(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061316
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】手持ち工具
(51)【国際特許分類】
B25C 1/00 20060101AFI20240425BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B25C1/00 A
B25B21/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169179
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 一哉
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA08
3C068BB01
3C068CC02
3C068FF24
3C068JJ11
(57)【要約】
【課題】ネジ連結体の取り出し、装填を容易にしたネジ打ち機を提供する。
【解決手段】ネジ打ち機1Aは、複数本のネジが連結帯で連結されたネジ連結体が収容されるマガジン90と、連結帯で連結されたネジが供給される射出通路12aを有したノーズ部12と、射出通路12aとノーズ部12の外部をつなぎ、消耗品が射出された連結帯が、射出通路12aの延伸方向に対して交差する第1の方向に沿って排出される排出口12cと、マガジン90を開閉可能に覆うマガジンキャップ部97と、マガジンキャップ部97と一体に連結されたドア部98と、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になることで露出し、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部がつながる形態で開口した開口部12dを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結帯で連結された複数のファスナーを収容可能なマガジンと、
前記マガジンを開閉する蓋部と、
前記ファスナーの射出通路を有し、前記射出通路の延伸方向に沿った一方の端部に前記ファスナーを射出するための射出口が形成されるノーズ部と、
前記射出通路と前記マガジンをつなぎ、前記連結帯で連結された前記ファスナーを前記射出通路に送るための供給通路と、
前記射出通路の前記ファスナーを前記連結帯から切り離して前記射出口に向けて打ち出すドライバビットとを備え、
前記ノーズ部は、前記ファスナーが切り離された前記連結帯を排出するための排出口を有し、
前記排出口は、前記射出通路を介して前記供給通路と反対側に位置し、
前記射出通路及び前記排出口は、前記射出通路の延伸方向と直交する側方に開口部を有し、
前記蓋部は、開状態のとき、前記射出通路と前記排出口の前記開口部を露出させ、閉状態のとき、前記射出通路と前記排出口の前記開口部を覆うように構成される
手持ち工具。
【請求項2】
前記蓋部は、前記マガジンを開閉するマガジンキャップ部と、前記開口部を開閉するドア部とを有する
請求項1に記載の手持ち工具。
【請求項3】
前記ドア部は、前記マガジンキャップ部に回動可能に連結される
請求項2に記載の手持ち工具。
【請求項4】
前記ノーズ部は、前記ドア部と係合し、前記マガジンキャップ部と前記ドア部を閉じた状態で保持する係合部を有する
請求項3に記載の手持ち工具。
【請求項5】
前記係合部は、前記射出通路近傍に設けられる
請求項4に記載の手持ち工具。
【請求項6】
前記ドア部は、前記係合部に係合可能な凸部を有し、
前記係合部は、前記凸部が係合する凹部を有する、
請求項5に記載の手持ち工具。
【請求項7】
前記凸部は、前記射出通路の延伸方向に沿って延伸する
請求項6に記載の手持ち工具。
【請求項8】
前記係合部は、前記射出通路の延伸方向に沿って前記排出口の両側に設けられる
請求項5に記載の手持ち工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナーを収容可能なマガジンを備え、マガジンに収容された消耗品を射出する手持ち工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ネジや釘などのファスナーを射出する手持ち工具は、ファスナーを収容するマガジンを備える。マガジンは、複数本のファスナーが連結帯で連結されたファスナー連結体が収容される。このような手持ち工具では、ファスナーが射出されるノーズ部と、マガジンにファスナー連結体を装填可能とするため、マガジンに設けたマガジンキャップ部と、ノーズ部に設けたドア部がそれぞれ開閉できる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノーズ部にドア部が設けられた従来の手持ち工具では、ノーズ部に設けられるファスナーの射出通路の側方の部位の一部がドア部で形成される。また、連結帯で連結されたファスナーを使用する手持ち工具では、ファスナーが射出された後の連結帯を排出する排出口がノーズ部に設けられ、排出口の側方の部位の一部がドア部で形成される。これに対し、従来、ノーズ部に設けたドア部は、ノーズ部に設けた軸を支点とした回転動作で開閉する。このため、ドア部を開いても、軸やドア部の軸に支持される部位などが排出口の側方に位置し、排出口の側方が露出しない。これにより、ファスナーが射出された後の連結帯を切り取らないと、ファスナー連結体の取り出し、再装填が難しい。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、ファスナー連結体の取り出し、装填を容易にした手持ち工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、連結帯で連結された複数のファスナーを収容可能なマガジンと、マガジンを開閉する蓋部と、ファスナーの射出通路を有し、射出通路の延伸方向に沿った一方の端部にファスナーを射出するための射出口が形成されるノーズ部と、射出通路とマガジンをつなぎ、連結帯で連結されたファスナーを射出通路に送るための供給通路と、射出通路のファスナーを連結帯から切り離して射出口に向けて打ち出すドライバビットとを備え、ノーズ部は、ファスナーが切り離された連結帯を排出するための排出口を有し、排出口は、射出通路を介して供給通路と反対側に位置し、射出通路及び排出口は、射出通路の延伸方向と直交する側方に開口部を有し、蓋部は、開状態のとき、射出通路と排出口の開口部を露出させ、閉状態のとき、射出通路と排出口の開口部を覆うように構成される手持ち工具である。
【0007】
本発明では、蓋部が開状態となると、射出通路の側方及び排出口の側方の開口がつながる形態の開口部が露出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ファスナーが射出された後の連結帯は、開口部の側方から取り出すことができる。これにより、使用途中のファスナー連結体を取り出す場合、ファスナーが射出された後の連結帯を切り離すことなく、ファスナー連結体をマガジンから取り出すことができる。
【0009】
また、使用途中のファスナー連結体を装填する場合、ファスナーが射出された後の連結帯は、開口部に側方から入れることができる。これにより、使用途中のファスナー連結体を装填する場合、ファスナーが射出された後の連結帯を切り離すことなく、ファスナー連結体をマガジンに装填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図1B】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図2A】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図2B】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
【
図3A】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面図である。
【
図3B】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面図である。
【
図3C】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。
【
図4A】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す側断面図である。
【
図4B】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。
【
図4C】本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す下面断面図である。
【
図6A】マガジンキャップ部とドア部の開閉動作の一例を示す断面図である。
【
図6B】マガジンキャップ部とドア部の開閉動作の一例を示す斜視図である。
