(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006132
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106741
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】515324349
【氏名又は名称】前田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 稔
(72)【発明者】
【氏名】星野 航
(72)【発明者】
【氏名】前田 充宏
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L049CC16
(57)【要約】
【課題】楽曲の視聴権を所有することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行する発行部と、ユーザを示すユーザ情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されているユーザ情報が示すユーザのウォレットにノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
ユーザを示すユーザ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記デジタルコンテンツは音楽データであること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
複数の前記音楽データがグループに属し、
前記送信部は、前記グループに属する前記音楽データのそれぞれを定期的に前記ユーザの前記ウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の情報処理システムであって、
前記ユーザの前記ウォレットにある前記ノンファンジブルトークンに対応する前記音楽データの属性に応じて、前記ユーザの興味対象を推定する推定部を備え、
前記送信部は、推定した前記興味対象に含まれる前記音楽データに対応する前記ノンファンジブルトークンを前記ユーザのウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
ユーザから価値の提供を受け付ける受付部を備え、
前記送信部は、前記価値に応じて前記ノンファンジブルトークンを前記ユーザのウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行するステップと、
ユーザを示すユーザ情報を記憶するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行するステップと、
ユーザを示すユーザ情報を記憶するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サブスクリプション方式によるコンテンツの提供が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的なサブスクリプションサービスでは全ての楽曲が視聴可能となり所有欲を満たすことができない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、楽曲の視聴権を所有することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行する発行部と、ユーザを示すユーザ情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、楽曲の視聴権を所有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態の情報処理システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワーク5を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク5は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0011】
管理サーバ2は、ブロックチェーンネットワーク3とも通信可能に接続される。ブロックチェーンネットワーク3は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク3は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0012】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワークによって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワークにおいて記録される。ブロックチェーンネットワークの分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0013】
ユーザ端末1は、ユーザが使用する例えばスマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。
【0014】
管理サーバ2は、NFTをユーザに提供するコンピュータであり、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0015】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク5に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0016】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、支払受付部211と、発行部212と、送信部213と、興味推定部214と、楽曲提案部215と、楽曲提供部216と、楽曲記憶部231と、ユーザ情報記憶部232と、を備える。
【0017】
楽曲記憶部231は、楽曲を再生する再生するためのオーディオデータ(音楽データ)を記憶する。音楽データは、例えば、PCM、WAV、AIFF、MP3、AACなどの任意の形式のデータとすることができる。音楽データは、ファイルシステムにファイルとして記憶されていてもよいし、オブジェクトデータベースやリレーショナルデータベースにレコードとして記憶されていてもよい。楽曲記憶部231は、楽曲を特定する楽曲IDに対応付けて、当該楽曲の属性と音楽データとを記憶することができる。楽曲の属性は、例えば、ジャンルやテンポ、音域、歌詞の言語、アーティスト、アーティストの属する国など、楽曲に関する任意の情報とすることができる。
【0018】
ユーザ情報記憶部232は、サブスクリプションを購読しているユーザの情報(以下、ユーザ情報という。)を記憶する。ユーザ情報には、ユーザを特定するユーザIDに対応付けて、ユーザのウォレットアドレスが含まれ得る。
【0019】
支払受付部211は、ユーザから価値の提供を受け付ける。本実施形態では、支払受付部211は、サブスクリプションサービスの購読料の支払を受け付けるものとする。
【0020】
発行部212は、デジタルコンテンツ(本実施形態では音楽データ)に対応するNFTを発行する。
【0021】
送信部213は、ユーザ情報記憶部232に記憶されているユーザ情報が示すユーザのウォレットに、発行したNFTの少なくとも1つを送信する。送信部213は、ユーザの提供する提供価値(例えば、サブスクリプションの購読に係る支払金額)に応じてNFTを送信することができる。送信部213は、例えば、提供価値に応じた数のNFTを送信するようにしてもよいし、提供価値に応じた楽曲に対応付けた所定数(例えば1つ)のNFTを送信するようにしてもよい。
【0022】
送信部213は、グループに属する音楽データのそれぞれを定期的にユーザのウォレットに送信することができる。例えば、アルバムを構成する複数の楽曲に係る音楽データのそれぞれを、定期的に(例えば毎月)NFTとして送信することができる。これによりユーザは、所定期間のサブスクリプションサービスを受けることにより、一つのアルバムを完成させることができる。なお、グループはアルバムに限らず、プレイリストなどのように恣意的に作成されたものであってもよい。
【0023】
興味推定部214は、ユーザの興味対象を推定する。興味推定部214は、ユーザのウォレットにあるNFTに対応する音楽データ(楽曲)の属性に基づいてユーザの興味を推定することができる。
【0024】
楽曲提案部215は、ユーザに楽曲を提案する。楽曲提案部215は、興味推定部214が推定した興味対象に属する楽曲をユーザに提案することができる。なお、興味対象に属する楽曲の選択処理に関しては周知の手法を用いるものとしてここでは説明を省略する。
【0025】
送信部213は、推定した興味対象に含まれる音楽データに対応するNFTをユーザのウォレットに送信するようにすることができる。
【0026】
楽曲提供部216は、ユーザに楽曲を提供する。楽曲提供部216は、ユーザからのリクエストに応じて楽曲に係る音楽データを提供することができる。リクエストにはNFTを特定する情報が設定される。楽曲提供部216は、リクエストに指定されたNFTの所有者がユーザである場合に、NFTに対応する音楽データを楽曲記憶部231から読み出してユーザ端末1に送信することができる。音楽データの送信は、ストリーミング形式で行うようにしてもよい。
【0027】
<動作>
図4は、本実施形態の情報処理システムの動作を説明する図である。
【0028】
管理サーバ2は、ユーザからサブスクリプションサービスに係る購読料の支払を受け付けると(S301)、ユーザに付与する楽曲を選択する(S302)。上述したように、管理サーバ2は、支払金額に応じて異なる楽曲を選択し、支払金額に応じた数の楽曲を選択し、ユーザのウォレットに含まれるNFTに対応する楽曲の属性に基づいて推定されるユーザの興味対象に含まれる楽曲を選択し、あるいはこれらを組み合わせることにより楽曲を選択することができる。管理サーバ2は、選択した楽曲の音楽データに紐付くNFTをミントし(S303)、ミントしたNFTをユーザのウォレットに送信する(S304)。
【0029】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0030】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行する発行部と、
ユーザを示すユーザ情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信する送信部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記デジタルコンテンツは音楽データであること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目2に記載の情報処理システムであって、
複数の前記音楽データがグループに属し、
前記送信部は、前記グループに属する前記音楽データのそれぞれを定期的に前記ユーザの前記ウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目2に記載の情報処理システムであって、
前記ユーザの前記ウォレットにある前記ノンファンジブルトークンに対応する前記音楽データの属性に応じて、前記ユーザの興味対象を推定する推定部を備え、
前記送信部は、推定した前記興味対象に含まれる前記音楽データに対応する前記ノンファンジブルトークンを前記ユーザのウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目1に記載の情報処理システムであって、
ユーザから価値の提供を受け付ける受付部を備え、
前記送信部は、前記価値に応じて前記ノンファンジブルトークンを前記ユーザのウォレットに送信すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目6]
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行するステップと、
ユーザを示すユーザ情報を記憶するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目7]
デジタルコンテンツに対応する複数のノンファンジブルトークンを発行するステップと、
ユーザを示すユーザ情報を記憶するステップと、
前記記憶部に記憶されている前記ユーザ情報が示す前記ユーザのウォレットに前記ノンファンジブルトークンの少なくとも1つを送信するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0031】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
3 ブロックチェーンネットワーク