(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061319
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】アップロード頻度決定方法、アップロード頻度決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240425BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169184
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】張 家超
(72)【発明者】
【氏名】山岡 久俊
(72)【発明者】
【氏名】岡林 美和
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD04
5H181FF10
5H181FF13
(57)【要約】
【課題】交通需要の大きいエリアの混雑状況の推定精度を向上させる。
【解決手段】コンピュータによるアップロード頻度決定方法であって、前記コンピュータが、過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによるアップロード頻度決定方法であって、前記コンピュータが、
過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する、アップロード頻度決定方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける混雑状況を推定する頻度を決定する、請求項1記載のアップロード頻度決定方法。
【請求項3】
前記アップロード頻度は、前記経路数が大きいほど高くなる、請求項1記載のアップロード頻度決定方法。
【請求項4】
前記混雑状況を推定する頻度は、前記経路数が大きいほど高くなる、請求項2記載のアップロード頻度決定方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、
前記検索要求を受け付けて、各エリアの混雑状況を示す情報が格納された記憶部を参照し、前記経路を特定する、請求項4記載のアップロード頻度決定方法。
【請求項6】
過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する、処理をコンピュータに実行させるアップロード頻度決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップロード頻度決定方法、アップロード頻度決定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、収集された車両情報のデータ量をエリア単位で監視し、収集された車両情報のデータ量に応じて、エリア毎に、収集する車両情報のデータ量を低減させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-79422号公報
【特許文献2】国際公開第2017/037784号
【特許文献3】特開2020-38362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収集された車両情報のデータ量が大きいエリアは、交通量が多く、交通需要が大きいエリアであることを示唆している。しかしながら、上述した従来の技術では、収集された車両情報のデータ量が大きいエリアでは、収集する車両情報のデータ量を低減させてしまう。そのため、車両情報を用いて混雑状況を推定する場合には、交通需要が大きいエリアであるにもかかわらず、推定の精度が低下する可能性がある。
【0005】
1つの側面では、本発明は、交通需要の大きいエリアの混雑状況の推定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、コンピュータによるアップロード頻度決定方法であって、前記コンピュータが、過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する。
【発明の効果】
【0007】
交通需要の大きいエリアの混雑状況の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成を説明する図である。
【
図4】本実施形態の交通需要の分布について説明する図である。
【
図5】情報処理装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図6】情報処理装置の処理を説明する第二のフローチャートである。
【
図7】情報処理装置の処理を説明する第三のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、実施形態について説明する。
図1は、情報処理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0010】
本実施形態の情報処理システム100は、情報処理装置200と、端末装置300、車載端末400-1、400-2、・・・、400-nと、を含む。車載端末400-1、400-2、・・・、400-nは、それぞれを区別しない場合には、車載端末400と呼ぶ。
【0011】
情報処理装置200と、端末装置300と、車載端末400とは、インターネット等のネットワークを介して接続される。
【0012】
本実施形態の情報処理装置200は、端末装置300から、出発地と目的地とを含む経路の検索要求を受け付けると、出発地から目的地までの最適な経路を抽出し、端末装置300に出力する。なお、本実施形態における最適な経路とは、出発地から目的地に到着するまでにかかる時間が最短時間となる経路である。
