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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061383
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20240425BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169297
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 啓之
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA08
5E021FB07
5E021FC09
5E021FC31
5E021HC07
5E021HC37
(57)【要約】
【課題】嵌合時に相手コネクタをロックするよう構成されたケーブルコネクタにおいて、コネクタ全体を小型化する。
【解決手段】ケーブルコネクタ100は、端子7と、ハウジング6と、略円筒形を有し、ハウジング6を覆うと共に、相手コネクタ200を受け入れるシェル4と、を有し、シェル4は、嵌合時に相手コネクタ200の外側面に形成された凸部81と係合してロックする貫通孔41を含むロック部分4aと、ハウジング6を保持するハウジング保持部分4bと、ケーブル1を保持するケーブル保持部分4cとが一体形成され、シェル4は、ロック部分4aの貫通孔41よりも後ろ側に形成され、周方向に沿って延びる第1スリット45と、第1スリット45の両端部から後ろ側に延びる2つの第2スリット46と、シェル4における前側の端部から第1スリット45まで軸方向に沿って延びる第3スリット47と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形を有し、ケーブルに取り付けられるケーブルコネクタであって、
前記ケーブル内の電線に接続される端子と、
前記端子を保持するハウジングと、
略円筒形を有しており、前記ハウジングを覆うと共に、前記ケーブルコネクタと嵌合する相手コネクタを受け入れるように形成されたシェルと、
を有し、
前記シェルは、
前記ケーブルコネクタと前記相手コネクタとの嵌合時に、前記相手コネクタの外側面に形成された凸部又は凹部と係合して、当該相手コネクタをロックする係合部を含むロック部分と、
前記ハウジングを保持するハウジング保持部分と、
前記ケーブルを保持するケーブル保持部分と、
を有し、
前記シェルの前記ロック部分、前記ハウジング保持部分、及び前記ケーブル保持部分は、当該シェルの軸方向に沿って一体形成され、
前記シェルは、更に、
前記ロック部分の前記係合部に対して、前記軸方向において前記相手コネクタと嵌合する第1の側と反対の第2の側に形成され、前記シェルの周方向に沿って延びる第1スリットと、
前記第1スリットの両端部のそれぞれから前記第2の側に延びる2つの第2スリットと、
前記シェルにおける前記第1の側の端部から前記第1スリットまで前記軸方向に沿って延びる第3スリットと、
を有する、
ことを特徴とするケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記シェルは、前記軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の前記第1スリット及び一対の前記2つの第2スリットを有する、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記シェルは、前記軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の前記第3スリットを有する、
請求項2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記シェルの前記2つの第2スリットは、それぞれ、前記第1スリットに直交するように、前記第1スリットの両端部から前記軸方向に沿って延びる、
請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記シェルは、板状部材を略円筒形を形成するように湾曲させることで作られ、前記板状部材は、両端の一部分が折り曲げられた状態で湾曲されることで、前記シェルを形成し、
前記シェルの前記第3スリットは、前記板状部材における折り曲げられた両端の部分の間隙により構成される、
請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記シェルは、前記軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の前記係合部を有する、
請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記シェルは、金属部材により形成される、
