(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006138
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ストロークセンサ
(51)【国際特許分類】
G01B 5/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106753
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍二
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA02
2F062EE01
2F062EE62
2F062GG51
(57)【要約】
【課題】 連結部材を適正位置に固定することが可能なストロークセンサを提供する。
【解決手段】 取付対象に連結される連結部材90と、この連結部材90を保持可能な孔部26と孔部26を囲繞する囲繞部27とを有する第一ハウジング20と、検出対象に一端が連結される検出シャフト10と、検出シャフト10を原点位置Oに付勢するスプリング40とを備え、囲繞部27と孔部26との境界部分28には、孔部26の開放部分26aに向けて連結部材90を案内するための末広がり状の誘い込み部28aが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象に連結される連結部材と、
前記連結部材を保持可能な孔部と前記孔部を囲繞する囲繞部とを有するハウジングと、
検出対象に一端が連結される検出シャフトと、
前記検出シャフトを基準位置に付勢するスプリングとを備え、
前記囲繞部と前記孔部との境界部分には、前記孔部の開放部分に向けて前記連結部材を案内するための末広がり状の誘い込み部が設けられていることを特徴とするストロークセンサ。
【請求項2】
前記連結部材は、ベアリングと、前記ベアリングを保持するように前記囲繞部に固定されるベアリングホルダとを備えていることを特徴とする請求項1記載のストロークセンサ。
【請求項3】
前記ベアリングは、前記境界部分に沿った長さが第1の値に設定され、
前記ベアリングホルダは、前記ベアリングと前記囲繞部との間に位置し、前記境界部分に沿った長さが前記第1の値よりも小さい第2の値に設定されていることを特徴とする請求項2記載のストロークセンサ。
【請求項4】
前記囲繞部は、前記連結部材の外側に位置する本体部と、前記ベアリングホルダを支持する突出部とを備えていることを特徴とする請求項3記載のストロークセンサ。
【請求項5】
前記境界部分には、前記誘い込み部に隣接するように溝部が設けられ、
前記ベアリングホルダは、前記溝部に配設される固定部材と前記突出部とによって挟持されていることを特徴とする請求項4記載のストロークセンサ。
【請求項6】
前記本体部と前記突出部との間には窪み部が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5記載のストロークセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロークセンサに関し、例えば自動2輪車に使用されるクイックシフター用のストロークセンサに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車においては、クイックシフターによりライダーの使い勝手を向上している。ここでクイックシフターは、ストロークセンサによりシフトペダルの操作を検出して各部を制御する構成であり、オートシフターや単にシフターとも呼ばれている。
【0003】
このようなストロークセンサは、連結部材により取付対象(例えば取付ブラケット)に取り付けられており、例えば特許文献1には、取付対象に連結される連結部材を保持可能な孔部と当該孔部を囲繞する囲繞部とを有する金属製のハウジングと、検出対象(シフトペダル)に一端が連結される検出シャフトと、この検出シャフトを基準位置に付勢するスプリングとから主に構成されたストロークセンサが開示されている。