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  • 特開-配線基板 図1
  • 特開-配線基板 図2A
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  • 特開-配線基板 図2D
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024061395
(43)【公開日】2024-05-07
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20240425BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
H05K3/34 502D
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169322
(22)【出願日】2022-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕次郎
【テーマコード(参考)】
5E314
5E319
【Fターム(参考)】
5E314AA27
5E314AA32
5E314BB02
5E314FF02
5E314FF03
5E314FF05
5E314GG26
5E319AA03
5E319AC02
5E319AC11
5E319BB04
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】導体パッドを有する配線基板の接続信頼性の向上。
【解決手段】実施形態の配線基板は、絶縁層10と導体層11と絶縁層10および導体層11の上に形成されている被覆絶縁層12と含み、被覆絶縁層12は、導体層11の一部を露出して該一部からなる導体パッド111を画定する開口12aを備え、開口12aの内壁面には凸部12bが形成されており、開口12aの第2面12S側の開口端における開口幅は、第1面12F側の開口端における開口幅より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されている導体層と、
第1面および前記第1面の反対面である第2面を有し、前記第2面を前記絶縁層および前記導体層に接するように、前記絶縁層および前記導体層の上に形成されている被覆絶縁層と
を有する配線基板であって、
前記被覆絶縁層は、前記導体層の一部を露出して前記一部からなる導体パッドを画定する開口を備え、
前記開口の内壁面には凸部が形成されており、
前記開口の前記第2面側の開口端における開口幅は、前記第1面側の開口端における開口幅より大きい。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記開口における前記第1面側の開口端から前記凸部の頂部までの長さは、前記開口における前記第2面側の開口端から前記凸部の頂部までの長さよりも小さい。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記開口の前記第2面側において、前記第2面側の開口端に向かうほど開口幅が拡大している。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記開口内にバンプが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソルダーレジスト層に導体パッドを露出させる露出孔が設けられ、露出孔に導体パッドと接続された半田バンプが形成されている配線基板が記載されている。露出孔の内周壁は開口側に向かうほど径が大きくなるテーパ面に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-227654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプリント配線板では、露出孔の内周壁の径が露出孔の底部側で小さいため、導体パッドと半田バンプとの接合強度が不十分である場合があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成されている導体層と、第1面および前記第1面の反対面である第2面を有し、前記第2面を前記絶縁層および前記導体層に接するように、前記絶縁層および前記導体層の上に形成されている被覆絶縁層とを有している。そして、前記被覆絶縁層は、前記導体層の一部を露出して前記一部からなる導体パッドを画定する開口を備え、前記開口の内壁面には凸部が形成されており、前記開口の前記第2面側の開口端における開口幅は、前記第1面側の開口端における開口幅より大きい。
【0006】
本発明の実施形態によれば、導体パッドとその上に形成される半田との接合強度が向上されている信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を部分的に示す断面図。
図2A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
図2D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の配線基板が図面を参照しながら説明される。図1には、一実施形態の配線基板の一例である配線基板1の一部の断面図が示されている。配線基板1は、図1に示されるように、絶縁層10と、導体層11と、絶縁層10および導体層11の上に形成されている被覆絶縁層12と、を備えている。被覆絶縁層12は、第1面12Fおよび第1面12Fと反対側の第2面12Sを備え、第2面12Sを絶縁層10および導体層11に向けて、絶縁層10および導体層11上に積層されている。被覆絶縁層12には、導体層11の一部を露出して該一部からなる導体パッド111を画定する開口12aが形成されている。導体パッド111上に、バンプ21が形成されている。バンプ21は、被覆絶縁層12の第1面12Fから突出している。
