IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ CKD株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061363
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】トレイパック製造装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 7/28 20060101AFI20240425BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
B65B7/28 B
B65B51/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169265
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】澁井 将興
【テーマコード(参考)】
3E049
3E094
【Fターム(参考)】
3E049AA02
3E049AB03
3E049CA06
3E049DB01
3E049EA01
3E049EC03
3E049FA06
3E094AA04
3E094CA01
3E094DA02
3E094EA01
3E094FA02
3E094FA14
3E094GA05
3E094GA13
3E094GA22
3E094HA11
(57)【要約】
【課題】トレイの搬送方向を容易に切換えること等が可能なトレイパック製造装置を提供する。
【解決手段】トレイパック製造装置10は、トレイ3に対しカバーフィルム4を取着するシール装置14と、正逆動作可能に構成された、トレイ3を搬送するためのコンベアベルト122,132をそれぞれ有する一対のトレイ搬送装置12,13と、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17と、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えるための操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換可能な保護装置18とを備える。これにより、トレイパック製造装置10自体を回転させることなく、トレイ3の搬送方向を容易に変更可能になるとともに、誤操作によって、意図せずトレイ3の搬送方向が切換わることをより確実に防止できる。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されたトレイに対しカバーフィルムを取着してなるトレイパックを製造するためのトレイパック製造装置であって、
帯状のカバーフィルム材料を切断して前記カバーフィルムを得るとともに、前記トレイに対し該カバーフィルムを取着するシール手段と、
正逆動作可能に構成された、前記トレイを搬送するためのコンベアベルトをそれぞれ有するとともに、前記シール手段を挟む位置に配置された一対のトレイ搬送手段と、
前記トレイ搬送手段によって前記シール手段に供給された前記トレイの上方を通過する搬送経路で前記カバーフィルム材料を搬送可能に構成されたカバーフィルム材料搬送手段と、
一対の前記トレイ搬送手段におけるそれぞれの前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための操作手段と、
前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための前記操作手段に対する操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換可能な誤操作防止手段とを備えることを特徴とするトレイパック製造装置。
【請求項2】
前記カバーフィルム材料搬送手段は、前記カバーフィルム材料の搬送経路の両端に対応する一対のコアセット部を有し、これらコアセット部に対し、前記カバーフィルム材料の原反に係るコアと前記カバーフィルム材料のうち前記シール手段の切断により残ったスクラップの巻取に係るコアとをそれぞれセット可能とされるとともに、前記シール装置を基準として左右対称に構成され、かつ、前記カバーフィルム材料の搬送方向を正逆反転可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレイパック製造装置。
【請求項3】
一対の前記トレイ搬送手段における前記コンベアベルトは、前記トレイの搬送方向に沿ってそれぞれ同じ長さを有することを特徴とする請求項1に記載のトレイパック製造装置。
【請求項4】
前記カバーフィルム材料の搬送経路の鉛直下方に配置され、前記トレイ搬送手段により搬送されるトレイを覆うカバー手段を有し、
前記カバー手段は、前記トレイの搬送方向に沿って前記シール手段を間に置く位置のいずれかに対し選択的に設置可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレイパック製造装置。
【請求項5】
前記トレイ搬送手段のそれぞれに設けられ、前記トレイ搬送手段によって搬送される前記トレイを検知可能な一対の検知センサを備え、
一対の前記検知センサによる各検知結果は、それぞれ別々の第一処理及び第二処理に用いられるように構成されており、
前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための前記操作手段に対する操作に伴い、前記第一処理にて用いられる前記検知結果と、前記第二処理にて用いられる前記検知結果とが自動的に入れ替わるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトレイパック製造装置。
【請求項6】
前記トレイ搬送手段による前記トレイの搬送方向に係る情報を表示可能な表示手段と、
前記トレイ搬送手段における前記コンベアベルトの動作方向に応じて、前記表示手段において表示される前記トレイの搬送方向に係る情報を制御する方向表示制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のトレイパック製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が収容されたトレイに対しカバーフィルムが取着されてなるトレイパックの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種食品などは、樹脂製の容器に入れられた上で、輪ゴム等により、この容器に樹脂製の蓋を止めた状態で販売されることが多い。一方、近年では、消費期限の延長や食品廃棄量の削減、樹脂使用量の低減などを図るべく、食品等の内容物を収容可能なトレイと、該トレイに取着されたカバーフィルムとを備え、トレイ内を密封状態としたトレイパックの採用が増えている。
【0003】
トレイパックは、トレイの搬送方向に沿って、第一搬送装置、シール装置及び第二搬送装置をこの順序で備えてなるトレイパック製造装置によって製造することができる(例えば、特許文献1等参照)。第一搬送装置は、シール装置に対し内容物が収容されたトレイを搬入する。シール装置は、搬送される帯状のカバーフィルム材料を切断してカバーフィルムを得るとともに、搬入されたトレイに対し該カバーフィルムを取着することで、トレイパックを得る。第二搬送装置は、シール装置によって得られたトレイパックを下流へと搬送する。
【0004】
また、上記のようなトレイパックを採用する動きは、大規模事業所のみならず、小規模事業所や個人事業所などにも及んでおり、このような小規模事業所などでも、トレイパック製造装置が1又は複数台導入されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-136915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、トレイパック製造装置を導入する際において、ある方向(例えば、左から右に向けた方向)にトレイを搬送するトレイパック製造装置を購入したものの、使い勝手などの理由から、トレイの搬送方向を反転させたい(例えば、右から左に向けた方向に変更したい)といったことがある。
【0007】
しかしながら、設置場所の都合などの点から、トレイパック製造装置を平面視180°回転させることが困難又は不可能なことがある。
【0008】
また、トレイパック製造装置を平面視180°回転させることができたとしても、それに伴う様々な問題が生じるおそれがある。例えば、シール装置に対しては品種交換やメンテナンス等に係る作業を行う必要があるが、その作業が困難又は不可能となるおそれがある。また、トレイパック製造装置の周囲において、配線や配管の設置状態が煩雑なものとなるおそれがある。さらに、シール装置が、電力やエアー等を供給するための供給口や扉、及び、品種交換やメンテナンスのための装置などを備える場合には、これらの利用が困難又は不可能となるおそれがある。尚、シール装置の表裏両方に、供給口や扉、品種交換などのための装置をそれぞれ設けることは、コストや装置サイズ、設計面などの点から好ましいとはいえない。