連結部材は、例えば金属製のベアリングと、ベアリングと囲繞部との間に介在する金属製のベアリングホルダとからなり、当該連結部材をハウジングの前記孔部の中に固定(圧入固定)する構成を採用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1に記載のストロークセンサの場合、連結部材をハウジングの前記孔部の中に固定するにあたって、孔部と囲繞部との境界部分全体(つまり囲繞部の内周部)が断面視で直線状となっていることに起因して、連結部材(ベアリングホルダ)の一部が囲繞部の内周部に食い込む場合があり、この場合、連結部材が軸ズレされた状態で前記孔部に固定されるという事象が生じ、連結部材を適正位置に固定することが困難であるという問題があった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、連結部材を適正位置に固定することが可能なストロークセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、取付対象に連結される連結部材と、前記連結部材を保持可能な孔部と前記孔部を囲繞する囲繞部とを有するハウジングと、検出対象に一端が連結される検出シャフトと、前記検出シャフトを基準位置に付勢するスプリングとを備え、前記囲繞部と前記孔部との境界部分には、前記孔部の開放部分に向けて前記連結部材を案内するための末広がり状の誘い込み部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記連結部材は、ベアリングと、前記ベアリングを保持するように前記囲繞部に固定されるベアリングホルダとを備えていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記ベアリングは、前記境界部分に沿った長さが第1の値に設定され、前記ベアリングホルダは、前記ベアリングと前記囲繞部との間に位置し、前記境界部分に沿った長さが前記第1の値よりも小さい第2の値に設定されていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記囲繞部は、前記連結部材の外側に位置する本体部と、前記ベアリングホルダを支持する突出部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記境界部分には、前記誘い込み部に隣接するように溝部が設けられ、前記ベアリングホルダは、前記溝部に配設される固定部材と前記突出部とによって挟持されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記本体部と前記突出部との間には窪み部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、連結部材を適正位置に固定することが可能なストロークセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態によるストロークセンサの断面図。
【
図3】同実施形態による第一ハウジングと連結部材とを示す断面図。
【
図4】
図3中、第一ハウジングの一部と連結部材とを拡大して示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1を参照する。本実施形態によるストロークセンサ1は、クイックシフター用のストロークセンサであり、検出対象(例えばシフトペダル)に追従して原点位置Oから移動する検出シャフト10の移動量Sを検出するものである。ストロークセンサ1は、検出対象に一端が連結される検出シャフト10と、第一ハウジング20と、第二ハウジング30と、原点位置Oから移動した後の検出シャフト10を原点位置Oに復帰させるスプリング40と、検出シャフト10(検出シャフト10に備えられる後述する窪み部)の移動に伴って磁界を変化させる機能を有する磁石50と、検出シャフト10(前記窪み部)の移動に伴う磁界の変化から検出シャフト10の移動量Sを検出する機能を有する磁気検出素子60と、第一ハウジング20の後述する収納部に収納される基板70と、磁石50や磁気検出素子60を封止するための封止部材80と、所定の取付対象(例えば図示省略した取付ブラケット)に連結される連結部材90とを備える。
【0016】
図2を併せて参照する。検出シャフト10は、検出対象の移動によって追従される検出媒体であり、例えば検出対象に連結されて外力が伝達され、軸方向に往復して追従する。検出シャフト10は、ある程度剛性を有する軟磁性材料が好ましく、例えばフェライト系ステンレスを適用することができる。
【0017】
検出シャフト10は、円柱状の直径の異なる径大部11、径中部12並びに径小部13を有し、本実施形態では、第一ハウジング20の方向から径小部13、径大部11、径中部12の並びで構成される。また、検出シャフト10は、径中部12に気密部材14が取り付けられる。なお、
図1中、15a、15bは、検出シャフト10に取り付けられた第一、第二の座金であり、これら第一、第二の座金15a、15bは、スプリング40の両端側に位置する。例えば
図1に示すように第一の座金15aはスプリング40の右側に位置し、第二の座金15bはスプリング40の左側に位置する。
【0018】
径大部11は、検出シャフト10において、最も直径の大きい円板状の部位であり、第二ハウジング30内に配置され、径小部13に取り付けられた第二の座金15bを支持する。