【0009】
なお、本実施形態の配線基板1の説明では、絶縁層10と導体層11との関係において導体層11がある側すなわち紙面における上側を「上側」または単に「上」と称する。したがって、例えば被覆絶縁層12の上面とは、被覆絶縁層12の第1面12Fを指す。
【0010】
絶縁層10は、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などの有機樹脂材料によって形成される。有機樹脂材料は、補強材などを含まないエポキシ樹脂などでもよいが、ガラス繊維のような補強材にエポキシまたは他の樹脂組成物を含浸させた材料であってもよい。エポキシなどの樹脂組成物には、シリカなどの無機フィラーが含有されていてもよい。また、絶縁層10はセラミックやシリコン、ガラス等の無機材料で形成されていてもよい。絶縁層10は、図1に示されるように、単層であってもよく、また、積層構造すなわち2以上の絶縁層とこれらの絶縁層間に挟まれて積層されている1または2以上の導体層とによって構成されているビルドアップ層であってもよい。絶縁層10がビルドアップ層である場合、ビルドアップ層の絶縁層は、各絶縁層の両側の導体層同士を接続するビア導体を含んでいてもよい。
【0011】
導体層11は、所望の導体パターンを含むようにパターニングされている。図1には、被覆絶縁層12の開口12aによって配線基板1の導体層11に画定されている導体パッド111が示されている。導体層11は、導電性金属で形成されていればよく、例えば銅で形成されている。導体層11の厚さは、例えば、3μm以上であって、20μm以下程度である。
【0012】
被覆絶縁層12は、例えばソルダーレジスト層であってもよい。このようなソルダーレジスト層を構成する材料としては、感光性エポキシ樹脂が例示される。被覆絶縁層12の厚さは、例えば、10μm以上であって、30μm以下程度である。上述のように、被覆絶縁層12には、被覆絶縁層12を貫通して導体層11に至る開口12aが形成されている。開口12aの形成によって、開口12aから導体層11が露出し、導体パッド111が画定されている。被覆絶縁層12の開口12aおよび導体パッド111は任意の平面形状で形成され得る。例えば、円形、楕円形や正方形または正方形以外の多角形などの平面形状に形成されてよい。また、ここで、「平面形状」とは、配線基板1の厚さ方向と平行に対象物を見た場合、すなわち対象物の平面視における形状を意味している。
【0013】
図1に示されるように、開口12aの内壁面は、開口12a内部に向かって張り出す凸部12bを有している。開口12aは、例えば、被覆絶縁層12の材料として感光性のソルダーレジストを用いて、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより形成され得る。この際、開口12aの現像工程において、底部側の現像をより促進させることによって、開口12aの底部側の内壁にアンダーカット形状が形成され得る。この結果、凸部12bを有する開口12aが形成される。
【0014】
開口12aの凸部12bは、開口12aの内壁面の横断面の全周にわたって形成されている。かつ、凸部12bは、配線基板1の厚さ方向で、図1に示されるように、開口12aの内壁面において開口12aの被覆絶縁層12の第1面12F側の開口端に近い側に形成されている。すなわち、開口12aの凸部12bにおいて最も開口12aの内側に位置する凸部12bの頂部12cが、開口12aの第1面12F側の開口端寄りに位置するように凸部12bが形成されている。したがって、本実施形態において、開口12aの第1面12F側の開口端から凸部12bの頂部12cまでの長さT1は、開口12aの底部から凸部12bの頂部12cまでの長さT2より小さい。
【0015】
本実施形態では、上述のように、開口12aの底部に近い内壁を形成している樹脂の現像が促進されたことにより、開口12aの底部側の内壁に、底部側に向かうほど開口幅が大きくなるアンダーカット形状が形成されている。したがって、図1に示されるように、開口12aの底部側の開口幅は、第1面12F側の開口端における開口幅より大きくなり得る。ここで「開口幅」とは、開口12aの平面視における周縁の2点間の距離の内、最大の値を意味している。開口12aの第1面12F側の開口端における開口幅をW1とし、開口12aの底部(第2面12S側の開口端)における開口幅をW2とすると、図1の例に示されているように、本実施形態において、W2はW1より大きい。
【0016】
導体パッド111上の開口12a内には、バンプ21が形成されている。バンプ21は、図示しない電子部品などの配線基板1への実装に用いられる。電子部品は、バンプ21の突出部を介して、配線基板1の導体パッド111と電子部品の電極とが接続されることによって実装される。したがって、配線基板1のバンプ21および導体パッド111の大きさおよび配置は、実装される電子部品の電極のサイズや配置に合わせたものとされ得る。
【0017】
バンプ21は、例えば開口12a内に半田ペーストや半田ボールを配置し、リフローすることにより形成される金属バンプである。半田の成分としては、特に限定されない。例えば、Sn、Ag、Cu、Pb、Sb、Bi、Zn、Inなどの金属が半田の成分として例示される。
【0018】
本実施形態では、開口12aが内壁面に凸部12bを有するように形成されているため、被覆絶縁層12の開口12aのそれぞれの内部に充填される半田の体積に多少のばらつきがあっても、そのばらつきが開口12a内の容積によって吸収され、得られるバンプ21の高さが安定化される。外部の電子部品の電極等との良好な接続性が得られると考えられる。さらに、凸部12bが、開口12aの内壁面の第1面12F側の開口端に近い側に形成されることにより、開口12a内への半田ペーストの充填が容易であるとともに、リフロー時に溶融した半田が開口端側に浮き上がる虞がなく、半田と導体パッド111との良好な溶着が得られると考えられる。
