制御開始位置P101に移動するまでの間、第1の制御弁72のシール部72cが排気路75dを開く位置にあり、制御弁シリンダ75の第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。これにより、タイマチャンバ32から制御弁シリンダ75の第3室75aに圧縮空気が供給されても、第3室75aは大気圧に保たれ、第1の制御弁72は空気圧では作動しない。
【0142】
第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101に移動すると、第1の制御弁72のシール部72cが排気路75dを塞ぐ。排気路75dを通る気体外部への空気流路が遮断されると、タイマチャンバ32から制御弁シリンダ75の第3室75aに供給される圧縮空気の空気圧により制御弁シリンダ75内の圧力が上昇する。制御弁シリンダ75内の圧力が上昇すると、空気圧で第1の制御弁72が作動し、
図8Fに示すように、第1の制御弁72がさらに上方向に移動する。
【0143】
第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101から圧縮空気の空気圧でさらに上方向に移動し、第1の制御弁72が第2の制御弁作動開始位置に移動すると、第1の制御弁72が第2の制御弁71に接し、第1の制御弁72が第2の制御弁71を上方向に押す。第1の制御弁72が作動終了位置P102に移動することで、第2の制御弁71が作動終了位置P111に移動すると、開閉弁7の上側の空間である開閉弁シリンダ73の開閉弁上室73bに圧縮空気が供給される。
【0144】
開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されると、開閉弁上室73bに供給された圧縮空気により開閉弁7に作用する圧力と、開閉弁下室73aに供給された圧縮空気により開閉弁7に作用する圧力の差により、
図8Gに示すように、開閉弁7が下方向に移動し、エアモータ31に対する圧縮空気の供給が停止する。エアモータ31に対する圧縮空気の供給が停止すると、ドライバビット2の回転が停止する。
【0145】
ドライバビット2の回転が停止して、ネジ200の締め込みが終了すると、作業者は、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける力を弱め、本体部10を被打ち込み材300から離れる方向に移動させる。
【0146】
本体部10が被打ち込み材300から離れる方向に移動すると、本体部10と下方アーム80の相対的な移動で、下方アーム80は付勢部材83aの付勢により矢印D方向に移動する。下方アーム80が上死点位置から矢印D方向に移動すると、付勢部材82aの付勢力によってローラ82が矢印R方向に移動することで、ローラ82が第2のガイド溝41a2から外れて下方向に移動可能となり、上方アーム81は付勢部材83bの付勢により下方アーム80に追従して本体部10に対する相対的な動きで矢印D方向に移動する共に、ガイド溝81aに入るローラ82が矢印D方向に移動する。
【0147】
上方アーム81が矢印D方向に移動すると、コンタクトレバー60aの押圧が解除され、コンタクトレバー60aが始動バルブ6から離れる。コンタクトレバー60aが始動バルブ6から離れると、メインバルブ5が閉じ、打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給が停止する。
【0148】
打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給が停止し、打撃シリンダ30内の圧力が大気圧に低下すると、ブローバックチャンバ33内の圧縮空気が打撃ピストン30aの下側の空間に供給され、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置まで移動する。
【0149】
また、ドライバビット2が上死点位置まで移動し、ブローバックチャンバ33内の圧力が低下すると、フィードピストン92に対する圧縮空気の供給が停止する。フィードピストン92に対する圧縮空気の供給が停止すると、フィードピストン92と連結された送り部材91が、付勢部材94aの付勢により矢印R方向に移動する。
【0150】
送り部材91が矢印R方向に移動すると、送り部材91に設けた図示しない送り爪が次のネジ200をノーズ部12に送る。また、送り部材91に取り付けられた係止部材40が矢印R方向に移動する。これにより、係止部材40は、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出した係止位置に移動する。
【0151】
図11A、
図11Bは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部側断面図、
図12A、
図12Bは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0152】
次に、第2のモードを選択してネジ200の打ち込み及び締め込みを行うネジ打ち機1Aの動作の一例について説明する。
【0153】
ネジ打ち機1Aは、上述した第2のモードが選択された場合、
図2Bに示すように、下方アーム80は第2の下死点位置P2に移動している。また、
図3Bに示すように、係止部材40は、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第1の退避位置に移動している。下方アーム80の第2の下死点位置P2は第1の位置とも称す。
【0154】
このように第2のモードが選択された状態で、作業者はネジ打ち機1Aのハンドル部11を持ち、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける。ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられると、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動する。
【0155】
下方アーム80は第2の下死点位置P2に移動している状態では、ローラ82がカム溝84の第2の係合部84cに係合し、下方アーム80と上方アーム81が、ローラ82を介して連動可能に係合しているので、下方アーム80が本体部10に対する相対的な動きで第2の下死点位置P2から上方向に移動すると、下方アーム80と連動して上方アーム81が上方向に移動する。
【0156】
