IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図1
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図2
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図3
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図4
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図5
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図6
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図7
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図8
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図9
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図10
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図11
  • 特開-表示切替装置および表示システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061361
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】表示切替装置および表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20240425BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240425BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20240425BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20240425BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240425BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
G09F9/30 398
G09F9/00 324
G09F9/00 362
G09F13/04 Z
G09F19/12 Z
B60K35/00 Z
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169262
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 裕都
(72)【発明者】
【氏名】三品 匡央
(72)【発明者】
【氏名】岡安 裕
【テーマコード(参考)】
3D344
5C094
5C096
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA19
3D344AA20
3D344AA27
3D344AD01
3D344AD05
5C094AA15
5C094AA44
5C094CA18
5C094ED01
5C094FA01
5C094FA02
5C094HA05
5C096AA11
5C096AA27
5C096BA01
5C096BC05
5C096CA02
5C096CA14
5C096CA35
5C096CB07
5C096CC06
5C096CC23
5C096FA03
5C096FA05
5C096FA11
5C096FA12
5G435AA18
5G435CC09
5G435DD13
5G435EE02
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示すべき情報の形状が異形状である場合であっても、表示に使われない部分の領域が小さい表示切替装置を比較的安価に実現する。
【解決手段】表示切替装置は、複数の光源(7)からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える。表示切替装置は、複数のレンズが配列されたレンズアレイ(6)と、複数の光源(7)から照射された光のそれぞれが、レンズアレイ(6)のそれぞれのレンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、表示部を保持する筐体(9)とを備える。表示切替装置は、画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、表示部の表示面に垂直な方向から見た形状が、長方形ではない異形状であり、表示面に垂直な方向から見た際の筐体(9)の形状が、表示部の表示面に垂直な方向から見た形状と同一または相似である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、
前記表示部を保持する筐体とを備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、
前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状が、長方形ではない異形状であり、
