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特開2024-61322ジッパーテープ付き容器およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061322
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ジッパーテープ付き容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20240425BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20240425BHJP
   A44B 19/16 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/25 A
A44B19/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169190
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000143880
【氏名又は名称】株式会社細川洋行
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓人
(72)【発明者】
【氏名】堀 真人
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
(72)【発明者】
【氏名】久下 ▲らい▼蔵
【テーマコード(参考)】
3B098
3E064
【Fターム(参考)】
3B098AA10
3B098AB07
3B098BB02
3B098DA04
3E064AB13
3E064AB14
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA40
3E064BA55
3E064BB03
3E064HM01
3E064HN12
3E064HN18
3E064HP01
(57)【要約】
【課題】容器本体の積層フィルムの構成にかかわらず、また引き裂く力が作用する向きにかかわらず、より確実に開封後の端部の形状を段違いにする。
【解決手段】互いに対向する第1および第2の部分を断面形状に含むジッパーテープにおいて、第1の部分では、幅方向の第1、第2および第3の領域のうち第1および第3の領域を厚肉部、第1および第3の領域の間に位置する第2の領域の幅方向の両端部を薄肉部、それらの薄肉部の間を中間部とし、第2の部分では、第2の領域に中間部に対向する薄肉部を形成して残りの部分を厚肉部とする。サイドシール部に重複するジッパーテープの長手方向端部に切り欠きを形成し、切り欠きの端部に重なる部分で、ジッパーテープが接合される容器本体の積層フィルムの少なくとも中間層を構成する樹脂フィルムに傷痕からなる開封容易部を設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有する容器本体と、ジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器であって、
前記ジッパーテープは、少なくとも部分的に対向するように構成された第1の部分および第2の部分を断面形状に含み、前記第1面に前記第1の部分の少なくとも一部が接合され、前記第2面に前記第2の部分の少なくとも一部が接合され、
前記第1の部分および前記第2の部分のそれぞれは、基部と、前記基部から突出し互いに係合することが可能な係合部とを断面形状に含み、
前記第1の部分において、前記ジッパーテープの幅方向の第1の領域、第2の領域および第3の領域のうち前記第1の領域には厚肉部が形成され、前記第3の領域には前記基部に連続する厚肉部が形成され、前記第1の領域と前記第3の領域との間に位置する前記第2の領域の前記幅方向の両端部には第1の薄肉部および第2の薄肉部が形成され、前記第1の薄肉部と前記第2の薄肉部との間に少なくとも1つの中間部が形成され、
前記第2の部分において、前記第1の領域および前記第3の領域にはそれぞれ前記第2の領域の前記幅方向の端部を越えて延びる厚肉部が形成され、前記第2の領域には前記中間部に対向する少なくとも1つの第3の薄肉部が形成され、
前記容器本体の両端に前記第1面と前記第2面とが接合されるサイドシール部が形成され、前記サイドシール部に重複する前記ジッパーテープの長手方向端部に切り欠きが形成され、
前記第1の部分に形成される前記切り欠きは、前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部に向けられたテーパー部または膨出部を含み、
前記第2の部分に形成される前記切り欠きは、前記第3の薄肉部に向けられたテーパー部または膨出部を含み、
前記第1面および前記第2面を構成する積層フィルムでは、少なくとも前記積層フィルムの中間層を構成する樹脂フィルムの前記切り欠きの端部に重なる部分に、傷痕からなる開封容易部が設けられている、
ジッパーテープ付き容器。
【請求項2】
前記開封容易部は、前記ジッパーテープの長手方向に沿って前記容器本体の全幅にわたって線状に設けられる、請求項1に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項3】
前記積層フィルムは、前記中間層としてナイロン層を含む、請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項4】
前記積層フィルムは、PET層、アルミニウム層、ナイロン層および直鎖状低密度ポリエチレン層がこの順で積層された積層構造を有する、請求項3に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項5】
前記中間部は、前記厚肉部に対応する厚さで形成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項6】
前記第1の薄肉部、前記第2の薄肉部および前記第3の薄肉部は、10μm以上、200μm以下の厚さで形成され、
前記第1の領域および前記第3の領域の厚肉部は、200μm以上、700μm以下の厚さで形成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項7】
前記第1の領域、前記第2の領域および前記第3の領域は、前記ジッパーテープの前記基部および前記係合部以外の領域の全体をカバーする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項8】
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記第1の領域の前記第2の領域とは反対側の幅方向端部、または前記基部の前記第3の領域とは反対側の幅方向端部で互いに連結されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項9】
前記第1面に前記第1の部分の前記厚肉部および前記中間部が接合され、前記第2面に前記第2の部分の前記厚肉部が接合される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項10】
前記容器本体は、袋状である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項11】