【0013】
端末装置300は、本実施形態の情報処理システム100の利用者が保持する端末装置であり、例えば、スマートフォンや、車両に搭載されるカーナビゲーション装置等であってもよい。言い換えれば、端末装置300は、車載端末400を含んでもよい。
【0014】
車載端末400は、車両に搭載される端末であり、車両に関する車両情報を定期的に情報処理装置200へアップロードする。車両情報とは、具体的には、車両の位置を示す位置情報と、車両の速度を示す速度情報とを含む。言い換えれば、車両情報は、車両の位置を示す緯度・経度と、車両の速度である。
【0015】
本実施形態の情報処理装置200は、経路数記憶部210、混雑分布記憶部220、車両情報記憶部225、経路案内部230、アップロード制御部240、混雑分布推定部250を有する。
【0016】
経路数記憶部210は、経路の検索要求を行ったユーザに対して提示した経路の数を示す経路数情報が格納されている。経路の数を示す情報は、エリア毎に格納されている。混雑分布記憶部220は、エリア毎にエリア内の道路の混雑状況を示す混雑分布情報が格納されている。車両情報記憶部225は、車載端末400から収集した車両情報が、エリア毎に格納される。
【0017】
経路案内部230は、端末装置300から経路検索要求を受け付けると、混雑分布記憶部220を参照して最適な経路を抽出し、端末装置300に出力し、経路数記憶部210を更新する。
【0018】
アップロード制御部240は、エリア毎の経路数に基づき、各エリアの交通需要の大きさを推定する。交通需要の大きさの推定は、定期的に行われてもよいし、新たな経路の検索要求に応じて経路が提示される度に行われてもよい。
【0019】
また、アップロード制御部240は、各エリアの交通需要の大きさに応じて、車載端末400からの車両情報のアップロード頻度をエリア毎に決定し、各エリア内の車載端末400に対して、車両情報のアップロードの頻度を通知する。
【0020】
具体的には、アップロード制御部240は、交通需要が大きいとされるエリア内の車載端末400からのアップロード頻度を高くし、交通需要が小さいとされるエリア内の車載端末400からのアップロード頻度を低くする。
【0021】
また、アップロード制御部240は、各エリアの交通需要の大きさに応じて、混雑分布推定部250による混雑状況の推定処理を行う頻度を決定し、混雑分布推定部250に対して決定された頻度を通知する。なお、以下の説明では、各エリアの交通需要の大きさを、交通需要の分布と表現する場合がある。
【0022】
混雑分布推定部250は、アップロード制御部240から通知された頻度で、エリア毎に、エリア内の道路の混雑状況を算出する。
【0023】
本実施形態では、このように、交通需要が大きいエリアと、交通需要が小さいエリアとで、車両情報のアップロード頻度を異ならせる。言い換えれば、本実施形態では、交通需要の分布に応じて、エリア毎に車載端末400からの車両情報のアップロード頻度を決定する。
【0024】
このため、本実施形態では、交通需要が大きいエリアほど、多くの車両情報がアップロードされるようになり、情報処理装置200の通信負荷を軽減しつつ、交通需要が大きいエリアの混雑度の推定の精度を向上させることができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、交通需要の大きいエリアほど、頻繁にエリア内の道路の混雑状況が推定され、交通需要の小さいエリアは、混雑状況が推定される頻度は低くなる。
【0026】
このため、本実施形態では、情報処理装置200における混雑状況の推定にかかる処理負荷を軽減することができる。さらに、本実施形態によれば、交通需要が大きいエリアほど、ユーザに提示する経路に対し、最新の混雑状況を反映させることができる。
【0027】
なお、
図1では、情報処理装置200が経路数記憶部210、混雑分布記憶部220、車両情報記憶部225を有するものとしたが、これに限定されない。経路数記憶部210、混雑分布記憶部220、車両情報記憶部225は、一部又は全部が、情報処理装置200と通信が可能な外部装置に設けられていてもよい。
【0028】
また、情報処理装置200は、複数の情報処理装置で実現されてもよい。言い換えれば、経路案内部230、アップロード制御部240、混雑分布推定部250は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。
【0029】
以下に、
図2を参照して、本実施形態の情報処理装置200について説明する。
図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0030】
本実施形態の情報処理装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置201、出力装置202、ドライブ装置203、補助記憶装置204、メモリ装置205、演算処理装置206及びインターフェース装置207を含むコンピュータである。
【0031】
入力装置201は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置202は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置207は、LANカード等を含み、ネットワークに接続するために用いられる。
【0032】