請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルに取り付けられるケーブルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ケーブル内の電線(導線)に接続される端子と、端子を保持するハウジング(換言すると絶縁ケース)と、ハウジングを覆うように形成されたシェル(典型的には金属で形成される)と、を有するケーブルコネクタが用いられている。例えば、特許文献1には、コネクタのコネクタ嵌合部を相手コネクタの相手コネクタ嵌合部に嵌合して、コネクタ及び相手コネクタがそれぞれに有する接触端子を互いに接触させ、シェルの外周部に設けたロック手段によりコネクタを相手コネクタに結合させるようにした多極コネクタ(ケーブルコネクタ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-66354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載されたケーブルコネクタでは、シェルの外側に回転可能な円筒状のスリーブを設けると共に、このスリーブにロック部を設けて、このロック部を相手コネクタのロック用溝部に係合させていた。しかしながら、このようにシェルの更に外側にスリーブを設けた構成では、ケーブルコネクタ全体が大型化する傾向にあった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、嵌合時に相手コネクタをロックするよう構成されたケーブルコネクタにおいて、ケーブルコネクタ全体を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態に係るケーブルコネクタは、略円筒形を有し、ケーブルに取り付けられるケーブルコネクタであって、ケーブル内の電線に接続される端子と、端子を保持するハウジングと、略円筒形を有しており、ハウジングを覆うと共に、ケーブルコネクタと嵌合する相手コネクタを受け入れるように形成されたシェルと、を有し、シェルは、ケーブルコネクタと相手コネクタとの嵌合時に、相手コネクタの外側面に形成された凸部又は凹部と係合して、当該相手コネクタをロックする係合部を含むロック部分と、ハウジングを保持するハウジング保持部分と、ケーブルを保持するケーブル保持部分と、を有し、シェルのロック部分、ハウジング保持部分、及びケーブル保持部分は、当該シェルの軸方向に沿って一体形成され、シェルは、更に、ロック部分の係合部に対して、軸方向において相手コネクタと嵌合する第1の側と反対の第2の側に形成され、シェルの周方向に沿って延びる第1スリットと、第1スリットの両端部のそれぞれから第2の側に延びる2つの第2スリットと、シェルにおける第1の側の端部から第1スリットまで軸方向に沿って延びる第3スリットと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、嵌合時に相手コネクタをロックするよう構成されたケーブルコネクタにおいて、ケーブルコネクタ全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタと相手コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタと相手コネクタとの嵌合時の状態を示す斜視図である。
図3図2中のIII-III線に沿って見た、本発明の実施形態に係るケーブルコネクタ及び相手コネクタの断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタの分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタのシェル及びハウジングを前側から見た拡大斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタのシェルの斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタのシェルを、図7とは反対側(下側)から見た斜視図である。
図8図5中のVIII-VIII線に沿って見た、本発明の実施形態に係るケーブルコネクタのシェル及びハウジングの断面図である。
図9】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタと相手コネクタとの嵌合時における、シェルの挙動についての説明図である。
図10】本発明の実施形態に係るケーブルコネクタと相手コネクタとのロック解除時における、シェルの挙動についての説明図である。
図11】本発明の実施形態の変形例に係るケーブルコネクタのシェルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態(変形例も含む)は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、ケーブルコネクタを構成することを排除するものではない。
【0010】
[ケーブルコネクタの構成]