【0009】
そのため、従前では、トレイパック製造装置として、正方向(例えば、左から右に向けた方向)にトレイを搬送するタイプと、逆方向(例えば、右から左に向けた方向)にトレイを搬送するタイプとが別々に製造・用意されている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、トレイの搬送方向を容易に切換えること等が可能なトレイパック製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.内容物が収容されたトレイに対しカバーフィルムを取着してなるトレイパックを製造するためのトレイパック製造装置であって、
帯状のカバーフィルム材料を切断して前記カバーフィルムを得るとともに、前記トレイに対し該カバーフィルムを取着するシール手段と、
正逆動作可能に構成された、前記トレイを搬送するためのコンベアベルトをそれぞれ有するとともに、前記シール手段を挟む位置に配置された一対のトレイ搬送手段と、
前記トレイ搬送手段によって前記シール手段に供給された前記トレイの上方を通過する搬送経路で前記カバーフィルム材料を搬送可能に構成されたカバーフィルム材料搬送手段と、
一対の前記トレイ搬送手段におけるそれぞれの前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための操作手段と、
前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための前記操作手段に対する操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換可能な誤操作防止手段とを備えることを特徴とするトレイパック製造装置。
【0013】
尚、「誤操作防止手段」としては、例えば、所定の開口部及び該開口部を開閉可能な扉を有するとともに、操作手段を内部に収容したケースと、前記扉をロックするためのロック手段とを備えた保護手段や、所定のパスワードが入力されること等により、前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための操作が不可の状態から可能な状態へと切換可能な認証手段などを挙げることができる。
【0014】
上記手段1によれば、操作手段を操作することで、一対のトレイ搬送手段におけるコンベアベルトの動作方向ひいてはトレイの搬送方向を正逆反転させることができる。従って、トレイパック製造装置自体を回転させることなく(装置全体の向きを変えることなく)、トレイの搬送方向を容易に変更することができるため、使い勝手などの理由からトレイの搬送方向を反転させたいというニーズに即座に対応することができる。また、トレイの搬送方向を変更するにあたって、トレイパック製造装置を平面視180°回転させる必要などはないから、トレイパック製造装置を回転させることにより生じ得る各種問題の発生をより確実に防止することができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、誤操作防止手段によって、コンベアベルトの動作方向を切換えるための操作手段に対する操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換えることができる。従って、誤操作によって、意図せずトレイの搬送方向が切換わることをより確実に防止できる。
【0016】
手段2.前記カバーフィルム材料搬送手段は、前記カバーフィルム材料の搬送経路の両端に対応する一対のコアセット部を有し、これらコアセット部に対し、前記カバーフィルム材料の原反に係るコアと前記カバーフィルム材料のうち前記シール手段の切断により残ったスクラップの巻取に係るコアとをそれぞれセット可能とされるとともに、前記シール装置を基準として左右対称に構成され、かつ、前記カバーフィルム材料の搬送方向を正逆反転可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のトレイパック製造装置。
【0017】
上記手段2によれば、一対のコアセット部に対し、カバーフィルム材料の原反に係るコアとスクラップの巻取に係るコアとがそれぞれセット可能とされており、トレイの搬送方向のみならず、カバーフィルム材料の搬送方向をも正逆反転させることが可能とされている。さらに、カバーフィルム材料搬送手段は、シール装置を基準として左右対称に構成されている。例えば、一対のコアセット部、カバーフィルム材料やスクラップをガイドするロール、及び、カバーフィルム材料やスクラップに張力を付与する手段などが左右対称に設けられている。これらの結果、装置の使い勝手を効果的に高めることができる。
【0018】
手段3.一対の前記トレイ搬送手段における前記コンベアベルトは、前記トレイの搬送方向に沿ってそれぞれ同じ長さを有することを特徴とする手段1に記載のトレイパック製造装置。
【0019】
上記手段3によれば、トレイの搬送方向を正逆反転させた場合であっても、以前の搬送方向で装置を使用していた場合と同様の使い勝手を得やすくすることができる。
【0020】
手段4.前記カバーフィルム材料の搬送経路の鉛直下方に配置され、前記トレイ搬送手段により搬送されるトレイを覆うカバー手段を有し、
前記カバー手段は、前記トレイの搬送方向に沿って前記シール手段を間に置く位置のいずれかに対し選択的に設置可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のトレイパック製造装置。
【0021】
上記手段4によれば、万が一、スクラップからトレイへと異物が落下したとしても、カバー手段によって、該異物がトレイ内に入ることをより確実に防止できる。従って、トレイパックに係る衛生性や安全性の向上を図ることができる。
【0022】
また、カバー手段は、トレイの搬送方向に沿ってシール手段を間に置く位置のいずれかに対し選択的に設置可能とされている。従って、スクラップの搬送経路の位置に合わせて、カバー手段の設置位置を適宜変更することができる。これにより、シール手段を間に置く位置のそれぞれにカバー手段を設ける場合と比べて、コストの低減などを図ることができる。
【0023】
手段5.前記トレイ搬送手段のそれぞれに設けられ、前記トレイ搬送手段によって搬送される前記トレイを検知可能な一対の検知センサを備え、
一対の前記検知センサによる各検知結果は、それぞれ別々の第一処理及び第二処理に用いられるように構成されており、
前記コンベアベルトの動作方向を切換えるための前記操作手段に対する操作に伴い、前記第一処理にて用いられる前記検知結果と、前記第二処理にて用いられる前記検知結果とが自動的に入れ替わるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のトレイパック製造装置。
【0024】
上記手段5によれば、コンベアベルトの動作方向を切換えるための操作手段に対する操作に伴い、第一処理にて用いられる検知結果と、第二処理にて用いられる検知結果とが自動的に入れ替わることとなる。例えば、トレイの搬送方向上流側に位置する検知センサAによる検知結果を用いて、第一処理として、トレイの供給状態に対応した処理や、シール手段によるカバーフィルムの取着に係る処理が行われるとする。一方、トレイの搬送方向下流側に位置する検知センサBによる検知結果を用いて、トレイパックの回収状態に対応した処理が行われるとする。この場合、操作手段を操作してコンベアベルトの動作方向を切換えることで、自動的に、検知センサAによる検知結果がトレイパックの回収状態に対応した処理(第二処理)で用いられ、検知センサBによる検知結果がトレイの供給状態に対応した処理など(第一処理)で用いられることとなる。従って、コンベアベルトの動作方向を切換えるにあたって、検知結果を用いた処理を適切に行うための別途の作業などを行う必要がなくなり、利便性を高めることができる。
【0025】
手段6.前記トレイ搬送手段による前記トレイの搬送方向に係る情報を表示可能な表示手段と、
前記トレイ搬送手段における前記コンベアベルトの動作方向に応じて、前記表示手段において表示される前記トレイの搬送方向に係る情報を制御する方向表示制御手段とを備えることを特徴とする手段1に記載のトレイパック製造装置。
【0026】
上記手段6によれば、トレイ搬送手段を実際に動作させることなく、トレイの搬送方向を把握することができる。従って、装置の使い勝手をより高めることができる。
【0027】
また、表示手段において表示されるトレイの搬送方向に係る情報は、コンベアベルトの動作方向に応じて自動的に制御されるため、該情報に誤りが生じることを防止できる。
【0028】
尚、上記各手段に係る技術事項を適宜組み合わせてもよい。従って、例えば、上記手段1に係る技術事項に対し、上記手段2~6に係る各技術事項のうちの少なくとも2つ以上を組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】トレイパックの斜視図である。
図2】トレイパックの断面図である。