前記第1の部分に形成される切り欠きは、前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部にそれぞれ向けられた第1の膨出部および第2の膨出部を含み、
前記第2の部分に形成される切り欠きは、前記第3の薄肉部に向けられたテーパー部を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項12】
前記第1の膨出部は、前記ジッパーテープの長手方向中央に向かって前記第2の膨出部よりも大きく突出している、請求項11に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項13】
前記第1の部分に形成される切り欠きは、前記第1の薄肉部および前記第2の薄肉部にそれぞれ向けられた第1のテーパー部および第2のテーパー部を含み、
前記第2の部分に形成される切り欠きは、前記第3の薄肉部に向けられたテーパー部を含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項14】
前記ジッパーテープの長手方向について、前記第1の部分で前記テーパー部または前記膨出部が前記第1の薄肉部に接続される第1の位置と、前記第2の部分で前記テーパー部または前記膨出部が前記第3の薄肉部に接続される第2の位置とが異なる、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項15】
前記第2の位置は、前記第1の位置よりも前記ジッパーテープの長手方向端部に近い、請求項14に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項16】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の距離は、2mm以上、50mm以下である、請求項15に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項17】
前記ジッパーテープに前記切り欠きを形成する工程と、
前記切り欠きが形成された前記ジッパーテープを前記容器本体に接合する工程と、
前記ジッパーテープが接合された前記容器本体に前記切り欠きを横断する前記サイドシール部を形成する工程と
を含む、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープ付き容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、薬品、医療品、雑貨等の各種物品を包装するための包装材として、袋の開口部に対して雄部材および雌部材より形成されて雌雄咬合する一対の帯状のジッパーテープを配設し、かかる咬合状態を開閉自在としたジッパーテープ付き袋が適用されている。このようなジッパーテープ付き袋は、ジッパーテープの上部がシールされることによって密封されており、開封するときは、袋の両側に形成された切欠き等を開始位置として、袋本体のフィルムを引き裂くようにして開封することができる。
【0003】
このような技術の例として、特許文献1(例えば図10など)には、ジッパーテープの基部に設けられた薄肉部および厚肉部を用いて袋本体のフィルムの引き裂きを安定的に誘導する技術が記載されている。袋本体の両面にそれぞれ接合されるジッパーテープで異なる位置に薄肉部を設けることによって、フィルムを引き裂いた後のジッパーテープの端部が段違いになるようにし、袋本体から内容物を取り出す時にジッパーテープの端部に指などを掛けて開口を広げることが容易になる。
【0004】
さらに、特許文献2には、互いに対向する第1および第2の部分を断面形状に含むジッパーテープにおいて、第1の部分では、幅方向の第1、第2および第3の領域のうち第1および第3の領域を厚肉部、第1および第3の領域の間に位置する第2の領域の幅方向の両端部を薄肉部、それらの薄肉部の間を中間部とし、第2の部分では、第2の領域に中間部に対向する薄肉部を形成して残りの部分を厚肉部とする技術が記載されている。これによって、引き裂く力が作用する向きにかかわらず、より確実に開封後の端部の形状を段違いにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-104334号公報
【特許文献2】国際公開第2021/060235号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された技術の場合、袋本体を引き裂く力が作用する向きによって、開封後のジッパーテープの端部が段違いになる場合と、段違いにならない場合とがあった。上記の特許文献2に記載された技術はこの問題点を解決するものであるが、容器本体として用いられる積層フィルムの構成によっては、開封後の端部の形状が段違いにならないことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、容器本体の積層フィルムの構成にかかわらず、また引き裂く力が作用する向きにかかわらず、より確実に開封後の端部の形状を段違いにすることが可能なジッパーテープ付き容器およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]少なくとも互いに対向する第1面および第2面を有する容器本体と、ジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器であって、上記ジッパーテープは、少なくとも部分的に対向するように構成された第1の部分および第2の部分を断面形状に含み、上記第1面に上記第1の部分の少なくとも一部が接合され、上記第2面に上記第2の部分の少なくとも一部が接合され、上記第1の部分および上記第2の部分のそれぞれは、基部と、上記基部から突出し互いに係合することが可能な係合部とを断面形状に含み、上記第1の部分において、上記ジッパーテープの幅方向の第1の領域、第2の領域および第3の領域のうち上記第1の領域には厚肉部が形成され、上記第3の領域には上記基部に連続する厚肉部が形成され、上記第1の領域と上記第3の領域との間に位置する上記第2の領域の上記幅方向の両端部には第1の薄肉部および第2の薄肉部が形成され、上記第1の薄肉部と上記第2の薄肉部との間に少なくとも1つの中間部が形成され、上記第2の部分において、上記第1の領域および上記第3の領域にはそれぞれ上記第2の領域の上記幅方向の端部を越えて延びる厚肉部が形成され、上記第2の領域には上記中間部に対向する少なくとも1つの第3の薄肉部が形成され、上記容器本体の両端に上記第1面と上記第2面とが接合されるサイドシール部が形成され、上記サイドシール部に重複する上記ジッパーテープの長手方向端部に切り欠きが形成され、上記第1の部分に形成される上記切り欠きは、上記第1の薄肉部および上記第2の薄肉部に向けられたテーパー部または膨出部を含み、上記第2の部分に形成される上記切り欠きは、上記第3の薄肉部に向けられたテーパー部または膨出部を含み、上記第1面および上記第2面を構成する積層フィルムでは、少なくとも上記積層フィルムの中間層を構成する樹脂フィルムの上記切り欠きの端部に重なる部分に、傷痕からなる開封容易部が設けられている、ジッパーテープ付き容器。
[2]上記開封容易部は、上記ジッパーテープの長手方向に沿って上記容器本体の全幅にわたって線状に設けられる、[1]に記載のジッパーテープ付き容器。