図11Aに示すように、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動し、係止部材40に対する下方アーム80の係止位置が係止部材40を超えて、下方アーム80が第2の打ち込み深さ規定位置P20まで移動すると、上方アーム81が、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる作動可能位置まで移動する。下方アーム80の第2の打ち込み深さ規定位置P20は上死点位置である。これにより、下方アーム80が第2の打ち込み深さ規定位置P20に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が引かれる操作が行われた状態であると、コンタクトレバー60aが始動バルブ6のバルブステム62を押し、始動バルブ6が作動する。このように、下方アーム80が第2の打ち込み深さ規定位置P20に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が操作されることでコンタクトレバー60aにバルブステム62が押される状態を、第2のモードでのサインインと称す。
【0157】
第2のモードでのサインインの状態となり、始動バルブ6が作動すると、
図8Bに示すようにメインバルブ5が作動し、圧縮空気が打撃シリンダ30に供給される。圧縮空気が打撃シリンダ30に供給されると、ドライバビット2が取り付けられた打撃ピストン30aが空気圧で押され、
図8Cに示すように、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下死点位置まで下方向に移動し、ネジ200が被打ち込み材300に打ち込まれる。
【0158】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が下死点位置まで移動すると、ブローバックチャンバ33内の圧縮空気がネジ送り部9のフィード流路94からフィードピストン92に供給される。これにより、
図11B、
図12Bに示すように、フィードピストン92と連結された送り部材91が矢印L方向に移動する。
【0159】
送り部材91が矢印L方向に移動すると、送り部材91に取り付けられた係止部材40が矢印L方向に移動する。これにより、係止部材40は、第1の退避位置から移動しても、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した状態を保持する。
【0160】
第2のモードにおいて、メインバルブ5が作動してからの動作は、カム溝84などによる下方アーム80と上方アーム81との連動可能な係合を解除する動作、及び、係止部材40が復帰する動作以外は第1のモードと同じである。すなわち、本体部10と下方アーム80の相対的な移動で、下方アーム80が上方向に移動すると、ローラ82が切替部材41のガイド溝41aで誘導されることにより、カム溝84の第2の係合部84cに係合するローラ82が、ガイド溝41aの第1のガイド溝41a1で第2の係合部84cから第2の係合解除部84dに誘導される。ローラ82が第2の係合解除部84dに誘導されると、下方アーム80と上方アーム81とのローラ82を介した連動可能な係合が解除される。
【0161】
また、下方アーム80が上方向に移動する動作で、カム溝84の第2の係合部84cから第2の係合解除部84dに誘導されたローラ82が、ガイド溝41aの第1のガイド溝41a1から第2のガイド溝41a2に誘導される。これにより、上方アーム81が作動可能位置に移動してローラ82が第2のガイド溝41a2に位置している間、上方アーム81の位置が作動可能位置で保持される。
【0162】
さらに、係止部材40が復帰する動作では、係止部材40は第1の退避位置に移動し、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した状態で保持される。
【0163】
<本実施の形態のネジ打ち機の作用効果例>
ネジ打ち機1Aは、第2のモードでは、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込むタイミングにおいては、ドライバビット2の下端(先端)からコンタクトアーム8の下端(先端)までの長さ、すなわち、ドライバビット2の下端(先端)から被打ち込み材300までの長さを、第1のモード時の同長さと比較して短くできる。
【0164】
一方、ドライバビット2を軸方向に移動させてネジ200を被打ち込み材300に打ち込む動作で、ドライバビット2の移動量は第1のモードと第2のモードで同じである。
【0165】
これにより、ネジ打ち機1Aは、第1のモードにおけるネジ200の打ち込み深さである第1の打ち込み深さより、第2のモードにおけるネジ200の打ち込み深さである第2の打ち込み深さを深くすることができる。
【0166】
ネジ200の打ち込み時には、ねじ200の先端が被打ち込み材300の上材300aを貫通して下材300bの途中まで打ち込まれる必要がある。ネジ200の打ち込み過ぎは、下材300bにねじ径より大きい穴が深くあいてしまうため、ネジ200の掛かり量が短くて締結力が弱くなる可能性がある。反対に、ネジ200を下材300bまで打ち込めない場合は、下材300bにネジ200を締め込むことができずに施工が失敗する可能性がある。
【0167】
そこで、ネジ打ち機1Aでは、ネジ200の打ち込み過ぎが発生する可能性がある被打ち込み材300にネジ200を打ち込んで締め込む場合、第1のモードを選択する。第1のモードを選択することで、ネジ200の打ち込み深さを相対的に浅くし、下材300bにねじ径より大きい穴が深くあいてしまうことを抑制して、締結力の低下を抑制できる。
【0168】
また、ネジ打ち機1Aでは、ネジ200の打ち込み過ぎが発生する可能性が少ない被打ち込み材300にネジ200を打ち込んで締め込む場合、第2のモードを選択する。第2のモードを選択することで、ネジ200の打ち込み深さを相対的に深くし、ネジ200を下材300bで確実に打ち込めるようにして、ネジ200の締め込みを確実に行うことができる。
【0169】
このように、ネジ打ち機1Aでは、被打ち込み材300の材質や厚さなどに応じて、ネジ200の打ち込み深さを選択できる。
【0170】
また、ネジ打ち機1Aは、第2のモードでは、コンタクトアーム8(下方アーム80)の下死点位置を第2の下死点位置P2に移動させることで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける操作において、下方アーム80を下死点位置から上死点位置まで移動させる本体部10とコンタクトアーム8との相対的な移動量を、第1のモード時より減らすことができる。
【0171】
これにより、コンタクトアーム8(下方アーム80)が第2の下死点位置P2から上死点位置に移動する動作、上死点位置から第2の下死点位置P2に復帰する動作に要する時間を短縮でき、連続してネジ200を打ち込んで締め込む動作に要する時間を短縮できる。