図3】コンベアベルトの動作方向及びカバーフィルム材料の搬送方向をそれぞれ正方向とした場合における、トレイパック製造装置の斜視模式図である。
図4】コンベアベルトの動作方向及びカバーフィルム材料の搬送方向をそれぞれ正方向とした場合における、トレイパック製造装置の正面模式図である。
図5】コンベアベルトの動作方向及びカバーフィルム材料の搬送方向をそれぞれ正方向とした場合における、トレイパック製造装置の一部破断正面模式図である。
図6】シール装置の概略構成を示す断面模式図である。
図7】下側チャンバ構成部が上動して、下側ベース部に係止突起が係止された状態を示すシール装置の断面模式図である。
図8】下側チャンバ構成部が上動して、カバーフィルム材料の切断等が行われた状態を示すシール装置の断面模式図である。
図9】トレイテーブルが上動して、フランジ部にカバーフィルムが溶着される状態を示すシール装置の断面模式図である。
図10】チャンバを閉じた状態において、カバーフィルム材料のうち両チャンバ構成部により把持される領域を示すための斜視模式図である。
図11】タッチパネル装置にて表示される通常時画面を示す模式図である。
図12】タッチパネル装置にて表示されるパスワード入力画面を示す模式図である。
図13】タッチパネル装置にて表示される方向変更用画面を示す模式図である。
図14】扉部によって開口部を閉鎖した状態における保護装置などの斜視模式図である。
図15】開口部を開放した状態における保護装置などの斜視模式図である。
図16】制御装置などの概略構成を示すブロック図である。
図17】コンベアベルトの動作方向及びカバーフィルム材料の搬送方向をそれぞれ逆方向とした場合における、トレイパック製造装置の斜視模式図である。
図18】コンベアベルトの動作方向及びカバーフィルム材料の搬送方向をそれぞれ逆方向とした場合における、トレイパック製造装置の正面模式図である。
図19】変更前のトレイパック製造装置のレイアウトを示す平面模式図である。
図20】変更後のトレイパック製造装置のレイアウトを示す平面模式図である。
図21】変更後のトレイパック製造装置のレイアウトにおいて、作業者を2人にした場合を示す平面模式図である。
図22】カバーを備えたトレイパック製造装置の斜視模式図である。
図23】カバーを備えたトレイパック製造装置の一部破断正面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態のトレイパック製造装置によって製造されるトレイパックについて説明する。
【0031】
図1,2に示すように、トレイパック1は、1つのポケット部2を備えたトレイ3と、ポケット部2を塞ぐようにしてトレイ3に取着されたカバーフィルム4とを有している。尚、図1等では、トレイ3及びカバーフィルム4を実際よりも厚肉で示している。ポケット部2には、例えば食品等の内容物5が収容されている。トレイ3及びカバーフィルム4は、実質的に通気性を有しないものとされており、内容物5を密封状態で維持可能となっている。
【0032】
トレイ3は、例えばPP(ポリプロピレン)等の熱可塑性樹脂材料によって構成されている。尚、トレイ3を複数種類の熱可塑性樹脂材料からなる多層構造としてもよい。また、トレイ3には、ポケット部2の開口端から外側へ延出するようにフランジ部3aが形成されている。一方、カバーフィルム4は、トレイ3と相溶性のある熱可塑性樹脂により形成されており、前記フランジ部3aに取着されている。尚、カバーフィルム4を、トレイ3と相溶性のある熱可塑性樹脂からなるシーラントが表面に塗布された薄肉材により構成してもよい。
【0033】
また、内容物5の長期保存などを可能とすべく、ポケット部2内には、所定のガス(例えば、窒素や二酸化炭素などの不活性ガス)が封入されている。その結果、カバーフィルム4(の中央部)は、ポケット部2内から離れるようにして膨出した状態となっている。尚、ポケット部2内を真空状態としてもよい。
【0034】
次に、トレイパック1を製造するためのトレイパック製造装置10について説明する。トレイパック製造装置10は、内容物5が収容されたトレイ3に対しカバーフィルム4を取着することで、トレイパック1を製造する。
【0035】
トレイパック製造装置10は、図3~5に示すように、カバーフィルム材料搬送装置11、一対のトレイ搬送装置12,13、シール装置14、一対の検知センサ15,16、タッチパネル装置17、保護装置18及び制御装置19を備えている。本実施形態では、カバーフィルム材料搬送装置11が「カバーフィルム材料搬送手段」を構成し、同様に、トレイ搬送装置12,13が「トレイ搬送手段」を、シール装置14が「シール手段」を、タッチパネル装置17が「操作手段」及び「表示手段」を、保護装置18が「誤操作防止手段」を、それぞれ構成する。
【0036】
カバーフィルム材料搬送装置11は、シール装置14に対しカバーフィルム4の材料となる帯状のカバーフィルム材料51を供給しつつ、カバーフィルム材料51のうち切断後に残ったスクラップ52を巻取るための装置である。カバーフィルム材料搬送装置11は、シール装置14に供給されたトレイ3の上方を通過する搬送経路でカバーフィルム材料51を搬送する。カバーフィルム材料搬送装置11は、一対のコアセット部111,112、一対のガイドローラ群113,114及び一対のテンション付与機構115,116を備えている。尚、図3等では、コアセット部111,112の外周に位置するスクラップ52を簡略化して示している。
【0037】
一対のコアセット部111,112は、それぞれ棒状をなしており、カバーフィルム材料51の搬送経路の両端に設けられている。これらコアセット部111,112は、図示しない駆動手段によって、長手方向に延びる中心軸を回転軸として回転駆動可能とされている。尚、これらコアセット部111,112の回転方向や回転速度などは、制御装置19によって制御される。
【0038】
さらに、これらコアセット部111,112の外周には、それぞれ、カバーフィルム材料51がロール状に巻回されてなる原反に係るコア53(以下、「原反コア53」という)と、スクラップ52の巻取に係るコア54(以下、「スクラップコア54」という)との双方をセットすることが可能に構成されている。つまり、一方のコアセット部111の外周に原反コア53をセットする一方で、他方のコアセット部112の外周にスクラップコア54をセットすること(図3等参照)、及び、一方のコアセット部111の外周にスクラップコア54をセットする一方で、他方のコアセット部112に原反コア53をセットすること(図17,18参照)の双方が可能に構成されている。
【0039】
本実施形態において、原反コア53及びスクラップコア54は、それぞれ円筒状をなす紙管によって構成されている。尚、スクラップコア54は、スクラップ52自体であってもよい。すなわち、コアセット部111,112に対し直接的に巻き付いたスクラップ52が、スクラップコア54を構成してもよい。
【0040】
また、本実施形態における円筒状のコアセット部111,112は、中心軸と直交する断面において円弧状の断面をなす円弧筒が複数組み合わされることで構成されている。各円弧筒は、コアセット部111,112の径方向に沿って移動可能とされており、各円弧筒の移動に伴い、コアセット部111,112の外径を増減させることが可能である。このようにコアセット部111,112の外径が増減可能であるため、コアセット部111,112に対する原反コア53及びスクラップコア54のセットや、コアセット部111,112からの原反コア53及びスクラップコア54の取外を容易に行うことが可能となっている。
【0041】
尚、コアセット部111,112は、原反コア53及びスクラップコア54をセット可能なものであればよく、必ずしも棒状である必要はない。従って、コアセット部111,112を、例えば、原反コア53やスクラップコア54の端部を把持可能な把持手段(把持装置)によって構成してもよい。
【0042】
ガイドローラ群113,114は、カバーフィルム材料51(スクラップ52を含む)を掛装可能に構成された、自由回転可能な複数のガイドローラ113a,114aを備えており、カバーフィルム材料51(スクラップ52を含む)の搬送経路を定めるものである。ガイドローラ群113,114によって、シール装置14における後述する上側チャンバ構成部31及び下側チャンバ構成部32間であって該シール装置14に供給されたトレイ3の上方に、カバーフィルム材料51が案内される。
【0043】
テンション付与機構115,116は、カバーフィルム材料51(スクラップ52を含む)に対し張力を付与することで、該カバーフィルム材料51の弛みを防止する。
【0044】
また、カバーフィルム材料搬送装置11は、トレイパック製造装置10を正面から見たとき(図4,5参照)、シール装置14を基準として左右対称に構成させている。すなわち、トレイパック製造装置10を正面から見たとき、シール装置14の左側にコアセット部111、ガイドローラ群113及びテンション付与機構115が設けられ、シール装置14の右側にコアセット部112、ガイドローラ群114及びテンション付与機構116が設けられている。そして、トレイパック製造装置10を正面から見たとき、コアセット部111,ガイドローラ群113及びテンション付与機構115と、コアセット部112、ガイドローラ群114及びテンション付与機構116とは、それぞれシール装置14を基準として対称となる位置関係で設けられている。