まず、図1乃至図4を参照して、本実施形態に係るケーブルコネクタの全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るケーブルコネクタと、当該ケーブルコネクタと嵌合する相手コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るケーブルコネクタと相手コネクタとの嵌合時の状態を示す斜視図である。図3は、図2中のIII-III線に沿って見た、本実施形態に係るケーブルコネクタ及び相手コネクタの断面図である。図4は、本実施形態に係るケーブルコネクタの分解斜視図である。
【0011】
図1に示すように、ケーブルコネクタ100は、略円筒形を有する所謂丸形コネクタであり、複数の電線(導線、内部導体)を含むケーブル1に取り付けられると共に、相手コネクタ200と嵌合するようになっている。具体的には、ケーブルコネクタ100は、当該ケーブルコネクタ100の最外殻を形成する絶縁性のケース2と、このケース2に対して、軸方向において相手コネクタ200と嵌合する側に設けられ、略円筒形を有し、相手コネクタ200を受け入れる嵌合空間40を形成するシェル4と、ケーブル1内の電線に接続される端子(不図示)を保持し、シェル4内に設けられる絶縁性のハウジング6と、を有する。シェル4は、金属製であり、ノイズ対策(シール)のために用いられている。このようなケーブルコネクタ100は、例えば小型センサやロボットアームなどの小型のコネクタが要求される装置や機器に適用される。
なお、以下では、ケーブルコネクタ100に関して、軸方向において相手コネクタ200と嵌合する側(第1の側に相当する)を単に「前側」と呼び、これと反対側(第2の側に相当する)を単に「後ろ側」と呼ぶ。
【0012】
他方で、図1に示すように、相手コネクタ200は、基板(不図示)に接続される基板型のコネクタとして構成されている。具体的には、相手コネクタ200は、端子10を保持するハウジング(不図示)を含み、ケーブルコネクタ100のシェル4の嵌合空間40内に受け入れられる嵌合部8と、相手コネクタ200の最外殻を形成する金属製のシェル9と、複数の端子10と、相手コネクタ200を基板(不図示)に固定するための固定部11と、を有する。なお、相手コネクタは、基板型のコネクタ以外の種々のコネクタ、例えばケーブル型のコネクタであってもよい。
【0013】
これらケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とが嵌合すると、図2及び図3に示すように、相手コネクタ200の嵌合部8が、ケーブルコネクタ100のシェル4により形成される嵌合空間40内に入り込む。このときに、相手コネクタ200の嵌合部8の外側面に形成された2つの凸部81のそれぞれが、ケーブルコネクタ100のシェル4上に形成された2つの貫通孔41に係合することで(図3参照)、相手コネクタ200がケーブルコネクタ100によりロック(換言すると係止)される。2つの貫通孔41は、シェル4において軸方向に直交する方向において対向するように設けられ、2つの凸部81は、嵌合部8において軸方向に直交する方向において対向するように設けられている。
【0014】
より詳しくは、図3に示すように、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とが嵌合すると、相手コネクタ200の嵌合部8がケーブルコネクタ100のハウジング6の外側に隙間なく嵌まり込む。加えて、このような嵌合時に、ケーブルコネクタ100の平板状の複数の端子7のそれぞれが、相手コネクタ200の複数の一対の端子10のそれぞれが形成する間隙に挿入されて、これら端子7、10が接触することで、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とが電気的に接続される。
【0015】
なお、ケーブルコネクタ100の貫通孔41は本発明における「係合部」の一例であるが、他の例では、このような係合部として、貫通孔41の代わりに、相手コネクタ200の凸部81と係合する凹部を用いてもよい。更に他の例では、相手コネクタ200において凸部81の代わりに凹部又は貫通孔を形成することとし、ケーブルコネクタ100の係合部として、これら凹部又は貫通孔に係合する凸部を用いてもよい。
【0016】
続いて、図4に示すように、ケーブルコネクタ100のシェル4においては、上記したように相手コネクタ200をロックするための貫通孔41を含むロック部分4aと、ハウジング6を保持するためのハウジング保持部分4bと、ケーブル1(不図示)を保持するためのケーブル保持部分4cと、が軸方向に沿って一体形成されている。ここで、シェル4のケーブル保持部分4cは、複数のかしめ片49を折り曲げてケーブル1をかしめることで、ケーブル1を保持するようになっている(図4はかしめ片49をかしめる前のシェル4を示している。後の図6及び図7も同様である。)。この場合、より詳しくは、ケーブル1内の外部導体が露出されて、この露出された外部導体が外側に被せられた状態にあるケーブル1が、ケーブル保持部分4cのかしめ片49によりかしめられる。そして、こうしてケーブル1をかしめた状態にあるケーブル保持部分4cの外側に、熱収縮チューブ3が取り付けられ、この熱収縮チューブ3の更に外側にケース2が被せられる。他方で、ケーブル1の先端部において複数の電線が露出されて、これら複数の電線が、ハウジング6の後ろ側において露出する端子7(図4では不図示)と半田付けされる。