【0172】
また、ネジ打ち機1Aは、第2のモードでは、下方アーム80が係止部材40に一度係止されて2段階に移動する動作が行われないため、操作感を向上させることが出来る。
【0173】
さらに、ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8(下方アーム80)と係止部材40を、切替部材41を介して連動させることで、コンタクトアーム8(下方アーム80)の下死点位置を第2の下死点位置P2に移動させる操作と、係止部材40を退避位置に移動させる操作を、切替部材41を移動させる切替操作部材42で連動して行うことができる。これにより、第1のモードと第2のモードの切り替えを、切替操作部材42の操作部42bの操作で容易に行うことができる。
【0174】
また、第1のモードと第2のモードの切り替えに合わせて、供給口34の開口面積の大小を切り替えることで、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を切り替える。すなわち、ネジ200の打ち込み過ぎが発生する可能性がある被打ち込み材300にネジ200を打ち込んで締め込む場合、上述したように第1のモードが選択される。この第1のモードが選択される場合の被打ち込み材300の下地材は、板厚が薄い鋼板である。このため、ネジ200の打ち込み過ぎが発生する可能性がある一方、下地材が硬いため、木材などに比べると、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を大きくする必要がある。
【0175】
そこで、
図5Aに示すように、切替操作部材42の操作部42bの操作で第1のモードが選択される場合、所望の材質の表記(鉄など)が見える向きに流量切替部材36の操作部38aが操作されるようにする。これにより、
図4Aに示すように、絞り部35は、流量切替部材36の回転方向に応じて、流量切替部材36に対して近づく方向に移動することにより、流量切替部材36の回転に連動して、打撃シリンダ30の軸方向に沿って移動し、供給口34の開口面積の広くする。よって、打撃シリンダ30に供給される圧縮空気の流量を増加させ、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を大きくすることができる。
【0176】
これに対し、第2のモードが選択される場合の被打ち込み材300の下地材は、板厚が厚い木材である場合が多い。このため、ネジ200の打ち込み過ぎが発生する可能性が低い一方、鋼板などの下地材に比べると、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を小さくする必要がある。
【0177】
そこで、
図5Bに示すように、切替操作部材42の操作部42bの操作で第2のモードが選択される場合、所望の材質の表記(木材など)が見える向きに流量切替部材36の操作部38aが操作されるようにする。これにより、
図4Bに示すように、絞り部35は、流量切替部材36の回転方向に応じて、流量切替部材36に対して離れる方向に移動することにより、流量切替部材36の回転に連動して、打撃シリンダ30の軸方向に沿って移動し、供給口34の開口面積の狭くする。よって、打撃シリンダ30に供給される圧縮空気の流量を減少させ、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を小さくすることができる。
【0178】
また、メインチャンバ13とエアモータ31をつなぐ空気流路74は、メインバルブ5の下流側かつ供給口34の上流側で空気流路54とつながる。これにより、エアモータ31に供給される圧縮空気は、供給口34を通らず絞り部35の影響を受けない。よって、エアモータ31へ流れる圧縮空気の流量が減少せず、ドライバビット2を回転させることによる締め込み速度が低下することがない。
【0179】
さらに、ネジ打ち機1Aは、マガジン90にネジ連結体が収納されることで、ネジ打ち機1Aを横向きの形態で使用する場合はハンドル部11の前側にネジ連結体の重量が掛かる。これに対し、ネジ打ち機1Aを横向きの形態で使用する場合はハンドル部11の後側にエアモータ31の重量が掛かる。これにより、ネジ打ち機1Aは、ハンドル部11を挟んだ前後両側に重量のある部材が設けられる構成である。したがって、ネジ打ち機1Aは、ハンドル部11を手に持って、上述したように、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込んで締め込む動作を行うときに、ハンドル部11を挟んだ前後両側で、重量バランスが一方に偏ることが抑制される。
【0180】
また、供給口34の開口面積を切り替える絞り部35が、打撃シリンダ30の外周に設けられることで、打撃シリンダ30とエアモータ31の間に、絞り部35及び流量切替部材36を設けるスペース、絞り部35が作動するスペースが不要である。さらに、絞り部35と流量切替部材36は、絞り部35の板状のフランジ部35bと、板状の流量切替部材36が打撃シリンダ30の軸方向に重ねて構成される。これにより、本体部10の延伸方向に沿った他方の側である上側にエアモータ31が設けられる構成で、かつ、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込む力を調整する機構を備えた構成で、ドライバビット2の軸方向に沿ったネジ打ち機1Aの長さが増加することを抑制できる。
【0181】
また、ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける操作で、下方アーム80に押されて第1の制御弁72が待機位置P100から圧力制御開始位置P101まで移動することにより、第1の付勢部材72bが第1の制御弁72を付勢する力が、第1の制御弁72を介してコンタクトアーム8に掛かる。
【0182】
一方、待機位置P100から圧力制御開始位置P101まで移動する間の第1の制御弁72と、待機位置110に待機した第2の制御弁71と間は、分離部76により離間しており、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力が、第1の制御弁72を介してコンタクトアーム8に掛からない。これにより、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けるために必要な力が軽減され、操作性が向上する。
【0183】