【0019】
径中部12は、径大部11より直径の小さい部位である。径中部12は、第二ハウジング30の後述するシャフト孔から外側に突き出しており、当該シャフト孔から外側に突き出た径中部12の一部が検出対象と連結(接続)される。
【0020】
径小部13は、径大部11(径中部12)より直径の小さい部位である。径大部11よりも径小となる径小部13には、径大部11から離れるに従って、第二の座金15b、スプリング40、第一の座金15aが位置するように組み付けられる。なお、
図1中、16は止め輪であり、この止め輪16は、非磁性材料からなるラジアル方向取り付け式止め輪であり、径小部13の略中間部分に設けられた図示しない溝に保持される。止め輪16は、第一の座金15aを支持する。つまり、この場合、止め輪16と径大部11との間に第一の座金15aとスプリング40と第二の座金15bとが挟持される構成となる。
【0021】
気密部材14は、ゴムによって形成されたOリングを適用することができ、径中部12に設けられた溝に保持される。
【0022】
第一の座金15aは、例えば非磁性材料からなるO型のワッシャを適用することができ、その直径は第一ハウジング20の内径、及びスプリング40よりも大きく、第一ハウジング20の後述する円筒部の内径より小さく構成される。
【0023】
第二の座金15bは、例えば非磁性材料からなるO型のワッシャを適用することができ、その直径は径大部11、第二ハウジング30の内径、及びスプリング40よりも大きく、第二ハウジング30の後述する円筒部分の内径よりも小さく構成される。第一の座金15a、及び第二の座金15bは、検出シャフト10の移動により、別の部材に接触した際のスラスト荷重に耐えるように設計される。
【0024】
また、
図1中、径小部13の右側にはヨーク部分としての窪み部17が設けられている。窪み部17は、略凹形状(略円環溝形状)に形成され、
図1において、磁石50及び磁気検出素子60の直下に対応する径小部13の外周面に設けられる。
【0025】
図3、
図4を併せて参照する。第一ハウジング20は、止め輪16を受ける第一の受部21と、軸支持部22と、第一の座金支持部23と、収納部24と、雌ねじ部25と、孔部26と、囲繞部27とを有して構成される。
【0026】
第一ハウジング20は、アルミニウムやステンレス鋼などの非磁性材料が好ましく、略円筒状の円筒部20aと略平板状の平板部20bと平板部20bの円筒部20aとは反対側に位置する略円環板状の円環板部20cとによって構成されている。なお、この第一ハウジング20は、後述する特許請求の範囲に記載されているハウジングに相当する。
【0027】
第一の受部21は、円筒部20aの内側に設けられる円環状の面であり、止め輪16と接触可能に構成され、検出シャフト10の移動量Sを制限する。
【0028】
軸支持部22は、平板部20bの内側に設けられ、検出シャフト10の径小部13を支持する溝として形成される。軸支持部22によって径小部13が支持されることで、検出シャフト10の軸方向に沿った検出ストロークS分の摺動が良好なものとなる。
【0029】
第一の座金支持部23は、円筒部20aの内側に設けられる円環状の面であり、第一の座金15aの外縁部分を支持する。第一の座金支持部23は、第一の受部21の形成位置からスプリング40側に向かって一段高い位置に形成される。
【0030】
収納部24は、平板部20bの外側に設けられる。より具体的には、収納部24は、軸支持部22から屹立するように設けられる。そして、収納部24の内部には、磁石50、磁気検出素子60、及び磁石50の一部である後述する磁石端部が貫通する貫通孔部71を有する基板70とが収納される。
【0031】
雌ねじ部25は、円筒部20aの薄肉円筒部Tの外周面に備えられ、第一ハウジング20と第二ハウジング30を連結するために用いられる。
【0032】
孔部26は、連結部材90を保持可能な略円形の貫通孔として構成される。
【0033】
囲繞部27は、孔部26を囲繞する(取り囲む)略円環状の部位として概ね構成される。囲繞部27及び孔部26は円環板部20cに設けられる。囲繞部27は、連結部材90の外側に位置する円環状本体部27aと、連結部材90に備えられる後述するベアリングホルダを支持する突出部27bとを備えている。突出部27bは、略円環形状に形成され、連結部材90を孔部26に圧入固定した際に、連結部材90を支える部位として構成される。そして、円環状本体部27aと突出部27bとの間には凹形状からなる窪み部27cが設けられている。この窪み部27cは、連結部材90を孔部26に圧入固定した際に生じる金属の削りかすを溜めるための部位として機能する。なお、円環状本体部27aは、後述する特許請求の範囲に記載されている本体部に相当する。