情報処理装置200が有する経路案内部230、アップロード制御部240、混雑分布推定部250を実現させるプログラムは、情報処理装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。プログラムは、例えば、記録媒体208の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。プログラムを記録した記録媒体208は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0033】
記録媒体208に記録されたプログラムは、プログラムを記録した記録媒体208がドライブ装置203にセットされると、記録媒体208からドライブ装置203を介して補助記憶装置204にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたプログラムは、インターフェース装置207を介して補助記憶装置204にインストールされる。
【0034】
補助記憶装置204は、情報処理装置200の有する経路数記憶部210、混雑分布記憶部220、車両情報記憶部225等を実現するものであり、情報処理装置200にインストールされたプログラムを格納すると共に、情報処理装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置205は、情報処理装置200の起動時に補助記憶装置204からプログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置206はメモリ装置205に格納されたプログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0035】
次に、
図3を参照して、本実施形態の情報処理装置200の機能構成について説明する。
図3は、情報処理装置の機能構成を説明する図である。
【0036】
本実施形態の情報処理装置200は、経路数記憶部210、混雑分布記憶部220、車両情報記憶部225、経路案内部230、アップロード制御部240、混雑分布推定部250を有する。
【0037】
経路数記憶部210は、経路案内部230による検索結果として端末装置300に出力された経路の数をエリア毎に集計した結果が格納される。具体的には、経路数記憶部210は、エリアを特定するエリア識別情報と、エリア毎に集計した経路数とが対応付けられた経路数情報が格納されていてよい。
【0038】
混雑分布記憶部220は、混雑分布推定部250によって推定された、エリア毎の道路の混雑状況を示す混雑分布情報が格納される。具体的には、混雑分布情報は、道路の区間とを特定する識別情報と、道路の区間毎に推定された混雑度と、エリアを特定するエリア識別情報とが対応付けられた情報であってよい。
【0039】
車両情報記憶部225は、車載端末400から収集された車両情報が、エリア毎に格納される。なお、車両情報記憶部225では、車両情報に含まれる位置情報から特定されるエリアのエリア識別情報と、車両情報とが対応付けられて格納されてよい。
【0040】
経路案内部230は、入力受付部231、経路抽出部232、経路特定部233、経路出力部234、経路数更新部235を有する。
【0041】
入力受付部231は、端末装置300からの経路の検索要求を受け付ける。また、入力受付部231は、情報処理装置200に対する各種の入力を受け付ける。経路の検索要求には、出発地と目的地とが含まれる。
【0042】
経路抽出部232は、経路の検索要求が入力されると、出発地と目的地とを結ぶ経路を抽出する。なお、経路抽出部232は、図示しない地図情報データベース等を参照して、経路を抽出してよい。地図情報データベースは、例えば、インターネット上に設けられていてもよいし、情報処理装置200が有していてもよい。
【0043】
経路特定部233は、混雑分布記憶部220を参照し、経路抽出部232により抽出された経路から、最適の経路を特定する。具体的には、経路特定部233は、混雑分布記憶部220に格納された混雑分布情報に基づき、出発地から目的地に到着するまでにかかる時間が最短となる経路を特定する。
【0044】
経路出力部234は、経路特定部233により特定された経路を、検索要求の入力元である端末装置300に出力する。なお、検索要求の入力元は、車載端末400であってもよい。
【0045】
経路数更新部235は、端末装置300に対して経路を出力する度に、経路数記憶部210を更新する。
【0046】
本実施形態のアップロード制御部240は、需要推定部241、頻度決定部242、頻度指示部243を有する。
【0047】
需要推定部241は、経路数記憶部210を参照し、エリア毎の交通需要の大きさを推定する。言い換えれば、需要推定部241は、経路数記憶部210を参照し、交通需要の分布を推定する。
【0048】
頻度決定部242は、需要推定部241により推定された交通需要の分布に応じて、各エリア内の車載端末400からの車両情報のアップロード頻度を決定する。また、頻度決定部242は、需要推定部241により推定された交通需要の分布に応じて、各エリア内の道路の混雑状況の推定頻度を決定する。
【0049】
頻度指示部243は、頻度決定部242により決定されたアップロード頻度を、車載端末400へ通知する。また、頻度指示部243は、頻度決定部242により決定された推定頻度を混雑分布推定部250へ通知する。
【0050】
アップロード制御部240の処理の詳細は後述する。
【0051】
混雑分布推定部250は、実行制御部251、車両情報収集部252、混雑度算出部253、混雑分布更新部254を有する。
【0052】
実行制御部251は、アップロード制御部240から通知された頻度に応じて、処理の実行を制御する。車両情報収集部252は、車載端末400からアップロードされる車両情報を収集し、車両情報記憶部225に格納する。
