(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061338
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】媒体支持装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 16/06 20060101AFI20240425BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65H16/06 B
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169226
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】戸松 義也
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060BA06
3F052AB05
3F052BA15
3F052BA19
3F052BA20
(57)【要約】
【課題】従来よりも簡単な操作により、媒体を安定して固定できる媒体支持装置及び印刷装置を提供すること。
【解決手段】媒体支持装置5は軸部18、フランジ6、レバー100、スリーブ9、弾性体、第一支持部材、及び第二支持部材を備える。スリーブ9はフランジ6と軸部18との各々に取り外し可能に連結する。第一支持部材は当接部分と、レバー100がロック位置にある場合に、弾性体による近接方向の力を軸部に伝達してスリーブ9の移動を規制する規制部分を備える。第二支持部材は第一部分、第二部分、及び第三部分を備える。第一部分は、当接部分よりも離隔方向において第一方向に延び、固定部と、押圧部と、カム当接部とを有する。第二部分は、レバー100がロック位置にある場合に当接部分と離隔し、レバー100が解除位置にある場合に当接部分と当接する。第三部分は、第一部分と第二部分とを連結する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に延び、長尺状の媒体が巻回されたロールの紙管が挿通される軸部と、
前記軸部よりも前記第一方向に交差する第二方向に突出し、前記軸部に挿通された前記ロールの前記第一方向の一端側の位置を規定するフランジと、
ロック位置と解除位置との間で回転軸周りに回転可能に前記フランジに支持されるカムを有するレバーと、
前記軸部に対し前記第一方向に移動可能に前記軸部に挿通される軸挿通部が形成され、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記カムと当接して、前記フランジと前記軸部との各々に取り外し可能に連結するスリーブと、
弾性体と、
前記スリーブに設けられた第一支持部材であって、
前記第二方向において前記弾性体の一端部と当接して、前記弾性体より前記軸部に向かう近接方向の力を受ける当接部分と、
前記当接部分と連結し、前記レバーが前記ロック位置にある場合に、前記弾性体による前記近接方向の前記力を前記軸部に伝達することで、前記スリーブが前記軸部に対して移動することを規制する規制部分と
を有する前記第一支持部材と、
第二支持部材であって、
前記当接部分よりも前記軸部から離れる離隔方向において前記第一方向に延び、前記第一方向の他端側に設けられた前記スリーブに固定される固定部と、前記弾性体の他端部と当接して前記弾性体から前記離隔方向の力を受ける押圧部と、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記カムと当接する、前記第一方向の前記一端側に設けられたカム当接部とを有する第一部分と、
前記第二方向において前記当接部分と前記軸部との間で、前記当接部分と対向して前記第一方向に延び、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記当接部分と離隔し、前記レバーが前記解除位置にある場合に前記当接部分と当接する第二部分と
前記第二方向に延び、前記第一部分と前記第二部分とを連結する第三部分と
を有する前記第二支持部材と
を備えることを特徴とする媒体支持装置。
【請求項2】
前記弾性体は前記第二方向に圧縮されるコイルバネであることを特徴とする請求項1に記載の媒体支持装置。
【請求項3】
前記第二支持部材は、前記第一部分、前記第二部分、及び前記第三部分により、前記第一方向に凹む凹部が形成されたU字状であり、
前記弾性体は前記凹部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項4】
前記規制部分は、前記当接部分の前記第一方向の前記一端側の端部から前記近接方向に延びることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項5】
前記レバーを前記ロック位置から前記解除位置に向かう方向に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項6】
前記第一部分は、前記カム当接部よりも前記第一方向の前記他端側において前記近接方向に凹み、
前記レバーが前記ロック位置にある時、前記カムは、前記回転軸よりも前記第一方向の前記一端側において前記カム当接部と当接し、前記レバーが前記解除位置から前記ロック位置に向かう方向の力を前記カム当接部から受けることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項7】
前記第一支持部材には、前記第二支持部材を挿通する第二支持部材挿通部が形成され、
前記第二支持部材は、前記第二支持部材挿通部に挿通されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項8】
前記規制部分の前記近接方向の端部は、前記軸部の外周形状に沿った円弧状であり、
前記レバーが前記ロック位置にある時、前記軸部に当接して前記弾性体による前記近接方向の前記力を前記軸部に伝達することを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項9】
前記スリーブは、前記近接方向に凹み、前記第一支持部材、前記第二支持部材、及び前記弾性体を配置する収容部を有し、
前記レバーが前記ロック位置に配置される場合、前記カムは、前記収容部と前記第二支持部材の前記第一部分とともに形成される凹部内において前記カム当接部と、前記スリーブとの各々に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項10】
前記軸挿通部の内周面は、前記軸部と当接する内周当接部を有し、
前記第一支持部材の前記当接部分は、前記第一方向の前記他端側に、前記スリーブに支持される支持部を有し、
前記レバーが前記ロック位置にある時、前記支持部は前記スリーブを前記近接方向に押圧して、前記内周当接部は前記軸部を前記近接方向に押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項11】
前記軸部よりも前記第二方向に突出し、前記軸部に挿通された前記ロールの前記第一方向の前記他端側の位置を規定する他端側フランジと
前記他端側フランジと前記軸部に連結する他端側スリーブと、
前記スリーブの外周に設けられ、前記ロールの前記紙管が前記軸部に挿通された場合に、前記紙管の内周面を前記紙管の外周面側に付勢する、複数の第一当接部と、
前記他端側スリーブの外周に設けられ、前記ロールの前記紙管が前記軸部に挿通された場合に、前記紙管の前記内周面を前記紙管の前記外周面側に付勢する、複数の第二当接部であって、前記軸部に対し前記複数の第一当接部と同じ位相で設けられた前記複数の第二当接部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体支持装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の媒体支持装置と、
前記媒体支持装置の前記軸部と取り外し可能に連結する駆動軸を有し、前記駆動軸を回動する駆動部と、
前記媒体支持装置を収容する装置収容部と