【
図7】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の側断面図である。
【
図8A】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8B】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8C】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8D】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8E】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8F】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図8G】ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。
【
図9】マガジン内のネジが使用された状態の一例を示すネジ打ち機の下面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の手持ち工具の一例としてのネジ打ち機の実施の形態について説明する。
【0012】
<本実施の形態のネジ打ち機の構成例>
図1A、
図1B、
図2A、
図2Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す斜視図である。
図1Aは、マガジンが開状態でネジが非装填の状態、
図1Bは、マガジンが開状態でネジが装填された状態を示す。また、
図2Aは、マガジンが閉状態でネジが非装填の状態、
図2Bは、マガジンが閉状態でネジが装填された状態を示す。
【0013】
また、
図3A、
図3Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面図である。
図3Aは、マガジンが閉状態でネジが装填された状態、
図3Bは、マガジンが開状態でネジが装填された状態を示す。さらに、
図3Cは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。また、
図4Aは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す側断面図、
図4Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図、
図4Cは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す下面断面図である。また、
図5は、ネジ連結体の一例を示す斜視図である。
【0014】
ネジ打ち機1Aは、
図5に示すように、ファスナーである複数本のネジ200が連結帯201で連結され、ファスナー連結体として、例えば渦巻き状に巻かれた形態のネジ連結体203が使用される。なお、未使用のネジ連結体203は、テープ204で渦巻き状の形状が崩れないように留められている。連結帯201は、ネジ200や釘などの軸部を支持する所定の形状のプラシートで構成されるものでもよいし、複数本のファスナーをテープで接着するものや金属線で溶着するものでもよい。
【0015】
ネジ打ち機1Aは、圧縮空気で駆動され、ドライバビット2を軸方向に移動させて、ネジ200を被打ち込み材300に打ち込んだ後、ドライバビット2を回転させてネジ200の締め込みを行う締結部3を備える。締結部3は、ドライバビット2を軸方向に移動させる打撃シリンダ30と、ドライバビット2を軸回りに回転させるエアモータ31を備える。
【0016】
また、ネジ打ち機1Aは、打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給の有無を切り替えるメインバルブ5と、メインバルブ5を作動させる始動バルブ6と、始動バルブ6を作動させるトリガ60を備える。
【0017】
さらに、ネジ打ち機1Aは、エアモータ31の作動の有無を切り替える開閉弁7と、開閉弁7を作動させる制御部70を備える。また、ネジ打ち機1Aは、被打ち込み材300と接触し、ネジ200の打ち込み方向に沿った軸方向に移動可能に構成され、トリガ60の操作と協動で始動バルブ6を作動可能とすると共に、制御部70を作動させるコンタクトアーム8を備える。
【0018】
また、ネジ打ち機1Aは、ネジ連結体203を後述するノーズ部12に送るネジ送り部9と、ネジ送り部9で送られるネジ連結体203を収容するマガジン90を備える。
【0019】
ネジ打ち機1Aは、本体部10と、本体部10と交差する方向に延伸するハンドル部11を備える。ネジ打ち機1Aは、ドライバビット2の軸方向に沿って延伸する本体部10の延伸方向に沿った一方の側に、ネジ送り部9により連結帯201で連結されたネジ200が供給されると共にドライバビット2が通るノーズ部12が設けられる。ネジ打ち機1Aは、ノーズ部12が設けられる本体部10の延伸方向に沿った一方の側を下側とし、本体部10の延伸方向に沿った他方の側を上側とする。ネジ打ち機1Aは、ハンドル部11の下側にマガジン90が設けられる。
【0020】
ノーズ部12は、連結帯201で連結されたネジ200が供給される射出通路12aと、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿った一方の端部に形成され、連結帯201から外れたネジ200が射出される射出口12bを備える。
【0021】
ネジ打ち機1Aは、図示しない外部のエアコンプレッサから圧縮空気が供給されるメインチャンバ13を備える。メインチャンバ13は、ハンドル部11内及び本体部10内でハンドル部11内とつながった打撃シリンダ30の外周に設けられ、減圧弁13aで減圧された圧縮空気が供給される。また、ネジ打ち機1Aは、打撃シリンダ30及びエアモータ31などに供給された圧縮空気を排気する排気パイプ14を備える。排気パイプ14は、ハンドル部11に設けられ、排気フィルタ14aを介して圧縮空気を排気する。
【0022】
打撃シリンダ30は、上下に延伸する形態で、本体部10の内部に設けられる。打撃シリンダ30は、円筒状の内部の空間に、打撃ピストン30aが擦動可能に設けられる。打撃ピストン30aは、外周にシール部30bを備え、打撃シリンダ30に収容される。打撃ピストン30aは、打撃シリンダ30内を第1室30cと第2室30dとに仕切る。打撃ピストン30aは、エアモータ31に駆動されるモータシャフト31aが取り付けられる。打撃ピストン30aは、上死点位置にある状態で、第1室30c側にドライバビット2が接続される。すなわち、ドライバビット2は、打撃ピストン30aから下側に突出する形態で、モータシャフト31aを介して打撃ピストン30aに着脱可能に取り付けられる。また、モータシャフト31aは、打撃ピストン30aに対してドライバビット2の反対側に設けられ、打撃ピストン30aから上側に突出する形態で、打撃ピストン30aに取り付けられる。
【0023】
打撃シリンダ30は、メインチャンバ13から第2室30dに圧縮空気が供給される。打撃ピストン30aは、打撃シリンダ30の第2室30dに供給された圧縮空気の空気圧で押圧され、矢印Dで示す下方向に移動して、ドライバビット2を軸方向に沿って下方向に移動させる。ドライバビット2及びモータシャフト31aは、打撃ピストン30aと一体に移動する。下方向に移動するドライバビット2は、ノーズ部12に案内されることで、マガジン90からノーズ部12に供給されたネジ200を被打ち込み材300に打ち込む。また、ドライバビット2は、エアモータ31に駆動されてモータシャフト31aが回転することで、モータシャフト31aと一体に回転し、被打ち込み材300に打ち込まれたネジ200を締め込む。
【0024】
ネジ打ち機1Aは、制御部70を作動させる圧縮空気が供給されるタイマチャンバ32と、下死点位置に移動した打撃ピストン30aを上死点位置に復帰させると共に、ネジ送り部9を作動させる圧縮空気が供給されるブローバックチャンバ33を備える。
【0025】
タイマチャンバ32とブローバックチャンバ33は、本体部10の内部で打撃シリンダ30の外周側に設けられる。タイマチャンバ32は、打撃シリンダ30の側面穴流路32aを介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。また、ブローバックチャンバ33は、打撃シリンダ30の側面穴流路33aを介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。タイマチャンバ32とブローバックチャンバ33は、打撃ピストン30aが上死点位置から下死点位置に移動する動作で圧縮空気が供給され、打撃ピストン30aの位置に応じて圧力が上昇する。
【0026】