【0045】
一対のトレイ搬送装置12,13は、それぞれトレイ3を搬送するための装置であって、シール装置14を挟む位置に配置されている。トレイ搬送装置12(13)は、一対のプーリ121a,121b(131a,131b)と、これらプーリ121a,121b(131a,131b)に掛装されたコンベアベルト122(132)とを備えている。
【0046】
一対のプーリ121a,121b(131a,131b)は、水平方向に沿って所定間隔をあけた状態で配設されており、水平面に対し平行な回転軸にて回転可能とされている。各プーリ121a,121b,131a,131bは、図示しない駆動手段によって回転可能に構成されており、各プーリ121a,121b,131a,131bの回転方向や回転速度などは、制御装置19によって制御される。各プーリ121a,121b,131a,131bの回転方向や回転速度などが制御されることで、結果的に、コンベアベルト122,132の動作が制御装置19によって制御されることとなる。
【0047】
コンベアベルト122,132は、プーリ121a,121b,131a,131bの回転に伴い回転移動することで、上面に載置されたトレイ3を搬送する。コンベアベルト122,132は、制御装置19(特に後述するトレイ搬送制御部194)によってプーリ121a,121b,131a,131bの回転方向が正逆反転させられることで、正逆動作可能となっている。
【0048】
また、コンベアベルト122,132は、トレイ3の搬送方向に沿ってそれぞれ同じ長さLを有するものとされている。
【0049】
シール装置14は、カバーフィルム材料51を切断してカバーフィルム4を得るとともに、トレイ3におけるポケット部2内に所定のガスを充填した上で、該トレイ3のフランジ部3aに該カバーフィルム4を取着する。シール装置14によって、ポケット部2内に所定のガスの封入されたトレイパック1が得られる。尚、トレイ3に対するカバーフィルム4の取着前にトレイ3に内容物5が収容されるが、トレイ3に対する内容物5の収容タイミングについては、カバーフィルム4の取着前であればよく、特に限定されるものではない。従って、トレイ搬送装置12,13に対するトレイ3の供給前に、又は、トレイ搬送装置12,13によるトレイ3の搬送中に、トレイ3に対し内容物5を収容するようにしてもよい。
【0050】
シール装置14は、図6に示すように、チャンバ30、カッタ34、ヒータ35、吸着ボード36、ロッド37、押さえばね38、トレイテーブル39及びガス交換装置40を備えている。
【0051】
チャンバ30は、トレイ3を密閉状態で収容するために用いられる。チャンバ30は、カバーフィルム材料51を挟んで上下に配置される上側チャンバ構成部31及び下側チャンバ構成部32を有しており、開閉可能に構成されている。本実施形態において、チャンバ30の開閉は、下側チャンバ構成部32が上下動して上側チャンバ構成部31に対し接近又は離間することでなされる。
【0052】
上側チャンバ構成部31は、上側ベース部311、被取付部312、上側チャック部313及び把持用ばね314を備えている。
【0053】
上側ベース部311は、チャンバ30の内部空間S(図8等参照)のうちの特に上側の空間を形成する部位である。上側ベース部311は、下方に開口する内部空間を備えた箱状をなしている。上側ベース部311の下端面は、矩形環状をなしており、下側チャンバ構成部32の後述するパッキン322などと相対向した状態とされている。また、上側ベース部311の上壁部には、ガス交換を行う際に利用されるガス通路311aと、ロッド37を挿通するための挿通孔311bとが貫通形成されている。
【0054】
加えて、上側ベース部311は、ロッド37の長手方向に沿って所定範囲内で上下動可能であり、その結果、上側チャンバ構成部31は、所定の下限位置から所定の上限位置までの間で上下動可能となっている。尚、図6では、下限位置に配置された状態の上側チャンバ構成部31を示している。
【0055】
被取付部312は、カッタ34等が取付けられる部位であり、上側ベース部311の側壁部の内面から内側(ロッド37側)に向けて突出している。
【0056】
上側チャック部313は、チャンバ30を閉じたときに、後述する下側チャック部321cと協働してカバーフィルム材料51を把持する。カバーフィルム材料51の把持は、上側チャック部313の下端面でなされる。該下端面は、トレイ3におけるフランジ部3aの外縁よりも一回り大きな矩形環状とされている。従って、チャンバ30を閉じたときには、上側チャック部313等によって、カバーフィルム材料51のうちフランジ部3aよりも外側に位置する環状部位が把持されることとなる。
【0057】
把持用ばね314は、上側チャック部313及び被取付部312間に介在されており、上側チャック部313に対し下向きの力を付与することで、上側チャック部313等によってカバーフィルム材料51をより確実に把持するためのものである。
【0058】
下側チャンバ構成部32は、下側ベース部321及びパッキン322を備えている。
【0059】
下側ベース部321は、チャンバ30の内部空間Sのうちの特に下側の空間を形成する部位である。下側ベース部321は、箱状をなしており、上壁部の中心に形成された矩形状の貫通孔321aを通して外部と連通する内部空間を備えている。下側ベース部321は、図示しない駆動手段によって所定範囲内で上下動可能であり、その結果、下側チャンバ構成部32は、所定の下限位置から所定の上限位置までの間で上下動可能となっている。
【0060】
また、下側ベース部321の上壁部には、外側から内側に向けて、溝部321b、下側チャック部321c及びフランジ載置部321dが順に形成されている。溝部321bは、パッキン322を配置するための矩形環状の溝である。下側チャック部321cは、上側チャック部313とでカバーフィルム材料51を把持する部位であり、矩形環状の突起部によって構成されている。フランジ載置部321dは、下側チャンバ構成部32が上動したときにフランジ部3aが載置される平坦面である。
【0061】
一方、下側ベース部321の下壁部には、後述するテーブルロッド39aを挿通するための挿通孔321eが貫通形成されている。
【0062】
パッキン322は、チャンバ30を閉じたときに、チャンバ30の内部空間Sの気密性を確保するためのものである。
【0063】
尚、本実施形態では、チャンバ30を閉じた状態において、両チャンバ構成部31,32(具体的には、両ベース部311,321及びパッキン322)によって、カバーフィルム材料51における環状領域R1(図10にて散点模様を付した部位)が把持される。従って、本実施形態では、カバーフィルム材料51を切断することなく単にチャンバ30を閉じた状態においては、カバーフィルム材料51によって、チャンバ30の内部空間Sが上側空間と下側空間とに区画(分離)されることとなる。
【0064】
カッタ34は、カバーフィルム材料51を切断してカバーフィルム4を得るために用いられる。カッタ34は、上側チャック部313の内側にて被取付部312に取付けられている。カッタ34の先端部(下端部)は、上側チャンバ構成部31が下限位置に配置されている状態において、ヒータ35の下端面よりも下方に突き出すようになっている。
【0065】
また、カッタ34は、カバーフィルム4の外縁形状に対応する矩形筒状をなしており、カッタ34の先端部には、複数の尖った歯部が環状に配設されてなる鋸歯状の切断刃34aが設けられている。切断刃34aがカバーフィルム材料51に押し込まれることで、カバーフィルム材料51が切断される。
【0066】
ヒータ35は、カッタ34の内側にてロッド37に固定されており、トレイ3に対しカバーフィルム4を取着(溶着)するためのものである。ヒータ35の下端部には、通電により発熱可能な加熱部35aが設けられており、該加熱部35aは、カバーフィルム4の外縁形状よりも一回り小さな矩形環状をなしている。
【0067】
吸着ボード36は、カッタ34の内側にてロッド37の下端部に固定されており、カバーフィルム4を吸着保持するためのものである。吸着ボード36の下面には多数の吸着孔(不図示)が設けられており、所定の吸引手段(不図示)によって該吸着孔に対し負圧を供給可能とされている。吸着孔に負圧を供給することで、吸着ボード36の下面によってカバーフィルム4やカバーフィルム材料51を吸着保持可能である。本実施形態では、カッタ34によるカバーフィルム材料51の切断と同時期に、切断により得られたカバーフィルム4が吸着保持される。また、カバーフィルム4は、ポケット部2の開口を塞ぐことのない位置(すなわち、ポケット部2内のガス交換に支障が生じない位置)で吸着保持される。
【0068】
ロッド37は、棒状をなしており、上側チャンバ構成部31やヒータ35等を支持するとともに、上側チャンバ構成部31の上下動をガイドする。
