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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061333
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】重量測定装置及び重量選別装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169212
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三島 優理菜
(57)【要約】
【課題】複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる重量測定装置及び重量選別装置を提供すること。
【解決手段】別個独立して搬送されてきた複数の物品の重量を測定する複数の計量装置12と、複数の計量装置12を制御する制御ユニット21と、を備え、制御ユニット21は、各計量装置12に対して、特定計量器として計量法に規定される構造または器差の技術基準に適合しているかを判断するための検定を個別に独立して設定可能となっており、各計量装置12に対して当該検定を個別に独立して行うことが可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別個独立して搬送されてきた複数の物品の重量を測定する複数の計量装置(12)と、
前記複数の計量装置を制御する制御ユニット(21)と、を備え、
前記制御ユニットは、前記各計量装置に対して、特定計量器として計量法に規定される構造または器差の技術基準に適合しているかを判断するための検定を個別に独立して設定可能となっており、
前記各計量装置に対して当該検定を個別に独立して行うことが可能であることを特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記各計量装置に対して、前記検定に合格していない未検定状態と、前記検定に合格している検定済状態とのいずれかの検定状態を個別に独立して設定することが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
表示装置(22)を備え、
前記制御ユニットは、
前記計量装置の測定結果を表す測定結果画像(30)を前記計量装置毎に含む監視画面を前記表示装置に表示させ、
前記複数の計量装置のなかで前記未検定状態に設定された計量装置がある場合には、警告画像を前記監視画面の少なくとも一部に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の重量測定装置。
【請求項4】
表示装置(22)と入力装置(23)とを備え、
前記制御ユニットは、
前記入力装置に対する入力操作に応じて、前記複数の計量装置のなかで前記未検定状態又は前記検定済状態に設定する計量装置を選択させる選択画面を前記表示装置に表示させ、
前記計量装置の選択肢を表す画像に対応させて、前記計量装置の測定結果を表す画像を前記選択画面に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の重量測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の重量測定装置を備え、
前記重量測定装置によって重量が測定された物品を前記重量測定装置の測定結果に応じて選別する重量選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量測定装置及び重量選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の重量測定装置として、例えば、特許文献1には、供給された同一ロットに属する物品を搬送する複数の搬送手段と、各搬送手段に設けられて物品を検査する複数の検査手段と、各搬送手段に設けられ、物品を後段の工程に供給する通過位置と物品を待避させる待避位置と物品を排除する排除位置の何れかに選択的に設定される複数の選別手段と、各検査手段による物品の検査結果に基づき、全ての搬送手段が搬送する物品が合格であると判断される場合には全ての選別手段を通過位置に設定し、少なくとも一つの搬送手段が搬送する物品が不合格であると判断される場合には当該搬送手段の選別手段を排除位置に設定するとともに他の選別手段を待避位置に設定するように各選別手段を制御する制御手段と、を具備し、各搬送手段に設けられた計量装置によって物品の質量を検査するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5711011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような重量測定装置は、測定した質量を取引又は証明に用いる場合、特定計量器として計量法に規定される構造または器差の技術基準に適合しているかを判断するための検定に合格する必要がある。複数の計量装置を有する重量測定装置では、各計量装置に対して検定が行われる。
【0005】