エアモータ31は、モータシャフト31aを回転させるロータ31b1と、ロータ31b1を回転させる空気の流れを受けるブレード31b2と、ロータ31b1を回転可能に支持すると共に、ロータ31b1を回転させる空気の流れを生成するモータハウジング31cを備える。エアモータ31は、ロータ31b1の回転が減速機31dを介してモータシャフト31aに伝達される。減速機31dは、打撃シリンダ30とエアモータ31の間に設けられる。減速機31dは、遊星歯車機構で構成され、ロータ31b1と接続される太陽歯車31eと、太陽歯車31eと噛み合う複数の遊星歯車31fと、遊星歯車31fと噛み合う内歯車31gと、遊星歯車31fを回転可能に支持するキャリア31hを備える。減速機31dは、太陽歯車31eと遊星歯車31f及び内歯車31gが、ドライバビット2の軸方向に対して同一面に設けられる。また、減速機31dは、太陽歯車31eと遊星歯車31f及び内歯車31gの下側にキャリア31hが設けられる。
【0027】
ロータ31b1は、矢印Uで示す上方向及び矢印Dで示す下方向に沿った軸方向に、上端から下端まで貫通して穴部31b3が設けられた中空構造で、穴部31b3にモータシャフト31aが軸方向に移動可能に挿入される。穴部31b3は、ロータ31b1の回転の中心と同軸上に設けられる。ロータ31b1は、太陽歯車31eと接続される係合箇所が下端に設けられる。太陽歯車31eと接続される係合箇所が多角形、例えば六角形の軸で構成され、太陽歯車31eは、ロータ31b1と接続される係合箇所が多角形、例えば六角形の穴で構成される。内歯車31gは、環状の部材の内周面に歯部が形成され、太陽歯車31eと同心で回転不可に固定される。遊星歯車31fは、キャリア31hに回転可能に支持され、太陽歯車31eと内歯車31gの間に入る形態で、太陽歯車31e及び内歯車31gと噛み合う。これにより、減速機31dは、ロータ31b1が回転することで太陽歯車31eが回転すると、遊星歯車31fが回転しながら、所定の減速比でキャリア31hが回転する。
【0028】
キャリア31hは、モータシャフト31aを軸方向に移動可能に支持する複数のギアローラ31iを備える。ギアローラ31iは、キャリア31hの回転の中心を囲む多角形、例えば三角形の辺上に外周面が位置する配置で、キャリア31hに回転可能に支持される。モータシャフト31aは、ギアローラ31iと接触する箇所が平面で構成され、ギアローラ31iの配置に合わせて3つの平面が設けられる。これにより、モータシャフト31aは、複数のギアローラ31iによりキャリア31hの回転の中心に支持され、ギアローラ31iが回転することで、軸方向に移動可能である。よって、モータシャフト31aは、打撃シリンダ30において圧縮空気の空気圧により打撃ピストン30aが下方向に移動すると、打撃ピストン30a及びドライバビット2と一体的に下方向に移動する。
【0029】
また、モータシャフト31aの平面とギアローラ31iが接することで、モータシャフト31aは、キャリア31hと一緒に回転する。よって、モータシャフト31aは、圧縮空気の空気圧によりエアモータ31のロータ31b1が回転すると、所定の減速比で回転するキャリア31hと一緒に回転する。
【0030】
エアモータ31は、本体部10の上側に設けられる。エアモータ31は、モータシャフト31aがドライバビット2と同軸上に設けられる。これにより、エアモータ31は、打撃シリンダ30に対して第2室30d側、すなわち、本体部10においてノーズ部12が設けられる下側と反対側で、ドライバビット2の軸方向に沿った打撃シリンダ30の上側に、打撃シリンダ30と同軸上に設けられる。また、エアモータ31は、ロータ31b1に設けた穴部31b3にモータシャフト31aが挿入される構成で、打撃シリンダ30の上側にエアモータ31を設けた構成で、上下方向に移動するモータシャフト31aが作動する空間が確保される。
【0031】
メインバルブ5は、打撃シリンダ30の外周側に上下動可能に設けられる。また、メインバルブ5は、メインバルブスプリング51で空気流路54を閉じる方向である下方向に付勢される。さらに、メインバルブ5は、メインバルブスプリング51が設けられたメインバルブ上室52に、メインチャンバ13から始動バルブ6を介して圧縮空気が供給され、圧縮空気の空気圧で下方向に押される。また、メインバルブ5は、メインバルブ下室53にメインチャンバ13から圧縮空気が供給され、圧縮空気の空気圧で下方向に押される。
【0032】
これにより、メインバルブ5は、メインチャンバ13と打撃シリンダ30及びエアモータ31をつなぐ空気流路54を開閉する。空気流路54は、打撃シリンダ30の外周側でメインバルブ5の内周側である打撃シリンダ30とメインバルブ5の間に設けられ、メインバルブ5を介してメインバルブ下室53とつながる。メインバルブ5は、非作動時はメインバルブ上室52に供給される圧縮空気の空気圧及びメインバルブ下室53に供給される圧縮空気の空気圧のバランスと、メインバルブスプリング51の力の関係から下方向に付勢されて下死点位置にあり、メインバルブ下室53と打撃シリンダ30との間の空気流路54を遮断している。これに対し、メインバルブ5は、作動時はメインバルブ上室52が始動バルブ6を介して大気と連通することで、メインチャンバ13からメインバルブ下室53に供給される圧縮空気の空気圧で上方向に押され、メインバルブ下室53と打撃シリンダ30との間の空気流路54を開く。
【0033】
始動バルブ6は、メインバルブ上室52を開閉するパイロットバルブ61と、パイロットバルブ61を作動させるバルブステム62と、パイロットバルブ61を上方向に付勢すると共にバルブステム62を下方向に付勢するバルブステムスプリング63を備える。
【0034】
始動バルブ6は、メインチャンバ13から供給された圧縮空気の空気圧で、パイロットバルブ61が下方向に押される。また、始動バルブ6は、メインチャンバ13からバルブ下室64に供給された圧縮空気の空気圧で、パイロットバルブ61が上方向に押される。
【0035】
これにより、始動バルブ6は、圧縮空気の空気圧のバランスと、バルブステムスプリング63の力の関係から、パイロットバルブ61が上方位置で保持される。これに対し、始動バルブ6は、バルブステム62が上方向に移動すると、バルブ下室64が大気と連通することで、パイロットバルブ61が圧縮空気の空気圧で下方向に移動する。そして、パイロットバルブ61が下方向に移動することで、メインバルブ上室52と大気が連通する通路が開く。
【0036】
トリガ60は、ハンドル部11の下側に設けられ、作業者の操作を受けて60cを支点に回転する。トリガ60は、トリガスプリング60dにより始動バルブ6のバルブステム62から離れる方向に付勢される。
【0037】
トリガ60は、始動バルブ6のバルブステム62を作動させるコンタクトレバー60aを備える。コンタクトレバー60aは、軸60bを支点にして回転可能にトリガ60に支持される。コンタクトレバー60aは、トリガ60が引かれる操作が行われた状態のみでは、バルブステム62に接しない。これに対し、コンタクトレバー60aは、トリガ60が引かれる操作が行われた状態で、コンタクトアーム8の図示しない上方アームに押されると、バルブステム62を上方向に移動させる。これにより、始動バルブ6は、トリガ60の操作と、コンタクトアーム8が押される操作の組み合わせで作動する。
【0038】
コンタクトアーム8は、被打ち込み材300と接触する下方アーム80と、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる図示しない上方アームを備える。下方アーム80は、ノーズ部12に上下方向に移動可能に支持され、図示しない付勢部材によって下方向に付勢される。
【0039】
ネジ打ち機1Aは、下方アーム80の上支点位置を規定すると共に、下方アーム80が上支点位置に移動すると、第1の制御弁72を作動させる締め込み深さ調整部86を備える。
【0040】
締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aと、調整部本体86aに対する突出高さが調整可能な突き当て部86bを備える。締め込み深さ調整部86は、矢印U、Dで示す下方アーム80の移動方向に沿って移動可能に支持され、コイルバネなどの付勢部材86cによって、矢印Uで示す下方向に付勢される。
【0041】
締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aと突き当て部86bが、例えば雄ネジと雌ネジが螺合して結合した構成である。締め込み深さ調整部86は、調整部本体86aを回転させるダイヤル部86dが本体部10の外部に露出し、ダイヤル部86dの操作で調整部本体86aを回転させることで、調整部本体86aに対する突き当て部86bの突出量が切り替えられ、締め込み深さ調整部86の全長が変化する。
【0042】
締め込み深さ調整部86は、突き当て部86bが下方アーム80と対向する。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80が下死点位置に移動している状態では、突き当て部86bと下方アーム80が離間している。締め込み深さ調整部86は、下方アーム80が下死点位置から矢印Uで示す上方向に移動することで、突き当て部86bに下方アーム80が接する。