【0069】
押さえばね38は、ロッド37の上端鍔状部分及び上側ベース部311の上壁部により挟み込まれた状態で設置されており、上側チャンバ構成部31に対し下向きの付勢力を付与する。
【0070】
トレイテーブル39は、シール装置14に供給されたトレイ3を支持したり、上下動させたりするために用いられる。トレイテーブル39は、前記貫通孔321aよりも一回り小さな矩形平板状をなしており、上面にトレイ3が載置される。また、トレイテーブル39の下面から下方に向けてテーブルロッド39aが延びており、前記挿通孔321eに挿通されている。トレイテーブル39やテーブルロッド39aは、所定位置よりも下方への移動を規制された状態で、上下動可能とされている。
【0071】
加えて、テーブルロッド39aの外周には、鍔状の係止突起39bが設けられている。下側チャンバ構成部32が一定位置まで上動すると、下側ベース部321の下壁部に対し係止突起39bが係止された状態となる。この状態のまま下側チャンバ構成部32がさらに上動することで、下側チャンバ構成部32とともにトレイテーブル39が上動する。
【0072】
ガス交換装置40は、チャンバ30を閉じた状態において該チャンバ30の内部空間Sにおけるガス交換を行うことで、ポケット部2内に所定のガスを充填する。ガス交換装置40は、所定の通気管41により上側チャンバ構成部31に接続されている。ガス交換装置40は、ガス通路311a及び通気管41を通して、チャンバ30の内部空間Sのガスを吸引して該内部空間Sを真空状態とする(つまり真空引きする)こと、及び、該内部空間Sに対しガスを供給することをこの順序で実行する。
【0073】
さらに、シール装置14は、トレイ搬送装置12,13との間でトレイ3の受渡しを行うためのトレイ受渡装置42(図16参照。図6等では不図示)を備えている。トレイ受渡装置42は、一方のトレイ搬送装置12(13)からトレイテーブル39に対しトレイ3を移動させて、シール装置14へとトレイ3を搬入する機能と、トレイテーブル39から他方のトレイ搬送装置13(12)へとトレイ3(トレイパック1)を移動させて、シール装置14からトレイ3(トレイパック1)を搬出する機能とを有する。トレイ受渡装置42によるトレイ3の移動方向は、制御装置19(特に後述する受渡制御部193)によって制御される。
【0074】
上述したシール装置14では、次のようにしてトレイ3に対するカバーフィルム4の取着が行われる。すなわち、トレイ受渡装置42によって、一方のトレイ搬送装置12(13)からトレイテーブル39に対しトレイ3が供給されると、まず、下側チャンバ構成部32を上動させることで、下側ベース部321の下壁部に係止突起39bを係止させるとともに、フランジ載置部321dにフランジ部3aを載置させる(図7参照)。さらに、下側チャンバ構成部32の上動が継続されることで、下側チャンバ構成部32とともにトレイテーブル39及びトレイ3が上動する。
【0075】
そして、下側チャンバ構成部32の上動に伴い、両チャック部313,321cによりカバーフィルム材料51が把持される。次いで、下側チャンバ構成部32の更なる上動に伴い、切断刃34aがカバーフィルム材料51に押し込まれることにより、カバーフィルム材料51が切断される。切断と同時期に、吸着ボード36によって、得られたカバーフィルム4が吸着保持される。
【0076】
そして、下側チャンバ構成部32がさらに上動することで、両ベース部311,321及びパッキン322によりカバーフィルム材料51(スクラップ52)が把持されつつ、チャンバ30が閉じられる(図8参照)。
【0077】
その後、ガス交換装置40により、チャンバ30の内部空間Sのガス交換が行われる。次いで、下側チャンバ構成部32を上限位置まで上動させてトレイテーブル39をさらに上動させることで、カバーフィルム4の裏面をフランジ部3aに接触させつつ、発熱状態の加熱部35aにカバーフィルム4の表面を所定時間だけ押し当てる(図9参照)。これにより、フランジ部3aにカバーフィルム4が取着(溶着)されて、トレイパック1が得られる。
【0078】
その後、下側チャンバ構成部32を下限位置まで移動させることで、チャンバ30が開かれる。そして、トレイ受渡装置42によって、シール装置14から他方のトレイ搬送装置13(12)へとトレイ3(トレイパック1)が受渡される。受渡されたトレイ3(トレイパック1)は、トレイ搬送装置13(12)によって下流側へと搬送される。
【0079】
尚、本実施形態では、後述するトレイ不足判定部196によってトレイ3が不足していると判定された場合、後述するシール制御部192により、シール装置14によるカバーフィルム4の取着に係る処理として、不足判定から所定時間が経過したタイミングにおけるカバーフィルム4の取着処理をスキップする処理が行われるようになっている。これにより、トレイ3が存在していないにも関わらず、トレイ3に対するカバーフィルム4の取着処理が行われないようになっている。
【0080】
図3~5に戻り、一対の検知センサ15,16は、光電センサや超音波センサなどにより構成されており、それぞれトレイ搬送装置12,13によって搬送されるトレイ3を検知可能とされている。検知センサ15,16は、トレイ搬送装置12,13のそれぞれに設けられている。すなわち、一方の検知センサ15は、一方のトレイ搬送装置12に対応して設けられ、他方の検知センサ16は、他方のトレイ搬送装置13に対応して設けられている。検知センサ15,16は、トレイ3を検知すると、所定の検知信号を制御装置19(特に後述するトレイ不足判定部196及びトレイ満杯判定部197)へと送信する。
【0081】
また、本実施形態において、検知センサ15,16のうちトレイ3の搬送方向上流側に位置するものによる検知結果(検知信号)は、トレイ3の供給状態に対応する処理(本実施形態では、後述するように、トレイ3の不足を報知する情報をタッチパネル装置17にて表示するための処理)や、シール装置14によるカバーフィルム4の取着に係る処理(上述した取着処理をスキップする処理)に用いられる。本実施形態では、これら処理が「第一処理」に相当する。
【0082】
一方、検知センサ15,16のうちトレイ3の搬送方向下流側に位置するものによる検知結果(検知信号)は、製造されたトレイパック1の回収状態に対応した処理(本実施形態では、後述するように、トレイ3の満杯を報知する情報をタッチパネル装置17にて表示するための処理)に用いられる。本実施形態では、この処理が「第二処理」に相当する。
【0083】
そして、本実施形態では、タッチパネル装置17を操作してコンベアベルト122,132の動作方向を切換えることで、自動的に、「第一処理」に用いられる検知結果と、「第二処理」に用いられる検知結果とが入れ替わるようになっている。本実施形態では、所定のトレイ搬送方向フラグのオン・オフに応じて、トレイ不足判定部196やトレイ満杯判定部197の参照する検知信号が一方の検知センサ15から出力されたもの又は他方の検知センサ16から出力されたものに切換わることで、自動的に、「第一処理」に用いられる検知結果と、「第二処理」に用いられる検知結果とが入れ替わるようになっている。尚、トレイ搬送フラグは、トレイ搬送装置12,13によるトレイ3の搬送方向を示す情報であって、該フラグのオン・オフは、コンベアベルト122,132の動作方向に応じて切換わる。
【0084】
タッチパネル装置17は、所定のタッチパネルを備えており、情報の表示や入力などに利用される。タッチパネル装置17は、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えたり、カバーフィルム材料搬送装置11の動作方向(つまりカバーフィルム材料51の搬送方向)を切換えたりするときなどに操作される。本実施形態において、タッチパネル装置17には、通常時画面やパスワード表示画面、方向変更用画面などが表示可能とされている。
【0085】
通常時画面では、図11に示すように、現在のトレイ3(トレイパック1)の搬送方向に係る情報D1と、現在のカバーフィルム材料51の搬送方向に係る情報D2とが表示される。本実施形態では、情報D1,D2として矢印が用いられているが、情報D1,D2として文字や記号などを用いてもよい。これは、後述する情報D3,D4においても同様である。また、通常時画面では、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更するときの操作対象となる方向変更用ボタンB1が表示される。
【0086】
パスワード入力画面では、図12に示すように、パスワードの入力に用いられる入力欄N1や、パスワードの入力決定に用いられる決定ボタンB2などが表示される。
【0087】
方向変更用画面では、図13に示すように、トレイ3やカバーフィルム材料51の現在の搬送方向に係る情報D1,D2や、変更後のトレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向に係る情報D3,D4、搬送方向を変更するときの操作対象となる選択ボタンB3,B4、最終的に情報を制御装置19に入力するための決定ボタンB5などが表示される。選択ボタンB3,B4を操作することで、情報D3,D4の示す搬送方向が切換わる。また、決定ボタンB5を操作することで、情報D3,D4に対応する情報が制御装置19へと入力される。