【0053】
混雑度算出部253は、実行制御部251による実行指示に応じて、エリア毎に、各エリア内の道路の区間毎に混雑度を算出する。混雑度算出部253は、例えば、車両情報記憶部225を参照し、道路の区間毎に、区間内に存在する車両の数を集計した結果を、各区間の混雑度としてもよい。道路は、地図上で予め複数の区間に区切られており、道路と区間を特定する情報と紐付けられている。
【0054】
混雑分布更新部254は、混雑度算出部253により算出された混雑度に基づき、混雑分布記憶部220を更新する。
【0055】
ここで、
図4を参照して、本実施形態の交通需要の分布について、さらに説明する。
図4は、本実施形態の交通需要の分布について説明する図である。
【0056】
一般的に、ユーザに対して検索結果である経路を提示した場合、提示された経路は、ユーザが近い将来に通る経路と考えられる。
【0057】
このため、ユーザに提示される回数が多い経路を含むエリアには、近い将来に多くのユーザが通るエリアであり、交通需要が大きいエリアと言える。
【0058】
これに対し、ユーザに提示される回数が少ない経路を含むエリアは、近い将来に通る人が少ないエリアであり、交通需要が小さいエリアと言える。
【0059】
本実施形態では、この点に着目し、地図において予め区切られたエリア毎に、過去の所定期間において、検索結果としてユーザの提示された経路を集計し、集計結果に応じて、各エリアにおける交通需要の分布を算出する。過去の所定期間とは、例えば、1分間などであってよい。
【0060】
図4の例では、ある地域12で、過去の所定期間において、ユーザからの経路の検索要求に応じて、経路21、22、23、24、25、26が提示されたとする。
【0061】
この場合、アップロード制御部240の需要推定部241は、4つの経路のうち、最も多くの経路を含むエリアを、最も交通需要が大きいエリアと推定する。
【0062】
本実施形態では、このように、各エリア毎に、エリアに含まれる経路数を集計し、経路数に応じて、エリア毎の車両情報のアップロード頻度と、エリア毎の混雑状況の推定頻度と、を決定する。
【0063】
図4の例では、集計された経路数に対して6段階の閾値を設け、エリアに含まれる経路数が、6段階の閾値のうち最も値が大きい閾値以上となるエリアを、最も交通需要の大きいエリアとする。
【0064】
また、
図4の例では、エリアに含まれる経路数が、6段階の閾値のうち最も値が小さい閾値以下となるエリアを、最も交通需要の小さいエリアとする。
【0065】
したがって、
図4の例では、エリア12aは、最も交通需要が大きいと推定され、エリア12cは、交通需要が最も少ないと推定され、エリア12bは、交通需要が中程度と推定される。
【0066】
本実施形態のアップロード制御部240では、このように推定されたエリア毎の交通需要の大きさに応じて、各エリア内に存在する車載端末400からの車両情報のアップロード頻度を決定する。
【0067】
具体的には、アップロード制御部240の頻度決定部242は、例えば、アップロード頻度を、エリアに含まれる経路数が6段階の閾値と対応した7段階に分けて、エリア毎に設定してもよい。
【0068】
図4の例では、最も交通需要が大きいと推定されるエリア12aのアップロード頻度が最も高くなり、交通需要が最も少ないと推定されるエリア12cのアップロード頻度が最も低くなる。
【0069】
また、本実施形態のアップロード制御部240は、エリア毎の交通需要の大きさに応じて、各エリアにおいて混雑状況を推定する推定頻度を決定する。具体的には、アップロード制御部240の頻度決定部242は、例えば、推定頻度を、エリアに含まれる経路数が6段階の閾値と対応した7段階に分けて、エリア毎に設定してもよい。
【0070】
また、頻度決定部242は、車両情報がアップロードされたタイミングで混雑状況の推定が行われるように、推定頻度を設定してもよい。言い換えれば、頻度決定部242は、車両情報のアップロードに応じて、混雑状況の推定が行われるように、エリア毎に推定頻度を決定してもよい。
【0071】
なお、
図4における経路数に対して設定される閾値の段階、アップロード頻度の段階、推定頻度の段階は、一例であり、これに限定されず、本実施形態の情報処理システム100の管理者によって任意に変更されてよい。
【0072】
以下に、
図5乃至
図7を参照して、本実施形態の情報処理装置200の処理について説明する。
【0073】
図5は、情報処理装置の処理を説明する第一のフローチャートである。
図5は、情報処理装置200の経路案内部230の処理を説明する図である。
図5の処理は、情報処理装置200が経路の検索要求を受け付ける度に実行される。
【0074】
経路案内部230において、入力受付部231は、端末装置300から、現在地と目的地とを含む経路の検索要求の入力を受け付ける(ステップS501)。
【0075】
続いて、経路案内部230は、経路抽出部232により、現在地から目的地までの経路の候補を抽出し、経路特定部233により、混雑分布記憶部220を参照して、最適経路を特定する(ステップS502)。
【0076】
続いて、経路案内部230は、経路出力部234により、端末装置300へ最適経路を示す情報を出力する(ステップS504)。
【0077】
続いて、経路案内部230は、経路数更新部235により、端末装置300に対して出力された最適経路に基づき、経路数記憶部210を更新し(ステップS505)、処理を終了する。
【0078】
具体的には、経路数更新部235は、端末装置300に対して出力された最適経路を含む各エリアの経路数を1増加させることで、経路数記憶部210を更新する。