を備えることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体支持装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置にロール状に巻回された長尺の媒体を供給する媒体支持装置が種々開発されている(例えば、特許文献1)。媒体支持装置は、フランジ、ノブ、スクリューシャフト、紙管挿入軸、及びブレードを備え、ユーザによるノブの回転に応じて、スクリューシャフトを回転させ、ブレードを紙管挿入軸の外周に等間隔で設けたスリットから突出させる。スリットからを紙管挿入軸の外側に突出したブレードは、紙管挿入軸に挿通されたロールの軸芯をなす紙管の内周に当接し、紙管を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の媒体支持装置では、紙管を固定するためのノブの操作が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、従来よりも簡単な操作により、媒体を安定して固定できる媒体支持装置及び印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る媒体支持装置は、第一方向に延び、長尺状の媒体が巻回されたロールの紙管が挿通される軸部と、前記軸部よりも前記第一方向に交差する第二方向に突出し、前記軸部に挿通された前記ロールの前記第一方向の一端側の位置を規定するフランジと、ロック位置と解除位置との間で回転軸周りに回転可能に前記フランジに支持されるカムを有するレバーと、前記軸部に対し前記第一方向に移動可能に前記軸部に挿通される軸挿通部が形成され、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記カムと当接して、前記フランジと前記軸部との各々に取り外し可能に連結するスリーブと、弾性体と、前記スリーブに設けられた第一支持部材であって、前記第二方向において前記弾性体の一端部と当接して、前記弾性体より前記軸部に向かう近接方向の力を受ける当接部分と、前記当接部分と連結し、前記レバーが前記ロック位置にある場合に、前記弾性体による前記近接方向の前記力を前記軸部に伝達することで、前記スリーブが前記軸部に対して移動することを規制する規制部分とを有する前記第一支持部材と、第二支持部材であって、前記当接部分よりも前記軸部から離れる離隔方向において前記第一方向に延び、前記第一方向の他端側に設けられた前記スリーブに固定される固定部と、前記弾性体の他端部と当接して前記弾性体から前記離隔方向の力を受ける押圧部と、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記カムと当接する、前記第一方向の前記一端側に設けられたカム当接部とを有する第一部分と、前記第二方向において前記当接部分と前記軸部との間で、前記当接部分と対向して前記第一方向に延び、前記レバーが前記ロック位置にある場合に前記当接部分と離隔し、前記レバーが前記解除位置にある場合に前記当接部分と当接する第二部分と、前記第二方向に延び、前記第一部分と前記第二部分とを連結する第三部分とを有する前記第二支持部材とを備える。
【0007】
第一態様の媒体支持装置は、レバーをロック位置と解除位置とに回動するという比較的簡単な操作により、スリーブを軸部及びフランジに対して固定できる。レバーが解除位置にある場合、第二支持部材の第二部分が第一支持部材の当接部分と当接して、カムから近接方向の力を受けることで、第一支持部材の規制部分が弾性体による近接方向の力を軸部に伝達することを抑制する。レバーが解除位置にある場合、スリーブは軸部に対し第一方向に移動可能である。一方、レバーがロック位置にある場合、カムはスリーブと第一部分のカム当接部との各々と当接する。カム当接部はカムから近接方向の力を受けて弾性体による離隔方向の力に抗して近接方向に移動し、第二支持部材の第二部分が第一支持部材の当接部分と離隔して、規制部分が弾性体による近接方向の力を軸部に伝達する。レバーがロック位置にある場合、スリーブは軸部に対し第一方向に移動することが規制され、スリーブはフランジと軸部との各々に取り外し可能に連結する。媒体支持装置は、レバーがロック位置に配置された場合に軸部に加えられる力を弾性体により規定でき、軸部に加えられる力を安定させやすい。故に媒体支持装置のレバー、第一支持部材、第二支持部材、及び弾性体は、従来よりも簡単な操作により、媒体を安定して固定することに貢献する。
【0008】
本発明の第二態様に係る印刷装置は、第一態様の媒体支持装置と、前記媒体支持装置の前記軸部と取り外し可能に連結する駆動軸を有し、前記駆動軸を回動する駆動部と、前記媒体支持装置を収容する装置収容部とを備える。第二態様の印刷装置は、第一態様の媒体支持装置と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】(A)は、
図6(A)のA-A線における媒体支持装置5の矢視方向とは反対方向の断面図であり、(B)は、紙管Cに軸部18が挿通された場合の、
図4(A)のスリーブ75近傍を拡大した図である。
【
図5】
図6(A)のA-A線における媒体支持装置5の矢視方向断面図である。
【
図6】(A)は、第一フランジ6と第二フランジ7との距離が最も小さい場合の媒体支持装置5の背面図であり、(B)は、第一フランジ6と第二フランジ7との距離が最も大きい場合の媒体支持装置5の背面図である。
【
図7】第一フランジ6が取り外された、媒体支持装置5の斜視図である。
【
図8】第一支持部材48、第二支持部材96、弾性体47、及びネジ部材10の斜視図である。
【
図9】第一支持部材48、第二支持部材96、弾性体47、及びネジ部材10の分解斜視図である。
【
図10】第一支持部材48、第二支持部材96、弾性体47、及びネジ部材10の右側面図である。
【
図11】(A)は、レバー100がロック位置に配置された場合の媒体支持装置5の断面図であり、(B)は、レバー100が解除位置に配置された場合の媒体支持装置5の断面図である。
【
図12】(A)は、レバー100がロック位置に配置された場合の第一フランジ6、スリーブ9、及びネジ部材10の斜視図であり、(B)は、レバー100が解除位置に配置された場合の第一フランジ6、スリーブ9、及びネジ部材10の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る印刷装置1について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、
図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、印刷装置1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。左右方向を軸方向K、幅方向Wとも言う。
【0011】
図1及び
図2を参照して、印刷装置1の概略構成を説明する。
図1に示すように、印刷装置1は、筐体2、表示部3、及び操作部4を備える。筐体2は、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、下壁27、上壁28、及びカバー23を有する。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体2には、排出口21及び開口22が形成される。排出口21は、筐体2の前壁24に、正面視左右方向に長い矩形状に形成される。開口22は、筐体2の右壁25の後下部に、右側面視矩形状に形成される。カバー23は、右側面視矩形状の板であり、
図1中実線で図示する、開口22を塞ぐ閉位置と、
図1中一点鎖線で図示する、開口22を解放する開位置とに回動可能に筐体2の右側面の後下部に支持される。表示部3は、筐体2の前壁24の前面右上部に設けられ、画像を表示する。操作部4は、筐体2の前壁24の前面右上部のうち、表示部3の下方に設けられ、各種指示を入力する複数のボタンである。表示部3及び操作部4は、排出口21の上方に設けられる。
【0012】
図2に示すように、印刷装置1は、筐体2の内部に、装置収容部30、媒体支持装置5、マガジン39、複数の搬送部31から34、張力付与部36、印刷部37、及び定着ユニット40を収容する。印刷装置1は、長尺状の媒体Mに印刷を行うインクジェットプリンタである。媒体Mは、例えば、
図4(B)に示す筒状の紙管Cにロール状に巻回された長尺状である。装置収容部30は、
図1に実線で示す閉位置にあるカバー23の左方、且つ、印刷装置1の後下部の、
図2に示す隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。装置収容部30は、媒体支持装置5、及びマガジン39を収容する。媒体支持装置5は、ロールRの紙管Cに挿通され、ロールRを支持する。マガジン39は、正面視U字状の支持台である。マガジン39は、媒体支持装置5の左右両端部を、媒体支持装置5が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。媒体支持装置5は、マガジン39に取り外し可能に支持される。マガジン39は、印刷装置1に取り外し可能に支持される。ユーザはロールRを交換する場合、
図1に示すカバー23を開位置に配置して、
図2に示すマガジン39を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。隔壁55は、筐体2の下壁27から上方に延びる第一壁部56と、第一壁部56の上端から後方に延びる第二壁部57とを有し、筐体2の内部空間を仕切る。第二壁部57は、筐体2の後壁26と前後方向に離隔する。
【0013】