【0034】
そして、囲繞部27と孔部26との間の境目となる境界部分28には、
図5中、上側に位置する孔部26の開放部分26aに向けて末広がり状の誘い込み部28aが設けられている。誘い込み部28aは、連結部材90を案内するための部位として構成され、略逆ハの字形状に形成される。すなわち、誘い込み部28aは、開放部分26aに向けて孔の径(開口幅)を徐々に大きくする傾斜面を有し、これによって連結部材90の圧入を容易にし、連結部材90を適切な位置に案内することができる。また、この場合、境界部分28には、誘い込み部28aに隣接するように溝部28bが設けられている。溝部28bは、誘い込み部28aと孔部26の開放部分26aとの間に設けられ、固定部材としての止め輪29を固定するための部位として構成される。
【0035】
図5を併せて参照する。第二ハウジング30は、検出シャフト10の径大部11を収容する空所としての孔部31と、シャフト孔32と、第二の座金支持部33と、雄ねじ部34を有して構成される。
【0036】
第二ハウジング30は、アルミニウムやステンレス鋼などの非磁性材料が好ましく、略円筒状に形成されている。なお、この第二ハウジング30は、後述する特許請求の範囲に記載されている他のハウジングに相当する。
【0037】
孔部31は、第二ハウジング30の内側に設けられる円環状の溝部であり、その開口幅はシャフト孔32の開口幅よりも大きい。また、孔部31には、シャフト孔32との境界部分に、径大部11を受ける円環状の面からなる第二の受部35が形成される。第二の受部35は、径大部11を受け、検出シャフト10の移動量Sを制限する。
【0038】
シャフト孔32は、孔部31に連なるように設けられ、検出シャフト10を摺動可能に支持して外部に取り出す。
【0039】
第二の座金支持部33は、孔部31の外側周囲に設けられる円環状の面であり、第二の座金15bの外縁部分を支持する。
【0040】
雄ねじ部34は、シャフト孔32と相対する方向となる第二ハウジング30の薄肉円筒部分30aの内周面に備えられ、第一ハウジング20と第二ハウジング30を連結するために用いられる。
【0041】
図1、
図2に示すスプリング40は、ステンレス鋼などの非磁性材料のものが好ましく、例えばSUS304WPBによる円筒状のコイルばねで構成される。
【0042】
スプリング40は、内側に検出シャフト10の径小部13を通すように構成され、その両端側において、第一の座金15a、及び第二の座金15bと接している。つまり、ここでのスプリング40は、窪み部17(第一の座金15a)と径大部11(第二の座金15b)との間に位置する径小部13の周囲に装着され、検出シャフト10を基準位置である原点位置Oに付勢する付勢部材としての機能を有している。
【0043】
スプリング40は、原点位置Oにある検出シャフト10が第一ハウジング20の方向に押し込まれるように移動すると、径大部11に支持された第二の座金15bがスプリング40を押し、且つ、第一の座金支持部23に支持された第一の座金15aがスプリング40を支持することで、スプリング40が押し潰され、止め輪16が第一ハウジング20の第一の受部21に当たるまでの移動量S分だけ移動することができる。そして、検出シャフト10を押し込む力がなくなると、スプリング40に蓄積されたばね力で、原点位置Oに戻される。
【0044】
また、スプリング40は、原点位置Oにある検出シャフト10が第二ハウジング30の方向に引き込まれるように移動すると、止め輪16に支持された第一の座金15aがスプリング40を押し、且つ、第二の座金支持部33に支持された第二の座金15bがスプリング40を支持することで、スプリング40が押し潰され、止め輪16によって支持された第一の座金15aが第二ハウジング30の第二の受部35に当たるまでの移動量S分だけ移動することができる。そして、検出シャフト10を引き込む力がなくなると、スプリング40に蓄積されたばね力で、原点位置Oに戻される。
【0045】
主に
図3に示す磁石50は、例えば角柱状に形成された希土類系磁石(例えばSmCoやNdFeBなどの材料の磁石)を適用することができ、磁気検出素子60に磁界を提供する。磁石50は、軟磁性材料からなる径小部13(検出シャフト10)に設けられた窪み部17の移動に伴って磁界を変化させる。
【0046】
磁気検出素子60は、検出対象の位置や移動量Sなどの変化を磁界の向き及び強さにより検出するためのものであり、例えばホール素子などで構成される。磁気検出素子60は、検出シャフト10と磁石50との間に配置される。例えば磁気検出素子60は接着剤などの適宜固定手段を用いて磁石50と接合している。つまり、ここでの磁石50及び磁気検出素子60は、第一ハウジング20に設けられた収納部24に重なり合うように不動状態で配設されることになる。