このため、複数の計量装置を有する重量測定装置は、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた場合には、不具合が生じた計量装置の調整や交換を行った後に、再度の検定を行う必要がある。
【0006】
したがって、上述したような従来の重量測定装置は、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた場合には、不具合が生じた計量装置の調整や交換が行われて、検定に合格するまで、装置自体を使用することができないといった課題があった。
【0007】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる重量測定装置及び重量選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の重量測定装置は、別個独立して搬送されてきた複数の物品の重量を測定する複数の計量装置(12)と、前記複数の計量装置を制御する制御ユニット(21)と、を備え、前記制御ユニットは、前記各計量装置に対して、特定計量器として計量法に規定される構造または器差の技術基準に適合しているかを判断するための検定を個別に独立して設定可能となっており、前記各計量装置に対して当該検定を個別に独立して行うことが可能に構成されている。
【0009】
この構成により、本発明の重量測定装置は、複数の計量装置に対して検定を個別に独立して行うことが可能なことにより、不具合が生じたことにより検定が必要な計量装置があったとしても、検定済みの計量装置を使用することができるため、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる。
【0010】
なお、本発明の重量測定装置において、前記制御ユニットは、前記各計量装置に対して、前記検定に合格していない未検定状態と、前記検定に合格している検定済状態とのいずれかの検定状態を個別に独立して設定することが可能に構成してもよい。
【0011】
この構成により、本発明の重量測定装置は、不具合が生じたことにより未検定状態に設定された計量装置があったとしても、検定済状態の計量装置を使用することができるため、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる。
【0012】
また、本発明の重量測定装置は、表示装置を備え、前記制御ユニットは、前記計量装置の測定結果を表す測定結果画像を前記計量装置毎に含む監視画面を前記表示装置に表示させ、前記複数の計量装置のなかで前記未検定状態に設定された計量装置がある場合には、警告画像を前記監視画面の少なくとも一部に表示させるようにしてもよい。
【0013】
この構成により、本発明の重量測定装置は、複数の計量装置のなかで前記未検定状態に設定された計量装置がある場合には、未検定状態に設定された計量装置が使用されている可能性があることを報知することができる。
【0014】
また、本発明の重量測定装置は、表示装置と入力装置とを備え、前記制御ユニットは、前記入力装置に対する入力操作に応じて、前記複数の計量装置のなかで前記未検定状態又は前記検定済状態に設定する計量装置を選択させる選択画面を前記表示装置に表示させ、前記計量装置の選択肢を表す画像に対応させて、前記計量装置の測定結果を表す画像を前記選択画面に表示させるようにしてもよい。
【0015】
この構成により、本発明の重量測定装置は、計量装置の選択肢を表す画像に対応させて、計量装置の測定結果を表す画像を選択画面に表示させることによって、未検定状態又は検定済状態に設定する対象として選択しようとしている計量装置に、重量が既知の分銅などの基準物体の重量を計測させることで、選択しようとしている計量装置が誤っていないかを選択画面で確認させることができる。
【0016】
本発明の重量選別装置は、上記重量測定装置を備え、前記重量測定装置によって重量が測定された物品を前記重量測定装置の測定結果に応じて選別するように構成されている。
【0017】
この構成により、本発明の重量選別装置は、複数の計量装置に対して検定を個別に独立して行うことが可能なことにより、不具合が生じたことにより検定が必要な計量装置があったとしても、検定済みの計量装置を使用することができるため、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、複数の計量装置のうち一部の計量装置に不具合が生じた状態であっても使用することができる重量測定装置及び重量選別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の側面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の平面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の正面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の制御ブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示される監視画面の表示例