印刷部37は、装置収容部30に収容されたロールRから供給される媒体Mに画像を印刷する。本実施形態の印刷部37は、液体Gを吐出方向に吐出する複数のノズル38を備え、複数のノズル38から液体Gを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行うインクジェットヘッドである。本実施形態の吐出方向は下方であり、印刷部37は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル38が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、装置収容部30から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。液体Gは、図示しないチューブを介して筐体2の内部に配置されたタンク20から印刷部37に供給される。
【0014】
搬送部31は、搬送部32よりも搬送方向Fの下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。本実施形態の搬送部31は、装置収容部30の媒体支持装置5と取り外し可能に係合する。搬送部31は、装置収容部30に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mを印刷部37に向けて繰り出させる。本実施形態の搬送部31は、装置収容部30に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。
【0015】
搬送部32は、媒体Mを装置収容部30から印刷部37に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは装置収容部30から印刷部37に向かう搬送経路Qに沿った方向である。搬送方向Fは、ロールRの回転軸の延設方向である左右方向に交差する方向であり、搬送経路Q上の位置に応じて変化する方向である。装置収容部30から張力付与部36までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、媒体Mの残量が初期値、即ち、ロールR交換直後の残量値である場合、概ね上方である。張力付与部36から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。即ち印刷装置1では、媒体Mが張力付与部36に当接する部分で屈曲し、搬送方向Fが上方から前方に変化する。
【0016】
搬送部32は、左右方向に延びる軸周りに回転する搬送ローラ321と、左右方向に延びる軸周りに回転するピンチローラ322とを有し、ローラ321、322で媒体Mを装置収容部30から印刷部37に向かう搬送方向Fにニップ搬送する。搬送部32は印刷部37よりも搬送方向Fの上流側、且つ、装置収容部30に対し搬送方向下流側に設けられる。即ち搬送部32は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、印刷部37と、装置収容部30との間に設けられる。張力付与部36は、搬送経路Qにおいて、装置収容部30と搬送部32との間の媒体Mに媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力を付与する。
【0017】
搬送部33は、印刷部37の下方、且つ、搬送部32に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部33は、駆動ローラ331、従動ローラ332、及び無端ベルト333を備える。駆動ローラ331と、従動ローラ332とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト333は、駆動ローラ331と、従動ローラ332とに掛け渡される。無端ベルト333の回転に伴い、従動ローラ332が回転する。無端ベルト333の外周面の上端は、搬送部32により媒体Mがニップされるニップ点89の上下位置と略同じであり、印刷部37の複数のノズル38と対向する。無端ベルト333の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部32と、搬送部34との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト333に吸着させた状態で搬送する。
【0018】
定着ユニット40は、印刷部37に対し搬送方向下流側且つ搬送部34に対し搬送方向上流側に配置される。定着ユニット40は、ハロゲンヒータであり、ハロゲンランプ41、反射板42、及び筐体43を有する。筐体43の下壁には、左右方向に沿った開口44が形成されている。定着ユニット40は、開口44を通じて赤外光を輻射し、開口44の直下を通過する媒体Mを加熱する。これにより、印刷部37により媒体M上に吐出された液体Gは媒体Mに定着する。
【0019】
搬送部34は、印刷部37及び定着ユニット40に対し搬送方向下流側、且つ排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部34は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ341と、ピンチローラ342とを有し、搬送ローラ341と、ピンチローラ342とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0020】
印刷装置1において、印刷処理が実行される場合、印刷装置1の制御部は、搬送部31から34を駆動して、媒体Mを搬送する。印刷装置1は、張力付与部36により媒体Mに張力が付与されるように搬送部31、32の駆動量を調整する。印刷装置1の制御部は、媒体Mの搬送と同期して印刷部37を駆動して、媒体Mに液体Gを吐出する。印刷装置1の制御部は、ハロゲンランプ41を駆動して、媒体M上の液体Gを媒体Mに定着させる。媒体Mは排出口21から筐体2の外部に排出される。
【0021】
図3を参照して、媒体支持装置5の説明をする。
図3に示すように、媒体支持装置5は、軸部8、ネジ部材10、スリーブ9、第一フランジ6、レバー100、第二フランジ7、及びスリーブ75を備える。以下の説明では軸部8の回転中心を軸心Jとも言い、軸心J周りの方向を周方向と言う。軸心Jの延設方向を軸方向Kと言い、軸心Jと垂直な方向のうちの軸心Jから離れる方向を径方向又は離隔方向と言う。軸心Jと垂直な方向のうちの軸心Jに近づく方向を近接方向と言う。本実施形態の軸方向Kは左右方向であり、軸方向一端側K1は右方であり、軸方向他端側K2は左方である。
【0022】
軸部8は、軸方向Kに延びる長尺状の媒体Mが巻回された、
図2に示すロールRの紙管Cに挿通される。軸部8は、ネジ部材10とともに、軸部18を構成する。軸部8の径は、紙管Cの挿通孔径よりも小さい。軸部8は、軸片81、82を備える。軸片81は軸心Jに対し前側に配置され、軸片82は軸心Jに対し後側に配置される。軸片81、82は前後方向に離隔する。軸片81、82は、右側面視、軸心Jを中心とする円弧状である。ネジ部材10は、軸部8に挿通され、軸方向Kに延びる軸心J周りに回動可能である。前後方向において、ネジ部材10は軸片81、82の間にある。軸片81、82の外周面には、軸方向Kに延びる複数の凸部83が設けられる。複数の凸部83は、軸片81、82の軸方向Kの中心よりも軸方向他端側K2に設けられる。ネジ部材10は、第一フランジ6と、第二フランジ7との軸方向Kの相対位置を変更可能である。スリーブ9は、ネジ部材10と螺合し、軸部8を挿通し、ネジ部材10に対して軸方向Kに移動可能である。
【0023】
第一フランジ6は、軸部8よりも軸方向Kに交差する方向に突出し、軸部8に挿通されたロールRの軸方向一端側K1の位置を規定する。第一フランジ6は、右側面視、正多角形状(正十六角形)の板状である。第一フランジ6の径は、ロールRの径よりも大きい。第一フランジ6は、第一対向面61、面62、外周面63、リブ64、固定部65、及び支持部171、172を備える。第一対向面61は、第一フランジ6の面のうちの軸方向他端側K2の面であって、ロールRが媒体支持装置5に装着された場合にロールR及び第二フランジ7と対向する。第一対向面61は、軸心Jに対し略垂直に延びる。面62は、第一対向面61とは反対側の面である。外周面63は、第一フランジ6の周方向の面である。リブ64は、面62から軸方向一端側K1に突出する。リブ64は、軸心Jを中心に放射線状に延びる。固定部65は、第一フランジ6のうちの、軸心J側の部分に設けられる。固定部65は面62よりも軸方向一端側K1に突出する。固定部65には、軸方向Kに貫通する孔60が形成される。孔60には、スリーブ9が挿通される。支持部171、172は、前後方向に延びる棒状の回転軸16を支持する。回転軸16は、固定部65の上方に位置する。支持部171、172は、回転軸16に挿通されたレバー100を回転軸16周りに揺動可能に支持する。支持部171は、固定部65の前上部から上方に延びる。支持部172は、固定部65の後上部から上方に延びる。回転軸16には、付勢部材17が外挿される。付勢部材17は、レバー100と、支持部172との間に配置されたねじりバネである。付勢部材17は、レバー100を背面視反時計回りに付勢する。第一フランジ6は、軸部8に対し取り外し可能である。本実施形態の第一フランジ6は、スリーブ9に対して取り外し可能に取付けられる。
【0024】