【0088】
本実施形態では、情報D3として右向きの矢印が表示されている状態で、決定ボタンB5が操作されると、後述する記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグがオフに設定される。一方、情報D3として左向きの矢印が表示されている状態で、決定ボタンB5が操作されると、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグがオンに設定される。
【0089】
また、情報D4として右向きの矢印が表示されている状態で、決定ボタンB5が操作されると、後述する記憶部191に記憶されたフィルム搬送方向フラグがオフに設定される。フィルム搬送方向フラグは、カバーフィルム材料搬送装置11によるカバーフィルム材料51の搬送方向を示す情報である。一方、情報D4として左向きの矢印が表示されている状態で、決定ボタンB5が操作されると、記憶部191に記憶されたフィルム搬送方向フラグがオンに設定される。
【0090】
保護装置18は、コンベアベルト122,132やカバーフィルム材料搬送装置11の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17に対する操作が可能となる状態と、該操作が不可となる状態とに切換可能な保護手段である。保護装置18は、図14,15に示すように、ケース181及びロック装置182を備えている。
【0091】
ケース181は、タッチパネル装置17を内部に収容し、トレイパック製造装置10の正面にて開口する開口部1811aを有するケース本体1811と、開口部1811aを開閉可能な扉部1812とを備えている。扉部1812は、透明材料又は半透明材料によって形成された透過部1812aを有しており、該透過部1812aを介して、保護装置18の外部からタッチパネル装置17における表示内容を視認可能となっている。
【0092】
ロック装置182は、扉部1812によって開口部1811aを閉鎖した状態で該扉部1812をロックするためのロック手段である。本実施形態において、ロック装置182による扉部1812のロック及びロック解除は、所定の鍵などを用いることで行うことが可能である。尚、ロック装置1812は、鍵などを用いるものに限定されず、例えばパスワードの入力や指紋等の認証によりロック解除可能な電子錠などであってもよい。
【0093】
制御装置19は、所定の演算処理を実行するCPU、各種プログラムや固定値データ等を記憶するROM、各種演算処理の実行に際して各種データが一時的に記憶されるRAM及びこれらの周辺回路等を含んだコンピュータシステムによって構成されている。制御装置19は、トレイパック製造装置10の構成する各装置(例えば、カバーフィルム材料搬送装置11やトレイ搬送装置12,13など)の動作制御を行う。
【0094】
制御装置19は、図16に示すように、記憶部191、シール制御部192、受渡制御部193、トレイ搬送制御部194、フィルム搬送制御部195、トレイ不足判定部196、トレイ満杯判定部197、認証部198及び表示制御部199を備えている。
【0095】
記憶部191は、トレイパック製造装置10の動作に係る各種情報を記憶する。記憶部191には、トレイ搬送方向フラグ(トレイ搬送装置12,13によるトレイ3の搬送方向を示す情報)やフィルム搬送方向フラグ(カバーフィルム材料51の搬送方向を示す情報)が記憶されている。本実施形態において、トレイ搬送方向フラグ及びフィルム搬送方向フラグは、それぞれオン又はオフとされる。また、記憶部191には、認証部198によって参照される正解のパスワードなども記憶されている。
【0096】
シール制御部192は、シール装置14の動作を制御する。シール制御部192は、通常、一定のタイミングごとにトレイ3に対するカバーフィルム4の取着処理が実行されるように、シール装置14を制御する。但し、トレイ不足判定部196によりトレイ3の不足が生じていると判定された場合、シール制御部192は、不足判定から所定時間が経過したタイミングにおける取着処理がスキップされるように、シール装置14を制御する。
【0097】
受渡制御部193は、トレイ受渡装置42の動作を制御する。より詳しくは、受渡制御部193は、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグを参照し、トレイ搬送方向フラグがオフである場合、一方のトレイ搬送装置12からシール装置14(トレイテーブル39)へとトレイ3を搬入する一方、シール装置14(トレイテーブル39)から他方のトレイ搬送装置13へとトレイ3(トレイパック1)を搬出するように、トレイ受渡装置42の動作を制御する。一方、受渡制御部193は、トレイ搬送方向フラグがオンである場合、他方のトレイ搬送装置13からシール装置14へとトレイ3を搬入する一方、シール装置14から一方のトレイ搬送装置12へとトレイ3(トレイパック1)を搬出するように、トレイ受渡装置42の動作を制御する。つまり、受渡制御部193は、トレイ搬送方向フラグのオン・オフに応じて、一対のトレイ搬送装置12,13とシール装置14との間におけるトレイ3の移動方向を切換える。
【0098】
トレイ搬送制御部194は、一対のトレイ搬送装置12,13の動作を制御する。より詳しくは、トレイ搬送制御部194は、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグを参照し、トレイ搬送方向フラグがオフである場合、一方のトレイ搬送装置12ではシール装置14側に向けてトレイ3が搬送され、他方のトレイ搬送装置13ではシール装置14から離れる側に向けてトレイ3(トレイパック1)が搬送されるように、両トレイ搬送装置12,13(特にプーリ121a,121b,131a,131b)の動作を制御する。これにより、コンベアベルト122,132が正方向に動作し、本実施形態では、トレイパック製造装置10を正面から見た状態において、トレイ3が左から右に向けた方向(図3~5における白抜き矢印方向)に搬送される。
【0099】
一方、トレイ搬送制御部194は、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグを参照し、トレイ搬送方向フラグがオンである場合、一方のトレイ搬送装置12ではシール装置14から離れる側に向けてトレイ3(トレイパック1)が搬送され、他方のトレイ搬送装置13ではシール装置14側に向けてトレイ3が搬送されるように、両トレイ搬送装置12,13の動作を制御する。これにより、コンベアベルト122,132が逆方向に動作し、本実施形態では、トレイパック製造装置10を正面から見た状態において、トレイ3が右から左に向けた方向(図17,18における白抜き矢印方向)に搬送される。つまり、トレイ搬送制御部194は、トレイ搬送方向フラグのオン・オフに応じて、両トレイ搬送装置12,13によるトレイ3の搬送方向を正方向(左から右に向けた方向)と逆方向(右から左に向けた方向)とで切換える。
【0100】
フィルム搬送制御部195は、カバーフィルム材料搬送装置11の動作を制御する。より詳しくは、フィルム搬送制御部195は、記憶部191に記憶されたフィルム搬送方向フラグを参照し、フィルム搬送方向フラグがオフである場合、一方のコアセット部111側から他方のコアセット部112側へとカバーフィルム材料51(スクラップ52を含む)が搬送されるように、カバーフィルム材料搬送装置11(特に両コアセット部111,112)の動作を制御する。これにより、本実施形態では、トレイパック製造装置10を正面から見た状態において、カバーフィルム材料51が左から右に向けた方向(図3~5における黒塗り矢印方向)に搬送される。
【0101】
一方、フィルム搬送制御部195は、記憶部191に記憶されたフィルム搬送方向フラグを参照し、フィルム搬送方向フラグがオンである場合、他方のコアセット部112側から一方のコアセット部111側へとカバーフィルム材料51が搬送されるように、カバーフィルム材料搬送装置11の動作を制御する。これにより、本実施形態では、トレイパック製造装置10を正面から見た状態において、カバーフィルム材料51が右から左に向けた方向(図17,18における黒塗り矢印方向)に搬送される。つまり、フィルム搬送制御部195は、フィルム搬送方向フラグのオン・オフに応じて、カバーフィルム材料搬送装置11によるカバーフィルム材料51の搬送方向を正方向(左から右に向けた方向)と逆方向(右から左に向けた方向)とで切換える。
【0102】
トレイ不足判定部196は、両トレイ搬送装置12,13のうちのシール装置14に対しトレイ3を搬送(供給)するものにおいて、搬送するトレイ3の不足が発生しているか否かを判定する。
【0103】