[3]上記積層フィルムは、上記中間層としてナイロン層を含む、[1]または[2]に記載のジッパーテープ付き容器。
[4]上記積層フィルムは、PET層、アルミニウム層、ナイロン層および直鎖状低密度ポリエチレン層がこの順で積層された積層構造を有する、[3]に記載のジッパーテープ付き容器。
[5]上記中間部は、上記厚肉部に対応する厚さで形成される、[1]から[4]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[6]上記第1の薄肉部、上記第2の薄肉部および上記第3の薄肉部は、10μm以上、200μm以下の厚さで形成され、上記第1の領域および上記第3の領域の厚肉部は、200μm以上、700μm以下の厚さで形成される、[1]から[5]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[7]上記第1の領域、上記第2の領域および上記第3の領域は、上記ジッパーテープの上記基部および上記係合部以外の領域の全体をカバーする、[1]から[6]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[8]上記第1の部分と上記第2の部分とは、上記第1の領域の上記第2の領域とは反対側の幅方向端部、または上記基部の上記第3の領域とは反対側の幅方向端部で互いに連結されている、[1]から[7]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[9]上記第1面に上記第1の部分の上記厚肉部および上記中間部が接合され、上記第2面に上記第2の部分の上記厚肉部が接合される、[1]から[8]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[10]上記容器本体は、袋状である、[1]から[9]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[11]上記第1の部分に形成される切り欠きは、上記第1の薄肉部および上記第2の薄肉部にそれぞれ向けられた第1の膨出部および第2の膨出部を含み、上記第2の部分に形成される切り欠きは、上記第3の薄肉部に向けられたテーパー部を含む、[1]から[10]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[12]上記第1の膨出部は、上記ジッパーテープの長手方向中央に向かって上記第2の膨出部よりも大きく突出している、[11]に記載のジッパーテープ付き容器。
[13]上記第1の部分に形成される切り欠きは、上記第1の薄肉部および上記第2の薄肉部にそれぞれ向けられた第1のテーパー部および第2のテーパー部を含み、上記第2の部分に形成される切り欠きは、上記第3の薄肉部に向けられたテーパー部を含む、[1]から[10]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[14]上記ジッパーテープの長手方向について、上記第1の部分で上記テーパー部または上記膨出部が上記第1の薄肉部に接続される第1の位置と、上記第2の部分で上記テーパー部または上記膨出部が上記第3の薄肉部に接続される第2の位置とが異なる、[1]から[13]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器。
[15]上記第2の位置は、上記第1の位置よりも上記ジッパーテープの長手方向端部に近い、[14]に記載のジッパーテープ付き容器。
[16]上記第1の位置と上記第2の位置との間の距離は、2mm以上、50mm以下である、[15]に記載のジッパーテープ付き容器。
[17]上記ジッパーテープに上記切り欠きを形成する工程と、上記切り欠きが形成された上記ジッパーテープを上記容器本体に接合する工程と、上記ジッパーテープが接合された上記容器本体に上記切り欠きを横断する上記サイドシール部を形成する工程とを含む、[1]から[16]のいずれか1項に記載のジッパーテープ付き容器の製造方法。
【0009】
上記の構成によれば、テープまたはジッパーテープの袋本体への取り付け後に、第1面側および第2面側のどちらから力が作用した場合にも、力が作用する側に形成された薄肉部に対してその反対側に形成された薄肉部が収納空間に位置するという関係が成り立つため、引き裂く力が作用する向きにかかわらずより確実に開封後の端部の形状を段違いにすることができる。また、少なくとも切り欠きの端部に重なる部分に、傷痕からなる開封容易部が設けられていることによって、容器本体の積層フィルムの構成にかかわらず上記の効果を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るテープ付き袋の平面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3A図1の例において力が第1面側から作用した場合を示す図である。
図3B図1の例において力が第2面側から作用した場合を示す図である。
図4】本発明の一実施形態におけるテープの製造方法の例について説明するための図である。
図5図4に示した例における切り欠きの形状の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態で袋本体を構成する積層フィルムの例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態で設けられる傷痕からなる開封容易部の例を示す図である。
図8】開封容易部が形成される位置について説明するための図である。
図9】本発明の一実施形態の変形例を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態における切り欠きの別の例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態における切り欠きの別の例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態における切り欠きの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るジッパーテープ付き袋の平面図であり、図2図1のII-II線に沿った断面図である。図示されているように、ジッパーテープ付き袋100は、フィルムによって形成され互いに対向する第1面111Aおよび第2面111Bを有する袋本体110と、袋本体110の第1面111Aおよび第2面111Bにそれぞれ接合されて、第1面111Aと第2面111Bとの間に形成される収納空間SPの一辺を画定するジッパーテープ120とを含む。
【0013】
袋本体110は、後述するような積層フィルムで形成される。積層フィルムは、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂で形成される層を含む。ポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、またはブロックポリプロピレンであってもよい。積層フィルムの表基材には、例えば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートまたは二軸延伸ナイロンが用いられる。これらの樹脂材料は、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックとの混合物を用いてもよい。バイオプラスチックとしては、例えばバイオポリエチレンが好ましい。また、積層フィルムはアルミニウムなどの金属材料や、無機材料の層を含んでもよい。例えば、袋本体110を後述するジッパーテープ120と同様にポリエチレンを主成分とする樹脂組成物でモノマテリアル化することによって、リサイクル性に優れる環境に配慮した構成が可能になる。