レバー100は、第一フランジ6がスリーブ9に対してロックされるロック位置と、第一フランジ6がスリーブ9に対するロックが解除され、第一フランジ6がスリーブ9から取り外し可能な状態になる解除位置とに変位可能である。レバー100がロック位置に配置されている場合、レバー100は第一フランジ6と略平行に配置される。レバー100が解除位置に配置されている場合、レバー100は第一フランジ6の面62に対し略垂直に配置される。
【0025】
第二フランジ7は、軸部8よりも軸方向Kに交差する方向に突出し、軸部8に挿通されたロールRの軸方向他端側K2の位置を規定する。第二フランジ7は、第一フランジ6と同様に、右側面視、正多角形状(正十六角形)の板状である。第二フランジ7の径は、ロールRの径よりも大きい。第二フランジ7は、第二対向面71及び外周面73を備える。第二対向面71は、ロールRと対向し、ロールRの紙管Cの軸方向他端側K2の側面と当接可能である。外周面73は、第二フランジ7の周方向の面である。第二フランジ7は、ネジ部材10と螺合し、軸部8を挿通し、ネジ部材10に対して軸方向Kに移動可能である。ロールシンクロドライブ120は、ネジ部材10の軸方向他端側K2の端部を軸心J周りに回転可能に支持する。
【0026】
スリーブ75は、ネジ部材10と係合する。スリーブ75には軸方向Kに貫通する孔76から78が形成される。孔76は軸心Jを含む部分に形成される。孔76にはネジ部材10が挿通される。孔77には軸片81が挿通され、孔78には軸片82が挿通される。孔76は孔77、78と互いに連通する。スリーブ75は第二フランジ7と一体に形成される。
【0027】
図4(A)に示すように、スリーブ75は、当接部85から87を備える。当接部85から87は各々同様の構成を有するため、当接部85を例に当接部85から86の構成を説明する。当接部85は、爪部851、852及び固定部853を備える、ステンレス鋼製の板バネである。固定部853は、周方向において、爪部851と爪部852との間に設けられた、スリーブ75に固定される部分である。固定部853は、当接部85の周方向の中心部に設けられ、当接部85は、当接部85の周方向の中心に対して対称である。爪部851、852は、周方向において固定部853から離れるほど、スリーブ75からの距離が大きくなる。当接部85は、右側面視緩やかなV字状である。爪部851の軸方向Kの一対の端部854は、軸部18側に折り曲げられている。爪部852の軸方向Kの一対の端部855は、軸部18側に緩やかに折り曲げられている。一対の端部854及び一対の端部855は、紙管Cの内周面を案内する。当接部85から87は各々、スリーブ75の外周に略等間隔で配置される。軸心Jから各当接部85から87までの距離は互いに同じである。当接部85は、軸心Jに対し上側に配置され、当接部86は、軸心Jに対し後下側に配置され、当接部87は、軸心Jに対し前下側に配置される。軸心Jから上方に延びる仮想線を基準として右側面視時計回りの方向の角度において、当接部85は0度の位置に設けられ、当接部86は120度の位置に設けられ、当接部87は240度の位置に設けられる。
図4(B)に示すように、当接部85から87は、ロールRの紙管Cに軸部18が挿通された場合、紙管Cの内周面と当接し、紙管Cの内周面を径方向に付勢する。紙管Cは、スリーブ75に当接又は僅かに離隔する。
【0028】
図5に示すように、第一フランジ6は、第一対向面61側に、固定部65、当接部67から69、側面当接部70、及びリブ58を備える。固定部65は第一対向面61よりも軸方向他端側K2に突出する。当接部67から69は各々、当接部85と同様の構成を有する。当接部67から69は各々、固定部65の外周に設けられ、ロールRの紙管Cの内周面と当接し、内周面を紙管Cの外周面側、つまり径方向に押圧可能なステンレス鋼製の板バネである。当接部67は、軸心Jに対し上側に配置され、当接部69は、軸心Jに対し前下側に配置され、当接部68は、軸心Jに対し後下側に配置される。軸心Jから上方に延びる仮想線を基準として左側面視反時計回りの方向の角度において、当接部67は0度の位置に設けられ、当接部68は120度の位置に設けられ、当接部69は240度の位置に設けられる。軸心Jから当接部67から69までの距離は各々、略同じである。軸心Jから当接部67から69までの距離は、軸心Jから当接部85から87までの距離と、略同じである。つまり、当接部67と当接部85、当接部68と当接部86、当接部69と当接部87の各々のペアは、軸部18に対し同じ位相で配置されている。軸部18に対し同じ位相とは、軸部18に対して所定方向を基準とした場合の角度の差の絶対値が5度未満の場合を言う。本実施形態の三組のペアの角度の差の絶対値は0である。側面当接部70は、第一対向面61から軸方向他端側K2に突出し、ロールRの紙管Cの軸方向一端側K1の側面と当接する。側面当接部70の外周は、当接部67から69の外周よりも径方向にある。リブ58は、第一対向面61から軸方向他端側K2に突出する。リブ58は、軸心Jを中心に放射線状に延びる。
【0029】
図6(A)に示すように、ロールシンクロドライブ120は、連結部121、凸部123、複数のノッチ124、及び鍔部125を備える。連結部121は、印刷装置1が有する、駆動部200と連結可能である。駆動部200は搬送部31の駆動源であり、例えば、パルスモータである。凸部123は、連結部121よりも径方向に位置し、且つ、連結部121よりも軸方向他端側K2に筒状に突出する。複数のノッチ124は各々、凸部123の外周面から径方向に突出する。複数のノッチ124は各々、軸方向Kに延びる。鍔部125は、ロールシンクロドライブ120の右端部に設けられる。鍔部125は、凸部123よりも径方向に突出する。
【0030】
ロールシンクロドライブ120は、軸部8と一体に形成される。軸部8はロールシンクロドライブ120の軸方向一端側K1の面から軸方向一端側K1に突出する。軸片81、82は、第二フランジ7の軸方向他端側K2から孔77、78に挿通される。ロールシンクロドライブ120は、駆動部200から伝達された動力を、軸部8を介して第一フランジ6、第二フランジ7、及びネジ部材10に伝達する。
【0031】
マガジン39は、台部161、右支持部162、及び左支持部163を備え、背面視U字状である。台部161は、水平方向に延びる板状である。右支持部162は、台部161の右端から上方に延び、媒体支持装置5の右端部を支持する。左支持部163は、台部161の左端から上方に延び、媒体支持装置5の左端部を支持する。媒体支持装置5は、
図2に示すロールRを支持し、軸方向Kに延びる軸心Jを中心に回動可能にマガジン39に支持される。
【0032】
図6(A)に示すように、第一フランジ6と、第二フランジ7との間の距離が最短になる最短位置に第一フランジ6と、第二フランジ7とが配置された場合、固定部65の左端は、スリーブ75の右端と当接する。
図6(B)に示すように、第一フランジ6と、第二フランジ7との間の距離が最長になる最長位置に第一フランジ6と、第二フランジ7とが配置された場合、第二フランジ7の面72は、ロールシンクロドライブ120の鍔部125に当接し、第一フランジ6の面62は、マガジン39の右支持部162から軸方向Kに離隔する。媒体支持装置5のユーザは、レバー100が解除位置にある場合に、第一フランジ6と第二フランジ7との距離を調整可能である。
【0033】
図7に示すように、ネジ部材10は、軸方向Kにおいて互いに異なる位置に位置する第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14を有する。第一ネジ溝部13及び第二ネジ溝部14は、ネジ部材10の外周12に形成される。本実施形態の第一ネジ溝部13及び第二ネジ溝部14は、軸方向Kに対して垂直、且つ、ネジ部材10の軸方向Kの中心部を通る仮想面Nに対して対称に配置される。つまり、第一ネジ溝部13の巻き方向は、第二ネジ溝部14の巻き方向の逆の方向である。第一ネジ溝部13のリードは、第二ネジ溝部14とリードとは互いに同じである。ネジ部材10の第一ネジ溝部13及び第二ネジ溝部14のリード角は各々、45度近傍、例えば、40度から50度の何れかに設定されている。
【0034】
スリーブ9は、位置決め部91、99、胴部92、及び収容部90を備える。スリーブ9は、例えば、POM(ポリオキシメチレン樹脂、又はポリアセタール樹脂)製である。位置決め部91は、スリーブ9の軸方向他端側K2端部において、胴部92よりも径方向に突出し、スリーブ9に対する第一フランジ6の軸方向他端側K2の位置を規定する。位置決め部99は、スリーブ9の軸方向一端側K1端部において、胴部92よりも上方向に突出し、スリーブ9に対する第一フランジ6の軸方向一端側K1の位置を規定する。胴部92は位置決め部91から軸方向一端側K1に筒状に延設される。スリーブ9には、軸方向Kに貫通する軸挿通部19が形成される。軸挿通部19は、孔93から95を含む。孔93は、軸心Jを含む部分に形成される。孔93にはネジ部材10が挿通される。孔94には軸部8の軸片81が挿通され、孔95には軸片82が挿通される。収容部90は、胴部92の上方に設けられた、平面視矩形状の開口が形成された近接方向に凹む部分である。収容部90の軸方向一端側K1の底面には、