【0019】
また、本実施形態では、開口12aの導体パッド111側の底面の開口端の開口幅が、第1面12F側の開口端の開口幅より大きくなるように形成されているため、開口12a内に充填される半田の体積による、得られるバンプ21の高さへの影響が抑制されると考えられる。高さのばらつきの少ないバンプ21が配線基板1の第1面12F側に形成され得る。また、導体パッド111側の底面の開口端の開口幅が大きいことから、導体パッド111とその上に形成される半田バンプとの接着面積も増大されている。半田バンプの導体パッド111への接着強度が向上し、導体パッド111とバンプ21との接合信頼性が向上し得る。したがって、バンプ21を介して高い接続信頼性で、本実施形態の配線基板1が外部の電子部品に接続され得ると考えられる。
【0020】
次に、実施形態の配線基板の製造方法の一例が、図1に示される配線基板1を例に、図2A~2Dを参照して具体的に説明される。なお、添付の図面においては、導体パッド111を含む各構成要素の正確なサイズや形状、および/または、各構成要素同士のサイズや形状の正確な比率を示すことは意図されていない。
【0021】
まず図2Aに示されるように、所定の導体パターンを含む導体層11が、任意の方法により絶縁層10上に形成される。絶縁層10がビルドアップ層である場合、導体層11はビルトアップ層の最外層の絶縁層上に形成され、導体層11はビルトアップ層の最外層の導体層を形成する。導体層11の形成には、例えば、セミアディティブ法が用いられてもよい。この場合、絶縁層10の表面全面への無電解めっきなどによるシード金属膜(図示せず)の形成後、所定の箇所に開口を有するめっきレジスト(図示せず)が形成され、開口内に電解めっき膜が形成される。電解めっき膜を含む導体層11が形成される。その後、めっきレジストが除去され、不要部分のシード金属膜がエッチングで除去される。しかしながら、導体層11は、フルアディティブ法やサブトラクティブ法で形成されてもよい。導体層11は、信号線や電源等の配線を含んでいてもよい。
【0022】
次いで、絶縁層10および導体層11の上に被覆絶縁層12が形成される。被覆絶縁層12は、例えば、ソルダーレジストとして形成される。この場合、被覆絶縁層12は感光性の樹脂から形成される。例えば、導体層11の上面および側面を覆うように感光性樹脂が絶縁層10および導体層11の上に積層され、被覆絶縁層12が形成される。
【0023】
次いで、被覆絶縁層12に、開口12a(図1参照)が形成される。開口12aは、被覆絶縁層12を貫通して導体層11に至る開口として被覆絶縁層12に、露光および現像により形成される。
【0024】
まず、図2Bに示されるように、被覆絶縁層12に貫通孔121が形成される。貫通孔121は、開口12a(図1参照)の形成位置、すなわち導体層11の導体パッド111(図1参照)が形成されるべき位置を被覆する露光マスク(図示せず)を用いる露光および現像によって、形成される。貫通孔121は、所望の形状で形成することができるが、例えば、図2Bに示されるように貫通孔内壁面が導体層11の上面に対し直線的に交差する倒立裁頭円錐状の形状に形成され得る。しかし、貫通孔121の形状はこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔121の内壁面は、導体層11の上面に対し直角に交差する略一定内径の円筒状に形成されてもよい。
【0025】
次いで、形成された貫通孔121内が水洗に付される。この際、貫通孔121の底部側が、感光性樹脂の現像性を促進させることのできる現像促進剤を含む溶液を用いて水洗される。このような溶液としては例えば工業用水などが好適に利用できる。これにより、貫通孔121の底部側の内壁を形成する樹脂表面に被現像性の高い現像促進剤との塩が形成される。この後、再度、現像に付すことにより、貫通孔121形成時の露光において遮蔽効果により吸光度が下がり硬化性が低かった貫通孔121の底部側の内壁の樹脂が溶解し、現像液によって除去される。貫通孔121の導体層11側にアンダーカット形状が形成される。アンダーカット形状は、水洗に用いる溶液の種類や量、および水洗時間などを適宜選択または調整することにより、所望の大きさに形成することができる。この結果、図2Cに示されるように、被覆絶縁層12の第1面12F側の開口端に近い側に凸部12bを有する開口12aが形成される。
【0026】
図2Dに示されるように、開口12a内にバンプ21が形成される。バンプ21は公知の任意の方法により、形成されてよい。例えば半田ボールが開口12a内に搭載される。また、半田ペーストが印刷されてもよい。熱処理によって半田を溶融させることで、最終的に被覆絶縁層12の第1面12Fから突出して丸くなったバンプ21が形成される。バンプ21は、被覆絶縁層12の第1面12Fの、開口12aの外周より外側に張出していてもよい。配線基板1の形成が完了する。
【0027】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、導体層11には、導体パッド111の他にも異なる導体パターンが含まれ得る。また、実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。先に説明された製造方法の条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、前述された工程のうちの一部の工程が省略されてもよく、前述された各工程以外に任意の別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 配線基板
10 絶縁層
11 導体層
111 導体パッド
12 被覆絶縁層
12F 第1面
12S 第2面
12a 開口
12b 凸部
12c 凸部の頂部
121 貫通孔
21 バンプ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D