より詳しくは、トレイ不足判定部196は、予め設定された所定の良否判定タイミングとなる度に、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグを参照する。そして、トレイ搬送方向フラグがオフである場合、つまり、一方のトレイ搬送装置12からシール装置14に向けてトレイ3が搬送される場合、トレイ不足判定部196は、一方のトレイ搬送装置12に対応して配設された検知センサ15による検知結果に基づき、トレイ3が不足しているか否かを判定する。一方、トレイ搬送方向フラグがオンである場合、つまり、他方のトレイ搬送装置13からシール装置14に向けてトレイ3が搬送される場合、トレイ不足判定部196は、他方のトレイ搬送装置13に対応して配設された検知センサ16による検知結果に基づき、トレイ3が不足しているか否かを判定する。本実施形態において、トレイ不足判定部196は、対象の検知センサ15,16から検知信号が入力されていれば、トレイ3の不足が生じていないと判定し、対象の検知センサ15,16から検知信号が入力されていなければ、トレイ3の不足が生じていると判定する。
【0104】
また、トレイ不足判定部196は、トレイ3が不足していると判定した場合、その判定結果に係る情報を表示制御部199に送る。これにより、表示制御部199では、トレイ3の供給状態に対応する処理として、トレイ3の不足を報知する情報をタッチパネル装置17にて表示する処理が行われる。尚、このような情報の表示に加えて又は代えて、カバーフィルム材料搬送装置11やトレイ搬送装置12,13などを停止させて、トレイパック1の製造を一時的に停止する処置を行うようにしてもよい。
【0105】
さらに、トレイ不足判定部196は、トレイ3が不足していると判定した場合、その判定結果に係る情報をシール制御部192に送る。これにより、トレイ3に対するカバーフィルム4の取着処理がスキップされる。
【0106】
トレイ満杯判定部197は、両トレイ搬送装置12,13のうちのシール装置14から搬出されたトレイ3(トレイパック1)を搬送するものにおいて、搬送するトレイ3の満杯(トレイ3をこれ以上下流に搬送することができない状態)が発生しているか否かを判定する。
【0107】
より詳しくは、トレイ満杯判定部197は、予め設定された所定の良否判定タイミングとなる度に、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグを参照する。そして、トレイ搬送方向フラグがオフである場合、つまり、他方のトレイ搬送装置13によりトレイパック1が搬送される場合、トレイ満杯判定部197は、他方のトレイ搬送装置13に対応して配設された検知センサ16による検知結果に基づき、トレイ3の満杯が生じているか否かを判定する。一方、トレイ搬送方向フラグがオンである場合、つまり、一方のトレイ搬送装置12によりトレイパック1が搬送される場合、トレイ満杯判定部197は、一方のトレイ搬送装置12に対応して配設された検知センサ15による検知結果に基づき、トレイ3の満杯が生じているか否かを判定する。本実施形態において、トレイ満杯判定部197は、対象の検知センサ15,16から検知信号が入力されていれば、トレイ3の満杯が生じていると判定し、対象の検知センサ15,61から検知信号が入力されていなければ、トレイ3の満杯が生じていないと判定する。
【0108】
また、トレイ満杯判定部197は、トレイ3の満杯が生じていると判定した場合、その判定結果に係る情報を表示制御部199に送る。これにより、表示制御部199では、製造されたトレイパック1の回収状態に対応した処理として、トレイ3の満杯を報知する情報をタッチパネル装置17にて表示させる処理が行われる。尚、トレイ3の不足が生じた場合と同様に、情報の表示に加えて又は代えて、トレイパック1の製造を一時的に停止する処置を行うようにしてもよい。
【0109】
認証部198は、コンベアベルト122,132やカバーフィルム材料搬送装置11の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17に対する操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換可能とするためのものである。認証部198は、前記パスワード入力画面(図12参照)にて入力されたパスワードが適切であるか否かを判定する。パスワードが適切か否かは、入力されたパスワードと記憶部191に予め記憶された正解のパスワードとを比較することによって判定される。
【0110】
そして、パスワードが適切であれば、認証部198は、表示制御部199に対し、ログイン可能である旨の情報を送る。これにより、表示制御部199によって、タッチパネル装置17に前記方向変更用画面(図13参照)が表示される。すなわち、認証部198は、所定のパスワードが入力されることにより、コンベアベルト122,132等の動作方向を切換えるための操作が不可の状態から可能な状態へと切換える機能を有する。
【0111】
本実施形態において、認証部198は、保護装置18と同様に、「誤操作防止手段」を構成する。従って、本実施形態では、「誤操作防止手段」が複数設けられており、これら「誤操作防止手段」は、コンベアベルト122,132等の動作方向を切換えるための操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換えることを、それぞれ異なる機能によって実現するようになっている。
【0112】
表示制御部199は、タッチパネル装置17における表示内容の制御を行う。表示制御部199は、通常時には、記憶部191に記憶されたトレイ搬送方向フラグ及びフィルム搬送方向フラグを参照し、これらフラグのオン・オフに基づき、前記情報D1,D2を含む前記通常時画面をタッチパネル装置17にて表示させる。すなわち、表示制御部199は、トレイ搬送装置12,13におけるコンベアベルト122,132の動作方向に応じて、タッチパネル装置17において表示されるトレイ3の搬送方向に係る情報を制御する。本実施形態では、表示制御部199が「方向表示制御手段」を構成する。
【0113】
また、表示制御部199は、前記通常時画面を表示している状態において前記方向変更用ボタンB1が操作(例えば押圧)されると、前記パスワード入力画面をタッチパネル装置17にて表示させる。但し、トレイパック製造装置10の動作中には、方向変更用ボタンB1を操作しても、前記パスワード入力画面は表示されない。従って、トレイパック製造装置10の動作中において、トレイ3やカバーフィルム材料51の各搬送方向は変更不可である。
【0114】
前記パスワード入力画面において、適切なパスワードが入力され、認証部198からログイン可能である旨の情報が送られると、表示制御部199は、前記方向変更用画面をタッチパネル装置17にて表示させる。
【0115】
さらに、上記の通り、表示制御部199は、トレイ不足判定部196やトレイ満杯反対部197からの判定結果に応じて、トレイ3の不足や満杯を報知する情報をタッチパネル装置17にて表示させる。
【0116】
次いで、上述したトレイパック製造装置10において、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更する手法について説明する。
【0117】
トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更する際には、まず、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17に対する操作が不可となる状態から該操作が可能となる状態へと切換える必要がある。この切換は、ロック装置182による扉部1812のロックを解除した上で、前記パスワード入力画面にて適切なパスワードを入力することによって初めて可能となる。
【0118】
そして、前記方向変更用画面にてトレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更するための操作を行うことで、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更することができる。これにより、図3~5,17,18に示すように、トレイ3の搬送方向を正方向と逆方向とで切換えることができ、また、カバーフィルム材料51の搬送方向を正方向と逆方向とで切換えることができる。尚、カバーフィルム材料51の搬送方向を変更した場合には、コアセット部111,112に対し、変更後の搬送方向に合わせた適切なコア53,54をセットする必要がある。
【0119】
以上詳述したように、本実施形態によれば、タッチパネル装置17を操作することで、コンベアベルト122,132の動作方向ひいてはトレイ3の搬送方向を正逆反転させることができる。従って、トレイパック製造装置10自体を回転させることなく(装置全体の向きを変えることなく)、トレイ3の搬送方向を容易に変更することができるため、使い勝手などの理由からトレイ3の搬送方向を反転させたいというニーズに即座に対応することができる。また、トレイ3の搬送方向を変更するにあたって、トレイパック製造装置10を平面視180°回転させる必要などはないから、トレイパック製造装置10を回転させることにより生じ得る各種問題の発生をより確実に防止することができる。