図9に示す貫通孔970が形成されている。収容部90は、貫通孔970により、軸挿通部19の孔93と連通する。収容部90の軸方向他端側K2には、ネジ台座971が設けられる。ネジ台座971には上下方向に延びるネジ孔が形成される。
【0035】
図8に示すように、媒体支持装置5は弾性体47、第一支持部材48、及び第二支持部材96を備える。弾性体47、第一支持部材48、及び第二支持部材96は、スリーブ9の収容部90に配置される。弾性体47、第一支持部材48、及び第二支持部材96は、スリーブ9の収容部90に配置されるので、弾性体47、第一支持部材48、及び第二支持部材96は、収容部90により周方向に移動することが規制される。
【0036】
弾性体47は軸方向Kに垂直な方向に圧縮される弾性体である。弾性体47は軸部18に対するスリーブ9が軸方向Kに移動することを規制するのに十分な弾性力を有することが好ましい。弾性体47は、コンパクトに収容可能であるものが好ましい。本実施形態の弾性体47は、コイルバネである。本実施形態の軸方向Kに垂直な方向は、上下方向である。
【0037】
第一支持部材48、及び第二支持部材96は、例えば、ステンレス鋼製の板部材を加工して形成される。第一支持部材48は、軸方向に延びる当接部分481と、径方向に延びる規制部分482とを備える。当接部分481の上面487は、上下方向において弾性体47の下端部と当接して、弾性体47より軸部18に向かう近接方向の力を受ける。規制部分482は、当接部分481と連結し、当接部分481の右端から下方に延びる。当接部分481は、軸方向他端側K2に、スリーブ9に支持される支持部486を有する。支持部486は、貫通孔970の周囲の部分により、支持される。当接部分481は軸方向Kにおいて支持部486側とは反対側に設けられる。
【0038】
規制部分482は、当接部分481の軸方向一端側K1の端部から近接方向に延びる、背面視L字状である。第一支持部材48には、第二支持部材96を挿通する第二支持部材挿通部484が形成される。第二支持部材挿通部484は、規制部分482と当接部分481との連結部分に形成された貫通孔である。規制部分482は、レバー100がロック位置にある場合に、弾性体47による近接方向の力を軸部18に伝達することで、スリーブ9が軸部18に対して移動することを規制する。本実施形態の規制部分482の近接方向の端部485は、貫通孔970に挿通される。
【0039】
第二支持部材96は、第一部分961、第二部分962、及び第三部分963を有し、第一部分961、第二部分962、及び第三部分963により、軸方向一端側K1に凹む凹部が形成されたU字状である。弾性体47は凹部に配置されている。第一部分961は、当接部分481よりも軸部18から離れる離隔方向において軸方向Kに延びる。第一部分961は、固定部964、押圧部969、及びカム当接部965を有する。固定部964は、軸方向他端側K2に設けられた、スリーブ9に固定される部分である。固定部964は、上下方向に貫通する挿通孔966を有し、挿通孔966に挿通された固定部材97により、スリーブ9のネジ台座971に固定される。押圧部969は、弾性体47の他端部と当接して弾性体47から離隔方向の力を受ける。本実施形態では、押圧部969は、弾性体47の上端部と当接して弾性体47から離隔方向、つまり、上方の力を受ける。押圧部969は、第一部分961の下面である。弾性体47は、第一支持部材48の当接部分481と、第一部分961との間に配置される。カム当接部965は、軸方向一端側K1に設けられる。カム当接部965は、レバー100がロック位置にある場合にカム102と当接する。第一部分961は、カム当接部965よりも軸方向他端側K2において近接方向に凹む。第一部分961は、背面視緩やかなV字状である。故にカム102は、レバー100がロック位置にある場合に、第一部分961の軸方向一端側K1に設けられたカム当接部965以外の部分とは当接しない。カム当接部965は、軸方向Kにおいて、固定部964とは反対側に位置するので、カム102から下方に向かう力を受けるのに応じて下方に撓む。
【0040】
第二部分962は、軸方向Kに垂直な方向において当接部分481と軸部18との間で、当接部分481と対向して軸方向Kに延びる。第二部分962の軸方向Kの長さは、第一部分961の軸方向Kの長さよりも短い。第二部分962の軸方向Kの長さは、当接部分481の軸方向Kの長さよりも短い。第二部分962は、第一部分961がカム102から下方に向かう力を受けるのに応じて、第一部分961とともに下方に撓む。
【0041】
第三部分963は、軸方向Kに垂直な方向に延び、第一部分961と第二部分962とを連結する。第三部分963は、第一部分961の軸方向一端側K1の端部と、第二部分962の軸方向一端側K1の端部とを連結する。第三部分963の下端部967は、前後方向の幅が第三部分963の上端部よりも短い。第三部分963の下端部967は、第二支持部材挿通部484に挿通される。第二部分962は、レバー100がロック位置にある場合に当接部分481と離隔し、レバー100が解除位置にある場合に当接部分481と当接する。第二部分962は、レバー100の位置によらず、ネジ部材10から離隔する。
【0042】
図9に示すように、本実施形態の規制部分482の近接方向の端部485は、貫通孔970に挿通され、ネジ部材10の外周12と当接する。規制部分482の近接方向の端部485は、軸部18のネジ部材10の外周12の形状に沿った円弧状である。
【0043】
図10に示すように、第一支持部材48、第二支持部材96、及び弾性体47は、軸部18のネジ部材10に対して、上方に配置される。第一支持部材48の前後方向の長さの最大値は、第二支持部材96の前後方向の長さよりも長い。第一支持部材48の前後方向の長さの最大値は、弾性体47の前後方向の長さの最大値と略同じである。第一支持部材48の上下方向の長さは、第二支持部材96の上下方向の長さよりも短い。第一支持部材48の前後方向の長さの最大値は、ネジ部材10の直径と略同じである。
【0044】
図11(A)に示すように、レバー100は、凸部101、カム102、及び係止端部103を備える。カム102は、第一フランジ6に揺動可能に支持される。カム102には回転軸16が挿通される。カム102は、回転軸16に対し偏心した外周面を有する。凸部101は、回転軸16から離れた位置に設けられ、レバー100がロック位置にある時、第一フランジ6の面62に当接する。凸部101は、レバー100の揺動範囲を規定する。係止端部103は、カム102に連結し、レバー100がロック位置にある時、回転軸16よりも軸方向一端側K1に突出する凸部である。
【0045】
スリーブ9は、第一係合凸部98を備える。第一係合凸部98は、孔93の軸方向Kの中心よりも軸方向他端側K2において、軸心J側に突出する。第一係合凸部98は、第一ネジ溝部13と係合する。本実施形態の第一係合凸部98は、前後方向において軸片81、82の間となる部分において、軸心J側に突出し、第一ネジ溝部13と係合する。第一係合凸部98の周方向の延設範囲は、1リードよりも小さい。
【0046】
スリーブ9は、ネジ台座971の軸方向一端側K1に、支持部49を有する。支持部49は、第一支持部材48の軸方向他端側K2に端部に設けた支持部486を下側から支持する。軸挿通部19の孔93の内周面は、軸部18と当接する内周当接部50を有する。内周当接部50は、貫通孔970よりも軸方向他端側K2に位置する。内周当接部50は、ネジ部材10の外周に沿った円弧状である。レバー100がロック位置にある時、支持部486はスリーブ9を近接方向に押圧して、内周当接部50は軸部18を近接方向に押圧する。レバー100がロック位置にある時、内周当接部50がネジ部材10と当接する部分の面積は、規制部分482の近接方向の端部485がネジ部材10と当接する部分の面積よりも大きい。
【0047】
スリーブ75は、第二係合凸部79を備える。第二係合凸部79は、軸方向Kにおける孔76の延設範囲の中心よりも軸方向一端側K1において、軸心J側に突出する。第二係合凸部79は、第二ネジ溝部14と係合する。本実施形態の第二係合凸部79は、前後方向において軸片81、82の間となる部分において、軸心J側に突出し、第二ネジ溝部14と係合する。第二係合凸部79の周方向の延設範囲は、1リードよりも小さい。
【0048】
ロールシンクロドライブ120は、支持部126を更に備える。支持部126は、ネジ部材10の軸方向他端側K2の端部を回転可能に支持する。支持部126は軸方向Kに延びる筒状である。連結部121には、軸方向Kに延びる孔122が形成される。
【0049】
図11(A)及び
図11(B)を参照して、レバー100を用いて、第一フランジ6と軸部18との各々を、スリーブ9に対し、取り外し可能に装着する動作について説明する。