さて、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力が弱ければ、第2の制御弁71が待機位置P110から作動流量位置P111まで移動する時間を短縮でき、開閉弁7の作動レスポンスが向上する。開閉弁7の作動レスポンスが向上すると、ネジ200の頭部が被打ち込み材300の打ち込み面と面一または若干量沈む状態まで締め込んだ締込完了状態になると同時にドライバビット2の回転が止まる。これにより、圧縮空気の無駄な消費を抑えられると共に、ドライバビット2がネジ200の頭部との係合と係合の解除を繰り返すことが抑制されてドライバビット2の摩耗が軽減する。
【0184】
一方、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力が弱いと、施工条件で異なるネジ200の打ち込み時や締め込み時に発生する反力の大きさによっては、開閉弁7が作動するタイミングが早くなりすぎ、ネジ200が浮いた状態でドライバビット2の回転が停止してしまう場合がある。
【0185】
そこで、制御部70は、第2の付勢部材71aの付勢力を調整する付勢力調整部71bを備える。付勢力調整部71bは、開閉弁シリンダ73の上側に設けられる付勢力調整部71bの取付け部71b2に、調整部材71b1がネジの螺合で取り付けられる。また、付勢力調整部71bは、第2の制御弁71と調整部材71b1の間の取付け部71b2に第2の付勢部材71aが配置される。付勢力調整部71bは、
図1Bに破線で示すように、調整部材71b1のネジを締め込む量を調整することで、取付け部71b2に対して第1の方向、または第2の方向に沿った調整部材71b1の取付け高さに応じて、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力が切り替わる。これにより、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力を調整することで、第1の制御弁72に押されて第2の制御弁71が作動するタイミングを調整できる。
【0186】
そして、被打ち込み材300に押し付けられた第1の制御弁72が待機位置P100から圧力制御開始位置P101まで移動する間、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力が、第1の制御弁72を介してコンタクトアーム8に掛からない。したがって、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けるために必要な力に影響を与えることなく、使用者や施工条件によって最適な付勢力を設定できるようになり、開閉弁7の作動レスポンスの向上と、エアモータ31の回転を停止させる最適なタイミングの設定の両立を図ることができる。
【0187】
なお、長さの異なる複数の調整部材と、調整部材が取り付けらえる調整部を備え、調整部に取り付けられる調整部材を変えることで、第2の付勢部材71aが第2の制御弁71を付勢する力を変えるようにしてもよい。
【0188】
また、ネジ打ち機1Aは、本体部10の一方の側部に開閉弁7と制御部70が設けられる。制御部70は、開閉弁7と、第2の制御弁71及び第1の制御弁72が同軸上に設けられ、本体部10の延伸方向に沿って上下方向に並ぶ。
【0189】
開閉弁7は、エアモータ31の側部に設けられ、開閉弁7の下側に第2の制御弁71が設けられ、第2の制御弁71の下側に第1の制御弁72が設けられる。このように、開閉弁7がエアモータ31の側部に設けられることで、エアモータ31とつながる空気流路74の長さを短くでき、エアモータ31に供給される圧縮空気の損失を抑制することができる。また、開閉弁7は、モータハウジング31cに設けられた開閉弁シリンダ73に上下動可能に支持される。開閉弁シリンダ73がエアモータ31の側部に設けられることで、エアモータ31とつながる空気流路74の長さを短くでき、エアモータ31に供給される圧縮空気の損失を抑制することができる。
【0190】
<本実施の形態のネジ打ち機の変形例>
図13A、
図13Bは、ネジの打ち込み深さを切り替える切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図、
図14A、
図14Bは、切替部の変形例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0191】
図13A及び
図14Aは、ネジの打ち込み深さを第1の打ち込み深さとする第1のモードが選択された各部の状態を示す。また、
図13Bは、ネジの打ち込み深さを第1の打ち込み深さより深い第2の打ち込み深さとする第2のモードが選択された各部の状態を示し、
図14Bは、第1のモードで打ち込み深さの切り替えが選択された各部の状態を示す。なお、変形例のネジ打ち機1Bにおいて、ネジ打ち機1Aと同等の構成の部位については、同じ番号を付して説明する。
【0192】
変形例のネジ打ち機1Bは、ネジ打ち機1Aと同様に、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作により、コンタクトアーム8が下死点位置から上方向に移動する。そして、ネジ打ち機1Bは、第1のモードにおいて、下死点位置からの移動量を切り替え可能とすることにより、被打ち込み材300に対するネジ200の打ち込み深さが切り替えられる。
【0193】
また、ネジ打ち機1Bは、第2のモードにおいて、下方アーム80の下死点位置を切り替え可能とすることにより、被打ち込み材300に対するネジ200の打ち込み深さを深くする際には、コンタクトアーム8の移動量を減少させる。
【0194】
そこで、打ち込み深さ規制部4aは、第1のモードにおいて、
図13Aに示す下方アーム80の第1の下死点位置P1からの移動量を規制する第1の係止部材40(1)と、第1のモードにおいて、コンタクトアーム8の第1の下死点位置P1からの移動量を切り替える第2の係止部材40(2)を備える。打ち込み深さ規制部4aは、第1の係止部材40(1)でコンタクトアーム8の第1の下死点位置P1からの移動量を規制するか、第2の係止部材40(2)でコンタクトアーム8の第1の下死点位置P1からの移動量を規制するかを切り替えることで、第1のモードにおける下方アーム80の第1の下死点位置P1からの移動量を切り替える。
【0195】
さらに、打ち込み深さ切替部4bは、第1のモードにおいて、第1の係止部材40(1)による下方アーム80の移動量の規制の有無を切り替えると共に、第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)による下方アーム80の移動量の規制の有無を切り替えて、第1のモードと第2のモードを切り替える切替部材41を備える。切替部材41は、下方アーム80及び上方アーム81と一緒に移動するローラ82の移動経路を誘導して、下方アーム80と上方アーム81との連動の有無を切り替える機能も持つ。さらに、打ち込み深さ切替部4bは、切替部材41を作動させると共に、下方アーム80の下死点位置を、