【0017】
次に、図5乃至図8を参照して、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4について具体的に説明する。図5は、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4及びハウジング6を前側から見た拡大斜視図である。図6は、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4の斜視図である。図7は、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4を、図7の斜視図とは反対側から見た斜視図である(図6を上側から見た斜視図とすると、図7は下側から見た斜視図である)。図8は、図5中のVIII-VIII線に沿って見た、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4及びハウジング6の断面図である。
【0018】
図5乃至図7に示すように、ケーブルコネクタ100のシェル4は、ロック部分4aの貫通孔41に対して後ろ側に形成され、シェル4の周方向に沿って延びる第1スリット45と、この第1スリット45の両端部のそれぞれから後ろ側に延びる2つの第2スリット46と、シェル4の前側の端部から第1スリット45まで軸方向に沿って延びる第3スリット47と、を有する。詳しくは、2つの第2スリット46は、それぞれ、第1スリット45に直交するように、第1スリット45の両端部から軸方向に沿って延びている。また、第3スリット47は、第1スリット45の周方向における略中央部に連結されている。更に、図6及び図7から分かるように、シェル4の第1スリット45及び2つの第2スリット46は、それぞれ、軸方向に直交する方向において対向するように一対設けられている。
【0019】
なお、第2スリット46を第1スリット45に直交するように形成することに限定はされず、つまり第1スリット45に対する第2スリット46の交差角を90度に設定することに限定はされず、他の例では、第1スリット45に対する第2スリット46の交差角を90度未満や90度よりも大きな角度に設定してもよい。
【0020】
また、シェル4は、図5及び図6から分かるように、板状部材(金属板)を略円筒形を形成するように湾曲させることで作られる。この場合、板状部材の両端の一部分、具体的には第1スリット45、第3スリット47及びケーブル保持部分4c以外の部分において接合されることで(符号44で示すつなぎ目を参照)、略円筒形のシェル4が成形される。また、この板状部材は、両端の他の部分、具体的には上記のつなぎ目44よりも前側に位置する符号47aで示す部分が、緩やかに折り曲げられた状態にて湾曲されることで、シェル4を形成する。このような板状部材の両端の折り曲げ部分47aは接合されないため、これらの間には間隙が生じ、この間隙が上記の第3スリット47を構成する。
【0021】
続いて、図8に示すように、シェル4は、ハウジング保持部分4bにおいて、内方に折り曲げられた爪状の第1保持部42と、この第1保持部42よりも後ろ側に設けられ、内方に凹陥した第2保持部43と、を有する。詳しくは、第1保持部42は、後ろ側に進むと内方へと傾斜していくように形成されている。また、このようなシェル4の第1保持部42及び第2保持部43は、それぞれ、軸方向に直交する方向において対向するように一対設けられている。
【0022】
ハウジング6は前側からシェル4の内部に挿入されるが、このときに、シェル4の第1保持部42が、ハウジング6の外周面において凹陥状に形成された凹陥部6a(図4も参照)に係合すると共に、シェル4の第2保持部43が、ハウジング6の底壁6bに当接する。こうして、シェル4の第1保持部42がハウジング6の凹陥部6aに係合することで、ハウジング6の前側への移動が規制されると共に、シェル4の第2保持部43がハウジング6の底壁6bに当接することで、ハウジング6の後ろ側への移動が規制される。その結果、ハウジング6が、シェル4のハウジング保持部分4bにおいて保持されることとなる。
【0023】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態によるケーブルコネクタ100の作用及び効果について説明する。
【0024】