前記表示面に垂直な方向から見た際の前記筐体の形状が、前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状と同一または相似である、表示切替装置。
【請求項2】
前記筐体の壁面の形状が、複数の前記光源と、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面との間に、前記筐体の壁面が存在しないような形状となっている、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項3】
前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられている、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項4】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、
前記表示部を保持する筐体とを備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、
前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられている、表示切替装置。
【請求項5】
前記溝形成領域における溝は、前記光源から前記レンズアレイの光軸に平行な方向である、請求項3または4に記載の表示切替装置。
【請求項6】
前記筐体の前記壁面のうち、前記光源から出射した光が当該壁面で正反射したと仮定した場合に、該光が、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面に到達する領域に、前記溝形成領域が設けられている、請求項3または4に記載の表示切替装置。
【請求項7】
車両の内部に設置される表示システムであって、
複数のモードを有する前記車両の運転装置において選択されているモードを示す画像を表示する画像表示部を備え、
前記画像表示部は、請求項1または4に記載の表示切替装置を備える、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示切替装置および表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の光源位置からの光の照射が切り替えられることによって表示画像を切り替える表示切替装置が開示されている。当該表示切替装置の表示部には、複数の光源位置から出射された光のそれぞれが、レンズアレイのそれぞれのレンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を備えている。当該画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されている。
【0003】
特許文献2には、角部が鋭角を成す三角形状の液晶パネルと、三角形状のバックライトユニットとを備える異形液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-184013号公報
【特許文献2】特開2019-91036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、表示すべき情報の形状が異形状である場合に、長方形の形状の表示画面の一部分を使って該情報を表示するため、表示に使われない部分の領域が無駄になっているとともに、必要以上に空間を占領するという問題がある。
【0006】
また、特許文献2には、異形状の液晶ディスプレイが開示されているが、液晶ディスプレイは比較的高価な部品であることに加えて、液晶ディスプレイを通常とは異なる異形状に構成する場合には特別な駆動方式を採用する必要があるため更にコストが嵩むという問題がある。
本発明の一態様は、表示すべき情報の形状が異形状である場合であっても、表示に使われない部分の領域が小さい表示切替装置を比較的安価に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、前記表示部を保持する筐体とを備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状が、長方形ではない異形状であり、前記表示面に垂直な方向から見た際の前記筐体の形状が、前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状と同一または相似である。
【0008】
従来、表示すべき情報の形状が長方形でない異形状である場合、長方形の形状の表示画面を備える表示装置において、表示画面の一部分を使って該情報を表示することが行われている。この場合、表示に使われない部分の領域が無駄になっているとともに、必要以上に空間を占領するという問題がある。
これに対して上記の構成によれば、表示部を、表示したい情報の形状に応じた異形状とすることができるとともに、筐体も表示部の形状に沿った形状とすることができる。よって、表示部において表示に使われない部分の領域を最小限にすることが可能となるとともに、筐体も必要最低限の大きさにすることが可能となる。
また、液晶ディスプレイなどの複雑かつ高価な表示装置を用いることなく、選択されているモードを示す画像の表示を行うことができる。これにより、低コストの表示切替装置を実現することができる。
【0009】