【0014】
なお、本実施形態では、2枚のフィルムが重ね合わされ、トップシール部112、ボトムシール部113およびサイドシール部114において互いに接合されることによって袋本体110を形成しているが、別の実施形態では、1枚のフィルムがサイドシール部114に対応する部分で折り返されることによって袋本体110を形成してもよい。また、袋本体110では、ボトムシール部113またはサイドシール部114に対応する部分でフィルムが内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、第1面111Aまたは第2面111Bと同じフィルムによって形成されてもよいし、これらとは異なるフィルムによって形成されてもよい。また、ジッパーテープ付き袋100は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。
【0015】
ジッパーテープ120は、図2に示されるように、互いに対向する第1の部分120Aおよび第2の部分120Bを断面形状に含む長尺状の部材である。第1の部分120Aは、第1の厚肉部121A、第2の厚肉部122A、薄肉部123A,123Bおよび中間部124と、ジッパー部分を構成する基部125Aおよび係合部126Aとを断面形状に含む。第2の部分120Bは、第1の厚肉部121B、第2の厚肉部122Bおよび薄肉部123Cと、ジッパー部分を構成する基部125Bおよび係合部126Bとを断面形状に含む。
【0016】
第1の部分120Aは、第1の厚肉部121A、第2の厚肉部122Aおよび基部125Aにおいて袋本体110の第1面111Aに接合されている。第2の部分120Bも、第1の厚肉部121B、第2の厚肉部122Bおよび基部125Bにおいて袋本体110の第2面111Bに接合されている。図示された例では第1の部分120Aが中間部124でも第1面111Aに接合されているが、中間部124は第1面111Aに接合されていなくてもよい。なお、製造時の位置合わせを容易にする観点では、中間部124を第1面111Aに接合する方が有利である。また、第1の厚肉部121A,121Bおよび第2の厚肉部122A,122Bは、必ずしも全面で第1面111Aまたは第2面111Bに接合されていなくてもよく、例えば薄肉部123A,123B,123Cに隣接する部分では第1面111Aまたは第2面111Bに接合されていなくてもよい。この場合、厚肉部121,122と薄肉部123との間に、厚肉部121,122と薄肉部123の中間の厚さの部分が設けられてもよい。また、基部125A,125Bについても、必ずしも全面で第1面111Aまたは第2面111Bに接合されていなくてもよい。
【0017】
基部125A,125Bは、袋本体110の第1面111Aおよび第2面111Bにそれぞれ接合されて互いに対向し、係合部126A,126Bは基部125A,125Bからそれぞれ突出して互いに係合可能である。第2の厚肉部122A,122Bは、それぞれ基部125A,125Bに連続する。図示された例において第2の厚肉部122A,122Bは基部125A,125Bよりも厚く形成されるが、他の例では第2の厚肉部122A,122Bと基部125A,125Bとが同じ厚さであってもよい。係合部126A,126Bの形状は図示された例に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーの係合部の形状にすることが可能である。図示された例では係合部126Aが雄型、係合部126Bが雌型であるが、逆であってもよい。また、図示された例では1対の係合部が配置されているが、複数対の係合部が配置されてもよい。
【0018】
なお、ジッパーテープ120において第1の厚肉部121A,121Bおよび第2の厚肉部122A,122Bは必ずしも同じ厚さでなくてもよいが、薄肉部123A,123B,123C(以下、薄肉部123として総称する場合がある)は第1の厚肉部121A,121Bおよび第2の厚肉部122A,122B(以下、厚肉部121,122として総称する場合がある)のどちらよりも薄く形成された部分である。中間部124は、薄肉部123A,123Bよりも厚く形成される。中間部124と厚肉部121A,122Aとの厚さの大小関係は必ずしも限定されないが、例えば図示された例のように中間部124が厚肉部121A,122Aとともに第1面111Aに接合される場合は、中間部124が厚肉部121A,122Aに対応する厚さで形成されることが好ましい。対応する厚さは、必ずしも厳密に同一の厚さであることを要しないが、例えば図示された例のように厚肉部121A,122Aと中間部124とを同一の面(第1面111A)に接合するのが容易である程度に近い厚さであることを意味する。具体的には、中間部124の厚さは、厚肉部121A,122Aの±20%以内の厚さであることが好ましく、±10%以内の厚さであることがより好ましく、同一の厚さであることがさらに好ましい。なお、厚肉部121A,122Aの厚さが異なる場合は、これらの厚さの平均値に対して中間部124の厚さが上記の範囲にあることが好ましい。中間部124の厚さを上記のような範囲にすることによって、中間部124を第1面111Aにより確実に接合できる。
【0019】
上記のようなジッパーテープ120は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、ジッパーテープ120は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、またはポリプロピレンで形成されてもよい。ポリプロピレンは、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、またはブロックポリプロピレンであってもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックとの混合物を用いてもよい。バイオプラスチックとしては、例えばバイオポリエチレンが好ましい。ジッパーテープ120の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0020】
ジッパーテープ120は、ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物でモノマテリアル化されてもよい。この場合、ジッパーテープ120の全体、すなわち第1の厚肉部121A,121B、第2の厚肉部122A,122B、薄肉部123A,123B,123C、中間部124は、いずれもポリエチレンを主成分とする樹脂組成物で形成される。ここで、主成分は樹脂組成物の所定割合以上を占める成分であり、含有量が通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100%の成分である。ただし、主成分の含有量が100%の場合であっても、添加剤や不純物の混合は許容される。なお、主成分は、例えばIR法によって確認することができる。ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物でジッパーテープ120をモノマテリアル化することによって、リサイクル性に優れる環境に配慮した構成が可能になる。また、ポリエチレンとしてバイオポリエチレンを用いることで、さらにリサイクル性に優れる環境に配慮した構成が可能になる。