図13Aに示す第1の下死点位置P1か、
図13Bに示す第2の下死点位置P2かに切り替える切替操作部材42を備える。
【0196】
第1の係止部材40(1)は、送り部材91に軸40aを支点に回転可能に支持される。第1の係止部材40(1)は、軸40aを挟んだ一方の端部に、下方アーム80に係止される係止部40bが形成される。また、第1の係止部材40(1)は、軸40aを挟んだ他方の端部に、切替部材41により係止部材40を回転させる力を受ける被作用部40cが形成される。
【0197】
第1の係止部材40(1)は、付勢部材40dによって係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する方向に付勢された状態で、送り部材91の移動と、軸40aを支点とした回転動作により、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する
図14Aに示す係止位置と、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した
図14Bに示す第1の退避位置(1)との間を移動する。また、第1の係止部材40(1)が第1の退避位置(1)に移動した状態で、第2の係止部材40(2)は、送り部材91の移動により、
図14Bに示す係止位置に移動する。これにより、第1のモードにおけるコンタクトアーム8の第1の下死点位置P1からの移動量が切り替えられる。
【0198】
さらに、第1の係止部材40(1)は、送り部材91の移動により、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する係止位置と、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第2の退避位置との間を移動する。また、第2の係止部材40(2)は、送り部材91の移動により、第1の係止部材40(1)と連動して係止位置と第2の退避位置との間を移動する。なお、第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)を第2の退避位置に移動させる構成を備えず、第1の係止部材40(1)を係止位置と第1の退避位置(1)との間を移動する構成のみを備えて、第2のモードを設けず、第1のモードにおいて、第1の係止部材40(1)の有無による打ち込み深さの調整のみを行えるようにしてもよい。
【0199】
第1のモードにおいて、第1の係止部材40(1)を係止位置に移動させることにより、下方アーム80の第1の下死点位置P1からの移動量が第1の係止部材40(1)で規定され、ネジ200の第1の打ち込み深さ(1)が規定される。また、第1のモードにおいて、第1の係止部材40(1)を第1の退避位置(1)に移動させることにより、下方アーム80第1の下死点位置P1からの移動量が第2の係止部材40(2)で規定され、ネジ200の第1の打ち込み深さ(2)が規定される。なお、第1のモードにおける第1の打ち込み深さ(1)は、本例では、コンタクトアーム8の移動方向に沿った第1の係止部材40(1)の厚さで規定されるが、コンタクトアーム8の移動方向に沿った第1の係止部材40(1)の位置で規定されるようにしてもよい。
【0200】
図15A、
図15Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図、
図16A、
図16Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0201】
次に、第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)を選択してネジ200の打ち込み及び締め込みを行うネジ打ち機1Bの動作の一例について説明する。
【0202】
ネジ打ち機1Bは、第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)が選択された場合、待機時には、
図13Aに示すように、下方アーム80は第1の下死点位置P1に移動している。また、
図14Aに示すように、第1の係止部材40(1)は、係止部40bが下方アーム80の移動経路に突出する係止位置に移動している。
【0203】
このように第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)が選択された状態で、ネジ打ち機1Bは、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられると、
図15Aに示すように、下方アーム80が第1の係止部材40(1)の係止部40bに接する第1の打ち込み深さ規定位置P10(1)まで移動し、上方アーム81が、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる作動可能位置まで移動する。これにより、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10(1)に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が引かれる操作が行われた状態であると、
図15Aに示すように、コンタクトレバー60aが始動バルブ6のバルブステム62を押すサインインの状態となり、始動バルブ6が作動する。
【0204】
サインインの状態となって始動バルブ6が作動すると、
図8Bに示すようにメインバルブ5が作動し、圧縮空気が打撃シリンダ30に供給される。圧縮空気が打撃シリンダ30に供給されると、
図8Cに示すように、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下死点位置まで下方向に移動し、ネジ200が被打ち込み材300に打ち込まれる。
【0205】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が下死点位置まで移動すると、圧縮空気がフィードピストン92に供給される。これにより、
図15B、
図16Bに示すように、フィードピストン92と連結された送り部材91が矢印L方向に移動する。
【0206】
送り部材91が矢印L方向に移動すると、送り部材91に取り付けられた第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)が矢印L方向に移動する。これにより、第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)は、下方アーム80の移動経路から退避した第2の退避位置に移動する。第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)が第2の退避位置に移動すると、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10を超えて本体部10に対する相対的な動きにより上方向に移動可能になる。以下の動作は、ネジ打ち機1Aの第1のモードと同じである。