上記表示切替装置において、前記筐体の壁面の形状が、複数の前記光源と、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面との間に、前記筐体の壁面が存在しないような形状となっている。
【0010】
上記の構成によれば、複数の光源からレンズアレイに到達する光路が筐体の壁面によって遮られない構造とすることができる。よって、表示ムラのない良好な表示部を有する表示切替装置を提供することができる。
【0011】
上記表示切替装置において、前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられている。
【0012】
上記の構成によれば、光源からの光が筐体の壁面で反射してレンズアレイに入射するクロストークを抑制することができる。よって、表示部における表示品質を向上することができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、前記表示部を保持する筐体とを備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられている。
【0014】
上記の構成によれば、光源からの光が筐体の壁面で反射してレンズアレイに入射するクロストークを抑制することができる。よって、表示部における表示品質を向上することができる。
【0015】
上記表示切替装置において、前記溝形成領域における溝は、前記光源から前記レンズアレイの光軸に平行な方向である。
【0016】
筐体は、表示部を保持する表示部側開口部と、光源が配置される側の光源側開口部とを備えた筒形状となる場合が多い。ここで、筐体を樹脂による射出成型で製造する場合、表示部側開口部または光源側開口部から樹脂を充填することになる。この際に、上記の構成によれば、樹脂の充填方向に沿うように溝が設けられるので、樹脂の充填漏れを生じにくくすることができる。よって、製造の容易化、製造歩留まりの向上を実現することができる。
【0017】
上記表示切替装置において、前記筐体の前記壁面のうち、前記光源から出射した光が当該壁面で正反射したと仮定した場合に、該光が、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面に到達する領域に、前記溝形成領域が設けられている。
【0018】
上記の構成によれば、光源から出射した光が壁面で正反射して実使用レンズの光入射面に到達することを的確に抑制することができる。よって、表示部における表示品質をより向上することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る表示システムは、車両の内部に設置される表示システムであって、複数のモードを有する前記車両の運転装置において選択されているモードを示す画像を表示する画像表示部を備え、前記画像表示部は、上記の表示切替装置を備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、表示すべき情報の形状が異形状である場合であっても、表示に使われない部分の領域が小さい表示切替装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】符号101に示す図は、本発明の実施形態1に係る表示切替装置の概略上面図である。符号102に示す図は、符号101に示す図のX1-X1断面図である。
図2】符号201および202に示す図は、上記表示切替装置の筐体の壁面の拡大図である。
図3】符号301、符号302に示す図は、上記表示切替装置の光源からレンズアレイの光入射面までの光路を示す図である。
図4】符号401は、レンズアレイ、筐体等が異形状である場合に発生するクロストークについて説明する図である。符号402は、符号401に示す図の軸Y1における光量分布についてシミュレーションした結果を示す光量分布図である。
図5】上記筐体の壁面に設ける反射防止構造とクロストーク影響比率との関係を示すシミュレーション結果である。
図6】本発明の実施形態1に係る表示システムのブロック図である。
図7】上記表示システムに備わる画像表示部の基本構成を示す模式図である。
図8】符号801、符号802および符号803に示す図は、それぞれ図7における上記画像表示部が備えるレンズアレイの構成例を示す図である。
図9】上記レンズアレイによる集光の状態の例を示す図である。
図10】符号1001、符号1002、符号1003および符号1004に示す図は、それぞれ上記画像表示部が備える表示部の切替表示例を示す図である。
図11】上記表示部、上記レンズアレイを構成するレンズおよび光源の対応関係を示す図である。
図12】実施形態1の表示切替装置の変形例としての表示切替装置において、表示部45の他の形状と、画像表示部10が表示する画像の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0023】
本開示の表示システムは、車両(例えば、車など)の内部に設置される表示システムである。本開示の表示システムは、本開示の表示切替装置を備える画像表示部を備え、車両が備える運転装置のモード(状態)を示す画像を表示する。本実施形態では、本開示の表示切替装置を用いた画像表示部10について説明する。
【0024】
§1 適用例
まず、図1図4を用いて、画像表示部10が適用される場面の一例について説明する。
【0025】