【0043】
そして、締め込み深さ調整部86は、矢印U方向に移動する下方アーム80により押し上げられ、調整部本体86aが移動規制部86eに接する位置まで移動すると、下方アーム80がさらに矢印U方向の移動することを規制する。
【0044】
これにより、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動することで規制された下方アーム80の位置が、下方アーム80の上支点位置となる。
【0045】
また、締め込み深さ調整部86は、ダイヤル部86dの操作で調整部本体86aに対する突き当て部86bの突出量が切り替えられ、締め込み深さ調整部86の全長が変化する。締め込み深さ調整部86の全長が変化すると、下方アーム80の上死点位置が移動する。下方アーム80の上死点位置が移動すると、下方アーム80の下端面に対する下死点位置に移動したドライバビット2の下方アーム80の下端面に対する出量が変化し、被打ち込み材300に対するネジ200の締め込み深さが変化する。
【0046】
開閉弁7は、モータハウジング31cに設けられた開閉弁シリンダ73に上下動可能に支持さる。開閉弁シリンダ73は、矢印Dで示す開閉弁7の下側に開閉弁下室73aが設けられ、矢印Uで示す開閉弁7の上側に開閉弁上室73bが設けられる。開閉弁7は、メインチャンバ13から供給される圧縮空気で作動し、開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されない状態では、開閉弁下室73aに供給される圧縮空気で、矢印Uで示す上方向に移動する。また、開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されると、矢印Dで示す下方向に移動する。
【0047】
開閉弁7は、上下方向に移動することで、エアモータ31とつながる空気流路74を開閉する。空気流路74は、メインバルブ5の下流側で空気流路54と導通する。空気流路74は、開閉弁7が下方向に移動して閉じられることで、メインチャンバ13とエアモータ31との間の空気の流れが遮断される。また、空気流路74は、開閉弁7が上方向に移動して開くことで、メインチャンバ13とエアモータ31との間を導通させる。開閉弁7は、エアモータ31の側部に設けられる。
【0048】
制御部70は、制御弁シリンダ75と、制御弁シリンダ75に収容され、制御弁シリンダ75内を第3室75aと第4室75bとに仕切る第1の制御弁72と、打撃シリンダ30内と制御弁シリンダ75内の第3室75aとを、タイマチャンバ32を介して連通させる連通路75cと、第1の制御弁72よりも矢印U方向側に位置し、第1の制御弁72と離間して配置される第2の制御弁71を備える。
【0049】
また、制御部70は、第1の制御弁72を矢印D方向に付勢する第1の付勢部である第1の付勢部材72bと、第2の制御弁71を矢印D方向に付勢する第2の付勢部である第2の付勢部材71aを備える。
【0050】
制御弁シリンダ75は、矢印Dで示す第1の制御弁72の下側に第3室75aが設けられ、矢印Uで示す第1の制御弁72の上側に第4室75bが設けられる。制御弁シリンダ75は、第3室75aが連通路75cを介してタイマチャンバ32と導通し、タイマチャンバ32を介して打撃シリンダ30内の空間と導通している。また、制御弁シリンダ75は、第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。
【0051】
第1の制御弁72は、制御弁シリンダ75に矢印Uで示す上方向及び矢印Dで示す下方向に沿って上下動可能に支持される。また、第1の制御弁72は、上下方向に延伸する棒状の連結部72aが、矢印Uで示す上方向に突出する形態で連結される。さらに、第1の制御弁72は、コイルバネなどの第1の付勢部材72bで矢印D方向に付勢される。第1の制御弁72は、締め込み深さ調整部86の調整部本体86aと対向する。
【0052】
第1の制御弁72は、矢印Dで示す下方向に移動することで、下死点位置である待機位置P100まで移動可能に構成され、矢印Uで示す上方向に移動することで、上死点位置である後述する作動終了位置まで移動可能に構成される。
【0053】
第1の制御弁72は、第1の付勢部材72bで矢印D方向に付勢されることで、待機位置P100に移動する。
【0054】
第1の制御弁72は、排気路75dを開閉するシール部72cを備える。第1の制御弁72は、待機位置P100に待機している状態では、シール部72cが排気路75dを開く位置に移動しており、制御弁シリンダ75の第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。第1の制御弁72は、待機位置P100から作動終了位置まで移動する過程で、待機位置P100と作動終了位置との間の後述する圧力制御開始位置に移動すると、シール部72cが排気路75dを閉じる位置に移動する。
【0055】
待機位置P100に待機している第1の制御弁72は、下方アーム80に締め込み深さ調整部86を介して押されて作動し、待機位置P100から圧力制御開始位置まで移動する。また、第1の制御弁72は、圧力制御開始位置に移動すると、タイマチャンバ32から供給される圧縮空気で作動し、圧力制御開始位置から作動終了位置まで移動する。第1の制御弁72は、圧力制御開始位置から作動終了位置まで移動する過程で、連結部72aを介して第2の制御弁71を押し、第2の制御弁71を作動させる。
【0056】
第2の制御弁71は、上下方向に延伸する棒状の部材で構成され、開閉弁7に対して上下動可能に支持される。第2の制御弁71は、第2の付勢部材71aで矢印D方向に付勢されることで、待機位置P110に移動する。また、第2の制御弁71は、第1の制御弁72に押されて作動する。第2の制御弁71は、待機位置P110から後述する作動終了位置まで移動して、開閉弁シリンダ73の開閉弁上室73bに対する圧縮空気の供給の有無を切り替えることで、開閉弁7を作動させる。
【0057】
制御部70は、第2の付勢部材71aの付勢力を調整する調整部材71bを備える。調整部材71bは調整部を構成し、例えば外周にネジが形成され、ネジを締め込む量を調整することで、第2の付勢部材71aの伸縮方向の長さが調整される。
【0058】
ネジ送り部9は、ネジ連結体203を送る送り部材91と、送り部材91を作動させるフィードピストン92を備える。送り部材91は、ノーズ部12の射出通路12aに対して近づく方向及び離れる方向に移動可能に支持され、連結帯201に係止して連結帯201で連結されたネジ200を射出通路12aに送る。
【0059】
フィードピストン92は、送り部材91と連結され、フィードシリンダ93内に擦動可能に設けられる。フィードシリンダ93は、フィード流路94を介してブローバックチャンバ33とつながり、ブローバックチャンバ33から圧縮空気が供給される。
【0060】
フィードピストン92は、ブローバックチャンバ33から供給された圧縮空気の空気圧で作動して、送り部材91を射出通路12aに対して離れる方向に移動させる。また、フィードピストン92は、コイルバネ等の付勢部材95により送り部材91が射出通路12aに対して近づく方向に付勢され、フィードシリンダ93内の空気圧が低下すると、付勢部材95による付勢で送り部材91を射出通路12aに対して近づく方向に移動させる。
【0061】
マガジン90は、ハンドル部11の下側に設けられ、ノーズ部12と連結される。マガジン90は、
図5に示すネジ連結体203が収納される。
【0062】
ネジ打ち機1Aは、射出通路12aとマガジン90をつなぎ、射出通路12aの延伸方向に対して交差する矢印Bで示す第1の方向に沿ってネジ連結体203が送られる供給通路96aを備える。
【0063】
供給通路96aは、マガジン90を構成する部材の一部及びノーズ部12を構成する部材の一部で構成され、射出通路12aと、渦巻き状に巻かれた形態のネジ連結体203が収容されるマガジン90内の空間との間で、矢印Bで示す第1の方向に沿って延伸する。
【0064】
また、ネジ打ち機1Aは、射出通路12aとノーズ部12の外部をつなぎ、ネジ200が射出された連結帯201が矢印Bで示す第1の方向に沿って排出される排出口12cを備える。
【0065】
排出口12cは、ノーズ部12において、供給通路96aの延長線上で、射出通路12aを介して供給通路96aと反対側に位置し、矢印Bで示す第1の方向に向いた面の一部に、連結帯201が通ることが可能な大きさの開口を設けて構成される。
【0066】
ネジ打ち機1Aは、矢印Aで示す射出通路12aの延伸する方向及び矢印Bで示す第1の方向に対して交差する矢印Cで示す第2の方向に向いたマガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部が開口する。
【0067】