図11(A)に示すように、レバー100がロック位置に配置された場合、レバー100の下端に配置されたカム102のうちの、回転軸16から最も離れた位置にある外周面が、第二支持部材96の第一部分961のカム当接部965に当接する。レバー100がロック位置に配置される場合、カム102は、スリーブ9の収容部90と第二支持部材96の第一部分961とともに形成される凹部内においてカム当接部965と、スリーブ9との各々に当接する。カム当接部965はカム102から近接方向の力を受けて弾性体47による離隔方向の力に抗して近接方向に移動し、第二支持部材96の第二部分962が第一支持部材48の当接部分481と離隔する。これにより第一支持部材48の当接部分481が加えられていた、弾性体47による近接方向の力は、規制部分482を介して軸部18に伝達される。弾性体47による近接方向の力は、支持部486、支持部49、スリーブ9の内周当接部50を介して軸部18に伝達される。レバー100がロック位置にある場合、弾性体47による近接方向の力により、スリーブ9は軸部18に対し軸方向Kに移動することが規制され、スリーブ9は第一フランジ6と軸部18との各々に連結する。係止端部103は、スリーブ9の位置決め部99に係止される。係止端部103の上端は位置決め部99よりも上方に位置する。係止端部103はネジ部材10の上方に位置する。これにより、レバー100は回転軸16周りの揺動が規制され、第一フランジ6はスリーブ9に対し、軸方向Kに位置決めされる。これにより、スリーブ9は第一フランジ6と軸部18との各々に取り外し可能に連結する。カム102とカム当接部965とは、回転軸16よりも軸方向一端側K1で互いに当接する。このためレバー100には、解除位置からロック位置に移動する方向、つまり背面視時計回りのモーメントが加わる。これによりレバー100が意図せずに、ロック位置が解除位置に移動することが抑制される。
【0050】
ユーザがレバー100をロック位置から解除位置に移動させる場合、ユーザは背面視反時計回りにレバー100を回転させる。レバー100は、付勢部材17により背面視反時計回りに付勢されているので、ユーザは、比較的少ない力で、レバー100をロック位置から解除位置に移動できる。
【0051】
図11(B)に示すように、レバー100が解除位置に配置された場合、カム102は第二支持部材96と、位置決め部99の各々から離隔する。第二支持部材96は、弾性体47から離隔方向の力を受ける、これにより第二支持部材96のうちの軸方向一端側K1において、第二支持部材96の第二部分962が第一支持部材48の当接部分481に当接し、当接部分481に加えられた弾性体47による近接方向に向かう力を受ける。第二部分962は、ネジ部材10から離隔する。このため、弾性体47から加えられた力は、第二支持部材96内で閉じ、規制部分482には伝達されない。規制部分482はネジ部材10を近接方向に押さないので、スリーブ9がネジ部材10に対し軸方向Kに移動することを許可する。レバー100が解除位置に配置された場合、レバー100の係止端部103は、位置決め部99による係止が解除される。これにより、第一フランジ6は、スリーブ9に対し、軸方向Kに移動できる。
【0052】
図12(A)及び
図12(B)を参照して、ロールRの交換作業を説明する。筐体2の内部に配置されたロールRを交換する場合、ユーザは、筐体2のカバー23を開位置に移動して、媒体支持装置5が支持されたマガジン39を筐体2の外部に取り出す。この時、媒体支持装置5のロールシンクロドライブ120の連結部121と、駆動部200の駆動軸201との係合が解除される。ユーザは、マガジン39から媒体支持装置5を取り外す。第一フランジ6と、第二フランジ7とは各々、側面視正多角形状の板状であるので、媒体支持装置5の軸方向Kが水平に延びる姿勢で、媒体支持装置5を作業台の平面に載置した場合にも、媒体支持装置5は軸心J周りに転がらない。ユーザは、媒体支持装置5の軸心Jを水平方向が延びる姿勢で媒体支持装置5を作業台に載置した状態で、安定して作業できる。
【0053】
ユーザは、
図12(B)に示すように、レバー100をロック位置から解除位置に移動して、スリーブ9に対し、第一フランジ6を右方に移動させる。これにより、第一フランジ6が媒体支持装置5から取り外され、軸部18に挿通された紙管Cを取り外し可能な状態となる。ユーザは、紙管Cを軸部18に対して右方に移動させて、紙管Cを媒体支持装置5から取り出す。
【0054】
ユーザは、媒体支持装置5が備える軸部18を、紙管Cに挿通する。ユーザは、新しいロールRの紙管Cを、軸部18に対して左方に移動させて、紙管Cに軸部18を挿通させる。ユーザは、紙管Cが挿通された軸部18に対し、媒体支持装置5が備える第一フランジ6を装着し、当接部67から69を紙管Cに挿通する。
【0055】
ユーザは、スリーブ9に第一フランジ6を係合させ、媒体支持装置5が備える第一フランジ6と、第二フランジ7との軸方向Kの間隔を調整する。ユーザは、例えば、媒体支持装置5の軸方向他端側K2の端部、つまり、ロールシンクロドライブ120側を下にし、載置面に対して軸方向Kが垂直になる姿勢で、載置面に媒体支持装置5を載置して作業を行う。載置面は、ロールシンクロドライブ120の凸部123と接触し、連結部121からは僅かに離隔する。ユーザが軸部8及びネジ部材10に対し、第一フランジ6及び第二フランジ7の一方を軸方向Kに移動させると、第一フランジ6、第二フランジ7、軸部8、及びロールシンクロドライブ120は軸心J周りに回動しない一方、ネジ部材10が軸心J周りに回動し、第一フランジ6及び第二フランジ7の他方も軸方向Kに移動される。つまり、ネジ部材10はロールシンクロドライブ120に対し軸心J周りに回動する。ネジ部材10は第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14とをリード角を45度近傍に設定してあるので、例えば、第一フランジ6が移動された場合、第一フランジ6の移動方向の押圧力はネジ部材10の回転力に一対一で変換される。このため、ネジ部材10は、第一フランジ6及び第二フランジ7に対して回転しやすい。この時、第一フランジ6及び第二フランジ7の一方の移動方向は、第一フランジ6及び第二フランジ7の他方の移動方向と反対である。第一フランジ6及び第二フランジ7の一方の移動量は、第一フランジ6及び第二フランジ7の他方の移動量と互いに同じである。これにより、第一フランジ6と第二フランジ7との間の軸方向Kの中心位置を一定に保ったまま、第一フランジ6と第二フランジ7との軸方向Kの間隔が変更される。ユーザは、軸部18に対し、第一フランジ6を軸方向他端側K2に移動させて、第一フランジ6の側面当接部70を、紙管Cの側面に当接させる。ユーザは、軸部18に対し、第二フランジ7を軸方向一端側K1に移動させて、第二フランジ7の第二対向面71を、紙管Cの側面に当接させる。当接部67から69、当接部85から87は各々紙管Cの内周面を紙管Cの外周面側、つまり径方向に付勢する。紙管Cの内周面は、スリーブ75の外周及び固定部65の外周の各々と当接又は僅かに離隔する。当接部67から69と、当接部85から87とは、軸部18に対し互いに同じ位相で設けられているため、紙管Cの内周面を径方向に付勢することで紙管Cが変形する部分の周方向の位置、つまり軸部18に対する位相を軸方向一端側K1と、軸方向他端側K2とで同じにすることができる。
【0056】
ユーザは、
図12(A)に示すように、媒体支持装置5が備えるレバー100を操作して、レバー100を解除位置からロック位置に移動する。レバー100がロック位置に配置されると、媒体支持装置5が備えるカム102が第二支持部材96を下方に押圧し、第一支持部材48の規制部分482により、ネジ部材10に対して、第一フランジ6と第二フランジ7とが移動することが規制される。ユーザは媒体支持装置5の軸方向Kの両端部をマガジン39に支持させる。ユーザはマガジン39に支持された媒体支持装置5を筐体2の開口22から筐体2の内部の装置収容部30に配置し、媒体支持装置5のロールシンクロドライブ120の連結部121と駆動部200の駆動軸201とを連結する。
【0057】
駆動軸201が回動した場合、ロールシンクロドライブ120、軸部8、第一フランジ6、及び第二フランジ7も回動する。ネジ部材10はロールシンクロドライブ120に対して回動可能であるが、第一フランジ6、及び第二フランジ7の回動に応じて、ネジ部材10も回動する。つまり、駆動軸201が回動した場合、媒体支持装置5は媒体支持装置5が支持するロールRとともに、軸心J周りに回動する。
【0058】
上記実施形態において印刷装置1、媒体支持装置5、媒体M、ロールR、駆動部200、駆動軸201、及び装置収容部30は各々、本発明の印刷装置、媒体支持装置、媒体、ロール、駆動部、駆動軸、及び装置収容部の一例である。第一フランジ6、第二フランジ7、スリーブ9、スリーブ75、回転軸16、付勢部材17、軸部18、軸挿通部19、弾性体47、第一支持部材48、内周当接部50、収容部90、第二支持部材96、レバー100、及びカム102は各々、本発明のフランジ、他端側フランジ、スリーブ、他端側スリーブ、回転軸、付勢部材、軸部、軸挿通部、弾性体、第一支持部材、内周当接部、収容部、第二支持部材、レバー、及びカムの一例である。当接部分481、規制部分482、第二支持部材挿通部484、端部485、支持部486、第一部分961、第二部分962、第三部分963、固定部964、カム当接部965、及び押圧部969は各々、本発明の当接部分、規制部分、第二支持部材挿通部、端部、支持部、第一部分、第二部分、第三部分、固定部、カム当接部、及び押圧部の一例である。当接部67から69は、本発明の複数の第一当接部の一例である。当接部85から87は、本発明の複数の第二当接部の一例である。軸方向K、及び上下方向は各々、本発明の第一方向、及び第二方向の一例である。