【0047】
磁気検出素子60は、軟磁性材料からなる窪み部17の移動に伴う磁界の変化から検出シャフト10の移動量Sを検出する。すなわち、磁気検出素子60は、軟磁性体である検出シャフト10が移動することで、磁石50が磁気検出素子60へ与える磁界の向き及び強さを変え、その結果を移動量Sとして検出する。
【0048】
基板70は、ガラスエポキシなどからなるプリント基板を適用することができ、
図3中、基板70の略中央部分には貫通孔部71が開口形成される。そして、この場合、磁石50及び磁気検出素子60は、磁石50の一部(例えば磁石50の磁気検出素子60側に位置する磁石端部51)が貫通孔部71の内部に位置した状態で、収納部24に重なり合うように配設される。また、この際、磁気検出素子60は、その両側にある2つのリード線72により検出シャフト10側に位置する基板70の一方の面73に導通接続される。また、基板70の磁気検出素子60への電源の取り込みや外部への電気信号の出力は、基板70に接続される図示しない電気コードにて行われる。
【0049】
封止部材80は、例えばエポキシ樹脂などが用いられる。封止部材80は、収納部24に注入され硬化することで、磁石50、磁気検出素子60、及び基板70を気密に封止する。
【0050】
主に
図4に示す連結部材90は、その主要部を構成する金属製のベアリング91と、ベアリング91を保持するように囲繞部27に不動状態に固定される金属製のベアリングホルダ92とを備えている。
【0051】
ベアリング91は、囲繞部27と孔部26との境界部分28に沿った長さが第1の値L1に設定され、ベアリングホルダ92は、ベアリング91と囲繞部27との間に位置(介在)し、境界部分28に沿った長さが第1の値L1よりも小さい第2の値L2に設定されている。また、ここでのベアリングホルダ92は、溝部28bに配設される止め輪Fと囲繞部27に設けられた突出部27bとによって挟持され、これによりベアリング91とベアリングホルダ92とで構成される連結部材90を孔部26に確実に固定することが可能となる。
【0052】
以上のように本実施形態では、前記取付対象に連結される連結部材90と、この連結部材90を保持可能な孔部26と孔部26を囲繞する囲繞部27とを有する第一ハウジング20と、前記検出対象に一端が連結される検出シャフト10と、検出シャフト10を原点位置Oに付勢するスプリング40とを備え、囲繞部27と孔部26との境界部分28には、孔部26の開放部分26aに向けて連結部材90を案内するための状の誘い込み部28aが設けられているものである。
【0053】
従って、開放部分26aからベアリング91とベアリングホルダ92とでなる連結部材90を入れ込む際に、境界部分28に開放部分26a側に向けて末広がりとなる誘い込み部28aを設けたことで、従来から問題となっていた囲繞部の内周部が断面視で直線状あることによるベアリングホルダの当該内周部への食い込みを抑制することができる。よって、連結部材90が軸ズレされた状態で孔部26に固定されるという事象は生じなくなり、連結部材90を適正位置に固定することが可能なストロークセンサを提供することができる。
【0054】
また本実施形態では、円環状本体部27aと突出部27bとの間には窪み部27cが設けられていることにより、連結部材90を孔部26に圧入固定した際にベアリングホルダ92と円環状本体部27aとが擦れることにより生じる金属の削りかすを窪み部27cに溜めることができ、前記圧入固定時において、圧入不良などの不具合が極力発生する虞のないストロークセンサを提供することができる。
【0055】
本発明は、以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0056】
例えば上述の実施形態では、第一ハウジング20及び第二ハウジング30がともに非磁性材料で形成されるものであったが、必要に応じて第一ハウジング20と第二ハウジング30とのうち少なくとも一方を樹脂材料により形成してもよい。
【0057】
なお、以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0058】
1 ストロークセンサ
10 検出シャフト
20 第一ハウジング(ハウジング)
26 孔部
26a 開放部分
27 囲繞部
27a 円環状本体部(本体部)
27b 突出部
27c 窪み部
28 境界部分
28a 誘い込み部
28b 溝部
29 止め輪(固定部材)
30 第二ハウジング(他のハウジング)
40 スプリング
50 磁石
60 磁気検出素子
70 基板
80 封止部材
90 連結部材
91 ベアリング
92 ベアリングホルダ
L1 第1の値
L2 第2の値
O 原点位置(基準位置)
S 移動量