本実施形態に係るケーブルコネクタ100は、ケーブル1内の電線に接続される端子7と、端子7を保持するハウジング6と、略円筒形を有しており、ハウジング6を覆うと共に、ケーブルコネクタ100と嵌合する相手コネクタ200を受け入れるように形成されたシェル4と、を有し、シェル4は、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時に、相手コネクタ200の外側面に形成された凸部81と係合して、当該相手コネクタ200をロックする貫通孔41を含むロック部分4aと、ハウジング6を保持するハウジング保持部分4bと、ケーブル1を保持するケーブル保持部分4cと、を有し、これらロック部分4a、ハウジング保持部分4b、及びケーブル保持部分4cは、軸方向に沿って一体形成され、シェル4は、更に、ロック部分4aの貫通孔41よりも後ろ側に形成され、周方向に沿って延びる第1スリット45と、第1スリット45の両端部のそれぞれから後ろ側に延びる2つの第2スリット46と、シェル4における前側の端部から第1スリット45まで軸方向に沿って延びる第3スリット47と、を有する。
【0025】
このようなケーブルコネクタ100による作用及び効果について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、図5と同様の、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4及びハウジング6の斜視図である。特に、図9は、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時、詳しくはケーブルコネクタ100による相手コネクタ200のロック時における、シェル4の挙動についての説明図である。図10は、図2中のIII-III線に沿って見た、本実施形態に係るケーブルコネクタ100のシェル4及びハウジング6、並びに相手コネクタ200の嵌合部8の断面斜視図である。特に、図10は、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とのロック解除時における、シェル4の挙動についての説明図である。
【0026】
まず、図9を参照して、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200との嵌合時について説明する。この嵌合時には、相手コネクタ200の嵌合部8がケーブルコネクタ100のシェル4の嵌合空間40に挿入されていくが、このときに、嵌合部8の外側面に形成された凸部81がシェル4の内側面に当接することによって、シェル4が楕円形状に広がるように弾性変形する(矢印A11参照)。この場合、シェル4に形成された、周方向に沿って延びる第1スリット45が、このようなシェル4の楕円形状への変形を促進する。また、シェル4は、相手コネクタ200の嵌合部8が嵌合空間40に挿入されるときに、上記のような楕円形状への変形に加えて、矢印A12に示すように、周方向に沿って左右方向に広がるように弾性変形する(換言するとY字状に広がる)。この場合には、シェル4に形成された、第1スリット45の両端部から後ろ側に延びる2つの第2スリット46が、このようなシェル4の周方向に沿った左右方向への変形を促進する。以上のようにシェル4が変形することで、相手コネクタ200の嵌合部8の凸部81がケーブルコネクタ100のシェル4の貫通孔41に的確に係合(ロック)できるようになっている。
なお、図9では説明の便宜上図示を省略しているが、シェル4の下側にも第2スリット46が設けられているため(図7参照)、シェル4の下側においても周方向に沿った左右方向への弾性変形が生じることとなる。
【0027】
続いて、図10を参照して、ケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とのロック解除時について説明する。このロック解除時には、シェル4がユーザの指により上下方向に押される。典型的には、ユーザの親指及び人差し指の一方により、シェル4の第3スリット47の部分が押されると共に(矢印A21)、ユーザの親指及び人差し指の他方により、シェル4において第3スリット47と反対側の部分が押される(矢印A22)。これにより、シェル4において軸方向に沿って延びる第3スリット47が下方に変位して、第3スリット47の間隔が広がる、つまりシェル4が左右方向に広がるように弾性変形する(矢印A23参照)。この場合にも、シェル4に形成された、第1スリット45の両端部から後ろ側に延びる2つの第2スリット46が、シェル4の左右方向への変形を促進する。また、シェル4は、ユーザの指により上下方向に押されると、上記のような左右方向への変形に加えて(矢印A23)、楕円形状に広がるように弾性変形する(矢印A24)。以上のようにシェル4が変形することで、ケーブルコネクタ100のシェル4の貫通孔41と相手コネクタ200の嵌合部8の凸部81との係合が的確に解放(ロック解除)されるようになっている。
【0028】
なお、本実施形態においては、シェル4が上述したような弾性変形(図9及び図10の矢印A11、A12、A23、A24参照)を的確に行えるように、シェル4によって形成される嵌合空間40内には、図10中の符号40a、40bで示すような十分な空間が確保されている。具体的には、空間40aは、図10において、シェル4の頂部(折り曲げ部分47aに対応する)と、嵌合している相手コネクタ200の嵌合部8の頂部との間の空間である。また、空間40bは、図10において、シェル4の底部(折り曲げ部分47aに対向する部分)と、嵌合している相手コネクタ200の嵌合部8の底部との間の空間である。