ネジ打ち機1Aは、射出通路12aと交する方向において、射出通路12a側の先端部と、先端部と反対方向の基端部とを含み、基端部を支点に先端部がマガジン90と離接する方向に回動し、離接することでマガジン90を開閉可能なマガジンキャップ部97を備える。マガジンキャップ部97は、開口したマガジン90の側部及び供給通路96aの側部の一部を開閉可能に覆う。また、ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97と一体に連結され、開口した射出通路12aの側部、排出口12cの側部及び供給通路96aの側部の一部を開閉可能に覆うドア部98を備える。
【0068】
マガジンキャップ部97は蓋部の一例で、渦巻き状に巻かれた形態のネジ連結体203を覆うことが可能な凸形状の部位から、ノーズ部12が設けられた側に向けて延伸して供給通路96bの一部を覆う形状である。マガジンキャップ部97は、ドア部98が連結された側と反対側の端部が支持軸97aを介してマガジン90に支持され、支持軸97aを支点としてマガジン90に対して回転する。マガジンキャップ部97は、支持軸97aに捩じりコイルバネなどの図示しない付勢部材が入れられ、マガジン90に対して開く方向に付勢される。なお、マガジンキャップ部97は、マガジン90に対して開く方向に付勢部材で付勢されない構成でもよい。
【0069】
ドア部98は蓋部の一例で、連結軸98aを介してマガジンキャップ部97に支持され、連結軸98aを支点としてマガジンキャップ部97に対して回転する。連結軸98aの軸方向は、矢印Bで示す第1の方向に対して交差する方向である。マガジンキャップ部97をマガジン90に支持する支持軸97aと、ドア部98をマガジンキャップ部97に支持する連結軸98aは、軸方向が平行である。
【0070】
マガジンキャップ部97とドア部98は、連結軸98aを支点とした相対的な回転で、直線状に延伸した形態と、屈曲した形態に変化する。ドア部98は、連結軸98aに付勢部の一例としての捩じりコイルバネなどの付勢部材98bが入れられ、マガジンキャップ部97とドア部98が屈曲する方向に付勢される。
【0071】
また、マガジンキャップ部97とドア部98は、支持軸97aを支点とした一体的な回転動作で、マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部を開閉する。
【0072】
ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になることで、マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部が露出する。マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部は、矢印Bで示す第1の方向に沿ってつながる形態で開口する。そして、ネジ打ち機1Aは、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部に開口部12dを備える。開口部12dは、射出通路12aの側部の開口と排出口12cの側部の開口を、矢印Bで示す第1の方向に沿ってつながる形態として構成される。ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になることで、開口部12dが露出する。ドア部98は、排出口12cが開口した状態で、開口部12dを露出させる。
【0073】
また、ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が閉状態になることで、マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部の開口を覆う。ドア部98は、排出口12cが開口した状態で、開口部12dを覆う。
【0074】
ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98を、マガジン90を閉じた閉状態で保持する複数の係合部を備える。本例では、マガジンキャップ部97とドア部98を閉状態で保持する第1の係合部99aと第2の係合部99bを備える。第1の係合部99aは、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aに近い側に設けられる。第1の係合部99aは、本体部10に設けられる被係合凹部99a1に入る係合凸部99a2と、係合凸部99a2を被係合凹部99a1に対して挿抜する操作を受ける操作部99a3と、係合凸部99a2を被係合凹部99a1に入る方向に第1の係合部99aを付勢する付勢部の一例としてのコイルバネ等の付勢部材99a4を備える。第1の係合部99aは、付勢部材99a4で付勢されて係合凸部99a2が被係合凹部99a1に入り、本体部10に係合してドア部98及びマガジンキャップ部97を閉状態で保持する保持位置と、操作部99a3の操作で係合凸部99a2が被係合凹部99a1から外れ、本体部10との係合が解除されてドア部98及びマガジンキャップ部97を開閉可能とする解除位置との間を変位する。
【0075】
第2の係合部99bは係合部の一例で、ノーズ部12に設けられる。第2の係合部99bは、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿って排出口12cの両側に設けられる。すなわち、第2の係合部99bは、閉状態となるドア部98に対し、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿ってドア部98の両側に対向して設けられる。また、第2の係合部99bは、射出通路12aの近傍に設けられる。第2の係合部99bは、全体または一部が、閉状態となるドア部98において、矢印Cで示す第2の方向に最も突出した部位の位置H1よりノーズ部12に近い側に設けられる。このような位置に第2の係合部99bが設けられていることを、第2の係合部99bが射出通路12aの近傍に設けられると称す。
【0076】
ドア部98は、第2の係合部99bに係合可能な係合凸部99cを有する。また、第2の係合部99bは、係合凸部99cが係合する係合凹部99dを有する。係合凸部99cは凸部の一例で、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿ってドア部98の両側に設けられ、支持軸97a及び連結軸98aの軸方向に沿ってドア部98から突出する円柱形状である。
【0077】
係合凹部99dは凹部の一例で、矢印Bで示す第1の方向に沿って延伸し、係合凸部99cが入る形状の溝部で構成される。係合凹部99dは、第1の方向と反対側のマガジン90に向かう側が開口し、係合凸部99cの挿抜が可能である。第2の係合部99bは、係合凹部99dのノーズ部12に近い側に、係合凹部99dとつながるガイド部99eが設けられる。ガイド部99eは、係合凹部99dのノーズ部12に近い側の面の延長部であり、第1の方向に沿って延伸する。また、第2の係合部99bは、係合凹部99dのノーズ部12から遠い側に導入部99fが設けられる。導入部99fは、係合凹部99dのノーズ部12から遠い側の端部であり、ガイド部99eより第1の方向に入り込んだ位置に形成される。
【0078】
マガジンキャップ部97とドア部98は、連結軸98aを支点とした相対的な回転で、直線状に延伸した形態と、屈曲した形態に変化することで、支持軸97aから係合凸部99cまでの距離が変化する。
【0079】
支持軸97aからガイド部99eまでの長さは、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で屈曲した形態に変化したときの支持軸97aから係合凸部99cまでの距離より長く構成される。これにより、ガイド部99eは、マガジンキャップ部97とドア部98が屈曲した形態に変化していると、係合凸部99cの支持軸97aを中心とした回転軌跡上に位置する。また、支持軸97aから導入部99fまでの長さは、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で屈曲した形態に変化したときの支持軸97aから係合凸部99cまでの距離より短く構成される。これにより、導入部99fは、マガジンキャップ部97とドア部98が屈曲した形態に変化していると、係合凸部99cの支持軸97aを中心とした回転軌跡より外側に位置する。さらに、支持軸97aからガイド部99eまでの長さは、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で直線状に延伸した形態に変化したときの支持軸97aから係合凸部99cまでの距離より短く構成される。これにより、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で屈曲した形態に変化した状態では、マガジンキャップ部97とドア部98が支持軸97aを支点として回転しても、導入部99fに係合凸部99cが接触しない。そして、係合凸部99cはガイド部99eに接する。なお、マガジンキャップ部97とドア部98は、連結軸98aを介して可動な形態で接続される構成ではなく、固定的に一体となる蓋部として構成されてもよい。このような構成の蓋部は、ドア部に相当する部位が設けられる側と反対側が、マガジン90に対して支持軸を支点とした回転動作で開閉可能に支持される。