【0079】
次に、
図6を参照して、情報処理装置200の有するアップロード制御部240の処理について説明する。
図6は、情報処理装置の処理を説明する第二のフローチャートである。
図6の処理は、経路数記憶部210が更新される度に実行されてもよいし、予め決められた期間毎に、定期的に実行されてもよい。
【0080】
本実施形態のアップロード制御部240は、需要推定部241により、経路数記憶部210を参照し、交通需要の分布を推定する(ステップS601)。具体的には、アップロード制御部240は、エリア毎に集計された経路数に応じて、各エリアの交通需要の大きさを推定する。
【0081】
続いて、アップロード制御部240は、頻度決定部242により、エリア毎の交通需要の大きさに基づき、エリア毎の車両情報のアップロード頻度を決定する(ステップS602)。
【0082】
続いて、アップロード制御部240は、頻度指示部243により、各エリア内の車載端末400に対し、アップロード頻度を通知する(ステップS603)。
【0083】
また、アップロード制御部240は、エリア毎の交通需要の大きさに応じて、エリア内の道路の混雑状況を推定する頻度を決定する(ステップS604)。
【0084】
続いて、アップロード制御部240は、頻度指示部243により、エリア毎の混雑状況を推定する頻度を、混雑分布推定部250に通知し(ステップS605)、処理を終了する。
【0085】
次に、
図7を参照して、情報処理装置200の有する混雑分布推定部250の処理について説明する。
図7は、情報処理装置の処理を説明する第三のフローチャートである。
【0086】
図7の処理は、エリア毎に実行される処理であり、アップロード制御部240により決定された頻度で実行される。言い換えれば、
図7の処理は、アップロード制御部240から通知されたエリア毎の頻度に応じて、実行制御部251により、実行が指示される。
【0087】
情報処理装置200において、混雑分布推定部250は、車両情報収集部252により、エリア内の車載端末400からアップロードされた車両情報を収集する(ステップS701)。
【0088】
続いて、混雑分布推定部250は、混雑度算出部253により、エリアの混雑状況を推定する(ステップS702)。言い換えれば、混雑度算出部253は、エリア内に含まれる道路の区間毎に混雑度を算出し、算出された道路の区間毎の混雑度からエリアの混雑状況を推定してもよい。
【0089】
続いて、混雑分布推定部250は、混雑分布更新部254により、混雑分布記憶部220を更新し(ステップS703)、処理を終了する。
【0090】
具体的には、混雑分布更新部254は、新たに算出した道路の区間毎の混雑度を、混雑分布記憶部220に格納されている混雑分布情報に反映させる。
【0091】
本実施形態では、このように、エリア毎に交通需要の大きさを推定し、交通需要の大きいエリアの車両情報のアップロード頻度と、道路毎の混雑状況の推定頻度を高くし、交通需要の小さいエリアは、アップロード頻度と推定頻度を低くする。
【0092】
このため、本実施形態によれば、情報処理装置200と車載端末400との通信負荷や、情報処理装置200の処理負荷を軽減させつつ、交通需要が大きいエリアの混雑状況の推定の精度を向上させることができる。
【0093】
したがって、本実施形態によれば、通信負荷と処理負荷を軽減させつつ、ユーザに提示する最適経路の案内の精度を向上させことができる。
【0094】
開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータによるアップロード頻度決定方法であって、前記コンピュータが、
過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する、アップロード頻度決定方法。
(付記2)
前記コンピュータが、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける混雑状況を推定する頻度を決定する、付記1記載のアップロード頻度決定方法。
(付記3)
前記アップロード頻度は、前記経路数が大きいほど高くなる、付記1又は2記載のアップロード頻度決定方法。
(付記4)
前記混雑状況を推定する頻度は、前記経路数が大きいほど高くなる、付記2又は3記載のアップロード頻度決定方法。
(付記5)
前記コンピュータが、
前記エリア毎に決められた前記推定する頻度にしたがったタイミングで、各エリアについて、混雑状況を推定する処理を実行する、付記2乃至4の何れか一項に記載のアップロード頻度決定方法。
(付記6)
前記コンピュータが、
前記検索要求を受け付けて、各エリアの混雑状況を示す情報が格納された記憶部を参照し、前記経路を特定する、付記1乃至5の何れか一項に記載のアップロード頻度決定方法。
(付記7)
過去の所定期間に受け付けた経路の検索要求に基づいて特定した経路について、エリア毎の経路数を集計し、
前記エリア毎の経路数に応じて、各エリアにおける、車両と対応付けられた端末からの車両情報のアップロード頻度を決定する、処理をコンピュータに実行させるアップロード頻度決定プログラム。
本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
100 情報処理システム
200 情報処理装置
210 経路数記憶部
220 混雑分布記憶部
225 車両情報記憶部
230 経路案内部
240 アップロード制御部
241 需要推定部
242 頻度決定部
243 頻度指示部
250 混雑分布推定部
251 実行制御部
252 車両情報収集部
253 混雑度算出部
254 混雑分布更新部
300 端末装置
400 車載端末