【0021】
ここで、図2に示されるように、ジッパーテープ120の幅方向に第1の領域R、第2の領域Rおよび第3の領域Rを規定する。これらの領域は、ジッパーテープ120の第1の部分120Aと第2の部分120Bとが互いに対向した状態において、それぞれの部分に共通する領域である。第1の領域R、第2の領域Rおよび第3の領域Rは、第3の領域Rが基部125A,125Bを含むジッパー領域に隣接し、第2の領域Rが第1の領域Rと第3の領域Rとの間に位置するように規定される。なお、第1の領域R、第2の領域Rおよび第3の領域Rは、図2に示された例のように幅方向についてジッパーテープ120の基部125A,125Bおよび係合部126A,126B以外の領域の全体をカバーしていてもよいし、後述する変形例のように当該領域をカバーしていなくてもよい。
【0022】
第1の部分120Aでは、第1の領域Rおよび第3の領域Rにそれぞれ第1の厚肉部121Aおよび第2の厚肉部122Aが形成される。第2の領域Rでは幅方向の両端部に薄肉部123Aおよび薄肉部123Bが形成され、薄肉部123Aと薄肉部123Bとの間に中間部124が形成される。一方、第2の部分120Bでは、第1の領域Rおよび第3の領域Rにそれぞれ形成される第1の厚肉部121Bおよび第2の厚肉部122Bが、第2の領域Rとの境界を越えて延びる。つまり、第2の部分120Bでは、第1の厚肉部121Bおよび第2の厚肉部122Bが、それぞれ第1の領域Rまたは第3の領域Rから第2の領域Rの一部にまたがって形成される。第2の領域Rで第2の部分120Bに形成される薄肉部123Cは、第1の部分120Aに形成される中間部124に対向する。
【0023】
上記のように、本実施形態では、第1の部分120Aでは薄肉部123Aおよび薄肉部123Bが第2の領域Rの幅方向の両端部に形成されるのに対し、第2の部分120Bでは第1の厚肉部121Bおよび第2の厚肉部122Bがそれぞれ第2の領域Rの幅方向の端部を越えて延びるため、薄肉部123A,123Bは第2の部分120Bの薄肉部に対向しない。第2の部分120Bに形成される薄肉部123Cは、第1の部分120Aの薄肉部123A,123Bの間には対向せず、薄肉部の間に形成される中間部124に対向する。これによって、第1の部分120Aと第2の部分120Bとが対向した場合に、薄肉部123Aから薄肉部123Cはジッパーテープ120の幅方向について交互に、具体的にはトップシール部112側から順に薄肉部123A、薄肉部123C、および薄肉部123Bの順に重なることなく配置される。
【0024】
上記のような構成によって、本実施形態に係るジッパーテープ付き袋100では、例えばユーザがジッパーテープ120の長手方向端部でサイドシール部114に形成されたノッチ115を起点にして袋本体110を引き裂いて開封した場合に、開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部を段違いにすることができる。具体的には、例えば、図3Aに示されるように袋本体110を引き裂く力Fが第1面111A側から作用した場合、ジッパーテープ120の第1の部分120Aで薄肉部123Aが破断し、第2の部分120Bで薄肉部123Cが破断し、袋本体110の引き裂きが薄肉部123A,123Cに沿って誘導されることによって、開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部が段違いになる。図3Bに示されるように袋本体110を引き裂く力Fが第2面111B側から作用した場合も、ジッパーテープ120の第2の部分120Bで薄肉部123Cが破断し、第1の部分120Aで薄肉部123Bが破断し、袋本体110の引き裂きが薄肉部123B,123Cに沿って誘導されることによって、開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部が段違いになる。
【0025】
本発明者らの知見によれば、袋本体110を引き裂く力Fが作用する側(図3Aの例では第1面111A側、図3Bの例では第2面111B側)に形成された薄肉部に対して、その反対側に形成された薄肉部が収納空間SP側に位置している場合に、破断後のジッパーテープ120の端部が段違いになりやすい。従って、例えば上記の例でジッパーテープ120の第1の部分120Aに薄肉部123Bが形成されない場合、図3Aに示された例のように第1面111A側から力Fが作用した場合には薄肉部123Aと薄肉部123Cとが破断することによって開封後のジッパーテープ120の端部が段違いになるが、図3Bに示された例のように第2面111B側から力Fが作用した場合には、薄肉部123Aが薄肉部123Cよりもトップシール部112側に位置しているため、第1の部分120Aが薄肉部123Aではなく中間部124付近(なお、薄肉部123Bが形成されない場合は中間部とは呼ばれない)で破断し、開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部が段違いにならない可能性がある。
【0026】
これに対して、本実施形態では、上記のように第1面111A側および第2面111B側のどちらから力が作用した場合にも、力が作用する側に形成された薄肉部に対して、その反対側に形成された薄肉部が収納空間SP側に位置するという関係が成り立つため、力が作用する向きにかかわらず、より確実に開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部を段違いにすることができる。これによって、上述のように、袋本体から内容物を取り出す時にテープの端部に指などを掛けて開口を広げることが容易になる。このとき、開口を広げることをさらに容易にするために、薄肉部以外の各部(厚肉部または中間部)の端部に、袋本体の内側に向けられたリブを形成してもよい。
【0027】
なお、本実施形態において、薄肉部123A,123B,123Cは、隣接する部分、すなわち厚肉部121,122および中間部124よりも薄肉であればよいが、上記の力によって容易に破断するように、例えば200μm以下の厚さで形成されてもよい。薄肉部123A,123B,123Cの厚さは、150μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましく、80μm以下が特に好ましい。厚さをこのような範囲とすることで、引張強度を低くすることができ、薄肉部をより容易に破断させることができる。薄肉部123A,123B,123Cの厚さの下限値は特に限定されないが、通常10μmである。
【0028】
一方、ジッパーテープ120の幅方向における薄肉部123A,123B,123Cの寸法は、通常10μm以上であり、好ましくは30μm以上である。上限は、通常3mmであり、好ましくは1mm以下である。この範囲とすることで、例えば後述する例において切り欠き131に形成されるR(曲率半径)との相互作用により、開封性が向上する。