【0059】
上記実施形態の印刷装置1は、媒体支持装置5と、媒体支持装置5の軸部18と取り外し可能に連結する駆動軸201を有し、駆動軸201を回動する駆動部200と、媒体支持装置5を収容する装置収容部30とを備える。媒体支持装置5は、軸部18、第一フランジ6、レバー100、スリーブ9、弾性体47、第一支持部材48、及び第二支持部材96を備える。軸部18は、軸方向Kに延び、長尺状の媒体Mが巻回されたロールRの紙管Cが挿通される。第一フランジ6は、軸部18よりも軸方向Kに交差する方向に突出し、軸部18に挿通されたロールRの軸方向一端側K1の位置を規定する。レバー100は、ロック位置と解除位置との間で回転軸16周りに回転可能に第一フランジ6に支持されるカム102を有する。スリーブ9は、軸部18に対し軸方向Kに移動可能に軸部18に挿通される軸挿通部19が形成され、レバー100がロック位置にある場合にカム102と当接して、第一フランジ6と軸部18との各々に取り外し可能に連結する。第一支持部材48は、スリーブ9に設けられる。第一支持部材48は、当接部分481と、規制部分482とを備える。当接部分481は、軸方向Kに垂直な上下方向において弾性体47の一端部と当接して、弾性体47より軸部18に向かう近接方向の力を受ける。規制部分482は、当接部分481と連結し、レバー100がロック位置にある場合に、弾性体47による近接方向の力を軸部18に伝達することで、スリーブ9が軸部18に対して移動することを規制する。第二支持部材96は、第一部分961、第二部分962、及び第三部分963を備える。第一部分961は、当接部分481よりも軸部18から離れる離隔方向において軸方向Kに延びる。第一部分961は、軸方向他端側K2に設けられたスリーブ9に固定される固定部964と、弾性体47の他端部と当接して弾性体47から離隔方向の力を受ける押圧部969と、レバー100がロック位置にある場合にカム102と当接する、軸方向一端側K1に設けられたカム当接部965とを有する。第二部分962は、軸方向Kに垂直な方向において当接部分481と軸部18との間で、当接部分481と対向して軸方向Kに延び、レバー100がロック位置にある場合に当接部分481と離隔し、レバー100が解除位置にある場合に当接部分481と当接する。第三部分963は、軸方向Kに垂直な上下方向に延び、第一部分961と第二部分962とを連結する。
【0060】
上記実施形態の印刷装置1及び媒体支持装置5は、レバー100をロック位置と解除位置とに回動するという比較的簡単な操作により、スリーブ9を軸部18及び第一フランジ6に対して固定できる。レバー100が解除位置にある場合、第二支持部材96の第二部分962が第一支持部材48の当接部分481と当接してカム102から近接方向の力を受けることで、第一支持部材48の規制部分482が弾性体47による近接方向の力を軸部18に伝達することを抑制する。レバー100が解除位置にある場合、スリーブ9は軸部18に対し軸方向Kに移動可能である。一方、レバー100がロック位置にある場合、カム102はスリーブ9と第一部分961のカム当接部965との各々と当接する。カム当接部965はカム102から近接方向の力を受けて弾性体47による離隔方向の力に抗して近接方向に移動し、第二支持部材96の第二部分962が第一支持部材48の当接部分481と離隔して、規制部分482が弾性体47による近接方向の力を軸部18に伝達する。レバー100がロック位置にある場合、スリーブ9は軸部18に対し軸方向Kに移動することが規制され、スリーブ9は第一フランジ6と軸部18との各々に取り外し可能に連結する。媒体支持装置5は、レバー100がロック位置に配置された場合に軸部18に加えられる力を弾性体47により規定でき、軸部18に加えられる力を安定させることに貢献する。故に媒体支持装置5は、従来よりも簡単な操作により、媒体Mを安定して固定することに貢献する。
【0061】
弾性体47は軸方向Kに垂直な上下方向に圧縮されるコイルバネである。媒体支持装置5の弾性体47は、コイルバネ以外の弾性体47が用いられる場合に比べ、比較的小さなスペースで軸部18に加えられる力を大きくすることに貢献する。
【0062】
第二支持部材96は、第一部分961、第二部分962、及び第三部分963により、軸方向Kに凹む凹部が形成されたU字状である。弾性体47は凹部に配置されている。媒体支持装置5は、第二支持部材96の構成を比較的簡単な形状にできる。媒体支持装置5の第二支持部材96は、スリーブ9を比較的コンパクトにすることに貢献する。
【0063】
規制部分482は、当接部分481の軸方向一端側K1の端部から近接方向に延びる。媒体支持装置5は、第一支持部材48の構成を比較的簡単な形状にできる。媒体支持装置5の規制部分482は、スリーブ9を比較的コンパクトにすることに貢献する。
【0064】
媒体支持装置5は、レバー100をロック位置から解除位置に向かう方向に付勢する付勢部材17を備える。媒体支持装置5の付勢部材17は、付勢部材17が設けられない場合に比べ、媒体支持装置5のユーザがレバー100をロック位置から解除位置に変更する時に要する力を軽減でき、レバー100をロック位置から解除位置に変更する時の操作性を向上することに貢献する。
【0065】
第一部分961は、カム当接部965よりも軸方向他端側K2において近接方向に凹む。レバー100がロック位置にある時、カム102は、回転軸16よりも軸方向一端側K1においてカム当接部965と当接し、レバー100が解除位置からロック位置に向かう方向の力をカム当接部965から受ける。媒体支持装置5は、レバー100がロック位置にある時、レバー100が解除位置からロック位置に向かう方向の力をカム当接部965から受ける。故に媒体支持装置5のレバー100は、レバー100がロック位置にある場合に、意図せずにロック位置から解除位置に移動することを抑制することに貢献する。
【0066】
第一支持部材48には、第二支持部材96を挿通する第二支持部材挿通部484が形成されている。第二支持部材96は、第二支持部材挿通部484に挿通されている。媒体支持装置5の第二支持部材挿通部484は、第一支持部材48と、第二支持部材96の構成を比較的簡単にでき、且つ、スリーブ9を比較的コンパクトにすることに貢献する。
【0067】
規制部分482の近接方向の端部485は、軸部18の外周形状に沿った円弧状である。レバー100がロック位置にある時、端部485は、軸部18に当接して弾性体47による近接方向の力を軸部18に伝達する。媒体支持装置5は、規制部分482から軸部18に直接弾性体47による近接方向の力を伝達できる。媒体支持装置5の端部485は、規制部分482から他の部材を介して軸部18に弾性体47による近接方向の力を伝達する場合及び規制部分482の近接方向の端部485が、軸部18の外周形状に沿った円弧状でない場合に比べ、弾性体47による近接方向の力を安定して伝達することに貢献する。
【0068】
スリーブ9は、近接方向に凹み、第一支持部材48、第二支持部材96、及び弾性体47を配置する収容部90を有する。レバー100がロック位置に配置される場合、カム102は、収容部90と第二支持部材96の第一部分961とともに形成される凹部内においてカム当接部965と、スリーブ9との各々に当接する。媒体支持装置5の収容部90は、第一支持部材48、第二支持部材96の近接方向の移動をスリーブ9により案内できるので、レバー100がロック位置にある時、弾性体47による近接方向の力を安定して軸部18に伝達することに貢献する。
【0069】
軸挿通部19の内周面は、軸部18と当接する内周当接部50を有する。第一支持部材48の当接部分481は、軸方向他端側K2に、スリーブ9に支持される支持部486を有する。レバー100がロック位置にある時、支持部486は、スリーブ9を近接方向に押圧して、内周当接部50は軸部18を近接方向に押圧する。媒体支持装置5の支持部486は、規制部分482に加え、スリーブ9の内周当接部50を介して、弾性体47による近接方向の力を伝達できるので、レバー100がロック位置にある時、弾性体47による近接方向の力を安定して軸部18に伝達しやすくすることに貢献する。本実施形態の内周当接部50は回転軸16よりも軸方向他端側K2に位置する。一方、規制部分482の端部485は、回転軸16よりも軸方向一端側K1に位置する。故に、媒体支持装置5の支持部486は、レバー100がロック位置にある時、回転軸16に対し軸方向Kの両側で、弾性体47による近接方向に向かう力をネジ部材10に加えることができる。
【0070】
