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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061331
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】マフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/06 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
F01N1/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169209
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004BA01
3G004DA24
3G004EA01
(57)【要約】
【課題】マフラの吸音材の位置が変化するのを抑制する。
【解決手段】マフラでは、内管部内の内側流路をバルブが開閉し、内管部と外殻部との間に外側流路があり、仕切り部は吸音室を形成する。外側流路の入口となる少なくとも1つの第1開口の面積と、仕切り部における少なくとも1つの第2開口の面積と、吸音室と内側流路とを連通する少なくとも1つの第3開口の面積とを、それぞれ、第1~第3面積とする。第1~第3面積のうちの少なくとも1つは、内側流路の開度を最小とするバルブが形成する少なくとも1つの連通部の断面の面積と略同一であるか、該断面の面積よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるマフラであって、
排ガスの入口と出口とを有する外殻部と、
前記外殻部の内部に配置される筒状の部位である内管部と、
弁体を変位させることで、前記内管部の内部における排ガスの流路である内側流路を開閉するよう構成されたバルブと、
前記外殻部と前記内管部との間の外側流路への排ガスの入口を、前記バルブよりも排ガスの流れ方向の上流側で形成する少なくとも1つの第1開口と、
前記内管部に隣接する吸音室を形成するように、前記外側流路を仕切る仕切り部と、
前記吸音室に配置された吸音材と、
前記吸音室の内部と外部とを連通するように前記仕切り部に設けられた少なくとも1つの第2開口と、
前記内管部における前記吸音室と前記内側流路とを連通する部位であって、前記バルブよりも排ガスの流れ方向の下流側に設けられた部位である少なくとも1つの第3開口と、を備え、
前記弁体は、前記内側流路の開度が最小となる場合に、前記内側流路における当該弁体の前記上流側と前記下流側とを連通する少なくとも1つの連通部を形成するよう構成されており、
前記少なくとも1つの第1開口の面積と、前記少なくとも1つの第2開口の面積と、前記少なくとも1つの第3開口の面積とを、それぞれ、第1~第3面積とし、
前記第1~第3面積のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの連通部における排ガスの流れ方向に直交する断面の面積と略同一であるか、前記断面の面積よりも小さい
マフラ。
【請求項2】
請求項1に記載のマフラであって、
前記仕切り部は、前記内管部の外周面から前記外殻部の内周面まで広がり、当該仕切り部の前記下流側に前記吸音室が形成されるよう、前記外側流路を仕切る
マフラ。
【請求項3】
請求項1に記載のマフラであって、
前記仕切り部は、前記内管部を周回するように設けられた筒状の部位であり、前記仕切り部の外周面と前記外殻部の内周面との間には、間隔が形成されており、前記仕切り部と前記内管部との間に前記吸音室が形成される
マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のマフラは、二重管構造を形成する内管と外管とを有すると共に、内管と外管との間に内管の外周面を覆う筒状のカバー部材が配置される。また、内管の内部に制御弁が配置されると共に、カバー部材と内管との間の吸音室に吸音材が配置される。吸音材は、内管の外周面に隣接して配置されており、内管における吸音材に隣接する部分には、多数の孔が形成されている。そして、吸音室に流入した排ガスは、吸音材を通過し、該多数の孔を通過して内管に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-161931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のマフラでは、制御弁により内管が閉鎖されると、内管と外管との間に流入する排ガスの量が多くなり、それに伴い、吸音室に流入するする排ガスの量が多くなる。これにより、排ガスの流れに押されて吸音材の位置が変化し、その結果、マフラの消音性能が低下する恐れがある。