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示される封印設定画面の表示例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示される全ライン封印設定画面の表示例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示される個別ライン封印設定画面の表示例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示されるライン選択画面の表示例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る重量選別装置の表示装置に表示される本体コンベア速度上限値登録画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては、本発明に係る重量測定装置を重量選別装置に適用した例について説明する。
【0021】
図1に示すように、重量選別装置1は、支持台2と、支持台2の上部に設けられた搬送装置3と、搬送装置3の搬送方向に開口し、搬送装置3の上面及び側方を覆うカバー5とを有する。図1において、重量選別装置1は、カバー5の図中前面側の側面が除かれた状態で示されている。
【0022】
図2に示すように、搬送装置3は、搬送方向に並列に設けられた複数の搬送ユニット4a~4fを有する。図2において、重量選別装置1は、カバー5が除かれた状態で示されている。
【0023】
本実施の形態では、重量選別装置1に6基の搬送ユニットが設けられているものとして説明するが、本発明における重量選別装置は、2基以上の搬送ユニットが設けられていればよい。以下、各搬送ユニット4a~4fを総称して「搬送ユニット4」ともいう。
【0024】
搬送ユニット4は、重量選別装置1の外部に設置された図示しない充填機から供給された物品を受け入れて挙動を安定させる助走部10aと、助走部10aから搬送された物品の重量が測定される測定部10bと、測定部10bから搬送された物品を選別する選別部10cとを有する。助走部10a、測定部10b及び選別部10cは、物品をベルトに載せて搬送するベルトコンベアによってそれぞれ構成されている。
【0025】
図1において、搬送ユニット4は、助走部10a、測定部10b及び選別部10cを構成するベルトコンベアをそれぞれ駆動させるモータ11a~11cを有する。搬送ユニット4には、測定部10bによって搬送されている物品の重量を測定する計量装置12が設けられている。
【0026】
本実施の形態において、計量装置12は、電磁力平衡方式の秤によって構成される。計量装置12は、測定結果に応じた重量測定信号を出力する。なお、計量装置12は、電気抵抗線式の秤によって構成してもよい。
【0027】
選別部10cは、測定部10b側の端部を中心に、水平状態(図中、符号13aで示す位置)から下方に傾斜した下方傾斜状態(図中、符号13bで示す位置)との間で揺動可能に設けられている。
【0028】
図3に示すように、選別部10cには、選別部10cを揺動させるアクチュエータ14が設けられている。アクチュエータ14は、選別部10cを水平状態と下方傾斜状態との間で選別部10cの状態を切り替える。
【0029】
図1及び図3において、助走部10aと測定部10bとの間の上方に当たるカバー5の内面には、助走部10aから測定部10bに搬送される物品を検出するセンサ15が設けられている。
【0030】
図4に示すように、重量選別装置1は、各搬送ユニット4a~4fに設けられた制御用基板20a~20fと、制御用基板20a~20fを制御する制御ユニット21とを有する。以下、各制御用基板20a~20fを総称して「制御用基板20」ともいう。
【0031】
制御用基板20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、登録商標)と、入出力ポートと、通信ポートとを有する。制御用基板20のCPUは、ROM又はEEPROMに格納されたプログラムを実行することにより機能する。
【0032】
制御用基板20の入出力ポートには、モータ11a~11c、計量装置12、アクチュエータ14及びセンサ15が接続されている。なお、図4においては、制御用基板20aの入出力ポートにモータ11a~11c、計量装置12、アクチュエータ14及びセンサ15が接続されていることが示されているが、制御用基板20b~20fの入出力ポートにも、それぞれ対応するモータ11a~11c、計量装置12、アクチュエータ14及びセンサ15が制御用基板20aの入出力ポートと同様に接続されている。
【0033】
制御用基板20は、測定部10bによって搬送されている物品の重量が規定範囲内であるか否かに応じて、物品の搬送先を切り替えるようにアクチュエータ14を制御する。具体的には、制御用基板20は、センサ15によって物品が検出されてから設定時間が経過したときに、計量装置12から出力されている重量測定信号に応じた重量データに基づいて、測定部10bによって搬送されている物品の重量が規定範囲内であるか否かを判定する。
【0034】