【0029】
なお、例えばジッパーテープ120を押出成形によって形成する場合、厚肉部121,122または中間部124と薄肉部123A,123B,123Cとの間には厚さの移行部が形成される。この場合、薄肉部123A,123B,123Cは、両側の厚肉部121,122または中間部124のうち薄い方よりも薄肉に形成された部分として特定される。従って、両側の厚肉部121,122および中間部124の厚さが異なる場合、厚い方と薄肉部123A,123B,123Cとの間には厚肉部でも中間部でも薄肉部でもない部分(厚さの移行部)が存在しうる。また、上記のように薄肉部123A,123B,123Cの厚さが具体的に規定される場合、薄肉部123A,123B,123Cは厚さの規定を満たす部分として特定される。この場合、厚肉部121,122および中間部124との間にそれぞれ厚肉部でも中間部でも薄肉部でもない部分(厚さの移行部)が存在しうる。
【0030】
一方、厚肉部121,122は、隣接する薄肉部123A,123B,123Cよりも厚肉であればよいが、厚さが例えば200μm以上であることが好ましく、250μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。厚肉部121,122の厚さを200μm以上とすることにより、引張強度が高くなり、開封時の力によって厚肉部121,122が破断することを防止できる。また、厚肉部121,122の厚さの上限値は特に限定されないが、通常700μmである。厚肉部121、122の厚さを700μm以下とすることにより、溶融偏平化によるピンホールの発生を防止できる。
【0031】
また、上述のように、袋本体110は2枚のフィルムを重ね合わせるか、または1枚のフィルムを折り返すことによって形成されるが、2枚のフィルムを重ね合わせる場合、第1面111Aを形成するフィルムと第2面111Bを形成するフィルムとの間で結晶が配向されている方向を調整することによって、ノッチ115を起点とする袋本体110の引き裂きが第1面111A側と第2面111B側とで異なる方向に向かうように誘導し、開封後の袋本体110の端部が段違いになり易くすることができる。同様に、1枚のフィルムを折り返す場合、第1面111Aと第2面111Bとの間の折り目がフィルムの結晶が配向されている方向に対して非平行かつ非直角になるように調整することによって、同様に開封後の袋本体110の端部が段違いになり易くすることができる。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態におけるテープの製造方法の例について説明するための図である。図1にも示されているように、本実施形態に係るジッパーテープ付き袋100では、ジッパーテープ120の長手方向端部に、サイドシール部114に重複する切り欠き131が形成される。この切り欠き131は、例えば図4に示されるように、製袋機を用いてジッパーテープ付き袋100を連続的に製造するときに形成される。具体的には、長尺状のジッパーテープ120に、製造後の袋本体110の幅、つまりサイドシール部114の間隔と同じ間隔で切り欠き131(この時点では開口部)を形成する。その後、袋本体110にジッパーテープ120を接合し、さらに切り欠き131を横断するサイドシール部114、トップシール部112およびボトムシール部113を形成する。ジッパーテープ120が接合された袋本体110をサイドシール部114の中央で切断することによって、図1に示すようなジッパーテープ付き袋100が得られる。
【0033】
このようにして形成された切り欠き131は、例えばユーザがジッパーテープ120の長手方向端部でサイドシール部114に形成されたノッチ115を起点にして袋本体110を引き裂こうとした場合に、ノッチ115を起点とする袋本体110の引き裂きがジッパーテープ120に形成された薄肉部に沿って進行するように誘導する。具体的には、例えば、図5(a)に示すように、ジッパーテープ120の第1の部分120Aの側では、薄肉部123A,123Bにそれぞれ向けられた二股のテーパー部132Aを含む形状の切り欠き131Aを形成してもよい。また、図5(b)に示すように、ジッパーテープ120の第2の部分120Bの側では、薄肉部123Cに向けられた単一のテーパー部132Bを含む形状の切り欠き131Bを形成してもよい。このように、ジッパーテープ120の第1の部分120Aおよび第2の部分120Bのそれぞれに形成される薄肉部の位置に合わせた形状で切り欠き131を形成することによって、上述したように開封後のジッパーテープ120および袋本体110の端部を段違いにする効果をより容易かつ確実に得ることができる。また、テーパー部の先端は、R(曲率半径)をつけることが好ましい。Rをつけることで、加工時に鋭角の先端の位置に多少のずれが生じても引裂きを薄肉部に誘導することができ、製造不良品の数を低減することができる。Rとしては例えば0.1mm~1.0mmであり、好ましくは0.2mm~0.7mmである。
【0034】
図6は、本発明の一実施形態で袋本体を構成する積層フィルムの例を示す図である。本実施形態で袋本体110を構成する積層フィルムでは、最外層である基材層110Aと、中間層である金属層110Bおよび機能層110Cと、内容物に触れる最内層であるシーラント層110Dとがこの順で積層される。上記の各層は必ずしも直接的に隣接していなくてもよく、例えば少なくともいずれかの層間に接着層が積層されていてもよい。
【0035】
基材層110Aは、印刷適性に優れ、製袋のためのヒートシールにより溶融することのない耐熱性、さらに突き刺し強度、引っ張り強度、耐衝撃性などを備えたフィルムから形成されることが好ましい。基材層110Aを構成するフィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリエチレンおよびエチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられ、これらの二軸延伸フィルム又は一軸延伸フィルムが好ましい。また、これらのフィルムに、酸素や水蒸気に対するバリア性を付与するために、アルミニウム、マグネシウムなどの金属または酸化珪素などの酸化物を蒸着させた蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデンなどのバリア性コート剤などをコートしたコートフィルムなどを用いてもよい。
【0036】
金属層110Bは、酸素や水蒸気に対するバリア性を有するものとして、アルミニウムなどの金属箔で構成される。金属層110Bは、例えば上記のように、基材層110Aを構成するフィルムに金属または酸化物を蒸着させることによって形成される。
【0037】
機能層110Cは、耐衝撃性、耐ピンホール性、酸素や水蒸気に対するバリア性など、機能性を有する層である。耐衝撃性、耐ピンホール性を有するフィルムとしては、ポリアミドを含む樹脂フィルムが好ましい。酸素や水蒸気に対するバリア性を有するフィルムとしては、基材層110Aを形成するフィルムと同じフィルムにアルミニウムなどの金属やシリカ、アルミナなどの金属酸化物が蒸着した蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルムが好ましい。その他、機能層110Cとして基材層110Aを構成するフィルムと同様のフィルムを用いることができる。機能層110Cは、単層で用いてもよく多層で用いてもよい。