【0005】
本開示の一態様では、マフラの吸音材の位置が変化するのを抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載されるマフラであって、外殻部と、内管部と、バルブと、少なくとも1つの第1開口と、仕切り部と、吸音材と、少なくとも1つの第2開口と、少なくとも1つの第3開口と、を備える。外殻部は、排ガスの入口と出口とを有する。内管部は、外殻部の内部に配置される筒状の部位である。バルブは、弁体を変位させることで、内管部の内部における排ガスの流路である内側流路を開閉するよう構成される。少なくとも1つの第1開口は、外殻部と内管部との間の外側流路への排ガスの入口を、バルブよりも排ガスの流れ方向の上流側で形成する。仕切り部は、内管部に隣接する吸音室を形成するように、外側流路を仕切る。吸音材は、吸音室に配置される。少なくとも1つの第2開口は、吸音室の内部と外部とを連通するように仕切り部に設けられる。少なくとも1つの第3開口は、内管部における吸音室と内側流路とを連通する部位であって、バルブよりも排ガスの流れ方向の下流側に設けられた部位である。弁体は、内側流路の開度が最小となる場合に、内側流路における当該弁体の上流側と下流側とを連通する少なくとも1つの連通部を形成するよう構成されている。少なくとも1つの第1開口の面積と、少なくとも1つの第2開口の面積と、少なくとも1つの第3開口の面積とを、それぞれ、第1~第3面積とする。第1~第3面積のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの連通部における排ガスの流れ方向に直交する断面の面積と略同一であるか、断面の面積よりも小さい。
【0007】
上記構成によれば、バルブの開度が最小となった場合に吸音室に流入する排ガスの量を抑制できる。このため、吸音室に流入した排ガスに押されることにより、吸音室に配置された吸音材の位置が変化するのを抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、仕切り部は、内管部の外周面から外殻部の内周面まで広がり、当該仕切り部の下流側に吸音室が形成されるよう、外側流路を仕切る。
上記構成によれば、吸音室に流入した排ガスに押されることにより、吸音室に配置された吸音材の位置が変化するのを抑制できる。
【0009】
本開示の一態様では、仕切り部は、内管部を周回するように設けられた筒状の部位であり、仕切り部の外周面と外殻部の内周面との間には、間隔が形成されており、仕切り部と内管部との間に吸音室が形成されてもよい。
【0010】
上記構成によれば、吸音室に流入した排ガスに押されることにより、吸音室に配置された吸音材の位置が変化するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面の斜視図である。
図2】第1実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面図である。
図3図2におけるIII-III断面図である。
図4】第2実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面の斜視図である。
図5】第2実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面図である。
図6】第3実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面の斜視図である。
図7】第3実施形態のマフラにおける、軸線を含んで上下方向に広がる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0013】
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態のマフラ1は、車両に搭載され、エンジンからの排ガスの流路に設けられる(図1~3参照)。マフラ1は、軸線Aに沿って延びる二重管構造を有しており、外殻部2と、内管部3と、仕切り部4と、バルブ5と、吸音材6とを備える。排ガスは、軸線Aに沿ってマフラ1の内部を流下する。
【0014】
[(2)外殻部]
外殻部2は、マフラ1の外面を形成する筒状の部位である(図1、2参照)。外殻部2における排ガスの流れ方向(換言すれば、軸線A)に直交する断面(以後、単に断面と記載)は、円形となっており、軸線Aは、該断面の中心を通過する。無論、外殻部2の形状は、これに限らず、適宜定められる。外殻部2は、本体部20と、上流部21と、入口部22と、下流部23と、出口部24とを備える。