媒体支持装置5は、第二フランジ7、スリーブ75、当接部67から69、及び当接部85から87を備える。第二フランジ7は、軸部18よりも軸方向Kに交差する方向に突出し、軸部18に挿通されたロールRの軸方向他端側K2の位置を規定する。スリーブ75は、第二フランジ7と軸部18に連結する。当接部67から69は、スリーブ9の外周に設けられ、ロールRの紙管Cに軸部18が挿通された場合に、紙管Cの内周面を紙管Cの外周面側に付勢する。当接部85から87は、スリーブ75の外周に設けられ、ロールRの紙管Cに軸部18が挿通された場合に、紙管Cの内周面を紙管Cの外周面側に付勢する。当接部85から87は、軸部18に対し、当接部67から69と同じ位相で設けられる。紙管Cを確実に保持するためには、紙管Cの内周面を紙管の外周面側、つまり径方向に付勢することが好ましい。しかしながら、紙管Cの内周面を径方向に付勢することで紙管Cが変形する。媒体支持装置5は、当接部67から69と、当接部85から87とが互いに同じ位相で設けられているため、紙管Cが変形する部分の周方向の位置、つまり軸部18に対する位置を軸方向一端側K1と、軸方向他端側K2とで揃えることができる。これにより媒体支持装置5の当接部67から69、85から87は、紙管Cの振れを左右で揃えることができ、媒体Mの送り出しが軸方向一端側K1と、軸方向他端側K2と揃うため、媒体Mが軸方向Kで振れを抑制して安定して送り出すことに貢献する。
【0071】
本発明の媒体支持装置及び印刷装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0072】
装置収容部30は長尺状の媒体Mを供給できればよく、適宜構成を変更されてよい。媒体Mは、用紙に刻まれたミシン目に沿って折りたたまれているファンフォールド紙でもよい。媒体Mは、ミシン目、切り込み、及び切れ目を有さなくてもよい。搬送部32、34は、搬送ベルトなどの他の搬送部材により、媒体Mを搬送してもよい。搬送部31から34は、戻し方向Bに媒体Mを搬送不能でもよいし、装置収容部30の構成に応じて構成が変更されてもよい。搬送部31、33、34の少なくとも何れかは、必要に応じて省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。駆動部200は、ステッピングモータ以外のアクチュエータでもよく、例えば、DCモータでもよい。印刷装置1は、媒体支持装置5を取り外し可能に装着するマガジン39を備えなくてもよい。マガジン39の構成は適宜変更されてよく、軸受けでネジ部材10の右端部を支持してもよい。
【0073】
印刷部37の構成は適宜変更されてよく、カラー印刷可能なインクジェットヘッドでもよいし、電子写真式又は感熱式のサーマルヘッドでもよい。定着ユニット40は、印刷装置1の印刷方式に応じて、省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。印刷装置1は、印刷済みの媒体Mを切断する切断部、及び印刷された画像を読み取る読取部を備えてもよい。
【0074】
第一方向及び第二方向は各々適宜変更されてよい。レバー100の形状及び配置は適宜変更されてよい。カム102の形状は適宜変更されてよい。第一フランジ6に対するレバー100の姿勢と、ロック位置及び解除位置との関係は適宜変更されてよい。例えば、レバー100がロック位置に配置されている場合にレバー100が第一フランジ6に対して略垂直であり、レバー100が解除位置に配置されている場合にレバー100が第一フランジ6に対して略平行であってもよい。
【0075】
第一フランジ6、及び第二フランジ7の形状は適宜変更されてよい。第一フランジ6、及び第二フランジ7の少なくとも一方は、軸方向Kに略垂直な円盤状であってもよい。第一フランジ6は、側面当接部70を省略し、第一フランジ6の第一対向面61が紙管Cの側面と当接してもよい。第一フランジ6及び第二フランジ7の少なくとも何れかは、フランジに揺動可能に支持され、紙管Cに挿通可能なフラップを備えてもよい。第二フランジ7は当接部85から87を備えず、一以上のフラップで紙管Cの軸方向他端側K2を支持してもよい。当接部67から69の配置と、当接部85から87の配置との少なくとも一部は、軸部18に対し同じ位相でなくてもよい。当接部67から69、85から87の、形状、配置、数、材料は適宜変更されてよい。例えば、当接部67から69、85から87の少なくとも何れかは、ゴムに例示される樹脂製の弾性体でもよい。第二フランジ7と、スリーブ75とは別体に形成され、第二フランジ7はスリーブ75に対して取り外し可能に装着されてもよい。スリーブ75は、軸部18に対し軸方向Kに移動不能でもよい。スリーブ9の形状及び構成は適宜変更されてよい。スリーブ9は、収容部90に第一支持部材48、第二支持部材96、及び弾性体47を配置しなくてもよい。
【0076】
第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14との形状、及び配置は適宜変更されてよく、例えば、第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14とは、仮想面Nに対して対称に配置されなくてもよい。媒体支持装置5のネジ部材10の第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14の各々は、螺旋状の溝や及び山(凹凸)を備える、その他の構造であっても良い。第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14は、仮想面Nに対して対称である場合、第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14とのリードの進み量(リード角)が逆方向で同等であれば良い。ネジ部材10の第一ネジ溝部13と第二ネジ溝部14のピッチは、適宜変更してよい。ネジ部材10の第一ネジ溝部13及び第二ネジ溝部14のリード角は、適宜変更されてよい。媒体支持装置5は、スリーブ9と第一フランジ6とを一体に形成し、第一フランジ6に直接、軸部8及びネジ部材10を挿通してもよい。レバー100のカム102は、レバー100が解除位置にある時に、スリーブ9と、第二支持部材96の第一部分961の少なくとも一方と当接してもよい。
【0077】
媒体支持装置5は、ロールシンクロドライブ120を備えなくてもよい。ロールシンクロドライブ120の構成は適宜変更してよく、例えば、凸部123を省略してもよい。ロールシンクロドライブ120は軸部8と別体に形成されてもよい。軸部18は、軸部8とネジ部材10とを備えていたが、一方のみを備えてもよい。軸部18がネジ部材10を備えない場合、規制部分482は、軸部8と当接してもよい。軸部8を構成する軸片81、82の数、形状、及び配置は適宜変更されてよい。
【0078】
第一支持部材48、第二支持部材96、及び弾性体47の構成及び材料は適宜変更されてよい。第一支持部材48の規制部分482は、ネジ部材10と直接当接していたが、スリーブ9に例示される他の部材を介してネジ部材10、及びロールシンクロドライブ120に連結された軸部8の少なくとも何れかに付勢力を作用させてもよい。第一支持部材48の規制部分482が直接ネジ部材10を押圧しない場合には、収容部90に貫通孔970が形成されなくてもよい。第一支持部材48には、第二支持部材挿通部484が形成されていなくてもよい。第二支持部材挿通部484は、切欠きでもよい。弾性体47は、ゴムに例示される弾性を有する樹脂でもよいし、板バネに例示される付勢部材でもよい。弾性体47は、複数でもよいし、複数種類でもよい。
【0079】
第一支持部材48の支持部486は、軸方向他端側K2に設けられなくてもよく、軸方向Kの中心部に設けられてもよい。第二支持部材96は、軸方向Kに凹む凹部が形成されたU字状でなくてもよく、例えば、第二支持部材96は、軸心J周りの周方向に凹む凹部が形成されてもよいし、H状であってもよい。第一部分961、第二部分962、及び第三部分963の形状及び大きさは適宜変更されてよい。第一部分961は、カム当接部965よりも軸方向他端側K2において近接方向に凹まなくてもよい。レバー100がロック位置にある時、カム102は、回転軸16よりも軸方向他端側K2においてカム当接部965と当接してもよい。この場合、媒体支持装置5は、レバー100の位置をロック位置に固定するための固定部材を備えてもよい。付勢部材17は省略されてもよいし、ねじりバネ以外でもよい。
【符号の説明】
【0080】
1:印刷装置、5:媒体支持装置、6:第一フランジ、7:第二フランジ、9、75:スリーブ、16:回転軸、17:付勢部材、18:軸部、19:軸挿通部、30:装置収容部、47:弾性体、48:第一支持部材、50:内周当接部、67から69、85から87:当接部、90:収容部、96:第二支持部材、100:レバー、102 :カム、200:駆動部、201:駆動軸、481:当接部分、482:規制部分、484:第二支持部材挿通部、485:端部、486:支持部、961:第一部分、962:第二部分、963:第三部分、964:固定部、965:カム当接部、969:押圧部、M:媒体、R:ロール