【0207】
図17A、
図17Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部側断面図、
図18A、
図18Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示す本実施の形態の変形例のネジ打ち機の要部底面断面図である。
【0208】
次に、第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)を選択してネジ200の打ち込み及び締め込みを行うネジ打ち機1Bの動作の一例について説明する。
【0209】
ネジ打ち機1Bは、第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)が選択された場合、第1の打ち込み深さ(1)が選択された場合と同様に、下方アーム80は第1の下死点位置P1に移動している。また、
図14Bに示すように、第1の係止部材40(1)は、係止部40bが下方アーム80の移動経路から退避した第1の退避位置(1)に移動している。これに対し、第2の係止部材40(2)は、下方アーム80の移動経路に突出する係止位置に移動している。
【0210】
このように第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)が選択された状態で、ネジ打ち機1Bは、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられると、
図17Aに示すように、下方アーム80が第2の係止部材40(2)に接する第1の打ち込み深さ規定位置P10(2)まで移動し、上方アーム81が、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる作動可能位置まで移動する。これにより、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10(2)に移動するまで、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付けた状態で、トリガ60が引かれる操作が行われた状態であると、
図17Aに示すように、コンタクトレバー60aが始動バルブ6のバルブステム62を押すサインインの状態となり、始動バルブ6が作動する。
【0211】
サインインの状態となって始動バルブ6が作動すると、
図8Bに示すようにメインバルブ5が作動し、
図8Cに示すように、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下死点位置まで下方向に移動し、ネジ200が被打ち込み材300に打ち込まれる。
【0212】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が下死点位置まで移動すると、圧縮空気がフィードピストン92に供給される。これにより、
図17B、
図18Bに示すように、フィードピストン92と連結された送り部材91が矢印L方向に移動する。
【0213】
送り部材91が矢印L方向に移動すると、送り部材91に取り付けられた第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)が矢印L方向に移動する。これにより、第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)は、下方アーム80の移動経路から退避した第2の退避位置に移動する。第1の係止部材40(1)及び第2の係止部材40(2)が第2の退避位置に移動すると、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、下方アーム80が第2の打ち込み深さ規定位置P10(1)を超えて本体部10に対する相対的な動きにより上方向に移動可能になる。以下の動作は、ネジ打ち機1Aの第1のモードと同じである。
【0214】
図19Aは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図19Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図、
図19Cは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【0215】
また、
図20Aは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図20Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図、
図20Cは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【0216】
さらに、
図21Aは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図21Bは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図、
図21Cは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込む状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部底面図である。
【0217】
図22Aは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図22Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(1)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【0218】
また、
図23Aは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図23Bは、第1のモードでネジを第1の打ち込み深さ(2)で被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【0219】
さらに、
図24Aは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部正面図、
図24Bは、第2のモードでネジを被打ち込み材に打ち込むサインインの状態を示す本実施の形態の他の変形例のネジ打ち機の要部側面図である。
【0220】