【0029】
以上述べたことから、本実施形態によれば、ケーブルコネクタ100のシェル4に設けた第1スリット45、第2スリット46及び第3スリット47により、シェル4の弾性変形を促進することで、相手コネクタ200のロック及びロック解除を的確に行うことができる、具体的には相手コネクタ200のロック及びロック解除を簡易な構成にて確実に行うことができる。そして、本実施形態によれば、特許文献1のようにシェルとは別のスリーブを用いることなく、シェル4単体にて、このような相手コネクタ200のロック及びロック解除を行うことができる。また、本実施形態に係るシェル4では、ロック部分4a、ハウジング保持部分4b、及びケーブル保持部分4cが軸方向に沿って一体形成されている。このようなことから、本実施形態によれば、ケーブルコネクタ100全体を効果的に小型化することが可能となる。
【0030】
また、本実施形態によれば、シェル4は、軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の第1スリット45及び一対の2つの第2スリット46を有するので、相手コネクタ200のロック及びロック解除をより的確に行うことができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、シェル4の2つの第2スリット46は、それぞれ、第1スリット45に直交するように、第1スリット45の両端部から軸方向に沿って延びているので、相手コネクタ200のロック及びロック解除をより的確に行うことができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、シェル4は、板状部材を略円筒形を形成するように湾曲させることで作られ、この板状部材は、両端の一部分が折り曲げられた状態で湾曲されることでシェル4を形成し、シェル4の第3スリット47は、板状部材の折り曲げられた両端の部分(折り曲げ部分47a)の間隙により構成される。このように折り曲げ部分47aの間隙を第3スリット47として用いることで、ユーザがケーブルコネクタ100と相手コネクタ200とのロックを解除するために第3スリット47の部分を押す操作を行ったときに、ユーザの指に痛みを与えることを抑制できる。
【0033】
また、本実施形態によれば、シェル4は、軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の貫通孔41を有する。この場合、相手コネクタ200の嵌合部8も、軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の凸部81を有する。これにより、シェル4によって相手コネクタ200を確実にロックすることができる。
【0034】
[変形例]
次に、上述した本実施形態の変形例について説明する。図11は、本実施形態の変形例に係るケーブルコネクタのシェルの斜視図である。なお、図11では、上述した実施形態に係るシェル4と同一の構成要素については同一の符号を付し、ここでは、その説明を省略する。
【0035】
上述した本実施形態では、シェル4の第3スリット47は、1つしか設けられていなかったが、図11に示すように、変形例に係るケーブルコネクタのシェル4xは、2つの第3スリット50を有する。具体的には、シェル4xは、軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の第3スリット50を有する。変形例に係る第3スリット50は、実施形態の第3スリット47よりも幅広に形成されている、換言すると周方向に沿った長さが長い。他方で、変形例に係る第3スリット50は、実施形態の第3スリット47のように、シェル4を形成する板状部材において折り曲げられた両端の部分(折り曲げ部分47a)の間隙により構成されるものではない。その代わり、変形例に係る第3スリット50は、例えば、シェル4xを形成する板状部材の一部分を打ち抜いた部分により構成される。
【0036】
このように、変形例に係るシェル4xは、軸方向に直交する方向において対向するように設けられた一対の第3スリット50を有する。これによっても、相手コネクタ200のロック及びロック解除をより的確に行うことができる。
【0037】
なお、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ケーブル
2 ケース
3 熱収縮チューブ
4、4x シェル
4a ロック部分
4b ハウジング保持部分
4c ケーブル保持部分
6 ハウジング
7 端子
8 嵌合部
10 端子
40 嵌合空間
41 貫通孔
45 第1スリット
46 第2スリット
47、50 第3スリット
81 凸部
100 ケーブルコネクタ
200 相手コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11