【0080】
ネジ打ち機1Aは、ネジ200(ネジ連結体203)の有無を検知するネジ検知部210を備える。ネジ検知部210は消耗品検知部の一例で、軸210aを介してマガジンキャップ部97に支持される。ネジ検知部210は、軸210aを挟んで一方の側に設けられ、供給通路96aを通るネジ連結体203に接する検知子210bを備える。また、ネジ検知部210は、軸210aを挟んで他方の側に設けられ、マガジンキャップ部97に設けられた窓部97bからマガジンキャップ部97の外側に突出及びマガジンキャップ部97の内側に退避可能な確認部210cを備える。更に、ネジ検知部210は、検知子210bを供給通路96a方向に付勢するコイルバネ等の付勢部材210dを備える。
【0081】
ネジ検知部210は、ネジ連結体203がマガジン90に収容され、渦巻き状に巻かれた状態から引き出された部位が供給通路96aに通されて、マガジンキャップ部97及びドア部98が閉じられると、検知子210bがネジ連結体203に接して押される。これにより、ネジ検知部210は、軸210aを支点に回転し、確認部210cがマガジンキャップ部97の窓部97bからマガジンキャップ部97の内部に退避する。
【0082】
<マガジンの開閉動作例>
図6Aは、マガジンキャップ部とドア部の開閉動作の一例を示す断面図、
図6Bは、マガジンキャップ部とドア部の開閉動作の一例を示す斜視図であり、次に、マガジンキャップ部97とドア部98の開閉動作の一例を説明する。
【0083】
図1A、
図1Bに示すように、マガジンキャップ部97とドア部98がマガジン90を開いた開状態になると、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で屈曲した形態に変化する。この状態から、マガジンキャップ部97とドア部98を、支持軸97aを支点に閉じる方向に回転させると、ドア部98の係合凸部99cがノーズ部12側の導入部99fに接しない。そして、係合凸部99cがガイド部99eに接し、
図6A、
図6Bに示すように、ドア部98の係合凸部99cが、ノーズ部12側の係合凹部99dと対向する位置に移動する。
【0084】
この状態から、マガジンキャップ部97とドア部98が直線状に延伸した形態となる方向に、マガジンキャップ部97とドア部98が連結軸98aで連結された部位の近傍が押されると、ドア部98の係合凸部99cが、ノーズ部12側のガイド部99eに沿って移動する。これにより、係合凸部99cが、ガイド部99eにガイドされて係合凹部99dに入り、係合凹部99dに沿ってさらに移動する。係合凹部99dは、マガジンキャップ部97とドア部98が閉じられるとき、マガジンキャップ部97に対して連結軸98aを支点に屈曲しているドア部98を、付勢部材98bの付勢力に抗して直線状に延伸させる。そして、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になると、第1の係合部99aは、本体部10に係合してドア部98及びマガジンキャップ部97を閉状態で保持する保持位置に移動する。
【0085】
これにより、マガジンキャップ部97とドア部98は、閉状態になると、マガジンキャップ部97とドア部98が直線状に延伸した形態となり、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aに近い側が、第1の係合部99aにより閉状態で保持される。また、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aと反対のノーズ部12に近い側が、係合凸部99cと係合凹部99dが係合することで第2の係合部99bにより閉状態で保持される。
【0086】
マガジンキャップ部97とドア部98を開けるためには、第1の係合部99aを、本体部10との係合が解除されてドア部98及びマガジンキャップ部97を開閉可能とする解除位置に移動させる。第1の係合部99aによる閉状態での保持が解除されると、マガジンキャップ部97とドア部98が、図示しない付勢部材の付勢により、連結軸98aを支点とした相対的な回転で屈曲した形態に変化する。
【0087】
マガジンキャップ部97とドア部98が、閉状態から屈曲した形態に変化すると、ドア部98の係合凸部99cが導入部99fの外側に移動し、ガイド部99eにガイドされることで、ノーズ部12側の係合凹部99dから外れる位置まで移動する。これにより、マガジンキャップ部97とドア部98を、支持軸97aを支点とした回転動作で開状態とすることができる。
【0088】
<本実施の形態のネジ打ち機の動作例>
図7は、ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の側断面図、
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8E、
図8F及び
図8Gは、ネジを被打ち込み材に打ち込んで締め込む動作の一例を示すネジ打ち機の正面断面図である。また、
図9は、マガジン内のネジが使用された状態の一例を示すネジ打ち機の下面断面図である。
【0089】
次に、ネジ200の打ち込み及び締め込みを行うネジ打ち機1Aの動作の一例について説明する。
【0090】
ネジ打ち機1Aは、作業者がハンドル部11を持ち、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられる。ネジ打ち機1Aは、コンタクトアーム8が被打ち込み材300に押し付けられると、本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動する。
【0091】
本体部10に対する相対的な動きで下方アーム80が上方向に移動するコンタクトアーム8の動作により、コンタクトアーム8の図示しない上方アームが、トリガ60のコンタクトレバー60aを作動させる位置まで移動する。これにより、トリガ60が引かれる操作が行われた状態であると、
図7に示すように、コンタクトレバー60aが始動バルブ6のバルブステム62を押し、始動バルブ6が作動する。
【0092】
始動バルブ6が作動すると、
図8Bに示すようにメインバルブ5が作動し、圧縮空気が打撃シリンダ30と開閉弁7に供給される。圧縮空気が打撃シリンダ30に供給されると、ドライバビット2が取り付けられた打撃ピストン30aが空気圧で押され、
図8Cに示すように、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下死点位置まで下方向に移動し、ネジ200が被打ち込み材300に打ち込まれる。
【0093】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置から下方向に移動すると、打撃ピストン30aの下側の空気がブローバックチャンバ33に供給され、ブローバックチャンバ33内の圧力が上昇する。
【0094】
ドライバビット2(打撃ピストン30a)が下死点位置まで移動すると、ブローバックチャンバ33内の圧縮空気がネジ送り部9のフィード流路94からフィードピストン92に供給される。これにより、送り部材91が射出通路12aから離れる方向に移動する。送り部材91が射出通路12aから離れる方向に移動する動作では、送り部材91が連結帯201から外れ、ネジ連結体203は送られない。
【0095】
また、メインバルブ5が作動し、開閉弁7の下側の空間である開閉弁シリンダ73の開閉弁下室73aに圧縮空気が供給されると、
図8Cに示すように、空気圧で開閉弁7が作動し、圧縮空気がエアモータ31に供給される。
【0096】
圧縮空気がエアモータ31に供給されると、ドライバビット2が回転し、
図8Dに示すように、被打ち込み材300に打ち込まれたネジ200が締め込まれる。また、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、ネジ200の締め込みに追従して、本体部10が更に下方向に移動する。
【0097】
コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける動作で、ネジ200の締め込みに追従して本体部10がさらに下方向に移動し、下方アーム80が相対的に上方向に移動する。下方アーム80が相対的に上方向に移動すると、締め込み深さ調整部86を上方向に押す。矢印U方向に移動する下方アーム80により締め込み深さ調整部86が押し上げられ、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動すると、下方アーム80がさらに上方向の移動することが規制される。これにより、締め込み深さ調整部86が移動規制部86eに接する位置まで移動することで規制された下方アーム80の位置が、下方アーム80の上支点位置となる。下方アーム80が上死点位置まで移動すると、