【0015】
本体部20は、円筒状の部位である。
上流部21は、本体部20における排ガスの流れ方向の上流側(以後、単に上流側と記載)の端部に位置し、上流側に向かうに従い断面の径が縮小する。
【0016】
入口部22は、マフラ1への排ガスの入口25を囲む壁状の部位であり、上流部21における上流側の端部に位置する。
下流部23は、本体部20における排ガスの流れ方向の下流側(以後、単に下流側と記載)の端部に位置し、下流側に向かうに従い断面の径が縮小する。
【0017】
出口部24は、マフラ1からの排ガスの出口26を囲む壁状の部位であり、下流部23における下流側の端部に位置する。
[(3)内管部]
内管部3は、外殻部2の内部に配置される円筒状の部位であり、軸線Aは、内管部3の断面の中心を通過する(図1、2参照)。無論、内管部3の形状は、これに限らず、適宜定められる。
【0018】
内管部3の上流側及び下流側の端部は、それぞれ、外殻部2の入口部22及び出口部24に取り付けられており、内管部3は、マフラ1の排ガスの入口25から出口26まで延びる。つまり、内管部3の上流側の開口は、入口25に接続されており、下流側の開口は、出口26に接続されている。したがって、マフラ1の入口25を通過した排ガスは、内管部3の内部に形成された内側流路11に流入すると共に、内側流路11を流下する排ガスが、出口26を通過してマフラ1の外部に流出する。また、内管部3の外周面と外殻部2の内周面との間には、外側流路10が形成される。なお、内管部3の上流側の端部と外殻部2の入口部22との間に保持部材を設けても良いし、内管部3の下流側の端部と外殻部2の出口部24との間に保持部材を設けても良い。保持部材とは、ワイヤメッシュであっても良い。
【0019】
内管部3は、当接面30と、複数の第1開口31と、複数の第3開口32とを備える。
当接面30は、上流側を向いた状態で、内管部3の内周面の上部から下方に突出する面であり、内管部3における排ガスの流れ方向の略中央に設けられる。具体的には、内管部3の排ガスの流れ方向の略中央には、上方に突出する突出部30Aが形成されている。また、内管部3には、突出部30Aの下流側に隣接して陥没部30Bが形成されている。そして、突出部30Aにおける下流側に位置する部分と、陥没部30Bにおける上流側に位置する部分とにより、当接面30が形成される。詳細は後述するが、当接面30は、閉位置にあるバルブ5の弁体50の回転を規制する。
【0020】
複数の第1開口31は、後述するバルブ5の上流側に位置すると共に、後述する仕切り部4の上流側に位置し、内管部3の側壁を貫通する複数の穴であり、内側流路11と外側流路10とを連通する。換言すれば、複数の第1開口31は、外側流路10への排ガスの入口を形成する。一例として、複数の第1開口31は、内管部3における左右方向の両端の付近に設けられる。しかし、複数の第1開口31の位置は、適宜定められる。また、以後、複数の第1開口31の総面積を、第1面積と記載する。
【0021】
複数の第3開口32は、後述するバルブ5の下流側に位置すると共に、後述する仕切り部4の下流側に位置し、内管部3の側壁を貫通する多数のパンチ穴であり、内側流路11と、後述する吸音室12とを連通する。複数の第3開口32は、内管部3を周回するように設けられる。また、以後、複数の第3開口32の総面積を、第3面積と記載する。
【0022】
[(4)仕切り部]
仕切り部4は、外側流路10内に設けられ、内管部3の外周面に隣接する吸音室12を形成するように、外側流路10を上流側の部屋と下流側の部屋に仕切る板状の部位であり、セパレータとして機能する(図1~3参照)。仕切り部4は、円形であり、中央に当該仕切り部4を貫通する穴が形成されており、内管部3が該穴を貫通した状態で配置される。つまり、仕切り部4は、内管部3の外周面から外殻部2の内周面まで広がり、仕切り部4の下流側(換言すれば、出口26側)における内管部3と外殻部2との間に、吸音室12が形成される。
【0023】
吸音室12は、繊維状の吸音材6が配置されている。なお、繊維状の吸音材6とは、例えば、グラスウールやロックウールであっても良い。また、吸音室12は、例えば、吸音材6により充填されていても良いし、外殻部2や内管部3や仕切り部4との間に隙間が生じる状態で、吸音室12に吸音材6が配置されていても良い。
【0024】
また、仕切り部4は、複数の第2開口40と、内側接合部41と、外側接合部42とを備える。