図1の符号101に示す図は、画像表示部10の概略断面図である。図1には、画像表示部10の構成のうち、マイクロレンズアレイ(以下、レンズアレイと略称する)6と、光源7と、筐体9とが図示されている。画像表示部10の構成については、後に詳述する。
【0026】
レンズアレイ6および筐体9は、レンズアレイ6の上面から垂直な方向から見た形状が長方形ではない異形状である。符号101に示す例では、レンズアレイ6の上面から垂直な方向から見たレンズアレイ6の形状は星形である。また、レンズアレイ6の上面から垂直な方向から見た筐体9の形状も星形であり、レンズアレイ6の形状と相似の関係にある。筐体9の壁面の形状は、光源7とレンズアレイ6の光入射面との間に筐体9の壁面が存在しないような形状となっている。
【0027】
図1の符号102は、符号101のX1-X1断面図である。光源7が符号101の図中に示す符号70の位置のように星形の突起部Q2に配置されていると仮定した場合、符号102に示すように隣接する突起部Q3におけるレンズアレイ6の光入射面6aまでの光路71aが筐体9により遮られてしまう。一方、本実施形態では、図1の符号101に示すように、光源7が星形の中心部Q1近傍に配置されているので、星形の五つの突起部Q2~Q6に向かう光路71が筐体9の壁面で遮られない。よって、光源7により、レンズアレイ6の光入射面6aの全域に光が照射される。
【0028】
図2の符号201は、筐体9の上面に垂直な方向から見た筐体9の壁面の拡大図である。符号201に示すように、筐体9の壁面には、光源7に面している領域にV字形状の溝91が複数形成されている。
【0029】
図2の符号202は、筐体9の内壁面を筐体9の内側から見た拡大図である。符号202に示すように、複数の溝91は、図1の符号102に示したレンズアレイ6の光入射面6aからレンズアレイ6の光軸方向に平行な方向に延在している。
【0030】
図3の符号301の図は、光源7から照射された光の光路を示す図である。図3の符号302の図は、光源7から符号301の図よりも光源が筐体9の左壁面9Lに近づいた場合における光源7から照射された光の光路を示す図である。図3の符号301の図には、光源7から照射された光の光路72、73および74が示されている。筐体9に溝91が設けられておらず、筐体9の壁面にて光が正反射されると仮定した場合、光路72を通る光は、筐体9の壁面に正反射され、光路72aを通って光路73を通る光と同じ位置からレンズアレイ6の光入射面6aに到達する。
【0031】
光路73を通った光のように、光源7からレンズアレイ6に直接入射する光はレンズアレイ6により集光され、画像の表示に用いられる。光路72aを通った光のように、筐体9の壁面を反射した光がレンズアレイ6に入射すると、本来表示されるべき画像とは異なる画像がその光により視認可能となるクロストークが起こり得る。
【0032】
また、光源7は、指向性があり、出射方向が光軸方向に近い程、光量が多くなる傾向にある。図3の符号302に示すように、光源7が筐体9の左壁面9Lに近い位置に配置されていると仮定すると、光量の大きい光が筐体9の左壁面9Lに当たることになる。図3の符号302の図には、光源7から照射された光の光路75、76および77が示されている。光路75を通る光は、光源7から符号301の光路72と同一方向に出射されている。光路76および77を通る光は、光源7から出射された方向が光路75を通る光よりもレンズアレイ6の光軸方向に近く、光路75を通る光よりも光量が大きい。筐体9に溝91が設けられていない場合、光路76を通る光は、筐体9の左壁面9Lに正反射され、光路76aを通って光路77を通る光と同じ位置からレンズアレイ6に到達する。このように、光量の大きい光が左壁面9L等の筐体9の壁面で正反射されると、本来表示されるべきでない画像がより鮮明に表示されてしまう。
【0033】
また、レンズアレイ6の上面から垂直な方向から見たレンズアレイ6および筐体9の形状が長方形ではない異形状の場合、筐体9の内壁面で反射された光がレンズアレイ6の光入射面6aの特定個所に集中して入射することがある。
【0034】
図4の符号401の図は、レンズアレイ6が異形状の場合に発生するクロストークについて説明する図である。図4の符号402の図は、符号401に示す図の軸Y1における光量分布についてシミュレーションした結果を示す光量分布図である。図4の符号402に示す光量分布図では、横軸が光源7からの距離であり、縦軸が光量である。符号401では、図1の符号101と同様に、レンズアレイ6および筐体9は、レンズアレイ6の上面から垂直な方向から見た形状が星形である。符号402の光量分布図では、星形の突起部に近い部分に光量が集中している。これは、星形の突起部にあっては筐体9の壁面同士が接近しているため、壁面にて反射してレンズアレイに入射する光の量が多くなるためと推測される。
【0035】
図5は、レンズアレイ6に入射する光のうち筐体9の壁面で反射した光の割合をクロストーク影響比率として示した図である。図5では、筐体9の壁面に溝91等の対策を何も施していない場合を基準にしており、そのときのクロストーク影響比率を1としている。図5には、筐体9の壁面に鏡面を設けた場合、筐体9の壁面に大、中、小のしぼを設けた場合、矩形断面の縦溝を設けた場合、V字形状の溝91を設けた場合のクロストーク影響比率が示されている。図5に示されているように、筐体9の壁面にV字形状の溝91を設ける場合、他の場合と比べてクロストーク影響比率が小さくなることがわかる。
【0036】