他の変形例のネジ打ち機1Cは、下方アーム80の第1の下死点位置を切り替えると共に、第1のモードにおいて、第1の下死点位置からの移動量を切り替える第2の切替部材43を備える。第2の切替部材43は打ち込み深さ規制部及び打ち込み深さ切替部の一例で、下方アーム80に取り付けられ、上下方向に交差した矢印L1、矢印R1方向に移動可能に支持される。
【0221】
第2の切替部材43は、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、係止位置に移動した係止部材40に選択的に接する第1の被係止部44(1)と第2の被係止部44(2)を備える。
【0222】
また、第2の切替部材43は、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が下方向に移動すると、ノーズ部12に設けた下死点位置規制凸部12aに選択的に接する第1の下死点位置規制部45(1)と第2の下死点位置規制部45(2)及び第3の下死点位置規制部45(3)備える。
【0223】
第2の切替部材43は、第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)が選択された場合、矢印L1、矢印R1方向に移動することで、
図19Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第1の下死点位置規制部45(1)が対向する位置に移動すると共に、係止位置に移動した係止部材40に第1の被係止部44(1)が対向する位置に移動する。
【0224】
また、第2の切替部材43は、第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)が選択された場合、矢印L1、矢印R1方向に移動することで、
図20Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第2の下死点位置規制部45(2)が対向する位置に移動すると共に、係止位置に移動した係止部材40に第2の被係止部44(2)が対向する位置に移動する。
【0225】
さらに、第2の切替部材43は、第2のモードが選択された場合、矢印L1、矢印R1方向に移動することで、
図21Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第3の下死点位置規制部45(3)が対向する位置に移動すると共に、係止位置に移動した係止部材40と対向する位置から第1の被係止部44(1)及び第2の被係止部44(2)が外れる位置に移動する。
【0226】
第2の切替部材43は、
図19Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第1の下死点位置規制部45(1)が対向する位置に移動した状態で、下方アーム80が付勢部材83aに付勢されることにより、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が下方向に移動すると、下死点位置規制凸部12aに第1の下死点位置規制部45(1)が接する。これにより、第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)が選択された場合、
図19A、
図19Bに示すように、下方アーム80の下死点位置が第1の下死点位置P1(1)に規定される。
【0227】
ネジ打ち機1Cは、下方アーム80が図示しない被打ち込み材に押し付けられることにより、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動する。第2の切替部材43は、
図19A、
図19Cに示すように、係止位置に移動した係止部材40に第1の被係止部44(1)が対向する位置に移動した状態で、下方アーム80が上方向に移動すると、
図22A、
図22Bに示すように、係止位置に移動した係止部材40に第1の被係止部44(1)が接する。これにより、第1のモードで第1の打ち込み深さ(1)が選択された場合、第1の被係止部44(1)で下方アーム80の第1の下死点位置P1(1)からの移動量が規定され、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10(1)まで移動する。よって、ネジ200の第1の打ち込み深さ(1)が規定される。
【0228】
係止位置に移動した係止部材40に第2の切替部材43の第1の被係止部44(1)が接する第1の打ち込み深さ規定位置P10(1)まで、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、上述したサインインの状態となる。以下の動作は、ネジ打ち機1Aの第1のモードと同じである。
【0229】
第2の切替部材43は、
図20Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第2の下死点位置規制部45(2)が対向する位置に移動した状態で、下方アーム80が付勢部材83aに付勢されることにより、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が下方向に移動すると、下死点位置規制凸部12aに第2の下死点位置規制部45(2)が接する。これにより、第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)が選択された場合、
図20A、
図20Bに示すように、下方アーム80の下死点位置が第1の下死点位置P1(2)に規定される。
【0230】
第2の切替部材43は、
図20A、
図20Cに示すように、係止位置に移動した係止部材40に第2の被係止部44(2)が対向する位置に移動した状態で、下方アーム80が上方向に移動すると、
図23A、
図23Bに示すように、係止位置に移動した係止部材40に第2の被係止部44(2)が接する。これにより、第1のモードで第1の打ち込み深さ(2)が選択された場合、第2の被係止部44(2)で下方アーム80の第1の下死点位置P1(2)からの移動量が規定され、下方アーム80が第1の打ち込み深さ規定位置P10(2)まで移動する。よって、ネジ200の第1の打ち込み深さ(2)が規定される。
【0231】
係止位置に移動した係止部材40に第2の切替部材43の第2の被係止部44(2)が接する第1の打ち込み深さ規定位置P10(2)まで、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、上述したサインインの状態となる。以下の動作は、ネジ打ち機1Aの第1のモードと同じである。
【0232】
第2の切替部材43は、