複数の第2開口40は、仕切り部4を貫通する複数の穴であり、仕切り部4の上流側と下流側、換言すれば、吸音室12の内部と外部とを連通する。複数の第2開口40は、仕切り部4の全域にわたって配置されており、一例として、一定の間隔を空けて周方向に並ぶように配置される。以後、複数の第2開口40の総面積を、第2面積とする。
【0025】
内側接合部41は、仕切り部4の中央の穴を囲む縁部から上流側に突出する壁状の部位であり、該穴を囲むように設けられる。内側接合部41は、該穴を貫通する内管部3の外周面に当接する。なお、内側接合部41は、該縁部から下流側に突出していても良い。
【0026】
外側接合部42は、仕切り部4の外縁から上流側に突出する壁状の部位であり、仕切り部4を囲むように設けられる。外側接合部42は、外殻部2における本体部20の内周面に当接する。なお、外側接合部42は、該外縁から下流側に突出していても良い。
【0027】
[(5)バルブ]
バルブ5は、内管部3における排ガスの流れ方向の略中央に設けられており、内側流路11を開閉するよう構成される(図1~3参照)。バルブ5は、吸音室12の内側に位置し、弁体50と、軸部51とを備える。
【0028】
軸部51は、排ガスの流れ方向に直交し、且つ、一例として略水平方向に延びるように配置される棒状の部位である。また、軸部51は、一例として、軸線Aよりもやや上方に設けられる。無論、軸部51の位置及び向きは、これに限らず、適宜定められ得る。
【0029】
弁体50は、軸部51を中心に回転することで、内側流路11を開閉するよう構成されている。ここで、バルブ5により内側流路11が開放されている度合い(換言すれば、バルブ5の開度)が最小となる弁体50の位置を、閉位置とする。弁体50が閉位置にあるとき、弁体50の上端周辺の部分は、当接面30に当接した状態となり、弁体50は、当該弁体50の上端が下端よりも下流側に位置する状態で、内管部3の径方向に対し傾斜する。無論、閉位置にある弁体50の向きは、これに限らず、例えば、閉位置にある弁体50は、排ガスの流れ方向に対し直交しても良い。
【0030】
そして、閉位置にある弁体50は、当接面30と当接することで、後述する駆動部材による回転が規制されると共に、内側流路11における弁体50の上流側と下流側とを連通する複数の連通部52を形成する。第1実施形態では、弁体50の縁部と内管部3の内周面との間の隙間が、複数の連通部52となる。より詳しくは、閉位置にある弁体50の縁部における軸部51の下側と上側とには、それぞれ、隙間が形成される。但し、上側の隙間における内側流路11の左右方向の中央の部分は、当接面30により下流側から塞がれる(図3参照)。
【0031】
また、複数の連通部52の各々における排ガスの流れ方向に直交する断面の面積の総和を、連通部面積とする。なお、各連通部52において、断面の面積が一定ではない場合には、その最小値を該連通部52の断面の面積とし、連通部面積が算出されても良い。第1実施形態においては、軸部51の下側に位置する連通部52の断面の面積の最小値が、連通部面積に加算される。また、軸部51の上側に位置する連通部52の出口のうち、当接面30により塞がれていない部分の面積が、該連通部52における断面の面積の最小値となり、該面積が連通部面積に加算される。
【0032】
なお、閉位置にある弁体50により、1つの連通部52が形成されても良い。このような場合であっても、同様にして連通部面積が算出される。
一方、弁体50が排ガス流れ方向に沿って延びた状態となる位置に到達すると、バルブ5の開度は最大となる。
【0033】
また、バルブ5には、弁体50を回転駆動する図示しない駆動部材が設けられている。一例として、駆動部材は、バネ等の付勢部材として構成され、閉位置に向けて回転するように弁体50を付勢する。そして、閉位置に位置する弁体50は、駆動部材により、上端周辺の部分が当接面30を押圧するように付勢される。
【0034】
なお、第1実施形態では、一例として、軸部51の両端は外殻部2に設けられた穴部(図示なし)を通過して外部に突出しても良い。そして、駆動部材は、外殻部2の外部に配置され、外殻部2の外部に突出する軸部51の端部を介して、弁体50を付勢しても良い。
【0035】
したがって、バルブ5の弁体50は、内側流路11を流下する排ガスの量が少なく、該排ガスの圧力が低い場合には、駆動部材により閉位置に保持される。一方、内側流路11を流下する排ガスの量が増加し、該排ガスの圧力が向上すると、閉位置にある弁体50は、閉位置に向かうときとは反対の方向に回転し、バルブ5の開度が増加する。
【0036】