筐体9の壁面に設けられる溝91は、筐体9の壁面のうち、光源7に面している領域であって、筐体9の壁面で光が正反射すると過程した場合に反射光がレンズアレイ6の光入射面に入射する一部の領域に少なくとも設けられていればよい。例えば、図3の符号301において、光路74を通る光が筐体9の左壁面9Lで正反射することにより、レンズアレイ6の右端に達する場合、光路74を通った光が左壁面9Lに入射する位置から、レンズアレイ6の光入射面までの溝形成領域92に少なくとも溝部91が設けられていればよい。
【0037】
§2 構成例
図6は、本実施形態に係る表示システム1のブロック図である。図6に示すように、表示システム1は、本実施形態に係る表示切替装置である画像表示部10と、入力装置50と、制御部60とを備えている。入力装置50は、例えば、表示システム1が設置される車両のシフトレバー、ワイパースイッチ等である。表示システム1が設置される車両は、複数のモードを有し、運転手が入力装置50を操作することにより、複数のモードの中から所望のモードが選択される。例えば、入力装置50がシフトレバーの場合、車両のエンジンの変速機が備える複数のモードから所望のモードが選択される。制御部60は、画像表示部10の動作を制御する。表示システム1では、制御部60の制御のもと、画像表示部10が車両の運転装置において選択されているモードを示す画像を表示する。例えば、入力装置50がシフトレバーの場合に、運転手が入力装置50をパーキングの位置に移動させたとき、画像表示部10はパーキングを示す画像を表示する。
【0038】
(表示切替装置の基本構成)
図7は、本実施形態に係る画像表示部10の基本構成を示す模式図である。図7に示すように、画像表示部10は、図面における上から下の順に、光吸収部材2と、光拡散部材3と、表示集光部46と、複数の光源7と、複数の光源7が取り付けられる基板8とを備える。
【0039】
光吸収部材2と、光拡散部材3と、表示部45と、レンズアレイ6とは、筐体9により支持される。さらに、複数の光源7が取付けられた基板8に筐体9を取付けることにより画像表示部10の基本構成がなされる。また、画像表示部10は、光吸収部材2の上方に損傷防止用の保護層を備えてもよい。上述の各部材のサイズは、画像表示部10が画像を表示する領域の大きさに応じて適宜設計され得る。
【0040】
光吸収部材2は、光を吸収する部材であり、光拡散部材3は、光を拡散する部材である。すなわち、光吸収部材2と、光拡散部材3とを調光部材と総称することができる。当該調光部材の構成例としては、例えばスモーク、ハーフミラー、偏光板、カラー板、拡散板、表示画像を表示する部材、拡散板と組み合わせて拡散機能をもったスモークなどが挙げられる。
【0041】
表示集光部46は、表示部45とレンズアレイ6とを備えている。表示部45は、画像層4と、マトリクス層5とからなり、表示すべき画像(表示画像)Pを表示する。マトリクス層5は、例えば画素領域45a(開口、以下同様)と、画素領域45a以外の領域である画素周囲領域45b(マスク、以下同様)とを備える。画像層4と、マトリクス層5とは接合されている。なお、ここでいう「画素周囲領域45b」とは、画素領域45aのそれぞれの周囲にあって、透過率が一定である領域を指す。また、画素周囲領域45bは光源側からの光、すなわち、レンズアレイ6が配置されている側からの光を遮光する。
【0042】
図7に示すように、表示部45の下方に設けられたレンズアレイ6は、基板8に取付けられた複数の光源7が射出する光を集光する。レンズアレイ6は、複数のレンズが配列されて構成される。
【0043】
表示部45は、複数の光源7の位置から出射された光のそれぞれが、レンズアレイ6のそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される画素領域45aを複数備え、画素領域45aのそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されている。
【0044】
表示部45をその表示面に垂直な方向から見た形状は、レンズアレイ6を表示面に垂直な方向から見た形状と同一または相似である。例えば、レンズアレイ6を表示面に垂直な方向から見た形状が図1の符号101に示す星形の場合は、表示部45をその表示面に垂直な方向から見た形状も星形である。
【0045】
筐体9は、その内側に表示部45およびレンズアレイ6を保持する。筐体9を表示面に垂直な方向から見た形状は、表示部45をその表示面に垂直な方向から見た形状よりも大きく相似関係にある。
【0046】
複数の光源7は、例えば、RGBLEDであってもよい。
【0047】
以上のような構成を有することにより、画像表示部10は、複数の光源7からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替えることができる。なお、光源7の発光・消灯の切替は、図6に示すように、発光制御部11によって行われる。
【0048】
(レンズアレイの構成例)
図8の符号801、符号802および符号803に示す図は、それぞれ図7におけるレンズアレイ6の構成例を示す図である。具体的には、図8の符号801に示す図に示すように、レンズアレイ6は、複数のレンズが二次元マトリックス状に配列されて構成される。
【0049】
図8の符号802は、レンズアレイ6の一部を拡大して示す斜視図であり、図8の符号803に示す図は、レンズアレイ6の一部を拡大して示す部分断面図である。
【0050】