図21Aに示すように、下死点位置規制凸部12aに第3の下死点位置規制部45(3)が対向する位置に移動した状態で、下方アーム80が付勢部材83aに付勢されることにより、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が下方向に移動すると、下死点位置規制凸部12aに第3の下死点位置規制部45(3)が接する。これにより、第2のモードが選択された場合、
図21A、
図21Bに示すように、下方アーム80の下死点位置が第2の下死点位置P2に規定される。
【0233】
第2の切替部材43は、
図21A、
図21Cに示すように、係止位置に移動した係止部材40
と対向する位置から第1の被係止部44(1)及び第2の被係止部44(2)が外れる位置に移動した状態で、下方アーム80が上方向に移動すると、
図24A、
図24Bに示すように、下方アーム80が第2の打ち込み深さ規定位置P20まで移動する。よって、ネジ200の第2打ち込み深さが規定される。
【0234】
第2の打ち込み深さ規定位置P20まで、本体部10に対する相対的な動きによって下方アーム80が上方向に移動すると、上述したサインインの状態となる。以下の動作は、ネジ打ち機1Aの第2のモードと同じである。
【0235】
図25A及び
図25Bは、本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す断面図である。ネジ打ち機1A、1B、1Cは、メインチャンバ13に供給された圧縮空気を利用して、粉塵などの異物を空気圧で吹き飛ばすエアダスタ100を備えてもよい。
【0236】
エアダスタ100は、メインチャンバ13とつながるダスタ空気流路101に設けたダスタバルブ102と、ダスタバルブ102を作動させるダスタ操作部103と、ダスタ空気流路101とつながり、例えば本体部10の側部から本体部10の外部に圧縮空気を吹き出すダスタ吹出口104を備える。
【0237】
エアダスタ100を使用する場合、
図25Bに示すように、ダスタ操作部103が押されることでダスタバルブ102が作動してダスタ空気流路101が開き、ダスタ吹出口104から圧縮空気が吹き出される。これにより、コンタクトアーム8の下方の粉塵などの異物を空気圧で吹き飛ばし、ネジ200を打ち込む位置を確実に目視できるようになる。
【0238】
図26A及び
図26Bは、本実施の形態のネジ打ち機の他の構成例を示す要部斜視図である。ネジ打ち機1A、1B、1Cは、ドライバビット2の交換をできるようにするため、ロータ31b1の回転を規制する回転止め部材105を備える。回転止め部材105は、本体部10の外部から操作可能で、ロータ31b1と係合するロータ係合部105aを備える。
【0239】
ドライバビット2を交換する際は、
図26Bに示すように、図示しないマイナスドライバ等の工具で回転止め部材105をロータ31b1方向に押すと共に、回転止め部材105が回転しないように押さえる。これにより、回転止め部材105は、ロータ係合部105aがロータ31b1と係合することで、ロータ31b1の回転を規制して、キャリア31hを介してロータ31b1とつながるモータシャフト31a及びモータシャフト31aに取り付けられたドライバビット2の回転を規制する。そして、ノーズ部12側から図示しない工具を挿入し、ドライバビット2を固定する図示しないビット固定ネジを緩めることで、ドライバビット2をモータシャフト31aから取り外し、新しいドライバビット2をモータシャフト31aに取り付けることができる。
【符号の説明】
【0240】
1A、1B、1C・・・ネジ打ち機、10・・・本体部、11・・・ハンドル部、12・・・ノーズ部、12a・・・射出通路、12b・・・射出口、13・・・メインチャンバ、13a・・・減圧弁、14・・・排気パイプ、14a・・・排気フィルタ、2・・・ドライバビット、3・・・締結部、30・・・打撃シリンダ(打ち込み部)、30a・・・打撃ピストン、31・・・エアモータ(締め込み部)、31a・・・モータシャフト、31b1・・・ロータ、31b3・・・穴部、31c・・・モータハウジング、31d・・・減速機、31e・・・太陽歯車、31f・・・遊星歯車、31g・・・内歯車、31h・・・キャリア(駆動力伝達部)、31i・・・ギアローラ、34・・・供給口、35・・・絞り部、35a・・・筒部、35b・・・フランジ部、35c・・・付勢部材、36・・・流量切替部材(流量切替部)、36a・・・ギア、37a・・・カム面(カム部)、37b・・・係合部(カム部)、38・・・操作部材、38a・・・操作部、38b・・・軸部、38c・・・ギア、4a・・・打ち込み深さ規制部、4b・・・打ち込み深さ切替部、40・・・係止部材、40(1)・・・第1の係止部材、40(2)・・・第2の係止部材、40a・・・軸、40b・・・係止部、40c・・・被作用部、40d・・・付勢部材、41・・・切替部材、41a・・・ガイド溝、41a1・・・第1のガイド溝、41a2・・・第2のガイド溝、41b・・・作動部、41c・・・被作用部、42・・・切替操作部材(切替操作部)、42a・・・作用部、42a1・・・第1のカム面、42a2・・・第2のカム面、42b・・・操作部、42c・・・軸、5・・・メインバルブ、51・・・メインバルブスプリング、52・・・メインバルブ上室、53・・・メインバルブ下室、54・・・空気流路(第1の空気流路)、6・・・始動バルブ、60・・・トリガ、60a・・・コンタクトレバー、60b・・・軸、60c・・・軸、60d・・・トリガスプリング、61・・・パイロットバルブ、62・・・バルブステム、63・・・バルブステムスプリング、64・・・バルブ下室、7・・・開閉弁、70・・・制御部、72・・・第1の制御弁、72a・・・連結部、72b・・・第1の付勢部材(第1の付勢部)、72c・・・シール部、71・・・第2の制御弁、71a・・・第2の付勢部材(第2の付勢部)、71b・・・付勢力調整部、71b1・・・調整部材、71b2・・・取付け部、73・・・開閉弁シリンダ、73a・・・開閉弁下室、73b・・・開閉弁上室、74・・・空気流路(第2の空気流路)、75・・・制御弁シリンダ、75a・・・第3室、75b・・・第4室、75c・・・連通路、75d・・・排気路、76・・・分離部、8・・・コンタクトアーム(コンタクト部)、80・・・下方アーム、81・・・上方アーム、81a・・・ガイド溝、82・・・ローラ(伝達部材)、82a・・・付勢部材、83a、83b・・・付勢部材、84・・・カム溝、84a・・・第1の係合部、84b・・・第1の係合解除部、84c・・・第2の係合部、84d・・・第2の係合解除部、85・・・下死点位置切替被作用部、86・・・締め込み深さ調整部(締め込み深さ切替部)、9・・・ネジ送り部、90・・・マガジン、91・・・送り部材、92・・・フィードピストン、93・・・フィードシリンダ、94・・・フィード流路、95・・・付勢部材、200・・・ネジ、201・・・連結帯、300・・・被打ち込み材