制御用基板20のEEPROMには、測定部10bの搬送速度に対する秤量部速度係数及び計量装置12の感度校正データなど計量装置12に関するラインパラメータが格納されている。制御用基板20は、EEPROMに格納されたラインパラメータに基づいて設定時間を決定する。
【0035】
制御用基板20は、測定部10bによって搬送されている物品の重量が規定範囲内であると判定した場合には、アクチュエータ14を制御することにより、該当する搬送ユニット4の選別部10cを水平状態にする。
【0036】
制御用基板20は、測定部10bによって搬送されている物品の重量が規定範囲内でないと判定した場合には、アクチュエータ14を制御することにより、該当する搬送ユニット4の選別部10cを下方傾斜状態にする。
【0037】
これにより、重量が規定範囲内の物品は、選別部10cから水平方向に搬送され、重量が規定範囲外の物品は、選別部10cから下方向に搬送される。なお、制御用基板20は、重量が規定範囲内の物品を選別部10cから下方向に搬送し、重量が規定範囲外の物品を選別部10cから水平方向に搬送するようにアクチュエータ14を制御するようにしてもよい。
【0038】
制御ユニット21は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、ハードディスク装置と、入出力ポートと、通信ポートとを有するコンピュータユニットによって構成されている。このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、コンピュータユニットを制御ユニット21として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0039】
すなわち、CPUがROM及びハードディスク装置に格納されたプログラムをRAMに読み込み、RAMに読み込んだプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御ユニット21として機能する。
【0040】
制御ユニット21の入出力ポートには、表示装置22と入力装置23とが接続されている。本実施の形態において、表示装置22と入力装置23とは、タッチパネルユニット24によって一体に構成されている。本実施の形態において、タッチパネルユニット24は、カバー5の上面に設けられている(図1参照)。
【0041】
制御ユニット21と各制御用基板20とは、通信ポートを介して接続されている。制御ユニット21は、通信ポートを介して各制御用基板20を制御する。例えば、制御ユニット21は、各制御用基板20に接続された計量装置12の感度を一括又は個別に校正することができる。
【0042】
制御ユニット21のハードディスク装置には、使用計量範囲上下限値及び本体コンベア速度上限値など使用範囲に関する使用範囲パラメータと、目量、小数点位置など質量表示に関わる表示パラメータと、オートゼロセット範囲などゼロセットに関わるゼロセットパラメータと、測定部10bのコンベア長など計量装置12に関する各搬送ユニット4共通の計量パラメータとを含む装置パラメータが格納されている。
【0043】
また、制御ユニット21のハードディスク装置には、各制御用基板20のEEPROMに格納されたラインパラメータも格納されている。制御ユニット21は、重量選別装置1の電源投入時に各制御用基板20のEEPROMに格納されたラインパラメータを読み出し、制御用基板20毎(すなわち、計量装置12毎)にラインパラメータをハードディスク装置に格納する。
【0044】
制御ユニット21は、ラインパラメータを制御用基板20単位で変更することができる。ラインパラメータを変更した場合には、制御ユニット21は、制御ユニット21のハードディスク装置に格納されたラインパラメータと、該当する制御用基板20のEEPROMに格納されたラインパラメータとを更新する。
【0045】
各制御用基板20から制御ユニット21には、計量装置12による物品の測定結果、及び、物品の重量が規定範囲内であるか否かの判定結果などを表す情報が送信される。制御ユニット21は、各制御用基板20から受信した情報に基づいて、監視画面を表示装置22に表示させる。
【0046】
図5に示すように、制御ユニット21は、計量装置12による物品の測定結果、及び、物品の重量が規定範囲内であるか否かの判定結果を表す測定結果画像30を計量装置12毎に監視画面に表示させる。
【0047】
重量選別装置1は、特定計量器として計量法に規定される構造または器差の技術基準に適合しているかを判断するための検定に合格する必要がある。また、重量選別装置1は、複数の計量装置12を有するため、各計量装置12に対して検定が行われる。
【0048】
複数の計量装置12のうち一部の計量装置12に不具合が生じた場合には、不具合が生じた計量装置12の調整や交換が行われて、検定に合格するまで、重量選別装置1が使用できなくなってしまう。
【0049】
このため、重量選別装置1は、各計量装置12に対して、検定を個別に独立して行うことが可能に構成されている。具体的には、制御ユニット21は、各計量装置12に対して、検定に合格していない未検定状態と、検定に合格している検定済状態とのいずれかの検定状態を個別に独立して設定することができるように構成されている。
【0050】