【0038】
シーラント層110Dは、熱と圧力を加えられることで対向する層、具体的には袋本体110の反対側の面、またはジッパーテープ120と溶融しあうことで、接合される層である。シーラント層110Dの材質としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられ、これらの樹脂からなる未延伸フィルムや、これらの樹脂を層状に押し出したものが好ましい。
【0039】
上記の基材層110A、金属層110B、機能層110Cおよびシーラント層110Dの層は、例えばドライラミネート法や押出ラミネート法などの既存の方法で貼り合わせられて積層フィルムを形成する。積層フィルムの構成の一例として、中間層としてナイロン層を含む積層フィルム、より具体的には基材層110AをPET層、金属層110Bをアルミニウム層、機能層110Cをナイロン層、シーラント層110Dを直鎖状低密度ポリエチレン層とした積層フィルムが挙げられるが、これらの例には限定されない。
【0040】
図7は、本発明の一実施形態で設けられる傷痕からなる開封容易部の例を示す図である。上述したような袋本体110を構成する積層フィルムでは、積層フィルムの中間層を構成する樹脂フィルムの切り欠き131(図5に示された切り欠き131A,131B)の端部に重なる部分に、傷痕からなる開封容易部が設けられている。開封容易部は、切り欠き131の端部だけではなくジッパーテープ120の長手方向の全長(袋本体110の全幅)にわたって連続的に設けられていてもよいし、ジッパーテープ120の長手方向(袋本体110の幅方向)について所定の間隔をあけて断続的に設けられていてもよい。開封容易部を断続的に設ける場合の開封容易部同士の間隔は、ジッパーテープ付き袋100の幅方向の寸法、切り欠き131の位置及び薄肉部の位置等に合わせて適宜調整すればよい。また、開封容易部の幅(ジッパーテープ付き袋100の深さ方向における寸法)は、少なくとも切り欠き131の幅(ジッパーテープ付き袋100の深さ方向における寸法)よりも広いことが望ましい。具体的には、開封容易部の幅は、5mm~50mmであることが好ましく、10mm~25mmであることがより好ましい。なお、開封容易部は、積層フィルムを構成する基材層と中間層とに設けた形態であってもよく、積層フィルムを構成する中間層のみに設けた形態であってもよい。開封容易部を、積層フィルムを構成する基材層と中間層とに設ける場合は、それぞれの層の開封容易部でジッパーテープ付き袋100の深さ方向の位置を揃えることが好ましい。
【0041】
ここで、開封容易部とは、金属刃や鑢の様な表面に凹凸を有する治具を押圧する手段、または、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーもしくはグリーンレーザー等のレーザーを照射する手段を用いて樹脂フィルムに複数の貫通孔や半貫通孔を設けることによって、樹脂フィルムの表面に傷痕を形成し、フィルムの引き裂き強度を低下させた部分である。図7には、傷痕の限定的ではない例として、(a)の複数列のミシン目状かつ千鳥状の傷痕、(b)の縞目状の傷痕、および(c)ランダムで微細な傷痕が示されている。これら(a)~(c)の傷痕を設けた場合の開封性は、(c)が最も優れている。開封性には、傷痕と隣り合う傷痕との距離が関係しており、この距離が最も短い(c)の開封性が最も優れている。なお、上記した(a)~(c)は開封容易部を形成する傷痕の一例であり、これらの例には限定されない。また、図7に示されている矩形の枠は単に図示範囲の外縁を示すものであり、部材の外形を示すものではない。
【0042】
図8は、開封容易部が形成される位置について説明するための図である。図8(a)および(b)に太線で示す切り欠き131A,131Bの端部131Eに重なるように開封容易部141が設けられていることで、引裂きがジッパーテープ120に接合されていない積層フィルムのみの位置から、ジッパーテープ120の薄肉部123A,123B,123Cへと容易に引き裂きを進行させることができる。なお、図8では図7(a)の傷痕による開封容易部141が図示されているが、この例には限られず図7(b),(c)およびその他の傷痕による開封容易部が形成されてもよい。図示された例のように、開封容易部141は、切り欠き131の端部およびジッパーテープ120の薄肉部123A,123B,123Cを含むように、ジッパーテープ120の長手方向に沿って、袋本体110の全幅に線状に連続に設けられていてもよい。この場合、袋本体110の全幅において、薄肉部123A,123B,123Cに沿って引き裂き抵抗が低い状態が続き、容易に引き裂けるため好ましい。また、この場合、製造の際に、ジッパーテープ120の長手方向について、切り欠き131の端部131Eと開封容易部とを位置あわせをする必要がなくなるのに加えて、袋本体110のサイドシール部114にも開封容易部が設けられているため、開封開始部(ノッチなど)を別途設けなくとも、開封容易部が開封開始部の機能も果たすことができるため好ましい。切り欠き131の端部131Eに重なる部分とサイドシール部114とにそれぞれ開封容易部と開封開始部の傷痕を別々に設けてもよい。
【0043】
図9は、本発明の一実施形態の変形例を示す断面図である。図9に示された例では、第1の領域R、第2の領域Rおよび第3の領域Rが、ジッパーテープ120の基部125A,125Bおよび係合部126A,126B以外の領域の全体をカバーしていない。図示された例では、厚肉部121A,121B側のジッパーテープ120の端部に薄肉部127A,127Bが、厚肉部122A,122Bと基部125A,125Bとの間に薄肉部127C,127Dが、それぞれ形成される。なお、薄肉部127は、ジッパーテープ付き袋100の開封時に破断することが意図されていない。このような場合において、第1の領域Rは、厚肉部121Aおよび厚肉部121Bが形成されている領域(薄肉部127A,127Bは含まない)として規定される。同様に、第3の領域Rは、厚肉部122Aおよび厚肉部122Bが形成されている領域(薄肉部127C,127Dは含まない)として規定される。図示された例において、薄肉部127A、127Bおよびそれよりもジッパーテープ120の幅方向端部側の領域、および薄肉部127C,127Dから基部125A,125Bまでの間の領域は、第1の領域R、第2の領域Rおよび第3の領域Rのいずれにも含まれない。
【0044】
図10は、本発明の一実施形態における切り欠きの別の例を示す図である。図10に示された例では、サイドシール部114(図示せず)に重複してジッパーテープ120の長手方向端部に形成される切り欠き131A,131Bのうち、ジッパーテープ120の第1の部分120Aの側に形成される切り欠き131Aが、薄肉部123A,123Bに向けられた膨出部132C,132Dを含む。一方、ジッパーテープ120の第2の部分120Bの側に形成される切り欠き131Bは、薄肉部123Cに向けられたテーパー部132Eを含む。このような切り欠き131A,131Bによって、上記で図5を参照して説明した例と同様に、例えばユーザがジッパーテープ120の長手方向端部を起点にして袋本体を引き裂こうとした場合に、袋本体の引き裂きがジッパーテープ120に形成された薄肉部に沿って進行するように誘導することができる。他の例では、図11に示されるように、膨出部132C,132Dの中間部が曲率をもたない形状であってもよい。