【0120】
さらに、保護装置18及び認証部198によって、コンベアベルト122,132等の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17に対する操作が可能となる状態と該操作が不可となる状態とに切換えることができる。従って、誤操作によって、意図せずトレイ3等の搬送方向が切換わることをより確実に防止できる。
【0121】
さらに、上記実施形態によれば、例えば生産工程の見直し等によるトレイパック製造装置10のレイアウト変更を容易に行うことができる。例えば、図19に示すように、正面がそれぞれ同じ方向を向くとともに、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向が同一方向となるようなレイアウトで2台のトレイパック製造装置10を使用していたとする。これに対し、例えば、生産工程の見直し等に伴い、正面同士が相対向するとともに、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向が同一方向で維持されるように、2台のトレイパック製造装置10のレイアウトを変更する必要が生じたとする。この場合、従来では、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を逆方向としたトレイパック製造装置10を新たに用意するなどの必要があるが、上記実施形態によれば、図20に示すように、一方のトレイパック製造装置10を平面視180°回転させた上で、該トレイパック製造装置10におけるトレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を逆方向に変更しさえすれば、所望のレイアウトとすることができる。
【0122】
尚、トレイパック製造装置10の正面同士が相対向するレイアウトとすることで、例えば、シール装置14の前に設ける必要があるメンテナンス用のスペースを共通化させることができ、スペースの有効活用を図ることができる。また、レイアウト変更により、トレイパック1の製造に必要な作業者Opの人数を減らすことが可能となる場合もある(図21参照)。
【0123】
加えて、本実施形態では、一対のコアセット部111,112に対し、原反コア53とスクラップコア54とがそれぞれセット可能とされており、トレイ3の搬送方向のみならず、カバーフィルム材料51の搬送方向をも正逆反転させることが可能とされている。さらに、カバーフィルム材料搬送装置11は、シール装置14を基準として左右対称に構成されている。これらの結果、装置の使い勝手を効果的に高めることができる。
【0124】
さらに、コンベアベルト122,132は、トレイ3の搬送方向に沿ってそれぞれ同じ長さLを有するため、トレイ3の搬送方向を正逆反転させた場合であっても、以前の搬送方向で装置を使用していた場合と同様の使い勝手を得やすくすることができる。
【0125】
また、本実施形態では、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えるためのタッチパネル装置17に対する操作に伴い、第一処理にて用いられる検知結果と、第二処理にて用いられる検知結果とが自動的に入れ替わるようになっている。従って、コンベアベルト122,132の動作方向を切換えるにあたって、検知結果を用いた処理を適切に行うための別途の作業などを行う必要がなくなり、利便性を高めることができる。
【0126】
また、タッチパネル装置17にてトレイ3の搬送方向に係る情報D1,D2が表示されるため、トレイ搬送装置12,13を実際に動作させることなく、トレイ3の搬送方向を把握することができる。従って、装置の使い勝手をより高めることができる。
【0127】
加えて、タッチパネル装置17において表示されるトレイ3の搬送方向に係る情報D1,D2は、コンベアベルト122,132の動作方向に応じて自動的に制御されるため、該情報D1,D2に誤りが生じることを防止できる。
【0128】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0129】
(a)図22,23に示すように、カバーフィルム材料51の搬送経路の鉛直下方に配置され、トレイ搬送装置12,13により搬送されるトレイ3を覆う「カバー手段」としてのカバー20を設けてもよい。また、このカバー20を、トレイ3の搬送方向に沿ってシール装置14を間に置く位置P1,P2のいずれかに対し選択的に設置可能としてもよい。本例では、コンベアベルト122,132を挟むようにして設けられたフレーム21,22に対しカバー20が載置可能とされることで、カバー20を位置P1,P2のいずれかに対し選択的に設置可能とされている。
【0130】
カバー20を設けることで、万が一、スクラップ52からトレイ3へと異物が落下したとしても、カバー20によって、該異物がトレイ3内に入ることをより確実に防止できる。従って、トレイパック1に係る衛生性や安全性の向上を図ることができる。
【0131】
また、カバー20が位置P1,P2のいずれかに対し選択的に設置可能とされていることで、スクラップ52の搬送経路の位置に合わせて、カバー20の設置位置を適宜変更することができる。これにより、シール装置14を間に置く位置のそれぞれにカバー20を設ける場合(カバー20を2つ設ける場合)と比べて、コストの低減などを図ることができる。
【0132】
(b)上記実施形態では、2つの「誤操作防止手段」(保護装置18及び認証部198)が設けられているが、「誤操作防止手段」を1つのみ又は3つ以上設けてもよい。
【0133】
(c)上記実施形態で挙げたシール装置14はあくまで一例である。シール装置は、帯状のカバーフィルム材料51を切断してカバーフィルム4を得るとともに、トレイ3に対し該カバーフィルム4を取着する機能を有するものであればよい。
【0134】
従って、上記実施形態では、カバーフィルム材料51を切断してカバーフィルム4を得るとともに、該カバーフィルム4を吸着保持する工程と、チャンバ30の内部空間Sのガス交換を行う工程とがこの順序で行われているが、これら工程の実行順序を適宜変更してもよい。
【0135】
(d)上記実施形態では、トレイ3やカバーフィルム材料51の搬送方向を変更するための「操作手段」としてタッチパネル装置17を挙げているが、「操作手段」はタッチパネル装置17に限定されるものではない。従って、例えば、手動操作可能なスイッチなどによって「操作手段」を構成してもよい。
【0136】
(e)上記実施形態では、タッチパネル装置17を操作することで、カバーフィルム材料搬送装置11によるカバーフィルム材料51の搬送方向を変更可能とされている。これに対し、コアセット部111,112にセットされるコアに応じて、カバーフィルム材料搬送装置11によるカバーフィルム材料51の搬送方向が自動的に設定されるように構成してもよい。例えば、両コアセット部111,112に対し、原反コア53又はスクラップコア54がセットされているか否かを検知可能なセンサを設け、これらセンサによる検知結果に基づき、カバーフィルム材料51の搬送方向が自動的に設定されるようにしてもよい。
【0137】
(f)上記実施形態では、一方のトレイ搬送装置12(13)からシール装置14に対し1のトレイ3が供給されて、シール装置14によって該1のトレイ3を対象としたカバーフィルム4の取着処理が行われるように構成されている。これに対し、一方のトレイ搬送装置12(13)からシール装置14に対し複数のトレイ3が一度に供給され、シール装置14によってこれら複数のトレイ3を対象としたカバーフィルム4の取着処理が行われるように構成してもよい。
【0138】
(g)上記実施形態において、トレイパック1は1のポケット部2を有するものとされているが、トレイパック1に設けられるポケット部2の数は何ら限定されるものではない。また、ポケット部2やトレイ3、カバーフィルム4の形状や位置関係についても何ら限定されるものではなく、適宜変更してもよい。勿論、トレイ3等の形状などに合わせて、トレイ搬送装置12,13やシール装置14などの構成を変更してもよい。
【符号の説明】
【0139】
1…トレイパック、3…トレイ、4…カバーフィルム、5…内容物、10…トレイパック製造装置、11…カバーフィルム材料搬送装置(カバーフィルム材料搬送手段)、12,13…トレイ搬送装置(トレイ搬送手段)、14…シール装置(シール手段)、15,16…検知センサ、17…タッチパネル装置(操作手段、表示手段)、18…保護装置(誤操作防止手段)、20…カバー(カバー手段)、51…カバーフィルム材料、52…スクラップ、53…原反コア、54…スクラップコア、111,112…コアセット部、122,132…コンベアベルト、198…認証部(誤操作防止手段)、199…表示制御部(方向表示制御手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23