制御ユニット21は、重量選別装置1の検定状態と、各計量装置12の検定状態とをハードディスク装置に格納する。また、各制御用基板20は、該当する計量装置12の検定状態をEEPROMに格納する。
【0051】
例えば、搬送ユニット4aに設けられた計量装置12に不具合が生じた場合、搬送ユニット4aに設けられた計量装置12の検定状態が未検定状態に設定され、重量選別装置1の検定状態と、搬送ユニット4b~4fに設けられた各計量装置12の検定状態は、検定済状態に維持される。したがって、搬送ユニット4aに設けられた計量装置12を使用しない限り、重量選別装置1は、使用することができる。
【0052】
重量選別装置1の電源投入時には、制御ユニット21は、重量選別装置1の電源投入時に各制御用基板20のEEPROMに格納された検定状態を読み出し、制御用基板20毎(すなわち、計量装置12毎)にハードディスク装置に格納された検定状態を更新する。
【0053】
重量選別装置1が検定済状態の場合、装置パラメータの変更、各制御用基板20に接続された計量装置12の感度を一括又は個別に校正する機能の実行、検定状態のログを表す来歴のクリア、及び、全ての制御用基板20のラインパラメータの変更が禁止される。
【0054】
一方、重量選別装置1が未検定状態の場合、装置パラメータの変更、各制御用基板20に接続された計量装置12の感度を一括又は個別に校正する機能の実行、検定状態のログを表す来歴のクリア、及び、全ての制御用基板20のラインパラメータの変更が許可される。
【0055】
計量装置12が検定済状態の場合、計量装置12の感度を校正する機能の実行、及び、該当する制御用基板20のラインパラメータの変更が禁止される。一方、計量装置12が未検定状態の場合、計量装置12の感度を校正する機能の実行、及び、該当する制御用基板20のラインパラメータの変更が許可される。
【0056】
このように、重量選別装置1又は計量装置12が検定済状態の場合、すなわち、重量選別装置1が通常に使用されている状態では、検定済状態に設定されている重量選別装置1又は計量装置12の調整に関する処理が禁止される。このため、以下の説明において、「検定済状態」にすることを「封印」ともいう。
【0057】
一方、重量選別装置1又は計量装置12が未検定状態の場合、すなわち、重量選別装置1又は計量装置12の一部が使用できない状態では、重量選別装置1又は使用できない計量装置12の調整に関する処理が許可される。このため、以下の説明において、「非検定済状態」にすることを「封印」の「解除」ともいう。
【0058】
図5において、制御ユニット21は、複数の搬送ユニット4a~4fにそれぞれ設けられた計量装置12のなかで未検定状態に設定された、すなわち、封印が解除された計量装置12がある場合には、警告画像を監視画面の少なくとも一部に表示させる。本実施の形態において、制御ユニット21は、監視画面に常に表示されている「?」マークのアイコン31を点滅させて警告画像として表示させる。
【0059】
このように、警告画像を監視画面の少なくとも一部に表示させることにより、封印が解除された計量装置12が使用されている可能性があることを報知することができる。また、警告画像を監視画面の少なくとも一部に表示させることにより、重量選別装置1を保守する保守員が計量装置12を調整又は交換した後に、計量装置12を調整又は交換した計量装置12を封印することを忘れている場合に、封印することを忘れていることを報知することができる。
【0060】
以下、重量選別装置1又は計量装置12の封印及び封印の解除について、制御ユニット21によって表示装置22に表示される画面の表示例を参照しながら説明する。
【0061】
例えば、搬送ユニット4に設けられた計量装置12に不具合が生じた場合、保守員によって重量選別装置1又は計量装置12の封印の解除が行われる。制御ユニット21は、監視画面から移行可能な認証画面を表示装置22に表示させることにより、保守員を認証する。
【0062】
本実施の形態において、認証は、パスワード認証によって行われる。なお、認証は、ICタグ、二次元バーコード認証、指紋認証、顔認証、虹彩認証、又は、これらの組み合せによって行うようにしてもよい。
【0063】
認証が完了すると、制御ユニット21は、図6に示すような封印設定画面を表示装置22に表示させる。封印設定画面では、重量選別装置1(以下、「全ライン」ともいう)の封印/解除と、計量装置12(以下、「ライン」ともいう)を選択して封印/解除との何れかを選択することができる。
【0064】
封印設定画面において、全ラインの封印/解除が選択されると、制御ユニット21は、図7に示すような全ライン封印設定画面を表示装置22に表示させる。全ライン封印設定画面は、全ラインを封印するか、全ラインの封印を解除するかを選択することができる。
【0065】
全ライン封印設定画面において、全ラインの封印の解除が選択されると、制御ユニット21は、全ラインの封印を解除する。すなわち、制御ユニット21は、重量選別装置1及び全ての計量装置12の封印が解除される。
【0066】
全ライン封印設定画面において、全ラインの封印が選択されると、制御ユニット21は、全ラインを封印する。すなわち、制御ユニット21は、重量選別装置1及び全ての計量装置12が封印される。