無論、これに限らず、駆動部材は、例えば、弁体50を閉位置に向けて回転させるアクチュエータ(例えば、モータ等)として構成されていても良い。そして、駆動部材は、同様にして、内側流路11を流下する排ガスの圧力が低い場合には、弁体50を閉位置まで変位させてバルブ5の開度を最小とし、排ガスの圧力の増加に伴い、バルブ5の開度を増加させても良い。
【0037】
[(6)第1~第3面積について]
第1実施形態では、一例として、複数の第1開口31における第1面積と、複数の第2開口40における第2面積とは、略同一であり、複数の第3開口32における第3面積は、第1及び第2面積よりも大きい(図1~3参照)。
【0038】
そして、第1及び第2面積と連通部面積とは、略同一となっている。なお、第1及び第2面積は、連通部面積よりも小さくても良い。
この他にも、第1及び第2面積は、異なっていると共に、第3面積は、第1及び第2面積よりも大きくても良い。そして、第1及び第2面積のうちの小さいほうは、連通部面積と略同一か、又は、連通部面積よりも小さくなっていても良い。
【0039】
[2.第2実施形態]
第2実施形態のマフラ1は、第1実施形態と同様の構成を有しているが、第1~第3開口31、40、32において第1実施形態と相違する(図4、5参照)。以下では、第2実施形態のマフラ1における第1実施形態との相違点について説明する。
【0040】
第2実施形態では、複数の第3開口32は、第1実施形態と同様、内管部3における仕切り部4及びバルブ5の下流側に位置する。また、複数の第3開口32は、一例として、内管部3の上部に設けられている。なお、複数の第3開口32は、内管部3の上部に限らず、適宜定められる。また、第2実施形態では、第1実施形態に比べ、複数の第3開口32であるパンチ穴の数が少なく、複数の第3開口32の第3面積が小さくなっている。
【0041】
そして、第3面積は、第1及び第2開口31、40の各々における総面積よりも小さい。さらに、第3面積と連通部面積とは、略同一となっている。なお、第3面積は、連通部面積よりも小さくても良い。
【0042】
[3.第3実施形態]
[(1)概要]
第3実施形態のマフラ1は、第1実施形態と同様の構成を有しているが、内管部3及び仕切り部7において第1実施形態と相違する(図6、7参照)。以下では、第3実施形態のマフラ1における第1実施形態との相違点について説明する。
【0043】
[(2)内管部]
第3実施形態の内管部3は、第1実施形態と同様、外殻部2の内部に配置される円筒状の部位であり、軸線Aは、内管部3の断面の中心を通過する(図6、7参照)。
【0044】
しかし、第3実施形態では、内管部3の上流側の端部は、外殻部2の入口部22から離れて配置されており、外殻部2における本体部20の上流側の端部よりも下流側に位置する点で、第1実施形態と相違する。
【0045】
つまり、第3実施形態では、内管部3の上流側の開口33が、マフラ1の入口25から離れた位置に設けられる。また、内管部3の外周面と外殻部2の内周面との間に形成される外側流路10は、外殻部2の内部における、内管部3の開口33よりも下流側に位置する。
【0046】
そして、第3実施形態では、複数の第1開口31は内管部3に設けられていない。内管部3における上流側の開口33を囲む縁部と、外殻部2の内周面との間の開口が、第1開口31となる。
【0047】
なお、複数の第3開口32及びバルブ5は、第1実施形態と同様にして内管部3に設けられる。より詳しくは、バルブ5は、後述する仕切り部7よりも上流側に配置され、複数の第3開口32は、仕切り部7の本体部70(換言すれば、吸音室12)の内側に配置される。
【0048】
[(3)仕切り部]
第3実施形態の仕切り部7は、円筒状の部位であり、二重管構造を形成するよう、内管部3を周回した状態で設けられる(図6、7参照)。仕切り部7の外周面は、外殻部2の内周面から離間しており、軸線Aは、仕切り部7の断面の中心を通過する。無論、仕切り部7の形状は、これに限らず、適宜定められる。仕切り部7は、本体部70と、上流部71と、下流部72と、複数の第2開口73とを備える。
【0049】
本体部70は、円筒状の部位であり、内管部3から離間するように配置される。
上流部71は、本体部70の上流側の端部に位置し、上流側に向かうに従い断面の径が縮小する。また、下流部72は、本体部70の下流側の端部に位置し、下流側に向かうに従い断面の径が縮小する。
【0050】
上流部71における上流側の端部と、下流部72における下流側の端部とには、それぞれ、接合部が設けられており、これらの接合部が、内管部3の外周面に接合される。また、仕切り部7の内周面と内管部3の外周面との間に、吸音室12が形成され、第1実施形態と同様にして、吸音室12に吸音材6が配置される。