図8Eに示すように、下方アーム80が締め込み深さ調整部86を介して第1の制御弁72を上方向に押し、第1の制御弁72が
図8Aなどに示す待機位置P100から圧力制御開始位置P101に移動する。
【0098】
制御弁シリンダ75は、連通路75c及び打撃シリンダ30の側面穴流路32aを介して、第3室75aが打撃シリンダ30内の空間と常に導通している。メインバルブ5が作動し、打撃ピストン30aのシール部30bが側面穴流路32aを通過すると、打撃シリンダ上室である打撃シリンダ30内の第2室30dからタイマチャンバ32に圧縮空気が供給される。第1の制御弁72が待機位置P100に待機している状態から、圧力制御開始位置P101に移動するまでの間、第1の制御弁72のシール部72cが排気路75dを開く位置にあり、制御弁シリンダ75の第3室75aが排気路75dを介してネジ打ち機1Aの機体外部と導通している。これにより、タイマチャンバ32から制御弁シリンダ75の第3室75aに圧縮空気が供給されても、第3室75aは大気圧に保たれ、第1の制御弁72は空気圧では作動しない。
【0099】
第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101に移動すると、第1の制御弁72のシール部72cが排気路75dを塞ぐ。排気路75dを通る気体外部への空気流路が遮断されると、タイマチャンバ32から制御弁シリンダ75の第3室75aに供給される圧縮空気の空気圧により制御弁シリンダ75内の圧力が上昇する。制御弁シリンダ75内の圧力が上昇すると、空気圧で第1の制御弁72が作動し、
図8Fに示すように、第1の制御弁72がさらに上方向に移動する。
【0100】
第1の制御弁72が圧力制御開始位置P101から圧縮空気の空気圧でさらに上方向に移動し、第1の制御弁72が第2の制御弁作動開始位置に移動すると、第1の制御弁72が第2の制御弁71を上方向に押す。第1の制御弁72が作動終了位置P102に移動することで、第2の制御弁71が作動終了位置P111に移動すると、開閉弁7の上側の空間である開閉弁シリンダ73の開閉弁上室73bに圧縮空気が供給される。
【0101】
開閉弁上室73bに圧縮空気が供給されると、開閉弁上室73bに供給された圧縮空気により開閉弁7に作用する圧力と、開閉弁下室73aに供給された圧縮空気により開閉弁7に作用する圧力の差により、
図8Gに示すように、開閉弁7が下方向に移動し、エアモータ31に対する圧縮空気の供給が停止する。エアモータ31に対する圧縮空気の供給が停止すると、ドライバビット2の回転が停止する。
【0102】
ドライバビット2の回転が停止して、ネジ200の締め込みが終了すると、作業者は、コンタクトアーム8を被打ち込み材300に押し付ける力を弱め、本体部10を被打ち込み材300から離れる方向に移動させる。
【0103】
本体部10が被打ち込み材300から離れる方向に移動すると、図示しない上方アームよるコンタクトレバー60aの押圧が解除され、コンタクトレバー60aが始動バルブ6から離れる。コンタクトレバー60aが始動バルブ6から離れると、メインバルブ5が閉じ、打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給が停止する。
【0104】
打撃シリンダ30に対する圧縮空気の供給が停止し、打撃シリンダ30内の圧力が大気圧に低下すると、ブローバックチャンバ33内の圧縮空気が打撃ピストン30aの下側の空間に供給され、ドライバビット2(打撃ピストン30a)が上死点位置まで移動する。
【0105】
また、ドライバビット2が上死点位置まで移動し、ブローバックチャンバ33内の圧力が低下すると、フィードピストン92に対する圧縮空気の供給が停止する。フィードピストン92に対する圧縮空気の供給が停止すると、フィードピストン92と連結された送り部材91が、付勢部材95の付勢により射出通路12aに近づく方向に移動する。送り部材91が射出通路12aに近づく方向に移動する動作では、送り部材91が連結帯201に係合し、次のネジ200が射出通路12aに送られる。
【0106】
次のネジ200が射出通路12aに送られる動作で、ネジ200が射出された後の連結帯201が、排出口12cからノーズ部12の外部に排出される。
【0107】
次のネジ200が射出通路12aに送られる動作で、マガジン90内にネジ連結体203が残っている場合、マガジン90内で渦巻き状に巻かれた部位から引き出されたネジ連結体203が供給通路96aに通されている。また、マガジン90内にネジ連結体203が無くなった場合でも、ネジ連結体203の終端が、ネジ検知部210の検知子210bを通過するまでは、ネジ連結体203が検知子210bに接する。
【0108】
このように、ネジ連結体203の終端が、ネジ検知部210の検知子210bを通過しない所定本数のネジ200が供給通路96aに残っている場合、ネジ検知部210は、
図4Cに示すように、検知子210bがネジ連結体203に接して押される。これにより、ネジ検知部210は、軸210aを支点に回転し、確認部210cがマガジンキャップ部97の窓部97bからマガジンキャップ部97の内部に退避する。よって、作業者は、マガジンキャップ部97の窓部97bを視認する、また、手で触るなどにより、所定本数のネジ200が残っていることを確認できる。
【0109】
これに対し、
図9に示すように、ネジ連結体203の終端が、ネジ検知部210の検知子210bを通過するまでネジ200が使用された場合、ネジ検知部210は、検知子210bがネジ連結体203から離れる。これにより、ネジ検知部210は、付勢部材210dに付勢されて軸210aを支点に回転し、確認部210cがマガジンキャップ部97の窓部97bからマガジンキャップ部97の外部に突出する。よって、作業者は、マガジンキャップ部97の窓部97bから突出した確認部210cを視認する、また、手で触るなどにより、ネジ200が無くなる前に、ネジ200の残数が所定本数以下となったことを確認できる。したがって、ネジ200の残本数に応じて実施可能な作業の選択などが可能となる。
【0110】
<本実施の形態のネジ打ち機の作用効果例>
ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が一体に連結されてマガジン90を開閉する。そして、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になることで、マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部が露出する。これにより、ネジ連結体203を装填する場合、渦巻き状に巻かれたネジ連結体203をマガジン90に収容し、渦巻き状に巻かれた部位から引き出されたネジ連結体203を供給通路96aに側方から入れる作業が容易に行える。また、ネジ200の位置を射出通路12aに合わせて、ネジ連結体203を供給通路96aに入れる作業が容易に行える。
【0111】
従来、マガジンに設けたマガジンキャップ部と、ノーズ部に設けたドア部がそれぞれ開閉できる構成となっている。このため、ノーズ部に設けたドア部は、ノーズ部に設けた軸を支点とした回転動作で開閉する構成となっている。これに対し、ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が一体に連結されてマガジン90を開閉する。そして、マガジンキャップ部97は、ドア部98が連結された側と反対側の端部が支持軸97aを介してマガジン90に支持される。よって、ネジ打ち機1Aは、
図1Aに示すように、マガジンキャップ部97とドア部98が開状態になることで、射出通路12aの側部の開口及び排出口12cの側部の開口が、矢印Bで示す第1の方向に沿ってつながる形態となる開口部12dが露出する。ドア部98が開状態となると、排出口12cとつながる形態で開口部12dが露出する。
【0112】
これにより、未使用のネジ連結体203を装填する場合、ネジ連結体203を留めているテープ204をすべて剥がさなくても、ネジ連結体203の先端から先に出ている部分のテープ204は、開口部12dに側方から入れることができる。
【0113】
また、使用途中のネジ連結体203を取り出す場合、渦巻き状に巻かれた部位から引き出されたネジ200の射出前のネジ連結体203は、供給通路96aの側方から取り出すことができる。更に、ネジ200が射出された後の連結帯201は、開口部12dの側方から取り出すことができる。これにより、使用途中のネジ連結体203を取り出す場合、ネジ200が射出された後の連結帯201を切り離すことなく、ネジ連結体203をマガジン90から取り出すことができる。
【0114】