図9は、レンズアレイ6による集光の状態の例を示す図である。図9より、光源の位置を変えることにより集光箇所を変化させることができることが理解され得る。
【0051】
図10の符号1001、符号1002、符号1003および符号1004に示す図は、それぞれ表示部45の切替表示例を示す図である。図10の符号1001に示す図は、表示部45(画像層4)に表示される表示例であり、符号1002に示す図は表示される図柄の例示であり、符号1003に示す図は符号1001に示す図のA部の拡大図であり、符号1004に示す図は符号1003に示す図のB部の拡大図である。
【0052】
図10に示す表示例では、例えば同一の画像層に画像P5(例示では平仮名「き」)と、画像P6(例示では図柄「△」)と、画像P7(例示では大文字のアルファベット「G」)と、画像P8(例示では数字「6」)とを切替えて表示することができる。
【0053】
図10の符号1004に示すように、一例として、表示部45全体を、1つの区域に最大4つの画素領域45aを含むように複数の区域(複数の画素)に区切って表示を切り替えることが可能である。また、図10の符号1004に示すように、表示部45の画素領域45a以外の領域は画素周囲領域45bとなっている。
【0054】
図11は、表示部45、レンズアレイ6を構成するレンズおよび光源7の対応関係を示す図である。図11において、2つの画素が例示され、前記各光源からの光はレンズアレイ6に集光されてそれぞれ対応する画素領域45aから出射する。表示部45の各画素は、それぞれ画素領域45aと、画素周囲領域45bに分割されている。
【0055】
画像表示部10として上述のような表示切替装置を用いることにより、液晶ディスプレイなどの複雑かつ高価な表示装置を用いることなく、選択されているモードを示す画像の表示を行うことができる。これにより、低コストの画像表示部10を実現することができる。
【0056】
本実施形態における画像表示部10は、(1)光源7aから光を照射することにより、画像P5を表示し、(2)光源7bから光を照射することにより、画像P6を表示し、(3)光源7cから光を照射することにより、画像P7を表示し(4)光源7dから光を照射することにより、画像P8を表示する。すなわち、画像表示部10は、入力装置50の操作に応じた、複数の画像P5~P8を切り替えて表示可能となっており、照射する光源7a~7dを切り替える事により、複数の画像P5~P8を切り替えて表示できるようになっている。
【0057】
§3 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0058】
上記の実施形態1に係る表示切替装置である画像表示部10では、表示部45の表示面に垂直な方向から見たレンズアレイ6、筐体9および表示部45の形状を星形とした。しかし、表示部45の表示面に垂直な方向から見たレンズアレイ6、筐体9および表示部45の形状は、星形だけに限定されない。
【0059】
図12は、表示部45の表示面に垂直な方向から見た表示部45の形状例を示す図である。図12の符号1201には、表示面から垂直な方向から見た形状が円形の表示部45Cが示されている。また、図12の符号1202には、表示面から垂直な方向から見た形状が三角形の表示部45Dが示されている。図12の符号1203には、表示面から垂直な方向から見た形状が稲妻形の表示部45Eが示されている。
【0060】
表示面に垂直な方向から見た表示部45の形状が円形、三角形、稲妻形の場合、表示面に垂直な方向から見たレンズアレイ6の形状も円形、三角形、稲妻形である。また、表示面に垂直な方向から見た表示部45の形状が円形、三角形、稲妻形の場合、表示面に垂直な方向から見た筐体9の形状も円形、三角形、稲妻形である。
【0061】
上記の実施形態1に係る表示切替装置である画像表示部10では、表示部45の表示面に垂直な方向から見た筐体9の形状は、表示面に垂直な方向から見た表示部45およびレンズアレイ6の形状と相似関係にあるものとした。しかし、表示部45の表示面に垂直な方向から見た筐体9の形状は、表示面に垂直な方向から見た表示部45およびレンズアレイ6の形状を内包する形状であれば、相似関係以外の関係であってもよい。例えば、表示部45の表示面に垂直な方向から見た筐体9の輪郭形状と、表示面に垂直な方向から見た表示部45およびレンズアレイ6の輪郭形状とが同一でもよい。
【0062】
また、表示部45の切替表示例は、図10に示した画像P5-P8だけに限定されない。例えば、図12の符号1204に示すような画像P9-P12が表示されることにしてもよい。
【0063】
上記の実施形態1に係る表示切替装置では、筐体9の壁面の形状が、光源7とレンズアレイ6を構成するレンズの光入射面6aとの間に、筐体9の壁面が存在しないような形状となっていることとした。しかし、レンズアレイ6を構成するレンズの中に画像表示には使用されないレンズが存在している場合は、そのレンズの光入射面6aと光源7との間に筐体9の壁面が存在することにしてもよい。すなわち、筐体9の壁面の形状は、複数の光源7と、レンズアレイ6を構成するレンズのうち表示部45での表示に使われる実使用レンズの光入射面6aとの間に、筐体9の壁面が存在しないような形状となっていればよい。
【0064】
§4 適用例
これまで説明した形態は、本発明の表示システムを、シフトレバーまたはワイパースイッチに適用するものであったが、本発明の表示システムは、車両のその他の運転装置に対して適用することができる。