【0067】
図6に示した封印設定画面において、ラインを選択して封印/解除が選択されると、制御ユニット21は、図8に示すような個別ライン封印設定画面を表示装置22に表示させる。個別ライン封印設定画面は、ラインを選択して封印するか、ラインを選択して封印を解除するかを選択することができる。
【0068】
個別ライン封印設定画面において、ラインを選択して封印及びラインを選択して封印の解除のいずれか選択されると、制御ユニット21は、図9に示すようなライン選択画面を表示装置22に表示させる。
【0069】
ライン選択画面において、制御ユニット21は、ラインの選択肢を表す画像に対応させて、計量装置12の測定結果を表す画像をライン選択画面に表示させる。このように、ラインの選択肢を表す画像に対応させて、計量装置12の測定結果を表す画像をライン選択画面に表示させることによって、未検定状態又は検定済状態に設定する対象として選択しようとしているラインの計量装置12に、重量が既知の分銅などの基準物体の重量を計測させることで、選択しようとしているラインが誤っていないかを保守員に確認させることができる。
【0070】
ライン選択画面において、ラインが選択されると、制御ユニット21は、図8に示した個別ライン封印設定画面における選択結果に応じて、図9に示したライン選択画面で選択されたラインを封印、又は、選択されたラインの封印を解除する。すなわち、制御ユニット21は、選択された計量装置12を封印、又は、選択されたラインの封印を解除する。
【0071】
重量選別装置1又は計量装置12の封印が解除されている期間に、封印が解除されている計量装置12の調整や交換が行われる。例えば、重量選別装置1の封印が解除されている期間には、装置パラメータの変更、各制御用基板20に接続された計量装置12の感度を一括又は個別に校正する機能の実行、検定状態のログを表す来歴のクリア、及び、全ての制御用基板20のラインパラメータの変更が許可される。また、計量装置12の封印が解除されている期間には、計量装置12の感度を校正する機能の実行、及び、該当する制御用基板20のラインパラメータの変更が許可される。
【0072】
例えば、重量選別装置1の封印が解除されている期間には、制御ユニット21は、図10に示すような本体コンベア速度上限値を設定する本体コンベア速度上限値登録画面などのように、装置パラメータを変更する画面を表示装置22に表示させることを許可する。
【0073】
重量選別装置1又は計量装置12が封印された後、検定員によって封印が解除されていた計量装置12の検定が行われ、検定に合格しなかった計量装置12があった場合には、保守員によって、検定に合格しなかった計量装置12の封印が解除され、封印が解除されている計量装置12の調整や交換が行われて再度封印される。
【0074】
なお、重量選別装置1は、重量選別装置1を含む複数の検査装置を一元管理するホストコンピュータに接続可能である。重量選別装置1は、ホストコンピュータからの指示に応じて、重量選別装置1又は計量装置12の封印、重量選別装置1又は計量装置12の封印の解除、装置パラメータの変更、及び、ラインパラメータの変更などを実行するようにしてもよい。
【0075】
以上に説明したように、本実施の形態は、複数の計量装置12に対して検定を個別に独立して行うことが可能なことにより、不具合が生じたことにより検定が必要な計量装置12があったとしても、検定済みの計量装置12を使用することができるため、複数の計量装置12のうち一部の計量装置12に不具合が生じた状態であっても使用することができる。
【0076】
また、本実施の形態は、不具合が生じたことにより未検定状態に設定された計量装置12があったとしても、検定済状態の計量装置12を使用することができるため、複数の計量装置12のうち一部の計量装置12に不具合が生じた状態であっても使用することができる。
【0077】
また、本実施の形態は、複数の計量装置12のなかで未検定状態に設定された計量装置12がある場合には、警告画像を監視画面の少なくとも一部に表示させることによって、未検定状態に設定された計量装置12が使用されている可能性があることを報知することができる。
【0078】
また、本実施の形態は、計量装置12の選択肢を表す画像に対応させて、計量装置12の測定結果を表す画像をライン選択画面に表示させることによって、未検定状態又は検定済状態に設定する対象として選択しようとしている計量装置12に、重量が既知の分銅などの基準物体の重量を計測させることで、選択しようとしている計量装置12が誤っていないかを選択画面で確認させることができる。
【0079】
以上、本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が特許請求の範囲に記載された請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0080】
1 重量選別装置
12 計量装置
21 制御ユニット
22 表示装置
23 入力装置
30 測定結果画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10