【0051】
そして、複数の第2開口73は、一例として仕切り部7の上部に位置し、仕切り部7を貫通する複数のパンチ穴として構成されており、吸音室12の内部と外部とを連通する。なお、複数の第2開口73の位置は、仕切り部7の上部に限らず、適宜定められる。また、複数の第2開口73は、一例として、複数の第3開口32に対し、仕切り部7の径方向に対面するように設けられる。しかし、これに限らず、複数の第2開口73は、複数の第3開口32よりも上流側又は下流側に設けられていても良い。なお、第1実施形態と同様、複数の第2開口73の総面積を第2面積とする。
【0052】
[(4)第1~第3面積について]
第3実施形態では、第1開口31における第1面積と、複数の第3開口32における第3面積とは、それぞれ、複数の第2開口73の第2面積よりも大きい(図6、7参照)。そして、第2面積と連通部面積とは、略同一となっている。なお、第2面積は、連通部面積よりも小さくても良い。
【0053】
この他にも、例えば、第2及び第3面積が略同一となっており、第2及び第3面積が、連通部面積と略同一か、連通部面積よりも小さくなっていても良い。また、例えば、第1及び第2面積が、それぞれ、第3面積よりも大きくなっており、第3面積が、連通部面積と略同一か、連通部面積よりも小さくなっていても良い。
【0054】
さらに、第1開口31の一部を閉塞する閉塞部を設けることで、第1面積を低下させても良い。そして、例えば、第1面積を、第2及び第3面積の各々よりも小さくし、さらに、第1面積を、連通部面積と略同一か、連通部面積よりも小さくしても良い。
【0055】
[4.効果]
(1)上記実施形態によれば、第1~第3面積のうちの少なくとも1つは、連通部面積と略同一であるか、又は、連通部面積よりも小さい。このため、バルブ5の弁体50が閉位置にあり、バルブ5の開度が最小となった場合に、吸音室12に流入する排ガスの量を抑制できる。これにより、吸音室12に流入した排ガスに押されることにより、吸音室12に配置された吸音材6の位置が変化するのを抑制できる。つまり、排ガスの流れに押されることにより吸音材6が吸音室12の下流側に移動し、その結果、マフラ1における消音性能が低下するのを抑制できる。
【0056】
(2)また、外側流路10を流下する排ガスは、仕切り部4の手前で拡散された後、複数の第2開口を通過して吸音室12に流入する。このため、吸音室12に流入する排ガスの流れが特定の箇所に偏るのを抑制でき、排ガスにより吸音材6が押されるのを抑制できる。
【0057】
(3)なお、第1及び第2実施形態のマフラ1は、相対的に広域の周波数の騒音の抑制に適した構成を有しており、第3実施形態のマフラ1は、相対的に低域から中域の周波数の騒音の抑制に適した構成を有している。
【0058】
[6.他の実施形態]
(1)第1及び第2実施形態では、第1~第3開口31、40、32は、それぞれ、複数設けられる。また、第3実施形態では、第1開口31は1つ設けられ、第2及び第3開口73、32の各々は、複数設けられる。しかし、第1及び第2実施形態では、第1~第3開口31、40、32の各々の数は、1つであっても良い。また、第3実施形態では、第1開口31の数は複数であり、第2及び第3開口73、32の各々の数は1つであっても良い。無論、このような場合であっても、第1~第3面積は、同様にして定められる。
【0059】
(2)第1~第3実施形態では、連通部52は、閉位置にある弁体50と内管部3の内周面との間の複数の隙間により形成される。しかし、これに限らず、このような隙間に替えて又は加えて、弁体50を貫通し、弁体50の上流側と下流側とを連通する穴により連通部が形成されても良い。このような場合においても、弁体50と内管部3との間の隙間により連通部が形成される場合と同様にして、排ガスの流れ方向に直交する断面の面積に基づき、連通部面積が定められる。
【0060】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…マフラ、10…外側流路、11…内側流路、12…吸音室、2…外殻部、20…本体部、21…上流部、22…入口部、23…下流部、24…出口部、25…入口、26…出口、3…内管部、30…当接面、31…第1開口、32…第3開口、33…開口、4…仕切り部、40…第2開口、41…内側接合部、42…外側接合部、5…バルブ、50…弁体、51…軸部、52…連通部、6…吸音材、7…仕切り部、70…本体部、71…上流部、72…下流部、73…複数の第2開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7