更に、使用途中のネジ連結体203を装填する場合、ネジ200が射出された後の連結帯201は、開口部12dに側方から入れることができる。これにより、使用途中のネジ連結体203を装填する場合、ネジ200が射出された後の連結帯201を切り離すことなく、ネジ連結体203をマガジン90に装填することができる。
【0115】
ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が閉状態になることで、マガジン90の側部、供給通路96aの側部、射出通路12aの側部及び排出口12cの側部の開口がマガジンキャップ部97とドア部98で覆われ、開口部12dがマガジンキャップ部97とドア部98で覆われる。また、ドア部98は、排出口12cが開口した状態で、開口部12dを覆う。これにより、ネジ200が射出された後の連結帯201を排出口12cからノーズ部12の外部に排出可能な形態で、供給通路96bを形成することができる。
【0116】
上述したように、マガジンキャップ部97とドア部98が連結軸98aで一体に連結され、マガジンキャップ部97とドア部98が一体で開き、開口部12dを露出させるようにした構成とすることで、ネジ連結体203の装填が容易になる。
【0117】
一方、ネジ送り部9によりネジ連結体203が送られる動作で、ネジ連結体203が供給通路96aで詰まると、開閉可能なドア部98に負荷が掛かる。
【0118】
これに対し、ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が閉状態になると、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aに近い側が、第1の係合部99aにより閉状態で保持される。また、ノーズ部12に近い側が、係合凸部99cと係合凹部99dが係合することで第2の係合部99bにより閉状態で保持される。
【0119】
これにより、マガジンキャップ部97とドア部98が連結軸98aで一体に連結される構成で、ドア部98は、マガジンキャップ部とドア部が別々に開閉する構成におけるドア部と同等の強度を確保できる。
【0120】
また、ネジ打ち機1Aは、マガジンキャップ部97とドア部98が連結軸98aで一体に連結されることで、マガジンキャップ部97とドア部98が、連結軸98aを支点とした相対的な回転で、直線状に延伸した形態と、屈曲した形態に変化する。
【0121】
さらに、ネジ打ち機1Aは、第2の係合部99bが係合凸部99cをドア部98に備え、係合凹部99dをノーズ部12に備え、係合凹部99dからマガジン90に向かう側に延伸するガイド部99eを備えて、ガイド部99eをガイドとして係合凹部99dに係合凸部99cの挿抜が可能な構成である。
【0122】
これにより、第2の係合部99bは、マガジンキャップ部97とドア部98を屈曲した形態から直線状に延伸した形態に変化させることで、ガイド部99eをガイドとして係合凸部99cが係合凹部99dに入り、係合凸部99cが係合凹部99dに沿ってさらに移動して係合凸部99cと係合凹部99dが係合して、マガジンキャップ部97とドア部98が閉状態となる。
【0123】
したがって、マガジンに設けたマガジンキャップ部と、ノーズ部に設けたドア部がそれぞれ独立して開閉する構成と比較して、マガジンキャップ部97とドア部98を一体で開閉できるので、マガジンキャップ部97とドア部98でマガジン90を開閉する操作が容易である。また、マガジンキャップ部97とドア部98を閉状態とする操作で、係合凸部99cと係合凹部99dが係合することによる負荷の発生を抑制できる。
【0124】
なお、本実施の形態では、工具として空気圧で作動するネジ打ち機を例に説明したが、電気で駆動されるネジ打ち機、ファスナーとして釘を使用し、空気圧で作動する釘打ち機、電気で駆動される釘打ち機などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1A・・・ネジ打ち機(手持ち工具)、10・・・本体部、11・・・ハンドル部、12・・・ノーズ部、12a・・・射出通路、12b・・・射出口、12c・・・排出口、12d・・・開口部、13・・・メインチャンバ、2・・・ドライバビット、3・・・締結部、30・・・打撃シリンダ、30a・・・打撃ピストン、31・・・エアモータ、5・・・メインバルブ、6・・・始動バルブ、60・・・トリガ、60a・・・コンタクトレバー、7・・・開閉弁、70・・・制御部、72・・・第1の制御弁、71・・・第2の制御弁、8・・・コンタクトアーム、90・・・マガジン、9・・・ネジ送り部、91・・・送り部材、96a・・・供給通路、97・・・マガジンキャップ部(蓋部)、97a・・・支持軸、98・・・ドア部(蓋部)、98a・・・連結軸、98b・・・付勢部材、99a・・・第1の係合部、99b・・・第2の係合部(係合部)、99c・・・係合凸部、99d・・・係合凹部、99e・・・ガイド部、99f・・・導入部、200・・・ネジ(ファスナー)、201・・・連結帯、203・・・ネジ連結体(ファスナー連結体)、300・・・被打ち込み材
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、
図3A、
図3Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面図である。
図3Aは、マガジンが
開状態でネジが装填された状態、
図3Bは、マガジンが
閉状態でネジが装填された状態を示す。さらに、
図3Cは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図である。また、
図4Aは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す側断面図、
図4Bは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す正面断面図、
図4Cは、本実施の形態のネジ打ち機の一例を示す下面断面図である。また、
図5は、ネジ連結体の一例を示す斜視図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0076】
ドア部98は、その先端部98cに、第2の係合部99bに係合可能な係合凸部99cを有する。また、第2の係合部99bは、係合凸部99cが係合する係合凹部99dを有する。係合凸部99cは凸部の一例で、矢印Aで示す射出通路12aの延伸方向に沿ってドア部98の両側に設けられ、支持軸97a及び連結軸98aの軸方向に沿ってドア部98から突出する円柱形状である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
これにより、マガジンキャップ部97とドア部98は、閉状態になると、マガジンキャップ部97とドア部98が直線状に延伸した形態となり、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aに近い側が、第1の係合部99aにより閉状態で保持される。また、ドア部98においてマガジンキャップ部97に連結される連結軸98aと反対のノーズ部12に近い側である先端部98cが、係合凸部99cと係合凹部99dが係合することで第2の係合部99bにより閉状態で保持される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
さらに、ネジ打ち機1Aは、係合凸部99cをドア部98に備え、係合凹部99dをノーズ部12に備え、係合凹部99dのノーズ部12に近い側に、係合凹部99dからマガジン90に向かう側に延伸して係合凹部99dとつながるガイド部99eを備えて、ガイド部99eをガイドとして係合凹部99dに係合凸部99cの挿抜が可能な構成である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
1A・・・ネジ打ち機(手持ち工具)、10・・・本体部、11・・・ハンドル部、12・・・ノーズ部、12a・・・射出通路、12b・・・射出口、12c・・・排出口、12d・・・開口部、13・・・メインチャンバ、2・・・ドライバビット、3・・・締結部、30・・・打撃シリンダ、30a・・・打撃ピストン、31・・・エアモータ、5・・・メインバルブ、6・・・始動バルブ、60・・・トリガ、60a・・・コンタクトレバー、7・・・開閉弁、70・・・制御部、72・・・第1の制御弁、71・・・第2の制御弁、8・・・コンタクトアーム、90・・・マガジン、9・・・ネジ送り部、91・・・送り部材、96a・・・供給通路、97・・・マガジンキャップ部(蓋部)、97a・・・支持軸、98・・・ドア部(蓋部)、98a・・・連結軸、98b・・・付勢部材、98c・・・先端部、99a・・・第1の係合部、99b・・・第2の係合部(係合部)、99c・・・係合凸部、99d・・・係合凹部、99e・・・ガイド部、99f・・・導入部、200・・・ネジ(ファスナー)、201・・・連結帯、203・・・ネジ連結体(ファスナー連結体)、300・・・被打ち込み材
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】