【0045】
ここで、本明細書において、テーパー部は、切り欠きの幅方向両側の縁が直線状であり、かつこれらの直線が薄肉部に向かって徐々に幅狭になるテーパーを形成する部分である。一方、膨出部は、切り欠きの形状が薄肉部に向かって張り出した部分である。図10に示された例のように、テーパー部の先端にはR(曲率半径)をつけることができる。既に述べたように、切り欠きの形状にRをつけることで、加工時に切り欠きの位置に多少のずれが生じても引き裂きを薄肉部に誘導することができ、製造不良品の数を低減することができる。テーパー部の先端にRがつけられる場合、テーパー部と膨出部とは薄肉部に向かってRがつけられた部分を含む点で共通する。Rがつけられた部分の両側にテーパーを形成する直線状の縁があればテーパー部であり、Rがつけられた部分の両側が曲線状の縁であるか、または直線状であってもテーパーを形成していない場合は膨出部になる。例えば、上記の図10の例において、テーパー部132Eは膨出部として形成されてもよい。
【0046】
テーパー部の先端の場合、既に述べた例と同様にRとしては例えば0.1mm~1.0mmであり、好ましくは0.2mm~0.7mmである。膨出部の場合、Rとしては例えば0.1mm~2.0mmであり、好ましくは0.1~1.5mmであり、より好ましくは0.1mm~1.0mmであり、さらに好ましくは0.2mm~0.8mmであり、特に好ましくは0.2mm~0.7mmである。
【0047】
また、図10に示された例では、ジッパーテープ120の長手方向について、切り欠き131Aの膨出部132C,132Dが薄肉部123A,123Bに接続される第1の位置P1と、切り欠き131Bのテーパー部132Eが薄肉部123Cに接続される第2の位置P2とが異なる。より具体的には、図示された例において、第2の位置P2は、第1の位置P1よりもジッパーテープ120の長手方向端部に近い。このような構成によって、テーパー部132Eから薄肉部123Cの引き裂きが開始されるタイミングと、膨出部132C,132Dから薄肉部123A,123Bの引き裂きが開始されるタイミングとがずれ、薄肉部123A,123Bのうち、より抵抗がかからない側の薄肉部を選択的に引裂くことができる。上記で図5を参照して説明した例でも同様に、切り欠き131Aの二股のテーパー部132Aが薄肉部123A,123Bに接続される位置と、切り欠き131Bのテーパー部132Bが薄肉部123Cに接続される位置とが異なっていてもよい。ジッパーテープ120の長手方向について、第1の位置P1と第2の位置P2の間の距離は、1mm以上であることが好ましい。
【0048】
図12は、本発明の実施形態における切り欠きのさらに別の例を示す図である。図12に示された例では、サイドシール部114(図示せず)に重複してジッパーテープ120の長手方向端部に形成される切り欠き131A,131Bが膨出部132C,132Dおよびテーパー部132Eを含む。上記で図10に示した例との違いとして、図12の例では、切り欠き131Aに含まれる膨出部132C,132Dのうち、膨出部132Cの方が、ジッパーテープ120の長手方向中央に向かって膨出部132Dよりも大きく膨出している。これによって、膨出部132C,132Dの間の中間部133は、図10の例とは異なりジッパーテープ120の幅方向について非対称な形状になる。具体的には、中間部133は、膨出部132Dから膨出部132Cまで、ジッパーテープ120の幅方向に対して傾斜している。この結果、中間部133は、ジッパーテープ120の第1の部分120Aと第2の部分120Bとが重ね合わされたときに、第2の部分120Bの薄肉部123Cに直交せず、斜めに交わる。これによって、例えば袋本体の引き裂きが図12に示す矢印Q1のように膨出部132Cに向かって進行してきた場合だけではなく、矢印Q2のように膨出部132C,132Dの中間に向かって進行してきた場合も、引き裂きを膨出部132C、および膨出部132Cに続く薄肉部123Aへと誘導することができる。
【0049】
なお、上記で図12を参照して説明された例では袋本体の引き裂きがトップシール部112に近い側の薄肉部123Aへと誘導されたが、これとは逆に、トップシール部112から遠い側の薄肉部123Bに引き裂きを誘導してもよい。具体的には、図12の例について、膨出部132Dがジッパーテープ120の長手方向中央に向かって膨出部132Cよりも大きく膨出していてもよい。
【0050】
ここで、上記で図10から図12を参照して説明した例について、ジッパーテープ120の第1の部分120Aで膨出部132C,132Dが薄肉部123Aに接続される第1の位置P1と、第2の部分120Bでテーパー部132Eが薄肉部123Cに接続される第2の位置P2とは異なり、第2の位置P2は、第1の位置P1よりもジッパーテープ120の長手方向端部に近い。第1の位置P1と第2の位置P2との間の距離dは、2mm以上であることが好ましく、4mm以上であることがより好ましく、8mm以上であることがさらに好ましい。上限値は、50mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、20mm以下であることがさらに好ましい。
【0051】
なお、上記で説明した実施形態ではジッパーテープの第1および第2の部分がほぼ同じ幅で形成されて全面的に対向していたが、他の実施形態ではジッパーテープの第1および第2の部分のいずれか一方の幅が他方よりも広く、それによって第1の部分と第2の部分とが部分的に対向するように構成されていてもよい。
【0052】
また、上記では容器本体が袋状の袋本体である例について説明したが、袋状以外の容器本体にジッパーテープが接合されてジッパーテープ付き容器が提供されてもよい。また、上記では第1の厚肉部、第2の厚肉部、薄肉部および中間部が連続して形成される例について説明したが、例えば厚肉部および中間部だけでなく薄肉部も容器本体の面に接合される場合は、薄肉部と第1の厚肉部、第2の厚肉部または中間部の間が少なくとも1カ所で分離され、テープまたはジッパーテープが複数の長尺状の部材の組み合わせとして提供されてもよい。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0054】
100…ジッパーテープ付き袋、110…袋本体、110A…基材層、110B…金属層、110C…機能層、110D…シーラント層、111A…第1面、111B…第2面、112…トップシール部、113…ボトムシール部、114…サイドシール部、115…ノッチ、120…ジッパーテープ、120A…第1の部分、120B…第2の部分、121A,121B…第1の厚肉部、122A,122B…第2の厚肉部、123A,123B,123C…薄肉部、124…中間部、125A,125B…基部、126A,126B…係合部、127A,127B,127C,127D…薄肉部、131,131A,131B…切り欠き、131E…端部、132A,132B,132E…テーパー部、132C,132D…膨出部、133…中間部、141…開封容易部、R…第1の領域、R…第2の領域、R…第3の領域、SP…収納空間。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12