【0065】
例えば、本発明の表示システムは、ダイヤル式で変速機の動作モードを選択するシステムに適用することができる。
【0066】
また、本発明の表示システムは、ハンドル(ステアリング)に設けられるスイッチ(ステアリングスイッチとも呼称される)に適用することができる。
【0067】
また、本発明の表示システムは、後部座席用の操作パネルに適用することができる。当該操作パネルは、例えば、車両の空調の制御、オーディオの動作の選択を行えるものであってもよい。これにより、後部座席の搭乗者が車両の運転装置の一部の制御を行うことができる。
【0068】
また、本発明の表示システムは、エンジンの電源のオン・オフを制御するいわゆるプッシュスタートスイッチに対して適用することができる。この場合、エンジンの電源がオフであり、かつ、運転手が車両のブレーキをかけている場合と、エンジンの電源がオフであり、かつ、運転手が車両のブレーキをかけていない場合とで表示する画像の色を変えてもよい。
【0069】
また、本発明の表示システムは、インストルメントパネルに対して適用することができる。例えば、インストルメントパネルに表示されるウィンカーまたはアラート表示に対して本発明の表示システムを適用してもよい。
【0070】
また、本発明の表示システムは、車両のヘッドライトの動作を制御するライトスイッチに対して適用することができる。
【0071】
また、本発明の表示システムは、車両のヒーターの動作を制御するヒーターコントロールスイッチに対して適用することができる。
【0072】
また、本発明の表示システムは、福祉車両に対して適用することができる。ここで、福祉車両として、例えば、人が座った状態の車椅子を搬送する福祉車両が知られている。このような福祉車両では、遮光調製スイッチなどの車椅子を車両内に移動させるためのスイッチ、セーフティベルトスイッチ、車椅子を固定するための固定装置スイッチなど多くのスイッチが存在する。また、スイッチによっては、「引く」、「押す」、「長押し」などの複数の操作を必要とする。そのため、福祉車両の各スイッチをどのように操作すればよいかが分からなくなるという問題がある。このような福祉車両の各スイッチに対して本発明の表示システムを適用することにより、福祉車両の操作者に対して現在選択しているモードがどのようなモードであるかを認識させやすくなり、誤動作が生じる虞を低減することができる。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0074】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、前記表示部を保持する筐体とを備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状が、長方形ではない異形状であり、前記表示面に垂直な方向から見た際の前記筐体の形状が、前記表示部の表示面に垂直な方向から見た形状と同一または相似である。
【0075】
本発明の態様2に係る表示切替装置は、態様1に記載の表示切替装置において、前記筐体の壁面の形状が、複数の前記光源と、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面との間に、前記筐体の壁面が存在しないような形状となる構成であってもよい。
【0076】
本発明の態様3に係る表示切替装置は、態様1または2に記載の表示切替装置において、前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられる構成であってもよい。
【0077】
本発明の態様4に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から照射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、前記表示部を保持する筐体とを備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、前記筐体の壁面のうち、前記光源に面している領域の少なくとも一部に、複数の溝からなる溝形成領域が設けられている。
【0078】
本発明の態様5に係る表示切替装置は、態様3または4に記載の表示切替装置において、前記溝形成領域における溝は、前記光源から前記レンズアレイの光軸に平行な方向である構成であってもよい。
【0079】
本発明の態様6に係る表示切替装置は、態様3または4に記載の表示切替装置において、前記筐体の前記壁面のうち、前記光源から出射した光が当該壁面で正反射したと仮定した場合に、該光が、前記レンズアレイを構成するレンズのうち前記表示部での表示に使われる実使用レンズの光入射面に到達する領域に、前記溝形成領域が設けられている。
【0080】
本発明の態様7に係る表示システムは、車両の内部に設置される表示システムであって、複数のモードを有する前記車両の運転装置において選択されているモードを示す画像を表示する画像表示部を備え、前記画像表示部は、態様1または4に記載の表示切替装置を備える。
【符号の説明】
【0081】
1 表示システム
6 レンズアレイ
7、7a、7b、7c、7d 光源
9 筐体
10 画像表示部
45、45C、45D、45E 表示部
45a 画素領域
91 溝部
92 溝形成領域
P5、P6、P7、P8、P9-P12 画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12